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2012年に制定された障がい者総合支援法に基づき、障がいがある方の共同生活の援助サービスを行うのが「障がい者グループホーム」です。
障がい者グループホームは利用者数も施設数も年々増加しており、今後も需要は高まると言えます。これから新規で立ち上げを考えている方も多いでしょう。
そこで本記事では、障がい者グループホームの利用料金の仕組みや経営を成功させるポイントを詳しく解説します。障がい者グループホームの現状や収支モデルも紹介するのでぜひ参考にしてください。
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もくじ
障がい者グループホームとは?障がいのある方を対象にした共同生活支援サービス
障がい者グループホームは、障がいのある方を対象にした共同生活支援サービスです。共同生活を営む住まいとなり日常生活の援助を行うことで、孤立の防止・生活上の不安の軽減・障がい者自身の自立などを目指します。
比較的小人数での共同生活が基本になっており、規模により異なりますが2名から20名の入居人数が目安です。
利用者は18歳から64歳と年齢制限がありますが、児童相談所長が認めて市町村に通知した場合は15歳以上、64歳まで施設を利用している場合は65歳からの継続利用も認められています。
障がい者グループホームの現状
障がい者グループホームは、施設数と利用者数がどちらも増加傾向にあります。どのように増えているのか下記の表を見てみましょう。
年 | 施設数 | 利用者数 |
2014年 | 6,637 | 96,012人 |
2015年 | 6,984 | 102,288人 |
2016年 | 7,342 | 108,302人 |
2017年 | 7,794 | 114,822人 |
2018年 | 8,343 | 122,673人 |
2019年 | 9,111 | 131,627人 |
2020年 | 10,164 | 143,472人 |
引用元:厚労省「障害者の居住援助について」
上記のように施設数や利用者数は年々増加しており、それに伴い障がい福祉サービス関係の予算が増え、市場が拡大しているのが現状です。下記の表のように、予算がこの13年の間でおよそ3倍も増加しました。
年 | 障がい福祉サービス関係予算額 |
2007年 | 5,380億円 |
2008年 | 5,840億円 |
2009年 | 5,989億円 |
2010年 | 6,716億円 |
2011年 | 7,346億円 |
2012年 | 8,406億円 |
2013年 | 9,314億円 |
2014年 | 10,373億円 |
2015年 | 10,849億円 |
2016年 | 11,560億円 |
2017年 | 12,656億円 |
2018年 | 13,810億円 |
2019年 | 15,037億円 |
2020年 | 16,347億円 |
引用元:厚労省「障害福祉分野の最近の動向」
施設数も増加傾向ですが同時に利用者も増え続けているため、今からでも市場へ参入しやすいビジネスの1つです。
障がい者グループホームの種類
障がい者グループホームは、主に以下の3つのタイプに分けられます。
【障がい者グループホームの種類】
- 介護サービス包括型
- 日中サービス支援型
- 外部サービス利用型
ここからは、それぞれの種類について詳しく解説します。これから障がい者グループホームの開設を目指したい方は、規模や方向性などから種類を決めましょう。
介護サービス包括型
3つのタイプの中で最もオーソドックスな種類が介護サービス包括型です。知的障がい・身体障がい・難病患者などの比較的障がいが重度の方が利用対象者となり、事業所の従業者が食事や入浴などの日常生活をサポートします。
利用者は、日中は生活介護や就労継続支援などの場所で過ごし、障がい者グループホームにおける支援の提供は基本的に夜間や休日がメインです。
日中サービス支援型
2018年に新しく設置されたのが日中サービス支援型です。先ほど紹介した介護サービス包括型は、メインとなる支援は夜間や休日のみですが、日中サービス支援型は24時間体制で利用者を支援します。
利用対象者は常に介護を必要とする重度の方です。1つの建物への入居は20名までの入居となっており、さらに短期入所を併設しているケースも少なくありません。
短期入所は一時的な緊急の宿泊場を提供するための施設で、利用は1名から5名までが基本です。
外部サービス利用型
外部サービス利用型は、介護サービス包括型と同様に知的障がい・身体障がい・難病患者の方を対象にしています。介護サービス包括型との違いは、委託契約を結んだ指定居宅介護事業者のヘルパーが日常生活の支援を行う点です。
そのため、介護スタッフを設置する必要がありません。事業所のスタッフがサービスを行うケースもありますが、全てを外部に委託するかどうかは事業所の方針により異なります。
障がい者グループホームのサービス利用料は9割が給付金
障がい者グループホームの大きな特徴の1つとして挙げられるのが利用料金についてです。利用料金の9割は国からの支払いとなっており、利用者が負担するのは約1割程度です。
