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【フリースクール×出席扱い】通所型とオンライン型の過ごし方は?

不登校のお子さまが学校に行かずに自宅で過ごしていると、保護者の方は「このままで大丈夫かな…」「どんどん勉強が遅れてしまう…」など、不安を抱えてしまうことがあります。しかし、学校だけが学びの場ではありません。

不登校は、心が疲れてしまったり、人間関係で悩んだり、お子さまが自分自身を守ろうとしている大切なサインかもしれません。そんなときは、少し立ち止まって、お子さまの気持ちに寄り添いながら、学校以外の居場所を探してみることもおすすめです。

この記事では、お子さまのペースで安心して過ごせる場所の1つであるフリースクールの出席扱いに焦点を当て、フリースクールの通所型、オンライン型の過ごし方について詳しく解説します。

お子さまが安心して学べる「居場所」を見つけること、そしてその学びをしっかり記録に残すこと。それが、お子さまの未来につながる第一歩です。一緒に見ていきましょう。

フリースクールでも出席扱いはできる?

フリースクールは、何らかの理由で学校に行かない子どもたちに、学習や生活の支援を提供する民間の教育施設です。運営主体はNPO法人やボランティア団体など様々で、スクールごとに活動目的や理念が異なりますが、このようなフリースクールという「学校外での学習や生活」を学校に通うのと同じ「出席扱い」にする制度があります。

文部科学省によると、フリースクールを含む学校内外の機関等(民間団体、民間施設)で専門的な相談・指導等を受けた児童生徒数等、指導要録上出席扱いとした児童生徒数は次のようになっています。

学校内外の機関等での相談・指導等を受けた人数(A)不登校児童生徒に
対する(A)の
割合
「指導要録上の
出席扱い」
となった人数(B)
(B)/(A)
小学校7,448 ー2,779 ー
中学校7,983 ー4,410 ー
合計15,4314.57,18933.2

「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」(文部科学省)を加工して作成

これは、不登校の出席扱いについての文部科学省の通知の要件を満たして認定されたものとなっています。

文部科学省による出席扱い認定の定義

不登校の子どものフリースクールを含む学校外の学習の出席扱いについて、文部科学省では次のように定義しています。

不登校児童生徒の中には,学校外の施設において相談・指導を受け,社会的な自立に向け懸命の努力を続けている者もおり,このような児童生徒の努力を学校として評価し支援するため,我が国の義務教育制度を前提としつつ,一定の要件を満たす場合に,これらの施設において相談・指導を受けた日数を指導要録上出席扱いとすることができることとする。
▼引用:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日」 内にある「(別記1) 義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」

この通知にあるように、フリースクールでの学習は、子どもが通っている小・中学校と連携し、学習内容などの要件が認められれば、出席扱いに認定されます。

大切なのは次の3つです。

① 「学びの内容」が学校とつながっていること

子どもが学校外で取り組んだ学習が、今、在籍している学校の学習内容と合っているか、という点です。例えば、フリースクールやご自宅で取り組んでいる勉強が、学校の授業の進度や内容と合っているか、ということです。学校は、その学びが「適切である」と判断する必要があります。

②「学校と保護者、支援者との連携」ができていること

子どもの学びの状況を、学校が定期的に把握できる仕組みがある、ということです。ご家庭で一緒に取り組む保護者の皆様、フリースクールのスタッフが、学校としっかりと連携し、子どもの学習の様子を伝え続けることが大切になります。

③ 「学校と子ども本人」とのつながりが保たれていること

子どもが学校と直接つながっていることです。先生が家庭を訪問したり、オンラインで相談に乗ったり、学習の様子を確認したりする機会があることが求められます。学校は、子どもと直接向き合い、学習の状況を把握し続けることで、より良いサポートができるようになります。

これら3つの要件は、子どもの頑張りを決して無駄にしないための、大切な土台です。学校と連携し、子ども自身と学校がつながりを持ち続けることで、その一つひとつの努力が成績として認められるようになります。

出席扱い認定の具体的なポイント

出席扱いは、フリースクールに通うことで自動的に認められるものではありません。「こんなことを学んで、こんなことができるようになりました」という具体的に学習した内容を、学校にきちんと伝えることが大切です。

そして、出席扱いに認定されるかどうかは、在籍校の校長先生が総合的に判断します。

そこで、以下の項目をきちんと準備して学校と話し合うと、話がスムーズに進みやすくなります。学校の先生(担任、養護教諭、スクールカウンセラーなど)も、教育委員会の方針を踏まえながら、子どものために協力してくれます。

