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高校生が学校に行きたくないとき|理由別の対処法と学校以外の選択肢

高校生が学校に行きたくないと感じる背景には、人間関係や成績へのプレッシャー、心身の疲れなどがあり、はっきりした理由がない場合もあります。つらいときは無理に登校せず、休んだうえで親や担任、スクールカウンセラーに相談しましょう。ただし多くの高校では、授業時数の3分の1程度を超えて欠席すると単位が認められず、留年につながる可能性があります。基準は学校ごとに異なるため、担任に確認しておきましょう。この記事では理由別の対処法と、単位を引き継げることが多い通信制・定時制高校への転入、高卒認定試験、フリースクールといった選択肢も紹介します。

高校生が学校に行きたくないと感じる主な理由

人間関係、勉強、心身の疲れ、理由がわからない場合から現在の状態を整理する

高校生が「学校に行きたくない」と感じる理由は、一人ひとり違います。理由が一つではなく、いくつかの悩みが重なっていることも少なくありません。文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」でも、高校の不登校生徒の状況として、友人関係の問題、学業の不振、生活リズムの不調、不安や抑うつ、学校生活へのやる気が出ないことなど、多くの項目が挙がっています。

行きたくない理由がわかると、休み方や相談する相手、必要な対処を選びやすくなります。ここでは、高校生に多い理由を4つに分けて紹介します。

人間関係の悩み

学校に行きたくない理由として多いのが、友達やクラスメイト、先生との関係の悩みです。高校は毎日同じ教室で長い時間を過ごすため、関係がうまくいかないと、学校にいること自体がつらくなります。

高校生によくある人間関係の悩みには、次のようなものがあります。

  • クラスになじめず、休み時間や昼休みに一人でいるのがつらい
  • 仲の良いグループの中で、気をつかいすぎて疲れる、または外されている気がする
  • LINEのグループやInstagramなど、SNSでのやり取りがきっかけでトラブルになった
  • 悪口、無視、からかいなどのいじめを受けている
  • 担任や部活の顧問など、特定の先生と合わない
  • 部活の先輩・後輩の関係や、練習の雰囲気が負担になっている

高校は地域の中学校と違い、さまざまな地域から生徒が集まります。そのため、入学したときに知っている人が少なく、最初の友達づくりでつまずくと、その後も居場所がないと感じやすくなります。また、SNSでは学校が終わってからもやり取りが続くので、家にいても人間関係のストレスから離れにくいという特徴があります。

いじめや暴力、お金をとられるなどの被害がある場合は、自分だけで我慢せず、早めに大人に知らせる必要があります。

勉強や成績へのプレッシャー

高校では、中学と比べて授業の進み方が速くなり、内容も難しくなります。最初の定期テストで思ったような点数がとれず、そこから授業についていけなくなったと感じる高校生もいます。

勉強や成績が負担になる場面には、次のようなものがあります。

  • 授業の内容がわからず、教室に座っているのがつらい
  • 定期テストで赤点をとり、追試や補習が続いている
  • 課題や提出物が多く、終わらないまま期限が来てしまう
  • 進学校で周りの成績が高く、自分だけ取り残されている気がする
  • 大学受験や指定校推薦のための評定平均を気にして、常に緊張している
  • 親や先生から成績や進路について期待をかけられている

高校は中学と違い、成績が悪いと単位が認められず、進級できないことがあります。そのため「このままでは留年するかもしれない」という不安が、さらに学校に行きにくくさせることもあります。単位や進級の基準については、後の見出しでくわしく説明します。

心身の疲労や体調不良

体や心が疲れていることが原因で、学校に行きたくないと感じる場合もあります。高校生は、授業に加えて部活、アルバイト、塾、長い通学時間などが重なりやすく、気づかないうちに疲れがたまっていることがあります。

次のような状態が続いている場合は、疲れや体調不良が関係している可能性があります。

  • 朝どうしても起きられない、起きても頭痛やめまいがする
  • 登校前になると腹痛や吐き気が出る
  • 夜に眠れない、または夜遅くまでスマホを見て睡眠時間が短い
  • 食欲がない、または食べすぎてしまう
  • 以前は楽しめていた趣味や部活に興味がなくなった
  • 理由もなく不安になったり、気分が落ち込んだりする

