不登校の子どもたちが“うっかり元気になる”場所を――心理のプロ・鎌田怜那さんが語る支援のかたち
「不登校は不登校でいいんです」――そう語るのは、臨床心理士・公認心理師として不登校や発達の課題を抱える子どもたちに寄り添い続けてきた一般社団法人マミリア代表の鎌田怜那さん。
教育・保育・福祉の現場を経て、子どもたちが“安心していられる場所”づくりに取り組む彼女のもとには、日々多様な悩みを抱えた家庭が訪れます。
今回のインタビューでは、子どもたちが「学び」に向かう前に必要な支援とは何か、親としてどう子どもと向き合えばいいのか、鎌田さんの視点から不登校支援の本質を語っていただきました。
もくじ
臨床心理士・公認心理師 鎌田怜那さんに聞く ——すららコラム編集部インタビュー

臨床心理士・公認心理師/一般社団法人マミリア代表
鎌田怜那さん
臨床心理士・公認心理師。保育や教育、医療の現場で経験を積み、現在は不登校や発達に課題を抱える子どもとその保護者を支える心理支援に携わる。家庭の中で安心できる関係を築くことを大切に、子ども一人ひとりのペースに寄り添いながら、親子の「つながり直し」を支援している。
一般社団法人マミリアHP https://mamilia.jp/
1. 「居場所づくり」の原点
ーー佐々木:一般社団法人マミリアさんの取り組み、そして鎌田さんのことについても教えてもらっていいでしょうか。
鎌田: わかりました。私は心理士として仕事をしてるんですけど、もともと教育系で進路選択をしていたので、保育士と小学校の教員資格を持っています。 保育実習や教育実習を通して、「心理」という道があることを知って、そこから進路変更しました。心理士ではあるんですけど、保育や教育がベースで、子ども専門の支援をしています。
ーー佐々木: なるほど、バックグラウンドが教育寄りなんですね。
鎌田:そうなんです。教育・福祉・医療、それぞれの現場で子どもに関わってきました。でも雇われ心理士の立場では、問題が深刻化してから関わることが多くて。「もっと早く出会えていたら、この子は元気でいられたのに」と思うことがよくありました。だから、病気になる前に出会いたい。その思いから、公的な立場ではない働き方を選び、2年前に法人を立ち上げました。
ーー佐々木:鎌田さんのようにキャリアのある方が取り組まれていると、保護者の方からの信頼も厚いと思います。今はどういう形で活動されているんですか?
鎌田: イベントや居場所活動などを通じて保護者と関わったり、不登校傾向で学校に行くのがつらいお子さんが後ろめたさなく過ごせるような場所をつくっています。そこでは勉強や運動などの活動もしています。
ーー佐々木:来られるお子さんは多いですか?
鎌田:子どもたちは来てくれるんですが、保護者はお仕事や世間の目を気にされて、なかなかつながるのが難しいこともあります。でも子どもを通してつながることが多いですね。
ーー佐々木: なるほど。不登校のお子さんの「居場所づくり」が中心とのことですが、もう少し具体的に伺ってもいいですか?
鎌田: 私が活動している自治体には、「校内教育支援ルーム」があって、小中学校で教室に入れない子の居場所として使われています。行政の支援は比較的手厚い地域なんですが、それでも「教育の風がかかっている場所」には近づきたくないという親子がいます。
鎌田:私と関わってくれる方々は、そうした「制度から距離を置きたい」方が多い印象です。そういう子達とは、まず信頼関係を築くところから始めて、次に運動で体を動かしてもらう。そしてようやく学習へ――という順番になります。「小学校の低学年で国語が苦手だった」とか、「1年生の時のひらがな指導がトラウマだった」とか、そういう話が後から出てくるんですよ。
ーー佐々木: 子どもたちの背景を理解して関わっていくんですね。勉強が苦手という体験が自己肯定感に直結していることも多いですから、そこを丁寧に扱っておられるのは流石です。
2. 教育現場が合わない子どもたちと「信頼」からはじまる支援
ーー佐々木: 教育的な「風がかかってる場所」が嫌だっていうお子さんは、やっぱり「勉強の失敗体験」を抱えていることが多いということですか?
