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不登校の子にかける言葉|安心につながる声かけ・避けたい言葉

不登校の子にかける言葉で大切なのは、登校を促すことより先に「家は安心できる場所」と子供が感じられるようにすることです。「行けなくても味方だよ」と気持ちを受け止める言葉は安心につながります。一方で「いつから行くの?」と登校を急かす言葉、「みんなは行っているのに」という比較、「どうして行けないの?」と原因を問い詰める言葉は避けましょう。初期・停滞期・回復期の段階別と、小学生・中学生・高校生の年齢別に声かけの例を紹介し、迷ったときの相談先としてスクールカウンセラー、教育支援センター、フリースクールもまとめています。

不登校の子にかける言葉で親が知っておくべき基本

不登校は特別な家庭だけに起こることではありません。文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の令和5年度の結果では、小・中学校の不登校児童生徒数は346,482人で、過去最多でした。どの家庭でも起こり得ることであり、親が声かけの考え方を知っておくことが、子供の回復を支える土台になります。

声かけの前に親が押さえておきたいのは、次の2点です。

  • 子供が今どのような心理状態にあるのかを理解すること
  • 言葉をかける目的を「学校に戻すこと」ではなく「安心感を与えること」に置くこと

この2点を理解していないと、励ましのつもりの言葉が子供を追い詰めることがあります。

子供の心理状態を理解する

学校に行けない子供は、外からは「家でのんびりしている」「ゲームばかりしている」と見えることがあります。しかし内面では、次のような気持ちを抱えていることが少なくありません。

  • 罪悪感:「みんなは学校に行っているのに、自分は行けていない」と自分を責めている
  • 不安:勉強の遅れや友達との関係、将来のことを心配している
  • 自己否定:「自分はだめな人間だ」と自信をなくしている
  • 疲労感:学校生活や人間関係で心のエネルギーを使い果たし、動く気力が残っていない

心の状態は体にも表れやすく、朝になると腹痛や頭痛を訴え、昼過ぎには元気になるという様子は不登校の子供によく見られます。時間帯によって様子が違っても、本人は実際に不調を感じている場合があります。朝起きられない、立ちくらみがするといった症状が続く場合は、起立性調節障害などの体の病気が関わっている可能性もあるため、小児科で相談するとよいでしょう。

また、子供自身が不登校の理由をうまく説明できないことも珍しくありません。文部科学省が令和2年度に実施した「不登校児童生徒の実態把握に関する調査」でも、学校に行きづらくなったきっかけについて「自分でもよくわからない」と答えた子供が一定数いました。理由を言わないのは隠しているからではなく、本人も整理できていない場合があります。親が「理由がわからない状態もあり得る」と知っておくだけで、問い詰めるような言葉を減らせます。

不登校の子にかける言葉の目的は安心感を与えること

不登校の子供に言葉をかける目的は、登校を促すことではなく、「家は安心していられる場所だ」と子供が感じられるようにすることです。文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」でも、支援は学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、子供が自らの進路を主体的にとらえ、社会的に自立することを目指すものとされています。また、教育機会確保法では、不登校の子供にとって休養が必要な場合があることにも触れられています。

心のエネルギーが減っている子供は、家で安心して過ごすことで少しずつ気力を取り戻していきます。親の言葉が「学校に行けない自分でも受け入れてもらえている」という実感につながれば、子供は自分から気持ちを話したり、次の行動を考えたりしやすくなります。

安心感を与える声かけでは、次の点を意識します。

  • 行動ではなく存在を認める:「学校に行けたらえらい」ではなく、子供がいてくれること自体を大切に思っていると伝える
  • 気持ちを受け止める:「どうするの」と今後の対応を求める前に、「つらかったね」と今の気持ちを受け止める
  • 日常の会話を続ける:「おはよう」「ごはんできたよ」といった普段どおりの声かけを続け、不登校の話題だけにしない
  • 話を聞く姿勢を持つ:子供が話し始めたときは、途中で意見やアドバイスを挟まず最後まで聞く

