放課後等デイサービスは、障がいのある就学児童を対象とした「学童」のような預かり施設です。2012年に開始されてから利用者は増加しており、放課…
障がいのある子どもが休日や放課後に通い、日常生活に必要な動作や集団生活に適応できるようにするための訓練を行うのが放課後等デイサービスです。
放課後等デイサービスを含む福祉業界は近年需要が拡大しており、新規で開設を目指している方も多いでしょう。経営を安定させるためには、報酬の仕組みを理解して加算を取得するのがおすすめです。
本記事では、放課後等デイサービスの報酬の仕組みと加算について詳しく紹介します。効率よく収益を出すためにもぜひ参考にしてください。
この記事を読む方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
すららネットでは上記問題を解決するためのセミナーを“期間限定”で開催中です。
放課後等デイサービスの競争に勝ち残る経営者セミナーとして、 『学習支援』を武器に<選ばれる放デイ経営>を目指してみませんか? セミナー参加者限定で”学習教材「オンライン学習すらら」を2週間”無料”で利用できる体験IDもプレゼントしています!
もくじ
放課後等デイサービスの報酬の仕組み
放課後等デイサービスの報酬の仕組みにおける大きな特徴は以下の3点です。
【放課後等デイサービスの報酬の仕組み】
- サービスの利用料金は9割を国が負担している
- 利用者の負担額は上限が設定されている
- 加算の基準を満たしていれば追加で報酬が発生する
ここからは、それぞれの内容について詳しく確認していきましょう。
サービスの利用料金は9割を国が負担している
放課後等デイサービスの利用料金は9割が国の負担となっており、利用者の負担は残りの1割のみです。医療保険と同様に、国保連が9割以上の料金を給付金として事業所に支払います。
そのため、利用者に対する大きな負担にはならず、継続してサービスを利用してもらうことが可能です。「サービスを利用したいけれど金銭的な問題でできない」ということがないように配慮されており、安心して通えるのがポイントと言えます。
利用者の負担額は上限が設定されている
「9割が給付金で1割が利用者の負担」と伝えしましたが、利用者が負担する金額には上限が設定されています。所得に応じて定められているため、利用したサービスの量で負担が大きくなることもありません。
世帯収入ごとの利用負担額は下記のとおりです。
世帯収入 | 利用負担額の上限 |
生活保護世帯・住民税非課税世帯 | 0円/月 |
年収890万円までの世帯 | 4,600円/月 |
年収890万円以上の世帯 | 37,200円/月 |
生活保護世帯・住民税非課税世帯の場合、負担する利用料金は0円となり全額が公費でまかなわれます。それ以外は年収890万円が境目です。
月の利用額が10万円の場合、生活保護世帯と住民税非課税世帯は0円・年収890万円までの世帯は上限の4,600円・年収890万円以上の世帯は1万円の負担額になります。
加算の基準を満たしていれば追加で報酬が発生する
放課後等デイサービスでは、加算の基準を満たしていればサービス利用料以外に追加で報酬が発生します。たとえば、学校から施設・施設から自宅までの送迎を行っている場合は送迎加算があり、往復で108単位も加算を受けることが可能です。
その他にも、専門職の資格を持つ職員を配置している・働くスタッフに対する処遇の改善など、加算の項目は多岐にわたります。
放課後等デイサービスの経営を成功させるためには、加算を取得することが大切です。どのような加算があるか次の項で確認していきましょう。
【2023年最新】放課後等デイサービスの主な加算一覧
先にお伝えしたように、放課後等デイサービスの経営では加算を取得することが大切です。ここでは、一体どのようなことが加算対象となるのか、その内容や加算される単位数についてお伝えします。
取り入れられる項目はぜひ対策を行い、利用者や職員の満足度を高めながらスムーズな施設の運営ができるようにしていきましょう。
【放課後等デイサービスにおける17の加算】
- 児童指導員等加配加算
- 専門的支援加算
- 特別支援加算
- 福祉専門職員配置等加算
- 個別サポート加算
- 強度行動障がい児支援加算
- 送迎加算
- 延長支援加算
- 欠席時対応加算
- 利用者負担上限管理加算
- 家庭連携加算
- 事業所内相談支援加算
- 医療連携体制加算
- 看護職員加配加算
- 関係機関連携加算
- 保育・教育等移行支援加算
- 福祉・介護職員処遇改善加算
