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中学生の不登校|原因・親の対応・家での過ごし方と進路

  1. 1 中学生が不登校になる主な原因
  2. 1-1 友人関係やいじめなどの対人トラブル
  3. 1-2 学業へのプレッシャーや成績不振
  4. 1-3 先生との相性や部活動での悩み
  5. 1-4 起立性調節障害などの身体的な不調
  6. 2 不登校の中学生に対する親の対応
  7. 2-1 子どもの気持ちを否定せずに受け入れる
  8. 2-2 無理に学校へ行かせようとしない
  9. 2-3 親自身がリラックスして笑顔で接する
  10. 3 不登校中の中学生の家での過ごし方
  11. 3-1 心身を休ませる期間の過ごし方
  12. 3-1-1 最低限の生活リズムを保つ
  13. 3-1-2 ゲームやスマートフォンとの付き合い方
  14. 3-1-3 この期間に避けたいこと
  15. 3-2 少しずつ活動を始める期間の過ごし方
  16. 3-2-1 家の中でできる役割を持つ
  17. 3-2-2 外出の範囲を段階的に広げる
  18. 3-2-3 起床時間を少しずつ早める
  19. 3-3 勉強の遅れを取り戻すための工夫
  20. 3-3-1 分かるところまで戻って少量から始める
  21. 3-3-2 自宅で使える学習手段を活用する
  22. 3-3-3 自宅学習が出席扱いになる場合がある
  23. 4 不登校の中学生が選べる進路と高校受験
  24. 4-1 全日制高校への進学と出席日数の関係
  25. 4-2 通信制高校や定時制高校という選択肢
  26. 4-2-1 通信制高校
  27. 4-2-2 定時制高校
  28. 4-3 フリースクールやサポート校の活用
  29. 4-3-1 フリースクール
  30. 4-3-2 サポート校
  31. 5 中学生の不登校について相談できる窓口
  32. 5-1 学校のスクールカウンセラー
  33. 5-2 教育支援センターや児童相談所
  34. 6 まとめ

文部科学省の調査では、令和5年度に不登校だった中学生は約21万6千人で、在籍者のおよそ15人に1人にあたります。原因は友人関係や学業、起立性調節障害など一つに絞れないことが多いため、親はまず登校を急がせず、子どもの気持ちを受け止めて休ませることを優先します。この記事では、休養期から活動再開期までの家での過ごし方、勉強の遅れへの対処、出席日数が高校受験に与える影響、通信制・定時制高校などの進路、スクールカウンセラーや教育支援センターといった相談先を紹介します。

中学生が不登校になる主な原因

中学生の不登校に関わる友人関係やいじめ、学業の負担、先生との関係、起立性調節障害などの体調面を示した図解

文部科学省は、病気や経済的な理由を除き、心理的・社会的な要因などで登校しない、または登校したくてもできない状態で年間30日以上欠席した児童生徒を「不登校」と定義しています。同省の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によると、2023年度の不登校の中学生は約21万6千人で、在籍する中学生の6.7%にあたります。1クラス30人なら2人程度という計算です。小学生の不登校と比べると割合は3倍以上で、中学生になると不登校が大きく増えることがわかります。

中学生の不登校が増える背景には、小学校から中学校へ進んだときの環境の変化があります。教科ごとに先生が替わる教科担任制、定期テストや内申点による評価、部活動での先輩・後輩の上下関係など、中学校では学校生活の仕組みが大きく変わります。この変化になじめずに学校へ行きづらくなる状態は「中1ギャップ」と呼ばれています。思春期に入って心と体のバランスが不安定になる時期と重なることも、影響しやすい要因です。

不登校のきっかけは一つとは限らず、人間関係の悩みと体調不良、学習面の不安などが重なっていることが少なくありません。本人にも原因がはっきりわからず、理由を聞かれても答えられないこともあります。以下では、中学生に多い主な原因を具体的に紹介します。

友人関係やいじめなどの対人トラブル

中学生の不登校のきっかけとして多いのが、友人関係のトラブルです。中学生は友達との関係を強く意識する年代で、仲の良いグループに入れない、グループ内で無視された、陰口を言われたといった出来事が、教室にいること自体をつらくさせます。