朝起きられない、立ちくらみがするといった症状は、思春期に多い「起立性調節障害」で起こることがあります。登校前の腹痛や下痢は「過敏性腸症候群」、気分の落ち込みや強い不安が続く場合は、うつ病や不安障害などの心の不調が関係していることもあります。どれにあてはまるかは自分では判断できないため、症状が長く続くときは、小児科や内科、心療内科などで相談することが大切です。

心の不調のサインや相談先については、厚生労働省の10代・20代向けサイト「こころもメンテしよう」でも紹介されています。

とくに理由がないけれど行きたくない

「いじめられているわけでも、成績が悪いわけでもないのに、なんとなく学校に行きたくない」と感じる高校生もいます。はっきりした理由がないと、「ただの甘えではないか」と自分を責めてしまいがちです。しかし、理由を言葉にできないことは珍しくありません。

とくに理由が思い浮かばないときでも、次のようなことが背景にある場合があります。

  • 小さなストレスや疲れが少しずつたまっている
  • 夏休みや冬休みなど長い休みの後で、生活リズムが戻っていない
  • 新学期やクラス替えなど、環境の変化に気持ちが追いついていない
  • 将来の進路が見えず、学校に通う意味がわからなくなっている
  • 家庭内の悩みなど、学校以外のことで気持ちが疲れている

本人が「理由はない」と思っていても、気持ちを書き出したり、誰かに話したりする中で、本当の理由に気づくことがあります。気持ちの整理のしかたは、次の見出しで紹介します。

学校に行きたくない高校生がまずやるべきこと

つらいときに休む、大人へ相談する、気持ちをメモするという三つの対応

学校に行きたくないと感じたときは、転校や退学などの大きな決断を急がずに、「休む」「相談する」「気持ちを整理する」の3つから始めてください。理由がはっきりしない段階でも取り組めて、その後の対処法や進路を選ぶ判断材料になります。

無理をせずに休む

「学校に行きたくない」という気持ちが、体の不調として表れることがあります。次のような状態が続いている場合は、無理に登校せず、休むことを考えてください。

  • 朝になると頭痛や腹痛、吐き気が出る
  • 夜なかなか眠れない、または朝起きられない
  • 食欲がない、好きだったことに興味がわかない
  • 登校前や日曜の夜に、気分が落ち込んだり涙が出たりする

ストレスの原因から離れないまま登校を続けると、こうした症状が長引くことがあります。数日休んで心身を休ませるのは、体調を立て直すための行動です。

休むときは、まず親に「今日は学校を休みたい」と伝えます。高校の欠席連絡は保護者から担任に入れるのが一般的なため、自分ひとりで決めずに親の協力を得ておくと、学校とのやり取りがスムーズになります。

休んでいる間は、次のことを意識すると体調が戻りやすくなります。

  • 起きる時間と寝る時間を、登校していた頃から大きくずらさない
  • 食事を3回とる
  • 夜遅くまでスマホやゲームを続けない
  • 散歩など、軽く体を動かす時間をつくる

丸1日休む以外に、遅刻や早退をして授業の一部だけ出る方法や、教室ではなく保健室や別室で過ごす「保健室登校」「別室登校」という方法もあります。対応しているかどうかは学校によって異なるため、担任や養護教諭に確認してください。

なお、高校は単位制のため、欠席が続くと進級に影響する場合があります。欠席日数の目安については後の章で解説しますが、数日休むだけで単位を落とすことは通常ありません。まずは体調の回復を優先してください。

親や信頼できる大人に相談する

学校に行きたくない気持ちを一人で抱えていると、「我慢して行く」か「行かない」かの二択で考えてしまいがちです。大人に話すことで、休み方の調整や学校への連絡、必要に応じた病院の受診、転校の検討など、自分だけでは進められない手続きや選択肢が見えてきます。

親に話すときは、理由をうまく説明できなくてもかまいません。「最近、学校に行くのがつらい」「朝になると体調が悪くなる」と、今の状態だけを伝えれば十分です。面と向かって言いにくい場合は、LINEや手紙で伝える方法もあります。

