- 1 不登校とひきこもりの違いとは
- 1-1 不登校の定義と現状
- 1-2 ひきこもりの定義と特徴
- 1-3 不登校からひきこもりへ移行するケース
- 2 不登校やひきこもりになる主な原因と心理
- 2-1 学校生活における対人関係や学習の悩み
- 2-2 家庭環境や親子関係の影響
- 2-3 本人が抱える不安や無気力な状態
- 3 家から出ない不登校やひきこもりの子への接し方
- 3-1 無理に学校や外へ行かせようとしない
- 3-1-1 避けたい声かけと言い換えの例
- 3-1-2 「行かせない」と「放置する」は違う
- 3-2 安心できる家庭の居場所づくり
- 3-2-1 日常の会話は学校以外の話題から
- 3-2-2 部屋にこもる子への関わり方
- 3-2-3 生活リズムとゲーム・スマホとの付き合い方
- 3-2-4 家庭内で役割を持てるようにする
- 3-2-5 家族で対応をそろえる
- 3-3 親自身の心身のケアも大切にする
- 3-3-1 親が自分の生活を保つ
- 3-3-2 一人で抱え込まず話せる場を持つ
- 4 不登校やひきこもりについて相談できる窓口
- 4-1 学校のスクールカウンセラーや担任
- 4-2 教育支援センターや児童相談所
- 4-2-1 教育支援センター(適応指導教室)
- 4-2-2 児童相談所
- 4-3 フリースクールや通信制高校の活用
- 4-3-1 フリースクール
- 4-3-2 通信制高校
- 4-4 医療機関やひきこもり地域支援センター
- 4-4-1 医療機関(小児科・児童精神科・心療内科)
- 4-4-2 ひきこもり地域支援センター
- 5 まとめ
不登校とひきこもりは定義の基準が異なります。不登校は文部科学省の調査で「病気や経済的理由以外で年間30日以上欠席した状態」、ひきこもりは厚生労働省のガイドラインで「原則6か月以上、家庭にとどまり社会参加を避けている状態」とされ、不登校が長引いてひきこもりへ移行する場合もあります。この記事では、両者の原因と心理、無理に外へ出そうとせず家庭を安心できる居場所にする接し方、スクールカウンセラーや教育支援センター、ひきこもり地域支援センターなどの相談先を紹介します。
ここで挙げた30日や6か月は、調査や従来のガイドラインで用いられる目安であり、相談を始めるまで待つ期間ではありません。厚生労働省の2025年のひきこもり支援ハンドブックは、支援が必要な本人や家族について、その状態にある期間を問わないとしています。
不登校とひきこもりの違いとは

不登校は「学校に行っていない状態」、ひきこもりは「学校や仕事、家庭外での交流など社会との関わりを避け、家にとどまっている状態」を指します。不登校の子どもがすべてひきこもりになるわけではありません。一方で、ひきこもりのきっかけが学齢期の不登校だったという人もいます。まずはそれぞれの定義を知り、子どもが今どの状態にあるのかを整理することが、適切な対応や相談先を選ぶ第一歩になります。
| 比較項目 | 不登校 | ひきこもり |
|---|---|---|
| 主な定義の出典 | 文部科学省 | 厚生労働省のガイドライン |
| 対象 | 小学生・中学生・高校生などの児童生徒 | 年齢を問わない(10代から中高年まで) |
| 期間の目安 | 年間30日以上の欠席 | 原則として6か月以上 |
| 着目する点 | 学校への登校の有無 | 就学・就労・家庭外での交流など社会参加の有無 |
| 外出の状況 | 友人と遊ぶ、習い事やフリースクールに通うなど外出している場合もある | おおむね家庭にとどまる(人と交わらない形での外出は含む) |
不登校の定義と現状
文部科学省は、不登校児童生徒を「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義しています。つまり、不登校は学校に在籍している児童生徒の欠席状況を表す言葉です。卒業や中途退学で学校に在籍しなくなると、統計上は不登校には含まれなくなります。