言葉の内容と同じくらい、表情や声のトーンも子供に伝わります。「気にしなくていいよ」と言いながらため息をついたり、険しい表情をしていたりすると、子供は言葉よりも態度から親の不安を読み取ります。親自身が不安や焦りを強く感じているときは、無理に言葉を選ぼうとするより、まず親が気持ちを落ち着けられるように、家族や周囲の人に話を聞いてもらうことも大切です。

不登校の子にかける言葉で避けたいNGワード

登校の期限、他の子との比較、理由への要求を、体調・希望・話せる範囲を聞く言葉に言い換える三つの会話例。

不登校の子は、学校に行けない自分を責めたり、家族に迷惑をかけていると感じたりしていることがあります。親が励ましや心配のつもりで口にした言葉でも、子供には「責められている」「分かってもらえない」と伝わる場合があります。ここでは、親が言ってしまいがちなNGワードを3つの種類に分け、避けたい理由と言い換えの方向性を紹介します。

登校をプレッシャーにする言葉

登校を急がせる言葉は、子供に「早く元に戻らなければならない」という焦りを与えます。特に次のような言葉は、親に悪気がなくても日常的に出やすいものです。

  • 「明日は学校に行けそう?」
  • 「いつまで休むつもりなの?」
  • 「このままだと勉強についていけなくなるよ」
  • 「高校に行けなくなってもいいの?」
  • 「少しだけでいいから行ってみたら?」

子供自身も「行かなければ」と分かっているのに行けない状態にあることが多く、登校を促されるたびに、行けない自分を突きつけられます。その結果、朝になると腹痛や頭痛が強くなる、親と顔を合わせるのを避けて部屋にこもる、といった変化が起こる場合があります。将来や進路の不安をあおる言葉は、子供が抱えている不安をさらに大きくしやすいため、特に注意が必要です。

文部科学省の不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)では、不登校児童生徒への支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指す必要があるとされています。また、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す時間として積極的な意味を持つことがあるとも示されています。登校だけをゴールにした声かけは、この考え方とも方向がずれてしまいます。

言葉以外の態度も、プレッシャーとして伝わります。毎朝制服や時間割を準備して待つ、登校時間になると時計を気にする、欠席の連絡を入れるたびにため息をつく、といった行動は、子供に「行ってほしい」という親の気持ちを伝えてしまいます。

言い換える場合は、登校の予定ではなく今の体調や気持ちに目を向け、「今日はゆっくり休もうね」「体調はどう?」のように、休んでいることを認める言葉を選びます。

他の子と比較する言葉

他の子と比べる言葉は、子供に「自分はだめな存在だ」という思いを抱かせやすく、自己肯定感を下げる原因になります。

  • 「○○ちゃんは毎日ちゃんと学校に行っているよ」
  • 「お兄ちゃんは休まず通っていたのに」
  • 「お母さんが子供のころは、つらくても学校に行ったよ」
  • 「前はちゃんと行けていたのに、どうしちゃったの?」
  • 「同じように休んでいたあの子は、もう学校に戻ったんだって」

比較の対象は同級生だけではありません。きょうだい、親自身の子供時代、以前の本人、同じように不登校を経験した別の子と比べる言葉も、同じように子供を追い詰めます。「前はできていた」という言葉は、今できない自分を否定されたと受け取られやすく、「あの子は復帰した」という言葉は、復帰できない自分への焦りにつながります。

不登校のきっかけや回復のペースは子供によって異なります。親が比較を続けると、子供は「どうせ分かってもらえない」と感じ、親に本音を話さなくなることがあります。親は他の子の基準を当てはめるのではなく、「昨日より起きる時間が早かったね」のように、その子自身の小さな変化に目を向けることが大切です。

原因を無理に聞き出す言葉

子供が学校に行けなくなると、親は理由を知って早く解決したいと考えます。しかし、答えを求めて問い詰める言葉は、子供の負担になりやすいものです。

  • 「どうして学校に行けないの?」
  • 「何があったのか、はっきり言いなさい」
  • 「いじめられているの?先生に何か言われたの?」
  • 「理由がないなら行けるでしょう」

