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通信制高校卒業後の進路は?進学・就職と決まらないときの考え方

  1. 1 通信制高校の卒業後の進路の割合と実態
  2. 1-1 大学や短期大学への進学
  3. 1-2 専門学校への進学
  4. 1-3 企業への就職
  5. 1-4 進路未定やフリーターの割合
  6. 2 通信制高校から進学を目指すためのポイント
  7. 2-1 大学進学に向けた受験対策と学習計画
  8. 2-1-1 入試方式ごとの特徴を把握する
  9. 2-1-2 通信制高校の授業で不足する範囲を補う
  10. 2-1-3 単位修得と受験勉強を両立する学習計画を立てる
  11. 2-2 専門学校選びと推薦入試の活用
  12. 2-2-1 専門学校を選ぶときに確認したい項目
  13. 2-2-2 推薦入試・AO入試の仕組みとスケジュール
  14. 2-2-3 推薦を受けるために在学中にしておくこと
  15. 3 通信制高校から就職を成功させるには
  16. 3-1 高卒資格を活かした就職活動の進め方
  17. 3-1-1 高校生の就職活動のスケジュールを把握する
  18. 3-1-2 求人票の見方と応募先の選び方
  19. 3-1-3 履歴書と面接で通信制高校での経験を伝える
  20. 3-1-4 就職に役立つ資格を在学中に取得する
  21. 3-2 学校の就職サポートの活用方法
  22. 3-2-1 学校に届く求人と校内選考を利用する
  23. 3-2-2 書類添削や面接練習を繰り返し受ける
  24. 3-2-3 学校の紹介を受けられない場合はハローワークを利用する
  25. 4 進路が決まらないときの考え方と対処法
  26. 4-1 焦らず自分のペースでやりたいことを見つける
  27. 4-2 通信制高校の先生やスクールカウンセラーに相談する
  28. 4-3 卒業後のサポートが充実している通信制高校を選ぶ
  29. 5 まとめ

通信制高校を卒業すると全日制と同じ高卒資格が得られるため、大学・短大や専門学校への進学、企業への就職のいずれも選べます。ただし文部科学省の2025年度学校基本調査では、進学準備中などを含む「左記以外の者」が通信制の卒業者の約26.1%を占めています。この記事では、進路別の割合と実態を示したうえで、大学受験に向けた学習計画の立て方、専門学校の推薦入試の活用法、学校の求人紹介を使った就職活動の進め方を紹介します。進路が決まらないときに先生やスクールカウンセラーへ相談する方法と、卒業後も支援を続ける学校の選び方もまとめています。

通信制高校の卒業後の進路の割合と実態

卒業後の進路を数字で確認。2025年度 学校基本調査。大学等 28.6%:大学・短大の通信教育部なども含みます。 専門学校 22.9%:職業に関わる専門分野を学ぶ進路です。 就職者 14.1%:再掲の区分。雇用期間などの条件があります。 左記以外 26.1%:進学準備中などを含む区分です。 通信制の卒業者91,809人が対象。ほかの区分もあり、合計は100%になりません。

通信制高校の卒業生は、大学・短期大学への進学、専門学校への進学、企業への就職に分かれます。文部科学省の学校基本調査では、通信制課程の卒業者について、大学等進学者、専修学校(専門課程)進学者、就職者等(自営業主等、無期雇用労働者、有期雇用労働者、臨時労働者)、左記以外の者(進学準備中などを含む)といった区分ごとの人数が公表されています。

2025年度調査では、大学等への進学者が約28.6%、専門学校への進学者が約22.9%です。一方で、就職者(再掲)は約14.1%、進学準備中などを含む「左記以外の者」は約26.1%です。全日制・定時制等(中等教育学校後期課程・特別支援学校高等部を含む)の大学等進学率が約6割であることと比べると、通信制高校の卒業生は進路の分かれ方が大きく異なります。割合は年度によって変わるため、最新の数値はe-Statの学校基本調査で確認してください。

