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不登校の子の居場所はどうする?家・学校外で安心できる選択肢

不登校の子の居場所は、まず家を安心して休める場所にし、心身が落ち着いてから学校外の選択肢を考えるのが基本です。家では登校や勉強を急かさず、子どもの話を否定せずに聞くことが、自己肯定感を取り戻す土台になります。教室以外の選択肢には、自治体が運営し原則無料で通える教育支援センター(適応指導教室)、民間のフリースクール、学校内の保健室登校や別室登校、自宅から参加できるオンラインの居場所があります。選ぶ際は子どもの意思を優先し、在籍校で出席扱いになるか、費用や送迎の負担を続けられるかを事前に確認しましょう。

休養と並行して、保護者が学校や相談窓口に情報を求めることもできます。ここで紹介する関わり方は対応の例であり、家庭の接し方だけで不登校の原因や経過を説明するものではありません。子ども本人の希望と、今見えている困りごとを学校や支援者と一緒に整理します。

不登校の子どもにとって居場所が重要な理由

文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、令和5年度に不登校とされた小・中学生は34万6,482人で、11年連続で増え、過去最多となりました。学校に通わない期間が長くなるほど、子どもが一日の大半を過ごす場所と、そこで関わる人は限られていきます。そのため、学校に代わって「ここにいていい」と思える場所があるかどうかは、子どもの心の状態に大きく関わります。

ここでいう居場所は、建物や部屋だけを指すわけではありません。こども家庭庁の「こどもの居場所づくりに関する指針」では、居場所には物理的な場所だけでなく、オンライン上の空間や人との関係性も含まれます。また、その場所を居場所と感じるかどうかは、こども本人が決めるものと示されています。大人が用意した場所でも、子どもが安心できなければ居場所にはなりません。

心を休ませるための安心できる環境

不登校の背景には、友人関係、先生との関係、勉強のつまずき、体調不良、生活リズムの乱れなど、さまざまなきっかけがあります。はっきりした理由を本人が言葉にできないことも少なくありません。どのきっかけであっても、学校に行けなくなった時点で、子どもは強い不安や疲れを抱えていることが多くあります。

文部科学省の「生徒指導提要」(2022年12月)では、不登校を問題行動と判断してはならないという考え方が示されています。そのうえで、支援の目標は学校に登校するという結果だけではなく、子どもが自らの進路を主体的に考え、社会的に自立することにあると示しています。さらに、2017年に施行された教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)でも、不登校の子どもには休養が必要な場合があることが明記されています。国も、休むこと自体を支援の過程の一部として位置づけています。

参考:文部科学省「生徒指導提要」第10章。社会的自立を支える考え方は、不登校児童生徒への支援の在り方についてでも示されています。

心を休ませるための安心できる環境とは、たとえば次のような条件がそろった場所です。

  • 学校に行かないことを責められたり、理由を問い詰められたりしない
  • 決められた予定や課題をこなさなくても過ごせる
  • 話したくないときは黙っていてもよい
  • いつ来てもいつ帰ってもよいなど、自分で過ごし方を選べる

こうした環境で緊張がゆるむと、眠れるようになる、食事をとれるようになる、好きなことに関心が戻るといった変化が見られることがあります。ただし、回復にかかる期間は子どもによって大きく異なり、数週間で表情が明るくなる子もいれば、数か月以上かかる子もいます。家庭で安心感をつくるための具体的な接し方は、次の章で扱います。

自己肯定感を回復させるステップ

学校に行けない状態が続くと、子どもは「みんなができることが自分にはできない」「家族に迷惑をかけている」と自分を責めやすくなります。自己肯定感が下がると、新しいことに挑戦する意欲や、人と関わろうとする気持ちも持ちにくくなります。

居場所と自己肯定感の関係については、内閣府の「子供・若者の意識に関する調査(令和元年度)」で、自分の居場所と感じる場所の数が多い人ほど、自己肯定感が高い傾向が示されています。この調査は13〜29歳を対象としたもので、不登校の子どもに限った結果ではありません。それでも、家庭や学校以外にも安心できる場所があることが、自分を肯定的にとらえる土台になり得ることがうかがえます。

この調査の関連は、居場所を増やせば必ず自己肯定感が高まるという因果関係を示すものではありません。休養、好きな活動、人との交流の順番や取り組み方も、本人の希望と状態に合わせて考えます。

