- 1 不登校からでも大学受験は十分に可能
- 1-1 大学受験での欠席の扱いは入試方式によって異なる
- 1-2 大学受験に必要な資格とは
- 2 不登校から大学受験を目指す3つのルート
- 2-1 全日制高校に復学して大学受験を目指す
- 2-2 通信制高校や定時制高校に転入・編入する
- 2-3 高卒認定試験に合格して大学受験資格を得る
- 3 高校卒業資格と高卒認定の違い
- 3-1 高校卒業資格とは
- 3-2 高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)とは
- 3-3 どちらが大学受験に有利か
- 4 不登校からの大学受験に向けた勉強方法
- 4-1 独学で大学受験対策を進める
- 4-2 塾や予備校を活用する
- 4-3 家庭教師やオンライン学習を利用する
- 5 不登校から大学受験を成功させるポイント
- 5-1 無理のない学習計画を立てる
- 5-2 メンタルケアと生活リズムの改善
- 5-3 保護者のサポートの重要性
- 6 まとめ
不登校でも大学受験はできます。受験資格は「高校卒業(見込み)」か「高卒認定試験の合格」で得られ、不登校の経験は出願条件になりません。一般選抜は当日の学力試験が中心で、出席日数の影響は小さい傾向です。一方、学校推薦型選抜や総合型選抜では、調査書の欠席日数や評定が評価される場合があります。この記事では、全日制高校への復学、通信制・定時制高校への転入・編入、高卒認定の3つのルートの違い、高校卒業資格と高卒認定の選び方、独学・塾・オンライン学習の使い分け、生活リズムの整え方と保護者の関わり方を紹介します。
不登校からでも大学受験は十分に可能
高校に通えていない時期があっても、大学入学資格があれば大学を受験できます。大学入学資格は、高校を卒業するか、高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)に合格することで得られます。出席日数が足りず全日制高校を続けられない場合も、通信制高校で卒業を目指す方法や高卒認定を取る方法があり、どの道を選んでも大学の一般選抜を受けられます。
大学受験での欠席の扱いは入試方式によって異なる
多くの大学の一般選抜では、学力試験の得点で合否が決まります。大学入学共通テストや各大学の個別試験は、受験資格を満たしていれば誰でも同じ条件で受けられます。大学や入試方式によっては、調査書の出欠欄を評価に使う場合があります。
出願の際には、高校が作成する調査書を提出するのが一般的です。調査書には評定や出欠の記録が載ります。ただし、一般選抜で調査書をどの程度点数化するかは大学や学部によって違い、学力試験を中心に判定する大学が多くなっています。高卒認定の合格者は、調査書の代わりに「合格成績証明書」などを提出します。必要な書類は大学ごとに募集要項で確認してください。
一方で、入試の方式によっては不登校の影響を受けやすいものもあります。
- 学校推薦型選抜:高校の校長の推薦が必要で、評定平均や出欠状況が出願条件になることがあります。高卒認定の合格者は、多くの場合出願できません。
- 総合型選抜:書類審査や面接で、高校時代の活動や学ぶ意欲が評価されます。高卒認定の合格者が出願できるかどうかは大学によって異なります。
- 面接がある入試:書類に空白期間や出席日数の少なさがあると、その理由を聞かれることがあります。これまでの学びや志望理由を説明する準備とともに、欠席の扱いを志望校の募集要項で確認しましょう。
不登校の経験がある人は、学力試験で勝負できる一般選抜を中心に考えると、不利になる場面を減らせます。
欠席の扱いは、文部科学省の入試Q&A(Q13-1-2・3)と志望校の募集要項で確認してください。出欠の記録を評価に使う場合にも、病気など本人に帰責されない理由への配慮が求められています。
大学受験に必要な資格とは
大学を受験するには「大学入学資格」が必要です。文部科学省「大学入学資格について」によると、主に次のいずれかを満たせば大学入学資格を得られます。
- 高校(全日制・定時制・通信制)を卒業した人、または卒業見込みの人
- 中等教育学校を卒業した人、または卒業見込みの人
- 高等学校卒業程度認定試験に合格した人(大学入学資格検定の合格者を含む)
- 外国で12年の学校教育を修了した人など、文部科学大臣が定める条件を満たす人
