- 1 小学6年生の進学準備は、今の支援を中学校へつなぐことから
- 1-1 入学までに登校できることを準備の条件にしない
- 1-2 本人が心配している場面と望む関わりを少しずつ聞く
- 2 まず小学校に相談し、進学先との連絡窓口を確認する
- 2-1 担任に中学校への引き継ぎ時期と担当者を尋ねる
- 2-2 学校外の支援者とも、誰が何を伝えるか相談する
- 3 本人と共有範囲を相談して、引き継ぎメモをまとめる
- 3-1 困る場面、役立った配慮、安心できる関わりを書き出す
- 3-2 誰に何を伝えるか、本人が伝えたくない内容も確認する
- 3-3 今取り組めている学びと無理のない方法を共有する
- 4 中学校の見学や面談は、本人の負担に合わせて相談する
- 4-1 短時間の見学や保護者だけの面談が可能か確認する
- 4-1-1 見学の時間帯と範囲を本人と決める
- 4-1-2 保護者だけの面談で確認しておきたいこと
- 4-1-3 本人が行けないときの代わりの方法
- 4-2 過ごせる場所、利用できる時間、関わる先生を確かめる
- 4-2-1 教室以外で過ごせる場所
- 4-2-2 利用できる時間帯と使い方
- 4-2-3 関わる先生と相談できる人
- 5 入学後の連絡方法と支援を見直す機会まで決めておく
- 5-1 入学式や最初の登校が難しい場合の相談先を確認する
- 5-1-1 入学式に参加できない場合の対応を聞いておく
- 5-1-2 欠席や遅刻の連絡方法と連絡の頻度を決める
- 5-1-3 学校の窓口と学校外の相談先を控えておく
- 5-2 担当者が替わったときも引き継ぎ内容を確かめる
- 5-3 入学後の様子に合わせて配慮や学び方を相談し直す
- 5-3-1 見直しの時期を入学前に決めておく
- 5-3-2 本人の声と家庭での様子を学校へ伝える
- 5-3-3 配慮や学び方の選択肢を具体的に相談する
- 6 まとめ
小学6年生で不登校が続くと、このまま中学校へ進学して大丈夫かと不安になる保護者は少なくありません。この記事では、入学までに登校できることを条件にせず、今の支援を中学校へつなぐ進め方を解説します。担任への相談と引き継ぎ時期の確認、スクールカウンセラーや教育支援センターなど学校外の支援者との連携、本人と共有範囲を決めた引き継ぎメモの作り方、見学や面談の工夫、入学後の連絡方法まで分かります。本人の希望と役立った配慮を次の学校へ伝え、親だけで抱えずに準備を進めることが大切です。
小学6年生の進学準備は、今の支援を中学校へつなぐことから
小学6年生の子どもが不登校の状態にあると、「このまま中学生になって大丈夫だろうか」「中学校に上がれば気持ちが切り替わるのではないか」と、期待と不安が入り混じる保護者は少なくありません。卒業や入学という節目が近づくほど、早く登校できるようにしなければと焦りやすい時期です。
中学校では教科ごとに関わる先生や時間割が変わり、新しい人間関係も生まれます。変化がきっかけになる子も、負担を感じる子もいます。「入学すれば通えるはず」と決めず、本人が心配していることと必要な支えを確かめましょう。
進学準備で大切なのは、今の生活の中で本人を支えているものを見つけ、それを中学校へつなぐことです。たとえば、別室や保健室で過ごす時間、担任の声かけの仕方、教育支援センター(適応指導教室)やフリースクールでの活動、自宅でのオンライン学習、スクールカウンセラーとの面談などは、その子に合った支援として積み重ねてきたものです。小学校で役立った配慮や、学校以外の居場所での学びが中学校に伝わらないまま入学すると、本人も保護者も一から説明し直さなければならず、負担が大きくなります。
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」は、登校という結果だけを目標にせず、本人の社会的自立を支える考え方を示しています。学校間で支援に必要な情報を引き継ぎ、状況に応じて見直すことも示されています。
