放課後等デイサービスとは、障がいのある6〜18歳の就学児童が学校終了後や長期休みに利用できる障がい福祉サービスの1つです。そこで働くスタッフ…
知的障がいとは、18歳までの発達期と呼ばれる時期に知的機能の障がいが現れる状態です。障がいの程度や現れ方は個人差があり、気づかれないまま大人になる人も少なくありません。困りごとがあってもなかなか気づいてもらえず、苦労している人もいます。
最近では知的障がいを含む障がい者全体の人口が増加しており、理解の広まりや福祉サービスの内容も充実してきました。こうした状況はこれからの福祉施設にどのような影響を与えていくのでしょうか。
今回の記事では、知的障がい者の人口が増えた理由やその増加が福祉施設にどのような影響を与えるのか解説します。 記事の最後には知的障がいに関するよくある質問にも答えているのでぜひ参考にしてください。
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もくじ
知的障がいとは
知的障がいとは、発達期と呼ばれる18歳までの期間に知的機能に障がいが見られ、日常生活の中で不自由が生じる状態を言います。障がいの程度によって軽度・中度・重度に分けられますが、現れ方には個人差があるので注意が必要です。
知的障がいについての具体的な定義は決まっておらず、知的能力や適応機能に応じて判断されます。例えば、「おつりのやりとりのような簡単な計算ができない」「複雑な事柄や文章の理解が困難」といった特徴が見られます。
幼少期に知的障がいが分かれば、適切な環境の中で成長することが可能です。しかし、特に軽度の場合は周囲に気づいてもらえないまま大人になり、仕事を始めて困難に思うことが増え、うつ病などの二次障がいを引き起こすこともあります。
知的障がい者は増加している?障がい者人口全体が年々増えている
障がいは、身体障がい・知的障がい・精神障がいの3つに大きく分けられます。実は障がい者人口は年々増加しており、知的障がい者も増えているのが現状です。
厚生労働省の「平成30年版 厚生労働白書」によると、2006年には障がい者の全体人口が655.9万人であったのに対して2018年には936.6万人となっており、約10年の間に1.4倍近く増えていることが分かります。
身体障がい・知的障がい・精神障がいのいずれの数も増加傾向にあり、現在は国民のおよそ7.6%が何らかの障がいを抱えている状況です。
知的障がい者を含む障がい者人口が増加している4つの原因
では、障がい者人口が増加している原因は何なのでしょうか。ここからは、これまでに原因として挙げられている4つを紹介します。
【障がい者人口が増加している4つの原因】
- 少子高齢化
- 現代社会特有の環境が影響している
- 軽症例でも診断するようになった
- 障がいに対する理解が広まった
上記の原因を見てみると、課題となる点もある一方で支援を受けやすくなり良い方向に変化している点もあることが分かります。ここからはそれぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
①少子高齢化
原因の1つが少子高齢化によるものです。
総務省統計局のデータによると、日本の総人口に対する65歳以上の高齢者の割合は2000年で17.4%で2010年には23.0%、そして2021年には29.1%と増加の一途を辿っています。
高齢者になると身体機能の低下によって身体障がいをきたすケースは少なくありません。また、認知症が進むと精神障がいが認められることもあります。高齢者における障がい者数の増加が、障がい者人口全体を増やしている原因の1つだと言えるでしょう。
②現代社会特有の環境が影響している
障がいの中でも発達障がいに関しては、遺伝によるものが大きな原因とされてきましたが、環境要因も注目されるようになってきました。
現代ではメディアを視聴する機会が増え、会話や読み書きの時間が減少傾向にあります。こうした傾向が幼少期の言語発達に影響を与えているのではないかと言われているのです。
また、生活リズムの乱れから睡眠の質が下がったり、環境化学物質を摂取したりすることで発達障がいを引き起こすのではないかと考えられています。
確実な根拠があるわけではなく、未だに研究されている段階ですが、遺伝要因と環境要因の両者が関係している可能性が考えられています。
③軽症例でも診断するようになった