文部科学省の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によると、令和5年度の小・中学校の不登校児童生徒数は34万6,482人で、11年連続で増加し過去最多となりました。内訳は小学校が13万370人、中学校が21万6,112人です。高等学校の不登校生徒数は6万8,770人でした。また、小・中学校の不登校児童生徒のうち約4割は、学校内外の専門機関などで相談や指導を受けていないことも明らかになっています。
以下の数字は令和5年度の調査結果です。より新しい令和6年度調査では、小・中学校の不登校児童生徒は約35万4千人でした(文部科学省の調査結果通知)。
2016年に成立した教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)では、不登校の子どもに休養が必要な場合があることが示されました。現在の国の方針は、学校に戻ることだけを目標とせず、子どもが将来、社会的に自立することを目指すものです。不登校は「本人の問題行動」として扱うものではないという考え方が、行政の基本的な立場になっています。
ひきこもりの定義と特徴
厚生労働省のひきこもりの評価・支援に関するガイドラインでは、ひきこもりを「様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6か月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態」と定義しています。この状態には、他者と交わらない形での外出も含まれます。
ひきこもりは病名ではなく、「状態」を表す言葉です。ガイドラインでは、ひきこもりの背景に発達障害や不安障害、うつ病などの精神疾患が関係している場合があると指摘されています。そのため、本人の性格や意欲の問題として一律に捉えることはできません。
ひきこもりの状態では、外出の頻度や人との関わり方はさまざまです。内閣府のこども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)では、次のいずれかに当てはまり、その状態が6か月以上続いている人を「広義のひきこもり」としています。
- 趣味の用事のときだけ外出する
- 近所のコンビニなどには出かける
- 自室からは出るが、家からは出ない
- 自室からほとんど出ない
この調査では、広義のひきこもりに該当する人の割合は15~39歳で2.05%、40~64歳で2.02%でした。全国の推計数は合わせて約146万人です。ひきこもりは若者だけの問題ではなく、中高年にも見られます。親が高齢になり、子どもの生活を支えきれなくなる「8050問題」も社会的な課題になっています。
不登校からひきこもりへ移行するケース
不登校の子どもの多くは、その後に進学や就職をしています。ただし、一部の子どもは学校を離れた後も社会との接点を持てず、ひきこもりの状態へ移行することがあります。前述の内閣府の調査でも、ひきこもり状態になったきっかけとして、小学校・中学校・高校時代の不登校を挙げる人が一定数いました。
移行が起こりやすいのは、学校という所属先を失い、家族以外と関わる機会がなくなったときです。たとえば、次のような場面が挙げられます。
- 中学校を卒業した後、進学先や就職先が決まらないまま自宅で過ごしている
- 高校に進学したものの、欠席が続いて中途退学した
- 不登校の期間に友人との連絡が途絶え、外出の機会がなくなった
在籍中であれば、担任やスクールカウンセラーが家庭に連絡するなど、学校と家庭のつながりが保たれています。しかし、卒業や中退によって在籍しなくなると、そうした働きかけは届かなくなります。その結果、家庭だけで問題を抱え込み、ひきこもりの状態が長引きやすくなります。
不登校の段階で注意したいのは、欠席だけでなく生活や外出の変化です。具体的には、友人と会わなくなる、買い物などの外出をしなくなる、昼夜逆転が固定化する、家族との会話も避けて自室にこもるといった様子が数か月続く場合です。こうした状態は、学校に行けない状態から、社会との関わり全般を避ける状態へ移りつつある可能性があります。学校に在籍しているうちに外部の相談窓口や居場所とつながっておくと、卒業後も支援を途切れさせずに済みます。