不登校の子の中には、自分でもなぜ行けないのかを言葉にできない子が少なくありません。文部科学省の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査でも、不登校の背景として、学校生活へのやる気が出ないこと、不安や抑うつ、生活リズムの不調など、複数の要因が挙げられています。はっきりした理由が1つに決まらない場合もあるため、「理由がないなら行けるでしょう」という考え方は、子供の実態に合わないことがあります。

理由を聞かれるたびに答えられない子供は、「説明できない自分が悪い」と感じたり、親との会話そのものを避けたりするようになります。また、子供がようやく話した内容に対して、親がすぐに「それなら先生に言っておくね」「気にしすぎだよ」と返すと、子供は「話すと大ごとになる」「否定される」と学び、次から話さなくなる場合があります。

原因は、親が聞き出すものではなく、子供が話せる状態になったときに受け止めるものと考えます。子供が自分から話し始めたときは、途中で意見を挟まず最後まで聞き、「話してくれてありがとう」と伝えます。なお、いじめや体調の異変など、子供の安全や健康に関わる様子が見られる場合は、子供を問い詰めるのではなく、学校や専門機関に早めに相談することが必要です。

段階別で考える不登校の子にかける言葉と安心につながる声かけ

朝のつらさ、話したくない気持ち、試してみたい希望に合わせて、声かけと予定を調整する例。

不登校の経過は、学校を休み始める「初期」、家で過ごす日が続く「停滞期」、外や学校へ気持ちが向き始める「回復期」に分けて説明されることがよくあります。この区分は公的な定義ではなく、子供の様子を把握しやすくするための目安です。どの段階がどれくらい続くかは子供によって異なり、回復期に入ってから再び停滞期のような状態に戻ることもあります。

段階によって、子供が必要としているものは変わります。初期は休むこと、停滞期は家庭で安心して過ごせること、回復期は自分のペースで動き出せることです。今の子供の様子に合った言葉を選ぶことで、声かけが負担になりにくくなります。

段階見られやすい様子声かけの方向
初期朝の腹痛や頭痛、登校前の行き渋り、休む日の増加休むことを認め、つらさを受け止める
停滞期家で過ごす日が続く、ゲームや動画の時間が長い、生活リズムの乱れ学校以外の日常会話を続け、家庭での役割や行動を認める
回復期外出が増える、勉強や友達の話題が出る、将来について話す本人の気持ちを確認し、選択肢を示して決定を本人に任せる

不登校の初期段階にかける言葉

初期は、朝になるとお腹や頭が痛くなる、布団から出られない、登校の準備をしても玄関で動けなくなるといった様子が出やすい時期です。子供自身も「なぜ行けないのか」を言葉にできないことが多く、休むことへの罪悪感を抱えている場合があります。この時期の声かけは、学校に行けない状態を責めずに、まず心と体を休ませることを優先します。

文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」でも、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがあると示されています。休ませることは甘やかしではなく、回復に必要な過程の一つと考えられています。

初期に安心につながりやすい言葉には、次のようなものがあります。

  • 「今日はゆっくり休もう」
  • 「お腹が痛いのはつらいね」
  • 「学校には連絡しておくから大丈夫だよ」
  • 「話したくなったら、いつでも聞くよ」

「学校には連絡しておくね」のように、親が学校とのやり取りを引き受けることを伝えると、子供は欠席連絡や先生の反応を気にせずに済みます。また、腹痛や頭痛などの体の症状は、本人にとって実際に感じている痛みです。「気のせい」と片付けず、症状そのものに共感する言葉をかけます。症状が続く場合は、小児科などを受診して体の病気がないかを確認しておくと、親も子供も状況を整理しやすくなります。

休ませるかどうか迷う日は、「今日はどうしたい?」と子供に聞き、答えられない様子なら無理に登校させない判断も選択肢になります。休んだ日も、食事の時間や「おはよう」「おやすみ」のあいさつは普段どおりにして、家庭の日常を変えないことが子供の安心につながります。

不登校の停滞期にかける言葉

停滞期は、家で過ごす日が続き、外から見ると変化がないように感じられる時期です。ゲームや動画に長時間向き合う、昼夜が逆転する、部屋にこもる時間が増えるといった様子が見られることがあります。表情が落ち着いて見えても、内心では勉強の遅れや将来への不安を抱えていることがあるため、学校の話題を出さなくても子供が安心して過ごせる環境をつくることが声かけの中心になります。

