- 1 不登校の子を支える親の仕事は、日中に必要な対応から考える
- 1-1 食事・連絡・付き添いを時間帯と担当できる大人で整理する
- 1-2 留守番は年齢だけで決めず、子どもの希望と安全を確かめる
- 2 学校と地域に相談し、仕事中の支援の空白を減らす
- 2-1 欠席連絡の方法と勤務中に連絡できる時間を学校と相談する
- 2-2 居場所の利用時間・送迎・費用と行けない日の代替を確認する
- 3 休職や退職の前に確認したい職場の制度と条件
- 3-1 年次有給休暇や会社独自の休暇・休職制度を確認する
- 3-2 子の看護等休暇や介護休暇は対象と要件を個別に確認する
- 3-3 時差勤務・短時間勤務・在宅勤務で調整できる範囲を相談する
- 4 職場には希望する働き方・期間・見直し日を具体的に伝える
- 4-1 共有する事情の範囲と業務への影響を整理する
- 4-2 調整案と連絡方法を相談し、収入や家計への影響も確かめる
- 4-3 働き方を変えるときは経験を活かす副業も選択肢にする
- 5 試した支援と働き方を見直し、学びは本人のペースで支える
- 5-1 支援が途切れる日と親の負担を定期的に見直す
- 5-2 家庭学習は本人の希望に合わせ、見守りとは分けて考える
- 6 まとめ
子どもが不登校になり、仕事を続けるか、休職や退職をするかで迷ったときは、日中に必要な支援と、職場で調整できる条件を分けて整理してみましょう。この記事では、不登校・登校しぶりの小中学生を育てる働く保護者に向けて、食事や連絡の担当、学校や居場所との相談、休暇・勤務制度の確認点、職場への伝え方を説明します。退職するかどうかを一律に決めるものではありません。子どもの安心と家庭の暮らしを支えるための相談の準備に役立ててください。
不登校の子を支える親の仕事は、日中に必要な対応から考える

子どもが学校に行けなくなると、「仕事を続けてよいのか」「休職や退職をして家にいるべきか」と悩む親は少なくありません。特に共働き家庭やひとり親家庭では、子どもを支えたい気持ちと収入を守る必要との間で、心身ともに追い詰められやすくなります。
ただ、不登校といっても状況は家庭ごとに違います。朝だけ行き渋る日がある、別室登校や遅刻・早退をしている、ほとんど家で過ごしているなど、状態によって日中に必要なことは変わります。心身の不調が強い時期と、家で落ち着いて過ごせている時期とでも、大人の関わり方は同じではありません。
そのため、仕事をどうするかをすぐに決める前に、平日の日中に実際にどのような対応が必要なのかを書き出してみることが大切です。必要な対応が具体的になると、親が必ずその場にいなければならない場面と、離れていても対応できる場面を分けて考えやすくなります。
食事・連絡・付き添いを時間帯と担当できる大人で整理する
最初に、子どもが家で過ごす平日について、朝・昼・夕方に必要な対応を洗い出します。これは子どもに守らせる時間割ではなく、支援が足りない時間帯を大人同士で確認するためのメモです。今できることと、まだ対応者が決まっていないことを分けてみましょう。
| 時間帯 | 主な対応の例 | 担当や方法の考え方 |
|---|---|---|
| 朝 | 体調や気持ちの確認、登校するかどうかの確認、学校への欠席連絡、朝食 | 出勤前に対応できるか、家族の誰が担当するかを決める |
| 昼 | 昼食、体調の変化への対応、困ったときの連絡 | 作り置きなどの事前準備や、決めた時間の連絡で対応できるかを考える |
| 夕方 | 学校からの連絡や配布物の確認、帰宅後の声かけ、一日の様子の共有 | 帰宅後にまとめて対応できるものと、その日のうちに必要なものを分ける |
| 不定期 | 通院やカウンセリングへの付き添い、学校での面談、体調が急に悪くなったときの対応 | 予定が分かるものは早めに共有し、急な対応が必要なときの連絡先と担当者を決めておく |
洗い出した対応は、次の三つに分けてみると整理しやすくなります。
