- 1 不登校は甘えではないと言い切れる理由
- 1-1 子どもの心と体に起きているSOSのサイン
- 1-2 甘えと不登校の境界線とは
- 2 不登校が甘えに見えてしまうのはなぜか
- 2-1 家では元気な姿を見せるから
- 2-2 ゲームやスマホばかりしているから
- 2-3 親自身の不安や焦りが原因の場合も
- 3 不登校の子どもに対する親の接し方
- 3-1 まずは子どもの気持ちを受容し共感する
- 3-2 無理に学校へ行かせようとしない
- 3-3 家庭を安心できる居場所にする
- 4 不登校を解決に導くための相談先と支援
- 4-1 学校の先生やスクールカウンセラーとの連携
- 4-1-1 担任の先生に伝えておきたいこと
- 4-1-2 スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの役割
- 4-1-3 担任との関係がうまくいかないとき
- 4-2 心療内科や不登校支援の専門機関の活用
- 4-2-1 医療機関の受診を考えたいケース
- 4-2-2 教育支援センターとフリースクール
- 4-2-3 児童相談所・精神保健福祉センター・親の会
- 4-2-4 子どもの状態に合った相談先の選び方
- 5 まとめ
不登校は甘えではなく、子どもが心や体の限界を知らせるSOSであることが多いです。文部科学省も2019年の通知で、不登校はどの子どもにも起こり得るものであり、問題行動と判断してはならないと示しています。家では元気に見えたり、ゲームやスマホばかりしていたりするのは、学校で消耗した心を休めている場合があり、怠けとは限りません。この記事では、甘えに見えてしまう理由、気持ちを受け止めて無理に登校させず家庭を安心できる居場所にする接し方、スクールカウンセラーや心療内科、教育支援センターなどの相談先を紹介します。
不登校は甘えではないと言い切れる理由
不登校を「甘え」や「怠け」と考えるのは、国の考え方とも一致しません。文部科学省は不登校を、病気や経済的な理由を除き、心理的・情緒的・身体的・社会的な要因によって年間30日以上欠席している状態と定義しています。本人の性格や意志の弱さだけで決まるものとは位置づけていません。
2019年に文部科学省が出した通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」では、不登校は取り巻く環境によってはどの児童生徒にも起こり得るものとされています。そのうえで、不登校というだけで問題行動と受け取られないよう配慮することや、登校という結果だけを目標にしないことが示されています。2016年に成立した教育機会確保法でも、不登校の子どもには休養が必要な場合があることが明記されています。
不登校は特別な家庭の子どもだけに起きることでもありません。文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、2023年度の小中学校の不登校児童生徒数は34万6,482人で、11年連続で増えて過去最多となりました。これほど多くの子どもが同じ状態にあることを、一人ひとりの甘えだけで説明するのは無理があります。
子どもの心と体に起きているSOSのサイン
学校に行けなくなる前後の子どもには、心や体の不調がサインとして表れることが多くあります。本人が理由をうまく言葉にできなくても、次のような変化があれば、心身が限界に近づいている可能性があります。
- 朝になると頭痛・腹痛・吐き気・めまいを訴える
- 夜に眠れない、朝に起きられないなど睡眠のリズムが崩れる
- 食欲が落ちる、または急に食べる量が増える
- ささいなことでイライラする、急に泣き出す
- 好きだった遊びや趣味に興味を示さなくなる
- 「自分はだめだ」「消えたい」といった言葉を口にする
体の症状は、ストレスが自律神経などに影響して実際に起きているもので、仮病とは違います。登校時間を過ぎたり休日になったりすると症状が軽くなることもありますが、これは緊張の原因から離れたことで体が回復している状態と考えられます。