- 大学の個別の入学資格審査で、高校卒業と同等以上の学力があると認められた満18歳以上の人
不登校の人が実際に選ぶのは、ほとんどの場合「高校を卒業する」か「高卒認定に合格する」のどちらかです。全日制・定時制・通信制のどの課程を卒業しても、大学入学資格に違いはありません。
高卒認定は、試験に合格すれば高校を卒業しなくても大学入学資格が得られる制度で、文部科学省の高等学校卒業程度認定試験のページで試験日程や受験案内が公開されています。18歳未満で合格した場合は、18歳の誕生日の翌日から合格者として扱われます。また、大学入試センターが実施する大学入学共通テストには、高卒認定の合格見込みの人も出願できます。
いま高校に在籍している人は、退学せずに単位を取って卒業する道も残っています。ただし全日制高校では、出席日数が足りないと単位が認められず、留年になることがあります。在籍している高校で、卒業までに必要な単位数と出席日数を確認しておくと、どの資格を目指すべきか判断しやすくなります。
不登校から大学受験を目指す3つのルート

不登校の状態から大学受験に進む方法は、大きく分けて「在籍している全日制高校に復学する」「通信制高校や定時制高校に転入・編入する」「高卒認定試験に合格する」の3つです。どのルートでも大学の受験資格は得られますが、通学の負担、卒業までの期間、使える入試方式が異なります。本人の体調や登校への気持ち、残っている在籍期間や修得単位をふまえて選ぶことが大切です。
| ルート | 得られる資格 | 主な特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 全日制高校に復学 | 高校卒業資格 | 現在の学校で卒業を目指せる。学校推薦型選抜の対象になりやすい | 出席日数や単位が足りないと進級・卒業できない |
| 通信制・定時制高校に転入・編入 | 高校卒業資格 | 登校日数や時間帯の負担を減らせる。前の高校の単位を引き継げる | 受験対策は自分で補う必要がある場合が多い |
| 高卒認定試験に合格 | 大学入学資格(高卒認定) | 学校に通わず試験だけで受験資格を得られる | 最終学歴は高校卒業にならない。推薦入試は利用しにくい |
全日制高校に復学して大学受験を目指す
在籍している全日制高校に再び通い、卒業して大学受験に臨むルートです。友人関係や学習環境を変えずに済み、卒業すれば一般選抜に加えて、学校長の推薦が必要な学校推薦型選抜(指定校推薦・公募推薦)にも出願しやすくなります。
注意したいのは出席日数と単位です。高校は小・中学校と違って、授業に出席し、定期テストなどで一定の評価を得なければ単位が認められません。欠席時数の上限は学校ごとに定められており、授業時数の3分の1を超える欠席で単位を認めないとする規定を設けている学校が多くあります。必要な単位を修得できないと、原級留置(留年)となり、同級生と同じ時期に卒業できなくなります。
復学を考える場合は、まず担任や学年主任に次の点を確認しましょう。
- 現時点での欠席時数と、進級・卒業に必要な残りの出席時数
- 補習や追試、課題提出で単位を補える制度があるか
- 保健室登校や別室登校、オンライン授業の受講を出席として扱えるか
- スクールカウンセラーなど、学校内で受けられる相談体制
学校推薦型選抜を考えている場合は、評定平均(成績)や欠席日数が校内選考の基準になる学校もあるため、推薦の条件もあわせて確認しておくと進路の選択肢を判断しやすくなります。
通信制高校や定時制高校に転入・編入する
全日制高校への登校が難しい場合、通信制高校や定時制高校に移って高校卒業を目指す方法があります。どちらも高校卒業資格を得られる点は全日制と同じで、卒業後は全日制の卒業生と同じ条件で大学受験に臨めます。
移り方には「転入」と「編入」の2つがあります。
- 転入:現在の高校に在籍したまま、別の高校へ移る方法です。在籍期間が途切れないため、修得済みの単位を引き継いで、同級生と同じ時期の卒業を目指せる場合があります。
- 編入:高校を中途退学した人が、別の高校に入り直す方法です。前の高校での在籍期間や修得単位を引き継げるため、1年生からやり直す必要はありません。
単位の扱いや受け入れ時期は学校によって異なるため、退学手続きを先に進めず、在籍中に転入先を探すほうが在籍期間を途切れさせずに済みます。