- 大人がその場にいる必要があるもの:通院や面談への付き添い、体調が大きく崩れたときの対応など
- 離れていても対応できるもの:電話やメッセージでの様子の確認、困ったときの相談など
- 事前の準備で対応できるもの:昼食の用意、緊急時の連絡先の一覧など
どの対応を離れた場所から行えるかは、子どもの状態や希望によって変わります。電話がつながるだけで安全が確保できるとは限りません。必要な支援と担当する大人、連絡がつかない場合の代わりの対応をセットで確認します。
次に、それぞれの対応を担当できる大人を考えます。パートナーや親族などに頼める場合は、可能な曜日や時間帯、頼めない場合の連絡方法を具体的に相談しましょう。子どもが安心して過ごせる相手かも確かめます。協力を頼める大人が身近にいない場合は、そのことも学校や自治体の相談窓口に伝えてください。きょうだいに見守りや世話の責任を負わせる形にはしません。
また、子どもの生活リズムが崩れて昼夜逆転している場合は、朝の対応よりも昼以降の見守りが重要になることもあります。理想の生活リズムに合わせて計画を立てるのではなく、今の子どもの過ごし方に合わせて必要な対応を考えることが、無理のない体制づくりにつながります。
留守番は年齢だけで決めず、子どもの希望と安全を確かめる
親が仕事に出ている間、不登校の子どもが家で留守番をすることもあります。「中学生なら一人で大丈夫」「小学生にはまだ早い」と年齢だけで判断しがちですが、同じ年齢でも子どもの性格や心身の状態、家庭の環境によって、安心して留守番できるかどうかは大きく異なります。
まずは、子ども自身の気持ちを聞いてみましょう。一人で過ごすほうが落ち着くという子もいれば、家に誰もいないと不安が強くなる子もいます。また、親が自分のために仕事を休んでいることに負い目を感じ、「一人で平気」と無理をして答える子もいます。言葉だけで判断せず、表情や普段の様子もあわせて受け止めることが大切です。
そのうえで、安全面について次のような点を確認します。
- 体調を崩したときに、自分で親や家族に連絡できるか
- 火や刃物などを使う場面で、危険のない使い方ができるか
- 来客やインターホン、宅配への対応をどうするか決めているか
- 地震や火災など災害が起きたときの行動や避難先を知っているか
- 親に連絡がつかないときに頼れる大人の連絡先が分かっているか
これらのルールは親が一方的に決めるのではなく、子どもと話し合いながら決めると、本人も納得して守りやすくなります。連絡の頻度も、何度も確認すると子どもが負担に感じる場合があるため、「昼に一度だけ連絡する」「困ったときだけ連絡する」など、子どもが受け入れやすい形を一緒に考えましょう。見守りカメラなどを使う場合も、子どもに黙って設置するのではなく、本人の了解を得ることが信頼関係を保つうえで大切です。
いきなり長時間の留守番を始めるのではなく、短い時間から試してみて、子どもの様子や本人の感想を聞きながら少しずつ調整していく方法もあります。
子どもが安全に一人で過ごせるか判断に迷うときは、留守番を前提にせず、学校の相談担当者や医療機関などに状況を伝えて相談してください。今すぐ安全を確保する必要がある場合は大人がそばで対応し、緊急の支援につなぎます。仕事の都合だけで留守番を決めないことが大切です。
学校と地域に相談し、仕事中の支援の空白を減らす

不登校の子どもを支えながら仕事を続けるには、家庭だけですべてを担おうとせず、学校や地域の支援を組み合わせることが大切です。親が勤務している時間帯に「誰とも連絡がつかない」「子どもが過ごせる場所がない」という空白ができると、親の不安も子どもの負担も大きくなります。
文部科学省の不登校児童生徒への支援に関する通知は、本人の希望や状況に応じて学校・家庭・関係機関が連携する考え方を示しています。お住まいの地域で実際に利用できる支援は、学校や教育委員会に確認しましょう。
欠席連絡の方法と勤務中に連絡できる時間を学校と相談する