いじめは、はっきりした暴力だけではありません。悪口やからかい、持ち物を隠される、わざと仲間外れにされるといった行為も含まれます。スマートフォンを持つ中学生が増えたことで、LINEなどのSNSでのグループ外しや悪口の書き込みといったトラブルも起こっています。SNS上のいじめは大人から見えにくく、帰宅後や休日にも続くため、子どもが休まる時間を失いやすいという特徴があります。

いじめを受けている子どもは、「親に心配をかけたくない」「知られると余計にひどくなる」と考えて、被害を話さないことがあります。明確ないじめがなくても、周囲の目が気になる、友達との会話に気を遣いすぎて疲れてしまうといった理由で、学校へ行くエネルギーがなくなるケースもあります。

学業へのプレッシャーや成績不振

中学校では授業の内容が難しくなり、進むスピードも速くなります。とくに数学や英語は前に習った内容を理解していないと次の単元がわからなくなるため、一度つまずくと授業についていけない状態が続きやすい教科です。授業中に何をしているのかわからない時間が長くなると、教室にいることが苦痛になります。

定期テストの点数や順位がはっきり示されることも、中学生にとっては大きなプレッシャーです。内申点が高校受験に影響するため、成績が下がることへの不安を強く感じる子どももいます。成績が伸び悩んでいる子どもだけでなく、親や周囲の期待に応えようと頑張りすぎていた子どもが、テストの失敗などをきっかけに学校へ行けなくなることもあります。

また、宿題や提出物が多く、こなしきれずに未提出が続くと、先生に注意されることを恐れて登校しにくくなる場合があります。学習面のつまずきの背景に、読み書きや計算の苦手さなど発達の特性が関係している場合もあるため、努力不足だけを原因と考えずに理由を確かめることが大切です。

先生との相性や部活動での悩み

文部科学省が不登校の児童生徒本人に行った調査でも、学校に行きづらいと感じ始めたきっかけとして「先生のこと」を挙げた中学生が一定数いました。具体的には、担任の先生に厳しく叱られた、クラス全員の前で注意された、相談したのに真剣に取り合ってもらえなかったといった経験が挙げられます。先生が他の生徒を大声で叱る場面を見て、教室にいることが怖くなる子どももいます。

中学生にとって、担任の先生は学校生活の多くの場面で関わる存在です。相性が合わないと感じる先生が担任だと、学級活動や面談のたびに負担を感じることになります。

部活動も、中学生の不登校に関わりやすい要因です。先輩からの厳しい上下関係、顧問の先生の指導の厳しさ、部員同士のトラブル、レギュラー争いなどがストレスになります。朝練や土日の練習で休む時間が少なくなり、疲れがたまって体調を崩すこともあります。部活動をやめたいのに言い出せない状態が続き、その結果として学校そのものに行けなくなるケースもあります。

起立性調節障害などの身体的な不調

「朝起きられない」「頭痛や腹痛がある」といった体の不調が、不登校のきっかけになることがあります。中学生に多い病気の一つが、起立性調節障害です。起立性調節障害は、自律神経の働きがうまく調整されず、立ち上がったときに脳や体への血流が不足する病気で、思春期に起こりやすいとされています。日本小児心身医学会によると、軽症の人も含めて中学生の約1割にみられるとされ、不登校の子どもの中にも起立性調節障害を伴うケースが少なくないと指摘されています。

起立性調節障害の主な症状は次のとおりです。

  • 朝なかなか起きられず、午前中は体調が悪い
  • 立ちくらみやめまいがする
  • 頭痛や腹痛、気分の悪さがある
  • 疲れやすく、体がだるい
  • 午後から夕方にかけて元気になり、夜は目がさえて眠れない

午後になると元気に過ごせるため、周囲から「怠けている」「学校に行きたくないだけ」と誤解されやすい病気です。本人は学校に行こうとしても体が動かず、叱られることでさらに自信を失ってしまうことがあります。朝の不調が続く場合は、小児科を受診すると、立ち上がったときの血圧や心拍の変化を調べる検査で診断を受けられます。

