- 1 不登校の子に言葉をかける前に確認したいこと
- 1-1 気持ちを推測するより、本人の言葉と今の様子を確かめる
- 1-2 安心して過ごすことと必要な支援を一緒に考える
- 2 避けたい言葉と負担を減らす言い換え
- 2-1 登校の期限を迫る言葉は、今日の状態を聞く言葉へ
- 2-2 他の子との比較は、本人の希望を聞く言葉へ
- 2-3 理由を強く求める言葉は、話せる範囲を選べる言葉へ
- 3 今の様子に合わせて選ぶ声かけの例
- 3-1 朝につらさを訴えるとき
- 3-2 家で過ごし、学校の話をしたがらないとき
- 3-3 外出や学びに関心を示したとき
- 4 小学生・中学生・高校生で確認したい違い
- 4-1 小学生には短い言葉で、伝える方法を一緒に探す
- 4-2 中学生には話すタイミングと情報共有の範囲を確認する
- 4-3 高校生には気持ちの相談と単位・進路の確認を分ける
- 5 言葉に迷ったときの相談先と伝えるメモ
- 5-1 スクールカウンセラーなど学校の相談窓口
- 5-2 教育支援センターは利用条件と相談方法を確認する
- 5-3 フリースクールや親の会は活動内容を確かめて選ぶ
- 5-4 相談前は見聞きしたことをメモする
- 6 まとめ
不登校の子にかける言葉を考えるときは、まず今の体調や気持ちを確かめ、話せる範囲で聞くことから始めます。「今日は休もう」「話したくなったら聞くよ」など、短い言葉で休養や対話の選択肢を伝える方法があります。同じ言葉でも受け止め方は異なるため、反応を見ながら距離やタイミングを調整しましょう。
この記事では、避けたい伝え方とその言い換え、今の様子や学齢に合わせた会話例、家庭だけでは迷うときの相談先を紹介します。特定の一言で登校や心が回復するわけではありませんが、その積み重ねに可能性を見出すことができますので参考になりましたら幸いです。
不登校の子に言葉をかける前に確認したいこと
気持ちを推測するより、本人の言葉と今の様子を確かめる
学校を休んでいる子どもの中には、勉強や友人関係が気になる子も、疲れていて話すことが難しい子もいます。一方で、学校の話題から離れて過ごしたい場合もあります。ゲームをしている、部屋にいるといった一つの行動だけでは、内面まではわかりません。
「何がつらいのか説明して」と答えを求める前に、「今、少し話してもいい?」と確かめる方法があります。話し始めたら途中で結論を出さず、本人が使った言葉を手がかりに聞いてみましょう。「疲れた」と言ったなら「疲れているんだね」と返し、本人が話していない気持ちを付け足さないようにします。
厚生労働省の話を聞くときのポイントでも、子ども自身の感じ方を理解しようとする姿勢が紹介されています。会話例はそのまま言う台本ではなく、親子に合う言葉を探すための参考にしてみてください。
安心して過ごすことと必要な支援を一緒に考える
声かけでは、登校の約束を取り付けることだけを目的にせず、今の困りごとを聞き、必要な助けを一緒に考えます。文部科学省の不登校支援に関する通知も、登校という結果だけを目標にせず、本人や保護者の意思を尊重した支援を求めています。
「家で休む」と「学校や相談先とつながる」は並行して考えられます。本人がすぐに相談できなくても、保護者から困っていることを伝え、利用できる方法を確かめてみてください。学校での負担を減らす工夫や学習の相談も、家庭だけで引き受けなくても大丈夫です。
腹痛、頭痛、眠りや食欲の変化などがあるときは、声かけの問題だけとして扱わず、症状や続いている期間を確認しましょう。体調不良が続く、日常生活に支障がある場合は、かかりつけ医や小児科などに相談してください。
避けたい言葉と負担を減らす言い換え

次の例は、保護者の言葉を採点するためのものではありません。すでに言ってしまった言葉があっても、それだけで親子関係や不登校の経過が決まるわけではありません。期限を迫る、誰かと比べる、答えを強く求める伝え方を、今の様子を聞く言葉に変えるときの参考としてみてください。
登校の期限を迫る言葉は、今日の状態を聞く言葉へ
「いつまで休むの?」「明日は絶対に行こう」と期限や約束を求められても、本人にも見通しがつかない場合があります。「このままでは高校に行けないよ」のように将来の不利益を強調するより、今困っていることと、確認が必要な情報を分けて話しましょう。
たとえば「今日は体調どう?」「学校への連絡はしておくね」と、答えやすい確認や具体的な手助けを伝えます。本人が登校の相談をしたい場合まで、学校の話を避ける必要はありません。「どの時間なら負担が少なそう?」など、本人の希望を聞きながら学校と調整します。
他の子との比較は、本人の希望を聞く言葉へ
「みんなは行っているのに」「きょうだいは休まなかった」と比べても、今の子どもが何に困っているかはわかりません。ほかの子ができた方法が、同じように合うとも限りません。
「今日はどう過ごしたい?」「何か手伝えることはある?」とまずは本人に目を向けてみましょう何かしてくれたときは「食器を運んでくれて助かったよ」など、実際の行動に沿って伝えます。
