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構いすぎていた日々を振り返って──「息子は息子」と思えるようになるまで

「きっとどうにかなるから信じて待とう、というのが今の気持ちです。見守っていたらきっとうまくいくんじゃないかな」そう穏やかに語ってくださったのは、小学6年生の息子さんを持つYさん。息子さんのASDとADHDの特性による学校生活の困難、完全不登校、そして家族関係の悪化という複重の悩みを抱えながらも、「ほめビリティ ペアレンティング」での実践を通じて、親子関係と家族全体に大きな変化を感じているといいます。

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息子のASD・ADHD特性と不登校、揺らぐ家族関係

──「ほめビリティ ペアレンティング」に参加される前は、どのような状況でお悩みでしたか?

息子にはASDとADHDといった特性があって難しいところもあったんです。私は本を読んだりして理解しようとずっと努力してきていたので、ある程度許容できる部分があったんですけれど、夫はやっぱり昭和の人間なので「頑張ることが大切だ」「頑張って何かを乗り越えてこそ先に進めるものがある」みたいな価値観がすごくあって。どうしても息子が頑張れないとか気力がないということに対してイライラしてしまって、仕事で忙しかったのもあって、常に機嫌が悪い状態だったんですね。それで夫婦関係もちょっとギクシャクしていましたし、夫と、私と息子みたいな感じで分離してしまって、お互いに触れ合わないというか、挨拶ぐらいはするけれどコミュニケーションがうまく取れない時期がすごく長く続いていました。

──お子さんの学校生活についてはいかがでしたか?

6年生になって仲の良い友達と離れてしまったんですね。2年生ぐらいからずっと同じクラスにしてもらっていた仲の良い子がいたんですけど、学校側も新たな友達関係を構築してほしいという思いがあったと思うんですが、離されてしまって。そこから新しいクラスになかなか馴染めなくて、唯一の楽しみだった休み時間も一人になってしまうことが増えて。それがきっかけとなって、元々登校しぶりはあったんですけど、完全に行けない状態になってしまったんですよね。そうなると家にこもってしまうようになって、背中も丸まって、色々なことに対して気力がどんどんなくなっていってしまって。これはまずいなと思いました。

「1時間だけでも」と無理に登校させた母の葛藤

──そのような状況で、お母様ご自身はどんなお気持ちでしたか?

学校しぶりの時はなんとか行かせなきゃって思っちゃってたんですよね。1時間でもいいからとか、給食だけでもいいからとか言って、不登校の年間30日というラインまで行かないように引っ張っていってしまっていた時期があったんです。でもやっぱりすごく苦しくて。嫌がる子を無理やり引っ張って何の意味があるんだろうって思いながらも、学校は行くものだから行かせなきゃいけないという思いもあるし、行かなくなったらもうずっと行けないんじゃないかっていう不安もある。夫からのプレッシャーもあるし。どうしたらいいんだろう、どうしてあげたらいいんだろうって、この先のことを色々考えながら、自分が何をしてあげたらいいのかがもうわからなくなっちゃっていました。こちらがいろんなことを提案しても、息子がそれを受け入れられるような心の状態ではなくて「嫌だ、参加したくない」っていう感じだったので。

──そんなふうに苦しい日々の中で、「どうしたらいいんだろう」と模索されていたんですね。そんな中で、どのようにして「ほめビリティ ペアレンティング」のことを知ったのでしょうか?

「すらら」に登録だけはしてあったんですよ。息子は学校に行かなくなってから少し試してみたんですけど、キャラクターがたくさん使われているのがあまり好きじゃなくて「僕は嫌だ」となっちゃったんです。でも登録はしてあって、メールマガジンで「ほめビリティ ペアレンティング」のことがポンと入ってきて。締切まですごくギリギリだったんですけど、ちょっとやってみようかなという気になったんですよね。すごいタイミングだったと思います。

メンターの即アドバイスで翌日から実践!

──参加を決められた決め手は何でしたか?