このほかにも、強い不安や気分の落ち込みが続く、眠れない、食欲がないといった心の不調が、体の症状として表れることがあります。ゲームや動画の視聴で夜更かしが続き、生活リズムが乱れて朝起きられなくなるケースもあります。ただし、生活リズムの乱れは不登校の原因ではなく、学校に行けなくなった結果として起きている場合もあります。体の症状がある場合は、まず医療機関で病気が隠れていないかを確認することが、原因を見極める手がかりになります。

不登校の中学生に対する親の対応

子どもの気持ちを受け止め、無理に登校させず、親が安心できる環境と日常の会話を大切にする対応を示した図解

子どもが学校に行けなくなると、多くの親は「どうにかして登校させなければ」と焦ります。しかし、文部科学省の不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)では、支援の目標を「学校に登校する」という結果だけに置かず、子どもが自分の進路を主体的に考え、社会的に自立することを目指すよう示しています。また、不登校の期間は休養や自分を見つめ直す時間として、前向きな意味を持つことがあるとも述べています。家庭での対応も、登校させることだけを目的にせず、子どもが安心して過ごし、自分で次の一歩を選べる状態を整えることを軸に考えます。

子どもの気持ちを否定せずに受け入れる

中学生は、学校に行けない理由を自分でもうまく言葉にできないことがあります。理由がはっきりしない状態で「なぜ行けないの」「何が嫌なのか言って」と問い詰めると、子どもは答えられない自分を責めたり、親に話すこと自体を避けたりするようになります。まずは理由を突き止めることより、「今はつらい」「行きたくない」という気持ちをそのまま受け止めることを優先します。

具体的には、次のような声かけの違いを意識します。

  • 避けたい言葉:「甘えているだけでしょ」「みんな我慢して行っているのに」「このままだと高校に行けないよ」
  • 受け止める言葉:「話してくれてありがとう」「つらかったんだね」「今は休んでいいよ」

子どもが話し始めたら、途中で口を挟んだり、すぐに解決策を示したりせず、最後まで聞くようにします。親は助言したくなりますが、中学生の多くは答えよりも、否定されずに聞いてもらえることを求めています。きょうだいや同級生と比べる発言も、自己肯定感を下げる原因になるため控えます。

ただし、気持ちを受け止めることと、子どもの行動をすべて認めることは同じではありません。生活リズムや家庭内のルールについては、気持ちを受け止めたうえで、子どもと相談しながら決めていきます。また、会話のなかでいじめの被害や「消えたい」「死にたい」といった言葉が出た場合は、家庭だけで抱え込まず、学校や専門の相談窓口にすぐ連絡してください。

無理に学校へ行かせようとしない

不登校になったばかりの時期は、子どもの心身のエネルギーが大きく消耗していることが少なくありません。この段階で強く登校を促す(登校刺激を与える)と、腹痛や頭痛などの症状が強まったり、自室に閉じこもったり、親に本音を話さなくなったりすることがあります。義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(教育機会確保法)でも、不登校の子どもには休養が必要な場合があることを踏まえて支援を行うよう定められています。

毎朝「今日は行けそう?」と確認することも、子どもにとっては負担になりやすい行動です。欠席の連絡は親が行う、登校するかどうかは子どもから言い出すまで尋ねないなど、朝のやり取りを家族で決めておくと、子どもが朝を迎えるたびに感じる緊張を減らせます。

一方で、「無理に行かせない」ことは「何もしないで放っておく」こととは違います。親は子どもと学校をつなぐ役割を担い、担任の先生とは次のような点を相談しておきます。

  • 連絡を取る頻度と方法(電話、連絡帳、面談など)
  • 配布物やプリントの受け取り方
  • 家庭訪問を受けるかどうか、受ける場合の時間帯
  • クラスメートへの説明の仕方

これらは子どもの意向を確認しながら決め、本人が会いたくないと言う場合は、親だけが先生と話す形でもかまいません。朝起きられない、体調不良が続くといった様子が見られる場合は、起立性調節障害などの病気が隠れていることもあるため、小児科を受診して確認することも検討します。

子どもが自分から「少し行ってみようかな」と話したときは、保健室登校や別室登校、午前中だけの登校、放課後に先生と会うなど、負担の小さい方法を学校と相談します。どの方法を選ぶかは子ども自身に決めてもらい、途中で行けなくなっても責めないことが、次に挑戦する意欲を保つことにつながります。