親に話しにくい、または話しても理解してもらえなかった場合は、親以外の大人に相談してください。学校内では、次のような相談先があります。

  • 担任の先生:欠席や授業、提出物について具体的に調整してもらえる
  • 保健室の養護教諭:体調の悩みを相談でき、保健室で休むこともできる
  • スクールカウンセラー:心理の専門家で、話した内容を本人の同意なく他の先生に広めないよう配慮してもらえる。相談日や予約方法は学校によって異なる
  • 部活動の顧問や、話しやすい教科の先生

学校の人には知られたくない場合は、学校外の相談窓口を利用できます。

  • 24時間子どもSOSダイヤル(文部科学省):電話番号は0120-0-78310で、夜間や休日も含めて24時間つながる。原則として、電話をかけた地域の教育委員会の相談機関につながる
  • チャイルドライン:18歳までの子どもが無料で利用できる相談窓口で、電話番号は0120-99-7777。名前を言わずに相談でき、チャットでの相談も受け付けている。受付時間は公式サイトで確認できる
  • まもろうよ こころ(厚生労働省):電話やLINEなどのSNSで相談できる窓口がまとめられている

「消えてしまいたい」「死にたい」と感じることがある場合は、理由を整理する前に、すぐにこれらの窓口や身近な大人に連絡してください。

自分の気持ちを整理する

学校に行きたくない理由がわかると、休めば回復するのか、人間関係や学習面の問題に手を打つ必要があるのか、学校そのものを変えるべきなのかを判断しやすくなります。気持ちを整理するには、頭の中で考えるだけでなく、紙やスマホのメモに書き出す方法が取り組みやすいです。

次の質問に、思いついたことを短く書いてみてください。

  • 行きたくないと感じ始めたのはいつ頃か
  • 学校全体がつらいのか、特定の授業・時間・場所がつらいのか
  • つらいと感じる場面に、特定の人が関わっているか
  • 土日や長期休みの間は、気分や体調が回復するか
  • 学校以外の場所(家、塾、アルバイト先など)では普段どおり過ごせているか

たとえば「昼休みに教室にいるのがつらい」と書き出せれば人間関係が、「数学の授業がある日の朝に腹痛が出る」とわかれば勉強へのプレッシャーが関係している可能性があります。また、「休みの日も気分が晴れない」場合は、学校の問題だけでなく心身の疲れが大きいことも考えられます。

書き出しても理由がはっきりしないこともあります。その場合は「理由はわからないけれど、朝になると体が動かない」と、今の状態をそのまま記録しておけば十分です。書いたメモは、親やスクールカウンセラーに相談するときにそのまま見せられるため、うまく話せない人にとって説明の助けになります。

気持ちを整理している途中で「もう学校をやめたい」と考えることがあるかもしれません。退学など取り消しにくい決断は、心身が少し落ち着いてから、親や学校の先生と話し合ったうえで判断してください。

理由別で考える学校に行きたくないときの対処法

いじめ、学習のつまずき、続く体調不良に対して記録・学習相談・医療や学校への相談を対応させる

学校に行きたくない原因によって、相談する相手や取るべき行動は変わります。ここでは「人間関係」「勉強」「体調不良」の3つに分けて、具体的な対処法を紹介します。原因が1つに絞れない場合は、当てはまるものをすべて参考にしてください。

人間関係が理由の場合

人間関係の悩みは、相手が誰か、どの程度の被害を受けているかで対処法が異なります。まずは自分の状況がどれに近いかを確認しましょう。

いじめや嫌がらせを受けている場合

悪口、無視、物を隠される、SNSでの誹謗中傷などを受けているなら、自分だけで解決しようとせず、大人に助けを求めてください。いじめ防止対策推進法により、学校はいじめを把握したら事実を確認し、被害を受けた生徒を守るための対応を取ることが義務づけられています。

相談するときは、次のような記録があると、学校が事実を確認しやすくなります。

  • いつ、どこで、誰に、何をされたか(日付と内容を簡単にメモする)
  • SNSやメッセージアプリでの書き込みのスクリーンショット
  • 壊された物や汚された物の写真