不登校やひきこもりになる主な原因と心理

不登校やひきこもりのきっかけは、一つに特定できないことが少なくありません。学校での出来事、家庭の状況、本人の体調や気持ちの状態が重なり合い、本人にも理由をうまく説明できない場合があります。
文部科学省の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(令和5年度)では、小・中学校の不登校児童生徒について学校が把握した事実として、次のような項目が挙げられています(複数回答)。
- 学校生活に対してやる気が出ないなどの相談があった(約3割)
- 不安・抑うつの相談があった(2割強)
- 生活リズムの不調に関する相談があった(2割強)
- 学業の不振や宿題の未提出が見られた
- いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題があった
- 親子の関わり方に関する問題があった
この結果は学校側が把握した内容です。子ども本人に尋ねた調査では、先生との関係や体調不良をきっかけに挙げる割合が、学校側の回答より高くなる傾向も指摘されています。原因を考える際は、大人から見えている理由と本人が感じている理由が異なる場合があることを前提にする必要があります。
ひきこもりについては、内閣府のこども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)で、ひきこもり状態になった理由が尋ねられています。退職や人間関係のつまずきのほか、小・中学校や高校時代の不登校、学校になじめなかったことを挙げる人もいます。
学校生活における対人関係や学習の悩み
学校は一日の大半を過ごす場所のため、そこでの悩みが登校できなくなるきっかけになりやすいです。主なものは次のとおりです。
- 友人関係:いじめ、仲間外れ、グループ内での役割やSNS上のやり取りによる疲れ
- 先生との関係:叱られ方が怖い、相談しにくい、クラス全体への厳しい指導がつらい
- 学習面:授業についていけない、テストや成績へのプレッシャー、宿題がたまって登校しづらくなる
- 部活動:上下関係、練習の負担、レギュラー争い
- 環境の変化:小学校から中学校への進学、クラス替え、転校
小学校から中学校に上がると教科担任制や定期テスト、部活動が始まり、生活が大きく変わります。このタイミングで不登校が増えることは「中1ギャップ」と呼ばれています。
決定的な出来事がなくても、教室の騒がしさや集団行動のルール、時間割どおりに動くことに強い負担を感じる子どももいます。音や光に敏感、集団での会話が苦手といった発達特性が背景にある場合、本人は「なぜつらいのか」を言葉にできず、周囲からは「理由がない不登校」に見えることがあります。
家庭環境や親子関係の影響
家庭の状況が、子どものエネルギーや安心感に影響する場合があります。たとえば次のようなケースです。
家庭の状況は、学校での経験、本人の体調、利用できる支援などと合わせて整理する背景の一つです。次の例から保護者の育て方を評価したり、特定の家庭を原因と判断したりすることはできません。
- 引っ越し、両親の離婚や別居、きょうだいの誕生、家族の病気や介護などで家庭内の状況が変わった
- 成績や進路への期待が強く、子どもが「期待に応えなければ」と追い詰められている
- 親が先回りして決めることが多く、子どもが自分で判断する経験が少ない
- 夫婦げんかや家庭内の緊張が続き、家でも気が休まらない
- 家族の世話や家事を日常的に担う「ヤングケアラー」の状態で、学校に向ける時間や体力が残っていない
ただし、前述の文部科学省の調査で親子の関わり方に関する問題が把握されたのは1割程度です。家庭が主な原因とは限らず、「育て方が悪かった」と親が一人で結論づける必要はありません。
不登校が始まった後も、家庭内のやり取りで困っていることがあれば、学校や相談機関と一緒に対応を考えられます。登校をめぐる口論が毎朝続くと、子どもは家の中でも緊張を解けなくなり、自室にこもる時間が増えることがあります。
本人が抱える不安や無気力な状態
学校や家庭の出来事とは別に、本人の心身の状態が登校を難しくしていることがあります。