親自身がリラックスして笑顔で接する

子どもは親の表情や口調の変化に敏感です。親がため息をついたり、不安そうな顔で過ごしたりしていると、子どもは「自分のせいで親を困らせている」と感じ、家庭でも気が休まらなくなります。親が落ち着いて過ごすことは、子どもが家を安心できる場所として感じるための条件の一つです。

とはいえ、不安を押し殺して無理に笑顔をつくる必要はありません。親が自分の気持ちを整えるために、次のような工夫が役立ちます。

  • 仕事や趣味、友人との付き合いなど、親自身の生活をできる範囲で続ける
  • 父親と母親、祖父母など家族の間で対応の方針をそろえ、子どもに異なる言葉をかけないようにする
  • 一人で抱え込まず、同じ経験をもつ保護者が集まる親の会や、保護者向けの相談を利用する
  • 眠れない、食欲がないなど親自身の不調が続く場合は、医療機関に相談する

子どもとの会話では、学校や勉強の話題ばかりにせず、食事やテレビ番組、ゲーム、ペットなど日常の話題を意識して取り入れます。学校とは関係のない何気ない会話が続くと、子どもは「学校に行っていなくても、家族として普通に接してもらえる」と感じやすくなります。親がゆとりを持って接することで、子どもが本音を話したり、自分から次の行動を考えたりするきっかけが生まれます。

毎日の声かけを、具体的に考えたい方へ
  • 「朝、どこまで声をかけたらよいのだろう」
  • 「進路の話をするタイミングに迷う」
  • 「自分の不安も誰かに聞いてほしい」

子どもの気持ちを聞きたいと思っていても、日々の場面では迷うことがあります。保護者自身も支えを持ちながら、声かけや関わり方を学ぶ選択肢があります。

ほめビリティは、子どもを無理に変えようとするのではなく、日々の声かけや関わり方を実践しながら学ぶ、保護者向けのオンラインプログラムです。

ほめビリティ・ラウンジでは、関わり方を学ぶ講座や交流の機会を案内しています。家庭で試せる方法をもう少し具体的に考えたい方は、内容をご確認ください。

ほめビリティ・ラウンジの内容を見る

不登校中の中学生の家での過ごし方

心と体を休ませ、生活リズムを保ち、興味のあることから始め、勉強を少しずつ再開する家での過ごし方を示した図解

不登校中の過ごし方は、子どものエネルギーの回復に合わせて変えていきます。学校に行けなくなった直後は心身が疲れ切っていることが多く、この時期に勉強や外出を急ぐと回復が遅れる場合があります。ここでは「心身を休ませる期間」と「少しずつ活動を始める期間」に分け、それぞれで何をするかを具体的に説明します。回復の早さには個人差があり、二つの期間を行き来することもあります。

心身を休ませる期間の過ごし方

不登校になった直後は、朝起きられない、食欲がない、部屋にこもる、頭痛や腹痛を訴えるといった状態がよく見られます。この期間の目的は、学校に関する不安や緊張から離れ、エネルギーを回復させることです。「何もしていない」ように見えても、子どもにとっては必要な休養の時間です。

最低限の生活リズムを保つ

休養期でも、生活リズムが完全に崩れると、その後の活動再開が難しくなります。起床時間を登校していた頃に戻す必要はありませんが、次のような最低限の目安を家族で決めておくと、昼夜逆転を防ぎやすくなります。

  • 昼までには起きてカーテンを開け、日光を浴びる
  • 1日1食は家族と同じ時間に食卓につく
  • 着替えや洗顔など、身の回りのことは自分でする
  • 寝る1時間前にはスマートフォンやゲームの画面から離れる

朝どうしても起きられず、立ちくらみや頭痛が続く場合は、起立性調節障害などの身体的な原因が考えられます。生活習慣だけで解決しようとせず、小児科などの医療機関を受診してください。

ゲームやスマートフォンとの付き合い方

休養期の子どもは、ゲームや動画視聴、SNSに長い時間を費やしがちです。ゲームや動画は学校のことを考えずに済む手段になっていることが多く、いきなり取り上げると反発を招いたり、家の中での居場所を失わせたりします。禁止するのではなく、「夜0時以降は使わない」「課金は月○円まで」など、子ども自身が納得できるルールを一緒に決める方法が現実的です。