軽症例でも診断するようになったことも障がい者数増加の原因の1つだと言われています。
近年、発達障がいの診断基準が変更され、特に自閉症においては症状の程度が強弱のある連続体と捉えられるようになり、自閉症スペクトラムと呼ばれるようになっています。
このような変化によって、これまで必要な支援を受けられなかった子どもにも診断名がついて、適切なサポートがされるようになりました。支援対象者の広まりによって障がい者人口が増加したということです。
④障がいに対する理解が広まった
最も注目すべき原因の1つが、ここ数年での障がいへの理解の広まりです。
「③軽症例でも診断するようになった」の内容とも繋がりますが、これまで認識されてこなかった障がいも支援すべき対象とされるようになり、社会全体でこれまでよりも身近な存在として捉えられるようになってきました。
障がいへの理解が広まると、症状の自覚がある人が診断を受けに行ったり、子どもの特性に気づいて医療機関に連れて行ったりする人が増えます。結果的にこのような事態が障がい者人口の増加に繋がりますが、決してマイナスなことではありません。
支援を必要とする人に適切なサポートができるようになり、社会全体で障がいに対して正しく向き合っていると言えるでしょう。
障がい者の増加によって障がい福祉施設の需要が高くなっている
ここまで紹介してきたように、様々な要因から障がい者の数は年々増加しています。支援を必要とする人が増えていることから、障がい福祉サービスの内容も充実してきました。
特に学齢期の子どもたちを対象とした放課後等デイサービスは、2012年にサービスを開始すると年々利用者が増え、事業所数も全国的に増加傾向にあります。障がいのある子どもの数が増えただけでなく、共働き世帯も増加している現代では社会的に大きな役割を果たしていると言えるでしょう。
今後も放課後等デイサービスを始めとした障がい福祉サービスの需要はますます高まっていくと考えられます。
知的障がいに関するよくある質問
最後に知的障がいに関するよくある質問に答えていきます。
【知的障がいに関するよくある質問】
- 知的障がい児(18歳未満)の割合は?
- 知的障がいの診断基準は?
疑問に思うことがあればぜひ解決に役立ててください。
知的障がい児(18歳未満)の割合は?
内閣府の「令和元年版 障害者白書」によると、知的障がい者のうち18歳未満の割合は22.1%となっています。
そのうち、在宅で過ごしている人は21.4%・施設入居者は0.7%となっており、ほとんどが在宅で支援を受けながら暮らしている状況です。
知的障がいの診断基準は?
各障がいの定義はそれぞれに応じた福祉法において明記されています。しかしながら、知的障がいに関しては法律上にはっきりとした定義が記されていません。
知的障がいは知的能力や適応能力に応じて判断され、軽度・中度・重度に分類されます。具体的には知能指数(IQ)を測る知能検査を行い、結果に基づいて判断します。日本の公的機関で実施される知能検査は田中・ビネー式ⅣやWISC-Ⅳ・Ⅴが主流です。
まとめ:様々な要因により知的障がいを含めた障がい者の人口は増えている!福祉施設の需要は今後ますます高まっていく!
今回の記事では、知的障がい者を含む障がい者人口が増加している原因や障がい福祉施設の今後について解説しました。
知的障がいは発達期に知的機能の障がいが現れ、「簡単な計算ができない」「込み入った会話や複雑な文章が理解できない」など程度や症状は人によって様々です。 現代ではこうした知的障がいを始め、様々な障がいのある人の割合が増えています。
障がい者の増加をめぐっては、少子高齢化や現代の環境も要因とされており課題が残る一方で、軽症例でも診断を受けられるようになり、障がいに対する理解が広まっているという点は良い変化だと言えるでしょう。
特に、知的障がいや発達障がいは症状が分かりにくい人も多く、大人になるまで気づかれないケースも少なくありません。少しでも理解が広がり、早期発見と適切な支援を受けられることで本人も安心して過ごせるようになります。
高齢化社会が進み、共働き家庭も増加する中で求められているのが障がいに対する支援の場です。すでに福祉施設の需要の高まりが見られていますが、これからも様々な福祉サービスの需要が拡大していくでしょう。
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