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不登校の将来が不安なときに知っておきたい進路・仕事と考え方

不登校になっても、将来の進路や仕事の道が閉ざされるわけではありません。中学生はフリースクールや教育支援センターで学びを続けられ、高校段階の進路には通信制・定時制の高校や高等専修学校など、登校日数や時間帯を選べる学校があります。高卒認定試験に合格すれば、大学や専門学校の受験資格も得られます。就職では地域若者サポートステーションが相談先になり、障害などがあり利用要件を満たす場合は就労移行支援も使えます。この記事では親子それぞれの不安の中身を整理し、各選択肢の特徴と、親が焦らず第三者を頼るための考え方を紹介します。

不登校の将来に対する不安の正体とは

不登校の子どもは年々増えています。文部科学省の令和5年度調査では、小・中学校の不登校児童生徒数は346,482人で、当時の過去最多となりました。それでも「不登校になったら将来はどうなるのか」という不安は、親にも子ども本人にも根強くあります。(出典:文部科学省・令和5年度調査)

この不安の背景として、次の2つが考えられます。

  • 学校に通わなかった場合に、その後どのような進路や仕事があるのかを知らないこと
  • 「みんなと同じ道」から外れることへの恐れ

親と子どもでは、不安を感じる場面も、その中身も異なります。それぞれの不安を分けて整理すると、何に備えればよいかが見えやすくなります。

親が抱える将来への不安

親の不安には、例えば次のような内容があります。

  • 勉強が遅れて、高校に進学できないのではないか
  • 欠席が多いと内申点(調査書)が不利になるのではないか
  • このまま家から出られず、ひきこもりになるのではないか
  • 大人になって就職し、経済的に自立できるのか

こうした進路や生活への心配に加えて、「育て方が悪かったのではないか」と自分を責める気持ちや、同年代の子どもやきょうだいと比べてしまう焦りが重なることもあります。

不安の背景には、親自身の経験が関係する場合もあります。親自身が、全日制高校から大学や就職へ進むという流れを経験してきた場合もあるでしょう。その場合、そこから外れた後の道筋を具体的に思い浮かべにくいこともあります。

ただし、不登校のその後を調べたデータがあります。文部科学省の「不登校に関する実態調査」(平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書)は、中学3年生の時点で不登校だった人を5年後まで追跡したものです。主な結果は次のとおりです。以下は、2012年の本人アンケート(B調査)に回答した1,604人の結果で、不登校経験者全員を代表する割合ではありません。(調査の対象と結果)

  • 高校への進学率は85.1%
  • 20歳の時点で就学も就業もしていない人は2割弱
  • 多くの人は、学校に通うか働くかのいずれかの道に進んでいた

この調査は約20年前の世代が対象です。現在は、通信制高校などの選択肢があります。そのため、現在の状況にそのまま当てはまるとは限りません。それでも、「不登校になると将来の道が閉ざされる」という見方が、実際のデータとは異なることは読み取れます。

国の方針も変わっています。2016年に成立した教育機会確保法と、2019年の文部科学省の通知では、不登校への支援について「学校に戻すことだけを目標にしない」という考え方が示されました。親が「学校に戻らなければ将来はない」と考えて不安を募らせている場合、その前提自体が、現在の制度とずれている可能性があります。

子ども自身が感じる将来への不安

不登校の子ども本人も、将来について何も考えていないわけではありません。文部科学省の令和2年度不登校児童生徒の実態調査でも、学校を休んでいる間の気持ちとして、進路・進学への不安や勉強の遅れへの不安を挙げた人が多くいました。(出典:文部科学省・調査結果の説明)対象は、前年度に不登校で、調査期間に学校・教育支援センターへの登校・通所実績がある小学6年生・中学2年生などに限定された調査です。

子どもが感じやすい不安には、次のようなものがあります。

  • 授業に追いつけるのか
  • このまま友達ができないのではないか
  • 同級生が進学していく中で、自分だけ取り残されるのではないか
  • やりたいことが見つからない
  • 働ける大人になれるのか

将来への不安が「今の自分はだめだ」という自己否定と結びつく場合もあります。学校に行けない状態が続く中で、自己肯定感が下がる場合もあります。その結果、「どうせ自分には無理だ」と考えて、進路について調べたり話したりすること自体を避けるようになる場合があります。