一方で、SNSを通じて学校の人間関係のトラブルが続いている場合や、見知らぬ大人とのやり取りがある場合は注意が必要です。利用状況に大きな変化があったときは、使い方について話し合う機会を持ちましょう。

この期間に避けたいこと

休養期には、勉強の遅れや進路の話を繰り返し持ち出すことは控えます。子ども自身が「このままでいいのか」という焦りを抱えていることが多く、周囲から将来の話をされると、休むことへの罪悪感が強まるためです。また、「死にたい」と口にする、自傷行為の跡がある、食事をほとんどとらない状態が続くといった場合は、家庭だけで様子を見ずに医療機関や専門の相談窓口に早めに相談してください。

少しずつ活動を始める期間の過ごし方

休養によってエネルギーが戻ってくると、子どもの様子に変化が出てきます。次のような様子が見られたら、活動を少しずつ増やしていく目安になります。

  • 「退屈」「暇」と口にするようになる
  • 食欲が戻り、表情が明るくなる
  • 家族との会話が増え、冗談を言うようになる
  • 友達や学校、勉強の話題に自分から触れる
  • 外出や新しいことへの興味を示す

この期間は、子ども本人が「やってみたい」と思えることから始め、「できた」という経験を積み重ねることが大切です。

家の中でできる役割を持つ

最初の一歩として取り組みやすいのが家事の手伝いです。夕食の米を炊く、洗濯物をたたむ、ペットの世話をするなど、毎日続けられる役割を一つ任せると、生活に予定ができ、家族から「ありがとう」と言われる機会も生まれます。料理やお菓子作りは、手順を考えて完成させる経験になるため、興味があれば取り入れるとよいでしょう。

外出の範囲を段階的に広げる

外出は、人目が気になりにくい時間帯や場所から始めます。同級生と会うことに不安がある子どもも多いため、平日の登校時間帯を避けた近所の散歩、家族との買い物、図書館や書店などが取り組みやすい例です。慣れてきたら、習い事や地域のスポーツ教室、趣味のイベントなど、学校以外で人と関わる場を検討します。

家以外に日中を過ごす場所がほしくなった段階では、自治体の教育支援センター(適応指導教室)やフリースクールなども選択肢になります。これらの詳しい内容は後の章で説明します。

起床時間を少しずつ早める

活動を増やすのに合わせて、起床時間を整えていきます。一度に登校時と同じ時間に戻そうとすると続かないため、「今週は10時、来週は9時半」のように30分程度ずつ早めていく方法が取り組みやすいです。起きた後に散歩や朝食の準備など予定を入れておくと、起きる理由ができて習慣になりやすくなります。

勉強の遅れを取り戻すための工夫

勉強は、活動を始める期間に入り、子どもが勉強の話題に抵抗を示さなくなってから始めるのが基本です。休養期に無理に勉強させると、勉強そのものが学校のつらさと結びつき、かえって取り組みにくくなる場合があります。

分かるところまで戻って少量から始める

最初は「1日15分」「問題を5問だけ」など、確実に続けられる量から始めます。教材は現在の学年のものではなく、子どもが理解できているところまでさかのぼって選びます。特に数学と英語は前の単元の理解を前提に進む教科なので、つまずいた単元まで戻ることで、その後の内容も理解しやすくなります。国語、理科、社会は単元ごとの独立性が比較的高いため、興味のある単元から取り組んでも問題ありません。

高校受験を考えている場合は、積み上げが必要な数学と英語を優先し、理科と社会は受験が近づいてから集中的に取り組むという配分も一つの方法です。

自宅で使える学習手段を活用する

学校の授業を受けていなくても、自宅で学べる手段は複数あります。子どもの性格や学習状況に合わせて組み合わせてください。

  • 学校の教科書と、教科書に対応した市販の問題集や教科書ガイド
  • NHK for Schoolなど、無料で見られる学習動画
  • 「スタディサプリ」「すらら」などのオンライン学習教材
  • 家庭教師やオンライン家庭教師による個別指導
  • 学校から配布されている1人1台端末を使った課題やオンライン授業

