- 1 不登校から高校進学はできる?最初に確認したいこと
- 1-1 欠席日数や調査書の扱いは地域・学校で異なる
- 1-2 学力検査以外の選抜方法や相談の機会を調べる
- 2 全日制・定時制・通信制高校の違い
- 2-1 全日制高校の通学と学び方
- 2-2 定時制高校の時間帯と学び方
- 2-3 通信制高校の学習と卒業要件
- 3 本人に合う進路を選ぶための確認ポイント
- 3-1 通学の負担・学費・支援体制を比べる
- 3-1-1 通学の負担:登校日数・時間帯・経路
- 3-1-2 学費:授業料以外の費用と支援制度
- 3-1-3 支援体制:相談できる人と学び直しの仕組み
- 3-2 学校説明会や個別相談で聞いておきたいこと
- 3-2-1 単位修得と進級・卒業の条件
- 3-2-2 欠席が続いたときや合わなかったときの対応
- 3-2-3 卒業後の進路と費用の総額
- 4 高校進学に向けて今からできる準備
- 4-1 中学校や教育支援センターと相談する
- 4-1-1 中学校で相談できる相手と相談内容
- 4-1-2 教育支援センターやフリースクールを利用する
- 4-2 学習の進め方と出席扱いの条件を確認する
- 4-2-1 中学校の学習内容を段階的に取り戻す
- 4-2-2 自宅や学校外での学習を出席扱いにするための条件
- 4-2-3 学習の記録を残しておく
- 5 まとめ
不登校の経験があっても高校進学は可能で、全日制・定時制・通信制高校から本人に合う学校を選べます。ただし、欠席日数や調査書を合否判定でどう扱うかは都道府県や学校によって異なり、面接や作文、自己申告書などを用いる選抜を設けている地域もあります。この記事では、各課程の通学日数や時間帯、卒業要件の違い、学費や支援体制の比べ方、説明会で確認したいことを整理します。教育支援センターでの学習や自宅学習が出席扱いになる条件も紹介するので、中学校に早めに相談する際の判断材料にしてください。
不登校から高校進学はできる?最初に確認したいこと
中学校で不登校の状態にあっても、高校へ進学することはできます。文部科学省は「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」で、高校で学ぶ意欲や能力のある不登校生徒を適切に評価できるよう、高校入試での工夫を都道府県教育委員会などに求めています。
ただし、欠席の多さが入試にどう影響するかは、都道府県や学校ごとに異なります。受験先を考え始める前に、志望する地域や学校の入試制度を確認しておく必要があります。
欠席日数や調査書の扱いは地域・学校で異なる
公立高校の入試では、多くの場合、中学校が作成する「調査書」(いわゆる内申書)が合否判定の資料になります。調査書には各教科の評定(成績)のほか、様式によっては出欠の記録や特別活動の記録などが記載されます。不登校の生徒が気にする欠席日数は、この出欠の記録の部分です。
欠席日数の扱いは、都道府県によって主に次のように異なります。
- 出欠の記録を合否判定の資料として用いない
- 欠席が一定日数を超える場合に、欠席の理由や中学校外での学習状況を記入する書類を提出できる
- 面接で欠席の事情や高校で学びたい理由を説明できる
同じ都道府県内でも、学科や選抜の種類によって扱いが変わることがあります。正確な内容は、各都道府県教育委員会が毎年公表する「入学者選抜実施要綱」や募集案内で確認できます。私立高校は学校ごとに独自の基準で選抜を行うため、欠席日数をどの程度考慮するかは、各高校に直接確認することになります。
欠席日数と並んで確認したいのが、評定の扱いです。授業への出席やテストの受験が少ないと、教科によっては評定がつかない場合があります。評定がない教科が入試でどう扱われるかも地域や学校で異なるため、在籍する中学校の担任や進路指導の先生に、調査書にどのように記載される見込みかを確認しておくと、受験先を検討しやすくなります。なお、フリースクールや教育支援センターなどでの学習が「出席扱い」と認められる場合もあり、その条件は後の章で説明します。
学力検査以外の選抜方法や相談の機会を調べる
高校入試は、学力検査(筆記試験)と調査書だけで決まるとは限りません。選抜方法には、面接、作文・小論文、自己PRや志望動機を書く書類の提出などがあり、どの方法をどの程度重視するかは選抜の種類や学校によって異なります。調査書の評価が不安な場合は、面接や作文などで高校で学びたい意欲を示せる選抜がある学校を探すことも、進路の選択肢を広げる方法の一つです。