また、心配をかけている親に申し訳ないと感じて、不安を口に出せない子どももいます。たとえば、親が「将来どうするの」と繰り返し尋ねると、子どもは答えられない自分を責めてしまう場合があります。そうなると、かえって会話を避けるようになることがあります。

そのため、子どもが将来の話をしないからといって、「何も考えていない」と判断しないことが大切です。不安を抱えたまま、言葉にできずにいる可能性を前提に関わる必要があります。

不登校から選べる将来の進路と学校選び

通信制高校、定時制高校、高等専修学校、高卒認定試験の学び方と資格の違いを比較した画像

不登校になっても、学び直しや進学の道は閉ざされません。中学校の時期には在籍校以外の学びの場があります。高校段階の進路は全日制以外にも通信制・定時制の高校や高等専修学校などから選べます。高校を卒業しなくても、高卒認定試験を使えば大学や専門学校を受験できます。条件を確認しながら別のルートを検討できるため、今の状態に合う場所を選ぶことが進路選びの基本になります。

中学校から選べる進路

中学生の場合、在籍している中学校に籍を置いたまま、学校の外にある学びの場に通えます。文部科学省は不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)で、学校以外の施設で相談・指導を受けている場合に、一定の要件を満たせば校長の判断で指導要録上の出席扱いにできると示しています。主な要件は、在籍校と施設の間で十分な連携が取れていることや、本人の自立を助けるうえで適切と判断されることです。そのため、通い始める前に担任や学校へ相談しておくと手続きが進めやすくなります。

ほかにも、不登校の生徒に配慮した教育課程を組む「学びの多様化学校(旧称:不登校特例校)」へ転校する方法があります。ただし設置数は限られており、通える地域は限定されます。また、公立中学校では欠席が多い場合の卒業について、在籍校に確認する必要があります。出席日数の不足が中学卒業後の進路にどう関わるかも、在籍校と相談しておきましょう。

フリースクールという選択

フリースクールは、NPO法人や民間団体などが運営する学校以外の学びの場です。学習支援に力を入れる施設、体験活動や居場所づくりを中心にする施設、オンラインで参加できる施設など、運営方針によって内容が大きく異なります。

通所型とオンライン型を比べたい場合は、あした研究室のフリースクールの特徴と出席扱いの解説も参考になります。中学生の利用条件や出席扱いは、候補施設と在籍校へ個別に確認してください。

費用は原則として自己負担です。文部科学省が2015年に公表した民間団体・施設への調査では、月額会費の平均は約3万3,000円でした。自治体によっては利用料の補助制度を設けているため、居住地の制度を確認しておくと負担の見通しが立てやすくなります。(出典:文部科学省・2015年調査)この平均は当時の月額会費の回答262施設によるもので、現在の料金を示すものではありません。

選ぶ際は、次の点を見学や体験利用で確かめておくと、入ってからの食い違いを減らせます。

  • 在籍校で出席扱いになった実績があるか
  • 教科の学習支援があるか、高校受験への対応はどうか
  • スタッフの人数や、子どもへの関わり方
  • 自宅からの通いやすさや、通う頻度を選べるか

教育支援センターの活用

教育支援センターは、市区町村の教育委員会などが設置する公的な支援施設で、以前は「適応指導教室」と呼ばれていました。多くの施設は利用料が無料で、教員経験者や心理の専門職が、学習支援・小集団での活動・個別相談などを行います。

在籍校と連携し、一定の要件を満たせば校長の判断で出席扱いになる場合があります。一方、開所時間が平日の日中に限られる、活動内容が施設によって異なるといった違いもあります。利用を希望する場合は、在籍校の担任や地域の教育委員会に問い合わせると、見学や体験の案内を受けられます。

利用方法を具体的に知りたい場合は、あした研究室の教育支援センターの通所型・オンライン型の解説をご覧ください。提供される支援や通い方は自治体ごとに異なります。

高校進学の選択肢

不登校の経験があっても、全日制高校への進学は可能です。ただし公立の全日制高校では、調査書(内申書)の評定や欠席日数の扱いが地域・学校によって異なります。調査書等の扱いが受験先の選考にどう関わるか、募集要項で確認しましょう。一方で、不登校の事情を記入できる自己申告書を設けている都道府県があります。東京都の「チャレンジスクール」のように、調査書を用いず作文や面接で選考する学校もあります。受験する地域の入試制度を、早めに確認しておくことが大切です。(出典:東京都教育委員会・入試Q&A)