通信制高校は、自宅でのレポート(添削課題)の提出、スクーリング(面接指導)、単位認定試験を通じて単位を修得する仕組みです。卒業には3年以上の在籍(前の高校の在籍期間を通算できます)と74単位以上の修得が必要です。登校日数は学校やコースによって年数日から週5日まで幅があり、N高等学校・S高等学校のように、オンライン学習を中心とする広域通信制高校もあります。年度途中でも転入を受け入れている学校が多いのも特徴です。
定時制高校は、夜間・昼間・朝から夜までの三部制などの形態があり、1日の授業時間が全日制より短く設定されています。修業年限は4年以上が基本ですが、ほかの時間帯の授業や通信制の科目を併せて履修し、3年で卒業できる仕組みを設けている学校もあります。決まった時間に通学するため、生活リズムを整えながら学校生活に戻りたい人に向いています。
大学受験の面では、通信制・定時制の授業は高校卒業に必要な内容が中心で、一般選抜の難関大学レベルの対策までは授業だけでまかなえないことが多くあります。大学進学コースを設けている学校や、学習面をサポートする施設(サポート校)を併用できる学校もあるため、学校選びの際は大学への合格実績や進学指導の内容を説明会で確認しておくと安心です。
通信制高校の学習の仕組みや進路支援は、通信制高校の生活と個別サポートの解説でも紹介しています。
高卒認定試験に合格して大学受験資格を得る
高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)は、高校を卒業していない人が、高校卒業者と同等以上の学力があるかを認定する文部科学省の試験です。合格すると大学・短期大学・専門学校の受験資格を得られ、大学入学共通テストも受験できます。学校に通う必要がないため、登校そのものが大きな負担になっている人にとって現実的な選択肢になります。
試験の概要は次のとおりです(詳細は文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」で最新情報を確認してください)。
- 受験資格:受験する年度の末日までに満16歳以上になる人(高校に在籍中でも受験可能)
- 実施時期:例年8月と11月の年2回
- 試験科目:国語、地理、歴史、公共、数学、英語、情報、理科(選択により2〜3科目)の9〜10科目(2026年度から)
- 科目合格:一度合格した科目は次回以降の受験で免除されるため、複数回に分けて全科目の合格を目指せる
- 科目免除:高校で修得した単位や、英検などの技能検定の合格によって免除される科目がある
高校に1年以上通って単位を修得している人は、免除によって受験科目を減らせる場合があります。在籍していた高校から単位修得証明書を取り寄せ、どの科目が免除になるかを確認してから学習計画を立てると効率的です。
なお、全科目に合格しても、満18歳になるまでは高卒認定の合格者とはならず、大学に入学することもできません。16歳で全科目に合格した場合でも、大学入学は同年代の高校卒業者と同じ時期になります。
このルートで注意したいのは、出願できる入試方式です。学校長の推薦を必要とする学校推薦型選抜は、高卒認定の合格者は出願できない場合が多く、主に一般選抜や、出願資格に高卒認定合格者を含めている総合型選抜で受験することになります。高卒認定の学習範囲は大学入試よりも基礎的な内容が中心のため、合格後は志望大学の入試に向けた対策を別途進める必要があります。
高校卒業資格と高卒認定の違い

高校卒業資格と高卒認定は、どちらも大学の出願資格として認められています。両者の違いは、取得の方法、最終学歴の扱い、出願できる入試方式の範囲にあります。
高校卒業資格とは
高校卒業資格は、全日制・定時制・通信制のいずれかの高校で卒業要件を満たし、卒業証書を受け取ることで得られる資格です。学習指導要領では卒業に必要な単位数を74単位以上と定めています。単位の修得に加えて、3年以上の在籍と特別活動への参加も必要です。各高校はこの基準をもとに、独自の卒業要件を設けています。
高校を卒業すると、最終学歴は「高等学校卒業」になります。在籍中は高校が調査書を作成し、校長が推薦書を出せるため、一般選抜に加えて学校推薦型選抜にも出願できます。
不登校で全日制高校の出席日数や単位が足りなくなった場合でも、通信制高校などに転入・編入すれば、すでに修得した単位と在籍期間を引き継げるケースが一般的です。そのため、高校1年生からやり直さずに卒業を目指せます。