褒めなきゃいけないっていうのはわかっていたんですよね。自己肯定感を高めるために褒めましょうって、どの本にも書いてあるじゃないですか。だけど一般的なことは本を読んでもわかるんですけど、うちの子はこうじゃないんだよなって思うことが多くて。個別のことに対応してくださるっていうところにすごく魅力を感じたんだと思います。メンターさんとやり取りをしながら、こちらが投げかけたら欲しい答えが返ってくる。個別に対応してもらえるっていうのがすごく良かったですね。

あとは日々やり取りができるっていうところ。やっぱり繰り返さないと身につかないし、毎日違ういろんなことが起きるから、それにはどう対応していったらいいんだろうって悩むことが多かったから。その日のうちに答えをいただけると次の日から実践することができる、それがすごく魅力的でした。

──実際に始められてみて、最初の印象はいかがでしたか?

メンターさんが細かにいろんなことを拾ってくださって、ただ共感するだけではなくてすごく腑に落ちるような方向に持っていってくださったり、いろんな例を出したりしてくださって。あとは他の方たちも、何年も何年も悩んでる方たちがたくさんいらして。申し訳ないんですけど、ちょっと救われてしまったというか。うちだけじゃないんだと知れたことで、焦りや落ち込みが減りました。

わずか1週間で見えた変化──「早くして」をやめたら息子が動き出した

──継続していく中で、特に印象的な変化はありましたか?

1週間ぐらい経った頃から変わってきて。今まで息子がずっと下を向いていたのに、私の言うことをちょっと素直に聞けるようになってきたというか。それまでは私もできないことばかり目についてしまって、几帳面でせっかちな夫に息子が怒られないように「こうじゃない、ああじゃない、こうしなきゃいけない」みたいなことをずっと言ってたんだと思うんです。朝起きてから夜寝るまでずっと指示を出してしまっていた気がして。でも、声かけとか褒め方を変えるだけで、すごく子どもって変わるんだなっていうのを感じた瞬間がありました。

──具体的にはどのような場面でしたか?

「ガンプラ(ガンダムのプラモデル)の足だけつけたらお風呂入る」って息子が自分で言ったことがあったんです。どうかなって思いながらも見守っていたら、本当に足だけつけて、私に見せて、そこから自分でお風呂に入ったんです。つい「早くして」って言いたくなっちゃうんですよね、どうしても。でもそこをぐっと堪えて見守ったら、本当に自分からやってくれた。こんなにも変わるのかって驚きました。

それから、好きなことは色々あったのですが最近はトレーディングカード一色でカードゲームを一人二役でずっと一人の世界でやってたのが、新しいことが好きになって、外にちょっと目が向くようになりました。

それがガンプラなんですけれど、手に入れるためには外に行かなくちゃいけないし、お金が必要だから普段はしないような庭仕事や力仕事、祖父母のお手伝いをしたり、何かできることはないかみたいなのを探してみたり。うちはお小遣い制ではなく、何か普段の家事以外で仕事をしたらアルバイト代を出すというシステムなので。自分一人で電車に乗ってお買い物に行ったりもできるようになりました。ガンプラを作る塗装スペースを借りられるような場所があって、そこで大人のガンプラ好きな人たちに教えてもらったりとか、そういうコミュニケーションも取れるようになってきました。

家族関係も改善!良い意味での諦めと「信じて待つ」子育てへ

──たくさんの成長が感じられますね。そんなお子さんの変化は、ご家庭の雰囲気にも影響がありましたか?

他の方もご主人との関係で悩んでたりするのを聞いて、メンターさんにも相談して、どういう風に切り出していいかわからないって言った時にアドバイスを頂いたんです。それでちゃんと夫と向き合って、息子のことや今後のことについて話し合ったんですよね。私がここ何年かどう思ってきたか、息子が父親をどう思っているのか、過去を責め合うのではなく今後どうしていきたいかなど感情的にならずに自分の気持ちを初めてちゃんと伝えることができました。夫からも思っていたことを聞くことができ、お互いの誤解もあったことを確かめ合いました。そして日常でも「ほめビリティ ペアレンティング」じゃないけれど、夫がやってくれることに対して「ありがとう」って感謝の言葉を言ってみたり、褒めるっていうのは大人ですからなかなか難しいんですけれど「これやってくれたんだね」とかそういう声がけを意識するようにしたんです。そうすると向こうの機嫌もだんだん良くなるじゃないですか。それで子どもに対しての当たりも柔らかくなっていきました。不思議なもので、そうすると息子の父親に対する態度もいい方向に変わっていきました。まだ夫が我慢できずに大きな声で怒ってしまって、息子が距離をおくようになることもあるのですが、頻度がぐっと減って二人で出かけられるようにもなってきました。

