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出席扱いにできる制度(ネット出席)について

不登校でも出席扱いになる制度とは?

文部科学省が定める「不登校の出席扱い制度」(通称:ネット出席)とは、不登校の子どもが学校外で行う学習を、一定の条件を満たすことで出席日数として認める仕組みです。目的は、学校に通うことが難しい子どもに学びの機会を作り、学業の継続を支援することにあります。

対象となるのは小学生と中学生で、高校生は含まれません。学習方法には、教育支援センターやフリースクールに通って学習するほか、ICTを使った自宅でのオンライン学習があり、ご家庭やお子さまの状況に応じて選択できます。

文部科学省の統計によると、2023年には不登校の状態にある小中学生は34万人を超え、11年連続で増加となりました。こうした背景から、「学校復帰」を目標とせず、子どもの社会的自立を長期的に支えることを重視した不登校の出席扱い制度は、近年ますます注目されています。

不登校中の学習が出席扱いになる7つの要件

不登校中の学習活動について出席扱いの認定を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。ここでは、ICTを活用したオンライン教材で家庭学習をした場合に、出席扱いの対象となるための7つの要件を紹介します。

1. 学校との連携 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること
2. 教材 ICTを活用したオンライン学習(タブレット教材やリモート授業など)や、郵送・FAXなどで届く教材による学習活動であること
3. 対面指導 学校が訪問などによる対面指導を、定期的かつ継続的に行うこと(指導内容は学習支援のほか、将来の自立に向けた支援など)
4. 学習計画・内容 不登校中の子どもの理解度に合った計画的な学習プログラムであること
5. 校長の関わり 校長が対面指導や学習活動の状況などを十分に把握していること(対面指導の担当者から報告を受ける、保護者を含めた連絡会を実施するなど)
6. 子どもの状況 子どもの状況として、教育支援センターやフリースクールに通うことよりも、ICTを活用した学習が適切であること(外出や人間関係がストレスになるなど)
7. 教育課程との合致 学習の成果を成績評価に反映する場合、学習計画や内容が学校の教育課程と照らし合わせて適切と判断されること

基本的には「適切な教材を使って学習できていること」と「学校との連携が取れていること」がポイントです。出席扱いとするかの判断は学校が行います。そのため、出席扱い制度を活用するには、保護者と学校の協力体制が欠かせません。

「不登校の出席扱い」成績評価はどうなる?2024年の文部科学省通知

2024年8月に文部科学省は、不登校の子どもが欠席中に行った学習の成績評価について、法令改正を告示しました。これまでも、学校外での学習の努力や成果を成績評価に反映できるとしてきましたが、今回、法令上で明確化されました。これにより、自宅でのオンライン学習などの取り組みが、正式に成績へ反映されやすくなります。

従来の出席扱い制度では、学校外での学習について成績評価の基準があいまいで、特に高校進学を控えた中学生にとって、内申点への影響が課題となっていました。そのため、2024年の法令改正は、内申点対策としても大きな意味を持つといえます。

この法令改正により、不登校の子どもの学習成果について、成績評価の対象となる学習には、文部科学大臣が定める要件が規定されました。内容は出席扱い制度の認定要件と重なりますが、確認しておきましょう。

不登校中の学習が成績評価の対象となる要件

  • 学習の計画や内容が、在学する学校の教育課程に照らし合わせて適切であること
  • 学校、保護者、教育支援センターや民間団体等との間に十分な連携協力関係が保たれていること
  • 学校が学習活動の状況など、不登校の子どもの状況を定期的かつ継続的に把握していること
  • 学校が訪問による対面指導などにより、不登校の子どもの状況を把握しつつ、学校との関わりを維持するように留意していること