相談先は担任の先生に限りません。話しやすい先生、保健室の養護教諭、スクールカウンセラーでもかまいません。学校の対応に納得できない場合は、保護者から地域の教育委員会に相談する方法もあります。学校や家族に話しにくいときは、文部科学省が案内している24時間子どもSOSダイヤル(0120-0-78310)に電話すれば、夜間や休日でも相談できます。法務省の子どもの人権110番(0120-007-110)も無料で利用できます。

友人とのトラブルやクラスで孤立している場合

友人とけんかをした、グループになじめない、クラスに話せる人がいないといった悩みでは、無理に関係を修復しようとしなくてもかまいません。気の合わない相手とは、あいさつ程度の距離を保つだけでも、学校で感じる負担は小さくなります。

クラス以外に居場所をつくることも有効です。部活動や委員会、図書室など、クラスとは別の場所で過ごす時間をもつと、教室での関係だけに気持ちが左右されにくくなります。部活動内の人間関係がつらい場合は、退部や休部を顧問の先生に相談するのも1つの方法です。

クラス替えのある学校なら、進級すれば人間関係が変わります。進級までの期間を目安に、通える日数を少しずつ増やすといった現実的な目標を立てると、見通しをもちやすくなります。

先生との関係に悩んでいる場合

特定の先生から理不尽に叱られる、威圧的な態度を取られるといった悩みは、ほかの先生に相談してください。学年主任や部活動の顧問、養護教諭など、その先生以外の大人を通すことで、学校側が状況を把握しやすくなります。体罰や人格を否定する発言がある場合は、日時と内容を記録したうえで保護者と共有し、保護者から学校へ伝えてもらいましょう。

勉強が理由の場合

勉強が原因で学校に行きたくないときは、「授業がわからない」のか、「成績や進路のプレッシャーがつらい」のかを分けて考えると、取るべき行動がはっきりします。

授業についていけない場合

授業がわからない状態が続くと、教室にいるだけで苦痛を感じやすくなります。まずは、どの単元からわからなくなったのかを特定しましょう。数学や英語は前の内容を理解していることが前提で授業が進むため、高校の範囲でつまずいていても、原因が中学校の内容にある場合があります。教科書の目次を見ながら、理解できているところまでさかのぼると、復習すべき範囲がわかります。

わからないところは、授業後や放課後に教科担当の先生に質問できます。学校によっては補習や個別の学習相談を実施しているため、担任の先生に確認してみてください。学校以外では、個別指導塾やスタディサプリなどのオンライン学習サービスを使えば、自分のつまずいた単元から学び直せます。

欠席が続いて授業の遅れが気になる場合は、友人にノートを見せてもらう、先生に配布プリントを受け取れないか相談するなど、休んでいる間の学習内容を把握する方法を確保しておくと、登校を再開するときの不安が小さくなります。

つまずいたところから、自宅で学び直す方法

授業がわからない、休んでいる間の学習が気になる場合には、今の理解度に合わせて自宅で学べる方法も選択肢になります。

無学年式オンライン教材「すらら」は、学年にかかわらず、理解できているところまで戻って学習できます。

自宅で自分のペースで取り組む学習方法を、保護者と一緒に確認してみてください。高校の単位認定とは別に検討する家庭学習の選択肢です。

自宅でできる学び直しについて詳しく見る

成績や進路へのプレッシャーがつらい場合

テストの点数や大学受験への不安が強いときは、「何に対して不安を感じているのか」を書き出してみてください。「親の期待に応えられない」「志望校に届かない」「周りと比べて自分だけ劣っている」など、不安の中身が具体的になると、相談すべき相手が見えてきます。

親の期待が負担になっている場合は、自分が今どのくらい苦しいのかを親に伝えることが必要です。直接言いにくければ、担任の先生やスクールカウンセラーに間に入ってもらう方法もあります。進路への不安であれば、担任の先生や進路指導の先生に相談すると、推薦入試や専門学校など、自分が想定していなかった進路の選択肢を知ることができます。