鎌田:そうですね。それともう一つは「担任との相性」ですね。特に小学校1年生の担任には、経験豊かな先生が配置されることが多く、「最初の学年だからこそ、しっかりとした指導を」という方針で臨まれるケースも少なくありません。それが安心材料になるお子さんも多い一方で、少し特性があったり、マイペースなタイプの子どもにとっては、うまくかみ合わないこともあるように感じます。
ーー佐々木:たしかに、保護者も担任との相性に悩むケースをお見受けすることがあります。
鎌田:子どものペースを大事に育ててきた保護者ほど、学校の先生と話が上手くいかないと感じてしまいます。そして子どもも傷つき、保護者は学校に対して不信感を強める。親子で「教育ってなんだろう?」と悩むようになるんですよね。
ーー佐々木:先生方もそれぞれに教育観や指導方針をお持ちなので、どうしてもある程度の枠組みの中で子どもたちを導こうとされることがありますよね。そうした枠組みとお子さんの特性がうまくかみ合わないと、学校そのものがストレスに感じられてしまうこともあるのかなと思います。
鎌田:そうなんですよ。だから、うちのような居場所があって、まずはリラックスできること、そこで少しずつ自信や信頼を取り戻していくことが大事なんです。
ーー佐々木:たとえば、印象的だったお子さんのエピソードなどありますか? どういったアプローチで支援されたのか、具体例があると読者にも伝わりやすいかなと思いまして。
鎌田: そうですね……あるお子さんは、とにかく不器用で、指先を使うのが苦手でした。文字を書くことにアレルギーがあって、筆運びも苦手で、「じゃあ遊びで指を使おうか」と言っても拒否。「指を使う」という行為自体が嫌だったんですね。
ーー佐々木: それはかなり根深い課題ですね。
鎌田:なので、指先ではなく全身を使った運動から始めました。キャッチボールやドッジボール、鬼ごっこなど、子どもが自然と体を動かせる活動を取り入れていったんです。
ーー佐々木: 子どもたちにとっては“遊んでいる”だけだけど、裏ではちゃんと目的があるんですね。
鎌田: そうなんです。「うっかり元気になる」っていうのが、私たちの理想なんです。本人たちは自覚していないけど、気づいたら「なんだか元気になっていたな」という状態。苦手なことに取り組ませるより、まずは楽しく過ごせるようにすることが大事です。
ーー佐々木: 「努力」や「根性」は、もう少し後で自然に出てくるという考え方ですね。
鎌田: そうです。いきなり「がんばれ」って言われても、無理な子はたくさんいますから。まずは「楽しい」から始めて、楽しめるようになったら、少しずつ「挑戦」していけるようになる。その順番を大切にしています。
ーー佐々木:すごく共感します。勉強でも、最初に失敗体験があると、「もうやりたくない」と思ってしまう。そこをどうサポートしていくかが、私たちのような教育支援側にも求められているところですね。
鎌田:やっぱり自己肯定感が大事なんですよね。だから「最初の一歩」を安全な場所で踏み出せるようにすること。それが私たちの役割だと思っています。
ーー佐々木: その中で生まれた言葉が「うっかり元気」なんですね。とても素敵なフレーズです。
鎌田: ありがとうございます(笑)。あえて言葉にしてはいませんが、ちょっとしたスローガンのように意識しています。
ーー佐々木: では少し視点を変えて、不登校の増加という社会的な現象について、鎌田さんなりに感じている原因や背景があれば教えていただけますか?
鎌田: 私は「発達」の視点から見ることが多いんですけど、最近は「発達を飛び越えてしまっている子」が増えていると感じています。たとえば、ハイハイをあまりせずにすぐ歩けてしまう子。親としては「歩けた!すごい!」と喜ぶけど、実はその前段階の発達がすっ飛ばされてしまっている。
ーー佐々木: なるほど。弊社の心理士からも「ハイハイは大事」と聞いたことがあります。最近はベビーウォーカーとかで早く立たせようとする親御さんも多いですよね。
鎌田: そうなんですよ。でも、0歳児の行動が後々に影響するなんて、あまり知られていないですからね。でも私は、そういう「飛ばしてしまった発達段階」が、感情コントロールや身体感覚の未発達に結びついているように思えてなりません。
ーー佐々木: 知的には発達しているのに、情緒や感覚の部分が追いついていない子が増えているということでしょうか?
鎌田: まさにそうです。大脳だけが発達して、下位の脳との接続が弱い。そのアンバランスさが、情緒不安定や不登校につながることもある。しかも就学前の過ごし方が大きく影響していると感じています。
ーー佐々木: なるほど…。非常に納得感のあるお話です。
3. 不登校の背景にある“発達”の問題とは
ーー佐々木:発達の過程で本来必要だった体験がうまく積み重ねられなかったことが、不登校としてあらわれるケースもあるように感じたのですが、どうでしょうか?