高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)とは
高卒認定は、文部科学省が実施する国家試験です。合格すると、高校を卒業した人と同等以上の学力があると認められ、大学・短期大学・専門学校の受験資格を得られます。以前は「大検(大学入学資格検定)」と呼ばれていた試験です。
受験できるのは、受験する年度の末日までに満16歳以上になる人です。高校在籍中でも受験できますが、すでに高校を卒業している人など、大学入学資格を持つ人は受験できません。
試験は例年8月と11月の年2回行われます。2026年度からの受験科目は国語、地理、歴史、公共、数学、理科、英語、情報で、理科の選択方法によって合計9科目または10科目に合格する必要があります。科目ごとに合否が判定されるため、一度に全科目に合格する必要はありません。合格した科目は次回以降の試験に持ち越せます。また、高校で修得した単位や、英検準2級以上の取得などにより、一部の科目が免除される制度もあります。
注意点として、高卒認定に合格しても最終学歴は「中学校卒業」のままです。また、18歳未満で全科目に合格した場合は、18歳の誕生日の翌日から合格者として扱われます。なお、高卒認定を使って大学に進学し卒業すれば、最終学歴は「大学卒業」になります。
どちらが大学受験に有利か
どちらが有利かは、利用したい入試方式と、高校に在籍し続けられるかどうかによって変わります。主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 高校卒業資格 | 高卒認定 |
|---|---|---|
| 取得方法 | 高校で74単位以上を修得し、3年以上在籍して卒業する | 年2回の試験で必要な科目に合格する |
| 最終学歴 | 高等学校卒業 | 中学校卒業のまま |
| 出願時の主な書類 | 高校が作成する調査書 | 合格成績証明書(調査書の代わり) |
| 一般選抜 | 出願できる | 出願できる |
| 学校推薦型選抜 | 出願できる | 対象外とする大学が多い |
| 総合型選抜 | 出願できる | 大学・学部ごとに異なる |
大学入学共通テストや各大学の個別試験で合否が決まる一般選抜では、高卒認定でも高校卒業者と同じ条件で受験できます。ただし、大学によっては調査書の代わりに活動報告書などの追加書類を求める場合があるため、志望校の募集要項を確認しておく必要があります。
一方、学校推薦型選抜は「高校を卒業見込みで、校長の推薦を受けた人」を出願条件とするのが一般的です。そのため、高卒認定では出願できないケースが大半です。総合型選抜は、高卒認定合格者の出願を認めるかどうかが大学や学部によって分かれます。
推薦入試を利用したい人や、最終学歴を「高卒」にしておきたい人には、高校卒業資格が向いています。通学が大きな負担になっている人や、受験勉強に早く時間を使いたい人には、高卒認定が選択肢になります。また、通信制高校などに在籍しながら高卒認定を受験し、合格した科目を高校の単位として認めてもらう方法もあります。この方法は学校教育法施行規則に基づく制度ですが、単位として認めるかどうかは高校ごとに異なるため、在籍校への確認が必要です。
試験科目と免除の最新情報は、文部科学省の高卒認定試験案内を確認してください。2026年度から「情報」が加わっています。
不登校からの大学受験に向けた勉強方法

不登校の期間がある場合、学校の授業に代わる学習手段を自分で選ぶ必要があります。主な手段は独学、塾・予備校、家庭教師・オンライン学習の3つです。外出や対人関係の負担、費用、学力の状況によって合う方法は異なるため、それぞれの特徴と注意点を整理します。
独学で大学受験対策を進める
独学は、参考書や問題集、無料・低価格の学習サービスを使って自分で受験勉強を進める方法です。通塾が不要で、体調や気分に合わせて学習時間を調整できるため、外出や人と会うことに負担を感じる時期でも始めやすい方法です。費用も教材費や模試の受験料程度に抑えられます。
独学で最初に行うのは、学習が止まった時点の確認です。英語と数学は前の単元の理解が前提になる科目のため、高校の内容でつまずく場合は中学の文法や計算に戻って学び直します。国語の現代文や社会科目は、単元ごとの独立性が比較的高く、途中からでも取り組みやすい科目です。