出典:文部科学省「2025年度学校基本調査」通信制・表297/調査結果の概要・表3(2026年10月7日確認)。通信制の対象は2024年4月〜2025年3月の卒業者91,809人。「大学等」は大学・短大の通信教育部なども含みます。

この違いを考える際には、通信制高校に在籍する生徒の背景にも目を向ける必要があります。在籍者には、不登校を経験した人、全日制高校から転入・編入した人、働きながら学ぶ社会人、芸能やスポーツの活動と両立する人などが含まれます。年齢や生活状況は一人ひとり異なり、卒業後の進路も多様です。

大学や短期大学への進学

通信制高校を卒業すると、全日制高校と同じ高校卒業資格が得られます。そのため、大学や短期大学の受験資格に違いはなく、各大学の出願条件を満たせば、一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜のいずれも利用できます。

大学進学の実績は、学校によって大きく異なります。大学進学コースを設けている学校や、提携するサポート校で受験指導を受けられる学校では、受験に向けた学習の支援を受けられます。一方で、レポートとスクーリングを中心とする最小限の学習だけでは、一般選抜に必要な学力を身につけにくい面もあります。そのため、在学中に予備校や通信講座を併用する生徒もいます。

大学によっては、通信制高校からの指定校推薦枠を設けている場合もあります。ただし、推薦枠の有無や対象学部は学校ごとに異なるため、入学前や在学中に確認が必要です。

専門学校への進学

専門学校への進学は、大学・短大と並んで通信制高校の卒業生に多い進路です。進学先の分野としては、医療・福祉、美容・理容、調理・製菓、IT・ゲーム、デザイン、声優・音楽などがあります。

専門学校が選ばれる理由の一つは、目指す職業に直結する知識や技術を、分野によっては2年程度で学べることです。また、学科試験より面接や作文、体験入学の参加を重視するAO入試を実施する専門学校もあります。このため、学力試験に不安がある人や、やりたい仕事がはっきりしている人にとって選びやすい進路になっています。

通信制高校の中には、専門学校と連携して在学中から美容や調理などの専門分野を学べるコースを設けている学校もあります。こうしたコースの生徒は、そのまま連携先の専門学校へ進学するケースがあります。

企業への就職

通信制高校を卒業して企業に就職する人も一定数います。主な就職先には、製造業、小売業、飲食・サービス業、介護・福祉業、建設業などがあります。

通信制高校では学習時間を調整しながら、在学中にアルバイトと両立することもできます。アルバイトでの勤務経験が評価されて、そのまま正社員として採用されるケースもあります。また、高校生向けの求人は、ハローワークを通して学校に届く仕組みになっています。そのため、在籍している通信制高校が求人の紹介や応募の手続きにどこまで対応しているかによって、就職活動の進めやすさが変わります。

なお、2025年度学校基本調査の「就職者(再掲)」には、自営業主等、無期雇用労働者、雇用期間が1年以上でフルタイム相当の有期雇用労働者などが計上されます。アルバイトやパートも雇用期間などに応じて区分され、有期雇用労働者や臨時労働者などとして集計されます。

出典:学校基本調査の用語の説明(2026年10月7日確認)。

進路未定やフリーターの割合

2025年度学校基本調査では、通信制高校の卒業者のうち、進学準備中などを含む「左記以外の者」が約26.1%を占めます。学校基本調査では、アルバイトなどで働く人も雇用期間などに応じて区分され、この調査だけでフリーターの割合は分かりません。また、進学・就職等の各区分に該当しない人は「左記以外の者」に分類されます。同年度の有期雇用労働者は3,114人、臨時労働者は2,558人ですが、いずれも進路未定者とは別の区分です。