理由を強く求める言葉は、話せる範囲を選べる言葉へ
「理由がないなら行けるでしょう」「はっきり説明して」と求めても、本人が状況を整理できていない場合があります。「今はうまく言えなくてもいいよ」「話せるところだけでいいよ」と、答えを急がなくてよいことを伝えてみましょう。
困りごとを聞けたら、すぐに対応を約束する前に誰に、どこまで伝えてよいかを確かておきましょう。ただし、いじめや暴力など安全に関わることは、秘密を守る約束だけで抱えず、必要な相手につないで安全を確保します。誰に相談するかは、可能な範囲で本人にも説明と相談をしてください。
言い方が強くなったと感じたら、「さっきは急いで答えを求めてしまったね。今は話さなくても大丈夫」と言い直す方法もあります。謝った後にすぐ返事や許しを求めず、少し時間を置くことのも1つです。
今の様子に合わせて選ぶ声かけの例

不登校の経過を「初期」「停滞期」「回復期」と分けることができますが、全員が同じ順序や期間で進むものではありません。ここでは段階を判定するのではなく、その日に見えている様子に合わせて、言葉と手助けを選びます。
朝につらさを訴えるとき
「おなかが痛い」「今日は行けない」と話したら、まずその訴えを受け止め、体調を確認します。登校するかどうかを答えさせる前に、休養や受診が必要かを考えましょう。
- 「おなかが痛いんだね。どのあたりが、どんなふうに痛い?」
- 「今日は休もう。学校への連絡はしておくね」
- 「今、してほしいことはある?」
「大丈夫」とだけ伝えるより、欠席連絡や予定の調整など、実際にできることを添えると見通しを共有できます。学校に連絡する際も、本人の話した内容をすべて伝えるのではなく、安全や支援に必要な範囲を確認しましょう。
家で過ごし、学校の話をしたがらないとき
学校の話が難しい日は、食事や趣味など日常の話題から短く声をかける方法があります。興味のあることを無理に聞き出す必要はなく、「おはよう」「ごはんができたよ」という連絡だけの日があっても構いません。
- 「お昼はうどんにしようと思うけど、どうかな」
- 「その動画、話したくなったら教えてね」
- 「今は一人で過ごしたいんだね。用事があったら声をかけてね」
返事がないことだけで、言葉が届いていないと判断する必要はありません。質問を重ねず、食事や予定など必要な連絡を続けます。眠りや食事が大きく変わっている場合には、会話を待つだけにせず相談先へ状況を伝えましょう。
生活時間を相談したいときは、「明日の朝、一緒に朝食を食べられそう?」など、具体的な提案を一つに絞るのも手です。難しそうなら理由を責めず、時間や方法を変えられるか一緒に考えてあげましょう。
外出や学びに関心を示したとき
「友達に会いたい」「少し勉強したい」と話したとはいえ、それがすぐ登校できるとは限りません。まず何に関心があるのか、どこまで試してみたいのかを聞いてみましょう。
- 「会ってみたいと思ったんだね。どんな場所がよさそう?」
- 「見学だけにするか、話を聞くだけにするか、一緒に考えよう」
- 「今日はここまでにして、次のことはまた相談しよう」
短い外出、学校の別室、教育支援センターなど、利用できる方法は地域や学校によって異なります。本人にすべてを決めてもらうのではなく、大人が情報を整理し、選ぶ手助けをしましょう。「今は決めない」という選択肢も残します。
学習を希望した場合も、すぐに量を増やさず「どの教科を、どのくらいやってみたい?」と確認してみましょう。試した後は「やってみてどうだった?」と感想を聞き、疲れた日は予定を調整します。一度できたことを、その後も毎日続ける約束にしなくて構いません。
- 「返事がないとき、どのくらい待てばよいのだろう」
- 「子どもの小さな行動を、どう言葉にして伝えよう」
- 「関わり方を、相談しながら考えたい」
この記事の会話例を参考にしながら、日々の場面に合う伝え方をさらに学びたい場合は、保護者向けの学びの場を利用する方法もあります。
ほめビリティは、日々の声かけや関わり方を実践しながら学ぶ、保護者向けのオンラインプログラムです。
ほめビリティ・ラウンジでは、講座や交流を通じて関わり方を学ぶ機会を紹介しています。内容や参加条件を確認し、ご家庭に合う選択肢かをご検討ください。
小学生・中学生・高校生で確認したい違い
年齢は参考になりますが、話しやすい距離や言葉の長さには個人差があります。本人の受け止め方と、学校制度上の確認事項を分けて考えましょう。
小学生には短い言葉で、伝える方法を一緒に探す
気持ちを文章にすることが難しい場合は、質問を一度に一つにし、ゆっくり待ちます。「今、隣にいてもいい?」「お話しするのと、紙に書くのと、どちらがよさそう?」など、伝える方法を選べる聞き方もあります。答えが出なければ、その場で結論を出さなくても構いません。
遊ぶ、絵を描く、本を読むなど、一緒に過ごす方法も本人に確かめます。嫌がっているときに会話や触れ合いを求めず、どのくらいの距離なら落ち着いて過ごせるかを見ていきましょう。