中学校へ支援をつなぐ準備は、本人が登校しているかどうかに関係なく、保護者が学校や支援者と相談しながら進めることができます。まずは、準備の前提となる考え方と、本人の気持ちを知るための関わり方を整理しておきましょう。
入学までに登校できることを準備の条件にしない
進学が近づくと、「6年生のうちに少しでも登校して慣れておかないと、中学校でさらに行けなくなるのでは」と考えてしまうことがあります。しかし、入学までに登校できるようになることを準備の条件にすると、本人は「学校に行かなければ中学校の話は進まない」と受け止め、強いプレッシャーを感じやすくなります。
休養が必要な状態でも、保護者が学校との相談を始めることはできます。本人の体調や気持ちを確かめ、登校の再開を進学相談の条件にしないようにしましょう。
本人が「中学校では通いたい」と話したら、その希望を受け止めましょう。同時に、難しい日にも相談できる相手や過ごせる場所を確認しておくと、予定どおりにならなかったときにも支援を相談できます。
保護者自身の焦りや不安も、学校や支援者に相談してかまいません。本人への声かけと、保護者が準備できることを分けて考えてみましょう。
本人が心配している場面と望む関わりを少しずつ聞く
中学校へ支援をつなぐうえで欠かせないのは、本人が何に不安を感じ、どのような関わりなら安心できるのかを知ることです。ただし、進学の話題そのものが負担になっている子どももいるため、一度に聞き出そうとせず、時間をかけて少しずつ聞いていくことが大切です。
話を聞くときは、改まって向き合うよりも、車での移動中や一緒に料理をしているとき、寝る前のひとときなど、本人がリラックスしている場面のほうが言葉が出やすいことがあります。「中学校で気になっていることはある?」と広く聞いて答えにくそうなら、「勉強のこと」「友達のこと」「先生のこと」のように選択肢を示す方法もあります。話すのが苦手な子どもには、紙に書いてもらったり、スマートフォンのメッセージで伝えてもらったりしてもよいでしょう。
本人が心配している場面を尋ねる際には、次のような話題が手がかりになります。すべてを聞き出す必要はありません。
- 同じ小学校の同級生と顔を合わせること
- 休んでいた間の勉強の遅れや、定期テストへの不安
- 大人数の教室や、にぎやかな休み時間の過ごし方
- 朝の起床や登校時間に間に合うかどうか
- 制服や校則、部活動など新しいルールへの戸惑い
- 先生からの声かけの仕方や、注目されること
あわせて、これまでの生活の中で「こうしてもらえて助かった」「これは嫌だった」と感じた関わりも聞いておくと、中学校に伝えたい配慮が見えてきます。たとえば、「先生から何度も登校を促されるのがつらかった」「予定を前もって知っていると安心できた」「保健室の先生とは話しやすかった」など、具体的な経験は支援を考えるうえで大きな手がかりになります。
本人が「わからない」「話したくない」と答えることもありますが、それも大切な意思表示です。答えを急がず、「話したくなったらいつでも聞くよ」と伝えて待つ姿勢が、安心感につながります。また、話の内容を否定したり、すぐに解決策を示したりするよりも、「そう感じていたんだね」と気持ちを受け止めることを優先すると、本人は少しずつ本音を話しやすくなります。こうして聞き取った本人の思いが、この後の学校への相談や中学校への引き継ぎの土台になります。
- 「中学校の話をすると、黙ってしまう」
- 「本人の希望を、どんな言葉で聞けばよいのだろう」
- 「準備が心配で、つい返事を急がせてしまう」
本人の答えを待とうと思っていても、進学が近づくと焦ることがあります。気持ちを聞く声かけや日々の関わり方を、具体的に学ぶ方法もあります。
ほめビリティは、子どもを無理に変えようとするのではなく、日々の声かけや関わり方を実践しながら学ぶ、保護者向けのオンラインプログラムです。