この時期は、学校以外の日常的な会話を続けることが、親子の関係を保つ土台になります。

  • 「今日のお昼、何が食べたい?」
  • 「そのゲーム、どこが面白いの?」
  • 「さっきの動画、お母さんにも見せて」

子供が夢中になっているゲームや動画、趣味について興味を持って尋ねると、子供は自分の好きなものを否定されずに話せる経験を積めます。会話の量が少なくても、話しかけられて答えるやり取りが続くこと自体に意味があります。

家庭の中でできたことは、具体的な行動を挙げて伝えます。

  • 「洗濯物をたたんでくれて助かったよ」
  • 「朝ごはんを一緒に食べられてうれしかった」
  • 「犬の散歩に行ってくれてありがとう」

「えらいね」のような評価の言葉よりも、何をしてくれて親がどう感じたかを伝えると、子供は家族の中で役に立っているという実感を持ちやすくなります。

生活リズムの乱れが気になるときは、責める言い方ではなく提案の形にします。「いつまで寝ているの」ではなく、「明日の朝、一緒にパンを焼かない?」のように、子供が参加しやすい具体的な行動を示します。

停滞期は長期休みの明けや学期の変わり目、進級の時期などに親の焦りが強くなりやすい時期でもあります。親が不安を抱えたまま声をかけると、言葉や表情に焦りが出やすくなります。親自身の不安は子供に向けるのではなく、スクールカウンセラーなどの相談先で話すことで、家庭での声かけを落ち着いて続けやすくなります。

不登校の回復期にかける言葉

回復期は、コンビニや習い事などへの外出が増える、勉強に手をつけ始める、友達や学校のことを自分から話題にする、将来について話すといった変化が見られる時期です。子供の中でエネルギーがたまり、次の一歩を考え始めている状態ですが、動き出すことへの不安も同時に抱えています。この時期の声かけは、本人の気持ちを確認しながら、自分で選んで動き出すことを支える方向に変わります。

子供が学校や外の世界について話し始めたときは、親の期待を先に出さず、まず本人の言葉を受け止めます。

  • 「行ってみたいと思ったんだね」
  • 「友達のこと、気になっていたんだね」
  • 「どんなふうにしたいと思っている?」

「じゃあ明日から学校に行こう」とすぐに具体的な登校の話に進めると、子供は話したことを後悔し、再び口を閉ざすことがあります。気持ちを言葉にできたこと自体を受け止め、どうしたいかは本人のペースで話してもらいます。

動き出し方には、教室への復帰だけでなく、保健室や別室への登校、短時間の登校、教育支援センターやフリースクールの利用など複数の方法があります。前述の文部科学省の通知でも、支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指すとされています。親は選択肢を示し、決めるのは子供に任せる形が取りやすくなります。

  • 「別室で過ごせる日もあるみたいだけど、話だけ聞いてみる?」
  • 「見学だけでもできるところがあるよ」
  • 「どうするかは、あなたが決めていいよ」

実際に外出や登校ができた日は、結果を評価するより本人の感想を聞きます。「行けてよかったね」よりも「行ってみてどうだった?」と尋ねると、子供は疲れや不安も含めて話しやすくなります。

回復期には、一度登校できても翌日から再び休むことがあります。そうした場合に備えて、「疲れたら休んでいいからね」「また休んでも、やってみたことは無駄にならないよ」と前もって伝えておくと、子供は失敗を恐れずに試しやすくなります。再び休んだときも、親が「振り出しに戻った」と受け止めず、試せたことを認める声かけを続けることが、次の一歩につながります。

家庭での声かけを、もう少し具体的に学びたい方へ
  • 「返事がないとき、どのくらい待てばよいのだろう」
  • 「子どもの小さな行動を、どう言葉にして伝えよう」
  • 「関わり方を、相談しながら考えたい」