赤点や単位の取得が心配な場合は、自分だけで判断せず、担任の先生に追試や課題による補充の有無を確認しましょう。欠席日数と進級の関係は、次の章で詳しく説明します。

体調不良が理由の場合

朝起きられない、頭痛や腹痛が続く、気分が落ち込むといった体調不良は、気持ちの問題ではなく、治療が必要な病気が隠れていることがあります。症状が続く場合は、まず医療機関を受診してください。

朝起きられない・立ちくらみがする場合

朝なかなか起きられない、起き上がるとめまいや立ちくらみがする、午前中は体調が悪いのに午後になると楽になるといった症状がある場合、起立性調節障害の可能性があります。日本小児心身医学会によると、起立性調節障害は自律神経の働きが悪くなることで起こり、思春期に多くみられる病気です。本人の怠けや甘えによるものではないため、周囲の理解も必要です。

受診先は小児科や内科が一般的です。高校生でも小児科で診てもらえる場合があるため、事前に医療機関に確認してください。診断を受けたら、医師の指導に沿って、規則正しい睡眠時間を保つ、水分を十分にとるといった生活習慣の改善に取り組みます。寝る前にスマートフォンを長時間使うと寝つきが悪くなりやすいため、使う時間を決めることも効果があります。

気分の落ち込みや不安が続く場合

何をしても楽しくない、眠れない、食欲がない、理由もなく涙が出るといった状態が2週間以上続いている場合は、心療内科や精神科、思春期外来の受診を検討してください。初めて受診するときは、保護者に付き添ってもらうと、症状や生活の様子を医師に伝えやすくなります。いきなり病院に行くことに抵抗があるなら、スクールカウンセラーや保健室の養護教諭に相談し、受診が必要かどうかを一緒に考えてもらう方法もあります。

学校と連携して通い方を調整する

体調不良で通常どおりの登校が難しい場合は、保護者から学校に診断内容や症状を伝え、通い方を相談しましょう。学校によっては、次のような対応を受けられることがあります。

  • 体調に合わせた遅刻や早退
  • 保健室や別室で過ごす保健室登校・別室登校
  • 体育の実技を見学や課題に切り替える

対応の内容や、遅刻・欠席の扱いは学校ごとに異なります。医師の診断書があると学校が配慮を検討しやすくなるため、受診時に診断書が必要かどうかを医師に相談しておくとよいでしょう。

高校生が学校を休むときに気になる疑問

科目ごとの欠課時数、単位認定の基準、遅刻や別室の扱い、補習や課題を在籍校へ確認する

高校は義務教育の小学校・中学校と違い、決められた単位を修得しなければ進級や卒業ができません。休むこと自体は問題ではありませんが、欠席が一定の基準を超えると単位を落とし、留年につながる場合があります。基準を知っておけば、あと何日休めるのか、どこから注意が必要なのかを自分で判断できます。

欠席日数は何日まで大丈夫か

高校では、欠席日数の合計よりも、科目ごとの欠課時数(その授業を欠席した回数)で単位が認定されるかどうかが決まります。文部科学省の高等学校学習指導要領では、1単位を35単位時間(1単位時間は50分)の授業で計算することや、単位修得の認定は学校が行うことが定められています。具体的な欠席の上限は法律で一律に決まっておらず、各学校が内規で定めています。

多くの高校で使われている目安は、科目ごとに「年間授業時数の3分の1を超えて欠課すると単位を認定しない」という基準です。学校によっては4分の1や5分の1など、より厳しい基準を設けている場合もあります。3分の1を基準とした場合の目安は次のとおりです。

科目の単位数週あたりの授業数年間授業時数の目安欠課の上限の目安(3分の1)
2単位週2回70時間約23時間
3単位週3回105時間35時間
4単位週4回140時間約46時間

全日制高校の年間授業日数はおよそ200日前後のため、単純計算では60日程度までの欠席なら問題ないように見えます。しかし、特定の曜日に休みが偏ると、その曜日にある科目だけが先に上限に達します。たとえば月曜日ばかり休んでいると、月曜日に授業がある科目の欠課時数が増え、欠席日数の合計が少なくても単位を落とすことがあります。

