逃げる、嘘をつく──不安だらけだった親子関係が、「観察と具体的な声かけ」で変わった
「逃げなくなったんですよ。あんなに嘘ばかりついていたのに、今はちゃんと戻ってきて話ができるようになって…本当に嬉しかったです」そう語るのは、小学3年生の双子の息子さんを育てるOさん。日々怒鳴り合い、話し合おうにもすぐに嘘をついて逃げ出す──そんな長男・太郎くんとの関係に、ずっと悩んできました。どんなに声をかけてもすれ違い、何とかしたいと思う気持ちばかりが募る毎日。“変わってほしい”という焦りは、やがて“私が変わらなくては”という覚悟へ。藁にもすがる思いで始めたのが、「ほめビリティ ペアレンティング」でした。「褒めるって、どうすれば伝わるんだろう?」──試行錯誤の中で少しずつ見えてきたのは、“今この瞬間の子ども”を丁寧に見ることの大切さ。そして、逃げずに向き合える関係は、“信じる”という小さな積み重ねから生まれていくことでした。今回は、怒ることが当たり前だった日常から抜け出し、子どもの「変わりたい」を信じる力を育ててきたOさんに、親子で見つけた変化の軌跡を伺いました。
【ほめビリティ公式サイト】怒ってばかりの日々、双子の一人との関係に悩んで

── 「ほめビリティ ペアレンティング」に参加される前は、どのような状況だったのでしょうか?
本当に怒ってばかりでした。双子の息子──太郎(仮名)くんと次郎(仮名)くん──がいるのですが、次郎はあまり手がかからず、自分のことは自分でやり、宿題も進んでやりますが、太郎とは感情をぶつけ合うばかり。宿題もやらなくなって、逃げたり嘘をついたり……本当に悪循環でしたね。家の中の空気も重たくて、何とかしなければと焦っていました。話し合いをしようと心がけても、結局は怒鳴り合いになってしまって。私が変わらないと、太郎との関係はもっと悪くなってしまうという危機感がありました。
── ご自身でも、何とかしようといろいろ工夫をされていたと伺いました。当時の取り組みについて、どんなふうに感じていらっしゃいましたか?
そうですね、「怒らないようにしよう」とか「ちゃんと褒めよう」とはしてたんです。でも、ほめビリティで学んで初めて気づいたんです。私、褒めているつもりだったけど、全然伝わってなかったなって。具体的に見て、具体的に声をかけるっていうのができてなかったんですよね。表面的な「すごいね」「えらいね」だけじゃ、子どもには響かないということがよく分かりました。
── 「ほめビリティ ペアレンティング」を知ったきっかけを教えていただけますか?
最初は「すらら」を始めたのがきっかけです。その流れで「ほめビリティ ペアレンティング」のサイトを見たんですけど、「怒りすぎると子どもは逃げる」っていう説明があって、それがまさに太郎だったんです。これは絶対に学びたいと思って、募集が始まったらすぐ申し込みました。私にとっては、まさに藁にもすがる思いでした。逃げる、嘘をつく、隠れる……そんな太郎の様子に、本当に「このままで大丈夫なんだろうか」と不安でいっぱいだったんです。夜も眠れない日が続いていました。
子どもを変えたい一心で…焦りの毎日から抜け出せた理由

── 実践を始めた頃は、どんな気持ちで取り組んでいましたか?
私は「絶対に変わりたい」と思っていたので、すごく前のめりでした。ただ最初は焦って、ほめる以外の内容、例えばルールのことが気になってしまって、いろいろ質問ばかりしていました。でも今思えば、その焦りこそが自分の問題だったと気づかされました。順を追って学ぶことの大切さ、焦っても近道はないんだと身をもって理解しました。
──当時は「早く変わりたい」というお気持ちが強かったんですね。その焦りが少しずつ和らいでいったきっかけを教えていただけますか?
メンターさんに「今はぐた褒め※ だけに集中して大丈夫ですよ」と言われて、すごく気持ちが楽になりました。「今は先のことはやらなくていい」と言ってもらえたことで、他のことを一旦脇に置いて、今に集中することができるようになったんです。そこからですね、目の前の子どもをよく観察して、小さな行動にもすぐ声をかけるようにしていったのは。たとえば、歯みがきの準備をしただけでも「自分から歯磨きできてえらいね」と褒めたり。最初は本当に些細なことを拾って、ひたすら観察していました。「観察力」って、親にとって本当に大事なんだなって実感しました。
※強化したい行動を具体的に短くすぐに具体的に褒める方法
逃げない・嘘をつかない子に──信頼関係が少しずつ育っていくまで

