- 1 不登校の小学生が増加している現状
- 2 小学生が不登校になる主な原因
- 2-1 友達や先生との人間関係のトラブル
- 2-2 勉強の遅れや学校生活への不安
- 2-3 家庭環境の変化や親子のコミュニケーション不足
- 3 不登校の小学生に対する親の対応
- 3-1 子どもの気持ちを否定せずに受容する
- 3-2 無理に学校へ行かせようとしない
- 3-3 学校や専門機関に相談して抱え込まない
- 4 不登校の小学生の家での過ごし方
- 4-1 規則正しい生活リズムを保つ工夫
- 4-2 好きなことに没頭する時間を大切にする
- 4-3 家事の手伝いなどで家庭内の役割を与える
- 5 不登校の小学生の勉強の遅れを取り戻す方法
- 5-1 家庭学習教材やオンライン学習を活用する
- 5-2 フリースクールや教育支援センターを利用する
- 6 まとめ
文部科学省の調査では、2023年度に不登校だった小学生は約13万人で、過去最多です。原因は友達や先生との関係、勉強への不安、家庭環境の変化などが重なっていることが多く、親はまず子どもの気持ちを否定せずに受け止め、無理に登校させないことが大切です。そのうえで担任やスクールカウンセラーに相談し、家庭だけで抱え込まないようにしましょう。家では起床・就寝時刻をそろえ、好きなことや家事の手伝いに取り組む時間をつくります。勉強の遅れはオンライン学習やフリースクールで補え、要件を満たせば出席扱いになる場合もあります。
不登校の小学生が増加している現状
不登校の小学生は年々増え続けており、過去最多を更新しています。文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の令和5年度の結果では、全国の不登校の小学生は130,370人でした。前年度の105,112人から約2万5千人増え、在籍児童1,000人あたりでは21.4人です。1クラスを30人とすると、1〜2クラスに1人程度の割合になります。
この調査でいう不登校とは、年間30日以上欠席した児童生徒のうち、心理的・情緒的・身体的・社会的な要因や背景によって、登校しない、あるいは登校したくてもできない状況にある場合を指します。病気や経済的な理由による欠席は含みません。
| 調査年度 | 不登校の小学生の数 | 在籍児童1,000人あたり |
|---|---|---|
| 令和4年度 | 105,112人 | 17.0人 |
| 令和5年度 | 130,370人 | 21.4人 |
小学校と中学校を合わせた不登校児童生徒数は346,482人で、11年連続の増加です。10年前の平成25年度には、不登校の小学生は約2万4千人でした。令和5年度はその5倍以上にあたります。人数だけでなく在籍児童に占める割合も上がっているため、少子化が進むなかでも、不登校は多くの家庭で起こり得る状況になっています。学年別では、学年が上がるほど人数が多くなる傾向があります。
増加の背景について、文部科学省は次のような要因を挙げています。
- 新型コロナウイルス感染症の流行が長引き、生活環境が変化したこと
- 学校生活でさまざまな制限が続き、友達との関係を築きにくくなったこと
- 休養の必要性を認めた教育機会確保法の考え方が広まり、保護者の登校に対する意識が変わったこと
このうち教育機会確保法は2016年に成立した法律で、不登校の子どもが学校以外の場で学ぶことの重要性や、休養が必要な場合があることを示しています。「どんな状況でも登校させるべき」という考え方が見直され、無理に登校させない選択をする家庭が増えたことも、数字が伸びた一因と考えられています。
一方で、支援が行き届いていない状況も明らかになっています。同じ調査では、学校内外の専門機関などで相談や指導を受けていない不登校の小中学生が約13万4千人いて、不登校児童生徒全体の約4割を占めました。これを受けて、文部科学省は不登校への対応に関する施策として、令和5年に「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」をまとめました。学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)や、校内の教育支援センターの設置などを進めています。
不登校の小学生が増えるにつれて、利用できる相談先や学びの場も広がっています。子どもが学校に行けなくなったとき、家庭だけで抱え込まずに外部の支援につながる選択肢は、以前より増えています。
小学生が不登校になる主な原因
