親の会
神奈川不登校ママの会 リップル
基本情報
| 代表者 | お世話役が都度交代しながら運営しています。 |
|---|---|
| 設立 | 2015年 |
| 開催場所 | 福祉保健研修交流センター ウィリング横浜9階(神奈川県横浜市港南区上大岡西1-6-1 ゆめおおおかオフィスタワー内) |
| 開催日時 | 偶数月第1日曜日9:30〜12:00 |
| 参加費用 | 1800円(NPO法人ァミリーコミュニケーション・ラボ会員は1500円) |
| TEL | |
| ripple@fami-lab.com |
運営者情報
・NPO法人ファミリーコミュニケーション・ラボの神奈川会場として、横浜市内で活動しています。運営メンバーも、不登校の子どもを持つ母親です。
・不登校やひきこもりに悩むママに向けて、傾聴勉強会やお茶会を開催しています。
・勉強会では、「傾聴」をはじめとする共感的なコミュニケーションの具体的なスキルや、心理学の知見に基づいた子どもとの関わり方を学びます。
参加を通して、「同じ経験をしている親がこんなにいるんだ」「私も一人じゃないんだ」と感じてもらえたら嬉しいです。
学んだことを日々の生活で少しずつ試しながら、「うちの親子も、多分大丈夫」と思える安心感や、これからの見通しを持ってもらえたらと願っています。
運営者からのメッセージ
インタビュー
今回お話を伺ったのは、現在リップルでお世話役を務めるMatsuさんとふもふもさん。お二人も、子どもの不登校に悩み、かつては参加者としてこの会につながったお母さんです。
一人で抱えていた時期から、仲間との出会い、家庭での変化、そして今度は自分が誰かを迎える側になるまで。
お二人の経験から、親の会が持つ役割について伺いました。
「私のせいなのかな」一人で抱えていた不登校
――まず、お子さまが不登校になった頃のことから教えてください。
Matsu:息子は今22歳で、小学校5年生の秋頃から学校に行けなくなりました。
小学生の頃は、夕方に学校へ行って翌日の時間割だけ写して帰ったりしていました。中学校に入学したときには、一度部活動の仮入部にも行ったのですが、その後また行けなくなって、中学校3年間はほとんど登校できませんでした。
その後は、自分で通信制高校を選びました。毎日通うのは難しいけれど、完全なオンラインではなく、自分にはある程度通う場所があった方がいいと考えたようです。
高校を経て大学にも進学しましたが、大学3年生の夏休み明け頃から再びひきこもるようになり、今もその状態が続いています。
以前は息子の苛立ちがとても強い時期がありました。私も本人の顔色を見ながら生活していて、毎日どうやって安全に一日を過ごそうかということばかり考えていました。
夫も息子の様子を見てイライラしていて、家の中で生きた心地がしないような時期もありました。
――ふもふもさんはいかがでしたか。
ふもふも:うちは中学1年生の息子と小学5年生の娘がいて、二人とも小学1年生の頃から学校に行っていません。息子はちょうどコロナによる休校が明けた頃から行けなくなりました。
最初の1年くらいは私も付き添い登校をしていました。放課後に一緒に学校へ行ったり、少し教室に入れるようになったときには「このまま行けるかもしれない」と期待して、私も一緒に授業に出たりして(笑)。
でも、期待していたら突然行かなくなる、というのを繰り返して、「ああ、この人には難しいのかも」と思うようになって。そうしたら学校への執着もなくなりました。
学校の保護者会や運動会では、最初はすごく孤立感がありましたね。ただ、私は比較的早い時期に親の勉強会につながることができました。それがすごく大きかったと思います。

親の会を教えてくれたのは、学校ではなく身近な友人だった
――お二人は、どのようにしてリップルを知ったのでしょうか。
Matsu:きっかけは友人です。息子の友達のお母さんがリップルのお世話役をしていて、私がかなりつらそうに見えたんだと思います。
当時、学校のカウンセラーなどには相談していましたが、親の会について教えてもらったことはありませんでした。友人から「こういう会話の仕方があるよ」と教えてもらったり、「傾聴勉強会に参加してみない?」と声をかけてもらったりして、参加するようになりました。
――学校などから親の会の情報を得ることはなかったのですね。
ふもふも:なかったですね。
Matsu:教えてもらわなかったです。
ふもふもさん:情報が全然なくて、自分で集めるしかない、という感じでした。私も友達から聞きました。その友達のお子さんが先に不登校になっていて、親の会に参加していたんです。それで自分の子どもが不登校になったときに、「よし、私は参加できる!」と思って(笑)、すぐに申し込みました。
――「よし、これなら参加できる!」と思ったのですね。
ふもふも:そうなんです(笑)。前から話を聞いていて、「そういう場所があるんだ」と知っていたことが大きかったですね。