──素晴らしい変化ですね。ただ、順調なことばかりではなかったとも伺いました。

そうなんです。他の方が頑張って、そのお子さんが変わっていく様子を見るにつけ、自分ができていないこと、行きつ戻りつすること、うちの子はなぜ変わらないのだろうと思って焦ったり、比べて落ち込んでしまうこともありました。SNSの弊害と似てますが…でも、そのうち比べても仕方のないこと、と諦めることもできました(笑)。良いことばかりではなかったですね。

──つらい気持ちや焦りを抱えながらも、少しずつ視点が変わっていったように感じます。そんな日々を経て、ご自身やこれからの子育てについて、どのようなことを感じていらっしゃいますか?

構いすぎてたんだなと。一人っ子なのもありますし。自分の時間をちゃんと持つことも大事だって頭ではわかっていたつもりでしたがなかなかそっちに向かなかったのが、自分自身の時間を作ろうって思うようにもなりました。あとは「息子は息子だから」っていう、本当に良い意味での諦めがついた気がします。なんで、なんでこうなんだろうみたいな、そういうのがちょっとずつなくなったのと、将来に対する不安も「なるようにしかなりません」って思えるようになったから。

これからの子育てで大切にしていきたいのは、親の価値観を押し付けないってことですね。私がいくら先走って先のことを考えて色々動いても、本人がその気にならなければ何にもならない。実際に不登校になってから居場所を作ってあげなきゃってすごく焦ってしまって、不登校の子たちの居場所事業とか、オンラインでできるところとか、いろいろ探して体験もさせてみたんですけど、やっぱりどれもしっくり来なかったみたいで「僕はもう今そういうのはやりたくない」って言われてしまって。やっぱり自分が求めてるものじゃなければ、他の人に何言われてもダメなんだなっていうのがやっと今、分かったところで。昔の私だったら「あなたのためにこんなにしてあげたのに」みたいに思ってしまったかもしれないけれど、「これは嫌だ」と言われて素直に「そうなんだ、今はそういう時期じゃないんだ」って諦められたことは、「ほめビリティ ペアレンティング」を受けて成長したなと自分で感じます。私の期待を押し付けないということを、これからの子育てで大切にしていきたいと思っています。

──最後に、同じような悩みを持つ方々へメッセージをいただけますか?

うちもまだまだ前に進むまでいってなくてただ少し前を向けたというだけなので、そんな偉そうなことは言えないんですけれど…自分が思った通りじゃないかもしれないけれど、自分の子どもはきっとどうにかなるから信じて待ってみようっていうことですかね。自分の想像を超えていく我が子を見るのを楽しみにして見守っていたらきっとうまくいくんじゃないかな。と、自分にも言い聞かせています。「ほめビリティ ペアレンティング」が終わってからやはり意識が薄くなってしまってイライラする事も、衝突することもあります。なので、悩む保護者みんなで頑張っていきましょう、という気持ちです。ちゃんとお母さんはここにいるからねって、笑顔でそれを伝え続けていきたいなと思っています。

──ありがとうございました。

不安や戸惑いを抱えながらも、「子どもとどう関わればいいのか」を模索している方にとって、ほめビリティは一つの支えになるかもしれません。日々の小さなやりとりを変えることで、親子の関係性が少しずつ前向きになっていく。その一歩を安心して試せるように、LINE相談も承っております。よかったら、公式サイトで詳しくのぞいてみてください。

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