小学生の不登校は、一つの出来事だけで起こるとは限りません。人間関係の悩み、勉強への不安、家庭での変化などが重なり、登校しぶりが続くうちに学校へ行けなくなるケースが多く見られます。文部科学省が令和2年度に実施した「不登校児童生徒の実態調査」では、小学6年生の回答で、学校に行きづらいと感じ始めたきっかけとして最も多かったのは「先生のこと」でした。「身体の不調」「生活リズムの乱れ」「友達のこと」も多く選ばれ、「きっかけが何か自分でもよくわからない」と答えた子どももそれらと同程度いました。
小学生は、自分の気持ちを言葉で説明する力がまだ育っている途中です。そのため不安やストレスを言葉にできず、朝になると腹痛や頭痛、吐き気を訴えるといった身体症状として表れることがあります。朝起きられない状態が続く場合は、起立性調節障害などの病気が関係している可能性もあるため、小児科での受診も検討してください。
友達や先生との人間関係のトラブル
学校生活の大半は、クラスメイトや担任の先生と過ごす時間です。そのため、人間関係のつまずきは不登校の大きなきっかけになります。
友達との関係では、いじめや仲間外れのほか、仲の良かった友達とのけんか、グループに入れない孤立感などが挙げられます。小学校高学年になるとグループ意識が強まり、LINEなどのSNSやオンラインゲーム上のやり取りが原因でトラブルになることもあります。いじめのように周囲から見て分かりやすい問題がなくても、「クラスに居場所がない」と感じるだけで、登校がつらくなる子どもは少なくありません。
先生との関係では、大きな声で叱る先生を怖いと感じる、自分が叱られていなくても他の子が叱られる場面を見て緊張する、先生との相性が合わないといった理由があります。小学校では学級担任が多くの教科を受け持つため、担任との関係が合わないと、一日の大半を苦手な相手と過ごすことになります。クラス替えや担任の交代がある4月、長期休み明けの9月前後に登校しぶりが始まりやすいのは、こうした人間関係の変化が重なるためです。
勉強の遅れや学校生活への不安
授業についていけないことも、学校に行きたくない理由になります。算数では、3年生のわり算や4年生の小数・分数など、学年が上がるにつれて内容が抽象的になり、つまずく子どもが増えます。分からない授業を毎日座って聞き続けることや、宿題ができずに注意されることが続くと、自信を失い、学校そのものを避けるようになります。
読み書きや計算に極端な苦手さがある場合は、学習障害(LD)などの発達特性が関係していることもあります。本人が努力しても成果が出にくいため、「怠けている」と誤解されて傷つくことがあります。
学校生活全般への不安もきっかけになります。具体的には次のような場面です。
- 音や人の多さに疲れやすく、にぎやかな教室にいるだけで消耗する
- 給食の完食や時間内に食べ終えることが負担になっている
- 発表や音読、運動会・学習発表会の練習など、人前に出る活動が苦手
- 集団行動のルールや時間割の変更に合わせるのが難しい
感受性が強く周囲の刺激に敏感な子どもや、真面目で失敗を恐れる子どもは、こうした場面で強い緊張を感じやすい傾向があります。小学1年生では、幼稚園・保育園との環境の違いに適応できず、登校しぶりにつながることもあります。
家庭環境の変化や親子のコミュニケーション不足
家庭での出来事が、子どもの心の安定に影響して不登校につながる場合もあります。引っ越しや転校、両親の離婚や別居、きょうだいの誕生、家族の病気や死別などの変化によって、子どもは大きなストレスを抱えます。転校では、新しい学校で人間関係を一から作り直す負担も加わります。
親子のコミュニケーションも関係します。共働きなどで会話の時間が少なく悩みを打ち明ける機会がない場合や、反対に親の期待や干渉が強く、子どもが「失敗してはいけない」と感じている場合、学校での不安を家庭で解消できず、ため込みやすくなります。また、親と離れることへの不安が強い子どもは、学校で過ごすこと自体に抵抗を感じる場合があります。
ただし、家庭環境だけが不登校の原因になることはまれで、学校での悩みなど他の要因と重なって表れるのが一般的です。家庭の状況を振り返ることは子どもの気持ちを理解する手がかりになりますが、親が自分を責める必要はありません。
不登校の小学生に対する親の対応

子どもが学校に行けなくなったとき、最初に接するのは親です。親の声かけや態度によって、子どもが家で安心して休めるか、自分を責め続けるかが変わります。ここでは、親が取るべき対応を「気持ちの受け止め方」「登校との向き合い方」「相談先の活用」の3つに分けて解説します。