フリースクール側は学習計画や出欠、学習状況の記録を整えてくれるので、保護者は、その間に入って連絡を橋渡しする大切な役割を担います。

確認項目在籍校でのポイントフリースクール側の
用意例
ご家庭
(保護者・子ども)
の役割
学習計画・学習指導要領に
沿った教科の学習に
つながるか確認
・個別支援計画を共有
・教科ごとの学習
計画書(年間/週案)
・使用教材一覧
・到達目標
子どもの状況や
希望を伝え、無理の
ないペースで
合意すること。
学習の実施・授業の時間数では
なく学習の質を重視
・必要に応じて補習
を設計。
・授業記録
(日時・内容・時間)
・個別指導メモ
・学習ポートフォリオ
自宅学習の記録も
手伝ったり、体調や
生活リズムを整え
たりすること。
提出物・評価・課題提出や小テスト
面談記録などを
根拠に評価
・指導要録に載せ
られる資料を確認
・課題やワークシート
レポートや小テスト
の結果
・定期レポート
提出期限の確認や
サポート
子どもと一緒に
振り返りを共有
すること
出欠と安全・出席簿の管理、
緊急時の対応確認
・登下校の安全や
健康状態の把握
・出欠日誌や
通室状況の記録
・緊急連絡体制
・送迎や連絡先の共有
体調に変化があったら
すぐに報告すること
連絡・協議・定期的な校内会議や
面談で進捗を共有
・教育委員会の方針に
沿って進める。
・毎月の報告書、
面談への同席、
連絡窓口の一本化
・学校とフリー
スクール双方の
情報を整理して
伝えること

フリースクールの通所型とオンライン型の特徴

フリースクールは、一般的に実際に施設に通う「通所型」のイメージが強いかもしれません。

これは、元々フリースクールの始まりが、学校に行きづらくなった子どもたちの「居場所」や「第三の学びの場」として、物理的な空間を提供することから始まった歴史的な背景があるからです。実際に通って、スタッフや他の子どもたちと顔を合わせて活動することで、社会性やコミュニケーション能力を育むことを主な目的の一つとしています。

しかし、インターネットの普及やパソコン・スマートフォンの進化に合わせて、従来の通所型フリースクールが、徐々にオンラインでの学習支援や交流の場を提供するようになりました。特に、近年はオンライン型フリースクールが大きく注目されるようになっています。

通所型フリースクールの特徴

通所型フリースクールは、以下のような特徴が一般的です。

・ 物理的な「居場所」がある

フリースクールは、不登校の子どもたちが安心して過ごせる「居場所」を提供することを最も重視しています。学校とは異なる、落ち着いた雰囲気の中で、自分のペースで過ごすことができます。

・ 多様な活動がある

学習だけでなく、スポーツ、料理、工作、野外活動など、多岐にわたる活動が用意されています。これにより、子どもたちは興味のあることを見つけ、自信を育むことができます。

・他者との交流がある

同じような境遇の子どもたちや、様々な背景を持つスタッフと関わることで、対人関係を築く練習ができます。少人数制のところが多く、一人ひとりのペースに合わせた関わりが可能です。

・生活リズムを整える手助けになる

決まった時間に通所することで、不規則になりがちな生活リズムを整えることができます。これは、心身の健康を保つ上で非常に重要です。

・スタッフが多様

教員免許を持ったスタッフだけでなく、カウンセラーやアーティスト、社会経験豊かな大人など、多様な経歴を持つ人々が関わっていることが多いです。これにより、子どもたちは学校では得られない様々な価値観に触れることができます。

このように、実際に人と会って学ぶので、生活リズムが整いやすく、社会性を育む機会が増え、 日々の出席や活動の記録がしっかり残せます。

フリースクールの通所型では、これらの特徴を踏まえ、文部科学省が定義する不登校の子どものフリースクールを含む学校外の学習の出席扱いについての要件を満たすことで不登校の出席扱いが認定されます。

通所型フリースクールの出席扱いの要件

通所型フリースクールを利用する不登校の子どもの出席扱いについて、文部科学省で次のような要件が定義されています。

(1)保護者と学校の間で、十分に連携し協力する関係が保たれている必要があります。

(2)教育委員会が設置する教育支援センターなどの公的機関での指導が原則ですが、通うのが難しい場合は、校長と教育委員会が連携して適切と判断すれば、民間の施設も考慮されます。

