- 1 中学生の女子が不登校になる主な原因とは
- 1-1 友人関係のトラブルやいじめ
- 1-2 SNSでのコミュニケーション疲れ
- 1-3 学業へのプレッシャーと成績不振
- 1-4 思春期特有の身体と心の変化
- 2 不登校の女子中学生によくある心理状態
- 2-1 周りからどう見られているか不安
- 2-2 親に対する罪悪感と反発心
- 2-3 自分でも理由がわからない焦り
- 3 不登校の女子中学生に対する親の適切な対応
- 3-1 無理に学校へ行かせようとしない
- 3-2 本人の話を否定せずに共感して聞く
- 3-3 母親と父親で対応方針を統一する
- 4 不登校の中学生を支援する外部の相談窓口
- 4-1 学校のスクールカウンセラーや保健室登校
- 4-1-1 スクールカウンセラーへの相談
- 4-1-2 スクールソーシャルワーカーとの連携
- 4-1-3 保健室登校・別室登校
- 4-2 適応指導教室やフリースクールの活用
- 4-2-1 教育支援センター(適応指導教室)
- 4-2-2 フリースクール
- 4-2-3 学校外の学びを出席扱いにするための条件
- 4-3 医療機関や児童相談所への相談
- 4-3-1 医療機関を受診する目安と診療科
- 4-3-2 児童相談所への相談
- 4-3-3 子ども本人が直接相談できる窓口
- 5 女子中学生の不登校における高校進学の選択肢
- 5-1 通信制高校や定時制高校への進学
- 5-1-1 通信制高校の特徴と選び方
- 5-1-2 定時制高校の特徴と選び方
- 5-2 不登校枠がある全日制高校の受験
- 5-2-1 公立高校の配慮制度
- 5-2-2 私立高校の受け入れ
- 6 まとめ
女子中学生の不登校は、友人関係のトラブルやSNSでのやり取りの疲れ、成績へのプレッシャー、思春期の心身の変化などが重なって起こることが多く、本人も理由をうまく説明できない場合があります。親がまずできることは、登校を急がせないこと、話を否定せずに聞くこと、両親で対応をそろえることです。家庭だけで抱え込まず、スクールカウンセラーや適応指導教室、フリースクール、医療機関に相談する方法もあります。高校進学では、通信制・定時制高校や、不登校経験者に配慮した選抜を行う全日制高校も選択肢になります。
以下で挙げる悩みや心理状態には個人差があり、女子だけに見られるものでもありません。本人の言葉や体調、困っている場面を確かめながら読み進めてください。
中学生の女子が不登校になる主な原因とは

文部科学省の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査では、令和5年度に不登校とされた中学生は21万6,112人でした。中学生全体の約6.7%にあたり、1クラスに2人程度いる計算です。不登校は特別な家庭や子どもだけに起こるものではありません。
原因は1つとは限らず、複数の要因が重なっていることが多くあります。たとえば「友人関係で疲れているところに定期テストの成績が下がり、さらに体調不良で朝起きられなくなった」というように、きっかけと背景が絡み合います。ここでは女子中学生に多く見られる原因を4つに分けて説明します。
友人関係のトラブルやいじめ
女子中学生の人間関係は、少人数のグループ単位で動くことが多い傾向があります。休み時間や移動教室、お弁当の時間を同じグループで過ごすため、グループ内で関係がこじれると、教室の中に居場所がなくなったと感じやすくなります。
トラブルの例としては、次のようなものがあります。
- グループから急に外される、話しかけても無視される
- 本人のいないところで陰口や悪いうわさを広められる
- グループ内の暗黙のルールや同調圧力に合わせ続けて疲れる
- 仲の良かった友達が別のグループに移り、一人になる
こうした行為は、殴る・蹴るといった目に見える暴力を伴わないことも多く、先生や親が気づきにくい特徴があります。また、本人が「自分が悪いのかもしれない」と考えて相談しないこともあります。明確ないじめに当たらない小さなすれ違いでも、毎日続けば登校する気力を失う原因になります。