身体面では、朝になると腹痛・頭痛・吐き気が出る、朝起きられないといった症状がよく見られます。思春期に多い起立性調節障害は、自律神経の働きの乱れによって午前中に立ちくらみやだるさが強く出る病気で、午後から夕方にかけて回復するため、怠けていると誤解されやすいです。体の症状が続く場合は、心理的な理由だけでなく病気の可能性も考える必要があります。
心理面では、次のような状態が重なっていることがあります。
- 不安:教室に入ることや人の視線、失敗することへの強い不安
- 無気力:何に対してもやる気が出ず、好きだったことにも関心が持てない
- 罪悪感と自己否定:「行かなければいけないのに行けない自分はだめだ」と自分を責める
- 葛藤:学校に戻りたい気持ちと、行けない現実との間で揺れ動いている
こうした状態の中で、昼夜逆転や、ゲーム・スマートフォンに長時間向かう様子が見られることがあります。これらは不登校の原因というより、不安や罪悪感を紛らわせたり、同級生が登校している時間帯を避けたりするための行動として表れている場合もあります。
休む期間が長くなると、「勉強が遅れている」「久しぶりに会う友達に何と言われるか」という新たな不安が生まれ、外に出ること自体へのハードルが上がります。近所の人や同級生に会うことを避けて外出が減り、家の中で過ごす時間が中心になると、ひきこもりに近い状態になることがあります。
不安や落ち込みが強く、眠れない、食欲がない、自分を傷つけるような言動があるといった場合は、うつ病や不安症などの精神的な不調が関わっている可能性もあるため、専門家に相談することが勧められます。
家から出ない不登校やひきこもりの子への接し方

子どもが学校に行かず家から出ない時期、家族の関わり方によって、本人が安心して休めるかどうかが変わります。ここでは、親が日々の生活のなかで実践できる接し方を「避けたい関わり」「家庭での居場所づくり」「親自身のケア」の3つに分けて解説します。
声かけや家事の提案は、本人の体調や希望に合わせて選びます。反応がなくても失敗と捉える必要はなく、休養と並行して保護者だけで相談することもできます。
無理に学校や外へ行かせようとしない
学校に行けなくなった子どもの多くは、対人関係や学習の悩みなどで心身のエネルギーが低下しています。この状態で登校を強く促すと、「行けない自分はだめだ」という自己否定感が強まりやすくなります。その結果、部屋にこもる時間が増えたり、親子の会話がなくなったりすることがあります。
国の方針も、登校だけを目標にしない考え方をとっています。2017年に施行された教育機会確保法では、不登校の子どもに休養が必要な場合があることが明記されました。また、文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」では、支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、子どもが自らの進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指す必要があると示されています。
避けたい声かけと言い換えの例
声かけを考える際は、子どもが話せるタイミングや、言葉をどう受け取るかに配慮します。代表的な例と言い換えの方向性は次のとおりです。
| 避けたい声かけ | 言い換えの例 |
|---|---|
| いつになったら学校に行くの | 今は休んでいいよ。何か困っていたら言ってね |
| みんなは頑張って行っているのに | (他の子やきょうだいと比べる言葉自体を使わない) |
| 甘えているだけでしょう | しんどかったんだね |
| このままだと将来困るよ | (将来の不安をあおる話題は本人が話し始めるまで控える) |
理由をしつこく問いただすことも控えます。本人自身も、なぜ行けないのかをうまく言葉にできない場合が少なくありません。
「行かせない」と「放置する」は違う
無理に行かせないことは、何もせずに見守るだけという意味ではありません。親は次のような役割を担います。
- 学校との連絡や手続きの窓口になり、本人が直接対応しなくて済むようにする
