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不登校で勉強しない子どものサポート方法は?保護者ができることを解説

お子さまが不登校になり、家でも勉強に取り組まない状況に直面している保護者の方は少なくありません。勉強しない期間が長くなると、「このままで大丈夫だろうか」「将来が心配」といった不安も大きくなるでしょう。しかし、不登校の子どもが勉強しない背景には、単に怠けているのではなく、心身の疲れや学習意欲の低下、勉強方法がわからないなどの理由があります。

この記事では、不登校の子どもが勉強しない理由や、保護者ができる具体的なサポート、不登校中の勉強法や学びの場について解説します。不登校の子どもが勉強に取り組めるようになった体験談も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

不登校の子どもが家で勉強しない理由

不登校の子どもが家で勉強をしないのは、「やる気がない」からではなく、心身の状態や学習のつまずきなど、複合的な要因があります。多くの場合、「勉強しない」のではなく「勉強できない」状態にあることを理解することが大切です。ここでは、よくある3つの理由について解説します。

理由1:心身ともに疲れている

不登校の子どもの多くは、学校生活のストレスや人間関係の悩みから、心身ともに疲弊した状態にあります。勉強に向かうエネルギーが枯渇して、無気力な状態が続くのは珍しいことではありません。

このような状態の子どもに無理に勉強をさせようとすると、さらにストレスを与えることになります。まずは十分な休息を取り、心身の回復を最優先にしましょう。保護者は安心できる時間と環境を整えて、子どもが自主的な活動への意欲を示すまで、焦らずに見守ることが大切です。

理由2:勉強への興味や目的がない

学校から離れた環境では、勉強する意味や目的を見失いがちになります。「なぜ勉強しなければならないのか」「この勉強は将来どう役立つのか」といった疑問を抱き、学習への動機を見つけられない状態です。勉強する意味や目的が見いだせないと、机に向かう意欲はなかなか湧きません。

また、特定の科目への苦手意識が強い場合、「どうせやってもできない」という気持ちが強まり、勉強から距離を置いてしまうことがあります。こうした場合、興味のある分野や得意な科目から取り組むことで、少しずつ学習意欲を引き出すことができます。

理由3:勉強の方法がわからない

学校を長期間休んでいる間に授業が進んでしまい、どこから手をつけてよいのかわからない状況に陥ることがあります。学習の抜けや遅れが生じると、「追いつくのは無理」というあきらめの気持ちが生まれ、勉強から遠ざかってしまいがちです。

学校の授業の進度に関係なく、単元をさかのぼったり先取りしたりできる教材を使うことで、安心して勉強に取り組めることがあります。学習計画の立て方をサポートしてくれる教材なら、より効果的です。

無学年式のオンライン教材「すらら」は、学年を問わず学び直しや先取り学習ができるので、学校の授業の進度を気にせずに勉強できます。好きな科目から取り組むことで、勉強の意欲を取り戻すことができるでしょう。学習設計のサポートをしてくれる「すららコーチ」といっしょに無理のない学習計画を立てることで、「どこから手をつけていいかわからない」という不安も解消できます。お子さまの活動意欲が戻ってきたら、「すらら」の無料体験を試してみるのはいかがでしょうか。

不登校で勉強しないことによる将来への不安

不登校が続き、家でも勉強をしていないように見えると、多くの保護者の方は「このままで大丈夫なのか」と不安を感じてしまうでしょう。しかし、小中学生の段階で一時的に学習から離れても、後から取り戻すことは十分に可能です。

近年は高校進学の選択肢も多く、さまざまな特色のある私立高校や、通信制高校、定時制高校など、多様な学びの場があります。保護者と子どもが「今は回復を優先し、必要な時に学びを始めればいい」という共通認識を持って、将来について不安を抱えすぎないことが大切です。

勉強しない不登校の子どもに保護者ができること

勉強しない不登校の子どもに保護者ができること

不登校の子どもに「勉強させよう」とすると、かえって心身の負担を増やしてしまうことがあります。保護者にできるのは、学習再開のための土台を整えることです。ここでは、保護者が日常生活の中でできる具体的なサポート方法を紹介します。

勉強させようと焦らない・心配しすぎない

不登校の子どもが勉強しない状況に対して、保護者のNG行動は「焦って勉強させようとすること」「勉強しない状況を心配しすぎること」です。焦りや心配の気持ちが伝わると、子どもはプレッシャーを感じて、勉強からさらに遠ざかってしまう可能性があります。

小中学生の段階で一時的に勉強から離れても、子どもの将来に大きな影響はないことを思い出して、焦らずどっしりと構えましょう。子どもの心身の回復を優先して、子どもが安心できる環境を整えることが、学習意欲の回復にもつながります。勉強以外にもゲームなどの遊びを肯定して、子どもの興味・関心を尊重する態度を示すことも大切です。