SNSでのコミュニケーション疲れ
中学生になるとスマートフォンを持つ子が増え、LINEやInstagram、TikTokなどで友達とやりとりする時間が長くなります。SNSは学校の人間関係が放課後や休日にも続く場になるため、家にいても気が休まらない状態になりやすくなります。
具体的には、次のような負担が生じます。
- クラスやグループのLINEにすぐ返信しないと、仲間外れにされないか不安になる
- 既読をつけたのに返信しない「既読スルー」を責められる
- 自分だけが招待されていないグループや、遊びに行った写真の投稿を見て傷つく
- ストーリーや投稿へのコメント、「いいね」の数を気にし続ける
夜遅くまでスマートフォンを手放せなくなると、睡眠時間が削られて朝起きられなくなり、遅刻や欠席が増えるきっかけにもなります。SNS上で悪口を書かれるなどのネットいじめが起きた場合は、学校で直接顔を合わせることへの恐怖が強くなり、登校がより難しくなります。
学業へのプレッシャーと成績不振
中学校では小学校に比べて授業の内容が難しくなり、定期テストで点数や順位がはっきり出るようになります。特に数学や英語は前の単元を理解していないと次に進めないため、一度つまずくと授業についていけなくなりやすい教科です。
また、中学校の成績は内申点として高校受験に直接影響します。「成績が下がったら志望校に行けない」「親や先生の期待に応えなければならない」という思いが強いと、テスト前に体調を崩したり、成績が返ってくる時期に登校を渋ったりすることがあります。真面目で周りの評価を気にする子ほど、こうしたプレッシャーを一人で抱え込みがちです。
部活動や塾との両立も負担になります。放課後の練習や塾の授業で帰宅が遅くなり、宿題や提出物が終わらない状態が続くと、「提出物を出していないから学校に行きにくい」という気持ちにつながります。
思春期特有の身体と心の変化
中学生の時期は、女子の身体が大きく変化する時期です。初経を迎え、月経が始まると、月経痛や頭痛、だるさなどで授業に集中できない日が出てきます。月経前に気分が落ち込んだりイライラしたりする月経前症候群(PMS)の症状が出る子もいます。体調の波があることを周りに言い出しにくく、「サボっている」と誤解されることを気にして、学校に行くことがつらくなる場合があります。
思春期に多い体の不調として、起立性調節障害もあります。自律神経の働きがうまく調整できなくなる病気で、朝起き上がれない、立ちくらみがする、午前中は頭痛や腹痛が強いといった症状が出ます。午後になると症状が軽くなることが多いため、「夜は元気なのに朝だけ起きられない」と怠けているように見られやすい点が特徴です。朝の不調が続く場合は、体調や生活の状況を確認し、小児科などで相談することが必要です。
心の面では、自分の容姿や体型を他人と比べる意識が強くなります。「太っていると思われたくない」「顔を見られたくない」という気持ちから、人の多い教室に入ることに抵抗を感じる子もいます。体型を気にして極端な食事制限を続けると、摂食障害につながるおそれもあります。こうした身体と心の変化は、友人関係や学業の悩みと重なることで、不登校のきっかけになりやすくなります。
不登校の女子中学生によくある心理状態
不登校の女子中学生は、外から見ると「家で休んでいる」ように見えても、内面では不安や葛藤を抱えていることが少なくありません。文部科学省の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査でも、不登校の児童生徒について「不安・抑うつの相談があった」「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」といった項目が把握されています。ここでは、女子中学生に見られやすい心理状態を3つに分けて説明します。本人の気持ちを知っておくと、言動の背景を読み取りやすくなります。
周りからどう見られているか不安
思春期の女子は、同級生からの評価やグループ内での立ち位置を強く意識する傾向があります。そのため、学校を休んでいる間も「クラスで何か言われていないか」「休んでいる理由をどう思われているか」という不安が続きやすくなります。