学校への相談と並行して、家庭での声かけを考えたいときの選択肢として、内容を確認してみてください。
まず小学校に相談し、進学先との連絡窓口を確認する

中学校への相談の進め方に迷ったら、まず在籍する小学校に、進学先との連絡をどうつなぐか尋ねてみましょう。担任に話しにくい場合は、養護教諭や管理職など、相談できる相手を選んでかまいません。
担任に中学校への引き継ぎ時期と担当者を尋ねる
担任には「中学校への引き継ぎについて相談したい」と伝えます。学校間で情報を共有する時期や方法を確認し、「いつごろ」「誰から誰へ」「何を」伝える予定かを具体的に尋ねておきましょう。
引き継ぎの時期が近づいてから慌てないように、進学を意識し始めた段階で早めに相談しておくと、家庭の希望を伝える時間にも余裕が生まれます。担任に確認しておきたい主な内容は、次のとおりです。
- 中学校への引き継ぎがいつごろ行われる予定か
- 引き継ぎは書面、学校間の連絡会、担当者同士の面談など、どのような方法で行われるか
- 小学校側で中学校との連絡を主に担当するのは誰か
- 中学校側で最初の窓口になる先生は誰か(学年主任、教育相談担当、特別支援教育コーディネーター、養護教諭など)
- 保護者が中学校へ直接相談してよいか、その場合の連絡の取り方
- 引き継ぎの前に、保護者の考えや本人の希望を伝える機会があるか
中学校側の担当者は、新年度の体制が決まるまで確定しない場合もあります。その場合は「現時点で相談できる窓口」と「入学後に担当が決まる時期」を分けて聞いておくと、連絡先が分からなくなる不安を減らせます。
進学先が学区内の公立中学校ではなく、私立中学校や国立大学附属中学校、学区外の学校になる場合は、通常の小中学校間の情報共有とは流れが異なることがあります。小学校から進学先へ届く書類には在籍中の学習や生活の記録がありますが、家庭が伝えてほしいと考えている配慮まで十分に伝わるとは限りません。進学先が決まった時点で担任にその旨を伝え、どのような形で情報を届けられるかを相談しておきましょう。
担任の先生に直接話しにくい事情があるときや、担任と連絡を取りにくいときは、養護教諭やスクールカウンセラー、教頭・副校長などの管理職に相談しても構いません。小学校として誰が保護者との窓口になるのかをはっきりさせておくと、その後のやり取りが途切れにくくなります。
学校外の支援者とも、誰が何を伝えるか相談する
不登校の間に、教育支援センター(適応指導教室)やフリースクール、スクールソーシャルワーカー、医療機関、自治体の子育て相談窓口などとつながっている家庭もあるでしょう。こうした学校外の支援者は、学校とは違う場面での本人の様子や、安心して過ごせた関わり方を知っています。中学校への引き継ぎでは、学校外で得られた情報も大切な手がかりになります。
一方で、関わる人が増えるほど、「誰が中学校に伝えたのか」「どこまで伝わっているのか」が分かりにくくなりがちです。同じ内容を何度も説明することになったり、反対に大事な情報がどこからも伝わっていなかったりする状況を防ぐには、支援者ごとに伝える役割を整理しておくことが役立ちます。
| 関わっている人・機関 | 確認しておきたいこと |
|---|---|
| 小学校(担任・管理職など) | 学校間の引き継ぎで中学校へ何を伝えるか、学校外の支援者と連絡を取ることがあるか |
| 教育支援センター・フリースクール | 通所の状況や過ごし方を中学校へ伝えることができるか、伝える場合の方法 |
| スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー | 中学校の相談体制とどのようにつなげられるか |
| 医療機関 | 学校に伝えておいたほうがよい配慮があるか、書面で伝える必要があるか |
学校外の学びについて小学校で出席扱いになっていた場合は、進学先にも現在の記録や相談の経緯を伝え、中学校での扱いを改めて確認しましょう。小学校での扱いが自動的に続くと考えず、相談に必要な資料を尋ねておくとよいでしょう。