地域によっては、不登校経験のある生徒などを主な対象とした高校や選抜が設けられています。たとえば東京都の「チャレンジスクール」は、小中学校で不登校を経験した生徒などを受け入れる定時制高校で、学力検査を行わず、志願申告書・面接・作文などによって選抜しています。定時制・通信制を含めた学校の種類ごとの違いは、次の章で説明します。
入試制度の細かな運用は、募集要項を読むだけでは分かりにくいことがあります。そのため、次のような相談の機会を利用して確認するのが確実です。
- 中学校の担任や進路指導担当の先生との進路面談
- 志望校の学校説明会や個別相談会
- 私立高校の場合、中学校の先生と高校が受験について事前に話し合う入試相談(実施の有無や方法は地域・学校で異なります)
学校説明会や個別相談会は、中学3年生の夏から秋にかけて多く開かれますが、中学1・2年生から参加できる学校もあります。日程や予約の要否は各高校のウェブサイトで公表されているため、受験学年になる前から確認しておくと、本人の体調や気持ちに合わせて参加する時期を選びやすくなります。
全日制・定時制・通信制高校の違い

高校の「全日制」「定時制」「通信制」は課程の区分で、授業を受ける時間帯や登校日数、単位の修得方法が異なります。学校教育法では、全日制の修業年限は3年、定時制と通信制は3年以上と定められています。どの課程でも卒業すれば同じ「高校卒業」の資格となり、大学・専門学校への進学や就職の際に課程による資格の違いはありません。
また、課程とは別に「学年制」と「単位制」という区分もあります。学年制は学年ごとに決められた単位を修得して進級する仕組みで、単位が不足すると原級留置(留年)になることがあります。単位制は学年の区分がなく、卒業までに必要な単位を積み上げる仕組みのため、留年という扱いがありません。全日制・定時制・通信制のいずれにも単位制の学校があり、不登校を経験した生徒にとっては、課程と単位制・学年制の組み合わせで学び方が大きく変わります。
| 項目 | 全日制 | 定時制 | 通信制 |
|---|---|---|---|
| 授業の時間帯 | 朝から夕方まで | 昼間・夜間・三部制など | 自宅学習が中心で、スクーリング日に登校 |
| 登校日数 | 週5日(学校により週6日) | 週5日が基本 | 学校・コースにより年数日〜週5日 |
| 1日の授業時間 | 6〜7時間程度 | 4時間程度 | スクーリング日のみ |
| 卒業までの年数 | 3年 | 3年以上(4年が基本) | 3年以上 |
| 主な学び方 | クラス単位の授業 | 少人数の授業が多い | レポート・スクーリング・試験 |
※上記は一般的な例です。実際の時間割や登校日数は学校ごとに異なります。
全日制高校の通学と学び方
全日制高校は、平日の朝から夕方まで授業を行う課程で、公立・私立ともに最も学校数が多い形態です。1日6〜7時間程度の授業を受け、クラス単位で行事や部活動にも参加しながら3年間で卒業を目指します。
多くの全日制高校は学年制で、科目ごとに出席時数の基準が設けられています。欠課(授業の欠席)が基準を超えると、試験の点数にかかわらずその科目の単位が認定されない場合があります。基準は学校ごとに定められているため、志望校の基準は入学前に確認が必要です。必要な単位が不足すると、進級できない、または定時制・通信制へ転学するといった選択が必要になる場合があります。
不登校の生徒が通信教育や遠隔授業で単位を修得できる制度もあります。実施の有無や対象となる条件は志望校に確認してください(文部科学省の制度通知)。
中学校で不登校だった生徒も、高校で毎日の通学を続けられる見込みがあれば全日制を選べます。特に、通学時間が短い学校や、少人数指導・単位制を取り入れている全日制高校は、高校生活の始め方として検討しやすい選択肢です。一方で、朝の起床や長時間の授業が負担になっている場合は、入学後に欠課時数が増えやすい点を考慮しておく必要があります。
定時制高校の時間帯と学び方
定時制高校は、1日の授業時間を4時間程度とし、時間帯を限定して授業を行う課程です。もともとは働きながら学ぶ人のための課程でしたが、現在は不登校経験のある生徒や、自分のペースで通学したい生徒も多く在籍しています。