全日制以外の主な選択肢は、次のとおりです。

種類通学の頻度卒業までの期間主な特徴
通信制高校年数日〜週数日(学校・コースにより異なる)3年以上レポートと試験が中心で、自宅学習の比重が大きい
定時制高校原則として毎日(1日4時間程度)4年が基本(3年で卒業できる学校もある)夜間・昼間・三部制などがあり、少人数で通学する
高等専修学校原則として毎日1〜3年以上(学科により異なる)調理・美容・ITなどの職業教育を受けられる

通信制高校で自分のペースで学ぶ

通信制高校は、自宅でのレポート提出、面接指導(スクーリング)、単位認定試験によって単位を取得する高校です。卒業には、3年以上の在籍、74単位以上の修得、特別活動への参加が必要です。卒業すれば全日制と同じ高校卒業の資格を得られます。

毎日の通学が前提ではないため、朝起きるのがつらい生徒や、集団の中で過ごすことに強い負担を感じる生徒でも学習を続けやすくなります。私立の通信制高校には、週1日から週5日まで通学日数を選べるコースや、オンライン授業を中心にした学校もあります。体調や気持ちの回復に合わせて、通学日数を増やしていくこともできます。

注意したいのは、自分でスケジュールを管理してレポートを進める必要がある点です。学習の習慣がまだ戻っていない場合は、学習面や生活面をサポートする「サポート校」を併用する方法があります。ただし、サポート校の費用は高校の学費とは別にかかります。公立の通信制は学費を抑えやすい一方、私立は手厚い支援がある分、費用が高くなる傾向があります。私立でも国の高等学校等就学支援金の対象になります。2026年4月に所得制限は撤廃されましたが、その他の受給要件や支給額は学校に確認してください。(出典:文部科学省・就学支援金)

定時制高校のメリット

定時制高校は、1日の授業時間を4時間程度に抑えた高校です。夜間に授業を行う学校のほか、午前・午後・夜間から時間帯を選べる三部制の学校もあります。卒業までは4年が基本ですが、ほかの時間帯の授業や通信制の単位を組み合わせて、3年で卒業できる学校もあります。

1クラスの人数が少ない学校が多く、教員の目が届きやすい環境で学べます。毎日決まった時間に通うため、生活リズムを整えながら学校生活を送りたい生徒に向いています。公立が中心なので、学費の負担が比較的軽い点もメリットです。一方、働きながら学ぶ社会人や年齢の異なる生徒も在籍するため、学校の雰囲気は見学で確かめておくと安心です。

高等専修学校という道

高等専修学校は、中学校卒業者が入学できる専修学校の高等課程です。調理、製菓、美容、介護、IT、デザインなど、職業に直結する分野を学べます。実習の比重が大きいため、座学よりも手を動かす学びのほうが意欲を持ちやすい生徒に適しています。

修業年限が3年以上で一定の要件を満たし、文部科学大臣の指定を受けた学科を修了すると、大学入学資格が得られます。また、通信制高校と連携する「技能連携制度」を使えば、高等専修学校で学びながら高校卒業の資格も同時に取得できる学校があります。高等専修学校の卒業自体は高校卒業とは異なるため、入学前に修了後の資格を確認しておく必要があります。(出典:文部科学省・高等専修学校)

大学進学や専門学校への道

通信制・定時制・全日制のいずれの高校を卒業しても、大学や短期大学、専門学校を受験する資格は同じです。一般選抜は学力試験や調査書などによって選考されるため、中学時代の欠席の扱いも含め、受験先の募集要項を確認してください。総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜では、高校での学びや活動、志望理由が評価されます。不登校の期間に取り組んだことや、そこから考えたことを志望理由として伝える受験生もいます。

専門学校は、看護、医療事務、情報処理、デザインなど、資格取得や特定の職業に向けた学びを中心とする学校です。入学には高校卒業またはそれと同等以上の資格が必要で、書類と面接を中心に選考する学校が多くあります。