子どもの生活リズムを整える

不登校中は昼夜逆転など、不規則な生活リズムになってしまう子どもが少なくありません。生活リズムの乱れは、心身の不調を長引かせる原因にもなります。食事、睡眠、適度な運動を中心に、基本的な生活習慣が整うようにサポートしましょう。

朝は決まった時間に起床し、3食きちんと食べることや、夜更かしを避け、睡眠時間を確保することも大切です。外に出て散歩や軽い運動をすれば、気分転換にもなります。生活リズムが整うことで、自然と学習に向かうエネルギーも回復していきます。

家庭内に学習できるスペースを作る

集中できる環境が整っていると、勉強を再開するハードルが下がります。部屋を片付けて静かなスペースを確保する、リビングの一角に学習コーナーを設けるなど、子どもが勉強したいと思った時にすぐに取り組める学習スペースを作っておきましょう。

保護者も同じ場所で勉強するなど、無理に誘うのではなく、家族が日常的に学習スペースを使っている様子を見せると、子どもに興味を持ってもらいやすくなります。

不登校の子どもが「勉強したい」と思ったきっかけは?体験談を紹介

不登校のお子さまが、勉強しない状況から勉強への意欲を取り戻したきっかけについて、2つの体験談を紹介します。

小学4年生Kさんの場合:無学年教材で興味のある教科から学習意欲を高める

小学4年生のKさんは、低学年のころは学習教材での勉強ではなく、自分の興味のある学びを優先して取り組んでいました。そのため保護者の方も「教材での勉強は難しいかもしれない」と感じていたそうです。

しかし、小学3年生から無学年式のオンライン教材を使い始めると、ほとんど手をつけていなかった算数は1年生・2年生の内容からさかのぼって学び直す一方で、得意な理科は中学校の宇宙分野まで進めるようになりました。興味のある教科はいまの学年にかかわらず勉強でき、苦手な教科は基礎に戻って取り組める教材を使ったことで、勉強への意欲が高まり、毎日の学習を習慣化することにつながりました。

中学1年生Sさんの場合:生活リズムを整えることで勉強への意欲が復活

中学1年生から不登校になったSさんは、当初は家でほとんど寝て過ごし、1日1食しか食べないこともあるなど、保護者の方は不安と心配を抱えていました。そこで、まずは食事や睡眠といった生活リズムを整えることを優先しました。半年ほどはつらい時期が続きましたが、週1回のテニススクールを続けたり、学校の部活に週末や長期休暇だけ参加したりできるようになり、少しずつ体調が回復し、日常生活を送れるようになっていきました。

体調が戻っていく様子を見て、保護者の方も「学校に行かなくてもいい、勉強はやる気になったら始めればいい」という気持ちに変わっていきました。その後、無学年式のオンライン教材を利用し、学年にとらわれず単元ごとの進捗を確認しながら学習を進めることで、勉強への意欲も少しずつ戻ってきました。中学3年生の夏以降には学習時間が大幅に増え、9月には月間119時間に達するなど、勉強への前向きな姿勢が高まっています。

不登校中にできる勉強方法や学びの場

不登校中でも、子どもの状況やペースに合わせて学習を進める方法はあります。子どもの活動意欲がでてきたら、無理なく始められる形を選び、少しずつ勉強の感覚を取り戻していきましょう。

一定の条件を満たせば、学校外での学習を出席日数として認める「出席扱い制度」もあります。不登校中の勉強が出席日になって、勉強の成果が成績評価にも反映されるので、子どもの自信の醸成や学習意欲の向上が期待できます。不登校中の学習教材や学びの場を探すときには、出席扱い制度の利用についていっしょに検討してみるのもおすすめです。

下記では、主な5つの勉強方法や学びの場を紹介します。5つのうち、文部科学省が出席扱い制度の対象としているのは主に、教育支援センター、フリースクール、オンライン学習教材の学習です。しかし、学校によっては、家庭教師や塾での学習を出席扱いとして認める場合もあるようです。出席扱い制度の利用を検討するなら、勉強方法を決める前に学校と相談することをおすすめします。