授業の時間帯は学校によって次のように分かれています。
- 夜間定時制:夕方から21時頃まで授業を行う
- 昼間定時制:昼間の時間帯に授業を行う
- 三部制(多部制):午前部・午後部・夜間部などから自分の部を選び、他の部の授業を追加で履修することもできる
1日の授業時間が短いため、4年間で卒業するのが基本です。ただし、三部制で他の部の授業を受けたり、通信制の科目を併修したりすることで、3年間で卒業できる学校もあります。1クラスの人数が全日制より少ない学校が多く、教員が生徒一人ひとりの状況を把握しやすい環境です。
東京都の「チャレンジスクール」のように、不登校経験のある生徒などを主な対象として、三部制・単位制で運営されている都立の定時制高校もあります。こうした学校は地域によって名称や制度が異なるため、住んでいる都道府県で同様の学校があるか確認しておくと、選択肢を広げられます。
毎日決まった時間に通学する点は全日制と同じため、生活リズムを整えたい生徒に向いています。反対に、決まった時間の登校そのものが難しい時期は、次に説明する通信制と比べて検討します。
通信制高校の学習と卒業要件
通信制高校は、自宅での学習を中心に単位を修得する課程です。学習は主に次の3つで構成されます。
- レポート(添削指導):教科書や学習書、動画教材などで学び、課題を提出して添削を受ける
- スクーリング(面接指導):学校に登校し、教員から直接授業や指導を受ける
- 試験:科目ごとの単位認定試験を受ける
各科目でレポートの提出、スクーリングの出席、試験の合格という条件を満たすと単位が認定されます。文部科学省の高等学校学習指導要領では、卒業に必要な単位数を全課程共通で74単位以上としており、通信制ではこれに加え、ホームルーム活動を含む特別活動を卒業までに30単位時間以上行うことが定められています。在籍期間は3年以上が必要です。
通信制高校には公立と私立があります。公立の通信制は、スクーリングが月に数回程度の学校が多く、学費を抑えやすい一方で、学習計画の管理は生徒自身が中心となります。私立の通信制は、週1日〜週5日の通学コースやオンライン中心のコースなど、登校日数を選べる学校が多く、学習サポートや進路指導の体制は学校ごとに差があります。3つ以上の都道府県から生徒を受け入れる「広域通信制高校」では、本校で数日間まとめてスクーリングを受ける「集中スクーリング」を行う場合もあります。
なお、通信制高校の学習を支援する「サポート校」は、高校とは別の民間の教育施設です。サポート校に通う場合も、卒業資格は提携する通信制高校で単位を修得して得るものであり、高校の学費とは別に費用がかかります。
通信制は登校日数が少なく、体調や生活リズムに合わせて学習時間を調整できる点が特徴です。その反面、レポートの提出期限を自分で管理する必要があり、提出が遅れると単位を修得できず卒業までの期間が延びることがあります。学習を一人で進めることに不安がある場合は、登校日数を増やせるコースや、教員が学習の進み具合を確認してくれる体制があるかが、学校を選ぶ際の判断材料になります。
本人に合う進路を選ぶための確認ポイント

同じ通信制高校でも、週1日だけ登校する学校と週5日通学するコースがあります。授業料が同程度でも、教材費や施設費、サポート校の費用を加えると年間の支払額が大きく変わることもあります。全日制・定時制・通信制という種類だけで決めず、学校ごとに具体的な条件を比べることが大切です。
比べるときは、通学の負担、学費、支援体制の3つを軸にすると整理しやすくなります。そのうえで、説明会や個別相談で本人が自分の目で確かめると、入学後に「思っていた学校と違った」という食い違いを減らせます。
通学の負担・学費・支援体制を比べる
3つの軸のうち、どれを優先するかは家庭によって異なります。朝起きることが難しい場合は時間帯を、人の多い場所が苦手な場合は通学経路や教室の人数を重視するなど、本人がこれまでつまずいた場面を思い出しながら比べると、優先順位を決めやすくなります。
通学の負担:登校日数・時間帯・経路
欠席が続いた時期がある場合、通学の負担は高校生活を続けられるかどうかに直接関わります。次のような点を学校ごとに確認しておくと比較しやすくなります。