この不安は、次のような行動として表れることがあります。
- 平日の昼間に外出したがらない、近所のスーパーやコンビニに行くのを避ける
- 下校時間帯に制服姿の同級生と会わないよう、外に出る時間を選ぶ
- クラスメイトのSNSを何度も確認し、自分の話題が出ていないか気にする
- 担任の先生やクラスメイトからの連絡に返事ができない
休む期間が長くなるほど、「久しぶりに登校したら何を聞かれるだろう」「休んだ理由をどう説明すればいいのか」という心配も大きくなります。行きたい気持ちが少しあっても、登校した日の周囲の反応を想像して足が止まってしまうのは、このような不安があるためです。
親に対する罪悪感と反発心
不登校の子どもの多くは、学校に行けないことで親に心配や負担をかけていると感じています。母親が仕事を休んで付き添ったり、学校と電話でやりとりしたりする姿を見て、「自分のせいで家族に迷惑をかけている」と自分を責める女子中学生は少なくありません。
一方で、思春期は親から自立したい気持ちが強まる時期でもあります。親に頼りたい気持ちと、干渉されたくない気持ちが同時にあるため、罪悪感を抱えながらも親の言葉に反発するという、一見矛盾した態度をとることがあります。
具体的には、「明日は行けそう?」と声をかけられただけで強い口調で言い返す、自分の部屋にこもって会話を避ける、といった反応が見られます。これは親を嫌っているからではなく、申し訳なさや焦りをうまく言葉にできず、感情がぶつかる形で出ている場合があります。反抗的な態度の裏に罪悪感がある可能性を知っておくと、言葉だけで本人の気持ちを判断せずに済みます。親としての具体的な関わり方は、次の章で解説します。
自分でも理由がわからない焦り
「なぜ学校に行けないの?」と聞かれても、本人がはっきり答えられないことはよくあります。いじめのような明確なきっかけがなくても、小さな疲れや人間関係の違和感が積み重なり、ある日を境に登校できなくなるケースがあるためです。文部科学省の調査でも、不登校のきっかけについて「自分でもよくわからない」と答える児童生徒が一定数いることが示されています。
理由がわからない状態は、本人にとっても苦しいものです。周囲に説明できないことで「ただ怠けているだけなのでは」と自分を責めたり、「このままずっと行けなかったらどうしよう」と先の見えない焦りを感じたりします。授業の遅れや、高校受験への影響を気にする気持ちが焦りを強めることもあります。
また、朝になると頭痛や腹痛が出て起き上がれないのに、夕方以降は比較的元気に過ごせるという日内変動が見られる場合があります。このような様子は「気持ちの問題」と受け取られやすいものの、起立性調節障害など体の不調が関わっていることもあります。本人も体と気持ちの両方の変化に戸惑っているため、理由を問いただすよりも、言葉にできない状態そのものを受け止める姿勢が、本人の安心につながります。
不登校の女子中学生に対する親の適切な対応

子どもが学校に行けなくなったときは、現在の困りごとや状況を整理することが大切です。ただ、文部科学省は「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」で、支援の目標を「学校に登校する」という結果だけに置かず、子どもが自分の進路を主体的に考え、社会的に自立することに置くよう示しています。また同通知は、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す時間として前向きな意味を持つことがあるとも述べています。家庭では登校そのものを急がせるのではなく、子どもが安心して過ごし、少しずつ気力を取り戻せる環境をつくることが中心になります。
無理に学校へ行かせようとしない
学校に行けない状態の子どもは、朝になると腹痛や頭痛、吐き気などの体の不調を訴えることがあります。症状の程度が外からはわかりにくい場合もありますが、本人には実際に症状が出ていることが多く、無理に登校させると症状が悪化したり、親に本音を話さなくなったりするおそれがあります。