高校の授業内容を基礎から確認したい場合は、NHKが無料で公開しているNHK高校講座を利用できます。各教科の授業動画を教科書の流れに沿って視聴できるため、授業を受けていない単元の補完に使えます。
独学を進める際は、次の手順で教材と目標を決めると、学習の方向がずれにくくなります。
- 志望大学・学部と受験方式(一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜)を調べ、必要な科目を確定する
- 各科目で基礎用の参考書と問題集を1冊ずつ選び、繰り返し解いて定着させる
- 基礎が固まったら、志望校の過去問(教学社の「赤本」など)で出題形式と必要な水準を確認する
- 大学入学共通テストを受ける場合は、大学入試センターのWebサイトで公開されている過去の試験問題を解く
独学の課題は、自分の学力が受験生全体の中でどの位置にあるかを把握しにくいことです。河合塾の全統模試など、高校を通さず個人で申し込める模試を定期的に受けると、偏差値や志望校の合格可能性判定から現在の位置を確認できます。また、わからない問題を質問できる相手がいないため、同じ箇所で長く止まる場合は、後述する塾やオンライン学習との併用を検討します。
塾や予備校を活用する
塾や予備校は、受験に必要な科目の授業と進路情報を体系的に受けられる方法です。学習内容と進度を講師やカリキュラムが決めるため、何をどの順番で学ぶかを自分で判断する負担が減ります。
塾・予備校は、授業形式によって大きく2種類に分かれます。
| 形式 | 主な例 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 集団授業型 | 河合塾、駿台予備学校、代々木ゼミナールなど | 同じレベルの受験生と同じ授業を受ける。受験情報や模試の分析が豊富 | 基礎学力があり、決まった時間に通える人 |
| 個別指導型 | 明光義塾、個別教室のトライなど | 講師1人に対して生徒1〜数人。学習の空白に合わせて単元を選べる | 学び直しが必要な人、集団の場に負担を感じる人 |
不登校の期間に学習の遅れがある場合、集団授業では授業の前提となる知識が不足し、内容についていけないことがあります。その場合は、個別指導で基礎を補ってから集団授業に移る方法があります。また、キズキ共育塾のように、不登校や高校中退を経験した生徒の受け入れを前提とした塾もあり、学び直しから受験対策まで個別に対応しています。
塾・予備校を選ぶ際は、以下の点を事前に確認します。
- 授業の時間帯:予備校の高卒生(浪人生)向けコースは日中に授業があり、高校に通っていない場合や通信制高校に在籍している場合も通いやすい
- 入塾の条件:高卒認定試験の受験予定者や通信制高校の生徒が、どのコースに入れるか
- 自習室の有無と利用時間:自宅以外に勉強場所を確保できるか
- 進路指導の内容:高卒認定や通信制高校からの受験について相談できるか
- 体験授業の有無:講師との相性や教室の雰囲気を入塾前に確認できるか
費用は独学より高くなり、一般的に個別指導型は集団授業型より授業1回あたりの料金が高く設定されています。受講する科目を苦手科目に絞るなど、必要な範囲で利用すると費用を調整できます。
家庭教師やオンライン学習を利用する
家庭教師とオンライン学習は、自宅にいながら指導を受けられる方法です。通塾に不安がある場合や、生活リズムが整っておらず決まった時間に外出するのが難しい場合に選択肢になります。
家庭教師は、講師が自宅を訪問して1対1で指導を行います。生徒の理解度に合わせて中学範囲からの学び直しにも対応でき、質問をその場で解決できます。家庭教師のトライなどの大手の家庭教師センターのほか、大学生講師を紹介するサービスもあります。講師が家に来ることに抵抗がある場合は、ビデオ通話で指導を受けるオンライン家庭教師を選べば、自室から受講できます。
オンライン学習のうち、映像授業サービスは、録画された講義を好きな時間に視聴する形式です。たとえばスタディサプリでは、高校の基礎レベルから大学受験レベルまでの講義動画を月額料金で視聴できます。費用を抑えながら、予備校講師の授業を繰り返し見られる点が利点です。