児童指導員等加配加算
児童指導員等加配加算は、通常の人員基準にプラスして職員を配置すると取得できます。配置する職種と施設の定員により単位数が異なるため下記でチェックしておきましょう。
職種\定員 | 10人以下 | 11人以上20人以下 | 21人以上 |
理学療法士等 | 187単位/日 | 125単位/日 | 75単位/日 |
児童指導員等 | 123単位/日 | 82単位/日 | 49単位/日 |
その他指導員 | 90単位/日 | 60単位/日 | 36単位/日 |
事前の届け出が必要となっているため、配置する場合は必ず前もってしっかりと準備しておくようにしてください。
また、児童指導員等加配加算には、単位数は同じですが(Ⅰ)と(Ⅱ)があります。簡単に説明すると、児童指導員等加配加算(Ⅰ)を算定した状態で、さらに1名以上の常勤職員を配置する場合に(Ⅱ)が算定されます。
児童指導員等加配加算(Ⅱ)の場合、区分2に該当する施設や個別支援計画の作成がされていない子どもに関しては算定できません。
専門的支援加算
専門的支援加算は、専門的かつ個人的な支援を行う職員を配置することによって算定されます。理学療法士・言語聴覚士などの専門的支援を行う人材が対象です。
取得できる単位数は以下のように施設の定員によって変化します。
施設の定員 | 単位数 |
10名以下 | 187単位/日 |
11名以上から20名以下 | 125単位/日 |
21名以上 | 75単位 |
特別支援加算
特別支援加算は、看護職員・理学療法士などを配置して機能訓練や心理指導を計画的に行い、特別支援計画を作成してそれに基づいた支援をする際に算定されます。
1日あたり54単位の加算が可能です。特別支援計画の作成を行った上で記録することが算定条件となるため、決して忘れないようにしてください。
福祉専門職員配置等加算
福祉専門職員配置等加算は、直接支援を行う常勤の従業員における有資格者の割合によって取得できます。対象となる資格等は以下の4つです。
【福祉専門職員配置等加算の対象になる資格】
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 精神保健福祉士
- 公認心理師
取得できる単位数は以下のとおりです。
福祉専門職員配置等加算(Ⅰ) ※有資格者が35%以上 |
15単位/日 |
福祉専門職員配置等加算(Ⅱ) ※有資格者が25%以上 |
10単位/日 |
福祉専門職員配置等加算(Ⅲ) ※常勤75%以上、もしくは勤続3年以上の常勤30%以上 |
6単位/日 |
福祉専門職員配置等加算(Ⅲ)に関しては、資格の有無ではなく常勤職員の割合などによって判断されます。
個別サポート加算
個別サポート加算は、日常生活においてケアニーズが高い子供に対する支援を行う際に算定されます。放課後等デイサービスでは、指標判定項目が合計13点以上、もしくは日常動作について3つ以上の全介助が必要な子どもが対象です。
加算の種類 | 単位数 |
個別サポート加算(Ⅰ) ※ケアニーズが高い子ども |
100単位/日 |
個別サポート加算(Ⅱ) ※要保護・要支援児童 |
125単位/日 |
強度行動障がい児支援加算
強度行動障がい児支援加算は、危険を伴うような行動をしたり他社に危害を加えたりする、強度の行動障がいを伴っている子どもに対して、強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)を終えた職員を配置して支援を行うことで取得できます。
研修を修了して証明書の交付を受けた職員の支援提供でなければ加算対象にはなりません。加算は1日につき155単位です。
送迎加算
送迎加算は、学校や自宅への送迎サービスを提供している場合に取得できます。車を利用した送迎のみが加算対象となり、徒歩による引率は加算の対象外となるため注意が必要です。
片道で54単位・往復で108単位が加算されます。自宅以外への送迎を行う場合は、個別支援計画書に特定の場所を正しく記載しなければいけません。
延長支援加算
延長支援加算は、施設の営業時間を超えて支援を提供した際に加算されます。細かい条件は以下のとおりです。
【延長支援加算の条件】
- 営業時間が8時間以上の施設である
- 営業時間外にサービスを提供した
- 送迎時間を含まない時間での支援である
- 個別支援計画書に延長支援を行った旨を記載している
延長支援加算の単位数は、延長時間や対象の子どもにより異なります。
重症心身障がい児を除く障がい児 | 1時間未満:61単位/日 |
1時間以上2時間未満:92単位/日 | |