高卒認定試験を活用した進学

高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)は、高校を卒業していない人が、高校卒業者と同等以上の学力があるかを認定する国の試験です。文部科学省の高等学校卒業程度認定試験のページによると、試験は例年8月と11月の年2回実施されます。受験年度の末日までに16歳以上になる人が受験できます。

合格に必要な科目数は2026年度から9〜10科目で、一度に全科目へ合格する必要はありません。合格した科目は次回以降に持ち越せるため、数回に分けて取得できます。高校に在籍していた期間に修得した単位があれば、一部の科目が免除される場合もあります。(出典:文部科学省・2026年度受験案内)

合格すると、大学・短期大学・専門学校の受験資格が得られます。ただし、学歴は「高校卒業」ではありません。合格者として扱われるのも18歳に達した日の翌日からです。高校に通わずに大学進学を目指す場合や、高校を中退した後に進学したい場合の手段として活用できます。ここでいう日は満18歳の誕生日です。年度内に満18歳になる場合は、誕生日前でも大学受験が可能です。(出典:文部科学省・大学受験等について)

進路を考えながら、自分のペースで学び直す

進学に向けた学習を少しずつ始めたいときは、今の理解度や体調に合わせて、自宅で取り組める方法を検討できます。本人の気持ちを確かめながら、無理のない量から考えてみましょう。

無学年式オンライン教材「すらら」なら、学校の進度や学年に縛られず、理解できているところまで戻って自宅で学習できます。

不登校中の家庭学習や、小中学生の出席扱い制度の活用についてもサポートしています。出席扱いは在籍校との連携や条件の確認が必要で、教材の利用だけで認められるものではありません。

不登校の家庭学習について詳しく見る

不登校経験者の将来の仕事と就職先

生活リズム、得意と苦手、短時間の体験、応募条件、書類と面接という就職準備の5段階を示した画像

不登校を経験した人も、その後に就学や就職をしている人が多くいます。文部科学省「不登校に関する実態調査~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~」では、中学3年生のときに不登校だった人の20歳時点の状況を調べています。就学も就業もしていなかった人は18.1%で、約8割は学校に通うか働くかしていました。この割合もB調査の回答者1,604人についての結果で、すべての不登校経験者や現在の状況に一般化することはできません。

ただし、どの仕事に就いているかは人によって大きく異なります。不登校の経験だけで就ける仕事が決まるわけではありません。生活リズム、学歴や資格、本人の得意なことや苦手なこと、利用できる支援によって選択肢が変わります。この章では、就職までの具体的なステップ、在宅でできる仕事、就職を支える公的な支援機関を説明します。

不登校から就職するためのステップ

不登校の期間が長かった人が、いきなりフルタイムの正社員を目指すと、体力面や対人面で負担が大きくなることがあります。段階を踏んで準備すると、自分に合う働き方を見つけやすくなります。

1. 生活リズムを整える
多くの職場では、決まった時間に出勤し、一定時間働くことが求められます。最初に、毎朝同じ時間に起きる、日中に外出する、といった習慣をつくります。週に数回、図書館や支援機関に通うことも練習になります。

2. 自分の得意・苦手を書き出す
「人と話すのは疲れるが、黙々と作業するのは苦にならない」「決まった手順の作業が得意」のように、具体的に書き出します。大人数の職場か少人数の職場か、接客か作業中心か、屋内か屋外かといった条件で考えると、求人を選ぶ基準がはっきりします。

3. 短時間のアルバイトや職場体験で経験を積む
週2〜3日、1日数時間のアルバイトから始めると、働くことへの不安を確かめながら慣れていけます。後で説明する地域若者サポートステーションなどでは職場体験を用意している場合があり、雇用契約を結ぶ前に仕事の内容や職場の雰囲気を確かめられます。

4. 学歴や資格の条件を確認する
求人には「高卒以上」などの応募条件がついていることがあります。希望する職種の求人票を見て、必要な学歴や資格を早めに確認します。高校卒業資格や高卒認定試験については、前章の進路の解説を参考にしてください。