子どもの気持ちを否定せずに受容する
学校に行けない子どもの多くは、「行かなければいけない」とわかっていながら行けない自分を責めています。そこへ親が「なんで行けないの」「みんな行っているのに」「甘えているだけ」といった言葉をかけると、子どもは家でも気持ちを出せなくなります。まずは行けないという事実と、そのときの子どもの気持ちをそのまま受け止めることが出発点です。
小学生は、自分の不安やつらさを言葉でうまく説明できないことがよくあります。登校前になると腹痛や頭痛、吐き気を訴えるなど、気持ちが体の不調として表れる場合もあります。理由を聞き出そうと質問を重ねると、答えられない子どもはさらに追い詰められます。本人が話し始めたときに手を止めて聞く、話さないときは無理に聞かないという姿勢が向いています。
受容を伝える声かけとしては、次のようなものがあります。
- 「話してくれてありがとう」「つらかったんだね」と、話した内容より話してくれたこと自体を受け止める
- 「学校に行っても行かなくても、あなたが大切なことは変わらない」と、登校と子どもの価値を切り離して伝える
- 「どうしたらいいか一緒に考えよう」と、子どもを一人にしない意思を示す
親自身が不安や焦りを抱えるのは自然なことです。ただ、ため息や表情、夫婦間の言い争いなどから、子どもは親の不安を敏感に感じ取ります。親が気持ちを吐き出す場は子どもの前ではなく、パートナーや相談機関などに求めるようにしましょう。
無理に学校へ行かせようとしない
文部科学省は「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」の中で、不登校は取り巻く環境によってどの子どもにも起こり得るものであり、不登校というだけで問題行動と受け取られないよう配慮すること、支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指すものであることを示しています。また、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で、学業の遅れや進路選択上の不利益、社会的自立へのリスクが存在することにも留意するよう求めています。
心身が疲れ切っている状態で、車に乗せて連れて行く、泣いている子どもを校門まで引っ張って行くといった対応をすると、子どもが親に不信感を持ったり、症状が長引いたりするおそれがあります。特に行き渋りが始まったばかりの時期や、体調不良が続いている時期は、休ませてエネルギーを回復させることを優先します。
一方で、「無理に行かせない」ことは「何もしない」ことではありません。次の点を意識すると、休ませながらも社会とのつながりを保てます。
- 欠席の連絡や家庭での様子の共有など、学校との連絡は親が続ける
- 子どもが「行ってみようかな」と口にしたときは、その気持ちを受け止め、実現しやすい形を学校と相談する
- 登校を再開する場合も、放課後だけ行く、保健室や別室で過ごす、好きな授業だけ出るなど、短時間・小さな段階から始める
登校を促してよい時期かどうかの判断は、子どもの状態によって異なり、親だけで見極めるのは難しいものです。担任やスクールカウンセラーと子どもの様子を共有しながら判断していきましょう。
学校や専門機関に相談して抱え込まない
不登校は原因が一つに特定できないことも多く、親だけで解決しようとすると親子ともに疲弊しやすくなります。早い段階で外部に相談し、複数の大人で子どもを支える体制をつくることが大切です。主な相談先と、相談できる内容は次のとおりです。
| 相談先 | 主な役割・相談できること |
|---|---|
| 担任・学年主任 | 学校での様子の確認、友達関係の調整、プリントや連絡の受け取り方の相談 |
| 養護教諭(保健室の先生) | 体調不良の訴えへの対応、保健室登校の相談 |
| スクールカウンセラー | 子どもや保護者の心理面の相談、関わり方の助言 |
| スクールソーシャルワーカー | 家庭の経済状況や福祉サービスなど、環境面の調整 |
| 教育委員会の教育相談窓口・教育支援センター | 学校外での相談、学校以外の居場所や学習の場の紹介 |
| 小児科・児童精神科などの医療機関 | 身体症状や睡眠の乱れ、発達特性に関する診察・助言 |
朝起きられない、立ちくらみがする、午前中は体調が悪く午後になると元気になるといった状態が続く場合は、起立性調節障害などの病気が隠れている可能性もあります。気持ちの問題だけで説明せず、まずはかかりつけの小児科を受診して相談してください。