自己肯定感の回復は、段階を追って進むことが多くあります。代表的な流れは次のとおりです。

  1. 安心できる場所で休み、心身のエネルギーを取り戻す
  2. ゲーム、絵、料理、動画づくりなど、好きなことや得意なことに取り組む
  3. 家族以外の大人や同世代の子と、短い時間でも関わる
  4. 「できた」「ありがとうと言われた」という経験を重ねる
  5. 学びや進路について、自分から考え始める

たとえば、フリースペースで年下の子にゲームのやり方を教えて感謝された経験や、オンラインの場で自分の作品に反応をもらった経験は、「自分にも役割がある」という感覚につながります。この流れは一方向に進むとは限らず、調子を崩して前の段階に戻ることもあります。戻ったときも失敗と受け止めず、その時点の子どもの状態に合った居場所で過ごせるようにすることが、次の段階へ進む力になります。学校以外で利用できる具体的な居場所の種類は、後の章で紹介します。

家の中を不登校の子の居場所にするポイント

家での声かけ、学習の用意、不調時の相談、保護者自身の支えを示す図解

学校に行けない期間、子どもが最も長く過ごすのは家です。家の中で「責められない」「ここにいてよい」と感じられるかどうかで、その後に外へ目を向ける余力が変わります。ここでは、親が日々の関わりの中で実践できることを、接し方と生活面に分けて解説します。

親が心がけたい接し方と見守り方

休むことを認め、登校を促す言葉を控える

登校できそうかを確かめる声かけが負担になるかどうかは、子どもの体調や受け止め方によって異なります。「今日は行けそう?」と聞かれることがつらい場合は、確認する方法や頻度を本人と相談しましょう。休むと決めた時期は、「今は休んでいい」と言葉ではっきり伝えましょう。休んでよいことを言葉で伝えることが、子どもの安心につながる場合があります。受け止め方は一人ひとり異なるため、その後の様子も見ながら関わります。

理由を問い詰めず、話したいときに聞く

不登校のきっかけは、友人関係、勉強、先生との関係、体調など複数が重なっていることが多く、子ども自身もうまく言葉にできない場合があります。「なんで行けないの?」と繰り返し聞くと、答えられないこと自体が負担になります。

子どもが話し始めたときは、途中で助言や否定をせず、「そう感じていたんだね」と受け止めることを優先してください。向かい合って話すより、食事の準備中や車での移動中など、横に並んでいる場面のほうが話しやすい子もいます。

学校以外の話題と家庭内の役割でつながりを保つ

学校や勉強の話が負担になる子もいるため、本人が話しやすい話題やタイミングを確かめます。好きなゲームや動画、趣味、テレビ番組など、子どもが関心を持っている話題で気軽にやり取りする時間をつくりましょう。

また、料理の手伝いや洗濯物をたたむ、ペットの世話など、家の中で担える役割をお願いするのも一つの方法です。家族から「ありがとう」と言われる経験は、学校に行けていない時期でも「自分は役に立てる」と感じるきっかけになります。

部屋にこもるときは距離を保ちつつ様子を見る

自室から出てこない時期は、無理に扉を開けたり長く話しかけたりせず、「ご飯、ここに置いておくね」など短い声かけで存在を伝える程度にとどめます。そのうえで、食事や睡眠の量、表情の変化には注意を払いましょう。

食欲が極端に落ちる、ほとんど眠れない状態が続く、「消えたい」「死にたい」といった言葉が出るなどの様子が見られる場合は、家庭だけで様子を見るのではなく、かかりつけの小児科や児童精神科などの医療機関に早めに相談してください。

自傷などの差し迫った危険があるときは、子どもを一人にせず、安全を確保して救急などの緊急の支援を求めてください。

親自身が一人で抱え込まない

親が不安や焦りを抱えたままだと、表情や口調を通して子どもに伝わりやすくなります。父母や祖父母の間で対応方針がばらばらだと、子どもは家の中でも気を張ることになるため、家族で「今は休ませる」などの方針を共有しておきましょう。

親自身の相談先としては、在籍校のスクールカウンセラー、自治体の教育相談窓口、不登校の子を持つ保護者が集まる親の会などがあります。親が話を聞いてもらえる場を持つことで、子どもに向き合う気持ちの余裕を保ちやすくなります。