5. 応募書類と面接の準備をする
履歴書の学歴欄には、在籍・卒業した学校を書きます。中学校や高校で不登校だったことを書く欄は一般的な履歴書にはないため、自分から書く必要はありません。面接で空白期間について聞かれたときは、その期間にしていたことや、今は働く準備ができていることを短く伝えます。例えば「体調を崩して学校を休んでいた時期がありましたが、現在は生活リズムを整え、週4日のアルバイトを半年続けています」のように答えると、採用担当者は現在の状態を判断しやすくなります。ハローワークや支援機関では、応募書類の添削や模擬面接を無料で受けられます。

在宅ワークやITスキルを活かした仕事

通勤や対面でのやり取りに強い負担を感じる人には、自宅で働く在宅ワークも選択肢になります。在宅でできる主な仕事には次のようなものがあります。

  • プログラミング(Webサイトやアプリの開発)
  • Webデザイン、バナー制作
  • 動画編集
  • Webライティング、記事作成
  • データ入力などの事務作業

これらの仕事は、正社員やアルバイトとして企業に雇用されてテレワークで働く方法と、フリーランスとして個人で仕事を請け負う方法に分かれます。フリーランスの場合は、クラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシングサービスで案件を探すのが一般的です。ただし、18歳未満の人は民法上の未成年者にあたり、契約には原則として保護者など法定代理人の同意が必要です。クラウドワークスとランサーズは18歳以上が利用対象で、保護者の同意だけでは利用できないため、利用規約を確認してください。(出典:クラウドワークス利用規約)(出典:ランサーズ公式FAQ)

ITの基礎知識を身につけたことを示す方法の一つに、国家試験のITパスポート試験があります。受験資格の制限がなく、全国の会場でコンピュータを使って受験する方式(CBT方式)で実施されています。学歴を問わずに受けられるため、学校に通っていない時期でも挑戦できます。より専門的な知識を証明したい場合は、基本情報技術者試験などの上位の試験もあります。(出典:IPA・ITパスポートFAQ)

在宅ワークには注意点もあります。

  • フリーランスは仕事の量が一定とは限らず、収入が安定しにくい
  • 始業・終業の時間を自分で管理する必要がある
  • 人と接する機会が減り、相談相手がいない状態になりやすい
  • 未経験者でも稼げるとうたい、高額な教材やスクール代を求める勧誘がある

在宅ワークを始める際は、最初から生活費のすべてを稼ごうとせず、アルバイトや家族の支援と組み合わせると負担を抑えられます。スキルを学ぶ場合は、ハローワークを通じて申し込む公的職業訓練(ハロートレーニング)も候補になります。ITやWebデザインのコースがあり、離職者向けの公共職業訓練の受講料は原則無料です(テキスト代などは自己負担)。(出典:厚生労働省・ハロートレーニング)

就労移行支援や若者サポートステーションの活用

一人で就職活動を進めるのが難しい場合は、公的な支援機関を利用できます。不登校経験者が利用しやすい主な機関は次のとおりです。

支援機関主な対象受けられる支援
地域若者サポートステーション(サポステ)原則15〜49歳で仕事も通学もしていない人とその家族個別相談、コミュニケーション講座、職場体験、就職後の定着支援
就労移行支援事業所障害や対象となる難病等があり一般企業への就職を目指す、原則18〜64歳で支給決定を受けた人職業訓練、就職活動の支援、就職後の職場定着支援
ハローワーク(わかものハローワーク等)仕事を探しているすべての人(わかものハローワーク等は主に若年者)求人紹介、職業相談、応募書類の添削、面接対策

地域若者サポートステーションは、厚生労働省が委託して全国に設置している相談窓口です。働くことに悩みを抱える15歳から49歳までの人と家族を対象に、キャリアコンサルタントなどが無料で相談に応じます。すぐに求人を紹介するのではなく、生活リズムの改善や人と話す練習の段階から支援を受けられるため、長く家で過ごしていた人でも利用を始めやすい機関です。本人が来所できない場合は、まず家族だけで相談できるところもあります。原則として仕事も通学もしていない人が対象です。通学中などの場合は、相談できる内容を窓口に確認してください。