- 担任からのプリントや連絡は、本人が受け取れる形で伝えるか、しばらく親が預かる
- 日中に起きる時間が増える、外の話題に関心を示すなど、本人に変化が見えたときに選択肢を押しつけずに示す
反対に、部屋から無理やり引き出す、ドアや鍵を外すといった強引な対応は、親への信頼を大きく損ないます。本人の同意なく自宅から連れ出す民間業者をめぐっては、訴訟に発展したケースも報じられています。なお、自傷行為や「死にたい」という発言、家庭内暴力が見られる場合は、様子見を続けず早めに専門機関へ相談してください。
命や身体に差し迫った危険がある場合は、相談予約を待たず、救急119や警察110などへ連絡して安全確保を優先してください。
安心できる家庭の居場所づくり
学校に居場所を感じられなくなった子どもにとって、家庭は回復のための拠点です。家で責められず過ごせる時間が積み重なると、本人が少しずつ自分から話したり、外に目を向けたりするきっかけになります。
日常の会話は学校以外の話題から
「おはよう」「おやすみ」といった挨拶は、返事がなくても続けます。会話は、学校や勉強ではなく、食事、テレビ、本人が好きなゲームや動画、アニメなどの話題から始めると、本人が身構えずに応じやすくなります。親が本人の趣味に関心を持って質問することは、否定されないという安心感につながります。
部屋にこもる子への関わり方
子どもが自室から出てこない場合も、無理に部屋へ入ることは避けます。声をかけるときはノックをして、返事がなければ時間をおきます。顔を合わせにくい時期は、食事を部屋の前に置いてメモを添えるなど、つながりを保てる方法をとります。
生活リズムとゲーム・スマホとの付き合い方
昼夜逆転は不登校やひきこもりの子どもによく見られますが、無理に起こして直そうとすると親子の衝突が増えがちです。家族の食事時間を一定にする、朝はカーテンを開けて部屋に光を入れる、といった環境づくりから始めます。
ゲームやスマホは、本人にとって外の世界とつながる数少ない手段になっていることがあります。一方的に取り上げると、親子の関係も外とのつながりも断たれかねません。使い方のルールは本人と話し合って決め、食事や睡眠がとれないほど生活に支障が出ている場合は、専門機関への相談を検討します。
家庭内で役割を持てるようにする
洗濯物をたたむ、ペットの世話をする、夕食の買い物リストをつくるなど、簡単な家事を頼み、してくれたら「ありがとう」と伝えます。家族の役に立てたという経験は、学校に行けないことで下がりがちな自己肯定感を支えます。
家族で対応をそろえる
家族の間で登校や休養について考えが異なる場合は、本人の希望や現在の負担を確認しながら、対応を相談します。夫婦や祖父母、きょうだいの間で「今は休ませる」「学校の話題は本人から出るまで控える」などの方針を話し合い、共有しておきます。
学習の遅れを心配する場合も、本人が望むまでは勉強を強制しません。本人が学びたいと言い出したときには、自宅でのICT教材を使った学習が一定の要件のもとで出席扱いになる制度もあるため、学校に確認するとよいでしょう。
小中学生のICT等を活用した自宅学習については、あした研究室の出席扱い制度の案内で要件を確認できます。教材を使うだけで自動的に認められるものではありません。本人の状況に合う学習方法や記録の取り方を在籍校に相談してください。高校生の出欠・単位認定は別の取扱いになるため、在籍校への個別確認が必要です。
本人が学習に関心を示したときは、体調や理解度に合う範囲で、自宅で使える教材を一緒に検討する方法もあります。
無学年式オンライン教材「すらら」なら、学校の進度や学年に縛られず、理解できているところまで戻って自宅で学習できます。
不登校中の家庭学習や出席扱い制度の活用についてもサポートしています。出席扱いには学校との連携や要件の確認が必要で、利用だけで認められるものではありません。
親自身の心身のケアも大切にする
子どもが家から出ない状態について、保護者自身が不安や疲れを感じる場合も、相談や休息を利用できます。保護者の気持ちだけを子どもの状態の原因と考えるのではなく、親子それぞれの困りごとと必要な支援を整理します。保護者も支えを受けてよい立場です。