- 週に何日、何時から何時まで登校する必要があるか
- 登校日数を途中で増やしたり減らしたりできるか(通信制のコース変更など)
- 自宅からの所要時間、乗り換えの回数、通学時間帯の混雑状況
- 通信制の場合、スクーリングを受ける場所(本校・学習センター)と、集中スクーリングで宿泊が必要かどうか
- 1クラスの人数や、少人数・個別の教室があるか
通学経路は、資料を見るだけでなく、実際の登校時刻に合わせて本人が一度移動してみると、混雑や移動時間による疲れを具体的に把握できます。
学費:授業料以外の費用と支援制度
高校の授業料には、国の「高等学校等就学支援金」が使えます。公立高校では授業料相当額が支給され、全日制の場合は年額11万8,800円です。2026年度からは所得制限が撤廃され、私立高校の全日制では年額45万7,200円、通信制では年額33万7,200円が支給上限となっています。近年は所得要件の見直しや支給額の引き上げなど制度の拡充が進められており、内容は年度によって変わるため、最新の情報は文部科学省「高校生等への修学支援」で確認してください。
上記は2026年度の制度です。国籍・在留資格や在学期間などの要件があり、支援額は授業料額が上限となります。申請方法と適用制度は在籍校へ確認してください(文部科学省の就学支援金Q&A)。
就学支援金の対象は授業料のため、次のような費用は別途必要です。
- 入学金、施設設備費、教材費、制服代
- 通学定期代、スクーリングや集中スクーリングの交通費・宿泊費
- 修学旅行や校外学習の積立金
- 通信制高校と併用するサポート校の費用
サポート校は学校教育法上の高校ではないため、その費用は就学支援金の対象外です。通信制高校の授業料が抑えられていても、サポート校を併用すると年間の支払額が数十万円単位で増える場合があります。学校案内のパンフレットに載っている金額が「授業料のみ」なのか「総額」なのかを確かめ、3年間でかかる費用を同じ条件で比べてください。
住民税非課税世帯などは、授業料以外の教育費に充てられる「高校生等奨学給付金」を利用できる場合があります。都道府県ごとに実施されており、申請先や支給額は居住地や学校の種類によって異なります。
支援体制:相談できる人と学び直しの仕組み
入学後に体調や気持ちの波があったとき、学校の中で誰に相談でき、どのような対応を受けられるかを確認しておくと安心です。
- スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが配置されているか、相談できる曜日や頻度
- 担任や担当教員と面談する機会が定期的にあるか
- 保健室や別室で過ごせる場所があるか
- 中学校の内容から学び直せる授業や、個別の学習指導があるか
- 発達障害などで配慮が必要な場合に、合理的配慮や通級による指導を受けられるか
高校での通級による指導は2018年度から制度化されていますが、実施している学校は限られています。必要な場合は、志望校で実際に受けられるかを個別に問い合わせてください。
学校説明会や個別相談で聞いておきたいこと
説明会では、学校全体の方針や行事、進路実績が紹介されることが多く、不登校経験のある生徒への具体的な対応までは説明されないこともあります。個別相談を予約し、本人の状況に沿って質問するほうが、知りたい内容を確認できます。可能であれば本人も同席し、体験授業や授業見学に参加すると、教室の雰囲気や教員の接し方を本人が判断できます。
単位修得と進級・卒業の条件
高校では、出席時数が一定に満たない場合や試験・レポートの評価が基準に届かない場合、単位が認められず、原級留置(留年)になることがあります。次の点を具体的に聞いておくと、入学後の見通しを立てやすくなります。
- 単位が認められなくなる欠席時数の目安
- 欠席した授業の補習や追試、レポートで補う仕組みがあるか
- 単位制の場合、修得できなかった科目を翌年度以降に履修し直せるか
- 通信制の場合、レポートの提出方法と締め切りに遅れたときの扱い
欠席が続いたときや合わなかったときの対応
入学後に再び登校が難しくなる可能性も含めて、学校の対応を確認しておくと、そのときに慌てずに済みます。
- 欠席が続いたとき、学校から家庭へどのように連絡や働きかけがあるか