勉強や生活リズムを無理強いしない

文部科学省は「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」の中で、支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が社会的に自立することを目指す必要があるとし、不登校の時期が休養や自分を見つめ直すといった積極的な意味を持つことがあると示しています。家庭でも、勉強や生活習慣を「元に戻すこと」を急ぐより、子どもの回復の段階に合わせて関わり方を変えることが大切です。

子どもの様子(目安)家庭での関わり方の例
疲れ切っていて、部屋で寝ている時間が長い勉強や起床時間の話題は控え、食事と睡眠がとれているかを見守る
家族と話したり、趣味を楽しんだりする時間が増えてきた家事の手伝いや散歩など、家の内外で小さな活動を提案する
勉強や外の活動、進路に関する話を自分からするようになった教材や学べる場所の情報を用意し、本人が選べるようにする

回復の進み方には個人差があり、行きつ戻りつすることも珍しくありません。上の表はあくまで目安として、子どもの反応を見ながら調整してください。

生活リズムは起きる時間から少しずつ整える

不登校の子どもが昼夜逆転になることはよくあります。家族が寝静まり、学校の時間帯を意識せずに済む夜のほうが気持ちが落ち着くことも一因と考えられます。いきなり「朝7時に起きなさい」と求めると、起きられなかったことで自分を責め、かえって状況が悪化することがあります。

整える場合は、起床時間を30分ずつ早める、起きたらカーテンを開けて日光を浴びる、朝食を家族と一緒にとるなど、小さな変化から始めましょう。また、朝に立ちくらみや頭痛、腹痛が強く起き上がれない場合は、起立性調節障害などの体の不調が関係している可能性もあるため、小児科で相談すると原因の手がかりが得られます。

勉強は「やらせる」より「選べるように用意する」

毎日の学習量が本人の体調や希望と合っていない場合は、自宅での勉強も負担になることがあります。勉強を始めるかどうかは、子どもが自分で決められる形にしておきましょう。

具体的には、教科書やドリル、タブレット学習の教材を手に取れる場所に置いておく、図鑑や本など興味のある分野から触れられるようにする、といった方法があります。本人が取り組み始めたら、「1日15分」など達成しやすい目安を一緒に決め、できた分を認める声かけをすると続けやすくなります。

ゲームやスマホは取り上げる前にルールを話し合う

家にいる時間が長くなると、ゲームやスマートフォンの使用時間が増えるのは自然なことです。不登校の子どもにとっては、気持ちを落ち着かせる手段であったり、オンライン上で友人とつながる数少ない場であったりもします。親の判断で一方的に取り上げると、居場所の一つを失い、親子の信頼関係にも影響する場合があります。

使用時間が気になるときは、「夜12時以降は使わない」「寝るときは充電器をリビングに置く」など、生活リズムに関わる部分に絞って、子どもと話し合ってルールを決めましょう。本人が納得して決めたルールのほうが守られやすく、守れなかったときも話し合いで見直しやすくなります。

家で安心して過ごすための関わり方を学びたい方へ
  • 「休んでいる子に、どんな言葉をかけたらよいだろう」
  • 「話を聞くとき、どこまで尋ねてよいだろう」
  • 「ゲームや生活のルールをどう話し合えばよいだろう」

こうした場面で関わり方をもう少し具体的に考えたいときは、日々の声かけや対話を学ぶ方法もあります。この記事で紹介した見守り方を、家庭の状況に合わせて実践するための選択肢です。

ほめビリティは、子どもを無理に変えようとするのではなく、日々の声かけや関わり方を実践しながら学ぶ、保護者向けのオンラインプログラムです。

本人の話を聞くことや、小さな取り組みに気づくことを、毎日の場面でどう伝えるか考えるヒントとして活用できます。

日々の声かけや関わり方を学ぶ

学校内外で見つける不登校の子の居場所

教育支援センター、フリースクール、学校内の別室、オンラインの4つの選択肢

家以外の居場所には、公的機関が運営するもの、民間団体が運営するもの、学校の中で教室以外に通うもの、自宅からインターネットでつながるものがあります。2017年に施行された「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(教育機会確保法)」では、学校以外の場で行う多様な学習活動の重要性が示されました。文部科学省も、学校復帰だけを目標にせず、子どもが社会的に自立することを目指して支援する方針を「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」で示しています。