休みが続くと、毎朝の欠席連絡が親にとって大きな負担になることがあります。出勤前の慌ただしい時間に電話をかける、子どもの様子を見て登校できるか判断する、といったことが毎日重なると、心身ともに疲れてしまいます。まずは担任の先生に、今の状況と仕事の都合を伝え、無理のない連絡方法を相談してみましょう。
学校によっては、電話だけでなく、連絡用アプリやメール、専用フォームなどで欠席連絡を受け付けているところがあります。長く休んでいる場合には、連絡の頻度や方法を個別に調整してもらえることもあります。ただし、対応は学校ごとに異なるため、次のような点を具体的に確認しておくと安心です。
- 欠席連絡に使える方法(電話・連絡帳・アプリ・メールなど)と締め切りの時刻
- 休みが続くときに、毎日の連絡が必要か、別の方法に変えられるか
- 勤務中に電話に出られる時間帯と、折り返しが遅くなる場合の伝え方
- 担任が不在のときに相談できる先生(学年主任・養護教諭など)
- 緊急時に親と連絡がつかない場合の、もう一人の連絡先
勤務中は電話に出られないことも多いため、「昼休みの12時から13時なら出られます」「急ぎでない連絡はメールでお願いします」といったように、連絡しやすい時間と方法をあらかじめ伝えておくと、学校側も対応しやすくなります。祖父母やパートナーなど、親以外に連絡を受けられる大人がいる場合は、その人も連絡先として共有しておきましょう。
あわせて、プリントや配布物の受け取り方、面談や家庭訪問の日程も相談しておくと、仕事との両立がしやすくなります。面談を夕方以降や昼休みに設定できるか、オンラインでの面談が可能かなど、学校の事情も聞きながら調整していきます。
学校には、担任以外にも相談できる専門職がいる場合があります。心の悩みに寄り添うスクールカウンセラーや、家庭の状況に応じて福祉や地域の支援機関とつなぐスクールソーシャルワーカーなどです。配置状況や相談できる日は学校や自治体によって異なるため、担任を通じて予約の方法や相談できる時間を確認してみてください。親自身が仕事と子育ての両立に悩んでいるときにも、相談してよい窓口です。
居場所の利用時間・送迎・費用と行けない日の代替を確認する
親が働いている日中に、子どもが安心して過ごせる場所があるかどうかは、仕事を続けられるかを考えるうえで重要なポイントです。不登校の子どもが利用できる居場所には、公的なものから民間のものまでいくつかの種類があります。
- 教育支援センター:教育委員会などが設置している施設で、以前は「適応指導教室」とも呼ばれていました。学習支援や相談、体験活動などを行っています。
- 校内の別室や校内教育支援センター:教室に入ることが難しい子どもが、学校内の別の部屋で過ごせる場所です。設置の有無や名称は学校によって異なります。
- フリースクールなどの民間施設:NPO法人や民間団体が運営する居場所で、活動内容や雰囲気、開所日は施設ごとに大きく異なります。
- 地域の居場所:児童館や図書館、子ども食堂、自治体やNPOが運営する居場所事業など、日中に利用できる場所がある地域もあります。
こうした居場所を検討するときは、子どもに合うかどうかに加えて、親の勤務時間と重なるかという視点で確認することが欠かせません。たとえば、開所時間が午前中のみであれば、午後の過ごし方を別に考える必要があります。見学や体験利用ができる施設も多いので、子どもと一緒に雰囲気を確かめながら、次の点を確認しておきましょう。
- 開いている曜日と時間帯、長期休みや祝日の扱い
- 自宅からの距離と交通手段、送迎が必要かどうか
- 利用料や交通費、教材費・活動費などの実費
- 利用の申し込み方法と、利用開始までにかかる期間
- 在籍校との連携の有無や、出席扱いについての考え方
費用や補助の有無は、利用する施設や自治体に直接確認してください。利用料だけでなく、交通費、食費、教材費・活動費を含めた金額を聞き、勤務時間を調整した場合の収入と合わせて考えます。