就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく福祉サービスです。不登校の背景に、発達障害、うつ病、不安障害などがあり、市区町村が利用の必要性を認めた場合に利用できます。障害者手帳がなくても、医師の診断書などをもとに市区町村が認めれば利用できる場合があります。利用期間は原則2年間で、事業所に通いながらパソコン操作やビジネスマナーを学び、就職を目指します。利用料には所得に応じた月額上限があり、市町村民税非課税世帯などのサービス利用料の負担上限は0円です。障害を開示して働く「障害者雇用枠」での就職では、勤務時間や業務内容について必要な配慮を職場と相談します。(出典:厚生労働省・障害福祉サービス)(出典:厚生労働省・利用者負担)18歳以上の通所利用者の所得区分は原則として本人と配偶者で判断され、食費などの実費は別途かかる場合があります。

どの機関が合うかわからない場合は、住んでいる地域のサポステかハローワークに相談すると、状況に応じてほかの機関を紹介してもらえます。

不登校の将来を明るくするための親の考え方

休養、日常の会話、小さな選択、第三者への相談という家庭での4つの関わり方をまとめた画像

不登校の子どもを支える際は、学校に戻る時期の早さだけでなく、子どもが自分で進路を選べる状態を目指すことも大切です。文部科学省は「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」で、支援の目標を「学校に登校する」という結果のみに置かず、子どもが自らの進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指すと示しています。文部科学省の教育機会確保法のパンフレットでも、不登校を「問題行動」と受け取られないよう配慮することが示されています。家庭での接し方も、この「自立に向けて力を取り戻す」という目標に合わせると判断しやすくなります。(出典:文部科学省・教育機会確保法パンフレット)

焦らず子どものペースを尊重する

不登校が始まった直後の子どもは、心身ともに疲れ切っていることが少なくありません。この時期に登校を強く促したり、休んだ理由を何度も問い詰めたりすると、子どもは家の中でも休みにくくなることがあります。教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)には不登校児童生徒の「休養の必要性」が明記されており、休養の必要性を踏まえた支援が位置づけられています。

ペースを尊重するために、家庭では次のような関わり方ができます。

  • 会話のたびに学校や勉強の話題を出さず、食事やテレビ、趣味など日常の話をする
  • ゲームや動画、絵を描くことなど子どもが熱中していることを頭ごなしに否定せず、何が面白いのかを聞いてみる
  • 料理の手伝いや買い物、ペットの世話など、家庭の中で役割を任せて「できた」経験を積ませる
  • 夕食の献立や休日の過ごし方など、小さな選択を子ども自身に決めてもらう
  • 兄弟姉妹や同級生、親自身の子ども時代と比べる言葉を使わない

こうした関わりを続けると、子どもが自分から「勉強を少しやってみたい」「外に出てみたい」と口にする時期が来ることがあります。その時期には個人差があるため、親が時期を決めて区切るのではなく、子どもの言動の変化を見て判断します。

親は焦りを抑えながらも、情報収集は先に進めておくと安心です。通信制高校やフリースクールの資料、高卒認定試験の概要などを親が把握しておけば、子どもが将来の話を始めたときにすぐ具体的な選択肢を示せます。学習の遅れについても、前の章で紹介したように後から取り戻せる進路があるため、「今勉強しないと将来がなくなる」と伝えて追い詰める必要はありません。

一方で、焦らないことと様子を見ないことは別です。昼夜逆転が長期間続いて改善しない、食事量や睡眠が大きく変化した、頭痛や腹痛、朝起きられない状態が続く、「消えたい」などの言葉が出るといった場合は、休養だけで回復を待たず、小児科や児童精神科などの医療機関に相談してください。起立性調節障害や発達障害、うつ状態などが背景にある場合は、医療的な対応によって生活のしやすさが変わることがあります。(出典:厚生労働省・子どものSOSサイン)

第三者の支援を積極的に頼る

不登校の対応を家庭の中だけで抱えると、親子ともに負担が大きくなる場合があります。親以外の大人と話すことで子どもが本音を話せる場合もあり、親自身も客観的な助言を受けることで、家庭での接し方を見直すきっかけになります。主な相談先と、相談できる内容は次のとおりです。