動画やアプリは、分からないところを何度でも見返せる、人と顔を合わせずに学べるといった点で、不登校中の中学生にとって取り組みやすい手段です。人と話すことに抵抗がなくなってきたら、家庭教師など質問できる相手をつけると、理解が止まっている部分を把握しやすくなります。

自宅学習が出席扱いになる場合がある

文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」では、ICT(情報通信技術)などを活用した自宅での学習活動について、一定の要件を満たせば校長の判断で指導要録上の出席扱いにできるとされています。要件には、保護者と学校の間に十分な連携協力関係があること、訪問などによる対面指導が適切に行われていること、学習の理解の程度を踏まえた計画的なプログラムであることなどが含まれます。

出席扱いになるかどうかは学校ごとの判断になるため、自宅でオンライン教材などを使って学習を始める場合は、担任の先生に学習内容や記録の報告方法を相談しておきましょう。出席日数が高校受験にどう関わるかについては、次の章で説明します。

学校外の相談・学習支援の内容は、あした研究室の教育支援センターの解説でも確認できます。

出席扱いの条件や学校との相談の進め方は、あした研究室の出席扱い制度(ネット出席)にまとめています。制度の適用は在籍校へ個別に確認してください。

今の理解度に合う、自宅での学び方を探す

少量から学習を試したいときは、分かるところまで戻り、自分のペースで取り組める教材も選択肢になります。体調や本人の希望に合わせて検討しましょう。

無学年式オンライン教材「すらら」では、学校の進度や学年に縛られず、理解できているところまで戻って自宅で学習できます。

不登校中の家庭学習や出席扱い制度の活用についてもサポートしています。出席扱いは教材の利用だけで決まらないため、在籍校への事前の相談・確認が必要です。

すららの家庭学習サポートを確認する

不登校の中学生が選べる進路と高校受験

高校受験の確認、全日制・定時制・通信制高校、民間の支援の活用など、中学生が進路を考える際のポイントを示した図解

不登校の中学生でも高校へ進学できます。中学校は義務教育のため、欠席が多くても在籍校から卒業証書を受け取り、高校を受験するのが一般的です。高校には全日制・定時制・通信制の3つの課程があり、入試で出席日数や内申点をどう扱うかは課程や学校によって異なります。子どもの体調や学習状況に合う進路を選ぶには、それぞれの仕組みを知っておく必要があります。

全日制高校への進学と出席日数の関係

公立の全日制高校の一般入試では、当日の学力検査に加えて、中学校が作成する調査書(内申書)が合否判定に使われます。調査書には各教科の評定と出欠の記録が記載されます。欠席が多い場合、授業やテストを受けていない教科の評定がつかない、または低くなることがあり、その分だけ内申点で不利になります。

ただし、調査書の扱いは都道府県や学校によって異なります。主な違いは次のとおりです。

  • 内申点の対象となる学年(中学3年のみか、1年から3年までか)
  • 学力検査と調査書の配点の比率
  • 欠席日数を合否判定の資料として扱うかどうか
  • 長期欠席の理由などを本人が記入して提出できる自己申告書の制度があるかどうか

当日の学力検査の比重が高い学校や、学力検査のみで判定する枠を設けている学校であれば、欠席が多くても試験の得点で合格を目指せます。私立高校には当日の試験結果を重視する学校もありますが、推薦入試では「3年間の欠席日数が〇日以内」といった出願基準を設けている学校もあるため、募集要項で条件を確認することが必要です。

文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」では、高校の入学者選抜で不登校生徒を適切に評価するよう工夫することや、教育支援センターなど学校外の施設で指導を受けた日を、一定の要件のもとで校長の判断により出席扱いにできることが示されています。どの制度が使えるかは在籍する中学校と地域の教育委員会によって異なるため、志望校を検討する段階で担任や進路指導の先生に確認してください。

通信制高校や定時制高校という選択肢

毎日決まった時間に通学することが負担になる場合は、通信制高校や定時制高校が選択肢になります。どちらも卒業すれば全日制高校と同じ高校卒業資格を得られ、大学や専門学校の受験資格も同じです。