朝起きられない背景には、起立性調節障害が隠れている場合もあります。起立性調節障害は思春期に多く、朝に血圧がうまく上がらないために、起き上がれない、立ちくらみがするといった症状が出る病気です。本人の気合いで治せるものではないため、朝の不調が続く場合は小児科などでの確認が必要です。
2024年に公表された文部科学省の委託研究「不登校の要因分析に関する調査研究」では、不登校の子ども本人は、教員が把握していたよりも多く「身体の不調」「不安・抑うつ」「いじめ被害」などを挙げていたと報告されています。周りの大人から見えている理由と、子ども自身が抱えている理由は一致しないことがあるため、表面の様子だけで甘えと判断するのは危険です。
甘えと不登校の境界線とは
甘えと不登校を見分けるときは、「行きたくない」という気持ちがあるかどうかより、「行こうとしても行けない状態」が続いているかどうかに注目します。嫌な授業や行事を避けたいという一時的な気持ちであれば、1〜2日休んだり、楽しみな予定があったりすれば自分から登校できることが多いです。一方、不登校の状態にある子どもは、行かなければいけないと頭ではわかっていても、朝になると体が動かなくなります。
判断の目安として、次のような点を確認すると状況を整理しやすくなります。
- 休む日が続いている、または休む頻度が増えている
- 休んだことに強い罪悪感を持ち、自分を責めている
- 学校の話題が出ると表情が固まる、黙り込む
- 睡眠や食事など、学校以外の生活にも影響が出ている
- SOSのサインで挙げた心身の不調が同時に表れている
これらが当てはまる場合は、甘えではなく、心のエネルギーが大きく減っている状態と考えられます。うつ病の診断基準でも、気分の落ち込みなどの症状が2週間以上続くことが一つの目安とされています。不調が数週間続いている場合は、家庭だけで判断せず、専門家の意見を聞くことが大切です。
また、子どもが親に頼る「甘え」自体は悪いものではありません。安心して頼れる相手がいることで、子どもは疲れた心を回復させ、再び外の世界へ向かう力を取り戻していきます。親が甘えを受け止めることと、子どもをわがままにさせることは同じではありません。
不登校が甘えに見えてしまうのはなぜか

不登校の子どもを見て「甘えているだけでは」と感じる背景には、子どもの行動の意味と、親の側の受け止め方の両方が関わっています。ここでは、甘えと誤解されやすい代表的な場面と、その裏にある子どもの状態を整理します。
家では元気な姿を見せるから
学校を休んでいるのに、家では笑ったりテレビを見たりしている姿を見ると、「本当はつらくないのでは」と感じる親は少なくありません。しかし、家で元気に見えるのは、学校という緊張の強い場所から離れているためと考えられます。友人関係や授業、先生とのやりとりなど、不安の原因となる場面がない家では、緊張がほどけて普段どおりに振る舞えます。
その一方で、登校の話題が出たときや日曜日の夜、登校前の朝になると、腹痛・頭痛・吐き気などを訴える子どももいます。こうした症状が決まった場面でだけ出るのは、学校に関わる状況に心身が反応しているためと考えられます。症状が出ない時間帯だけを見て判断すると、子どもの本当の状態を見誤ります。
また、「朝は起きられないのに、昼過ぎから元気になる」という様子が見られる場合は、起立性調節障害が隠れていることがあります。起立性調節障害は自律神経の働きが乱れる病気で、午前中に立ちくらみやだるさなどの症状が強く、午後から夜にかけて軽くなる特徴があります。本人の意思ではコントロールしにくいため、怠けや夜更かしと誤解されやすい病気です。朝の不調が続く場合は、小児科などで相談してください。
ゲームやスマホばかりしているから
学校を休んで一日中ゲームやスマホを触っていると、「遊びたいから休んでいる」と見えがちです。しかし、不登校の子どもにとってゲームやスマホは、不安やつらさから一時的に気をそらす手段になっていることがあります。
心のエネルギーが落ちている時期は、勉強や読書のように集中力を必要とする活動がつらく感じられます。ゲームや動画視聴は受け身でも続けられるため、その時期でも取り組みやすい活動です。さらに、オンラインゲームやSNSを通じて友人とやりとりしている場合は、学校に行けない間も人とのつながりを保つ場になっています。ゲームで目標を達成する経験が、自信を失った子どもにとって「自分にもできることがある」と感じる機会になる場合もあります。