親が自分の生活を保つ
子どもにつきっきりになる必要はありません。仕事や趣味、友人との時間を続け、十分な睡眠をとるようにします。保護者が自分の時間を確保することも大切です。本人の受け止め方は一人ひとり異なるため、子どもの反応だけで保護者の過ごし方の良し悪しを判断する必要はありません。
一人で抱え込まず話せる場を持つ
家族のなかで一人だけが対応を背負うと、心身の負担が大きくなります。夫婦で学校との連絡役や本人との会話役を分担するなど、役割を分け合います。
同じ悩みを持つ親同士が集まる「親の会」や「家族会」に参加するのも一つの方法です。ひきこもりの家族会としては、全国に支部を持つ「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」があり、不登校の親の会も各地で開かれています。経験者の体験談を聞くことで、子どもの状態の見通しや具体的な関わり方のヒントを得られます。
親自身に不眠や気分の落ち込み、食欲の低下などが続く場合は、我慢せず医療機関や相談窓口を利用してください。相談先の詳細は次の章で紹介します。
- 「部屋にいる子に、どう声をかけよう」
- 「返事がないときは、どう関わればよいのだろう」
- 「本人のペースを大切にする接し方を知りたい」
挨拶や本人の好きな話題からつながりを保つ方法を、家庭の状況に合わせて学びたい場合は、保護者向けのプログラムを利用する選択肢もあります。
ほめビリティは、子どもを無理に変えようとするのではなく、日々の声かけや関わり方を実践しながら学ぶ、保護者向けのオンラインプログラムです。
この記事で紹介した関わり方を日々の場面でどう実践するか、声かけのヒントを学べます。
不登校やひきこもりについて相談できる窓口

相談先は、子どもの年齢、学校に籍があるかどうか、心身の不調の有無、何を相談したいかによって変わります。本人が相談を嫌がる場合でも、多くの窓口は保護者だけの相談を受け付けています。まずは保護者が状況を整理するために相談し、本人の気持ちが動いたときに一緒に利用するという進め方もできます。
| 相談先 | 主な対象 | 相談できる内容の例 |
|---|---|---|
| 担任・スクールカウンセラー | 在籍している小中高生と保護者 | 欠席の連絡方法、別室登校、出席扱い、心理面の相談 |
| 教育支援センター | 主に不登校の小中学生 | 学校以外での学習や小集団活動、学校復帰に向けた支援 |
| 児童相談所 | 18歳未満の子どもと家族 | 家庭内暴力、昼夜逆転、親子関係の悩み、心理検査 |
| フリースクール・通信制高校 | 学校以外の学びの場を探す子ども | 居場所づくり、学習の継続、高校卒業資格の取得 |
| 医療機関 | 心身の不調が続く子ども | 体調不良、不眠、強い不安、発達特性の診断 |
| ひきこもり地域支援センター | ひきこもり状態の本人と家族(対象年齢・地域は窓口ごとに確認) | 家族相談、訪問支援、居場所や就労支援機関の紹介 |
学校のスクールカウンセラーや担任
学校に在籍している場合、最初の窓口になるのは担任です。担任には、欠席連絡の方法や頻度、プリントや課題の受け取り方、家庭訪問の有無などを相談できます。「毎朝の欠席連絡が親子ともに負担になっている」と伝えれば、連絡を週1回にまとめるなど、家庭の負担を減らす形に調整してもらえることがあります。
教室に入れなくても登校できる状態であれば、保健室登校や別室登校、放課後登校といった選択肢を学校と一緒に検討できます。担任に直接話しにくい場合は、学年主任や養護教諭、教育相談担当の教員に相談しても構いません。
スクールカウンセラーは、公認心理師や臨床心理士などの心理の専門職で、子ども本人だけでなく保護者の相談も受けています。勤務日が週1回程度に限られる学校もあるため、担任や学校の事務室を通じて予約を取るのが一般的です。家庭環境や経済的な問題、福祉サービスの利用が関係している場合は、関係機関との連携を担うスクールソーシャルワーカーにつないでもらえることもあります。
