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ルーブリックとは?表の作り方や活用事例を紹介

2022.11.21

生徒の評価方法について悩んでいる教育者や学校の先生におすすめしたいルーブリック。ルーブリックとは、テスト形式だけでは評価できない観点まで客観的に評価できる新しい評価方法です。
「生徒のパフォーマンスを含めた評価をしたい」「評価方法を見直したい」「もっと効率の良い評価方法はないか」など、評価方法に悩んでいる先生に役立つでしょう。この記事ではルーブリックを評価に用いるメリット・デメリットや実際に使用している学校の活用事例も併せてご紹介します。

学習達成度の評価方法「ルーブリック」とは

ルーブリックとは、表を用いて生徒の学習達成度を測る評価方法です。複数の項目を設定して一覧表にした「ルーブリック表」を使用して評価します。これまではペーパーテストを行い通知表で評価するのが一般的でした。しかし、学習する姿勢やテストまでの課程を十分に評価することは困難です。ルーブリックでは、さまざまな角度から評価できるように対象項目を設定して評価を行います。ルーブリックの評価項目の一例として、以下が挙げられます。
・基礎的な技能・知識
・表現力
・想像力
・判断力
・興味・関心
・意欲
・態度
評価項目は自身で決められるため、さまざまな学習の場に適した評価方法を設定できます。

ルーブリックが注目される背景にはアクティブラーニングの推進がある


ルーブリックが注目される背景には、生徒自身が能動的に考え学習する教育法である「アクティブラーニング」の推進があります。アクティブラーニングを推進し、世界で活躍する人材を育てるため、文部科学省は「学力の三要素」を定めました。
<学習の三要素>
1.基礎的な知識・技能を身につける
2.課題を解決するための思考力・判断力・表現力を育む
3.自主的に学習に取り組む意欲・関心・態度

学力の三要素のうち①基礎的な学習の習熟度はペーパーテストで確かめられます。しかし、ペーパーテストで点数をつけられない②③の「過程」に対しては評価が困難です。そこで注目されたのがルーブリックを用いた評価方法です。

ルーブリック表の作り方の手順


ルーブリック表は以下のように、3つの構成から作成します。

1.評価点:水色
2.評価項目:ピンク
3.評価基準:黄色

ルーブリック表の作成手順は以下のとおりです。
(1)課題の目的を明確にする : 生徒に期待することは何か、必要なスキルは何かといった観点から考え、「なぜこの課題を設定したのか」教育者自身が課題の目的を明確にすることから始めます。
(2)評価項目をリスト化する : 生徒にできるようになってほしい要素を考えられるだけ書き出し、リスト化します。
(3)評価基準を定める : ”(2)”でリストアップした要素をグループごとにまとめます。グループが評価項目(ピンク)、要素が評価基準(黄色)となります。
(4)ルーブリック表にまとめる表内の評価点(水色)を設定します。5段階評価であれば1から5の数字を決めた評価に合わせて入力してください。数字以外のABC評価でも自身が把握できていれば問題ありません。続いて(3)で設定した評価項目・評価基準を入力すればルーブリック表の完成です。

評価にルーブリックを用いるメリット

評価にルーブリックを用いるメリットには、以下の4つがあります。
1.公正な評価がしやすくなる
2.授業のねらいや目標を明確化できる
3.生徒のメタ認知力が高まる
4.学習者の能動的な学びにつながる

それぞれ詳しく解説します。
公正な評価がしやすくなるルーブリック評価を活用することで、公正な評価がしやすくなります。例えばディスカッションの場合、これまでは明確な基準がなく主観的な評価になりがちでした。しかし、ルーブリックを用いることで評価項目の点数化が可能になります。これにより、明確な基準に基づいた客観的な評価がしやすくなります。
教育の中で評価が困難だったレポート・プレゼンテーション・表現力などの活動にも活用が期待されています。授業のねらいや目標を明確化できるルーブリックを用いることで、授業のねらいや目標を明確化できます。ルーブリック表の作成時に、ねらいや目標を明記する必要があるためです。ただなんとなく授業を受けるのではなく、目的意識を持って授業に臨めるようになるので、授業そのものの質を向上させる効果も期待できます。
また、最初に狙いや目標を設定しておくことで、教育者自身の振り返りにも役立ちます。目標の達成度合いに応じて授業内容を見直したり、新たな課題を設定したりすることができるためです。生徒のメタ認知力が高まるルーブリックを活用することで、学力向上のために必要な「メタ認知力」の向上が期待できます。メタ認知力とは、自分が今どのような学習をしているかを認知する力です。
成績が思うように伸びない生徒は、何が分からないのか分からないケースが少なくありません。間違いを把握して、次からは間違えないようにするのにも「メタ認知力」が大きく関わっています。
ルーブリック評価を導入の際は、生徒と評価内容を共有しましょう。生徒が目標を意識しながら学ぶことで、ペーパーテストで発揮しにくい分野で力を発揮できるでしょう。学習者の能動的な学びにつながるルーブリックを導入することにより、生徒が自ら進んで学びやすくなるといわれています。これまで評価が難しかった表現力や意欲などに対して、公正な評価が可能になります。
意欲的に授業に参加していたけれど思うように成績が伸びなかった生徒にとっては、自身の取り組みに対して評価をしてもらえるため、学習に対する意欲の向上にもつながるでしょう。