- 全日制から通信制へ、または通学コースから自宅学習中心のコースへ移れるか
- 他校へ転校・編入する場合、それまでに修得した単位を引き継げるか
- 不登校経験のある在校生がどのくらいいて、どのように過ごしているか
中学校での欠席の状況や苦手な場面を個別相談で伝えておくと、学校側も入学後に必要な配慮を具体的に答えやすくなります。どこまで伝えるかは、事前に本人と話し合っておくとよいでしょう。
卒業後の進路と費用の総額
卒業後に大学や専門学校への進学、就職を考えている場合は、その進路に向けた支援があるかを確認します。
- 卒業率と、卒業生の主な進路(進学・就職の内訳)
- 大学受験に対応した授業や、総合型選抜・学校推薦型選抜の指導があるか
- 就職を希望する生徒への求人紹介や面接指導があるか
- 入学から卒業までにかかる費用の総額と、追加で発生する可能性のある費用
同じ質問を複数の学校にすると、回答の具体性や対応の違いが比べやすくなります。聞いた内容は学校ごとにメモに残し、帰宅後に本人と一緒に見直すと、どの学校なら通い続けられそうかを本人が自分で判断する材料になります。
高校進学に向けて今からできる準備

高校進学の準備は、志望校選びと並行して「誰に相談するか」と「どのように学習を続けるか」を決めることから始まります。中学校の在籍状況や学習の記録は、出願書類や面接で伝えられる内容に関わります。本人の体調や気持ちに合わせて、できることから進めていきましょう。
中学校や教育支援センターと相談する
不登校の状態でも、生徒は中学校に在籍しています。高校受験の出願手続きには在籍校の確認が必要な場合があり、調査書の作成は在籍校が行うため、登校していない時期でも中学校とのやり取りは欠かせません。直接話すことが難しい場合は、保護者が窓口となり、電話やメール、面談で状況を共有する方法もあります。
中学校で相談できる相手と相談内容
中学校での主な相談先は、担任、学年主任や進路指導担当の教員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーです。進路に関する事務的な確認は担任や進路指導担当、本人の気持ちや家庭での接し方はスクールカウンセラー、福祉制度や関係機関との調整はスクールソーシャルワーカーと、相談内容によって相手を分けると話が進みやすくなります。
面談の前に、次のような項目を整理しておくと確認漏れを防げます。
- 現時点での出席日数と、出席扱いになっている日数
- 定期テストを受けていない教科の評価がどう付けられるか
- 調査書に記載される内容と、欠席理由などを補足できる書類の有無
- 志望校の説明会や個別相談の日程、出願までのスケジュール
- 別室登校や放課後登校、オンラインでの授業参加など、登校の形を調整できるか
調査書の扱いや欠席に関する申告の仕組みは都道府県や学校によって異なるため、中学校の進路指導担当から地域の制度を具体的に聞いておくことが大切です。中学3年生の秋以降は出願準備が本格化するため、それより前から面談の機会を持っておくと、志望校の選択肢を落ち着いて比べられます。
教育支援センターやフリースクールを利用する
教育支援センターは、市区町村の教育委員会などが設置する不登校の児童生徒のための公的な施設で、「適応指導教室」と呼ばれることもあります。学習支援や個別のカウンセリング、少人数での活動などを行っており、多くの場合は無料で利用できます。利用方法や対象学年は自治体ごとに異なるため、在籍している中学校か、市区町村の教育委員会に問い合わせましょう。
支援内容や学校との連携については、あした研究室の教育支援センターの学習支援を紹介する記事も参考になります。
フリースクールなどの民間施設も選択肢になります。施設によって活動内容や費用、高校進学に向けた学習支援の有無が大きく異なるため、見学や体験利用で本人に合うかを確認してから決めると安心です。
活動の形を比べる際は、フリースクールの通所型・オンライン型の過ごし方も確認できます。
学校の外の施設に通うと、決まった時間に家を出る習慣がつき、家族以外の人と関わる機会が増えます。その経験は、高校での通学やスクーリングに慣れるための準備にもなります。
学習の進め方と出席扱いの条件を確認する
高校進学に向けた学習では、中学校の学習内容をどこまで取り戻すかと、その学習を在籍校での出席や評価にどうつなげるかの2点を考える必要があります。