この記事の会話例を参考にしながら、日々の場面に合う伝え方をさらに学びたい場合は、保護者向けの学びの場を利用する方法もあります。

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年齢別で変わる不登校の子にかける言葉のポイント

不登校の子にかける言葉は、年齢によって届き方が変わります。小学生は自分の気持ちを言葉にする力がまだ育ちきっていません。中学生は思春期に入り、親との距離の取り方が揺れ動きます。高校生は義務教育を終えており、進路を自分で決める場面が増えます。文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の令和5年度結果では、不登校の児童生徒は小学校で約13万人、中学校で約21万6千人、高校で約6万9千人にのぼり、どの年代でも身近な問題になっています。ここでは、発達段階と子供が置かれた状況に合わせた声かけのポイントを整理します。

小学生の不登校の子にかける言葉

小学生、特に低学年の子供は「なぜ学校に行きたくないのか」を自分でも説明できないことが多くあります。気持ちが言葉にならない分、朝になると腹痛や頭痛を訴える、親から離れたがらない、といった体調や行動に表れやすいのが特徴です。この時期は、親が子供の様子を見て気持ちを言葉にして返すことが声かけの中心になります。

たとえば、朝おなかが痛いと言う子に「本当に痛いの?」と確かめるのではなく、「おなかが痛いんだね。つらいね」と、子供が感じていることをそのまま受け止めます。仮病を疑う言葉をかけると、子供は体のつらさまで信じてもらえないと感じ、不調を訴えること自体をやめてしまう可能性があります。症状が続く場合は、小児科を受診して体の病気がないかを確認しておくと、親も落ち着いて接しやすくなります。

小学生には、短く具体的な言葉が伝わりやすくなります。「何があったの?」と広く聞くより、「今日は一緒にお昼ごはん作ろうか」「この絵、色がきれいだね」のように、今していることに目を向けた声かけのほうが、子供は答えやすくなります。言葉だけでなく、一緒に遊ぶ、隣に座って本を読むなど、親と過ごす時間そのものが安心につながる年齢です。

高学年になると、友達との関係や勉強の遅れを気にし始めます。「みんなに何て思われているかな」と口にしたときは、「気になるよね」と受け止めたうえで、「家では何も気にしなくていいよ」と、家庭が評価されない場所であることを伝えると、子供は少しずつ本音を話しやすくなります。

中学生の不登校の子にかける言葉

中学生は思春期にあたり、親に頼りたい気持ちと、干渉されたくない気持ちの間で揺れています。親がよかれと思ってかけた言葉でも「うるさい」「放っておいて」と反発されることがあり、これは多くの場合、親の言葉が間違っていたというより、この時期の自立の表れです。反発されても言い返さず、「わかった。話したくなったらいつでも聞くよ」と伝えて引くことで、子供は自分のペースが守られていると感じます。

中学生の不登校では、友人関係や部活動、学習内容の難化に加え、朝起きられない、午前中に体調が悪いといった症状が見られることがあります。起立性調節障害は思春期に多いとされる自律神経の不調で、本人の意志ではどうにもならない場合があります。「夜更かし」だけを原因として考えず、症状が続くときは医療機関で相談することも検討してください。

この年代で親が気をつけたいのは、子供の考えを尊重する姿勢を言葉で示すことです。「どうしたい?」「あなたはどう思う?」と意見を求め、答えが出なくても急かさないようにします。親が先回りして結論を出すと、子供は自分で考える機会を失います。

中学2年生から3年生にかけては、高校受験への不安が強くなります。子供が「このままじゃ高校に行けない」と口にしたときは、不安を否定せず、「行ける高校はいろいろあるから、一緒に調べてみようか」と、選択肢があることを伝えます。全日制高校だけでなく、定時制高校や通信制高校があり、都道府県によっては欠席が多い生徒に配慮した選抜を設けている場合もあります。親が情報を集めておき、子供が知りたいと言ったときに示せるようにしておくと、将来への見通しが持ちやすくなります。

高校生の不登校の子にかける言葉

高校生は、義務教育である小中学校と違い、出席日数や単位が不足すると進級や卒業ができなくなる可能性があります。そのため、親も子供も時間の制約を意識しやすく、焦りから言葉が強くなりがちです。しかし、この年代の子供は自分の状況を理解していることが多く、親が繰り返し指摘すると追い詰められる原因になります。