評価にルーブリックを用いるデメリット

ルーブリック評価にはさまざまなメリットがありますが、一方でデメリットもあります。主なデメリットは以下の2つです。1.ルーブリック表の作成に手間暇がかかる2.適切な表が作成できなければ正確な評価ができないそれぞれ、解説します。ルーブリック表の作成に手間暇がかかる通常の業務にルーブリック表の作成が加わるため、ある程度の時間が必要です。課題や目標をリストアップしてから、表にまとめるまでに地道な作業を要します。慣れれば1時間程度で作ることも可能ですが、慣れない場合はもう少し時間が必要でしょう。
一度ルーブリック表のベースを作ってしまえばおおよその型を応用できるので、時間を確保して作成に取り組んでみましょう。適切な表が作成できなければ正確な評価ができない評価項目では良い評価でも、総合的に判断するとあまり良くない、もしくはその逆というケースもあるでしょう。そのような場合は、ルーブリック表の評価項目が不足しているか、評価項目が適切でない可能性が考えられます。評価項目は常に変更が可能です。気付いた時に見直しを行い改善した上で、正確な評価ができるようにしていきましょう。

ルーブリックを上手く活用するポイント

ルーブリックを上手く活用するためのポイントは、以下の2つです。
・学習目標を明確にして評価項目・評価基準を作成する。
・生徒の意見を聞いて評価項目・評価基準を調整する。

学習目標を明確にして評価項目・評価基準を作成するルーブリックを上手く活用するためのポイントは、学習目標や課題を明確にして「評価項目」「評価基準」を設定することです。ただのチェックリストになってはいけません。的確な評価基準がルーブリックのカギともいわれています。
導入の際は、テストペーパーの結果だけが評価対象ではない旨を生徒に伝え、ルーブリック評価の評価基準を生徒と共有することが大切です。生徒自身がより意欲的に学ぶようになれば学力向上につながります。生徒の意見を聞いて評価項目・評価基準を調整する授業が始まる前や、新しい課題に取り組む前に、生徒の意見を聞いて評価項目・評価基準を調整することも大切です。生徒は、あらかじめ評価項目・評価基準を認識した状態で学習することで、これから行う授業で何ができたら評価が高くなるかを意識して授業に取り組めるためです。
能動的に学ぶことで、思考力や表現力が養われ、問題を解決する力などが身に付きます。生徒の意見に耳を傾けながら評価項目・評価基準を調整して、生徒の可能性を伸ばす教育を導入してみましょう。

ルーブリックの活用事例

ルーブリックを実際に導入している高等学校や大学があります。どのように活用しているのか、以下の2つの事例を紹介します。
・福島県立ふたば未来学園高等学校
・関西大学

事例①:福島県立ふたば未来学園高等学校ふたば未来学園高等学校では、面談時にルーブリックを導入しています。ルーブリック面談の進め方をまとめ、教育者がサポートしながら対話重視の面談になるように行うことで3つの効果が得られました。
・生徒を客観的に評価できる
・面談を通じて伸びる力を確認
・生徒の自己認識を確認
実際に、教員からはルーブリックを「導入して良かった」という声が数多く集まっています。
また、社会課題に関する知識・理解や寛容さなどは高いまま維持されており、前向き・責任感・チャレンジ精神については入学当初からの伸びが目立っています。

事例②:関西大学関西大学では、レポート課題を出す際に併せてルーブリックを配布します。生徒と共有することで、生徒は評価の観点や基準を理解し、レポートに必要な項目や完成度を意識した執筆が可能です。
その他に有効的な使い方として、評価点を設定したあとに一段階高めの評価スペースを作成しています。以下の見本のように、評価点を4段階で設定した場合「4+」といった枠を設け、評価基準は優秀なレポートがあった際に記入できるようにしています。

<見本:初年次教育におけるレポートルーブリック>

また、評価の観点以外で残しておきたいことを記録しておけるように、表の下にメモ欄を設けてルーブリックを活用しています。

まとめ

生徒の学ぶ意欲を育てるために役立つルーブリック。ペーパーテストだけでは測れない項目を客観的に評価するために、ルーブリック導入を検討してみてはいかがでしょうか。学ぶ力を引き出すのも教育者の腕の見せ所です。ルーブリックをうまく活用して生徒とともに成長していきましょう。
前の見出しにある作り方より、メリットを先に出した方が記事の繋がりが良いのではと思います。
デメリットの画像の意図が伝わらないため、画像の変更をお願いいたします

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