進路を考える際には、次のような個々の事情も確認する必要があります。

  • 体調面や不登校からの回復を優先し、卒業後すぐには進学や就職を選ばない
  • 高校卒業そのものを目標に入学しており、卒業後の進路を考える時間が十分になかった
  • 登校日数や学校の体制によっては、先生と進路について話す機会が限られる
  • 9月卒業など、一般的な入試や採用の時期とずれた時期に卒業する

「左記以外の者」には、自宅で受験勉強を続けて翌年の大学入試を目指す人や、家事を手伝う人なども含まれます。そのため、この区分に入る人がすべて目的もなく過ごしているわけではありません。ただし、卒業後に学校とのつながりがなくなると、相談先を見つけにくくなる点には注意が必要です。

通信制高校から進学を目指すためのポイント

進学準備の3つの確認。入試方式を選ぶ:出願条件と期限を志望校で確認します。 不足する学習を補う:学校の支援や外部の教材を比べます。 卒業と受験を両立:レポート・登校・受験を一つの予定表に。 専門学校は、学費と卒業後の進路も比較。

通信制高校を卒業すると、全日制高校と同じ高校卒業資格が得られるため、大学・短期大学・専門学校のいずれも受験できます。ただし、通信制高校はレポート提出・スクーリング・単位認定試験を軸に自分のペースで単位を修得する仕組みです。そのため、受験に必要な学力や出願書類の準備は、生徒自身が計画的に進める必要があります。ここでは、大学受験と専門学校受験に分けて、在学中に何をすればよいかを説明します。

大学進学に向けた受験対策と学習計画

大学受験では、志望校の入試方式を早めに決め、そこから逆算して学習計画を立てることが重要です。入試方式によって、求められる準備の内容が大きく異なるためです。

入試方式ごとの特徴を把握する

大学入試は、主に「一般選抜」「学校推薦型選抜」「総合型選抜」の3つに分かれます。

  • 一般選抜:学力検査を主な資料とし、調査書なども組み合わせて合否を判定します。国公立大学では、1月に実施される大学入試センターの大学入学共通テストと、各大学の個別試験を受けるのが一般的です。私立大学は大学独自の試験や、共通テストの結果を利用する方式があります。
  • 学校推薦型選抜:高校の校長の推薦を受けて出願します。調査書の評定平均値が出願条件になることが多く、在学中の成績が直接影響します。通信制高校の中には、大学からの指定校推薦枠を持っている学校もあります。
  • 総合型選抜:志望理由書、面接、小論文、活動実績などから、大学が求める学生像に合っているかを評価します。学力試験の比重が低い大学もあり、自由な時間を使って資格取得やボランティア、創作活動などに取り組んだ経験を評価材料にできます。

文部科学省の大学入学者選抜に関する実施要項では、総合型選抜の出願は9月以降、学校推薦型選抜の出願は11月以降と定められています。いずれも高校3年生の夏までに志望校と出願書類の準備を進めておく必要があります。

出典:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(2026年10月7日確認)。

通信制高校の授業で不足する範囲を補う

通信制高校の教科学習は卒業に必要な単位の修得を目的としているため、学校によっては難関大学の一般選抜に必要な発展的な内容まで十分に扱わない場合があります。例えば、理系学部で必要になる数学Ⅲや物理・化学の応用問題などは、自分で対策する必要が出てくることがあります。

不足分を補う方法としては、次のようなものがあります。

  • 在籍する通信制高校の「大学進学コース」「特進コース」を利用する
  • 河合塾や駿台予備学校などの予備校、個別指導塾に通う
  • スタディサプリなどのオンライン学習サービスで、苦手科目を基礎から学び直す