話して終わりじゃない。リップルで学ぶ「聴くこと」
――親の会にもさまざまな形があります。リップルならではの特徴は何でしょうか。
Matsu:リップルに参加する前にも、いくつか親の会を調べて参加したことがあります。そこでは、自分の今の状況を話して、ほかの人の話を聞いて、それで終わりという感じでした。もちろん、それも大事だと思うのですが、私は「その後どうしたらいいんだろう」と感じていました。
リップルでは傾聴について学べますし、その後、NVCなどコミュニケーションについても学びました。最初は、気持ちがあまりにも沈んでいたので、傾聴の良さすら十分に分からないくらいでした。
でもコミュニケーションについて勉強する中で、「相手の感情を意識して 聴く」ということがどれだけ大切なのか、少しずつ分かるようになりました。
ふもふも:傾聴のコツを教えてもらえるだけではなくて、自分が今困っていることを実際に話すと、「こういうことが起きているかもしれない ね」「こういうふうに関わってみたら?」と、具体的なヒントももらえるんです。
それがあると、「じゃあ、また次の勉強会まで何とかやってみよう」って(笑)。
家に帰ってから試せることを一つ持って帰れる。それが気力になると思います。

「私だけじゃなかった」仲間との出会いがくれた心の余裕
――同じ立場の保護者と出会うことも大きかったのでしょうか。
ふもふもさん:大きかったですね。例えば、「子どもにすごく腹が立った」という話が出ることもあります。
自分では、「親なのに、こんなことを思っちゃいけなかったよね」「こんなことをしてしまったのは自分だけなんじゃないか」と一人で恥ずかしく思っていたことを、ほかの人が話してくれる。
そうすると、「なんだ、私以外にもやっている人がいた。よかった」って思えるんですよね(笑)。それだけでもすごく助かりました。
――「自分だけではない」と思えるのですね。
ふもふもさん:そうですね。私はもともと、自分の感情をあまり感じないというか、出来事を淡々と話すタイプだったんです。友達から「もっと落ち込んでもいいのに、感情にふたをしている感じがする」と言われても、最初はよく分かりませんでした。
でも傾聴の場で自分の話をしていると、後になって、「あ、私、悲しかったんだ」と気づくことがあって。そういう経験は何度もありました。
それに、傾聴勉強会に行くと、自分が元気になるんです。話ができる。気持ちを分かってもらえる。子どもの「あるある」の話もできる。
学校や地域では、同じ立場の保護者と出会うことがほとんどなかったので、孤独感がありました。だから私にとって、ここは安心できる場所だったんだと思います。
――子どもの気持ちを聴くことだけではなく、自分自身の気持ちにも気づいていったのですね。
Matsuさん:私も、参加する前は「息子がこんなことになったのは私のせいなんじゃないか」と感じていました。
夫から実際にそう言われていたわけではないかもしれません。でも、「私のせいでこうなったと思われているんじゃないか」という感覚がすごく強かったんです。
ここに来ると、「そんなことないよ」と思える。それだけでも気持ちが少し楽になりました。

「できるのは自分のことだけ」子どもを動かそうとすることから離れて
――親の会に参加する中で、子どもとの向き合い方にも変化はありましたか。
ふもふもさん:振り返ってみると、ここは大きく変わったところかもしれません。
もちろん、自分の心や子どもとの関係が変わったことについては、傾聴勉強会以外にもいろいろなことが重なっているので、「これのおかげです」とは言い切れないんですけど。
以前は、子どもがつながれる場所をずっと探していました。学校のカウンセラーや支援級、放課後等デイサービス、フリースクール、地域の居場所、趣味の習い事……。2年ほど、あれこれ動いたと思います。
親としては、「ここなら合うかもしれない」「これなら子どものためになるかもしれない」と思うわけです。でも、親が良かれと思って用意したものに、子どもは全然乗ってこなかったんですよね。
そのたびに、「せっかく探したのに」と、がっかりすることを繰り返していました。
――子どものためにと思って動くほど、思い通りにならない苦しさもあったのですね。
ふもふもさん:そうですね。でも、そういうことを繰り返す中で、少しずつ、「できるのは自分のことだけなんだ」と思うようになりました。
人は、自分の思うようにはならない。
子どもを何とか動かそうとするより、自分が安定していることの方が、結果として子どもにも良い影響があるのかもしれない。そういうふうに考えられるようになったことは、大きかったと思います。
そこには、傾聴勉強会でアドバイスをもらったことや、「分かるよ」と共感してもらえたこと、少し先を歩いている先輩のお母さんたちの言葉も大きかったと思います。