居場所の利用と出席の扱いは別に確認します。学校外での相談・指導については、文部科学省の通知に出席扱いの取扱いが示されています。利用するだけで自動的に出席になると考えず、在籍校に相談してください。
送迎が難しい場合は、利用施設や自治体に相談し、地域で頼める支援があるかを確認します。利用できる年齢、対応できる内容、登録や予約の方法、費用を確かめ、送迎できない日の代わりの対応も相談しておきましょう。図書館などは、子どもを預かって見守るサービスとは限りません。開館していることと、必要な支援を受けられることを分けて確認します。
また、居場所が見つかっても、体調や気持ちの変化で行けない日や、施設が休みの日も考えておきます。代わりの対応について、次の点を相談しておきましょう。
- 行けない日に、施設や学校へ誰がどのように連絡するか
- その日の日中を、自宅や祖父母宅など、どこで誰と過ごすか
- 親の仕事を調整する必要がある場合に、誰が対応するか
居場所は一つに絞る必要はありません。週に数日は教育支援センター、別の日は祖父母宅や自宅といったように、複数の選択肢を組み合わせることで、支援が途切れる日を減らせます。子どもの気持ちを大切にしながら、「行ければよい場所」がいくつかある状態をつくっていくことが、親が安心して仕事を続けるための支えになります。
休職や退職の前に確認したい職場の制度と条件

休暇や働き方の制度には、法律で要件が定められたものと、会社が独自に設けるものがあります。制度名だけで利用できると判断せず、就業規則や人事担当者に対象・申請方法・給与の扱いを確認しましょう。不登校という事情だけで、特定の法定休暇を必ず使えるわけではありません。
年次有給休暇や会社独自の休暇・休職制度を確認する
まず年次有給休暇の残日数と、取得単位、申請方法を確認します。学校との面談など予定が分かるものは早めに相談しておくと調整しやすくなります。厚生労働省の説明では、労使協定を締結した職場では年5日の範囲内で時間単位の年次有給休暇を利用できます。半日単位の取得については職場の運用を確認してください。
会社独自の特別休暇や休職制度については、家族の事情が対象になるかを確かめます。制度がある場合も、次の条件を人事担当者に聞いておくと判断しやすくなります。
- 利用できる理由と対象者、必要な書類
- 利用期間、延長や復職の条件、期間満了時の扱い
- 給与・賞与と社会保険料の扱い
- 申請期限、相談窓口、途中で条件を変える手続き
親自身の体調が悪い場合は、子どものための勤務調整とは別に、自分の受診や療養についても相談してください。
子の看護等休暇や介護休暇は対象と要件を個別に確認する
子の看護等休暇は、法律上は小学3年生修了までの子が対象です。病気やけがの看護、予防接種・健康診断、感染症に伴う学級閉鎖等、入園式・卒園式・入学式への参加が取得理由として示されています。対象となる子が1人なら年度内5日、2人以上なら10日が上限で、時間単位での取得も可能です。子の年齢や取得理由、労使協定による除外などを確認する必要があります。
介護休暇は、法で定める要介護状態にある対象家族の介護や世話のための休暇です。子も対象家族に含まれますが、不登校だけで対象になると判断することはできません。要介護状態とは、負傷・疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態です。対象家族が1人なら年度内5日、2人以上なら10日が上限で、時間単位での取得も可能です。
介護休暇中の給与は会社の規定によります。ほかの制度についても給与の扱いを含めて確認してください。介護休業など別の制度の対象になるかも含め、必要な支援の状況を人事担当者へ伝えましょう。適用が分からない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ確認できます。小学校高学年・中学生の家庭では、子の看護等休暇の法定対象年齢と異なる点にも注意が必要です。会社独自の制度があるかも確かめてください。
時差勤務・短時間勤務・在宅勤務で調整できる範囲を相談する