入学前や在学中に、自分の学校が進学対策としてどのような授業や指導を用意しているかを確認しておくと、外部サービスにかける費用や時間を判断しやすくなります。

進学の準備に向けて、基礎から学び直したいときに

受験対策を進める中で基礎につまずきが見つかった場合は、自宅で理解度に合わせて復習できる環境を用意することも一つの方法です。

無学年式オンライン教材「すらら」なら、学校の進度や学年に縛られず、理解できているところまで戻って自宅で学習できます。

通信制高校の課題や受験勉強と組み合わせる際は、学び直したい範囲と学校の学習計画を確認して選びましょう。

自分のペースで学べる方法を見る

単位修得と受験勉強を両立する学習計画を立てる

通信制高校の卒業には、3年以上の在籍と74単位以上の修得、特別活動への参加などが必要です。受験勉強に集中するあまりレポートの提出が遅れたり、スクーリングを欠席したりすると、卒業見込みが立たず受験そのものに影響します。

単位制の通信制高校では履修科目を選べるため、学校の履修条件を満たす範囲で、1・2年生のうちに多めに単位を修得し、3年生では受験に使う時間を確保するという計画を立てられます。具体的には、次のような流れが考えられます。

  • 1年生〜2年生:必要な単位を計画的に修得しながら、英語・数学・国語の基礎を固める。オープンキャンパスに参加して志望校の候補を絞る
  • 3年生の春〜夏:志望校と入試方式を決める。総合型選抜を受ける場合は志望理由書の作成や面接練習を始める
  • 3年生の秋〜冬:学校推薦型選抜・一般選抜に向けて過去問演習を進めつつ、残りの単位修得を確実に終える

担任の先生と相談しながら、単位修得のスケジュールと受験スケジュールを1つの計画表にまとめておくと、提出期限や出願日の見落としを防げます。

専門学校選びと推薦入試の活用

専門学校は、特定の職業に必要な知識や技術を学ぶ学校です。入学後に学ぶ分野が卒業後の仕事に直結するため、入試対策以上に「どの学校を選ぶか」が重要になります。

専門学校を選ぶときに確認したい項目

同じ分野の専門学校でも、カリキュラムや卒業後の進路は学校ごとに異なります。パンフレットやオープンキャンパスで、次の点を確認しておくと比較しやすくなります。

  • 学校の種別:「専修学校専門課程」として都道府県から認可を受けた学校かどうか。修業年限2年以上などの条件を満たす学科を卒業すると「専門士」の称号が得られ、大学への編入学の道も開けます
  • 資格取得の実績:目指す資格の合格率だけでなく、受験者数や、卒業生全体のうち何人が合格したかも確認する
  • 就職実績:就職率の算出方法(就職希望者に対する割合か、卒業生全体に対する割合か)と、学んだ分野に関連する企業への就職者数
  • 学費と支援制度:入学金・授業料・実習費の総額と、高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)の対象校かどうか
  • 職業実践専門課程の認定:企業と連携した実習や授業を行う学科として文部科学大臣の認定を受けているかどうか

推薦入試・AO入試の仕組みとスケジュール

専門学校の入試には、推薦入試、AO入試、一般入試などがあります。専門学校には、面接や作文で入学意欲を確認する方式を設けている学校もあります。

  • 推薦入試:高校の校長の推薦を受けて出願します。評定平均値や出席状況を出願条件にしている学校もあります。合格した場合は入学することが前提の専願制が一般的です
  • AO入試:面談やエントリーシートで、学校の求める人物像と志望者の意欲が合っているかを確認します。高校の推薦を必要としない学校が多く、早い時期に合格が決まりやすい方式です
  • 一般入試:筆記試験や面接で選考します。推薦入試やAO入試で定員が埋まると、募集人数が少なくなる場合があります

例えば東京都専修学校各種学校協会の2027年度入学生向け申し合わせでは、AO入試のエントリー受付は6月1日以降、願書の受付は9月1日以降とされています。人気の学科は早い時期に募集を締め切ることもあるため、志望する学校の募集要項で日程を確認してください。推薦入試や早期のAO入試を利用すると年内に進路が決まり、残りの期間を単位修得や入学前の資格学習にあてられます。