こうした役割を知らずにゲームやスマホを急に取り上げると、子どもは数少ない気晴らしやつながりを失います。その結果、親への反発が強まり、会話が減ることもあります。
ただし、昼夜逆転が長く続く、やめようとしてもやめられず生活に大きな支障が出ている、といった状態には注意が必要です。WHO(世界保健機関)は国際疾病分類ICD-11で「ゲーム行動症(ゲーム障害)」を病気として位置づけています。使用時間の長さそのものより、生活全体がゲーム中心になって崩れていないかを見ることが大切です。
親自身の不安や焦りが原因の場合も
子どもの不登校が甘えに見える理由は、子どもの行動だけにあるわけではありません。親自身の経験や不安が、見え方に影響していることもあります。
たとえば、親が学生時代に「多少つらくても学校には行くもの」と考えて通い続けてきた場合、学校を休む子どもの姿を受け入れにくくなります。学習の遅れ、高校受験や進学、将来の就職への心配が重なると、「今のうちに行かせなければ」という焦りが強まります。祖父母や周囲の保護者からの目が気になる、共働きで日中に子どもを一人で家に置くことが負担になる、といった事情も、親の気持ちを追い詰めます。
こうした不安や焦りを抱えたまま子どもに向き合うと、休んでいる姿を「甘え」と受け止め、叱ったり問い詰めたりしやすくなります。子どもは「わかってもらえない」と感じ、つらさを言葉にしなくなることがあります。
文部科学省の調査では、令和5年度に不登校とされた小中学生は約34万6千人で過去最多となり、11年連続で増えています。文部科学省は通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」の中で、不登校は取り巻く環境によってどの児童生徒にも起こり得るものとし、不登校というだけで問題行動と受け取られないよう配慮することを求めています。親が「自分の育て方が悪かった」「子どもが弱いから」と一人で抱え込まず、自分の中にある不安に気づくことが、子どもの状態を落ち着いて見るための第一歩になります。
不登校の子どもに対する親の接し方

不登校の子どもへの関わり方に、どの家庭にも当てはまる正解はありません。ただし、多くの支援機関や専門家が共通して勧める基本姿勢があります。子どもの気持ちを受け止めること、登校を強制しないこと、家庭を安心して過ごせる場所にすることの3つです。この3つは順番につながっていて、家庭で安心できて初めて、子どもは次の一歩を考える力を取り戻していきます。
まずは子どもの気持ちを受容し共感する
受容とは、子どもが感じている「つらい」「行きたくない」「怖い」といった気持ちを、良い・悪いと判断せずにそのまま受け止めることです。共感とは、その気持ちを親も理解しようとし、「それはしんどかったね」と言葉や態度で返すことです。子どもは、自分の気持ちを否定されないと分かって初めて、本音を話せるようになります。
話を聞くときは、次の点を意識してください。
- 途中で遮らず、最後まで聞く
- 「でも」「それくらいで」と反論や評価を挟まない
- アドバイスや解決策を急いで示さない
- 子どもの言葉を「学校に行くのが怖かったんだね」のように繰り返して、理解したことを伝える
声かけの違いの例を挙げます。「どうして行けないの?」「みんな頑張っているよ」は、子どもに理由の説明や比較を求める言葉になります。「話してくれてありがとう」「今は休んでいいよ」は、気持ちを受け止める言葉です。
不登校の理由を問い詰めることは避けましょう。子ども自身が理由をうまく言葉にできない場合や、いくつもの要因が重なっていて本人にも整理できていない場合は少なくありません。理由が分からないまま問われ続けると、子どもは「答えられない自分が悪い」と感じ、心を閉ざしやすくなります。話したくなったときに聞く、という姿勢で十分です。
言葉が出てこない時期は、無理に会話をしなくても構いません。同じ部屋で過ごす、好きな食事を用意する、目が合ったら穏やかに応じるといった関わりも、「あなたの味方でいる」というメッセージになります。