鎌田:そうですね、すべてがそうというわけではありませんが、実際にそういった背景を持つ子も多いと感じています。社会に出ると“勝負”の場面が増えていきますが、その準備が十分に整わないまま環境に飛び込んでしまうと、ちょっとした指摘でも「怒られた」「責められた」と受け取ってしまうことがあるんです。「できない=自分がダメ」と感じてしまうと、被害的な思考に引っ張られやすくなります。
鎌田:だからこそ、就学前の段階で「そのままの自分でいていい」と思える体験や、人との関わりの中で「自分らしくいられる」という感覚を育てることが、とても大切だと考えています。そうした土台がないまま学びの場に立たされると、学校生活そのものが“苦行”のように感じられてしまうこともあるんですね。
ーー佐々木:診断がついていないお子さんでも、発達の積み残しのようなものがあることで、学校生活に馴染みにくくなることもあるのでしょうか?
鎌田:はい、そう感じることはあります。ただ、「発達の問題」と言ってしまうと、すぐに“障害”という枠で捉えられがちなんですが、私はそこに少し慎重になりたいんです。発達障害の診断基準って、ストレス反応と重なる部分も多くて、困った状況にあると診断がつきやすい傾向もあります。
鎌田:もちろん診断が悪いわけではないですし、必要な支援につながることも多いのですが、私は「障害」として捉えるよりも、「発達の中で育ちきらなかった部分がある」と捉えたほうが、支援の視点が広がると思っています。その子にとって、もう一度丁寧に育て直していく、そんなイメージですね。
ーー佐々木:なるほど。そういった理由で、鎌田さんは就学前の体験や関わり方をとても大切にされているんですね。
鎌田:はい。私は保育士や小学校教諭の資格を持っていますし、現場経験はありませんが、大学時代に教育や保育に触れてきたことで、自然とそういう視点が身についたのかもしれません。心理士としての視点とあわせて、今の支援スタイルにつながっています。
ーー佐々木: そうなると、発達の過程で必要な体験を積めなかったことが、不登校や二次障害のような形で表れてくるケースもあるということですね。
鎌田: そう思います。社会に出たら“勝負”の世界です。でもその勝負に出る準備ができていないまま突入してしまうと、ちょっとした指摘も「怒られた」「責められた」と受け取ってしまう。だから、「できない=負けた」というような、被害的な思考になりやすいんです。
鎌田:だからこそ、就学前の段階で「自分でいられる」体験や、人と関わる中で「自分を発揮してもいい」という感覚を育てることが重要なんです。そうしないと、学校の学びがただの“苦行”になってしまいます。
ーー佐々木:発達障害の診断が出ていなくても、そういった“発達の抜け”がある子は不登校になりやすい。ということですよね。
鎌田:はい、実際そういう子は多いと思います。発達障害の診断基準って、ストレス反応とリンクしている部分がすごく多いんです。だから、困った状態に陥ったときに、親御さんが原因を探って病院に行くと、割とすぐに診断がついてしまうんですね。
鎌田:でも私は、そこに少し“待った”をかけたいタイプなんです。診断されてしまうと、「これは障害だから受け入れるしかない」と思ってしまうことが多い。でも、「発達の中で足りなかった部分をもう一度育てていく」と考えれば、アプローチもできるし、未来の見通しも持てるんです。
ーー佐々木: なるほど。幼児期の視点を重視されているのは、そうした理由からなんですね。
鎌田:そうですね。私は幼稚園での現場経験はありませんが、保育士や小学校教諭の資格を持っていて、学部時代にそういう視点を培いました。心理士としての立場と、幼児期に対するまなざしが組み合わさって、今の支援スタイルになっているのだと思います。
4. 心理・学習・家庭、それぞれに必要なサポート
ーー佐々木: 鎌田さんのところには、悩みを抱えたご家庭がたくさん来られていると思います。たとえば、「心理面」「学習面」「家庭でできるサポート」というように分類したとき、それぞれにどんな支援が必要だとお考えですか?
鎌田:まず心理面で言うと、子どもの年齢が低ければ低いほど、子ども本人よりも「お母さん」の心理を整えることが重要なんです。ママの状態が整うことで、子どもの心理も安定するというケースがすごく多い。
ーー佐々木:それ、私たちもまったく同じです。不登校や発達障害のお子さんに向き合うとき、当然ですが保護者の方が一番悩んでいたりする。その方にどう寄り添いサポートできるかが、支援の要になることが多いですね。
鎌田:そうなんですよ。だから私は、お母さんのメンタルケアにも力を入れています。
ーー佐々木: 学習面に関しては、どんな支援をされていますか?