(3)子どもが施設に通所または入所して指導を受けることが前提となります。

(4)学校外の学習が学校の教育課程に照らして適切と判断される場合、その学習を評価し、指導要録や通知表に適切に記載することが重要です。

▼文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)内にある「(別記1) 義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指 導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」をもとに作成

このように、通所型フリースクールは、ただ学習面をサポートするだけでなく、子どもの心と体の土台をしっかりと整え、社会へとつながる力を育んでくれる場所です。

子どものペースを何より大切にしながら、通所型のフリースクールによる出席扱いという選択肢も、ぜひ前向きに検討してみてください。

みらいゲート秋葉原

学研グループが運営する小学生のためのフリースクールで、子どもだけでなく、ご家族も安心できる温かい居場所で、JR秋葉原駅の近くにあり、通所しやすい場所にあります。

学研グループの持つ教育ノウハウや教材(書籍、図鑑、実験キッドなど)を活用し、学習面でのサポートが充実しています。さらに、みらいゲート秋葉原では、これまでの利用者のうち、不登校だった子どもの約65%が復学しており、復学に向けたサポートも重視しています。

・子どもと保護者のサードプレイス

みらいゲート秋葉原では、「不登校になり、初めてフリースクールを利用する」というお子さまが約80%です。お子さまが安心して過ごせるよう、まずは家や学校とは違う、この新しい場所(フリースクール)に慣れることから始めてもらいます。小学校教諭や社会福祉士、保育士などの経験を持つスタッフが、少人数のお子さまをきめ細かくサポートしていますので、どうぞご安心ください。

・復学に向けた学習サポート

みらいゲート秋葉原では、復学や進級、進学に向けた学習サポートを丁寧に行っています。学校の教科書に沿ったICT教材を使い、お子さまのペースに合わせて、学習の遅れを取り戻せるようお手伝いします。
算数や国語だけでなく、科学実験やスポーツ、アートといった多様なプログラムがあり、お子さまが「楽しい!」と感じる学びを通して、自信を取り戻せるようサポートしています。

・小学校1年生からの居場所と支援

みらいゲート秋葉原では、小学1年生のお子さまから受け入れています。

お子さまが「自分は大切な存在だ」と感じられるよう、自己肯定感や自己有用感を育むことを一番に考えています。また、開室時間は9:30~17:30と長いので、お子さまたちが安心してゆったりと過ごせる場所となっています。

・AI搭載のデジタル学習教材「すらら」を導入

学年に関係なくAIによる一人ひとりにあった学習ができるICT教材「すらら」を導入しています。子どものペースに合わせた復習、先取学習が可能で、1日5分から楽しく取り組むことができます。

▼「ここは“キミらしくいられる”新しい場所になる」みらいゲート秋葉原

オンライン型フリースクールの特徴

オンライン型フリースクールは、自宅にいながらインターネットを通じて学習や交流ができる、不登校の子どもたちのための新しい居場所です。場所や時間にとらわれずに、自分のペースで安心して学びを続けられることが一番の特徴です。

このオンライン型フリースクールは新型コロナウイルスの感染拡大とGIGAスクール構想により小中学校の1人1台端末が配備されオンライン学習の環境が整ったこと、フリースクールでもICTを活用した支援がしやすくなったことにより、広く普及するようになりました。

オンライン型フリースクールは、外出自体に強い不安を感じる不登校の子どもが、自宅にいながらにして学習や交流ができるようにするものです。

オンライン型では、Web会議システムや学習プラットフォームを活用して、以下のような支援が行われています。

  • オンライン授業・学習: 教科の学習や、プログラミング、英会話など、個別の興味に応じた授業を受けられます。
  • オンライン交流: チャットやバーチャル空間で、全国の仲間と交流できます。
  • カウンセリング: オンラインで定期的な面談を行い、メンタルサポートを受けることができます。

このように、オンライン型フリースクールは自宅から学べるので、通学の負担がなく、体調に合わせて自分のペースで友達との交流や学習を進めることができます。また、学習管理システムのログや提出履歴など、デジタルで記録が残せることで、学校とのやり取りがスムーズになります。

オンライン型フリースクールの出席扱いは、通所型フリースクールと要件が異なります。これは、次のような文部科学省によるICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出席扱いについての定義に基づいています。