出典:東京都専修学校各種学校協会「入試・出願について」(2026年10月7日確認)。日程は地域や学校によって異なります。

推薦を受けるために在学中にしておくこと

推薦入試では調査書が選考資料になるため、通信制高校での学習状況がそのまま評価につながります。レポートを期限内に提出し、スクーリングに出席し、単位認定試験で安定した成績を取ることが、校内で推薦を受ける際の判断材料になります。推薦の基準は学校によって異なるため、早めに担任の先生に確認しておくと安心です。

また、面接や作文では「なぜその分野を学びたいのか」を具体的に説明することが求められます。オープンキャンパスの体験授業に参加した感想や、関連するアルバイト・趣味の経験など、自分の言葉で話せる材料を在学中に集めておくと、志望理由をまとめやすくなります。

通信制高校から就職を成功させるには

就職準備を一歩ずつ。求人と条件を確認:仕事内容や勤務時間、給与を比べます。 応募先と日程を確認:地域の応募ルールを学校に聞きます。 書類と面接を練習:在学中に取り組んだ経験を伝えます。 学校の紹介がないときは、ハローワークへ。

通信制高校を卒業すると、全日制高校と同じ「高等学校卒業」の学歴になります。そのため、「高卒以上」を条件とする求人には全日制や定時制の卒業生と同じ条件で応募できます。ただし、登校日数や学校の連絡体制によっては、学校から求人情報や選考日程の連絡を受ける機会が限られる場合があります。高卒の就職活動の仕組みを早めに理解し、自分から行動することが必要です。

高卒資格を活かした就職活動の進め方

在学中に就職先を決める高校生の就職活動は、大学生とは仕組みが異なります。全体の流れを把握したうえで、応募先選びから書類作成、面接までを計画的に進めます。

高校生の就職活動のスケジュールを把握する

高校生の就職活動は、国や経済団体、学校関係者の申し合わせで日程が決められています。近年の日程では、7月1日に学校への求人票の公開が始まり、9月5日から応募書類の提出、9月16日から企業の選考と内定が始まります(沖縄県は応募書類の提出開始が早く設定されています)。日程は年度ごとに決まるため、最新の内容を学校やハローワークインターネットサービスで確認してください。

出典:厚生労働省「令和8年度の高卒就職・採用活動時期」(2026年10月7日確認)。

7月から8月は求人票を比較し、気になる企業の職場見学に参加する期間です。職場見学は応募前に仕事内容や職場の雰囲気を確かめる機会で、応募の判断材料になります。スクーリングやレポートの提出期限と重なる場合もあるため、学習の予定と就職活動の予定を一緒に管理しておきましょう。

また、都道府県によっては、応募開始から一定期間は1人1社までしか応募できない「一人一社制」がとられています。その後は複数社への応募が認められますが、期間や社数は都道府県ごとに異なります。最初の1社を慎重に選ぶことが大切です。

求人票の見方と応募先の選び方

高卒向けの求人票には、仕事内容、勤務地、勤務時間、休日、給与、賞与、加入保険、過去の採用実績などが記載されています。基本給と手当を分けて確認し、残業代の扱いや年間休日数、試用期間の条件もあわせて見ておくと、入社後の働き方を具体的に想像できます。

通信制高校の生徒には、アルバイトをしながら学んできた人や、体調や生活リズムに配慮が必要な人もいます。夜勤の有無、転勤の範囲、通勤時間など、自分が無理なく続けられる条件を事前に整理しておくと、求人を絞り込みやすくなります。

民間企業のほか、国家公務員一般職(高卒者試験)や地方公務員の初級試験、警察官、消防官、2等陸・海・空士(任期制自衛官)などの採用試験も、各試験の受験資格を満たせば、通信制高校の卒業見込みで受験できます。受験には年齢制限があり、試験日程も民間企業と異なるため、志望する場合は早めに募集要項を確認しましょう。