日々の働き方を調整できるかも確認します。次の項目は相談の例であり、どの職場でも使える制度を示すものではありません。利用条件、業務との調整、収入への影響を個別に確かめます。
- 時差勤務:始業・終業時刻をずらせるか
- 短時間勤務:対象者、期間、給与、元の勤務時間へ戻す条件
- 在宅勤務:利用できる日、中抜けの可否、勤怠の記録方法
- 業務量や担当の調整:会議、顧客対応、急な早退時の引き継ぎ
在宅勤務でも、仕事をしながら必要な見守りを十分にできるとは限りません。会議中や集中して作業する時間帯に子どもの対応が必要なら、別の大人や支援先への相談、休暇などの調整が必要です。自宅にいることと、対応できることを分けて考えましょう。
休職や退職を選ぶかどうかは、子どもの安全、親の健康、家計、支援体制を合わせて考えます。使える制度をすべて試すまで我慢する必要はありません。一律に辞める・続けると決めず、いま必要な対応と今後の見通しを相談してください。
職場には希望する働き方・期間・見直し日を具体的に伝える

子どもが不登校になると、朝の様子を見てから家を出たい、日中に学校から連絡が来たら対応したい、面談や相談機関へ付き添いたいなど、働き方を変えたい場面が増えます。ただ、「しばらく家庭の事情で」とあいまいに伝えるだけでは、上司や人事担当者も調整案を出しにくく、職場の理解も得にくくなります。
職場に相談するときは、次の3点を具体的に示すことが大切です。
- どのような働き方を希望するか
- いつからいつまで続けたいか
- いつ状況を見直すか
先の見通しが立たない場合は、「まずは1か月」など相談する期間と見直し日を区切る方法があります。子どもがその日までに登校できると約束する必要はありません。必要な支援が続く場合に、改めて相談できるようにしておきましょう。
共有する事情の範囲と業務への影響を整理する
職場に相談する前に、何をどこまで伝えるかを整理しましょう。日中に家族への対応が必要な時間、平日の面談など、勤務調整に必要な事情を中心に伝えます。制度の申請に必要な情報や書類は人事担当者に確認し、共有する相手と範囲も相談してください。
子どもにとって、不登校はとても個人的なことです。年齢によっては、親の職場に知られることを嫌がる場合もあります。「不登校」という言葉を使うか、「子どもの体調や家庭の事情」と伝えるかは、子どもの気持ちも踏まえて判断してかまいません。あわせて、上司だけに伝えるのか、チームの同僚にも共有するのかを相談しておくと、話が思わぬ範囲に広がることを防げます。
次に、働き方を変えたときに業務へどのような影響が出るかを整理します。次のような点を書き出しておくと、必要な調整を話し合いやすくなります。
- 対応が難しくなる時間帯(朝の始業直後、夕方の会議など)
- 急な中抜けや早退が起きたときに影響が出る業務
- 顧客対応や締め切りがあり、代わりの担当が必要な業務
- 在宅勤務や時間の調整をしても、これまでどおり担当できる業務
- 引き継ぎ資料の作成や、業務の進み具合を共有する方法
「できないこと」だけでなく「続けられること」や「自分から用意できる対策」もあわせて示すと、職場は前向きに検討しやすくなります。例えば、「午前中の会議には出にくいが、午後は通常どおり対応できる」「急な早退に備えて、担当案件の状況を毎日チャットで共有する」といった伝え方です。
調整案と連絡方法を相談し、収入や家計への影響も確かめる
事情と業務への影響を整理したら、希望する働き方を具体的な調整案として伝えます。職場で使える制度や勤務形態は会社によって違うため、希望は1つに絞らないほうが安心です。第1希望と、それが難しい場合の代わりの案を用意しておきましょう。例えば、次のような伝え方があります。
- 「今月から学期末まで、始業時刻を1時間遅らせたい。見直しは〇月〇日の面談で相談したい」
- 「週2日は在宅勤務にしたい。難しい場合は、面談や付き添いの日だけ有給休暇で対応したい」