鎌田: 就学前や低学年の子どもたちに多いのが、そもそも「学習の土台」が獲得できていないまま入学しているケースです。そうすると、学校での勉強がまったく入ってこない。そこで私は、あえて粘土を使って文字を書かせたり、具体物を用いた学び方を取り入れています。
ーー佐々木: いわば、保育的なアプローチですね。
鎌田:そうです。特に学習が苦手な子に対しては、いきなりペーパーで教えるのではなく、手を使って感覚的に理解させる。たとえば、「数の概念」がまだ育っていない子には、数のカードやブロックを使って、「数ってこういうことなんだよ」と実感してもらいます。
ーー佐々木:すごくわかります。私たちもすららの教材の中で、数の概念を「見える化」する工夫をしていますが、やっぱり“腑に落ちる”体験がないと、なかなか先に進めないんですよね。
鎌田:だから私は、保護者の方には「勉強は無理して教えなくて大丈夫です」とお伝えしています。親が教えると、つい正解に導こうとしてしまうので、子どもが自分で考える余地がなくなってしまうんですよね。
ーー佐々木: それ、よくわかります…。私も親なので、「あとちょっとで答えが出そうだな」と思うと、つい口を出してしまう(笑)。
鎌田:そうそう、私も同じです(笑)。他人の子どもなら見守れるんですけど、自分の子になるとつい感情が入っちゃって。だから家庭では「学習の専門家に任せて、親はサポートに徹してもらう」のが一番だと思っています。
ーー佐々木: それを言っていただけると、保護者の方もすごく楽になると思います。やっぱり「自分が教えなきゃ」と思い詰めている方も多いですから。
鎌田:はい。だから「正解に導かない育て方」を提案しています。それが、子どもの自己肯定感にもつながっていくと思うんです。
5. スキンシップと安心感がつくる学びの土台
ーー佐々木: ご家庭でのサポートについてですが、保護者の方にはどんなアドバイスをされていますか?
鎌田:お勉強の中身については「やらなくていいです」と伝えています。保護者にとっても負担になるので。それよりも「親子の交流を大事にしてください」とお伝えしています。
ーー佐々木:具体的には、どのような交流が効果的なんでしょうか?
鎌田:たとえば、マッサージやスキンシップの方法をお伝えすることが多いです。「この子はここを触られると喜びますよ」といった感触のフィードバックを通じて、保護者の方と自然にコミュニケーションをとっています。
鎌田:とくに小学校低学年くらいまでは、スキンシップが親子関係を深める鍵になることが多いです。意外かもしれませんが、高学年になっても、子どもはふとした瞬間にくっついてきたりするものなんです。でも、親がそのサインに気づかないと、すれ違ってしまう。
ーー佐々木:なるほど。親子の関係性を深めるには、スキンシップの“気づき”が大切なんですね。
鎌田: はい。「今が最後のスキンシップのチャンスかもしれませんよ」とお伝えすることもあります。とくに思春期手前の時期は、子どもも戸惑いながら接触を求めていることが多いんです。
ーー佐々木:スキンシップって、年齢に応じて形を変えていくものなんですね。
鎌田:そうですね。乳幼児期であれば、抱っこや手をつなぐことが多いと思いますが、小学校高学年くらいからは、ハイタッチや肩に手を置く、二の腕を軽くタッチするなど、少し距離を保った接し方が効果的ですね。
ーー佐々木:思春期の子どもに対しては、褒めるというよりも「注目を向ける」「関心を示す」ようなアプローチが有効な気がしています。
鎌田:おっしゃる通りです。「褒める」のではなく、「見ているよ」「気にかけているよ」という姿勢を伝えるだけでも、子どもは受け取ってくれます。とくに感覚過敏のある発達特性のある子には、「触れ方」にも注意が必要ですが、それでもタッチを求めている子は多いです。
ーー佐々木:発達障害の子どもには「触れられるのが苦手」という話もよく聞きますが、一方で「触れられたい」という気持ちもあるんですね。
鎌田:はい。だからこそ、「この子は何を求めているのか」「どんなスキンシップが心地よいのか」を早く見つけてあげることが大切だと思います。
ーー佐々木:鎌田さんのところに来られるのは、未就学児や低学年のお子さんが中心ですか?