なお、受容は子どもの要求をすべて叶えることとは違います。「つらい」という気持ちは受け止めながら、生活上のルールや家族への配慮が必要な場面では、親の考えを落ち着いて伝えて構いません。気持ちを受け止めることと、行動のすべてを認めることは分けて考えましょう。
無理に学校へ行かせようとしない
心身のエネルギーが尽きている子どもを無理に登校させると、状態が悪化するおそれがあります。腹痛や頭痛などの身体症状が強まったり、「親にも分かってもらえない」と感じて親子の信頼関係が揺らいだりすることがあるためです。車で校門まで連れて行く、布団から引っ張り出すといった強い働きかけは、一時的に登校できても長続きしにくく、かえって回復を遅らせる場合があります。
国の方針も、登校だけを目標にする考え方から変わっています。文部科学省の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」では、不登校の支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指す必要がある、と示されています。同じ通知では、不登校の時期が休養や自分を見つめ直すといった積極的な意味を持つことがある点にも触れています。
無理に行かせないことは、放っておくこととは違います。子どもの状態に合わせて、関わり方を変えていくことが大切です。
- 休み始めて間もない時期:心身の回復を最優先にし、学校の話題は控える。毎朝「今日は行く?」と確認するのもやめる
- 表情や会話が戻ってきた時期:子どもが興味を示した範囲で、今後どうしたいかを一緒に考える
- 意欲が出てきた時期:別室登校や短時間登校、教育支援センターやフリースクールなど、学校以外も含めた選択肢を本人と一緒に検討する
学校との連絡は、親が窓口になりましょう。欠席連絡や担任とのやり取りを親が引き受けるだけでも、子どもの負担は軽くなります。学校から届いたプリントや友達からの手紙を渡すかどうかは、子どもの様子を見て判断し、本人が受け取りたくない時期は親が預かっておいても構いません。
家庭を安心できる居場所にする
学校に行けない子どもにとって、家庭は1日の大半を過ごす場所です。家でも責められていると感じると、子どもはどこにも心を休める場所がなくなってしまいます。家庭が安心できる場所になると、子どもは心身のエネルギーを少しずつ回復させることができます。
具体的には、次のような工夫があります。
- 学校や勉強以外の話題で会話する:好きなアニメやゲーム、ペット、夕食の献立など、子どもが答えやすい話題を選ぶ
- 家庭内で役割を持ってもらう:洗濯物をたたむ、料理を手伝うなどを頼み、やってくれたら「助かったよ」と伝える。人の役に立てたという経験は、自己肯定感の回復につながる
- 生活リズムをゆるやかに整える:起床時間を厳しく決めるより、「朝食だけは一緒に食べよう」「カーテンを開けよう」など、無理のない目標から始める
- ゲームやスマホのルールは話し合って決める:親が一方的に取り上げるのではなく、使う時間帯や夜間の置き場所などを子どもと相談して決める
家族の中で対応の方針をそろえることも重要です。母親は「休んでいい」と言い、父親は「甘えるな」と言うように家族の言葉が食い違うと、子どもは誰を信じればよいか分からなくなります。夫婦や祖父母とも話し合い、少なくとも「登校を強制しない」「理由を問い詰めない」といった基本方針は共有しておきましょう。きょうだいがいる場合は、不登校の子どもだけに関心が集中しないよう、きょうだいとの時間も意識して確保してください。
親自身が心の余裕を保つことも、家庭の雰囲気に直結します。子どもは親の表情やため息に敏感です。親が趣味の時間を持つ、信頼できる人に話を聞いてもらう、同じ悩みを持つ親の会に参加するなど、親が一人で抱え込まないための手段を持っておくと、子どもに落ち着いて向き合いやすくなります。
- 「話したくないとき、どう声をかけよう」
- 「気持ちを聞くことと、生活の約束をどう両立しよう」
- 「子どもに合う関わり方を、一緒に考える場がほしい」
こうした場面の声かけや関わり方を、家庭で試しながら学ぶ方法もあります。
ほめビリティは、子どもを無理に変えようとするのではなく、日々の声かけや関わり方を実践しながら学ぶ、保護者向けのオンラインプログラムです。