相談の際は、休み始めた時期、登校前後の様子、体の不調が出る時間帯、子どもが話したことなどをメモしておくと、状況が正確に伝わり、具体的な助言を受けやすくなります。
学校には話しにくい悩みや、夜間・休日に子どもや親が追い詰められたときは、文部科学省が案内している「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)に電話で相談できます。子ども本人だけでなく保護者も利用可能です。また、地域によっては不登校の子どもを持つ保護者が集まる「親の会」が活動しており、同じ立場の人と経験を共有することで、親自身の孤立を防ぐことにもつながります。
- 「理由を聞くと黙ってしまう。どう話そう」
- 「今日は声をかけるか、待つか迷う」
- 「学校と相談しながら、自分の不安も整理したい」
話せるときに聞こうと思っていても、日々の場面では迷うことがあります。学校や相談先に支えてもらいながら、家庭での関わり方を具体的に学ぶことも選択肢です。
ほめビリティは、子どもを無理に変えようとするのではなく、日々の声かけや関わり方を実践しながら学ぶ、保護者向けのオンラインプログラムです。
ほめビリティ・ラウンジでは、声かけを学ぶ機会や保護者同士の交流の場が案内されています。自分に合う学び方か、内容を確かめてみてください。
不登校の小学生の家での過ごし方

学校を休み始めた直後の子どもは、心も体も疲れていることが多く、まずは家で休むことが必要です。文部科学省の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」でも、不登校の時期が休養や自分を見つめ直すなどの積極的な意味を持つことがあるとされています。一方で同通知は、学業の遅れや社会的自立へのリスクにも留意するよう求めています。休養を認めつつ、生活が乱れすぎないように整えることが家での過ごし方の基本です。
規則正しい生活リズムを保つ工夫
学校に行かない日が続くと、起きる時間や寝る時間が決まらず、昼夜逆転になりやすくなります。生活リズムが崩れると、日中に眠くなる、食欲が落ちる、気分が沈みやすくなるといった変化が起こり、登校や外出を再開したいと思ったときの負担も大きくなります。
最初に整えたいのは起床時刻です。登校時刻に合わせる必要はなく、「朝8時までに起きる」など子どもが守れそうな時刻を一緒に決めます。起きたらカーテンを開けて朝日を浴び、朝食をとると、体内時計が整いやすくなります。
睡眠時間の目安として、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、小学生は9〜12時間の睡眠をとることが推奨されています。寝る時刻が遅くなっている場合は、寝る1時間前にはゲームやスマートフォン、タブレットの使用を終えるなど、入眠前の過ごし方を見直します。
1日の予定を大まかに決めておくことも有効です。たとえば次のような流れを、子どもと相談してホワイトボードや紙に書き出しておくと、見通しを持って過ごせます。
- 午前:着替え・朝食、30分ほどの学習や読書
- 昼:昼食、自由時間
- 午後:散歩や買い物などの外出、家の手伝い
- 夜:夕食、入浴、決めた時刻に就寝
すでに昼夜逆転している場合、一気に元の時刻に戻そうとするとうまくいかないことが多いため、起床時刻を数日ごとに15〜30分ずつ早めていきます。また、朝どうしても起きられない、起きると頭痛や腹痛、立ちくらみがあるといった症状が続く場合は、起立性調節障害などの体の病気が関係していることもあります。本人の努力不足だけを原因と考えず、小児科を受診して確認してください。
好きなことに没頭する時間を大切にする
学校を休んでいる子どもは、「みんなは学校に行っているのに」という罪悪感や焦りを抱えていることがあります。絵を描く、工作をする、本や漫画を読む、ゲームや動画を楽しむなど、好きなことに集中している間は不安から離れることができ、気持ちの回復につながります。「これができた」「ここまで作れた」という経験は、自信を取り戻すきっかけにもなります。
親が子どもの好きなことに関心を持つと、会話のきっかけにもなります。マインクラフトで作った建物を見せてもらう、好きなキャラクターについて教えてもらうなど、子どもが話しやすい話題から関わると、学校の話をしなくても親子の時間を持てます。
ゲームや動画については、心配して取り上げたくなる保護者も多いですが、急に禁止すると反発を招き、親子関係が悪くなることがあります。使い方のルールは、親が一方的に決めるのではなく子どもと話し合って決めると守られやすくなります。