通信制高校

通信制高校では、自宅などでの学習を中心に、レポートの提出、スクーリング(面接指導)への出席、単位認定試験の3つを通じて単位を修得します。卒業には3年以上の在籍と74単位以上の修得が必要です。入試は書類選考・作文・面接が中心の学校が多く、学力検査を課さない学校もあります。

通信制高校には公立と私立があります。公立は学費を抑えられる一方、自分で計画を立ててレポートを進める力が求められます。私立は週1日から週5日まで通学日数を選べるコースや、N高等学校のようにインターネットでの学習を中心とする学校があり、学習サポートや進路指導の体制も学校ごとに異なります。公立・私立ともに、世帯の所得に応じて高等学校等就学支援金の対象になります。

定時制高校

定時制高校は、1日の授業時間が全日制より短い高校です。以前は夜間に授業を行う学校が中心でしたが、現在は昼間に授業を行う学校や、午前・午後・夜間から学ぶ時間帯を選べる三部制の学校もあります。修業年限は4年が基本ですが、他の時間帯の授業を追加で履修するなどして3年で卒業できる学校もあります。

地域によっては、不登校経験者を主な対象とした高校も設置されています。たとえば東京都のチャレンジスクールは、小中学校で不登校を経験した生徒などを受け入れる三部制の定時制高校で、入試では調査書を使わず、作文と面接で選抜します。同様の学校の有無や名称は都道府県によって異なるため、地域の教育委員会のホームページで確認できます。

フリースクールやサポート校の活用

フリースクールとサポート校は名前が似ていますが、利用する時期と役割が異なります。どちらも民間の教育施設であり、学校教育法上の学校ではないため、ここに通うだけでは卒業資格は得られません。

フリースクール

フリースクールは、主に中学校に在籍したまま通う学びの場です。学習支援や体験活動、同年代との交流の場を提供しており、活動内容や通う頻度は施設によって大きく異なります。在籍中学校と保護者が連携しており、学習内容が本人の自立に役立つと認められる場合には、校長の判断で出席扱いになることがあります。出席扱いの判断は学校ごとに異なるため、通い始める前に学校へ相談しておくと手続きがスムーズです。中学校の卒業資格は、在籍している中学校から得ることになります。

費用は月額数万円程度の施設が多く、公立校のような無償ではありません。見学や体験入学を受け付けている施設が多いため、子どもが実際に雰囲気を確かめてから決めることができます。

サポート校

サポート校は、通信制高校に入学した生徒の学習や生活を支える民間の施設です。通信制高校では自分でレポートを進める必要がありますが、サポート校では講師がレポート作成や試験対策を手伝い、毎日通える教室や個別指導を用意している施設もあります。高校卒業資格は、提携する通信制高校を卒業することで得られます。

サポート校の費用は通信制高校の学費とは別にかかり、高等学校等就学支援金の対象にもなりません。そのため、入学前に通信制高校とサポート校の合計でいくら必要になるかを確認しておくことが大切です。

通信制高校や定時制高校、サポート校の多くは、秋から冬にかけて出願を受け付けます。中学3年の夏から秋までに学校見学や個別相談会に参加し、子ども自身が通う姿を具体的にイメージできるかを確かめておくと、進路を選びやすくなります。

欠席日数と受験準備については、あした研究室の高校受験に関する記事も参考になります。志望校の最新の募集要項を優先して確認しましょう。

中学生の不登校について相談できる窓口

学校のスクールカウンセラー、教育支援センター、児童相談所、電話相談窓口などの相談先を示した図解

不登校の相談先は、学校の中にも外にもあります。相談先によって、受けられる支援の内容や担当する専門職が異なります。子どもが学校に足を運べない時期でも、保護者だけで相談できる窓口がほとんどです。

相談の前に、欠席が始まった時期、朝や夜の体調、家での様子、子どもが口にした言葉などをメモしておくと、担当者が状況を把握しやすくなります。

学校のスクールカウンセラー

スクールカウンセラーは、公認心理師や臨床心理士などの心理の専門職で、多くの中学校に配置されています。担任や教科担当とは立場が異なるため、成績や評価と切り離して話ができます。相談は無料です。