関係する機関が多い場合は、小学校に「関係者が集まって情報を共有する機会を設けられないか」と相談する方法もあります。実施できるかどうかは学校や地域の状況によりますが、保護者が一人ひとりに同じ説明を繰り返す負担を減らせることがあります。
学校外の支援者から情報を伝えてもらう場合は、共有の目的、伝える相手、内容、同意の確認方法を支援者と相談してください。医療や家庭の事情も含め、本人が知られたくない内容や共有への希望を確かめ、必要な範囲を話し合いましょう。
本人と共有範囲を相談して、引き継ぎメモをまとめる

小学校から中学校へ支援をつなぐときに役立つのが、子どもの様子や必要な配慮を整理した「引き継ぎメモ」です。面談の場では緊張して伝え忘れることがあります。担当の先生が替わると、口頭で伝えた内容は残りにくくなります。あらかじめ文章にしておけば、小学校の担任や中学校の先生と同じ情報をもとに話し合えます。
前掲の文部科学省通知は、本人や保護者との話し合いを踏まえた「児童生徒理解・支援シート」の作成・活用と、引き継ぎ時の個人情報への留意を示しています。家庭のメモは指定の書類ではなく、学校が用意する資料に本人の希望や家庭での様子を補うためのものです。
メモは、本人の話せる範囲や方法に合わせて相談しながら作ります。本人がまだ話せないときは、保護者が把握している事実と、本人への確認が済んでいない点を分けておきましょう。本人の気持ちを推測だけで書き込まないことが大切です。
困る場面、役立った配慮、安心できる関わりを書き出す
最初に、学校生活のどんな場面で負担を感じやすいのかを具体的に書き出します。「学校が苦手」とまとめるより、場面ごとに分けたほうが、中学校の先生は配慮の内容を考えやすくなります。たとえば次のような観点で整理できます。
- 困る場面:朝の登校時間、大人数の教室、給食や休み時間、急に発表を求められること、大きな音やざわつき、行事の練習など
- 役立った配慮:別室での学習、時間をずらした登校や下校、予定の事前連絡、プリントや連絡帳でのやり取り、保健室で休める時間など
- 安心できる関わり:落ち着いた声かけ、選択肢を示して本人に選ばせる、人前ではなく個別に話しかける、決まった先生が窓口になるなど
- 調子の変化のサイン:口数が減る、朝起きられない日が続く、腹痛や頭痛を訴える、特定の話題を避けるなど
書くときは「〜ができない」という表し方だけにせず、「〜だと過ごしやすい」「〜があると参加しやすい」と、うまくいった条件もあわせて記すのがポイントです。できなかったことだけが並ぶメモは、読んだ先生に本人の姿が伝わりにくく、本人が読んだときにも傷つく場合があります。
家での過ごし方や好きなこと、得意なことも短く添えると、中学校の先生が話しかけるきっかけになります。たとえば「絵を描くのが好き」「パソコンでの作業は集中しやすい」といった一言でも、関係づくりの手がかりになります。一方で、原因の推測や特定の人への評価は、事実と分けて書くか、面談で口頭で伝えるほうが誤解を防げます。
誰に何を伝えるか、本人が伝えたくない内容も確認する
内容を書き出したら、それぞれの情報を誰に伝えるかを本人と一緒に決めます。中学校では教科ごとに先生が替わる教科担任制になり、担任のほかにも学年の先生、養護教諭、スクールカウンセラーなど、関わる大人が増えます。すべての先生に同じ内容を伝える必要はありません。
共有範囲は、次のように段階を分けてメモに書き添えておくと、学校側も扱い方を判断しやすくなります。
- 関わる先生全員に知っておいてほしいこと:急な指名を避けてほしい、体調が悪いときに休める場所が必要など
- 担任や相談の窓口になる先生だけに伝えたいこと:欠席が増えた時期の様子、家庭での状況など
- 今は伝えたくないこと:友人関係で起きた出来事、本人が話題にされたくない内容など