休ませると決めたら、家を安心して休める場所にすることを優先します。具体的には、次のような対応が挙げられます。
- 毎朝「今日は行けるの?」と確認するのをやめ、欠席の連絡は親が担任に入れる
- 休んでいる日に家事や勉強を罰のように課さない
- 起床や食事の時間はゆるやかに整え、昼夜逆転が進まないよう声をかける
- 学校からの配布物や行事の連絡は、本人が受け取れそうなタイミングで渡す
「行かせない」ことは「放っておく」ことではありません。親は担任と連絡を取り続け、本人の様子や学校側でできる配慮を確認しておきます。本人が「別室なら行けるかもしれない」「行事だけ参加したい」と自分から口にしたときに、すぐ具体的な選択肢を示せるよう準備しておくことが、無理に登校させる代わりに親ができる役割です。
本人の話を否定せずに共感して聞く
思春期の女子は、友人関係や自分の見た目、周囲の評価などについて、親に話しにくい悩みを抱えていることがあります。話し始めたときに親が否定やアドバイスで返すと、「やっぱりわかってもらえない」と感じ、次から相談しなくなる場合があります。まずは解決策を示すよりも、気持ちを受け止めることを意識します。
| 避けたい返し方 | 気持ちを受け止める返し方 |
|---|---|
| 「そんなこと気にしすぎだよ」 | 「それは気になるよね」 |
| 「お母さんの頃はもっと大変だった」 | 「そういうことがあったんだね」 |
| 「じゃあこうすればいいじゃない」 | 「話してくれてありがとう。どうしたいと思ってる?」 |
不登校の理由を繰り返し聞き出そうとするのも控えます。本人自身が理由をうまく言葉にできないことも多く、問い詰められると責められているように感じやすいためです。向かい合って改まって話すより、料理や買い物、車での移動中など、別のことをしながらの会話のほうが本音が出やすい場合もあります。面と向かって話しにくい様子なら、LINEなどのメッセージでやり取りする方法もあります。
聞いた内容を祖父母や担任、きょうだいに伝えるときは、事前に本人の了承を得ます。了承なく共有されたと知ると、親への信頼が揺らぎ、以後の相談につながりにくくなります。また、不安から本人のスマートフォンを無断で確認したり取り上げたりすると、外とのつながりを断たれたと受け取られることがあるため、使い方のルールは本人と話し合って決めるようにします。
母親と父親で対応方針を統一する
日中の子どもの様子を主に母親が見ている家庭では、母親が「今は休ませよう」と決めていても、帰宅した父親が「甘えているだけだ」と登校を求めるといった食い違いが起こることがあります。親ごとに言うことが違うと、子どもはどちらの言葉に従えばよいのか迷い、家の中でも気を張って過ごすことになります。
方針を揃えるために、夫婦で次の点を話し合い、決めた内容を両親とも同じ言葉で子どもに伝えます。
- 当面は登校を促すのか、休養を優先するのか
- 学校や担任との連絡を誰が担当するのか
- スマートフォンやゲーム、起床時間などの家庭内のルール
- 子どもの様子をいつ、どのように夫婦間で共有するのか
思春期の女子は父親と距離を置くことも珍しくありませんが、父親の関わりが不要になるわけではありません。学校の話題には触れず、テレビや趣味の話など日常の会話を続けること、母親の話を聞いて負担を分け合うことも、父親ができる具体的な役割です。ひとり親家庭や祖父母と同居している家庭では、日常的に子どもと接する大人の間で同じように方針を揃えておきます。
対応が長期化すると、親自身が疲れたり、夫婦の意見がぶつかったりすることもあります。親が一人で抱え込まず、互いに休む時間をつくることが、子どもに落ち着いた態度で接し続けるための前提になります。
- 「話し始めたとき、どう返せばよいだろう」
- 「本人が話せない日は、どう関わろう」
- 「家族で対応をそろえる方法を知りたい」
気持ちを受け止める聞き方や、家族で方針を共有する方法を、日々の場面に合わせて考えたい方には、保護者自身が学べる場も選択肢になります。
ほめビリティは、子どもを無理に変えようとするのではなく、日々の声かけや関わり方を実践しながら学ぶ、保護者向けのオンラインプログラムです。