2時間以上:123単位/日 | |
重症心身障がい児 | 1時間未満:128単位/日 |
1時間以上2時間未満:192単位 | |
2時間以上:256単位/日 |
欠席時対応加算
欠席時対応加算は、家庭での事情や急病によって利用を中止した子どもに対して、相談援助や連絡調整を行った際に加算されます。月に4回までが条件となり、欠席時の対応についての記録を保管しておく必要があります。加算単位は1回につき94単位です。
放課後等デイサービスの場合、来所したものの体調の悪化により30分以下の支援となってしまったケースでも1回94単位が加算可能です。ただし、30分以下となった場合は基本報酬の算定はできないので注意しておきましょう。
利用者負担上限管理加算
利用者負担上限管理加算は、利用者負担額の合計額の管理を施設が行った場合に取得できます。150単位が加算されますが、月1回が限度です。
細かい条件については以下をご覧ください。
【利用者負担上限管理加算が算定されるための条件】
- 受給者証に上限管理の事業所としての記載がある
- 上限額の管理を行う必要が生じる
- 管理結果表を作成し、関係事業所宛てに送る
- 実績記録票・上限額管理票を請求明細書に添付する
家庭連携加算
家庭連携加算は、利用者の家庭に訪問して本人やその保護者の相談援助支援をした際に算定されます。取得できる単位数は以下のとおりです。
支援時間 | 単位数 |
1時間未満 | 187単位/回 |
1時間以上 | 280単位/回 |
相談援助支援を行うには、あらかじめ保護者の同意が必要です。また、月4回が限度となっており個別支援計画書に必ず家庭連携についての記載をしなければいけません。
事業所内相談支援加算
事業所内相談支援加算は、障がいがある子どもとその家族に対して30分以上の相談援助をした際に算定されます。取得できる単位数は以下のとおりです。
事業所内相談支援加算(Ⅰ) ※個別での実施 |
100単位/回 |
事業所内相談支援加算(Ⅱ) ※2人から8人を1組としてグループで実施 |
80単位/回 |
家庭連携加算と同様に、事前に保護者の同意を得る必要があります。また、同じ日に「家庭連携加算」「訪問支援特別加算」を取得している場合は算定できないので気を付けてください。
医療連携体制加算
医療連携体制加算は、利用者のために医療機関と連携し、医療従事者が施設へ訪問して看護をした場合や、痰吸引などにおける指導をした際に加算されます。
加算の種類 | 単位数 | 詳細 |
医療連携体制加算(Ⅰ) | 32単位/日 | 1時間未満の看護を行った場合 (1回の訪問で8人が限度) |
医療連携体制加算(Ⅱ) | 63単位/日 | 1時間以上2時間未満の看護を行った場合 (1回の訪問で8人が限度) |
医療連携体制加算(Ⅲ) | 125単位/日 | 2時間以上の看護を行った場合 (1回の訪問で8人が限度) |
医療連携体制加算(Ⅳ) | 800単位/日・1人 500単位/日・2人 400単位/日・3人〜8人 |
医療的ケアを必要とする利用者に対する看護が4時間未満 |
医療連携体制加算(Ⅴ) | 1,600単位/日・1人 960単位/日・2人 800単位/日・3人〜8人 |
医療的ケアを必要とする利用者に対する看護が4時間以上 |
医療連携体制加算(Ⅵ) | 500単位/日 | 認定特定行為業務従事者に 喀痰吸引などの指導を行った場合 |
医療連携体制加算(Ⅶ) | 100単位/日 | 認定特定行為業務従事者が喀痰吸引などを行った場合 |
看護職員加配加算
看護職員加配加算は、医療的なケアが必要となる子どもを受け入れるための体制や環境を整え、ニーズに応じて看護職員を配置している際に加算されます。
人員の配置数やケアが必要な子どもの状態などにより2パターンに分類されます。
加算の種類 | 単位数 | 詳細 |
看護職員加配加算(Ⅰ) | 400単位/日 | 障がい児それぞれのスコア合算が40点以上・1人以上の配置(常勤換算) |
看護職員加配加算(Ⅱ) | 800単位/日 | 障がい児それぞれのスコア合算が72点以上・2人以上配置(常勤換算) |
関係機関連携加算
関係機関連携加算は、学校などの関係機関と連携して、連絡調整をしたり個別計画書を作成したりした際に算定されます。(Ⅰ)(Ⅱ)はどちらも加算単位が200単位ですが、それぞれの条件が異なります。
加算の種類 | 条件 |
関係機関連携加算(Ⅰ) | 保育所や学校などと連携して個別支援計画書の作成をする(月1回まで) |