- 「まず1か月は短時間勤務で様子を見て、〇月〇日に続けるか通常勤務に戻すかを決めたい」
見直し日は「落ち着いたら」ではなく、カレンダー上の日付で決めることが大切です。その日に上司と短い面談をする約束をしておけば、子どもの状況が良くなったときも、逆に支えがもっと必要になったときも、改めて相談しやすくなります。
勤務中の連絡方法も、事前に決めておきましょう。不登校の子どもがいると、学校や子ども本人、相談先から急に連絡が来ることがあります。次のような点を上司とすり合わせておくと、急な対応が必要になっても慌てずに済みます。
- 勤務中に私用の電話やメッセージを確認してよいタイミング
- 急な中抜けや早退をするときに、誰にどの手段で連絡するか
- 休暇や早退をした日の業務の引き継ぎ先
- 在宅勤務中に離席するときの連絡ルール
話し合って決まった内容は、面談後にメールなどで上司に送り、記録として残しておきましょう。「言った・言わない」のすれ違いを防げますし、担当者が異動したときにも引き継ぎやすくなります。
働き方の調整は、収入や家計に影響する場合があります。調整案に合意する前に、次の点を人事担当者や就業規則で確認しておきましょう。
- 短時間勤務にした場合、給与がどのように計算されるか
- 無給の休暇や欠勤が、給与や賞与の査定にどう反映されるか
- 所定労働時間を減らすことで、社会保険や雇用保険の加入条件に影響が出ないか
- 固定的な賃金が変わった場合、社会保険料の算定がどう見直されるか
収入が減る見込みがあるときは、減る金額と期間を家族で共有し、毎月の支出や貯蓄の取り崩しで補えるかを考えておきましょう。配偶者やパートナーがいる場合は、どちらか一方だけが働き方を変えるのではなく、両方の職場で調整できることを出し合うと、家計への負担もかたよりにくくなります。収入の見通しを立てたうえで職場と合意しておけば、目の前の対応に追われて休職や退職を急いで決めてしまうことを防ぎやすくなります。
働き方を変えるときは経験を活かす副業も選択肢にする
勤務時間を減らしたり働き方を変えたりする必要が出たときは、家計と子どもの支援を両立する方法として、副業を検討する選択肢もあります。本業の副業ルールや、実際に確保できる時間、始めるための費用を確かめ、親自身の休息も含めて無理のない範囲を考えましょう。副業の収入がすぐに得られることを前提に、休職や退職を決めないことも大切です。
自身の子育て経験を活かす仕事の一つに、ほめビリティのメンターがあります。参加者の実践にコメントやフィードバックを返し、子どもとの関わり方を学ぶ保護者に伴走する役割です。仕事の内容や学ぶ支援スキルは、公式のほめビリティ・メンター養成講座の案内で確認できます。
運営からの案内によると、メンターは時間拘束の縛りがなく、日中の隙間時間に取り組めるため、副業として参加しやすい活動です。実際に、本業を持ちながら副業で参加者を支援しているメンターもいます。公式ページでも、オンラインで生活に合わせて活動でき、活動実績に応じた報酬制度があることが説明されています。担当する支援の内容や対応の目安、報酬条件は、活動を検討する際に運営へ確認しましょう。
不登校の子を支える中でつらかった経験や、日々試してきた関わり方が、同じように悩む保護者の気持ちを理解する手がかりになることがあります。経験を活かして支援する側に立つ点は、当事者同士で支え合うピアサポートに近い考え方です。ここでいう「近い」は役割の共通点を表し、特定のピアサポーター資格と同じという意味ではありません。自分の経験を相手に当てはめず、一人ひとりの事情を聞くことが大切で、診断や治療を担う仕事ではありません。
メンターになるには、まずほめビリティに参加し、家庭で実践を重ねて成果を出すことが求められます。最初の一歩は、基礎コースのほめビリティ・プラクティショナーです。その後、応用コースの受講条件を満たしてアドバンスド・プラクティショナーを取得し、メンター養成講座で支援の練習と認定に進みます。確認時点では、養成講座の参加条件はアドバンスド・プラクティショナー取得後6か月以内です。各講座には受講料と条件があるため、最新の募集案内を確認してください。プログラムの認定は医療・心理の専門資格を取得することとは異なり、参加や資格取得によって採用・仕事の依頼・一定の収入が保証されるものでもありません。