記事で紹介した「話を聞く」「本人に合わせて相談する」を日々の場面で考えたい方は、プログラムの案内を確認できます。
不登校を解決に導くための相談先と支援

不登校の支援は、学校だけでなく、医療機関、自治体の教育機関、福祉機関、民間団体など、さまざまな場所で受けられます。2017年に施行された「教育機会確保法」では、学校以外の場で学ぶことの重要性や、不登校の子どもが休養する必要性が示されています。文部科学省も、支援の目標を「学校に登校するという結果」だけに置かず、子どもが将来、社会的に自立することを目指すとしています(文部科学省「不登校への対応について」)。
ここでいう「解決」とは、必ずしも元の教室に戻ることではありません。子どもが自分に合った学び方や居場所を見つけることも含まれます。子どもの状態に合った相談先を選べるよう、主な窓口の役割を整理します。
学校の先生やスクールカウンセラーとの連携
最初の相談先として利用しやすいのは、子どもが在籍している学校です。欠席が続く間も学校との連絡を保っておくと、復帰や進路選択の場面で使える支援の幅が広がります。
担任の先生に伝えておきたいこと
担任の先生には、家での様子と今の子どもの状態を伝え、連絡の取り方をあらかじめ決めておくと、親子ともに負担が減ります。具体的には、次のような点を話し合っておくとよいでしょう。
- 欠席連絡の方法(毎朝電話するのか、まとめて連絡するのか)
- プリントや配布物の受け取り方
- 先生からの連絡や家庭訪問の頻度と、子ども本人が会うかどうか
- 保健室登校、別室登校、放課後登校など、教室以外で過ごす選択肢の有無
- 自宅でのオンライン学習や学校外の施設での学習を出席扱いにできるかどうか
文部科学省は、一定の要件を満たせば、自宅でのICTを使った学習や学校外の施設での学習を、校長の判断で指導要録上の出席扱いにできるとしています。条件の細かい運用は学校や自治体によって異なるため、早めに担任や教頭に確認しておくと安心です。
スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの役割
スクールカウンセラーは、公認心理師や臨床心理士などの心理の専門家です。子ども本人だけでなく、保護者だけの相談にも応じています。子どもが学校に来られない時期でも、親が相談に行き、子どもへの声かけのしかたや今後の見通しについて助言を受けられます。多くの学校では勤務日が週1日程度に限られているため、担任や学校の窓口を通じて予約を取るのが一般的です。
スクールソーシャルワーカーは、社会福祉士や精神保健福祉士などの福祉の専門家です。家庭の経済的な困難、きょうだいの世話、親の病気など、子どもを取り巻く環境に課題がある場合に、福祉サービスや関係機関とのつなぎ役を担います。配置の状況は自治体によって差があるため、利用したい場合は学校や教育委員会に問い合わせてください。
担任との関係がうまくいかないとき
いじめや先生との関係が不登校のきっかけになっている場合など、担任には相談しにくいこともあります。そのようなときは、学年主任、養護教諭、教頭、校長などに窓口を変えてもかまいません。学校内で相談するのが難しい場合は、市区町村の教育委員会や教育相談所に相談する方法もあります。
心療内科や不登校支援の専門機関の活用
学校との連携と並行して、子どもの状態に応じて医療機関や学校外の支援機関を利用すると、家庭と学校だけでは対応しきれない部分を補えます。
医療機関の受診を考えたいケース
次のような様子が続くときは、医療機関への相談を検討してください。
- 朝になると頭痛や腹痛、吐き気を訴える
- 朝どうしても起きられず、午後になると元気になる
- 眠れない、食欲がない、体重が大きく減った
- 気分の落ち込みやイライラが強く、以前楽しめていたことに興味を示さない
朝起きられない、立ちくらみがするといった症状の背景には、自律神経の働きが関係する「起立性調節障害」が隠れていることがあります。うつ病や不安障害、発達障害の特性が不登校に影響している場合もあります。医療機関で原因がわかると、治療や学校での配慮につなげることができます。