中学校の学習内容を段階的に取り戻す
不登校の期間が長いと、授業を受けていない単元が積み重なっていることがあります。最初から全教科の遅れを取り戻そうとすると負担が大きくなるため、教科書や問題集で「どの単元からわからなくなっているか」を確認し、そこから学び直す方法が現実的です。特に数学や英語は前の単元の理解が次の単元の前提になるため、学年をさかのぼって復習すると理解が進みやすくなります。
学習の手段には、次のようなものがあります。
- 学校から配布されるプリントや課題、学習用端末を使ったオンライン教材
- 市販の参考書や問題集、オンライン学習サービス
- 家庭教師や個別指導塾など、本人のペースに合わせて教わる方法
- 教育支援センターやフリースクールでの学習支援
あわせて、起床や就寝の時間を一定にし、学習する時間帯を決めておくと、高校入学後に授業やスクーリングの時間に合わせて動く準備になります。1日の学習時間は短くても、毎日続けられる量から始めましょう。
自宅や学校外での学習を出席扱いにするための条件
文部科学省の不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)では、一定の要件を満たす場合に、教育支援センターや民間施設での相談・指導、自宅でのICT等を活用した学習活動を、校長の判断で指導要録上の出席扱いにできるとしています。自宅でのICT等を活用した学習の場合、主な要件は次のとおりです。
- 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること
- ICT等を活用した学習活動であり、訪問等による対面指導が適切に行われていること
- 本人の学習の理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること
- 校長が対面指導や学習活動の状況等を十分に把握していること
出席扱いにするかどうかは在籍校の校長が判断するため、利用している施設や学習方法が対象になるかは、事前に中学校へ相談して確認する必要があります。学習を始めてから申し出るよりも、始める前に学校と学習内容や報告の方法を決めておくほうが、手続きを進めやすくなります。
ここで説明するICT等による自宅学習の出席扱いは、中学校在籍中の制度です。相談の流れは、あした研究室の出席扱い制度(ネット出席)の案内で確認できます。高校入学後の単位認定とは区別して相談してください。
出席扱いになった日数や学習の成果が、調査書の出欠の記録や評定にどのように反映されるかも、地域や学校によって異なります。志望校の選抜で欠席日数がどう扱われるかとあわせて、中学校の進路指導担当に確認しておきましょう。
学習の記録を残しておく
自宅や学校外で学習した内容は、日付、学習した教科と単元、取り組んだ教材や課題を記録しておくと、中学校へ学習状況を報告するときの資料になります。教育支援センターやフリースクールでの活動内容も、施設から報告書を出してもらえるか確認しておくと、学校側が状況を把握しやすくなります。
こうした記録は、高校の個別相談や面接で、不登校の期間にどのように過ごし、何に取り組んできたかを説明するときにも役立ちます。完璧な記録を目指す必要はなく、ノートやカレンダーに簡単に書き残す程度でも、続けることで本人が自分の取り組みを振り返る材料になります。
中学校の学習内容を少しずつ復習する際は、本人の理解度に合わせて自宅で取り組める教材も選択肢になります。
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中学校在籍中の出席扱い制度の活用もサポートしています。認定の可否や必要な記録は、在籍する中学校へ事前に確認してください。
まとめ
不登校の経験があっても高校進学はできますが、欠席日数や調査書の扱いは都道府県や学校によって異なります。志望校の選抜方法は募集要項で確認し、不明な点は学校に問い合わせましょう。
全日制・定時制・通信制は、通学日数や学ぶ時間帯、卒業までの進め方が違います。通学の負担、学費、支援体制を比べ、説明会や個別相談で本人に合うかを確かめてください。
準備として、中学校や教育支援センターに相談し、学習の進め方と出席扱いになる条件を早めに確認しておきましょう。