話を聞くタイミングや返す言葉など、この記事で触れた関わり方を家庭で実践するヒントを学べます。
不登校の中学生を支援する外部の相談窓口

不登校の相談先は、学校内、自治体、民間団体、医療・福祉機関に大きく分かれます。多くの窓口では、本人が外出できない段階でも保護者だけで相談できます。子どもの状態や困りごとの内容に合わせて、相談先を選んだり組み合わせたりすることが大切です。
| 相談先 | 主な相談相手 | 費用の目安 | 申し込み方法 |
|---|---|---|---|
| スクールカウンセラー | 公認心理師・臨床心理士などの心理職 | 無料 | 担任・養護教諭・教頭など |
| 教育支援センター(適応指導教室) | 指導員(元教員など)・相談員 | 原則無料(教材費などがかかる場合あり) | 在籍校または教育委員会 |
| フリースクール | NPO法人や民間事業者のスタッフ | 施設により異なる(有料が中心) | 各施設へ直接 |
| 医療機関 | 小児科医・児童精神科医など | 保険診療(自治体の子ども医療費助成の対象になる場合あり) | 各医療機関へ予約 |
| 児童相談所 | 児童福祉司・児童心理司 | 無料 | 電話または来所 |
学校のスクールカウンセラーや保健室登校
最初に相談しやすいのは、在籍している中学校の中にある支援です。費用がかからず、学校側と情報を共有しながら進められます。
スクールカウンセラーへの相談
スクールカウンセラーは、公認心理師や臨床心理士などが務める、心理に関する専門的な知識・経験を持つ相談員です。公立中学校を中心に配置されています。相談の予約は、担任や養護教諭、教頭などを通して入れるのが一般的です。子ども本人が登校できなくても、保護者だけで面談を受けられます。
勤務日は学校によって異なります。週に1日程度や隔週の勤務も多いため、予約が取れる日を早めに確認しておくと相談までの期間を短くできます。
女子中学生の場合、友人関係や体の変化など、男性の大人には話しにくい悩みを抱えていることがあります。本人が同性の相談相手を希望しているなら、その旨を学校に伝えてください。相談の内容は原則として守秘されます。担任と共有してよい範囲も、事前に取り決めておけます。
スクールソーシャルワーカーとの連携
家庭の経済状況や家族の病気、きょうだいの世話など、学校の外の事情が不登校に関わっている場合は、スクールソーシャルワーカーにつないでもらう方法があります。社会福祉士や精神保健福祉士など、福祉に関する専門的な資格や知識・経験を持つ人が選考されます。福祉制度や地域の支援機関との橋渡しをします。教育委員会に配置され、必要に応じて学校へ派遣される形をとる自治体も多くあります。
保健室登校・別室登校
保健室登校は、教室には入れないものの学校には行ける段階の子どもが、保健室で過ごす登校の形です。養護教諭が体調や気持ちの変化を見ながら対応します。別室で自習する「別室登校」として受け入れる学校もあります。
始める前に、担任や養護教諭と次の点を決めておくと、本人が戸惑わずに通えます。
- 登校する曜日と時間帯(短時間から始めてもよいか)
- 他の生徒と顔を合わせにくい登下校のタイミングや出入り口
- 保健室や別室で取り組む学習課題の内容
- 出席の扱いと、授業への参加を試すタイミング
クラスメイトとの関係が不登校のきっかけになっている場合は、登校時間を他の生徒とずらす配慮が欠かせません。また、文部科学省が2023年に公表した「COCOLOプラン」により、校内に落ち着いて過ごせる「校内教育支援センター」を設ける動きが進んでいます。在籍校に設置されているかどうかを問い合わせてみてください。
学校内の居場所については、校内教育支援センターで受けられる支援も参考になります。
適応指導教室やフリースクールの活用
学校に足が向かない場合でも、学校以外の場所で学習や人との関わりを続けることはできます。主な選択肢は、自治体が運営する公的な施設と、民間の施設の2つです。
教育支援センター(適応指導教室)