本人に尋ねるときは「全部話していい?」と一度に確かめるより、項目ごとに「これは先生に知っておいてもらうと助かりそう?」「これはまだ言わないでおく?」と聞くほうが答えやすくなります。答えが出ない項目は、無理に決めずに保留にしてかまいません。
本人が伝えたくない内容でも、命や安全に関わり、急いで支援者と共有する必要がある場合は、安全確保を優先します。説明できる状況であれば、共有する理由と相手を本人に伝え、必要な範囲を支援者と相談してください。受診や診断に関する情報をどのように伝えるか迷う場合は、主治医にも相談できます。
共有範囲は一度決めたら変えられないものではありません。「入学してから、話してもいいと思えたら教えてね」と伝えておくと、本人は気持ちの変化を言い出しやすくなります。
今取り組めている学びと無理のない方法を共有する
引き継ぎメモには、学校生活への配慮だけでなく、今どのような形で学んでいるかも書いておきます。中学校では教科担任制や定期テストが始まるため、学習面の心配を抱える子どもや保護者は少なくありません。現在の学びの状況が伝われば、中学校の先生も入学後の関わり方を考えやすくなります。
書いておきたいのは、次のような内容です。
- 取り組んでいる学び:家庭での市販のドリルや問題集、タブレット端末やオンライン教材、教育支援センター(適応指導教室)やフリースクールでの活動、小学校の別室での学習など
- 学びやすい方法:1回の学習時間、集中しやすい時間帯、紙とデジタルのどちらが取り組みやすいか、課題の量や提出方法など
- 得意な教科と不安のある教科:学習が進んでいる単元、抜けている可能性がある単元、本人が「わからない」と感じている内容など
学習の遅れについては、「全然勉強していない」とまとめるより、「算数は5年生の分数まで家庭で取り組んだ」「国語の音読は負担だが、読書は続けている」のように、できていることと不安な点を分けて書くと正確に伝わります。本人が「中学の勉強についていけるか心配」と話しているなら、その気持ちもメモに残しておくとよいでしょう。
現在、施設や家庭で記録している学習内容があれば、記録の方法も引き継ぎメモに添えます。出席や学習評価の扱いについては進学先に個別に確認し、本人に合う学び方の相談と合わせて進めましょう。
大切なのは、入学に合わせて学習量を急に増やす計画を立てることではなく、今続けられている方法を中学校でも生かせるように伝えることです。本人にとって無理のないペースが共有されていれば、入学後に学び方を相談するときの出発点になります。
今取り組めている学びを整理して、自宅で続けやすい方法も探したい場合は、本人の理解度に合う教材を確認することも一つの選択肢です。進学までに学習量を増やすことを目標にせず、本人の気持ちや体調に合わせて検討しましょう。
無学年式オンライン教材「すらら」なら、学校の進度や学年に縛られず、理解できているところまで戻って自宅で学習できます。
今取り組める内容から学ぶ方法を、本人と相談しながら検討できます。教材の利用によって、入学後の支援や出席の扱いが自動的に決まるものではありません。
中学校の見学や面談は、本人の負担に合わせて相談する

見学や面談では、本人が気にしている場所や関わる先生を確認できます。一方、知らない校舎に入ること自体が負担になる場合もあります。本人の希望と体調に合わせ、時間帯・範囲・参加者を学校と相談しましょう。希望する方法が可能かは学校ごとに確認が必要です。
進学前の体験を設けている地域もあります。たとえば新宿区のチャレンジクラスの案内には、小学6年生・新中学1年生を原則対象とする体験入級の期間が示されています。これは地域の一例です。自分の進学先で利用できる見学や体験の機会、条件、申込時期は、在籍校や教育委員会に確認してください。
短時間の見学や保護者だけの面談が可能か確認する