関係機関連携加算(Ⅱ) | 就学先や就職先と連携して連絡調整を行う(1回のみ) |
保育・教育等移行支援加算
保育・教育等移行支援加算は、地域の保育や教育を受けられるように支援し、利用者が施設を退所して保育所などに通うことになった場合に算定されます。社会福祉施設・学校・病院・診療所などへの移行は対象外です。
また、退所後30日以内に訪問して相談支援をすることが条件となっており、内容を記録する必要もあります。単位は1回限りで500単位です。
福祉・介護職員処遇改善加算
放課後等デイサービスの加算は利用者に対するものだけではありません。福祉・介護職員処遇改善加算は、在籍している職員の処遇を改善するための取り組みを行っている場合に算定されます。
対象になる取り組みの内容は以下のとおりです。
【福祉・介護職員処遇改善加算の対象になる取り組みの内容】
- 賃金体系…①
- 研修…②
- 昇給の仕組み…③
取り組む内容によって以下のように単位数が変化します。
加算の種類 | 単位数 | 詳細 |
福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅰ) | 所定単位の8.4%/月 | ①〜③の全てに取り組む |
福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅱ) | 所定単位の6.1%/月 | ①と②に取り組む |
福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅲ) | 所定単位の3.4%/月 | ①または②に取り組む |
放課後等デイサービスの加算に関するよくある質問
放課後等デイサービスの加算は、多くの種類があり要件もさまざまです。まだまだ分からないことが多く疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。
最後に、放課後等デイサービスの加算に関するよくある質問に回答します。
【放課後等デイサービスの加算に関する2つのよくある質問】
- 保育士の加配では何の加算が算定できる?
- 加算の単位と金額の関係は?
保育士の加配では何の加算が算定できる?
保育士を加配することで、「児童指導員等加配加算」が算定できます。児童指導員等加配加算は、「理学療法士等」「児童指導員等」「その他の従業者」の3つに分類され、保育士は理学療法士等に含まれています。
取得できる単位数は以下のとおりです。
定員 | 単位数 |
10人以下 | 187単位/日 |
11人以上20人以下 | 125単位/日 |
21人以上 | 75単位/日 |
加算の単位と金額の関係は?
基本的に1単位を10円として計算します。つまり100単位で1,000円・5,000単位で5万円です。
ただし、障がい福祉サービスには地域区分があり、人件費や家賃などエリアによって異なる部分を是正するために1単位あたりの値段は変化します。
エリア区分\対象児童 | 重症心身障がい児 | 重症心身障がい児を含まない |
1級地 | 11.2 | 11.52 |
2級地 | 10.96 | 11.22 |
3級地 | 10.9 | 11.14 |
4級地 | 10.72 | 10.91 |
5級地 | 10.6 | 10.76 |
6級地 | 10.36 | 10.46 |
7級地 | 10.18 | 10.23 |
地域区分に関しては厚生労働省の発表を確認してみてください。
まとめ:放課後等デイサービスの運営では加算が重要!報酬の仕組みや加算について深く理解しましょう!
今回は、放課後等デイサービスの報酬形態や加算について解説しました。「利用料金の9割は国からの給付金」「利用者負担は1割」「加算をつけることで報酬がプラスになる」この3つのポイントは放課後等デイサービスを運営する上で非常に大切です。
また、経営を成功させるためには加算の取得が欠かせません。さまざまな加算がありますが、その要件は細かく異なります。本記事で紹介した内容を参考に、ぜひ加算を取得できるように整備していきましょう。
この記事を読んだ方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
すららネットでは上記問題を解決するためのセミナーを“期間限定”で開催中です。
放課後等デイサービスの競争に勝ち残る経営者セミナーとして、 『学習支援』を武器に<選ばれる放デイ経営>を目指してみませんか? セミナー参加者限定で”学習教材「オンライン学習すらら」を2週間”無料”で利用できる体験IDもプレゼントしています!