出典:人事院・一般職試験(高卒者試験)/自衛隊・募集種目(2026年10月7日確認)。

履歴書と面接で通信制高校での経験を伝える

高校生が学校を通じて応募する場合は、「全国高等学校統一応募用紙」と呼ばれる決まった様式の履歴書を使います。この様式は、家族構成など就職差別につながる項目を記載しないように作られています。志望動機や自己PRの欄は、記入例をそのまま写すのではなく、自分の経験をもとに書くことが求められます。

面接では「なぜ通信制高校を選んだのか」と質問されることがあります。この質問に対しては、隠したり否定的に話したりせず、選んだ理由と在学中に取り組んだことを具体的に答えるのが基本です。たとえば、次のような事実は仕事に役立つ経験として伝えられます。

  • レポートの提出期限を自分で管理し、計画的に単位を修得したこと
  • アルバイトで接客や品出しを続け、勤務の経験を積んだこと
  • 空いた時間を使って資格の勉強に取り組んだこと

不登校や中途退学の経験がある場合も、その後どのように生活を立て直し、何に取り組んできたかを話せれば、面接官は入社後の姿を判断しやすくなります。

なお、内定は高校卒業を前提に出されます。卒業に必要な単位の修得や特別活動の時間が足りないと内定が取り消される可能性があるため、就職活動の時期も学習の進み具合を確認し続けてください。

就職に役立つ資格を在学中に取得する

時間割を自分で組みやすい通信制高校では、在学中に資格を取りやすい環境があります。資格は志望する職種に関係するものを選ぶと、応募書類や面接で意欲を具体的に示せます。

  • 事務職:日商簿記検定、MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
  • 介護職:介護職員初任者研修
  • 営業職や配送の仕事:普通自動車第一種運転免許(取得は18歳以上)

求人票に「普通自動車免許必須」と書かれている場合、入社までの取得が条件になっていることがあります。取得時期については、応募前に学校や企業に確認しておくと安心です。

学校の就職サポートの活用方法

通信制高校の就職支援の内容は学校によって異なり、学校に届いた求人を紹介する学校もあれば、求人の紹介は行わず相談や書類指導が中心の学校もあります。まずは自分の学校で利用できる支援を確認し、足りない部分は学外の機関で補います。

学校に届く求人と校内選考を利用する

学校が求人の紹介を行っている場合、企業から学校あてに届いた求人票を閲覧し、学校を通じて応募できます。ひとつの求人に応募希望者が複数いるときは、学校内で応募者を決める校内選考が行われることがあります。校内選考では、出席や単位の修得状況、学習への取り組みなどが判断材料になることが多いため、日頃のレポート提出やスクーリングへの参加が就職活動にも影響します。

登校日が少ない学校では、求人票の閲覧方法や応募の締め切りを自分から確認する必要があります。進路指導の担当者に、求人の公開方法(校内掲示、オンライン閲覧など)と連絡の取り方を早めに聞いておきましょう。

書類添削や面接練習を繰り返し受ける

通信制高校には、進路指導の担当教員などが応募書類の添削や模擬面接を行っている学校もあります。統一応募用紙の志望動機は、提出前に何度か添削を受けて書き直すことで、企業の特徴と自分の経験を結びつけた内容に近づきます。

模擬面接では、入室から退室までの流れ、話す速さ、質問への答え方を確認できます。特に「通信制高校を選んだ理由」のように答えにくい質問は、本番前に声に出して練習しておくと落ち着いて答えやすくなります。サポート校を併用している場合は、サポート校のスタッフに練習を頼める場合もあります。

学校の紹介を受けられない場合はハローワークを利用する

在籍する学校が求人の紹介を行っていない場合や、学校の求人に希望の職種がない場合は、ハローワークの学卒担当窓口が高卒求人の紹介を行います。学生や卒業後おおむね3年以内の人は、各都道府県に設置されている「新卒応援ハローワーク」で、求人の紹介や応募書類の添削、面接練習などの支援を受けられます。

