不登校3年の「見守る」から一歩先へ。“指示して褒める”で親子が動き出した50日
「見守るのは大事だとわかっている。でも、このままで変わるのだろうか」——。
Oさんは3人のお子さんの不登校を、3年以上「待つ」子育てで支えてきました。声をかけても嫌な顔をされ、自分もつらくなる。その繰り返しに悩んでいたときに出会ったのが「ほめビリティペアレンティング」でした。小さな声かけを重ねた50日間で、親子の関係が少しずつ動き出した——。同じ思いを抱えるお母さんに向けて、Oさんの体験をお届けします。
用語ボックス
- ぐた褒め:抽象語でなく行動に基づいて具体的に褒める(例:「プリントを10分も集中して取り組めたね!最後まで頑張る姿勢がすごいね!」)。
- 指示褒め:短く明確に指示→できたら具体的に褒める。
- QT(クオリティタイム):褒めどころを見つけるための5〜10分の親子時間。
- 「ほめビリティ」プログラム概要:50日間/オンデマンド動画+コミュニティ投稿+メンター伴走。
待つだけでは変わらないと気づき、親自身も苦しくなっていた
ーーまず、「ほめビリティ」に参加される前のご様子を教えていただけますか?
Oさん:長男から次男、長女と3人の子どもが順に不登校となり、もう3年以上経っているんです。ずっと停滞している状況だったので、どうにか今の状況を変えていきたいっていうのは日ごろから思っていました。
基本的にうちは見守ることに重点を置いていて、子供の意欲が出るまで待っているというスタイルだったのですが、でも実は自分自身がすごくイライラしてしまったり、指示をするのも何だか抵抗があったんです。指示をすると子供が嫌な顔をするし、それを見て私も嫌な気持ちになって、指示してもなかなか動かないっていうこともあり、嫌な思い出しかなかったんです。
ーー「見守ることが大事」と分かっていても、何も動かない日々に親自身が追い詰められてしまうんですよね。声をかければ反発され、かといって何もしなければ時間だけが過ぎてしまう。そんなジレンマの中で、ずっともやもやを抱えてこられたのだと思います。Oさんご自身も、子どもたちも、苦しさが続いていたのですね。
深い悩みを共有できず、物足りなさが残っていた

ーーでは、その辛いお悩みや不登校が続いている状況を、誰かに相談できる場所はありましたか?
Oさん:ご近所で不登校のご家庭との繋がりから不登校支援の機関を教えてもらったり、そこから親の会に参加できるようになったんです。長男が中学校に上がったら、中学校でも不登校の親の会を1学期に1回開いてくださっていて、そこでまた輪が広がったりと。
だから私自身も相談できる場所が増えてきたことで気持ちが落ち着いたのですが、でもそれも3年間も経つとやっぱりご家庭それぞれ悩んでることが全然違うなと感じていました。初めは知り合いができたら嬉しいなと思っていたのですが、だんだん深いところまでの話ができないっていうのがわかってきて、また他を探したいっていうか、満足できなくなってました。
ーー親の会で仲間に出会えたことは安心に繋がったけれど、「共感はあっても深く実践的な話までは踏み込めない」というもどかしさがあったのですね。やっぱり「もっと具体的な答えがほしい」と感じられたのだと思います。
説明会で「ルール作り」に希望を感じた

ーーそんな中で「ほめビリティ」と出会われたのですね。きっかけを教えていただけますか?
Oさん:うちの下の子が「すらら」を今年から始めたんです。それでほめビリティペアレンティング講座がありますよという案内を見つけたんです。そのときは30分ぐらいの短い説明会で終わるのかなと思ってたんですね。
でもそこで、具体的にこういう内容を学んでいきますよっていうのを見せていただいたときに、我が家になかった「ルール決め」っていうのが、すごく学びたいって思ったんですよね。具体的に講座内容を見れたのがよかったですね。説明会に参加して見ているだけで気づきや学びがあったので、案内を見てすぐもう始めようって夫と話して、迷うことなく参加を決めました。
ーー説明会で「家庭に足りなかったピース=ルール作り」に出会えたことが大きなきっかけになったのですね。「これなら実生活にすぐ取り入れられる」と思えた瞬間に迷いが消えたというのが伝わってきます。
50日間と聞いて身構えたけれど、始めてみると一歩ずつ進めた
ーー実際にほめビリティを始めてみて、最初はどのような印象を持たれましたか?
Oさん:最初にほめビキットファイルが送られてきて、講座のQRコードがたくさん並んでたので、もうこれは50日間って結構長いようで大変そうだなっていう感じで身構えてました(笑)。
メンターの存在で「聞いていいんだ」と思えた瞬間が大きかった