鎌田:居場所として利用してくれるのは、小学校高学年から中学生の不登校傾向の子が多いですね。でも、私は乳児健診に出向いたり、地域の幼稚園や保育園を訪問して支援することも多いので、就学前の子どもたちとの接点もあります。
ーー佐々木:学習の話に戻ると、高学年や中学生になるとプライドが出てきて、支援のアプローチも変わってくると思うのですが、どのような工夫をされていますか?
鎌田:やっぱり「勉強ができないこと」が怖いんです。不安耐性が低い子は、「できない自分」に直面するのがとてもつらい。まずはその不安を取り除いて、「できなくて当然だよ」と伝えることで、安心感を持ってもらうようにしています。
ーー佐々木:「今6年生だけど、2年生の内容から一緒に見直してみよう」みたいな声かけをされるんですね。
鎌田:そうです。6年生の頭で2年生の内容を見ると、「あ、これならできる」と感じられて、成功体験につながる。そういう工夫を通して、「できる自分」へのイメージを取り戻していってもらいます。
ーー佐々木:すららのサポートもまったく一緒です。学習支援をする上で大切なのは、結局「自己肯定感」を育てること。そこに学習習慣がのって、ようやく成績向上が見えてくる。そんな積み上がりを意識して支援しています。
鎌田:そうですね。「まず心を整えること」が先で、それから勉強。私もその順番を大事にしています。
6.不登校の子どもは社会を変える力を持っている――保護者へのメッセージ
ーー佐々木:それでは最後に、この記事を読むであろう不登校や発達に課題を持つお子さんの保護者の方々に、何か伝えたいメッセージをお願いします。
鎌田: 私はよく「不登校は不登校でいい」とお伝えしています。少し乱暴に聞こえるかもしれませんが、不登校は“最悪の出来事”ではないんです。
鎌田: 子どもたちは、とても敏感で、純粋です。社会の不合理や違和感をいち早くキャッチして、「なんかおかしい」と感じて動けなくなっている。私はそうした“気づく力”こそが、彼らの最大の資質だと思っています。
鎌田: だからこそ、「社会を変える力を持った存在」として、誇りに思ってほしい。そして、何に違和感を抱いているのか、何が息苦しいのかを、丁寧に聞いてあげてほしい。そこには、きっと社会全体に通じるヒントが隠れているはずです。
ーー佐々木: とても力強いメッセージです。まさに「不登校の子は社会のリーダーになれる素質を持っている」という考え方に、私も共感します。
鎌田: ありがとうございます。私たち支援者も、完璧ではありません。でも、親御さんと一緒に悩んで、子どもの声を聞いて、ゆっくりと育んでいければいいのかなと思います。
ーー佐々木: 本当にその通りですね。今日は貴重なお話をたくさんありがとうございました。こうした活動が、少しでも多くの方に届くことを願っています。
鎌田: ありがとうございました。
編集後記
「うっかり元気になる」――その一言が、鎌田さんの支援の本質を物語っているように感じます。不登校や発達に悩む子どもたちは、目に見える課題の裏に、“安心できる居場所の不足”という根深い問題を抱えています。鎌田さんの取り組みは、その「土台づくり」を丁寧に支え直す営みであり、保護者の方が自信を取り戻すきっかけにもなるはずです。「不登校は社会へのメッセージ」――そんな視点を持てたとき、きっと新しい未来が開けてくるのではないでしょうか。
| 筆者紹介:佐々木 章太(ささき しょうた)
株式会社すららネット 子どもの発達支援室 室長/すららコラム編集長
ICTを活用した家庭学習支援の専門家として、不登校・発達障害・学びづらさを抱える子どもと保護者に寄り添った支援メソッドを構築してきた。2015年より「出席扱い制度」の普及に取り組み、文部科学省への提言、自治体との連携、申請書支援などを通じて、延べ2,000名以上の出席認定支援に携わる。
現在は、教材開発、保護者支援、コーチ制度の設計などを担い、学習の継続と自己肯定感の回復を両立する“家庭学習の仕組み”づくりを推進。教育現場や家庭の声をもとにした発信にも注力し、「すららコラム」編集長として不登校・発達支援に関する実践的な情報を届けている。
デジタルと人の力をかけ合わせた、“子どもが前を向く学びの場”の創出をライフワークとする。
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※2016年1月~2017年6月の期間ですららを3ヶ月以上継続している生徒の継続率