不登校中にできる勉強方法や学びの場

教育支援センター 自治体が運営する公的な支援施設で、無料または低料金で利用できる。学習指導だけでなく、生活面や心理面のサポートも受けられるのが特徴。学校との連携も取りやすく、復学へのステップとして活用しやすい。通学に抵抗がある子どもには向かない場合があるので、見学や体験を通じて、通学できるか、子どもに合った雰囲気か確かめることが大切。
フリースクール 少人数制や自由なカリキュラムを採用している場合が多く、人との関わりや学習意欲を少しずつ回復させることが期待できる。費用はスクールによって異なる。教育支援センターと同様に、通学に抵抗がある子どもには向かない場合があるので、見学や体験で要確認。
オンライン学習教材 自宅で自分のペースで取り組めるのが魅力。映像授業やゲーム感覚で取り組める教材など、楽しみながら学べるコンテンツも多い。無学年方式の教材なら勉強の遅れを気にせず、苦手教科は基礎から学習できる。自己管理が必要なので、学習計画の作成や学習継続のサポート体制があるとより良い。
家庭教師 子どもの学力や性格に合わせた個別指導が可能。家庭教師との相性や費用面の負担が課題となることがある。オンライン型のサービスも増えており、外出せずに受講できるのはメリット。出席扱い制度の対象外となる場合があるので注意。
集団指導型の塾は学校の環境に近い形で授業を受けることになるので、人間関係に不安がある子どもには個別指導型の塾のほうが適している場合もある。進学に向けた専門的な指導も受けられる。出席扱い制度の対象外となる場合があるので注意。

焦らず環境を整えて、子どもの学習意欲がでてくるのを待とう

不登校の子どもが勉強しない背景には、心身の疲れや学習意欲の低下など、さまざまな理由があります。保護者の行動として大切なのは、焦って勉強を促すのではなく、安心できる環境や生活リズムを整えることです。学びはいつからでも再開でき、オンライン教材やフリースクールなど、多様な方法があります。子どものペースを尊重しながら、少しずつ学びへの意欲を取り戻せるように、長期的な視点でサポートしていきましょう。

また、保護者自身も1人で抱え込まず、スクールカウンセラーや教育相談機関を活用してよいのです。安心できる大人がそばにいることが、子どもの回復を支える大きな力になります。

お子さまの勉強をどのようにサポートしたらいいか迷うときは、無学年式で勉強の遅れや学年に関係なく勉強を進められる「すらら」がおすすめです。勉強のつまずきの原因をAIで特定して、自動的にさかのぼり学習する機能を使えば、お子さまの「できた」「わかった」という経験を積み重ねることができます。

よくある質問

不登校の子どもが家でも勉強しないのはなぜですか?

不登校の子どもが勉強に取り組めないのは、心身の疲れによる無気力、勉強の意味や目的を見失っていること、そして学習の方法が分からず遅れに不安を感じることが主な理由です。まずは休息を優先しましょう。勉強は興味のある分野から取り組み、進度に合わせて学べる教材を活用することで、少しずつ意欲を取り戻すことができます。

不登校で勉強しない子どもに保護者ができることはありますか?

不登校の子どもに対して保護者ができることは、焦って勉強させようとせず心身の回復を優先し、安心できる環境を整えることです。生活リズムを整え、食事・睡眠・運動を習慣化することで学習へのエネルギーも戻ってきます。また、家庭内に静かで集中できる学習スペースを用意すると、子どもが勉強を再開しやすくなります。

不登校の子どもにおすすめの勉強法はどのようなものがありますか?

不登校中でも、教育支援センターやフリースクールに通うほか、自宅でのオンライン教材での学習や、家庭教師、塾など、子どもの状況に合わせて無理なく学習を進める方法があります。一定の条件を満たせば「出席扱い制度」により、学校外での学習が出席日数や成績評価に反映されることもあります。

監修者
伊藤美奈子(いとうみなこ)先生
神戸女子大学教授/臨床心理センター長
臨床心理学や発達心理学を専門とし、特に学校現場における不登校、いじめ、教員のメンタルヘルスに関するテーマに取り組む。臨床心理士・公認心理師。文部科学省「不登校に関する調査研究協力者会議」委員、こども家庭庁「いじめ調査アドバイザー」なども務める。不登校やいじめの問題に対し、理論と実践の両面から取り組み、幅広く活動している。
著書:『不登校の理解と支援のためのハンドブック:多様な学びの場を保障するために』(ミネルヴァ書房2022年)など。
執筆者
あした研究室編集部 (あしたけんきゅうしつへんしゅうぶ)
あした研究室編集部は、(株)すららネットの子どもの発達支援室に所属するスタッフと、学び・発達支援に関心を持つ編集チームによって運営されています。教育・発達支援・子育て・学習法などのテーマについて、現場視点と実証的な知見を大切にしながら、企画・取材・執筆・編集・校正・発信まで一貫して取り組んでいます。私たちの使命は、保護者や教育関係者、子ども自身が次の一歩を見つけられるような 信頼できる知見とアイデアを届けること。読者の皆さまには、根拠ある情報と温かい視点を通じて、学びと成長を支えるパートナーでありたいと考えています。