文部科学省は「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」で、学校復帰だけを目標にせず、子どもが社会的に自立することを目指す考え方を示しています。この通知では、一定の要件を満たせば、教育支援センターや民間施設での活動、自宅でのICTを活用した学習を、校長の判断で指導要録上の出席扱いにできるとされています。進路や内申への影響が気になる場合は、出席扱いの可否を担任に確認しておくと、ほかの相談先を選ぶときの判断材料になります。
教育支援センターや児童相談所
学校以外の公的な相談先として、教育委員会が設置する教育支援センターと、都道府県や政令指定都市などが設置する児童相談所があります。どちらも原則として無料で利用できます。
教育支援センター(適応指導教室)
教育支援センターは、主に不登校の小中学生を対象に、市区町村の教育委員会が設置している施設です。以前は「適応指導教室」と呼ばれており、自治体によっては独自の名称が付いています。通所すると、個別の学習支援、スポーツや調理などの小集団活動、指導員やカウンセラーとの面談を受けられます。
学校とのつながりを保ちながら利用できる点が特徴で、在籍校と情報を共有したうえで出席扱いになる場合があります。利用するには、在籍校や教育委員会を通じて申し込み、見学や面談を経て通所を始める流れが一般的です。高校生は対象外としている自治体が多いため、事前に確認が必要です。また、教育委員会の教育相談室や教育相談センターでは、通所しなくても電話や来所で保護者の相談を受け付けています。
教育支援センターを検討する際は、あした研究室の通所型とオンライン型の特徴を紹介した記事も参考になります。実施方法や対象学年は自治体ごとに異なり、掲載事例がすべての地域で利用できるわけではありません。
児童相談所
児童相談所は、18歳未満の子どもに関するあらゆる相談を受け付ける機関で、不登校の相談にも対応しています。児童福祉司や児童心理司が在籍しており、面接や心理検査を通じて子どもの状態を把握し、助言や継続的な面談を行います。
家庭内で暴言や暴力が続いている、昼夜逆転が長期化して生活が成り立たない、親子だけでは話し合いが進まないといった場合は、学校よりも児童相談所のほうが対応しやすいことがあります。近くの児童相談所がわからないときは、児童相談所相談専用ダイヤル(0120-189-783)に電話をすると、最寄りの児童相談所につながります。子ども本人が夜間や休日に悩みを打ち明けたいときは、文部科学省の「24時間子どもSOSダイヤル」(0120-0-78310)も利用できます。
相談先の電話番号は、こども家庭庁の公式案内でも確認できます。児童相談所相談専用ダイヤルは、オペレーターが居住地域を確認して管轄の児童相談所へつなぎます。
フリースクールや通信制高校の活用
学校に戻ることが難しい場合や、学校以外の場所で学びを続けたい場合は、民間のフリースクールや、高校段階であれば通信制高校が選択肢になります。
フリースクール
フリースクールは、NPO法人や個人などが運営する、学校以外の学びと居場所の場です。学習に力を入れる施設、体験活動や自由な過ごし方を重視する施設、オンラインで参加できる施設など、運営方針は施設ごとに大きく異なります。
公的な施設ではないため、費用は原則として自己負担です。文部科学省が2015年に行った調査では、会費の月額平均は約3万3千円でした。自治体によっては利用料の一部を補助する制度を設けています。施設を選ぶ際は、見学や体験参加で子どもが過ごしやすいかを確かめ、在籍校との連携実績や出席扱いの前例があるかも確認しておくと安心です。
小中学生の学校外の居場所を比べるには、あした研究室のフリースクールの通所型・オンライン型の過ごし方も参考になります。現在の費用や支援内容は各施設へ、出席扱いの可否は在籍校へ確認してください。
通信制高校
通信制高校は、レポートの提出、スクーリング(面接指導)、試験によって単位を取得し、全日制高校と同じ高校卒業資格を得られる学校です。毎日通学する必要がないため、中学校で不登校だった生徒や、高校を中退・休学した生徒も多く在籍しています。