ーー確かに「50日」と聞くと長く感じて不安になりますよね。でも“やってみると一歩ずつ進める工夫がある”と感じられたのではないでしょうか。そこから動画視聴や投稿が始まっていきますが、意識が変わったのはどのあたりでしたか?
Oさん:一番最初に子供の目標設定をするところで、3人分投稿しようと思ったんですが、どういうふうに質問していいかちょっと不安で。でも思い切って投稿したらメンターさんがすごく詳しく丁寧に教えてくださったので、『聞いていいんだ、もうちょっと色々この際聞いてみよう』と思って。メンターさんのおかげでその投稿へのリプライで勇気をもらえたっていうか、意識が変わりました。
私すごいなと思ったのが、「ぐた褒め」とかを投稿すると、その文章だけでメンターさんが私の気持ちとか、あと子供の様子とか全部を把握してくださるんですよ。びっくりするぐらい私の背景を投稿から読み解いてくれて、すごく安心できるっていうか、すごくわかってくれてるなって思って、安心感がありました。
ーーなるほど。「不安を出していい」「受け止めてもらえる」と実感できたことが、前に進む大きな一歩になったのですね。メンターに安心して頼れるのは心強いです。
指示することが怖かったけれど、褒めを重ねることで変化が見えた

ーーでは、実際の実践が始まってからはいかがでしたか?
Oさん:「ぐた褒め」は何となくやりやすかったんですけど、見守る子育てスタイルだったぶん「指示褒め」のところで私はすごく苦戦しました。子供にどう言っていいんだろうみたいな、指示の出し方自体がわからなかったので。
私の場合は他の方々が実践してるのを2~3日ぐらい見て、『ああ、こんな感じでするんだね』と。リプライも見て、『そういう繋がりがあるんだ』って。本当に他の方々の投稿を見てるだけで学びになりました。だからその後に恐る恐る指示褒めを実践してみました。
やっぱり指示を出したあとに褒めると、子供がはにかんで照れ笑いをしたり、嫌々ながらもなんか褒めるといつもとちょっと違った現象っていうか。その子供の変化があったので、私、『あれ?なんだろう』と思って。そこですごくなんか、『どうなるんだろうこれを続けたら』っていうわくわくが出てきました。
メンターからの返信が支えになり、仲間の存在も励みになった

ーー「指示は怖い」と感じていたOさんが、“褒めとセット”にすることで子どもの表情や反応が変わったんですね。その小さな変化がわくわくに繋がったのだと思います。では、実際の実践が始まってからはいかがでしたか?
Oさん:やっぱりメンターさんに『リプライでどんな言葉がもらえるんだろう』っていうのがすごく励みになったので、存在が大きかったですね。投稿したいなっていう気持ちになれたので。
一緒に参加している方々もやっぱりここに参加するっていうくらいだから、すごく熱心な方が多いんだろうなと思っていたので、私も信頼できる仲間っていうか一緒に走って取り組んでいけるっていう心強い存在だったので。
ーーまさに「伴走してくれる人がいる」「一緒に頑張れる人がいる」ことで、途中で折れずに続けられる環境ができていたのですね。
共感だけでなく、前向きに進むための伴走があった
ーーでは、地域の親の会と比べて、ほめビリティのコミュニティにはどんな違いを感じましたか?
Oさん:やっぱり大きかったのはメンターさんの存在ですね。私達が投稿したことをぐた褒めで返してくれるので、だから子供もこんなふうに褒められたら私みたいに嬉しいんだろうなっていうその効果も実感できたので。
近所のコミュニティだったら『どうしようどうしよう』と不安や愚痴を言い合う場になってしまっていたと思うので。だから私の心の中を紐解いてくれて理解してくれるメンターという存在がいらっしゃったことにびっくりしました。
ーー「悩みを吐き出す場」では終わらず、前に進むための具体的な伴走があったということですね。
家族でルールを決め直すことで、生活のリズムが整ってきた