中学生には話すタイミングと情報共有の範囲を確認する
「今は話したくない」と言われたときは、「わかった。必要な連絡だけ後で伝えるね」といった返し方もあります。体調や直前の出来事、話す場所なども含めて考えていきましょう。
受験の話題が出たら、「どんな学校があるか、調べた情報を見てみる?」と本人の関心を確認します。全日制・定時制・通信制などの選択肢があっても、出願条件や欠席日数の扱いは学校・地域・年度で異なりますので担任や進路担当の先生と最新の募集要項を確認していきましょう。
高校生には気持ちの相談と単位・進路の確認を分ける
高校では、出席や単位の状況が進級・卒業に関わります。「今すぐどうするか決めて」と求めるより、「学校に確認したいことがあるけれど、一緒に整理してよい?」と、情報を確かめる話から始める方法があります。
具体的には、現在の単位修得状況、利用できる学習支援、手続きの期限を在籍校に確認します。本人が望む場合は、転学なども含めて検討できます。
高等学校卒業程度認定試験も進路を考える際の情報の一つですが、合格しても高校卒業の学歴にはなりません。高校卒業者と同等以上の学力を認定する試験であり、高校の卒業資格とは区別して説明しましょう。
言葉に迷ったときの相談先と伝えるメモ

同じ声かけでも反応が違う、何を聞けばよいかわからないときは、その場面を相談先と一緒に整理してみましょう。保護者自身の負担について相談しても構いません。子どもが相談に参加するまで待たず、保護者だけで利用できる方法を問い合わせましょう。
スクールカウンセラーなど学校の相談窓口
担任、養護教諭、スクールカウンセラーの方にも、家庭での会話や学校からの連絡方法を相談することができます。スクールカウンセラーの来校日、予約方法、保護者だけの面談の可否は在籍校に確認してみてください。家庭の生活面や福祉サービスの相談では、スクールソーシャルワーカーなどにつないでもらう方法もあります。
「どんな言葉をかけたか」「本人がどう答えたか」「何を相談したいか」を分けて伝えると、具体的に話し合うことができます。学校には話しづらい場合、教育委員会の相談窓口など学校外の相談先を検討してみましょう。
教育支援センターは利用条件と相談方法を確認する
教育委員会などが設置する教育支援センターは、不登校の子どもの相談や学習・活動を支える場です。通所に加え、保護者への相談やオンラインの支援を行う地域もあります。対象学年、相談のみの利用、費用や実費負担、通い方は地域の窓口に確認してみましょう。
小中学生など義務教育段階では、教育支援センター等での相談・指導が一定の要件を満たし、在籍校の校長が適切と判断した場合に、指導要録上の出席扱いになることがあります。
通所型・オンライン型の違いと制度の概要は、あした研究室の教育支援センターと出席扱いの案内で紹介しています。利用を検討するときは、掲載された地域の事例を参考にしつつ、自分の地域で利用できる支援や在籍校との連携方法を確認してみてください。
フリースクールや親の会は活動内容を確かめて選ぶ
フリースクールは、民間団体などが運営する学校外の学びや居場所の選択肢です。活動内容、対象年齢、費用、保護者相談の有無は施設ごとに異なります。「話を聞くだけでもよいか」「本人が行けないときに保護者が相談できるか」を事前に尋ねることもできます。
小中学生の学びの場を検討する際は、あした研究室のフリースクールの過ごし方と出席扱いの案内も参考になります。出席扱いについては、文部科学省の義務教育段階の取扱いを踏まえ、在籍校と相談してみてください。
相談前は見聞きしたことをメモする
長い記録でなくても、次の三つがあると会話の場面を伝えやすくなります。
- 場面:いつ、どこで、どんな話題だったか。体調などわかっている事実も添える。
- やり取り:保護者がかけた言葉と、本人が答えた言葉や見えた様子。
- 相談したいこと:話すタイミング、学校への伝え方、使える支援など。
たとえば「朝、学校の予定を尋ねたら『今は話したくない』と言った。予定を伝える時間をどう相談すればよいか」という形です。見聞きした事実を共有します。詳しく思い出せない部分は、不明として伝えて大丈夫です。
悩みを電話で相談したいときは、文部科学省が案内する24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)もあります。子どもや保護者等が利用でき、原則として電話をかけた地域の教育委員会の相談機関につながります。
まとめ
不登校の子にかける言葉は、一つの正解を探すより、今の体調や気持ちを確かめ、話す量やタイミングを調整することから考えましょう。登校の期限、他の子との比較、理由への強い要求を、「今日はどう?」「話せるところだけでいいよ」などの言葉に変える方法があります。
言葉だけで解決できないこともあるため、休養、学校での配慮、学び方、相談先を組み合わせて考えてみてください。相談先を利用しながら、その子に合う関わり方を少しずつ探していきましょう。