子どもを変えるのではなく、家の中の会話が変わっていった
――長く学びを続ける中で、ご自身やご家族に変化はありましたか。
Matsuさん:以前は息子が苛立っていると、私はずっとビクビクしていました。
怖さが先に立って、自分でも何を言っているのか分からなくなることもありましたし、息子から何か言われる前に先回りして言ってしまうこともありました。
今も完全にできているわけではありませんが、以前よりはかなり落ち着いて話せるようになりました。
息子が話していることも、落ち着いて聴けるようになったと思います。
息子から、「昔より理解力上がったよね」と言われたこともあります。ちょっと上から目線なんですけど(笑)。
――それは、大きな変化ですね。
Matsuさん:そうですね。夫に対しても、以前より少しずつ自分の気持ちを言えるようになりました。すると夫からも、私に配慮するような言葉が少しずつ出てくるようになって。
息子も以前は「やってもらって当然」という感じが強かったのですが、最近は感謝の言葉を言ってくれることもあります。
年齢による変化ももちろんあると思います。でも、私自身の関わり方が変わったことも、少しは影響しているのかなと思っています。
――ふもふもさんはいかがでしょうか。
ふもふもさん:娘とのコミュニケーションがすごく変わりました。2年くらい前から、娘がよく話してくれるようになったんです。
突然、「今、絵を描いてて、こうでこうで……」って話し始めるので、私は「何の話をしてるんだろう?」ってなることもありますけど(笑)。以前は、自分からそんなに話す子ではなかったんです。
――ふもふもさんの「聴き方」が変わったことも関係しているのでしょうか。
ふもふもさん:はっきりとは分からないですけど、話を聴くときには、「それって、こういうこと?」「こんな気持ちだったの?」と確認するようにしています。
本人も自分の中で何が起きているのか、うまく言葉にできないことがありますよね。だから私も分からないまま決めつけずに、「私がこう受け取ったけど合ってる?」と確かめながら聴く。そういうやり方は、少し影響しているのかもしれません。
――お子さんを学校へ行かせるため、というより、家庭で安心して話せる関係をつくっていったのですね。
ふもふもさん:そうですね。「まず家が安心安全な場所になること」と勉強会で繰り返し言われていたのは、影響していると思います。
それが子どもたちが動き始めたことと関係しているのかは、正直よく分からないですけど(笑)。
でも、家での関わり方には影響していると思います。

支えてもらった人が、今度は誰かを迎える側へ
――お二人は現在、参加者ではなく「お世話役」としてリップルに関わっています。なぜ引き受けようと思ったのでしょうか。
Matsuさん:私は今年からお世話役になりました。以前は仕事の関係で勉強会になかなか参加できなかったのですが、開催曜日が変わると聞いて、「それならお世話役をやってみない?」と声をかけてもらったんです。
私の場合、少し自分を追い込まないと続けられないところもあって(笑)。お世話役になれば、きちんと参加して勉強を続けられるという思いもありました。
でも、それだけではありません。これまで本当にいろいろな人にお世話になってきました。だから今度は、自分がお世話する側になれたらいいなと思ったんです。
最初は一人ぼっちでつらくても、勉強会に参加して少しずつ気持ちが楽になり、自分というものを取り戻していく。心に少し余裕ができたら、今度は誰かの手助けができる。そういうふうにつながっていけたらいいなと思っています。
ふもふもさん:私もそれが理想です。
最初は、誰かに場を用意してもらって参加する側だった人が、少しずつ先輩になって、今度は新しく来た人を迎える側になる。そしてまた次の人に「よろしくね」と渡していける。
そうやって順番につながっていけたら素敵だと思います。
私が最初に参加していた頃のお世話役の人たちも、すごく優しかったんです。かけてもらった言葉で泣いたこともありました。何を言ってもらったのかは忘れちゃったんですけど(笑)。
でも、「自分と同じ経験をした人が、少し先にいてくれる」ということ自体が、すごく温かかったし、救われました。
――最後に、今、一人で悩んでいる保護者の方へ伝えたいことはありますか。
ふもふもさん:いろいろな人を見てきましたが、一人ですごく頑張っている人が多いんです。見ていると、本当にしんどそうで。
だから、「一人ぼっちじゃないよ」って伝えたいですね。
リップルでは、ただ話をするだけではなくて、今できる具体的な手立ても一緒に考えてもらえます。「何か一つでも持ち帰りたい」という人にも来てもらえたらと思います。
そして、もし参加しようか迷っているなら――
「とりあえず勇気を出して、来てみてね」と伝えたいです。

【インタビュー後記】
お二人のお話を伺い、子どもを心配する保護者にも、自分の気持ちを安心して話し、受け止めてもらえる場所が必要なのだと感じました。「私だけじゃなかった」と思えることや、「私、悲しかったんだ」と自分の気持ちに気づくこと。その一つひとつが、日々を過ごす力につながっているのだと思います。
リップルには、気持ちを分かち合う温かさと、家に帰って試せる関わり方を学ぶ機会があります。「それって、こういうこと?」と確かめながら聴く。お二人が語ってくださった家庭での会話の変化からは、相手を理解しようとする日々の積み重ねが伝わってきました。
特に心に残ったのは、かけてもらった言葉を忘れても、救われた温かさは残っているというお話です。その温かさを受け取ったお二人が、今度は誰かを迎える側になっている。「一人ぼっちじゃないよ」という言葉を、この記事を通して、今一人で頑張っている方にも届けられたらと思います。