中学校では、学校説明会や新入生向けの入学説明会が開かれることが一般的です。しかし、大勢の保護者や児童が集まる場に参加するのは、本人にとって難しい場合もあります。そのようなときは、個別に見学や面談ができないか、小学校の担任を通して、または中学校へ直接問い合わせてみましょう。
見学の時間帯と範囲を本人と決める
個別の見学をお願いできる場合は、放課後や授業中など、他の生徒と会いにくい時間帯を相談できることがあります。最初から校舎全体を回るのではなく、「校門から昇降口まで」「相談室だけ」など、本人が見てもよいと思える範囲に絞るのも一つの方法です。
見学の前には、本人と次のような点を話し合っておくと安心につながります。
- どの時間帯なら行けそうか
- どこまで見たいか、どこは見たくないか
- 先生と話したいか、見るだけにしたいか
- 途中で帰りたくなったときの合図をどうするか
途中で帰りたくなったときの対応も、本人と学校に共有しておきます。一度で校舎全体を見る必要はありません。本人が希望する範囲で、複数回に分けた見学が可能か相談する方法もあります。
保護者だけの面談で確認しておきたいこと
本人がまだ中学校に行くことに気持ちが向いていない場合は、まず保護者だけで面談を受けるという選択肢があります。保護者が先に学校の雰囲気や先生の考え方を知っておけば、あとで本人に「こんな場所があったよ」と具体的に伝えられます。
面談では、本人の状態を伝えるだけでなく、中学校側がどのような支援をしてきたか、不登校の生徒をどのように受け入れているかも聞いておきましょう。小学校の担任や、教育支援センター(適応指導教室)、フリースクールなど学校外の支援者に同席してもらえるか相談するのもよい方法です。これまでの様子をよく知る人がいると、話が具体的になりやすくなります。
本人が行けないときの代わりの方法
見学そのものが難しい場合は、学校のホームページや学校案内のパンフレットで校舎や行事の様子を一緒に見るところから始めても構いません。学校によっては、教室や相談室の写真を見せてもらえたり、先生が家庭訪問をしてくれたりすることもあります。オンラインでの面談に対応しているかどうかも学校によって異なるため、希望があれば問い合わせてみましょう。
見学が難しい場合も、保護者が窓口や支援内容を確認する準備は進められます。写真や学校案内を見ることも負担なら、本人への説明を急がず、学校と相談を続けましょう。
過ごせる場所、利用できる時間、関わる先生を確かめる
見学や面談では、場所の有無だけでなく、実際に利用できる条件まで確認します。次の項目を相談メモとして使ってください。
教室以外で過ごせる場所
学校によっては、保健室や相談室のほか、校内教育支援センター(スペシャルサポートルームなどと呼ばれることもあります)といった、教室に入りにくい生徒が過ごせる別室を設けています。どのような場所があるのか、実際に見せてもらえるか確認してみましょう。
確かめておきたい主な点は次のとおりです。
- 教室以外で過ごせる部屋があるか
- その部屋でどのように過ごすのか(自習、プリント学習、タブレット端末の利用など)
- 他の生徒の出入りはどの程度あるか
- 昇降口や通学路など、登校時に通る場所の様子
本人が見学できる場合は、実際に部屋の中に入って椅子に座ってみるなど、入学後の自分の姿をイメージできる体験になると心強いでしょう。
利用できる時間帯と使い方
別室や相談室があっても、利用できる曜日や時間帯が限られていることがあります。担当する先生が常にいるのか、特定の時間だけなのかによって、本人が過ごしやすいかどうかも変わってきます。
あわせて、遅刻して登校してもよいか、午前中だけや放課後だけの登校ができるか、給食の時間をどう過ごせるかなども相談しておくと、入学後に選べる登校の形が見えてきます。すぐに答えが出ない内容もありますが、「こうした希望がある」と早めに伝えておくことで、学校側も準備を進めやすくなります。
関わる先生と相談できる人