欠席の扱いについては、次の点も学校ごとに異なるため確認が必要です。

  • 遅刻や早退:一定回数(例:3回)で欠課1時間として数える学校がある
  • 出席停止:インフルエンザなど学校保健安全法にもとづく出席停止や忌引は、欠席に数えないのが一般的
  • 病気による欠席:診断書があっても欠課時数には含まれることが多い
  • 保健室登校や別室登校:出席として扱うかどうかは学校の判断による

正確な基準は、生徒手帳や学校の内規に書かれています。担任の先生に「各科目であと何時間休めるか」を聞けば、現在の欠課時数と残りの余裕を教えてもらえます。欠席が続いて推薦入試を考えている場合は、調査書に出欠の記録が載ることや、大学によっては出願要件に欠席日数の条件があることも知っておくとよいでしょう。

留年や退学になる基準

留年(原級留置)になるかどうかは、通っている高校が学年制か単位制かで変わります。

  • 学年制:学年ごとに決められた科目の単位をすべて修得しないと進級できない学校もある。1科目でも単位を落とすと留年になる場合がある
  • 単位制:学年の区切りがなく、卒業までに必要な単位を積み上げる仕組み。単位を落としても留年にはならないが、卒業に必要な単位がそろうまで卒業できない

卒業には、学習指導要領で定められた74単位以上の修得が必要です。欠課時数が上限を超えそうな場合や、超えてしまった場合でも、補習や追試、課題の提出によって単位を認定する救済措置を設けている学校があります。また、文部科学省は不登校の高校生が自宅などでオンライン授業を受けた場合に、36単位を上限として単位認定できる制度を設けています。ただし、実施するかどうかは学校ごとの判断です。

この制度は、全日制・定時制の不登校生徒を対象とした遠隔授業や通信教育等の単位認定です。合計36単位の範囲など、詳しくは文部科学省の通知を参照し、在籍校に利用条件を確認してください。

退学については、学校教育法施行規則第26条で、懲戒として退学させることができる対象が次のように定められています。

  • 性行不良で改善の見込みがないと認められる者
  • 学力劣等で成業の見込みがないと認められる者
  • 正当な理由がなくて出席が常でない者
  • 学校の秩序を乱し、その他生徒としての本分に反した者

「正当な理由がなくて出席が常でない」という項目はありますが、体調不良や心の不調など理由がある欠席で、すぐに懲戒退学になることは通常ありません。実際に多いのは、留年が続いたり、出席の見込みが立たなかったりしたときに、学校から進路について話し合いを求められ、本人と保護者が自主退学や転学を選ぶケースです。学校によっては、同じ学年に留まれる回数や在籍できる年数に上限を設けています。

留年が確定してから動くと、選べる進路が限られることがあります。欠課時数が上限に近づいた段階で担任の先生に相談すれば、救済措置を受けられるか、留年した場合にどうなるか、別の学校へ移る場合に今までの単位を引き継げるかなどを早めに確認できます。

今の高校に行きたくない場合の学校以外の選択肢

通信制と定時制は高校卒業を目指す学校、高卒認定は受験資格の試験、フリースクールは居場所や学習支援として比較する

今の高校に通い続けるのがつらい場合でも、高校卒業資格や大学進学をあきらめる必要はありません。高校生が選べる進路には、在籍校から別の高校へ移る方法、試験で大学受験資格を得る方法、学校外の居場所で学び直す方法があります。それぞれ、通う頻度や得られる資格、費用が異なります。

選択肢通学の頻度得られる資格向いている人
通信制高校年数日〜週5日まで学校により異なる高校卒業資格自分のペースで学びたい人、毎日の通学が難しい人
定時制高校原則毎日(1日4時間程度)高校卒業資格少人数の環境で通学を続けたい人、働きながら学びたい人
高卒認定試験通学なし大学・短大・専門学校の受験資格(高校卒業資格ではない)早く大学受験に進みたい人、独学で勉強できる人
フリースクール施設により異なるなし(資格取得は別の方法と組み合わせる)まず心身を休めながら居場所を見つけたい人

