すららが考える教育の未来

Society5.0の時代に必要な教育とは?学校はどう変わる?

2023.02.27

現在、情報化社会が発展し、タブレットやインターネットを導入した教育が普及しています。近い将来Society5.0時代の幕開けといわれていますが、どのような教育・学びへと変化していくのでしょうか。本記事では、Society5.0と教育の関係や、Society5.0の時代に求められる学校教育や現場にもたらす変化を詳しく解説していきます。

日本が目指す社会の姿「Society 5.0(ソサエティ5.0)」とは

現在の情報化社会「Society 4.0」に続いて訪れる新しい社会「Society 5.0(ソサエティ5.0)」とはどのような社会なのでしょうか。以下の3つに分けて解説していきます。

1.Society 5.0はどんな仕組み
2.Society 5.0では何が実現できる?
3.Society 5.0で求められる能力とは

Society 5.0はどんな仕組み?

Society 5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の問題解決を両立させた人間中心の社会(Society)を目指す仕組みです。これまでのSociety歴史は以下の通りです。

・Society 1.0:狩猟社会
・Society 2.0:農耕社会
・Society 3.0:工業社会
・Society 4.0:情報社会

Society 5.0では何が実現できる?

Society 5.0では、IoTを通じて全ての人と物(モノ)がつながり、多くの知識や情報が共有されることによる課題解決の実現が期待されています。これまでの情報化社会では、社会の中で情報の連携が不十分であることから、知識や情報が共有されないといった問題がありました。Society 5.0では、IoT・AI・クラウドを活用することで、地域格差や貧困の差などの問題を解決しながら、必要な情報が必要なときに利用できる社会を目指していきます。

Society 5.0で求められる能力とは

Society 5.0では、さまざまな技術のアイデアを出したりゼロから価値を生み出したりして、自分から未来を切り拓いていく能力を持った人材が求められています。多くの情報技術が溢れている時代では、人間だからこそできる価値を見出すことが大切です。その成果と社会課題をつなげ、プラットフォームをはじめとした新たなビジネスを創造できる人材の育成が期待されています。共通して求められる力としては、以下の3つが挙げられます。

・文章やデータを正確に読み解き・対話する力
・科学的に思考・吟味し活用する力
・好奇心・探求力が豊富で価値を見付け、生み出す感性と力

Society 5.0に向けて求められる教育・学びのあり方

Society 5.0に向けて求められる「教育」「学びのあり方」はどのような内容でしょうか。以下の視点からそれぞれ詳しく説明していきます。

・個別最適化された学びの機会や場を提供する
・全ての児童・生徒の基盤的な学力や情報活用能力の習得を目指す
・文理両方を学ぶ人材を育成する

個別最適化された学びの機会や場を提供する

AIが発達・普及することによって、個別最適化された学びの機会や場を提供することが可能になり、これまでの教育や学びのあり方が大きく変化していくことでしょう。一例を挙げると、AIが個人の勉強記録を把握・分析することで、個人の特性や発達段階に応じた支援や学びを提供できるようになります。それにより、生徒に基礎学力向上を支援し、学習到達度や学習課題に応じた異年齢での協働学習も広げていくことが出来ますさらに、学校では一斉一律の授業スタイルから一歩先を進み、学校の教室だけではなく大学・企業・NPO・豊かな自然の中など、地域の施設や教育資源を活用して学ぶ、そんな未来が期待出来ます。

すべての児童・生徒の基盤的な学力や情報活用能力の習得を目指す

Society 5.0に向けて、全ての児童・生徒に対して基盤的な学力や情報活用能力の習得を目指しています。2018年、文部科学省は大臣座談会で、Society 5.0に向けた人材育成に係る学びのあり方の変革を唱えました。読解力・計算的な思考力など、基礎的学力の定着を目的とした新学習指導要領の着実な習得を図るため、1人1人に合わせた教材・ICT環境・EdTech(テクノロジーを用いて教育を支援する仕組みやサービス)などを整備し、学習支援を充実させていきます。EdTechを活用して、生徒の学習状況のスタディログを学びのポートフォリオとして電子化することで、より精度の高い学習を支援できるでしょう。

文理両方を学ぶ人材を育成する

これまで、特に高等学校や大学において、文系・理系に分かれることにより特定の教科を十分に学習しない傾向がありました。Society 5.0では、文理両方を学ぶ大学進学者の育成を目指しています。一例を挙げると、データ・サイエンスの基礎となる確立・統計・プログラミングです。理科と社会科の基礎的分野を確実に習得することや、より高度な微分方程式・線形代数・データマイニングなどを学ぶために学習環境の整備を行うなどして、文理両方を学ぶ生徒を育成します。生徒の育成を促進するために、生徒個人の興味・関心・特性に応じて履修可能とする高校生の学習プログラム・コースをWWLコンソーシアムとして創設が提案されました。