居場所主な運営者費用主な特徴
教育支援センター(適応指導教室)市区町村の教育委員会原則無料学習支援・相談・体験活動を行う公的な施設
フリースクール・フリースペースNPO法人・民間企業・個人など有料の施設が多い運営方針や活動内容が施設ごとに大きく異なる
保健室登校・別室登校在籍している学校無料学校の中で教室以外の部屋に通う
オンラインの居場所自治体・NPO法人・民間企業など無料のものも有料のものもある外出せずに自宅から参加できる

教育支援センターや適応指導教室

教育支援センターは、市区町村の教育委員会が不登校の小中学生を支援するために設置している公的な施設です。以前は「適応指導教室」と呼ばれていました。現在は「〇〇教室」「ふれあい教室」「ステップ教室」など、自治体ごとに異なる名称で運営されています。

教育支援センターでは、主に次のような支援を受けられます。

  • 教員経験者や指導員による個別の学習支援
  • 公認心理師や臨床心理士などによるカウンセリング
  • 調理、スポーツ、農作業、校外学習などの体験活動
  • 保護者向けの相談

公的な施設のため、利用料は原則無料です。教材費や活動費などの実費がかかる場合もあります。利用するには、在籍している学校の担任や管理職、または教育委員会に相談して申し込むのが一般的な流れです。多くの施設では、利用開始の前に見学や面談を行います。

在籍校と連携している施設が多いため、通所した日を学校の出席扱いにする判断もしやすい傾向があります。一方で、設置数や開所日、受け入れ対象は自治体によって差があります。自宅から遠い場合や、高校生が対象外になっている場合もあるため、住んでいる地域の教育委員会に確認が必要です。

相談、学習支援、心理職の配置、利用できる年齢や時間は施設によって異なります。通所の可否だけでなく、保護者だけの相談やオンライン対応があるかも、地域の教育委員会に確かめるとよいでしょう。

民間のフリースクールやフリースペース

フリースクールは、NPO法人や民間企業、個人などが運営する、不登校の子どもが通う施設です。法律上の明確な定義はなく、規模や活動内容は施設によって大きく異なります。主な傾向は次のとおりです。

  • 学習支援型:少人数や個別指導で教科学習に取り組み、高校進学も見据える
  • 体験活動型:野外活動、ものづくり、音楽などの体験を重視する
  • 居場所型:決まったカリキュラムを設けず、子どもが過ごし方を自分で決める
  • 専門支援型:発達障害や起立性調節障害など、特性や体調に配慮した支援を行う

フリースペースは、学習よりも「安心して過ごせる場所」を提供することを主な目的とした場です。好きな時間に来て、ボードゲームや読書、スタッフとの会話をして過ごす形式が多く見られます。

フリースクールやフリースペースには、教育支援センターより開所日や受け入れ年齢の幅が広い施設や、子どもの興味に合わせた活動を選べる施設があります。その一方で、月謝や入会金がかかるところが多く、在籍校との連携の度合いも施設ごとに異なります。

地域や対象年齢から候補を探す場合は、あした研究室のフリースクール・不登校サポート塾の検索案内を利用できます。掲載情報を入口に、現在の受け入れ条件や費用、見学方法を各施設へ確認しましょう。

いきなり通うのが難しい場合は、図書館、児童館、子ども食堂、地域の習い事など、不登校を前提としない場所を利用する方法もあります。子どもが家族以外の大人と関わるきっかけになります。

保健室登校や別室登校

保健室登校や別室登校は、学校には行くものの、教室ではなく保健室や相談室、空き教室などで過ごす方法です。学校の中の居場所ですが、教室に入ることに負担を感じる子どもにとって、クラスとは別の場所として利用できます。

保健室では、養護教諭が体調や気持ちの変化を見ながら対応します。別室では、自習をしたり、担任や学年の教員、スクールカウンセラーと話したりして過ごすのが一般的です。文部科学省は不登校対策の一つとして、学校内に「校内教育支援センター(スペシャルサポートルームなど)」を設置する取り組みを進めており、専用の部屋と支援員を配置する学校も増えています。

学校の中にある場所なので、登校すれば出席として扱われます。給食だけ食べる、午前中だけ過ごすなど、段階的に利用時間を調整できる点も特徴です。一方で、登下校の時間や校内の移動中に同級生と顔を合わせることに抵抗を感じる子どももいます。その場合は、登校時間をずらす、別の出入口を使うなどの対応ができないか、学校と相談します。