通信制高校や定時制高校へ移る場合は、今の高校を退学する前に手続きを始めることが大切です。在籍したまま別の高校へ移る「転入」であれば、それまでに修得した単位や在籍期間を引き継げるため、同級生と同じ時期に卒業できる可能性が残ります。いったん退学してから入学し直す場合は「編入」となり、受け入れ時期が限られたり、空白期間ができたりすることがあります。転入の手続きには、在籍校が発行する在学証明書や単位修得証明書などの書類が必要になるため、担任の先生や保護者と相談しながら進めてください。

通信制高校への転入

通信制高校は、毎日の登校を前提とせず、自宅などで学習を進めて単位を修得する高校です。卒業すれば全日制高校と同じ高校卒業資格が得られます。

学習は主に次の3つで構成されています。

  • レポート(添削指導):教科ごとの課題を提出し、先生の添削を受ける
  • スクーリング(面接指導):決められた日数だけ登校し、対面で授業を受ける
  • 単位認定試験:レポートとスクーリングの要件を満たしたうえで試験を受け、合格すると単位を修得できる

卒業には、3年以上の在籍、74単位以上の修得、特別活動への参加という条件を満たす必要があります。転入の場合は前の高校での在籍期間と修得単位が算入されるため、残りの単位を修得すれば卒業できます。多くの通信制高校は年度の途中でも転入を受け付けていますが、受け入れ時期は学校ごとに異なるため、志望校に直接確認してください。

通信制高校には、都道府県などが設置する公立校と、学校法人が運営する私立校があります。公立校は学費が比較的安い一方、自分でレポートを計画的に進める力が求められます。私立校は学費が高くなる傾向がありますが、週1日〜週5日の通学コースを選べたり、オンライン授業や担任による個別サポートが充実していたりする学校が多くあります。また、通信制高校の学習を支える民間施設として「サポート校」がありますが、サポート校の費用は高校の学費とは別にかかります。

通信制高校の授業料は、全日制高校と同様に文部科学省の高等学校等就学支援金制度の対象となり、条件に応じて負担が軽減されます。人間関係のストレスを減らしたい人や、体調に合わせて学習時間を調整したい人に向いている選択肢です。

通信制高校の通学スタイルや学習支援を比較する際は、あした研究室の通信制高校の生活と個別サポートの解説も参考になります。引き継げる単位・在籍期間と卒業時期は、転入先の学校で確認してください。

定時制高校への転入

定時制高校は、1日の授業時間が全日制より短い高校です。もともとは働きながら学ぶ人のための学校でしたが、現在は全日制高校からの転入者や、不登校を経験した生徒も多く在籍しています。卒業すると、全日制高校と同じ高校卒業資格が得られます。

授業の時間帯によって、主に次の種類があります。

  • 夜間定時制:夕方から夜にかけて授業を行う
  • 昼間定時制:日中に授業を行う
  • 三部制(多部制):午前・午後・夜間の部から選んで通い、他の部の授業を受けて単位を増やすこともできる

1日の授業は4時間程度のため、4年かけて卒業するのが一般的です。ただし、三部制で他の部の授業を受けたり、通信制の授業を併修したりすることで、3年で卒業できる仕組みを設けている学校もあります。

通信制高校との大きな違いは、原則として毎日通学する点です。クラスや担任があり、少人数で授業を受けられるため、生活リズムを整えたい人や、先生や同級生と顔を合わせながら学びたい人に合っています。夜間定時制の多くでは給食も提供されています。

定時制高校の多くは公立校で、学費の負担が軽いことも特徴です。一方、転入の受け入れは欠員がある場合に限られ、募集時期も学期の区切りなどに限定されることが多くなります。募集状況は都道府県の教育委員会や各高校のホームページで確認できます。

高卒認定試験の受験

高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)は、高校を卒業した人と同等以上の学力があるかを認定する国の試験です。文部科学省が実施しており、合格すると大学・短大・専門学校の受験資格が得られます。また、就職試験や国家資格の受験で、高校卒業者と同等として扱われる場合があります。