出席扱い等の要件 義務教育段階における不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を 行うとき,当該児童生徒が在籍する学校の長は,下記の要件を満たすとともに,その学 習活動が,当該児童生徒が現在において登校を希望しているか否かにかかわらず,自ら 登校を希望した際に,円滑な学校復帰が可能となるような学習活動であり,かつ,当該 児童生徒の自立を助けるうえで有効・適切であると判断する場合に,指導要録上出席扱 いとすること及びその成果を評価に反映することができる。
▼引用:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)」内にある「(別記2)不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出席扱いについて」

具体的に、次のような7つの要件を満たす必要があります。

(1)保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。

(2)ITなどを活用して提供される学習活動であること。

(3)訪問等による対面指導が適切に行われること

(4)学習理解度の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること。

(5)校長が対面指導や学習活動の状況等について十分に把握していること。

(6)学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けられないような場合に行う学習活動であること。

(7)学習活動の評価は,学習の計画や内容をその学校の教育課程に照らし適切と判断すること。

これらの要件を一つひとつ丁寧にクリアしていくことで、オンライン型フリースクールでの学びが、子どもの確かな一歩として、学校にも認められることにつながります。

▼ICT等を活用した自宅学習で出席扱いをするには?不登校の「出席扱い制度」とは?認定条件や成績の付け方も解説!

SHINGAKU  オンラインフリースクール

SHINGAKUは、京都、滋賀、大阪を中心に学習塾や通信制高校を経営している成基学園が展開する、新しい学びの機会と人とのつながりを提供する成長応援型オンラインフリースクールです。熟練の講師陣と共に本格的な受験勉強をするための学習塾をベースにした実績があるので、不登校の出席扱いにも力を入れながら高校進学についてじっくり相談しやすい環境が整っています。

・メタバース教室を開講…カメラオフやチャットのみなど、お子さまに合ったスタイルで参加できます。日中のお子さまの様子も確認できるようになっています

・様々な年間行事も用意…オンライン遠足、オンライン運動会、オンラインクリスマス会等

・「すらら」の無学年式教材を採用

▼再登校の実績多数のSHINGAKU オンラインスクール

ハイブリッド(通所とオンラインの組み合わせ)型フリースクール

フリースクールには、実際に通うタイプとオンラインで学ぶタイプがありますが、最近ではこの両方を組み合わせた、新しいフリースクールが増えています。特に2010年代の後半から、オンライン専門のフリースクールや、オンラインと通所を自由に選べる「ハイブリッド型」のフリースクールが増えてきました。

「通所は週に1回、残りはオンライン」のように、両方を組み合わせることもできます。お子さんの体調や気分に合わせて柔軟に変えられるので、無理なく学びを続けられます。

第一学院中等部 

高校・大学事業の他、学習塾やグローバル事業を展開する株式会社ウィザスが、子どもの成長の先にある社会で活躍できる人づくりをサポートするために運営する第一学院中等部。ICTを活用した多様な学びの機会を提供する新しいコンセプトのフリースクールです。定期的にキャンパスに通うこと、自宅での活動をメインとしてオンラインでつながるなど、一人ひとりに寄り添って意欲を育み、いろいろなスタイルを選択できるのが第一学院中等部の特色です。

在籍中学校と連携を取りながら、一人ひとりに合わせた多様な学びに取り組み、10年後の自分を想像して「『もっともっと自分を好きになる』自分づくり」を応援しています。

・北海道から九州までの日本全国にキャンパスがあり、教科の学習・プログラミングなど楽しく学べる仕組みが充実

・オンラインやキャンパスでコミュニケーションがとれる

・登校機会は月1~4回程度。友達や先生との交流も楽しめる

・学年の途中からの入会が可能

・自分にぴったりの学びができるAI搭載のデジタル学習教材「すらら」を採用

▼「ここにもあった わたしの居場所」第一学院中等部


まとめ

不登校の子どもにとって、フリースクールは安心して学べる居場所です。さらに、在籍校と連携し、学習活動が認められれば出席扱いになります。

通所型は対面での交流が多く、オンライン型は自分のペースで自宅で学べることを特徴としているので、お子さまがどのように学校外での時間を過ごしたいかを一緒に考えながら、ぜひお住まいの地域にあるフリースクールにお問い合わせください。フリースクールでの学びを出席扱いにすることは、子どもの自信につながり、進路の選択肢を広げられるかもしれません。

大切なのは、学校やフリースクールと協力して、お子さまの「学びたい」という気持ちを支えてあげること。この記事が、その一歩を踏み出すきっかけになりましたら幸いです。

▼この記事でご紹介しているフリースクールICT教材「すらら」を利用し、お子さまのペースに合わせた学習を提供しています。ICT教材「すらら」について詳しくはこちら