中学校では、担任の先生だけでなく、学年主任、養護教諭、スクールカウンセラー、特別支援教育コーディネーターなど、さまざまな立場の人が生徒の支援に関わります。入学前の段階では担任が決まっていないことが多いため、誰が相談の窓口になり、どの先生が本人と関わる可能性があるのかを確認しておきましょう。
スクールカウンセラーが来校する曜日や、保護者も相談できるかどうかも聞いておくと役立ちます。本人が見学の際に会えた先生がいれば、その先生の名前を覚えておくだけでも、入学後に「知っている人がいる」という安心材料になります。
見学や面談で確かめた内容は、帰宅後に本人と振り返り、よかったと感じたことや不安に思ったことを聞いてみましょう。本人の感想をもとに、次に確認したいことや学校へ伝えたいことを整理しておくと、その後の相談がより本人の希望に沿ったものになります。
入学後の連絡方法と支援を見直す機会まで決めておく

支援の引き継ぎは、入学前の書類の受け渡しで終わりではありません。担当者が決まったときに内容を確かめ、実際の様子に合わせて調整を続けることが大切です。
入学前の段階で「入学後に困ったとき、誰にどのように連絡するか」「支援の内容をいつ見直すか」まで決めておくと、つまずいたときも慌てずに相談できます。準備した支援を入学後に生かすための確認事項を、場面ごとに整理します。
入学式や最初の登校が難しい場合の相談先を確認する
入学式や最初の数日は、多くの生徒が集まり、初対面の人と関わる場面が続きます。不登校の経験がある子どもにとっては、特に負担を感じやすい時期です。「当日になって行けなかったらどうしよう」という不安は、本人だけでなく保護者も抱えやすいものです。行けない可能性もあらかじめ想定し、学校と相談しておくことで、当日の選択肢が広がります。
入学式に参加できない場合の対応を聞いておく
入学式への参加が難しそうな場合は、どのような参加の形があるかを事前に学校へ尋ねておきましょう。学校によって対応は異なりますが、たとえば別室で過ごす、式の時間とずらして教室や担任の先生に会う、保護者だけが出席して配布物を受け取るといった方法を相談できる場合があります。
大切なのは、入学式に出られなかったことを「最初からつまずいた」と捉えないことです。式に出るかどうかよりも、本人が学校とのつながりを保てる形を探すことを優先しましょう。
欠席や遅刻の連絡方法と連絡の頻度を決める
欠席が続いた場合、毎朝の欠席連絡そのものが保護者の負担になることがあります。電話、連絡帳、学校が導入している連絡用のアプリやメールなど、どの方法で連絡するのがよいかを確認しておきましょう。欠席が続く見込みがあるときの連絡の仕方についても、あらかじめ相談しておくと安心です。
あわせて、学校からの連絡をどのくらいの頻度で、どの方法で受けるかも決めておくとよいでしょう。「週に1回、決まった曜日に担任の先生から電話をもらう」「配布物はまとめて受け取る」など、家庭と学校の双方が無理なく続けられる形を話し合っておくと、連絡が途切れにくくなります。
学校の窓口と学校外の相談先を控えておく
学校での主な連絡窓口は担任の先生になることが多いですが、担任の先生と連絡がとりにくいときに備えて、学年主任、養護教諭、スクールカウンセラーなど、ほかに相談できる人も確認しておきましょう。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの来校日は学校によって異なるため、相談の申し込み方法とあわせて聞いておくと役立ちます。
学校との相談が進まない場合や、家庭だけで抱えるのが難しい場合は、地域の教育支援センターや教育相談窓口にも相談できます。地域や相談方法は、文部科学省の子供のSOSの相談窓口でも確認できます。
担当者が替わったときも引き継ぎ内容を確かめる
中学校は教科担任制のため、小学校に比べて関わる先生の人数が大きく増えます。入学前に面談した先生が、入学後の担任や主な窓口になるとは限りません。また、年度替わりの人事異動や学年の進級によって、担任や支援の担当者が替わることもあります。