相談先相談できる主な内容
担任・学年主任出席の扱い、提出物や定期テストの対応、進路に関する情報(内申点や受験の手続き)
スクールカウンセラー子どもの心理面の相談、親の接し方についての助言
スクールソーシャルワーカー家庭環境や経済面の課題、福祉・医療機関へのつなぎ
教育支援センター・教育委員会の教育相談窓口学校以外の学びの場の利用、地域の支援情報
小児科・児童精神科などの医療機関体調不良や睡眠の問題、発達特性や精神的な不調の診断と治療
児童相談所・精神保健福祉センター子育てや家庭全体の悩み、子どもの心の健康に関する相談
不登校の親の会同じ立場の保護者との情報交換、経験談の共有

学校との連絡を保っておくことには、具体的な利点があります。文部科学省の通知では、教育支援センターやフリースクールなど学校外の施設での相談・指導や、自宅でのICTを活用した学習について、義務教育段階で一定の要件を満たせば校長の判断で出席扱いにできるとされています。出席扱いや中学3年生の進路説明の日程などは学校を通じて確認するため、子どもが登校していない期間も、親が担任と定期的に連絡を取る意味があります。

小中学生の自宅学習と学校との連携については、あした研究室の出席扱い制度(ネット出席)の要件で確認できます。教材を利用するだけで出席扱いになるものではなく、在籍校との事前相談が必要です。

子ども本人が相談を嫌がる場合は、まず親だけで相談に行っても問題ありません。スクールカウンセラーや教育相談窓口の多くは保護者のみの相談にも対応しています。1つの相談先と相性が合わなかったときは、そこで相談をやめるのではなく、別の窓口や医療機関を探してください。相談の際には、不登校が始まった時期、きっかけと思われる出来事、現在の生活リズムや体調をメモにまとめて持参すると、限られた時間で具体的な助言を受けやすくなります。

夜間や休日に子どもの様子が急に変わり、すぐに誰かに相談したいときは、文部科学省が案内している24時間子どもSOSダイヤル(0120-0-78310)を利用できます。子ども本人だけでなく保護者からの相談も受け付けており、原則として電話をかけた所在地の教育委員会の相談機関につながります。

親の会では、子どもが不登校を経て進学や就職をした家庭の話を直接聞けることがあります。自治体のホームページや教育支援センターで地域の会を紹介している場合があるため、確認してみてください。親が孤立せず相談先を持つことは、子どもが困ったときに頼れる大人を増やすことにもつながります。

将来の話をする前に、日々の関わり方を考える
  • 「将来の話は、いつ始めたらよいだろう」
  • 「本人の気持ちを、どう聞けばよいだろう」
  • 「小さな変化を、どう受け止めればよいだろう」

子どものペースを尊重しながら将来を一緒に考えるには、日常の会話や小さな選択を支える関わり方も手がかりになります。家庭での声かけを具体的に学びたい方には、保護者向けのプログラムという選択肢があります。

ほめビリティは、子どもを無理に変えようとするのではなく、日々の声かけや関わり方を実践しながら学ぶ、保護者向けのオンラインプログラムです。

子どもの小さな変化に気づき、親子が安心して過ごせる関係をつくるヒントを学んでみませんか。

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まとめ

不登校になっても、進路はひとつではありません。中学生の時期はフリースクールや教育支援センターで学びを続けられます。高校段階の進路は、通信制・定時制の高校や高等専修学校から生活リズムに合う形を選べます。

高校を卒業していなくても、高卒認定試験に合格すれば大学や専門学校の受験資格を得られます。就職では地域若者サポートステーションを利用でき、障害などがあり利用要件を満たす場合は就労移行支援も対象になります。

親は子どものペースを尊重しながら、学校や専門機関など第三者に早めに相談し、利用できる選択肢を確認していきましょう。

執筆者
あした研究室編集部 (あしたけんきゅうしつへんしゅうぶ)
あした研究室編集部は、(株)すららネットの子どもの発達支援室に所属するスタッフと、学び・発達支援に関心を持つ編集チームによって運営されています。教育・発達支援・子育て・学習法などのテーマについて、現場視点と実証的な知見を大切にしながら、企画・取材・執筆・編集・校正・発信まで一貫して取り組んでいます。私たちの使命は、保護者や教育関係者、子ども自身が次の一歩を見つけられるような 信頼できる知見とアイデアを届けること。読者の皆さまには、根拠ある情報と温かい視点を通じて、学びと成長を支えるパートナーでありたいと考えています。