Society 5.0時代に向けた学校教育「学校ver.3.0」とは

多くの知識や情報が共有されるSociety 5.0時代に向けて、人ができる価値を見出しながら情報技術を活用できる人材育成が求められるでしょう。学校教育も時代に合わせて変化していくために「学校ver.3.0」が必要なのです。学校ver.3.0について以下の6つの項目に分けて解説していきます。

・K-12教育からK-16プログラムへシフト
・教育に関するビッグデータ活用で個別最適化された学びの実現
・協働的な学びの機会の確保
・専門家など多様な人材リソースの活用
・STEAM教育を重視したプログラム
・人間の強みを活かすための学び

K-12教育からK-16プログラムへの転換

Society 5.0時代に向けて、連結性や一貫性を考えて幼稚園から大学までを含めた「K-16プログラム」への転換が提案されています。幼稚園から始まり高等学校を卒業するまでの学年別の教育をK-12と呼び、幼稚園から大学までの能力別の教育プログラムをK-16と称します。K-16プログラムは、幼稚園から小・中・高等学校・大学まで、生徒が学校に合わせて学ぶのではなく、生徒の能力にあわせた学びを提供するプログラムです。

ビッグデータ活用で個別最適化された学びの実現

学校ver.3.0では、以下の手段で得た教育に関するビッグデータを収集・分析・活用することで、生徒1人1人に最適な学びの実現が期待できます。

・スタディログ(学習履歴)
・自治体間や国との連携
・研究機関・企業との連携

これまで深く共有できなかったスタディログを電子化することで、情報の共有が容易になるため、より精度の高い学習が可能になるでしょう。また、プライバシーや個人情報保護法に配慮した上で自治体や国との連携を図ることで、成功モデルに共通する特徴を抽出し、学校・教育委員会間でより効果的な判断を下せるようになることが期待できます。

協働的な学びの機会の確保

学校ver.3.0では、これまで以上に協働的な学びの機会を確保することが重要です。個人の能力に合わせて学習を進められる一方で、孤立した学びに陥りがちなためです。実験や体験などの探究的な学習を通して、他者と対話したり力を合わせて資料を作成したりして、協働的な学びを得る機会を増やしていくことが大切です。

専門家など多様な人材リソースの活用

家庭や地域に留まらず、実社会との複層的なつながりを活用することで、専門家などの多様なリソースの力を借りることが可能になります。教師の知識や経験だけでは、生徒に教えられることが限られてしまいます。しかし、以下のような自治体や企業と連携することで、生徒たちは幅広い人材から豊富な知識を手に入れられるでしょう。

STEAM教育を重視したプログラム

学校ver.3.0は、STEM教育を重視したプログラムとなっています。科学・技術・工学・芸術・数学の頭文字を組み合わせた総称であるSTEAM教育は、人工知能の影響で世の中が大きく変化していく課程で生まれました。実社会で、他者との協働を通じて価値を創出したり、問題解決する、教科横断的な教育を指します。自分の力で学びを理解し、思考力を養うことを目的としており、生徒の強みを活かし、専門性を高めるための計画が盛り込まれています。STEAM教育の第一の目標は、教科書や図鑑の上だけではなく、実験や体験を通し実際に触れることにより、もっと深く知りたいと感じてもらうこととされています。そのため、STEAM教育が普及することで、これまで以上に教育と社会が大きく結びついていく事でしょう。

人間の強みを活かすための学び

学校ver.3.0では、人間の強みを活かすための学びを以下のように示しています。

・現実世界を理解し状況に応じて意味付け
・論理的
・板挟みや想定外と向き合う力
・責任を持って遂行する力
・読み解き対話する力
・価値を見付け、生み出す感性と力

AIは多くのデータに基づいて答えを出しているため、データが無く判断が曖昧なケースが生じるケースもあるでしょう。そういった時に力を発揮するのはAIではなく人です。そのため、現実世界を理解し状況に応じて行動できる人間の強みを養う必要があります。加えて論理的に考える力や、コミュニケーションに必要な読み・書き・対話する力も欠かせません。

まとめ

Society5.0の時代に求められる教育は、AIの力を活用しながら人間の強みを活かすための学習です。AIでは補いきれない部分を人間の力で解決するために、論理的に考えたり状況に応じて考えたりすることが重要です。Society5.0と教育との関係を理解して、生徒の学力向上に役立てていきましょう。

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