適応指導教室は、市区町村の教育委員会が設置する不登校の子ども向けの施設です。現在は「教育支援センター」という名称が使われています。教育センターや公民館などの公共施設の中にあることが多いです。少人数での学習、スポーツや調理などの体験活動、相談員との面談を行います。
利用料は原則としてかかりません。ただし、教材費や体験活動の実費を負担する場合があります。申し込みは在籍校か教育委員会を通して行い、多くの施設で事前の見学や体験利用ができます。通った日数は、在籍校の校長の判断で出席扱いになるのが一般的です。
教育支援センターを設置していない自治体や、自宅から遠い場所にしかない地域もあります。お住まいの地域の設置状況は、教育委員会に問い合わせると確認できます。
通所型とオンライン型の違いや学校との連携は、教育支援センターと出席扱いの解説で紹介しています。利用できる支援と認定の条件は、地域の窓口と在籍校に確認してください。
フリースクール
フリースクールは、NPO法人や民間事業者が運営する学びの場や居場所です。学習支援に力を入れる施設、自由に過ごせる居場所づくりを重視する施設、野外活動や創作活動が中心の施設など、方針は施設によって大きく異なります。
費用は施設ごとに異なり、有料のところが中心です。文部科学省が2015年に行った民間施設の実態調査では、月額の会費は平均で約3万3千円でした。自治体によっては利用料を補助する制度を設けています。
見学の際は、次の点を確認すると、子どもに合うかどうかを判断しやすくなります。
- 通う日数や時間を本人の体調に合わせて調整できるか
- 在籍する子どもの年齢層や男女比、女性スタッフの有無
- 教科学習のサポート体制と進路相談の実績
- 在籍校との連絡や出席扱いの手続きに協力してもらえるか
- 入会金や月謝のほか、行事費などの追加費用
女子中学生の中には、大人数の集団や騒がしい環境に疲れて学校に行けなくなった子もいます。本人が見学して、居心地がよいと感じるかどうかを判断の中心に置いてください。
施設を比べる際には、通所型・オンライン型フリースクールの特徴と出席扱いも参考にできます。
学校外の学びを出席扱いにするための条件
文部科学省は、2019年の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」で、フリースクールなど学校外の施設で相談・指導を受けた日を、一定の要件のもとで在籍校の出席扱いにできるとしています。主な要件は、保護者と学校の間に十分な連携・協力関係があること、施設での指導が本人の自立を助けるうえで適切であること、そして最終的に在籍校の校長が判断することです。
自宅でオンライン教材などを使って学習した場合も、要件を満たせば出席扱いになる場合があります。ただし、自動的には認められません。利用を始める前に、担任や校長に施設の内容を伝えて相談しておく必要があります。出席の扱いは高校受験の調査書にも関わります。
中学校在籍中の自宅学習については、出席扱いにできる制度(ネット出席)の要件を確認できます。施設への通所と自宅でのICT学習では要件が異なり、教材の利用だけで認定されるものではありません。
学校外の学び方を相談する中で、自宅で取り組める方法を選ぶこともできます。本人の体調や希望、今の理解度に合った量から考えてみましょう。
無学年式オンライン教材「すらら」なら、学校の進度や学年に縛られず、理解できているところまで戻って自宅で学習できます。
不登校中の家庭学習や出席扱い制度の活用についてもサポートしています。中学校での出席扱いは所定の要件に基づき校長が判断するため、利用前に在籍校へ相談してください。
医療機関や児童相談所への相談
体調不良が続く場合や、気持ちの落ち込みが強い場合は、学校や教育機関だけでは対応しきれないことがあります。家庭内の混乱が大きいときも同様です。その場合は、医療や福祉の専門機関に相談します。
医療機関を受診する目安と診療科
次のような様子が続いたり、生活に支障が出たりしている場合は、期間にかかわらず受診を検討してください。
- 朝起きられない、立ちくらみがする、頭痛や腹痛が続く
- 夜眠れない、または一日中寝ている