ーーそのうえで、Oさんが参加を決めたきっかけのひとつ「ルール作り」は実際どうでしたか?
Oさん:ルール決めをするという段階で、私にとっては子供を交えてのルール作りが本当に難関っていうか。その間、ぐた褒めとかそういうのはちょっとおろそかになって、全く投稿できなかった日もありました。
でも親の意見も言ってみると、子どもは結構なんだろう、「いいよ」みたいな。すんなりと話し合いできました。ゲーム時間を朝8時半から夕方4時半までっていうのに改めて決めたんです。考えてみたら8時間もあるよねみたいな話でした。
今までは夕方6時までしてたのかな、晩御飯までみたいな。起きたらすぐゲームをしてましたもんね。ルールを破るし、私と夫との間で意見もバラバラだったりとかしていたので、子供も混同してたと思うんですけど、そこも統一しました。
ーー親子で一緒にルールを決め直したことで、「曖昧さ」が減って子どもも守りやすくなったのですね。ご夫婦での意見も統一できたのは大きな前進だと思います。
親子の会話が増え、子どもが新しい挑戦をするようになった

ーープログラムを終えてみて、どんな変化を実感されましたか?
Oさん:夫とも話してたんですが、やっぱ「ほめビリティ」が始める前と後では親子関係がすごく良くなったっていう。特に次男がすごく、前からもそうだったんですけど表情が明るく、何かやりたいこともちょっと挑戦してみようかなっていうことも増えて。
目標としてゲーム時間を夕方4時半で終わるっていうのを、ここ最近毎日自分でしっかり守ってて。夏休みの期間はいろんな体験ができるので、木工作品を作るっていうのをこの間日曜日にしてきたり、不登校支援の機関にもちょっと行ってみてもいいなと言い出して。サッカー観戦も夫と一緒に行くって言い出したんです。
娘も私にいろいろ話がしやすくなったみたいで、いろんなことを相談してきてくれたりとか。私ちょっと昨日も娘に伝えたんですけど、最近なんか仲良くなれてる気がするなみたいな。
私の気持ちもだから変わってるんですよね。今まではできてないところをずっと見てイライラしてたのが、今はほめビリティのおかげで、できてるところに視点を向けるようになったので、関係は良くなりました。
ーー子どもの表情や行動に変化が現れ、会話が増えて新しい挑戦にも踏み出すようになったのですね。そしてOさん自身も「できていない所」から「できている所」に視点を切り替えられたことが、親子関係を大きく変えたのだと感じます。
小さなステップを重ねながら、夫婦で継続していきたい
ーー今後に向けて続けていきたいことや目標がありましたら教えていただけますか。
Oさん:夫とも話してるんですけど、やっぱりスモールステップで、今は本当に取り組みやすいことを少しずつ子供と決めていってます。うちは夫が中心になって2週間に1回ずつ、ちょっと振り返ったり目標設定を次どういうふうに変えていくって話しているので、そこをうまくこれからも続けていきたいです。中学校、高校になるとやっぱり勉強面の進学のこととかも出てくると思うので、そういう設定をコツコツとしていって、将来ももっと充実したというか、そういう目標設定を大切にしていけたらなと思っています。
これだけ家族の関係が良くなったのは、「ぐた褒め」とか「QT(クオリティタイム)」とかやっぱり「指示褒め」なので、それを大切に続けていきたいと思います。
ーー「いま無理なくできることをスモールステップで」「夫婦で振り返りながら」という形が、これからの成長や進学の節目を支える力になっていきそうですね。
一人で抱え込まず、安心できる伴走者とつながってほしい

ーー最後に、同じ悩みを持つ方へメッセージをお願いします。
Oさん:メンターさんが、自分のことを理解してくれて子供のことも理解してくれて。実践投稿に対し、すぐにメンターからリプライがくるので、軌道修正ができたり気づきがある。メンターさんや一緒に頑張れる参加者の方々と繋がれる場が、ここまで充実しているところはないと思うので、そういう場にちょっとでも興味があれば参加してほしいかなと思います。
ーー「一人で抱え込まずに、安心して支えてくれる伴走者とつながること」——それが、停滞を抜け出すための大きな力になるのだと伝わってきました。Oさん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

3年間、ただ「待つ」だけでは変わらなかった日々。Oさんが一歩を踏み出せたのは、「指示して褒める」「ルールを一緒に決める」という小さな実践でした。ほんの50日で、
・子どもが自分でゲーム時間を守れるようになった
・会話が増えて、新しい挑戦に踏み出した
・親自身も「できている所」に目を向けられるようになった
そんな変化は、特別な家庭だけのものではありません。同じように不登校のお子さんを見守る親御さんでも、再現できる一歩です。まずは公式サイトで、Oさんも参加した「ほめビリティ」の内容をご覧ください。
【ほめビリティの公式サイト】