一方、映像授業は視聴するだけで終わりやすく、問題演習や質問の機会が不足しがちです。動画を見た後に対応する問題集を解く、わからない箇所はオンライン家庭教師や個別指導で質問するなど、演習と質問の手段を組み合わせると理解が定着しやすくなります。
3つの勉強方法の違いをまとめると、次のとおりです。
| 勉強方法 | 費用の目安 | 外出の必要 | 質問のしやすさ | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 独学 | 低い(教材費・模試代) | なし | 低い | 自分で計画を立てて進められる人 |
| 塾・予備校 | 高い | あり | 高い | 通塾でき、受験情報や学習環境を重視する人 |
| 家庭教師 | 高い | なし | 高い | 外出に負担があり、個別の指導を受けたい人 |
| 映像授業 | 低い(月額制) | なし | 低い | 費用を抑えて授業を受けたい人 |
どの方法も1つに限定する必要はなく、映像授業で基礎を学び、苦手科目だけ家庭教師をつけるといった組み合わせが可能です。体調や外出への抵抗感は時期によって変わるため、最初は自宅で取り組める方法から始め、状況に応じて塾や予備校に切り替える選び方もあります。
中学範囲の復習が必要な場合は、自宅で理解度に合わせて進められる教材も選択肢になります。
無学年式オンライン教材「すらら」なら、学校の進度や学年に縛られず、理解できているところまで戻って自宅で学習できます。
すららは基礎の学び直しに活用できます。志望校に必要な科目や過去問への取り組みは、受験計画に合わせて別途確認してください。
不登校から大学受験を成功させるポイント

不登校の期間がある受験生は、学習の遅れだけでなく、生活リズムの乱れや気持ちの浮き沈みを抱えたまま受験準備を始めることが多くあります。ここでは、学習計画の立て方、心身の整え方、保護者の関わり方の3点を解説します。
無理のない学習計画を立てる
学習計画は、受験日から逆算して立てます。大学入学共通テストは例年1月中旬の土日、私立大学の一般選抜は主に2月、国公立大学の個別試験(2次試験)は2月下旬に始まります。この日程を起点に、「いつまでに基礎を終えるか」「いつから過去問に取り組むか」を月単位で決めると、今やるべきことが明確になります。
計画を立てる前に、志望校の入試科目を確認します。必要な科目は大学・学部・入試方式によって異なり、私立大学の文系学部なら英語・国語・地理歴史または公民の3教科で受験できる方式が多い一方、国立大学では共通テストで原則として「情報」を含む6教科8科目が課されます。科目数によって必要な勉強時間が大きく変わるため、志望校選びと学習計画は並行して進めます。
不登校の期間が長い場合は、高校の範囲に入る前に、つまずいた単元まで戻って復習します。特に英語と数学は積み上げ型の科目で、中学の文法や計算が身についていないと高校の内容を理解できません。中学範囲の問題集を1冊解き、正答率が低い単元を洗い出すと、どこから始めればよいかがわかります。
勉強時間は、最初から長時間を目標にしないことが大切です。たとえば「1日30分」から始め、2週間続けられたら1時間に増やすといったように、達成できる量を少しずつ増やします。計画を立てる際は次の点を意識すると、予定どおりに進まなかった日があっても立て直しやすくなります。
- 1週間のうち1〜2日は予定を入れない予備日にし、遅れた分をそこで取り戻す
- 「数学を2時間」ではなく「問題集の10〜20ページ」のように、量で目標を決める
- 勉強した内容と時間を記録し、週末に進み具合を確認する
学力の現在地を確かめるには模試が役立ちます。河合塾の全統模試や駿台の模試などは個人でも申し込めるため、在籍校で団体受験の機会がない人も受験できます。会場での受験は、本番と同じように時間を区切って問題を解く練習や、人の多い場所で試験を受けることに慣れる機会にもなります。
メンタルケアと生活リズムの改善
大学入試は朝から行われます。共通テストの場合、1日目の最初の科目は9時30分から始まるため、朝に起きて頭が働く状態をつくっておく必要があります。昼夜逆転している場合は、就寝時間よりも先に起床時間を固定し、起きたらカーテンを開けて朝の光を浴びるようにします。睡眠時間について、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、中学生・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保することが推奨されています。