スクーリングの日数は学校によって年数日から週5日までさまざまで、自宅学習を中心にしたい場合も、通学のリズムを取り戻したい場合も選べます。学習や生活面の支援を受けたいときは、通信制高校と提携するサポート校を併用する方法もあります。公立と私立では学費に差がありますが、私立でも高等学校等就学支援金の対象となる場合があります。2026年4月から同制度の所得制限は撤廃されましたが、在籍期間や国籍・在留資格などの要件、申請手続きの確認が必要です。中学生の段階で進学を考える場合は、入試の方法や中学校の出欠が合否に影響するかを、学校説明会や個別相談で確認しておきましょう。
高校卒業資格を得られるのは、卒業要件を満たした通信制高校等の学校です。フリースクールやサポート校に通うだけで取得できるものではありません。必須のスクーリングと任意の通学コース、授業料とサポート校費用を区別して確認しましょう。サポート校の費用は就学支援金の対象外です(文部科学省Q&A)。
医療機関やひきこもり地域支援センター
心身の不調が続いている場合は医療機関へ、ひきこもりが長期化している場合や18歳以上になった場合はひきこもり地域支援センターへの相談が考えられます。
ひきこもり地域支援センターへの相談は、長期化するまで待つ必要はありません。未成年の相談を受け付ける窓口もあるため、年齢・地域の条件を確認し、必要に応じて適切な機関につないでもらえます。
医療機関(小児科・児童精神科・心療内科)
朝起きられない、頭痛や腹痛が続く、立ちくらみがするといった身体の症状がある場合は、まず小児科やかかりつけ医に相談します。こうした症状の背景に、起立性調節障害などの治療が必要な病気が見つかることもあります。
不眠や食欲の低下、強い不安、気分の落ち込みが続く場合や、発達障害の特性が関係しているかを知りたい場合は、児童精神科や心療内科が相談先になります。児童精神科は初診の予約が数か月先になることもあるため、早めに問い合わせておくと受診までの期間を短くできます。本人が受診を嫌がる場合は、保護者だけの相談を受け付けているかを医療機関に確認するか、地域の保健所や精神保健福祉センターで受診先の相談をする方法もあります。
ひきこもり地域支援センター
ひきこもり地域支援センターは、厚生労働省の事業に基づいて都道府県や政令指定都市が設置している、ひきこもりに特化した相談窓口です。年齢を問わず相談できる窓口もありますが、対象年齢や居住地域の条件はセンターによって異なります。義務教育を終えた後や成人後の相談も含め、利用できる窓口を自治体に確認してください。社会福祉士や精神保健福祉士などの支援者が、電話・来所・メールで本人や家族の相談を受けます。
センターによっては、支援者が自宅を訪ねる訪問支援(アウトリーチ)、同じ悩みを持つ家族が集まる家族教室、本人が安心して過ごせる居場所の運営も行っています。就労に向けた準備を始める段階になれば、15歳から49歳までを対象とする地域若者サポートステーションなどの支援機関につないでもらえます。各地の窓口は、厚生労働省のひきこもり支援推進事業のページで確認できます。
家族同士で経験を共有したい場合は、全国に支部がある「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」のような家族会も利用できます。専門機関とは異なり、同じ立場の家族から、相談先を利用した経験や家庭での対応の具体例を聞ける点が特徴です。
まとめ
不登校は文部科学省の定義で病気や経済的理由以外による年間30日以上の欠席、ひきこもりは厚生労働省の定義でおおむね6か月以上家庭にとどまり続ける状態です。不登校が長引くと、ひきこもりに移行する場合があります。
6か月に満たない場合でも相談できます。期間や呼び名だけで支援の必要性を判断せず、今の困りごとを相談先へ伝えてください。
原因は学校の人間関係や学習、家庭環境、本人の不安などが重なることが多いです。親は無理に登校や外出を促さず、家庭を安心できる場所にし、自身の心身も休めましょう。
家庭だけで抱え込まず、スクールカウンセラーや教育支援センター、医療機関、ひきこもり地域支援センターなど、子どもの年齢や状態に合った相談先を早めに利用しましょう。