自宅でつながるオンラインの居場所

外出すること自体が難しい子どもには、自宅からインターネットを通じて参加できる居場所があります。主な形態は次のとおりです。

  • オンラインフリースクール:ビデオ通話を使い、授業や交流活動に参加する
  • メタバース型の居場所:仮想空間上でアバターを使って他の子どもやスタッフと交流する
  • ICT教材による学習:自宅でタブレットやパソコンを使って学習を進める

自治体による取り組みとしては、東京都が仮想空間を活用した「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム」を運営しています。民間では、認定NPO法人カタリバがオンラインで不登校の子どもを支援する「room-K」を運営しています。

利用条件や申込経路はサービスごとに異なります。東京都のVLP公式案内や、カタリバのroom-K公式案内で確認してください。room-Kの新規利用は、連携自治体の教育委員会や学校から紹介された方が対象と案内されています。

オンラインの居場所では、カメラやマイクをオフにしてチャットだけで参加する、見ているだけにするなど、人との関わり方を子ども自身が選べる場合が多くあります。人と対面すると緊張する子どもでも、参加しやすくなります。文部科学省は、自宅でICTなどを活用して学習した場合も、一定の要件を満たせば校長の判断で出席扱いにできるとしています。具体的な考え方は文部科学省「不登校への対応について」で確認できます。

ただし、画面越しの交流だけでは生活リズムが崩れやすい場合があります。オンラインでの交流に慣れてきたら、子どもの様子を見ながら、対面の居場所を見学するなど次の選択肢を検討することもできます。

家で取り組める学びの選択肢を用意する

オンラインの居場所や自宅での過ごし方を考える中で、本人が学習に取り組みたいときは、理解度に合う教材を選べるようにしておくことも一つの方法です。

無学年式オンライン教材「すらら」なら、学校の進度や学年に縛られず、理解できているところまで戻って自宅で学習できます。

不登校中の家庭学習や出席扱い制度の活用についてもサポートしています。出席扱いの可否は、在籍校との連携や学習状況などを踏まえて校長が判断します。

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外部の居場所を選ぶ際の注意点

本人の希望、出席扱いの相談、費用と送迎という利用前の確認項目

教育支援センター、フリースクール、オンラインの居場所などは、運営主体や活動内容、費用、学校との連携の仕方が施設ごとに異なります。親が良さそうだと感じた場所でも、子どもに合うとは限りません。選ぶ前に確認しておきたい点を、子どもの意思、出席扱い、費用と送迎の3つに分けて説明します。

子どもの意思を最優先にする

外部の居場所は、子ども本人が「行ってみたい」と思えることが前提です。親が通う場所を決めて連れて行くと、子どもは学校に行けなかった状況と同じように「行かなければならない場所」として受け止めることがあります。エネルギーが回復していない段階では、外出そのものが負担になる場合もあるため、まずは施設のパンフレットやホームページを一緒に見て、子どもが関心を示すかどうかを確かめます。

多くのフリースクールやフリースペースでは、見学や体験入会を受け付けています。見学のときは、次のような点を子どもと一緒に確認すると、合うかどうかを判断しやすくなります。

  • 通っている子どもの人数や年齢層
  • 学習中心か、遊びや体験活動中心か
  • 一日の過ごし方を自分で決められるか
  • スタッフの人数や、子どもへの話しかけ方
  • 一人で静かに過ごせるスペースがあるか

見学後は、親の感想を先に伝えず、子どもが何を感じたかを聞きます。「行かない」「もう少し考えたい」という返事も尊重し、すぐに決めなくてよいことを伝えておくと、子どもは自分の気持ちを話しやすくなります。通い始めてから合わないと分かった場合も、別の場所を探したり、しばらく休んだりしてかまいません。

学校の出席扱いになるか確認する

小学校・中学校の不登校の子どもが学校外の施設で相談や指導を受けている場合、一定の要件を満たすと、校長の判断で指導要録上の出席扱いにできます。この取り扱いは、文部科学省の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」に示されています。主な要件は次のとおりです。

  • 保護者と学校との間に、十分な連携・協力関係が保たれていること
  • 通う施設は教育支援センターなどの公的機関が基本で、公的機関に通うことが難しい場合などには、民間施設も対象として考慮されること
  • 民間施設が子どもにとって適切かどうかは、校長が教育委員会と連携して判断すること

同じ通知では、自宅でICTなどを活用して学習した場合についても、訪問などによる対面指導が適切に行われていることや、計画的な学習プログラムであることなどを要件として、出席扱いにできるとしています。オンラインの居場所を利用する場合も、学校と相談する余地があります。