──ほめビリティを実践していく中で 太郎くんにはどのような変化が見られましたか?
まず、逃げなくなりました。話し合いの途中で嫌になっても、一度部屋を出ても、ちゃんと戻ってくるようになったんです。以前は、話すこと自体を嫌がって、話し合いの場を作れない状態だったのに、今はちゃんと座って向き合えるようになりました。そして、嘘もつかなくなりました。以前は「嘘をついてはいけない」と強く言い聞かせていたけれど、今はそんなことを言わなくても、自分から本当のことを言ってくれるんです。
その他にも宿題も自分でやれるようになったし、漢字を覚えるのが苦手だったのに、自分から練習するようになったんです。学習面を強化したつもりはなかったのに、褒めることで自然とそういう姿が出てきて、本当に不思議でした。
── 「逃げない」「嘘をつかない」って、まさに信頼関係のあらわれですよね。その信頼関係が育まれていく中で、ご自身の中で変わったなと感じる部分はありますか?
以前は嘘をついたときに、「嘘をつくと警察がくるんだよ」と過度に脅すような言い方をしてしまうことがありました。でも、子どもの気持ちに寄り添う姿勢やアンガーマネジメントを意識して続けていたら、そういうことを言わなくても、褒めることで自然と嘘をつかなくなって、逃げなくなっていきました。つまり、怒っていたことで、褒めが足りていなかった。あの逃げや嘘は、その反応だったんだと今は分かります。信頼関係って、日々の小さな積み重ねからしか生まれないんだなと実感しています。
── 信頼関係が少しずつ育まれていく中で、太郎くんだけでなく、次郎くんやご家庭全体にも何か変化は感じましたか?
はい。双子の次郎にも一緒に太郎を褒めてもらったら、すごくいい雰囲気になりました。でも、褒めすぎると次郎が焼きもちを焼くこともあって…。だから、二人でチームのようにして太郎を褒めたときが一番よかったです。子ども同士の関係も、少しずつ穏やかになってきた気がします。今後は、兄弟それぞれの個性をもっと大切にしていきたいです。
“褒める”だけで子どもは変わる──安心して自分を出せる関係を目指して──

── 実践を通していろいろな気づきがあったと思いますが、これから先子育ての中で特に大切にしていきたいことはなんですか?
勉強しなさい、ちゃんとしなさいって言わなくても、褒めることで子どもが変わっていったんです。それが今でも不思議なくらいで、本当にそれだけでよかったんだなって思えました。これからも、日常の些細なことをちゃんと見て、具体的に褒める。そうやって、子どもが安心して自分を出せる関係を大切にしていきたいです。
── 最後に、悩まれている保護者の方へメッセージをお願いいたします。
きっと、ここにたどり着く方はすごく悩んでいると思うんです。だからこそ、ほめビリティをやってみてほしい。最初は不安かもしれないけれど、目の前のことを信じて一歩踏み出してみてください。半信半疑でも、やってみれば分かります。私も人生が変わったと感じているので、焦らず、諦めず、ぜひ続けてみてほしいです。
── ありがとうございました。

不安や戸惑いを抱えながらも、「子どもとどう関わればいいのか」を模索している方にとって、ほめビリティは一つの支えになるかもしれません。日々の小さなやりとりを変えることで、親子の関係性が少しずつ前向きになっていく。その一歩を安心して試せるように、LINE相談も承っております。よかったら、公式サイトで詳しくのぞいてみてください。
【ほめビリティ公式サイト】