試験の主な概要は次のとおりです。

  • 受験資格:受験する年度の末日までに満16歳以上になる人(高校に在籍中でも受験できる)
  • 実施時期:毎年8月と11月の年2回
  • 試験科目:国語、数学、英語、地理歴史、公民、理科、情報から9〜10科目
  • 科目免除:高校で修得した単位に応じて、一部科目の受験が免除される

合格した科目は次回以降の試験で受け直す必要がないため、1回ですべて合格しなくても、複数回に分けて全科目の合格を目指せます。ただし、18歳未満で全科目に合格した場合、正式な合格者となるのは18歳の誕生日からです。

科目数は令和8年度の実施要項、年齢による合格の効力と大学受験は文部科学省のQ&Aで確認できます。

注意点として、高卒認定試験に合格しても最終学歴は「高校卒業」にはなりません。高校を中退している場合、学歴は「中学校卒業」のままです。そのため、応募条件を「高校卒業以上」としている企業の求人では、高卒認定試験の合格が認められない場合があります。進学後に大学や専門学校を卒業すれば、最終学歴はその学校の卒業となります。

通学せずに大学受験へ進めるため、独学で計画的に勉強できる人や、早く大学受験の準備に集中したい人に向いています。通信制高校に在籍しながら高卒認定試験の科目を活用して単位を修得できる学校もあるため、組み合わせて検討する方法もあります。

フリースクールの活用

フリースクールは、学校に通えない、または通いにくい子どもが過ごす民間の施設です。NPO法人や個人などが運営しており、学習支援、カウンセリング、スポーツや創作などの体験活動、同じ悩みを持つ仲間との交流など、施設ごとに活動内容が異なります。

高校生が利用できる施設は、あした研究室の高校生向けフリースクール・不登校サポート塾一覧から探せます。受け入れ年齢や学習支援の内容は各施設に確認してください。

フリースクールは学校教育法で定められた学校ではないため、通っても高校卒業資格は得られません。高校卒業資格や大学受験資格が必要な場合は、高校に在籍したままフリースクールを利用する、通信制高校と併用する、高卒認定試験の勉強をフリースクールで進める、といった方法を組み合わせる必要があります。通信制高校と提携し、在籍生の学習をサポートしているフリースクールもあります。

運営主体が民間のため、費用は施設によって大きく異なり、入会金や月々の会費がかかるのが一般的です。施設を選ぶときは、次の点を見学や体験利用で確認してください。

  • 高校生を受け入れているか、同年代の利用者がいるか
  • 学習支援を行っているか、通信制高校との提携があるか
  • 通う日数や時間を自分で決められるか
  • 入会金や月謝などの費用
  • スタッフやほかの利用者との相性

すぐに次の学校を決められない時期や、心身を休めながら社会とのつながりを保ちたい時期に、居場所として利用できる選択肢です。

まとめ

高校生が学校に行きたくないと感じる理由には、人間関係、勉強のプレッシャー、心身の疲れなどがあり、はっきりした理由がない場合もあります。まずは無理をせずに休み、親や信頼できる大人に相談して、自分の気持ちを整理しましょう。

休むときは欠席日数に注意が必要です。高校では科目ごとに単位を修得する必要があり、欠席が多いと単位が認められず留年する可能性があります。基準は学校ごとに異なるため、担任に確認してください。

今の高校が合わない場合は、通信制高校や定時制高校への転入、高卒認定試験、フリースクールという選択肢もあります。

執筆者
あした研究室編集部 (あしたけんきゅうしつへんしゅうぶ)
あした研究室編集部は、(株)すららネットの子どもの発達支援室に所属するスタッフと、学び・発達支援に関心を持つ編集チームによって運営されています。教育・発達支援・子育て・学習法などのテーマについて、現場視点と実証的な知見を大切にしながら、企画・取材・執筆・編集・校正・発信まで一貫して取り組んでいます。私たちの使命は、保護者や教育関係者、子ども自身が次の一歩を見つけられるような 信頼できる知見とアイデアを届けること。読者の皆さまには、根拠ある情報と温かい視点を通じて、学びと成長を支えるパートナーでありたいと考えています。