そのため、担当者が替わったタイミングでは、これまでの経緯や配慮の内容が新しい担当者にどのように伝わっているかを確認しましょう。確認の目安となるのは、入学直後に担任の先生が決まったとき、2年生・3年生への進級時、年度途中で担当者が替わったときなどです。入学前に作成した引き継ぎメモがあれば、あらためて手渡したり、面談の際に一緒に見返したりすると、情報の抜けや食い違いを防げます。
中学校では、教科担任や部活動の顧問など、担任以外の先生と関わる場面も増えます。どの先生にどこまで情報が共有されているかは、学校に確認しておくとよいでしょう。ただし、共有する範囲を広げる場合は、入学前に本人と決めた「伝えてよいこと」「伝えたくないこと」の範囲を守ることが前提です。新しい先生に情報を伝えるときは、その都度、本人の気持ちを確かめるようにしましょう。
入学後の様子に合わせて配慮や学び方を相談し直す
入学前に決めた配慮や学び方は、あくまで「入学時点での予定」です。実際に中学校生活が始まると、思っていたより過ごしやすい場面もあれば、予想していなかった困りごとが見つかることもあります。支援の内容は一度決めたら終わりではなく、本人の様子に合わせて調整していくものと考えておきましょう。
見直しの時期を入学前に決めておく
「困ったら相談する」だけでは、保護者も学校も様子を見ているうちに時間が過ぎてしまうことがあります。入学前の面談の段階で、「入学から1か月ほどたった頃」「大型連休明け」「1学期の終わり」など、支援の内容を見直す時期をあらかじめ決めておくと、相談の機会を確保しやすくなります。学期ごとの個人面談や三者面談の機会を活用するのも一つの方法です。
本人の声と家庭での様子を学校へ伝える
見直しの面談では、学校での様子を聞くだけでなく、家庭で見えている様子も伝えましょう。朝起きられない日が増えた、腹痛や頭痛を訴えることが多くなった、食欲や睡眠に変化があるといったことは、学校からは見えにくいサインです。反対に、「この授業は楽しかったと話していた」「別室で過ごす日は落ち着いている」など、うまくいっていることを伝えるのも大切です。
面談の前には、本人に「今の過ごし方で続けたいこと」「変えてほしいこと」を聞いておきましょう。うまく言葉にできないときは、無理に聞き出さず、「つらい時間はある?」「楽な時間はどこ?」など答えやすい問いかけにすると、本人の気持ちを把握しやすくなります。
配慮や学び方の選択肢を具体的に相談する
入学後の様子をふまえて相談できる内容には、たとえば次のようなものがあります。
- 登校する時間や日数を短くする、別室や校内の居場所で過ごす時間を設ける
- 課題の量や提出方法、定期テストの受け方について配慮を相談する
- タブレット端末などを使ったオンラインでの授業参加や学習方法を相談する
- 教育支援センターやフリースクールなど、学校外の学びの場との併用を検討する
配慮や学び方の選択肢は学校・自治体によって異なります。利用できる方法、担当者、記録や評価の確認先を具体的に尋ね、まだ決まらない点は次にいつ確認するかを相談しましょう。
支援の見直しは、「登校日数を増やすこと」だけを目標にするものではありません。本人が安心して過ごせているか、自分に合った方法で学び続けられているかを大切にしながら、学校と家庭で少しずつ調整を重ねていくことが、中学校生活を支える土台になります。
まとめ
不登校の小学6年生の進学準備で大切なのは、入学までに登校できるようにすることではなく、今役立っている支援を中学校へつなぐことです。環境が変わっても本人に合う配慮が続けば、新しい学校でも安心して過ごしやすくなります。
まずは小学校の担任に相談し、本人と共有範囲を決めて引き継ぎメモを準備しましょう。見学や面談、入学後の連絡方法も、学校や支援者と一緒に確認しておくと安心です。