朝起きられない、立ちくらみや頭痛が続くといった症状がある場合は、起立性調節障害などの体の不調が関係している可能性があります。生活習慣の工夫だけで改善しないときは、小児科や内科で相談してください。
精神面では、同級生の進学状況や合格報告をSNSで目にして焦りや不安が強まることがあります。受験期間中は閲覧する時間を決めるなど、情報との距離を自分で調整することも一つの方法です。不安が続いて眠れない、勉強が手につかない状態が長く続く場合は、一人で抱え込まずに相談先を利用します。在籍している高校のスクールカウンセラーのほか、電話やSNSで相談できる公的な窓口は厚生労働省のまもろうよ こころで確認できます。
大勢の受験生がいる試験会場に強い不安がある場合や、通院中の病気・障害がある場合は、受験上の配慮を申請できることがあります。共通テストでは、病気や障害などを理由に別室での受験や試験時間の延長などを申請でき、原則として医師の診断書などの提出が必要です。配慮申請には出願前からの第1期と出願期間に重なる第2期があるため、対象になりそうな場合は早めに大学入試センターの案内を確認し、主治医に相談しておきます。個別試験での配慮は大学ごとに対応が異なるため、志望校の募集要項で確認してください。
共通テストの申請時期や必要書類は、大学入試センターの受験上の配慮案内で確認できます。
保護者のサポートの重要性
不登校からの大学受験では、学校の担任や進路指導の教員から受けられる支援が少ない場合があり、その分、保護者が担う役割が大きくなります。ただし、志望校や受験方式を決めるのは本人です。進路を選ぶ際は、本人がどのように学びたいかを確認しながら、選択肢を一緒に整理します。
保護者が担いやすいのは、情報収集と手続きの補助です。具体的には、次のような作業を本人と分担すると、本人が勉強に使える時間を確保できます。
- 志望校の募集要項を取り寄せ、出願資格や必要書類、出願期間を確認する
- オープンキャンパスや個別相談会の日程を調べ、参加を提案する
- 受験料や入学金、塾・予備校の費用を含めた受験全体の予算を立てる
費用面では、私立大学の一般選抜の受験料は1回あたり3万5千円前後が多く、複数の大学・学部を受けると総額が大きくなります。受験校の数を決める段階で予算を共有しておくと、本人が出願時に迷わずに済みます。
日々の声かけでは、模試の判定や点数よりも、勉強を続けられた日数や新しく解けるようになった問題など、本人の行動に目を向けます。「みんなはもう〇〇をやっている」といった他の受験生との比較は、焦りや自己否定につながりやすいため避けます。
保護者自身が悩みを抱え込まないことも大切です。自治体の教育支援センター(適応指導教室)や教育相談窓口、不登校の子どもを持つ親の会などでは、保護者からの相談も受け付けています。同じ経験をした家庭の受験体験を聞くことで、進路の選択肢や受験までの見通しを具体的に持てるようになります。
教育支援センターの対象学年や保護者相談の範囲は自治体によって異なります。高校生の相談に対応しているか、地域の教育相談窓口に確認してください。
- 「受験の準備はどこまで手伝えばよいのだろう」
- 「勉強への声かけをどうすればよいのだろう」
- 「本人の希望を確かめながら進路を考えたい」
本人の希望を聞くことや、取り組んだ行動に目を向けることを、家庭でどう実践するか知りたいときの選択肢があります。
ほめビリティは、子どもを無理に変えようとするのではなく、日々の声かけや関わり方を実践しながら学ぶ、保護者向けのオンラインプログラムです。
日々の声かけや関わり方をもう少し具体的に学びたい方は、プログラムの内容をご覧ください。
まとめ
不登校の経験があっても、高校卒業資格か高卒認定のどちらかがあれば大学受験はできます。一般選抜は主に試験の得点で合否が決まるため、欠席日数が直接影響する場面は限られます。
受験資格を得るルートは、全日制高校への復学、通信制・定時制高校への転入・編入、高卒認定試験の受験の3つです。高卒認定でも大学受験資格は得られますが、最終学歴は高校卒業になりません。学校推薦型選抜を利用したい場合は、原則として高校に在籍している必要があります。
勉強は独学、塾、オンライン学習などから本人に合う方法を選び、生活リズムを整えながら無理のない計画で進めましょう。