- 食欲が極端に落ちた、または過食と嘔吐を繰り返している
- 何に対しても興味がなくなり、気分の落ち込みが続いている
自分の体を傷つける行為や「死にたい」という発言がある場合は、期間を待たずにすぐ相談してください。
体の症状が中心であれば、まずかかりつけの小児科を受診します。朝に体調が悪く午後から回復するといった症状がある場合、思春期に多い起立性調節障害が見つかることもあります。月経痛やPMS(月経前症候群)による体調不良が続いている場合は、婦人科で相談できます。
心の不調が中心であれば、児童精神科、思春期外来、心療内科が相談先です。児童精神科は初診の予約が数週間から数か月先になる医療機関もあります。気になった段階で早めに問い合わせておくと安心です。本人が受診を嫌がる場合は、「眠れない状態を診てもらおう」など、本人が困っている症状を受診の理由として伝えると、受け入れてもらいやすくなります。
児童相談所への相談
児童相談所は、18歳未満の子どもに関するあらゆる相談を受ける都道府県や政令指定都市などの機関です。不登校の相談も対象に含まれます。児童福祉司や児童心理司が対応し、必要に応じて心理検査や継続的な面談を行います。相談は無料で、秘密は守られます。
子どもが家族に暴力をふるう場合や、親子の衝突が激しく家庭内で対応できない場合は、児童相談所への相談を検討してください。昼夜逆転などで生活が大きく崩れている場合も同様です。近くの児童相談所がわからない場合は、児童相談所相談専用ダイヤル(0120-189-783)に電話すると、お住まいの地域の児童相談所につながります。
子ども本人が直接相談できる窓口
親には話しにくい悩みを抱えている子どももいます。文部科学省の24時間子どもSOSダイヤル(0120-0-78310)は、子ども本人が夜間や休日でも無料で電話できる窓口です。原則として電話をかけた地域の教育委員会の相談機関につながります。保護者が番号をメモに書いて渡しておくだけでも、子どもが一人で悩みを抱え込んだときに相談先として使えます。
女子中学生の不登校における高校進学の選択肢

中学校で不登校になっても、高校へ進学する道は複数あります。全日制高校の一般入試では、中学校が作成する調査書(内申書)の評定などが合否判定の資料になりますが、欠席日数の記載や扱いは自治体・学校によって異なります。そのため、欠席が多い場合は、調査書の比重が小さい選抜や、調査書を使わない選抜を行う学校を選ぶと、本人の今の状態に合った進学先を見つけやすくなります。
欠席扱いについては、文部科学省が、一定の要件を満たせば教育支援センターでの活動や自宅でのICTを活用した学習を校長の判断で「出席扱い」にできる取り扱いを示しています。出席扱いになると調査書上の欠席日数に影響する場合があります。在籍校の担任や学年主任に、中学2年生のうちから確認しておくと、受験校の選択肢を広げられます。
通信制高校や定時制高校への進学
通信制高校と定時制高校は、毎日決まった時間に登校することが難しい生徒も学べる仕組みを持つ高校です。どちらも学校教育法に基づく高校のため、卒業すれば全日制と同じ「高校卒業」の資格を得られ、大学・専門学校の受験や就職の応募ができます。
通信制高校の特徴と選び方
通信制高校では、自宅などでレポート(課題)に取り組んで提出し、決められた日数のスクーリング(面接指導)に出席し、試験に合格して単位を修得します。3年以上在籍し、74単位以上を修得するなどの要件を満たせば卒業できます。入学選考は書類・面接・作文が中心の学校が多く、学力検査を行わない学校もあるため、欠席が多い生徒も出願しやすい傾向があります。
都道府県立などの公立通信制は学費が低く抑えられる一方、自分でレポートの計画を立てて進める力が求められます。私立通信制には、週1日から週5日まで通学日数を選べるコースや、オンライン授業が中心のコースを設けている学校があります。人間関係の負担を減らしたい、体調に合わせて登校日を決めたいといった希望がある場合は、通学頻度を段階的に増やせるかどうかを確認すると選びやすくなります。