高校生には、一人の大人として対等に接する言葉が合っています。「あなたが決めたことなら応援する」「どの道を選んでも、あなたの人生だから一緒に考えたい」のように、決定権が本人にあることをはっきり伝えます。18歳で成人となる現在、自分の進路を自分で選ぶ経験は、その後の生活にもつながります。

進級や卒業が難しくなってきた場合、子供が転学や退学を考え始めることもあります。そのときは、感情的に反対する前に、通信制高校への転学、高卒資格を得られる文部科学省の高等学校卒業程度認定試験など、学び直しや進学につながる道があることを事実として伝えます。「今の学校を辞めても道はある」と知ることで、子供が視野を広げて考えられるようになる場合があります。親が一方的に道を決めるのではなく、調べた情報を示して「どれが合いそう?」と本人に選んでもらう形が、この年代には受け入れられやすくなります。

また、高校生はアルバイトや趣味、オンラインでの交流など、学校以外に居場所を持っていることもあります。親がそれを「学校に行かないのに」と否定すると、子供は数少ない社会とのつながりを失いかねません。「バイト、続けていてすごいね」など、学校以外での頑張りを認める言葉をかけることで、子供は自分に価値があると感じやすくなります。

不登校の子にかける言葉に迷ったときの相談先

声かけに迷うときの相談先として、学校、教育支援センター、フリースクールや親の会を示し、場面・やり取り・相談したいことをメモする。

声かけに正解があるわけではなく、同じ言葉でも子供の状態によって受け止め方が変わります。「この言葉で良かったのか」と親が一人で悩み続けると、焦りが表情や口調に出て、子供に伝わることがあります。第三者に家庭での様子を話すと、子供の状態に合わせた具体的な声かけを一緒に考えてもらえます。親の気持ちを整理する場としても役立ちます。

主な相談先には、学校・公的機関・民間の3種類があります。それぞれの特徴は次のとおりです。

相談先運営費用向いている相談内容
スクールカウンセラー学校(教育委員会が配置)無料学校での様子を踏まえた声かけ、担任との連携
教育支援センター市区町村の教育委員会原則無料学校以外の居場所づくり、学習の継続
フリースクール・民間の支援団体NPO法人・民間団体など団体により異なる学校と距離を置きたい場合の相談、同じ立場の親との交流

相談の前に、子供がよく口にする言葉や、声をかけたときの反応、生活リズムの変化をメモしておくと、状況が正確に伝わります。その結果、相談員からより具体的な助言を受けやすくなります。

学校のスクールカウンセラー

スクールカウンセラーは、公認心理師や臨床心理士などの資格を持つ心理の専門職です。教育委員会が各学校に配置しており、子供本人だけでなく保護者の相談も受け付けています。子供が登校できない状態でも、親だけで面談を受けられます。

相談を申し込むときは、担任や養護教諭、教頭などに「スクールカウンセラーと話したい」と伝えます。勤務日は週1回程度など学校によって限られているため、希望する日時を早めに相談しておくと調整しやすくなります。担任には話しにくい内容も、カウンセラーには話しやすいと感じる保護者は少なくありません。

スクールカウンセラーに相談すると、学校で起きていたことや子供の性格を踏まえて、声かけの仕方を一緒に考えてもらえます。たとえば、子供がどこまで学校の話題を受け入れられる状態か、担任からの連絡をどう伝えるかといった具体的な判断について助言を受けられます。家庭の経済状況や福祉的な支援が関わる場合は、スクールソーシャルワーカーにつないでもらえることもあります。

ただし、いじめや教員との関係など、学校そのものが不登校のきっかけになっている場合は、学校の窓口に相談することに親子ともに抵抗を感じることがあります。その場合は、次に紹介する教育支援センターや学校外の相談先を選ぶ方法があります。

地域の教育支援センター

教育支援センターは、市区町村の教育委員会が設置している公的な施設で、以前は「適応指導教室」と呼ばれていました。自治体によって「〇〇教室」「ふれあい教室」など名称が異なります。不登校の子供が通って学習や活動をする場であると同時に、保護者からの相談にも応じています。公的機関のため、利用料は原則として無料です。