出典:厚生労働省「若者の就職支援」(2026年10月7日確認)。

都道府県が設置する「ジョブカフェ」でも、若者向けに職業相談やセミナーを行っています。学校のサポートと学外の機関を組み合わせることで、通信制高校に通いながらでも、全日制高校の生徒と同じように求人を探し、準備を進められます。

進路が決まらないときの考え方と対処法

進路が決まらないとき。希望を書き出す:好きなことと、続けられる条件を整理。 期限を確かめる:今から選べる進路と準備を確認します。 学校に相談する:不安や迷いがある段階から相談できます。 卒業後の窓口も:相談できる相手と連絡方法を確認します。 本人のペースと、必要な準備を両方大切に。

卒業が近づいても進路が決まらない状況は、通信制高校では珍しくありません。不登校を経験して自信を失っている、体調に波があって先の予定を立てにくい、働きながら学んでいて進路を考える時間が取れないなど、理由は人によって異なります。ここでは、進路が決まらないときに何から考え、誰に相談し、どのような環境を選べばよいかを順に説明します。

焦らず自分のペースでやりたいことを見つける

やりたいことが見つからない場合、最初からひとつに絞ろうとすると考えが止まることもあります。まずは選択肢を広げ、自分に合わないものを外していく進め方が取り組みやすいでしょう。

具体的には、次のような順番で進めます。

  • 好きなこと、苦にならないこと、苦手なことをそれぞれ紙やスマートフォンのメモに書き出す
  • 書き出した内容に関係する仕事や学問を調べる
  • 気になったものを実際に見たり体験したりする

仕事を調べる際は、厚生労働省の職業情報提供サイトjob tag(じょぶたぐ)が使えます。職業ごとの仕事内容や必要なスキル、就業までの経路を確認でき、興味や価値観を診断するツールも用意されています。調べて関心が湧いたら、大学や専門学校のオープンキャンパス、企業の職場見学、アルバイトなどで実際の雰囲気を確かめると、向き不向きを判断しやすくなります。

一方で、自分のペースで考えることと、期限を意識しないことは別です。進学の場合、総合型選抜は9月以降、一般選抜では1月の共通テストや2〜3月の個別試験に向け、各出願期限の確認が必要です。高校生の就職活動も、学校を通じた求人への応募は例年9月から始まります。どの選択肢を残すかによって動き出す時期が変わるため、今の時点で間に合う選択肢と、すでに難しくなった選択肢を整理しておくと、焦りの原因が具体的に見えてきます。

卒業までに決めきれない場合は、卒業後にアルバイトをしながら進路を考える方法もあります。その際は「半年後までに受験するか就職するかを決める」「この資格の勉強を始める」のように期限と行動を決めておくと、何もしないまま時間が過ぎる状態を避けやすくなります。また、専門学校の中には年明け以降も募集を続けている学校があるため、卒業直前でも進学先を探せる場合があります。

通信制高校の先生やスクールカウンセラーに相談する

通信制高校では、登校日数や学校の体制によって、先生と顔を合わせる機会が限られる場合があります。そのため、進路の相談は先生から声をかけてもらうのを待つよりも、生徒自身が機会をつくる必要があります。スクーリングの日に時間を取ってもらう、面談を予約する、学校が対応している場合はメールやオンラインで相談するなど、通いやすい方法を選びましょう。

相談の前に、次の内容をメモしておくと話が進みやすくなります。

  • 今気になっている進路や、迷っている選択肢
  • 進路について不安に思っていること(学力、費用、体調、人間関係など)
  • 進学や就職にあたって譲れない条件(通学時間、働く時間帯など)

やりたいことがまったく分からない段階でも相談はできます。「何も決まっていない」と伝えれば、先生は過去の卒業生の例や、本人の得意な科目、レポートやスクーリングへの取り組み方などをもとに、選択肢を一緒に挙げてくれます。進学費用や一人暮らしの可否など家庭の事情が関わる場合は、保護者を交えた三者面談で話すと、決めたあとに計画が崩れることを防げます。