受診先としては、まずかかりつけの小児科で体の病気がないか確認してもらい、必要に応じて児童精神科や心療内科を紹介してもらう流れが一般的です。心療内科は大人を主な対象にしているところもあるため、予約の前に何歳から診てもらえるかを確認してください。児童精神科は初診の予約から受診まで時間がかかる場合もあるので、気になったら早めに問い合わせておくと安心です。
「死にたい」と口にする、自分の体を傷つけるといった様子が見られるときは、様子を見ずにすぐに医療機関や相談窓口に連絡してください。夜間や休日には、文部科学省が案内している24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)が利用できます。子ども本人だけでなく保護者も相談できます。
教育支援センターとフリースクール
学校以外の学びの場や居場所としては、教育支援センターとフリースクールがあります。
教育支援センターは、市区町村の教育委員会などが設置している公的な施設で、「適応指導教室」と呼ばれることもあります。学習の支援やカウンセリング、少人数での活動を行っており、利用料は原則無料です。在籍校と連携しているため、通った日が出席扱いになるケースが多くあります。
フリースクールは、NPO法人や民間の団体が運営する施設です。学習中心、体験活動中心、自由に過ごすことを重視するところなど、方針は施設によって大きく異なります。月謝がかかるのが一般的で、金額も施設ごとにさまざまです。出席扱いになるかどうかは在籍校の校長の判断によるため、見学の段階で学校との連携の実績を確認しておくとよいでしょう。どちらの施設も、見学や体験利用ができるところが多いため、子どもと一緒に雰囲気を確かめてから決めると、利用を続けやすくなります。
児童相談所・精神保健福祉センター・親の会
児童相談所は、18歳未満の子どもに関するさまざまな相談を受け付けている機関です。虐待の対応のイメージが強いかもしれませんが、不登校や子育ての悩みについても相談できます。各都道府県と政令指定都市に設置されている精神保健福祉センターでも、子どものこころの健康について相談に応じています。
不登校の子どもを持つ保護者が集まる「親の会」も、地域ごとに活動しています。同じ経験をした保護者から、学校とのやり取りや進路選択の実例を聞けるのが特徴です。親が孤立せずに気持ちを話せる場があると、家庭での落ち着いた対応にもつながります。
子どもの状態に合った相談先の選び方
相談先は、今いちばん困っていることに合わせて選ぶと、必要な支援につながりやすくなります。
- 体調不良や睡眠、気分の落ち込みが気になる場合:小児科、児童精神科、心療内科
- 学習の遅れや日中の居場所に困っている場合:教育支援センター、フリースクール
- 家庭の事情や経済的な問題が関係している場合:スクールソーシャルワーカー、児童相談所
- 親自身が不安を抱えている、接し方に迷っている場合:スクールカウンセラー、精神保健福祉センター、親の会
一つの窓口だけで状況が変わらなくても、相談先を変えたり複数の窓口を組み合わせたりすることで、子どもに合う支援が見つかることがあります。相談した内容や子どもの様子を簡単にメモしておくと、窓口が変わったときにも状況を説明しやすくなります。
通所とオンラインでは何が違うのかを知りたい方は、あした研究室の教育支援センターの通所型・オンライン型の紹介も参考になります。地域の事例を含む記事のため、現在利用できる支援や対象はお住まいの教育委員会で確認してください。
小中学生の制度の概要は、あした研究室の出席扱いにできる制度(ネット出席)の案内で確認できます。制度の適用を保証するものではなく、具体的な条件は文部科学省の出席扱い・成績評価の資料も参考に、在籍校と相談してください。
まとめ
不登校は、子どもが心身の不調やストレスを行動で示しているサインであることが多く、甘えだけでは説明できません。家で元気に見えたりゲームやスマホに長く触れたりするのは、学校から離れて心を休めている場合があります。親自身の不安や焦りから、甘えに見えることもあります。
親はまず子どもの気持ちを否定せずに受け止め、登校を無理に促さず、家庭を安心して過ごせる場所にすることが大切です。一人で抱え込まず、担任やスクールカウンセラー、心療内科、教育支援センターなどに相談しながら対応を考えましょう。