- 「仕事と子どもの対応で余裕がなく、つい強く言ってしまう」
- 「日々の声かけを、もう少し具体的に学びたい」
- 「自分の経験を、いつか同じ悩みを持つ人の支えにできるだろうか」
子どもを支えながら働き方を考えるとき、自分の家庭での関わりを学び直すことが、将来ほかの保護者を支える土台にもなります。
ほめビリティは、日々の声かけや関わり方を実践しながら学ぶ保護者向けオンラインプログラムです。まずはプラクティショナーから、家庭での実践を始めてみませんか。
下の案内では、ほめビリティの全体像と集中講座への流れを確認できます。参加方法や現在の募集についても確認し、ご家庭の状況に合わせて検討してください。
試した支援と働き方を見直し、学びは本人のペースで支える
支援と働き方は、一度決めたら終わりではありません。子どもの様子、頼める大人の都合、施設の休み、親の仕事や負担に合わせて見直していきます。
支援が途切れる日と親の負担を定期的に見直す
職場との見直し日の前や長期休みの前に、家庭でも確認する機会を設けましょう。新しい体制を試した後、例えば2週間から1か月で振り返る方法もあります。これは目安であり、安全面や負担に問題があれば、その日を待たず相談します。
- 対応する大人が決まらなかった時間と、困ったこと
- 居場所に行けなかった日や休館日の代わりの対応
- 子どもが安心できたこと、嫌だったこと
- 親の休暇・中抜けと、家計や心身への負担
記録は子どもを評価するためではなく、支援の不足を具体的に相談するために使います。必要な支えが足りない部分を親だけで埋めようとせず、学校や地域の相談先にも共有してください。親自身の疲れについては、不登校の日々に疲れを感じる親御さんへも参考になります。心身の不調が続くときは医療機関にも相談しましょう。
家庭学習は本人の希望に合わせ、見守りとは分けて考える
仕事中の連絡を、毎回の勉強の進み具合の確認にしないようにしましょう。安全や困りごとの確認と、学習の振り返りは別の時間にできます。教材を利用していることだけでは、日中の見守りが確保されたことにはなりません。
本人に学びたい気持ちがある場合は、取り組みたい内容や量、教科書・ドリル・オンライン教材などの方法を一緒に選びます。学年どおりに進めることを急がず、理解できるところまで戻る方法もあります。親が日中に教えられないときは、学校や学習支援の担当者に頼める部分を相談してください。休養が必要な時期に、勤務時間を埋めるための課題を増やす必要はありません。
自宅学習の記録や学校との共有方法は、担任に確認しましょう。日中に必要な生活支援を整えたうえで、本人が自宅で学ぶ方法を探しているなら、理解度に合わせて進められる教材も比較する選択肢になります。
本人が自宅で学んでみたいときは、親がいつも隣で教える方法に限らず、理解度に合った教材を一緒に選ぶこともできます。
無学年式オンライン教材「すらら」は、理解できるところまで戻り、自宅で自分のペースで学べる方法の一つです。
学習方法として本人に合うかを確かめながら検討してください。教材の利用と、仕事中に必要な見守りや生活支援は分けて準備しましょう。
まとめ
子どもの不登校で仕事をどうするか迷ったときは、休職や退職をすぐに決めず、まず日中に必要な対応を整理しましょう。必要な対応がはっきりすると、学校や地域の支援、家族の協力で補える部分が見えてくるためです。
そのうえで、年次有給休暇や勤務時間の調整など職場の制度を確認し、希望する働き方と期間、見直し日を決めて相談しましょう。子どもの様子に合わせて体制を見直すことが、親が一人で抱え込まずに子どもの安心と家庭の暮らしを守ることにつながります。