- 使う時間帯を決め、夜遅くや就寝前は使わない
- 課金をするときは事前に保護者に相談する
- 自室ではなくリビングなど家族のいる場所で使う
ただし、食事や睡眠を削ってまでやめられない、やめるよう声をかけると激しく怒る状態が長く続く場合は、ゲームへの依存が疑われます。その場合は家庭だけで抱えず、学校や医療機関などに相談しましょう。
家の中の活動だけでなく、平日の昼間に近所を散歩する、公園や図書館に行くといった短い外出も、気分転換や体力の維持に役立ちます。同級生や近所の人の目が気になる子どもの場合は、登下校の時間帯を避けるなど、本人が安心できる時間や場所を選ぶようにします。
家事の手伝いなどで家庭内の役割を与える
学校に行けない期間が続くと、子どもは「自分は何もできていない」と感じやすくなります。家庭の中に決まった役割があると、家族から「ありがとう」と言われる機会が生まれ、自分が家族の役に立っていると実感できます。毎日決まった時間に行う手伝いは、1日の生活リズムを作ることにもつながります。
手伝いの内容は、学年や本人の興味に合わせて選びます。
- 低学年:洗濯物をたたむ、食事の前に箸や食器を並べる、植物に水をやる
- 中学年:お風呂を掃除する、米をとぐ、ペットの世話をする
- 高学年:簡単な料理を作る、近所のスーパーで買い物をする、ゴミの分別をして出す
役割を与えるときは、親が押しつけるのではなく、いくつかの候補から子どもに選んでもらうと続けやすくなります。仕上がりが大人の基準に届かなくてもやり直しを求めず、「洗濯物をたたんでくれたから助かった」のように、何が助かったのかを具体的に伝えます。体調や気分が優れずできない日があっても責めないようにしましょう。
注意したいのは、「学校に行かないなら家事をしなさい」と罰のように手伝いをさせることです。子どもが手伝いを学校を休んでいることへの罰と受け取ると、罪悪感が強まり、手伝い自体を嫌がるようになります。手伝いは、家族の一員として家を支える役割として頼むことが大切です。
不登校の小学生の勉強の遅れを取り戻す方法

小学校の学習は、前の学年の内容を土台に次の単元を学ぶ積み上げ型です。たとえば算数では、かけ算の九九が身についていないと、3年生のわり算や4年生の小数・分数の計算でつまずきます。そのため、今の学年の教科書から始めるのではなく、理解があいまいになった単元まで戻って学び直すことが、遅れを取り戻す近道になります。
取り組む前に、教科書の目次やドリルの確認問題を使い、どの単元までなら解けるかを親子で確認しておきます。解けない問題が続く単元が、学び直しのスタート地点の目安です。学校を休んでいる期間が長いほど遅れは大きくなりますが、小学校の内容は単元ごとの範囲が比較的小さく、戻って学び直せば追いつける可能性があります。
家庭学習教材やオンライン学習を活用する
家庭で学ぶ方法には、紙のドリルや通信教育、タブレット教材、オンライン家庭教師などがあります。主な選択肢と特徴は次のとおりです。
| 種類 | 主な例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 無料の学習コンテンツ | NHK for School | 教科ごとの短い動画で、授業の要点を確認できる |
| 通信教育・タブレット教材 | 進研ゼミ小学講座、スマイルゼミ、Z会 | 教科書に沿った内容を、自動採点や解説付きで進められる |
| 無学年式のオンライン教材 | すらら | 学年にとらわれず、前の学年の単元までさかのぼって学べる |
| オンライン家庭教師 | 各社のオンライン指導サービス | 講師がつまずきに合わせて説明し、質問にその場で答えてもらえる |
教材を選ぶときは、次の点を確認します。
- 前の学年の内容にさかのぼって学べるか
- 1回の学習が10〜15分程度の短い単位に分かれているか
- 自動採点や解説があり、親が教えなくても進められるか
- 学習した時間や正答率を、保護者が画面で確認できるか
不登校の期間が長い子どもは、机に向かう習慣そのものが途切れていることがあります。最初は国語と算数に絞り、1日15分など終わりが見える量から始めると続けやすくなります。無料体験を用意している教材も多いため、子ども自身に試してもらい、本人が続けられそうだと感じたものを選ぶと定着しやすくなります。