ただし、出席扱いにするかどうかは最終的に在籍校の校長が判断します。同じフリースクールに通っていても、学校によって対応が異なることがあります。出席扱いを希望する場合は、通い始める前か早い段階で担任や校長に相談してください。そのうえで、施設から学校へ活動状況を報告してもらえるかも確認しておきます。この仕組みは義務教育段階を対象としたもので、高校生の場合は単位の認定などの扱いが異なるため、在籍する高校に個別に確認が必要です。

小中学生の自宅でのICT学習について制度の概要を知りたい場合は、あした研究室の出席扱いにできる制度の案内も参考になります。施設への通所と自宅学習では要件が異なるため、利用形態に合う条件を在籍校と確認してください。制度案内や教材の利用だけで、出席扱いが保証されるわけではありません。

出席扱いになると、欠席日数が指導要録に記録される不安が軽くなります。一方で、子どもが「出席のために通わなければならない」と感じると、居場所が義務に変わってしまいます。出席扱いは選ぶ際の判断材料の一つとし、子どもが安心して過ごせるかどうかを優先してください。

費用や送迎の負担を考慮する

自治体が設置する教育支援センターは、利用料がかからない場合が一般的です。これに対して民間のフリースクールは、入会金や月々の会費が必要になることが多く、金額は施設によって大きく異なります。文部科学省が2015年に公表した民間団体・施設への調査では、会費の月額平均は約3万3千円、入会金の平均は約5万3千円でした。このほかに、教材費やイベント参加費、昼食代などが別途かかる施設もあります。

上記の金額は2015年調査の値であり、現在の料金相場を示すものではありません。文部科学省の調査資料と、利用を検討する施設の最新の料金表を区別して確認します。

費用の負担を軽くする制度を設けている自治体もあります。たとえば東京都は、フリースクール等に通う子どもの家庭に対し、利用料の一部を助成する事業を行っています。制度の有無や対象条件は自治体ごとに異なるため、住んでいる市区町村の教育委員会に問い合わせて確認してください。

東京都の例は、フリースクール等利用者等支援事業の公式案内で対象者や申請期間を確認できます。助成には審査や条件があり、すべての施設・家庭に適用されるわけではありません。

送迎や通所にかかる負担も、長く通えるかどうかに関わります。自宅から遠い施設では、交通費がかさむほか、子どもが一人で通えない年齢であれば、親が仕事を調整して送迎する必要が出てきます。確認しておきたい点は次のとおりです。

  • 自宅からの距離と、公共交通機関で通えるか
  • 子どもが一人で通えるか、送迎が必要か
  • 通所日や時間帯を家庭の都合に合わせて選べるか
  • 通学定期券が使えるか(学校の証明などの条件がある場合があるため、施設や鉄道会社に確認)

費用や送迎で親の負担が大きくなりすぎると、家庭の生活が成り立たなくなり、途中で通えなくなることがあります。週1回から始める、自宅から近い施設とオンラインの居場所を組み合わせるなど、家庭が無理なく続けられる形を検討してください。

まとめ

不登校の子どもの居場所は、まず家庭を安心して休める場所にすることが基本です。親は登校や勉強を急かさず、生活リズムも子どものペースに合わせて見守りましょう。安心できる時間を重ねることが、自己肯定感を取り戻すきっかけになります。

家庭以外の人や場とつながる方法には、教育支援センター(適応指導教室)、フリースクール、学校内の保健室登校や別室登校、自宅から参加できるオンラインの居場所といった選択肢があります。選ぶ際は子どもの意思を優先してください。出席扱いになるかは校長が判断するため、在籍校に確認が必要です。あわせて費用や送迎の負担も考え、無理なく続けられるかを判断しましょう。

執筆者
あした研究室編集部 (あしたけんきゅうしつへんしゅうぶ)
あした研究室編集部は、(株)すららネットの子どもの発達支援室に所属するスタッフと、学び・発達支援に関心を持つ編集チームによって運営されています。教育・発達支援・子育て・学習法などのテーマについて、現場視点と実証的な知見を大切にしながら、企画・取材・執筆・編集・校正・発信まで一貫して取り組んでいます。私たちの使命は、保護者や教育関係者、子ども自身が次の一歩を見つけられるような 信頼できる知見とアイデアを届けること。読者の皆さまには、根拠ある情報と温かい視点を通じて、学びと成長を支えるパートナーでありたいと考えています。