教育支援センターの相談員には、元教員や心理の専門職が多く在籍しています。通所している子供の様子を日常的に見ているため、学校以外の場所に目を向けるタイミングや、通所をすすめるときの伝え方について、実例をもとに助言を受けられます。自治体によっては、教育委員会内に教育相談室を併設し、電話や面談で保護者の相談を受け付けています。

在籍校の校長が認めた場合、教育支援センターへの通所は在籍校の出席扱いになることがあります。出席扱いになるかどうかは子供の進路にも関わるため、利用を検討する際は在籍校にも確認しておきましょう。

利用方法や対象学年は自治体ごとに異なります。まずは住んでいる市区町村の教育委員会、または在籍校に問い合わせると、窓口を案内してもらえます。

フリースクールや民間の支援団体

フリースクールは、NPO法人や民間団体などが運営する学校以外の学びの場です。子供が自分のペースで過ごせるように、学習だけでなく、体験活動や自由に過ごす時間を重視する施設が多くあります。多くの施設では、入会前の見学や保護者面談の段階から、家庭での接し方について相談に応じています。

2016年に成立した義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(教育機会確保法)では、不登校の子供が学校以外の場で行う多様な学習活動の重要性が示されています。この法律によって、学校に戻ることだけを前提としない支援が公的に位置づけられました。施設や在籍校の判断によって、フリースクールへの通所が出席扱いになる場合もあります。

費用は施設によって大きく異なり、入会金や月謝がかかるのが一般的です。活動内容や方針もさまざまなため、複数の施設を見学し、子供と相性が合うかを確かめてから選ぶと安心です。

民間の支援団体には、不登校の子供を持つ保護者が集まる「親の会」もあります。同じ経験をした保護者から、実際にかけて子供の反応が良かった言葉や、逆に関係がこじれた言葉を聞けるため、家庭での声かけを考える参考になります。また、子供本人が誰かに話したい様子のときは、文部科学省が案内している24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)のように、夜間や休日でも子供自身が電話できる窓口があることを伝えておく方法もあります。

通所型・オンライン型の違いと制度の概要は、あした研究室の教育支援センターと出席扱いの案内で紹介しています。利用を検討するときは、掲載された地域の事例を参考にしつつ、自分の地域で利用できる支援や在籍校との連携方法を確認してください。

小中学生の学びの場を検討する際は、あした研究室のフリースクールの過ごし方と出席扱いの案内も参考になります。出席扱いについては、文部科学省の義務教育段階の取扱いを踏まえ、在籍校と相談してください。利用だけで出席扱いや成績評価が保証されるものではなく、オンラインの学習は通所とは取扱いが異なります。

まとめ

不登校の子にかける言葉の目的は、子供に「家は安心できる場所だ」と感じてもらうことです。登校を促す言葉、他の子との比較、原因を問い詰める言葉は、子供を追い詰めるおそれがあるため避けましょう。

声かけは段階に合わせて変えます。初期は休むことを認め、停滞期は学校以外の話題で日常会話を続け、回復期は本人が決めた行動を尊重します。小学生・中学生・高校生で、適した距離感や言葉選びも異なります。

言葉に迷ったときは、スクールカウンセラーや教育支援センター、フリースクールなどに相談し、親だけで抱え込まないようにしましょう。

執筆者
あした研究室編集部 (あしたけんきゅうしつへんしゅうぶ)
あした研究室編集部は、(株)すららネットの子どもの発達支援室に所属するスタッフと、学び・発達支援に関心を持つ編集チームによって運営されています。教育・発達支援・子育て・学習法などのテーマについて、現場視点と実証的な知見を大切にしながら、企画・取材・執筆・編集・校正・発信まで一貫して取り組んでいます。私たちの使命は、保護者や教育関係者、子ども自身が次の一歩を見つけられるような 信頼できる知見とアイデアを届けること。読者の皆さまには、根拠ある情報と温かい視点を通じて、学びと成長を支えるパートナーでありたいと考えています。