家庭でのICTを活用した学習は、条件を満たせば指導要録上の出席扱いになる場合があります。文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」では、保護者と学校との間に十分な連携・協力関係があること、ICT等を活用した学習活動であること、訪問等による対面指導が適切に行われていること、学習内容が学校の教育課程に照らして適切であることなどが要件として示されています。出席扱いにするかどうかは在籍校の校長が判断するため、利用を考える段階で担任に教材名と学習計画を伝え、学習記録の提出方法を確認しておく必要があります。学習の成果を成績評価に反映できる場合がある点も、同通知に記載されています。
フリースクールや教育支援センターを利用する
家庭だけでの学習が難しい場合や、家族以外の大人や同年代の子どもと関わる機会がほしい場合は、学校以外の学びの場を利用する方法があります。2017年に全面施行された教育機会確保法では、不登校の子どもが学校以外の場で行う多様な学習活動の重要性が示されており、代表的な場が教育支援センターとフリースクールです。
| 項目 | 教育支援センター | フリースクール |
|---|---|---|
| 運営 | 市区町村の教育委員会など | NPO法人、民間団体、個人など |
| 費用 | 原則無料 | 施設ごとに異なり、月謝がかかることが多い |
| 主な活動 | 個別の学習支援、小集団での活動、相談 | 学習、体験活動、自由な活動など施設ごとに多様 |
| 出席扱い | 在籍校の校長の判断で出席扱いになる場合がある | 一定の要件を満たし、在籍校の校長が認めれば出席扱いになる場合がある |
教育支援センターは、かつて適応指導教室と呼ばれていた公的な施設です。在籍校と連携しながら、プリントや教科書を使った個別学習を中心に、子どものペースに合わせた学習支援を受けられます。費用の負担を抑えたい家庭や、将来的に学校へ戻ることも視野に入れている家庭に向いています。設置場所や開室日は自治体によって異なるため、在籍校か教育委員会に問い合わせて確認します。
フリースクールは、学習に力を入れる施設、自然体験や創作活動を重視する施設、オンラインで参加できる施設など、方針や活動内容が大きく異なります。文部科学省が2015年に公表した民間の団体・施設に関する調査では、会費(授業料)の月額の平均は約3万3,000円とされています。費用は施設によって幅があるため、入会金や教材費も含めて事前に確認しておきます。
どちらを利用する場合も、次の点を見学や体験利用で確かめてから決めると、通い始めてからのずれを減らせます。
- 教科の学習をどの程度サポートしてもらえるか
- 在籍校と連絡を取り合い、出席扱いの手続きに協力してもらえるか
- 自宅から無理なく通える距離か、通う日数や時間を選べるか
- スタッフや他の子どもの雰囲気が、子どもに合っているか
学校以外の場に通うかどうかは、子ども本人の意思を尊重して決めることが前提です。親が候補を調べて見学に誘い、子どもが「ここなら行ってみたい」と感じた場所を選ぶことで、学習を続けるきっかけになりやすくなります。
教育支援センターについてはあした研究室の解説、通所型・オンライン型のフリースクールについてはフリースクールの出席扱いの記事も参考になります。どちらも本人の希望と地域の利用条件を確認して選びましょう。
出席扱い制度の条件や学校と相談する手順は、あした研究室の出席扱い制度(ネット出席)にまとめています。利用前に在籍校へ確認してください。
短い時間や分かる単元から自宅学習を試したいときは、本人の理解度に合わせて進められる教材も選択肢になります。学校に課題の量を相談しながら、無理なく取り組める方法を考えましょう。
無学年式オンライン教材「すらら」なら、学校の進度や学年に縛られず、理解できているところまで戻って自宅で学習できます。
不登校中の学習や出席扱い制度の活用もサポートしています。出席扱いは教材利用だけで決まらないため、在籍校への事前確認が必要です。
まとめ
文部科学省の調査では、小学生の不登校は年々増えています。原因は友達や先生との関係、勉強への不安、家庭環境の変化などが重なっていることが多くあります。
親は子どもの気持ちを否定せずに受け止め、無理に登校させないようにしましょう。また、学校や専門機関に相談し、一人で抱え込まないことが大切です。家では生活リズムを保ちつつ、好きなことに取り組む時間や家事の役割を作りましょう。勉強の遅れは、家庭学習教材やオンライン学習、フリースクール、教育支援センターで補えます。学校と相談すれば、出席扱いになる場合もあります。