通信制高校と提携する「サポート校」は、学習や生活面の支援を行う民間の教育施設で、高校そのものではありません。サポート校を併用する場合は、通信制高校の学費とは別に費用がかかります。なお、私立通信制高校も国の高等学校等就学支援金の対象で、国籍・在留資格等の受給要件を満たせば授業料の支援を受けられます。
就学支援金の所得制限は令和8年4月から撤廃されています。対象や申請方法は、文部科学省の制度改正通知と進学先の案内で確認してください。
定時制高校の特徴と選び方
定時制高校には夜間に授業を行う学校のほか、昼間に授業を行う学校や、午前・午後・夜間の時間帯から選べる多部制の学校があります。修業年限は4年が基本ですが、他の時間帯の授業も履修して3年で卒業できる仕組み(三修制)を設けている学校もあります。1クラスの人数が全日制より少ない学校が多く、年齢や経歴の異なる生徒が在籍しています。
東京都の「チャレンジスクール」は、小・中学校で不登校を経験した生徒などを主な対象とする三部制の定時制高校です。入学者選抜では調査書を用いず、志願申告書、作文、面接で選考する仕組みがとられており、六本木高校や大江戸高校などが該当します。朝起きるのが難しい時期がある場合でも、午後の部を選べば生活リズムに合わせて通学できます。
思春期には朝に体調を崩しやすい起立性調節障害がみられることがあり、女子に多いともいわれています。体調面の理由で午前中の登校が難しい場合は、昼間定時制や多部制の午後の部、通学日数を選べる通信制を候補に入れると、高校生活を続けやすくなります。
不登校枠がある全日制高校の受験
「不登校枠」は一般的な呼び方で、正式な制度名ではありません。実際には、欠席の事情を説明できる書類の提出、調査書の比重を下げた選抜、学力検査を行わない選抜など、不登校経験のある生徒が受験しやすい仕組みが自治体や学校ごとに設けられています。制度の名称や選抜方法は都道府県によって異なり、年度ごとに変更されることもあるため、各都道府県教育委員会が公表する入学者選抜要項で最新の内容を確認する必要があります。
公立高校の配慮制度
千葉県の公立高校入試では、障害や病気、けがなどの状況を志願校に申告するための「自己申告書」を提出できる仕組みがあります。東京都の「エンカレッジスクール」は、学び直しを重視する全日制の都立高校で、学力検査を行わず、面接や作文などで選考しています。神奈川県の「クリエイティブスクール」も、学力検査を行わず、面接や自己表現検査を中心に選考する全日制の県立高校です。
こうした高校では、少人数授業や中学校の学習内容の振り返りを取り入れている場合があり、学習の遅れに不安がある生徒も授業についていきやすい環境が用意されています。
私立高校の受け入れ
私立の全日制高校の中には、不登校経験者向けのコースを設けている学校や、欠席日数を合否判定で重視しないと説明会などで明言している学校があります。女子校では異性の目を気にせずに過ごせることを重視する生徒もおり、本人が落ち着いて通える環境を考えるうえで、共学か女子校かも比較の観点になります。
私立高校の欠席日数の扱いは募集要項に明記されていないことも多いため、学校説明会や個別相談で「中学校の欠席日数は合否にどの程度影響するか」「入学後に登校が難しくなった場合の支援はあるか」を直接質問しておくと、出願後の不安を減らせます。体験授業やオープンスクールに本人が参加し、通学時間や校舎の雰囲気が負担にならないかを確かめたうえで、本人の意思を尊重して志望校を決めることが大切です。
出願までの準備を整理したい場合は、不登校中の高校受験と欠席日数の確認ポイントもご覧ください。選抜方法は受験する年度・地域・学校の最新要項で確かめましょう。
まとめ
女子中学生の不登校は、友人関係、SNS、学業、思春期の心身の変化など、複数の要因が重なって起こることがあります。本人も理由をうまく説明できない場合があります。家庭だけで抱えず、スクールカウンセラー、適応指導教室、フリースクール、医療機関などにも相談しましょう。
高校進学には、通信制高校や定時制高校のほか、不登校の生徒に配慮した選抜を行う全日制高校などの選択肢があります。制度は地域や学校によって異なるため、早めに情報を集めておきましょう。