不登校の経験や対人関係への不安が進路選びの妨げになっている場合は、スクールカウンセラーへの相談が適しています。スクールカウンセラーは心理の専門職で、進路先を紹介するというより、不安の原因を整理し、気持ちの面で動き出せる状態をつくる手助けをします。配置の有無や相談できる日は学校によって異なるため、担任の先生や学校の窓口で確認してください。

学校以外にも相談先はあります。厚生労働省が委託する地域若者サポートステーション(サポステ)は、働くことに悩みを抱える、仕事や通学をしていない15歳から49歳までを対象に、キャリアコンサルタントによる相談やコミュニケーション講座、職場体験などを無料で行っています。就労・就学状況などの利用条件は窓口で確認し、卒業時点で進路が決まっていない場合の相談先として覚えておくと安心です。

出典:地域若者サポートステーション「サポステとは」(2026年10月7日確認)。

卒業後のサポートが充実している通信制高校を選ぶ

これから通信制高校への入学や転入を考えている場合は、在学中の進路指導だけでなく、卒業後も相談に応じてくれるかどうかを学校選びの基準に加えることをおすすめします。在学中に進路を決めきれなかった生徒や、進学・就職したあとに悩みを抱えた卒業生にとって、相談できる場所があるかどうかで次の行動の取りやすさが変わるためです。

学校説明会や個別相談では、次の点を確認しましょう。

  • 卒業後に進路相談や就職先の紹介を受けられるか、受けられる場合は期間に制限があるか
  • 職業調べや職場体験など、進路を考えるための授業や行事があるか
  • 進路指導を担当する先生がいるか、個別面談をどのくらいの頻度で受けられるか
  • 大学や専門学校の指定校推薦枠、提携している学校があるか

パンフレットやホームページに掲載されている進路実績を見る際は、合格者数や就職者数だけでなく、卒業生全体の人数と、進路未定者が何人いるかもあわせて確認してください。合格者数は1人が複数校に合格した数を合算している場合があり、実績の数字だけでは卒業生のうち何割が進路を決めたのか判断できないためです。数字の内訳が載っていない場合は、説明会で質問すれば答えてもらえることがあります。

すでに在学している場合も、卒業後にどのような支援を受けられるかを卒業前に先生へ確認しておきましょう。卒業後の相談窓口や連絡方法を知っておくだけでも、進路が決まらないまま卒業したあとに、誰に連絡すればよいか迷わずに済みます。

学校生活と卒業後の支援を確認する視点は、あした研究室の「通信制高校のリアルな生活と、進学率を高める個別サポートの裏側」でも紹介しています。支援内容は学校ごとに確認してください。

まとめ

通信制高校を卒業した後は、全日制高校と同じく、大学・短期大学や専門学校への進学、企業への就職を選べます。ただし、2025年度学校基本調査では、進学準備中などを含む「左記以外の者」が通信制の卒業者の約26.1%を占めています。

進学するなら、自分で受験対策と学習計画を立てましょう。専門学校では推薦入試も検討できます。就職するなら、学校の就職サポートを使って早めに準備を始めます。

進路が決まらないときは、先生やスクールカウンセラーに相談し、自分のペースでやりたいことを探してください。これから入学する人は、卒業後のサポート内容も学校選びの基準にしましょう。

執筆者
あした研究室編集部 (あしたけんきゅうしつへんしゅうぶ)
あした研究室編集部は、(株)すららネットの子どもの発達支援室に所属するスタッフと、学び・発達支援に関心を持つ編集チームによって運営されています。教育・発達支援・子育て・学習法などのテーマについて、現場視点と実証的な知見を大切にしながら、企画・取材・執筆・編集・校正・発信まで一貫して取り組んでいます。私たちの使命は、保護者や教育関係者、子ども自身が次の一歩を見つけられるような 信頼できる知見とアイデアを届けること。読者の皆さまには、根拠ある情報と温かい視点を通じて、学びと成長を支えるパートナーでありたいと考えています。