スクールカウンセラーには、次のような相談ができます。

  • 子どもの気持ちや行動をどう理解すればよいか
  • 家庭での声かけや接し方
  • 保護者自身の不安や疲れ
  • 学校側へ配慮を求めたいことの伝え方

子ども本人が登校できない場合は、保護者だけで面談を受けられます。学校によっては、別室登校や放課後の面談で子どもとカウンセラーが会う機会を設けることもあります。

申し込みは担任や養護教諭を通すのが一般的です。担任に話しにくい事情があるときは、教頭や保健室に直接連絡しても構いません。勤務日は週1回程度など学校や自治体によって異なり、予約が数週間先になることもあります。早めに連絡しておくと、面談の日程を確保しやすくなります。

家庭環境や経済的な事情が関係している場合は、福祉の専門職であるスクールソーシャルワーカーにつないでもらえることがあります。スクールソーシャルワーカーは、行政の福祉窓口や医療機関との連絡調整を担います。

教育支援センターや児童相談所

学校以外の公的な相談先として、教育支援センターと児童相談所があります。どちらも利用料はかかりません。

項目教育支援センター児童相談所
設置主体市区町村の教育委員会など都道府県・政令指定都市など
主な役割不登校の子どもの居場所づくり、学習支援、学校復帰や社会的自立の支援子どもと家庭に関する幅広い相談、心理検査、福祉的な支援
主な担当者教員経験者、指導員、心理相談員など児童福祉司、児童心理司、医師など
相談が向いているケース学校以外に通える場所や学習の機会を探したい家庭内の問題や発達・心身の状態も含めて専門的に相談したい

教育支援センターは「適応指導教室」などの名称で呼ばれることもあり、名称は自治体によって異なります。子どもが通所して、少人数での学習やスポーツ、創作活動などに参加できます。文部科学省の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」では、教育支援センターなど学校外の公的機関で相談・指導を受けた日数を、一定の要件を満たす場合に校長の判断で指導要録上の出席扱いにできるとされています。出席扱いになるかどうかは在籍校との連携状況などで判断されるため、利用前に学校へ確認しておくと安心です。

通所の前には、保護者と子どもが見学や面談を行うのが一般的です。問い合わせ先は、住んでいる市区町村の教育委員会、または在籍する中学校です。

児童相談所は、18歳未満の子どもに関するあらゆる相談を受け付ける機関で、不登校も相談対象に含まれます。児童心理司による面接や心理検査を通じて、子どもの状態を専門的に見立ててもらえます。家族関係の悩みや、子どもの発達特性が関係していると思われる場合にも相談できます。最寄りの児童相談所には、児童相談所相談専用ダイヤル(0120-189-783)から電話でつながります。

夜間や休日に子ども本人が悩みを話したいときは、文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)を利用できます。原則として電話をかけた地域の教育委員会の相談機関につながり、保護者からの相談も受け付けています。

頭痛や腹痛、朝起きられないといった身体症状が続いている場合は、これらの窓口とあわせて小児科などの医療機関を受診してください。

まとめ

中学生の不登校は、友人関係、学業、先生や部活動の悩み、起立性調節障害などの体調不良が重なって起きることがあります。親は子どもの気持ちを否定せず、登校を無理に促さずに、家を安心して休める場所にすることが大切です。

家では心身を休める時期を経てから、生活リズムを整え、勉強を少しずつ再開します。進路には全日制高校のほか、通信制高校、定時制高校、フリースクールなどがあります。受験で出席日数がどう扱われるかは都道府県や学校によって異なります。悩みはスクールカウンセラーや教育支援センターに早めに相談しましょう。

執筆者
あした研究室編集部 (あしたけんきゅうしつへんしゅうぶ)
あした研究室編集部は、(株)すららネットの子どもの発達支援室に所属するスタッフと、学び・発達支援に関心を持つ編集チームによって運営されています。教育・発達支援・子育て・学習法などのテーマについて、現場視点と実証的な知見を大切にしながら、企画・取材・執筆・編集・校正・発信まで一貫して取り組んでいます。私たちの使命は、保護者や教育関係者、子ども自身が次の一歩を見つけられるような 信頼できる知見とアイデアを届けること。読者の皆さまには、根拠ある情報と温かい視点を通じて、学びと成長を支えるパートナーでありたいと考えています。