医療保険と同じように国保連から「給付金」といった形で支払われ、利用者の負担額は世帯収入により決まります。ただし、サービスの利用料以外に家賃や食費も必要です。
食費や家賃に関してはエリアによって平均的な金額が異なりますが、ほとんどの場合は3万円から5万円ほどで設定されています。
障がい者グループホーム経営の収支モデル
では、実際に障がい者グループホームの経営モデルを見てみましょう。ここでは、定員が6名の場合の1ヶ月の収支を紹介します。
収入として得られる金額は、国保連からの給付金と利用者からの家賃・食費です。支出項目は人件費・光熱費・家賃となります。
収入 | 給付金:約105万円 |
家賃・食費:約30万円 | |
支出 | 人件費:約70万円 |
光熱費:約10万円 | |
家賃:約25万円 |
上記のモデルの場合、収入の合計は約135万円・支出の合計は約105万円となります。収益が30万円となりますが、場所によっては家賃・光熱費・食費はさらに安くなるケースもあるため、ここでお伝えした金額はあくまで目安です。
また、上記の表は人員配置や加算がうまくいったケースのモデルとなるため、1棟6名とした場合に十分な利益が必ず出るとは言い切れないので注意してください。
障がい者グループホーム経営を成功させるポイント
ここからは、障がい者グループホームの経営を成功させるために大切な3つのポイントについて紹介します。
【障がい者グループホーム経営を成功させる3つのポイント】
- 収益よりも利用者へのサービスを最優先に考える
- 積極的な営業活動を行う
- 余裕を持ったスケジュールで採用活動を行う
継続して安定した運営をするためにも、ここで紹介する内容を覚えておきましょう。
収益よりも利用者へのサービスを最優先に考える
ビジネスとして施設を運営していく上で収益を気にすることはもちろん大切です。しかし、障がい者グループホームは利用する方がいることで収益が得られるため、まずは利用者に対するサービスを最優先に考えましょう。
継続して利用してもらわなければ安定した収益には繋がりません。重要となるのは利用者との関係を構築することです。
【障がい者グループホームで継続利用してもらうためのポイント】
- 質が高い支援を提供する
- 利用者が過ごしやすい環境を整える
- 利用者に信頼してもらう
一人一人の障がいの特性に合わせた支援が行われるかどうかが重要です。それぞれに合った支援を提供することで、職員と利用者の信頼関係も築くことができるため、継続利用に繋げることが可能となります。
また、施設に安心感をもってもらうためにも、「このスタッフさんがいれば大丈夫」「信頼できる職員がいる」と思ってもらえるようにすることを忘れてはいけません。
積極的な営業活動を行う
「継続利用してもうらうことで安定した収益となる」と先ほどお伝えしましたが、それ以前に利用者が集まらなければ経営を続けていくことはできません。
そのため、障がい者グループホームを開設する場合は積極的に営業活動を行うようにしてください。パンフレットやビラ配りなどももちろん有効的な手段ですが、近年はネット社会となっているためホームページ作成などもおすすめです。
スマホやパソコンから認知してもらえるケースもかなり多くあるため、公式ホームページの作成やSNSアカウントの活用などを行い、積極的に情報を発信していくようにしてください。
余裕を持ったスケジュールで採用活動を行う
障がい者グループホームの開設をする際に必要となるのが採用活動です。施設の開設は様々な準備や営業活動を行うため、人員を集めるのが後回しになってしまうことも珍しくありません。
職員の採用活動は余裕を持ったスケジュールで行うことをおすすめします。「誰でもいいからとりあえず採用する」とした場合、トラブルが起こりやすくなってしまったり新人教育の負担が大きくなるため、退職するスタッフが多くなるでしょう。
スタッフの入れ替わりが激しくなかなか安定しないと、施設そのものの評判も下がってしまいます。そのため、余裕のあるスケジュールを組み立てて、時間をかけてじっくりと質の高いスタッフを厳選していきましょう。
障がい者グループホーム経営に関するよくある質問
最後に、障がい者グループホーム経営に関するよくある質問に回答します。
【障がい者グループホーム経営に関する2つの質問】
- 障がい者グループホームの経営は儲かる?儲からない?
- 障がい者グループホームを経営するために資格は必要?
これから障がい者グループホームを立ち上げようとしている方が特に気になるものを2つピックアップしました。必ず役に立つ内容なので確認しておきましょう。
障がい者グループホームの経営は儲かる?儲からない?
障がい者グループホームを立ち上げても、それだけで儲けが出ることはありません。本記事でもお伝えしているように、積極的な営業活動で利用者を募り、良好な関係を構築して継続的に利用してもらうことが大切です。
利用者との信頼関係が築ければ利用期間が長くなることもあり、毎月安定した収益を得ることができます。
障がい者グループホームを経営するために資格は必要?
障がい者グループホームは満たすべき人員基準があるので、それを正しくクリアできれば立ち上げる方に資格は必要ありません。
【障がい者グループホームの主な人員基準】
- 管理者:常勤1名
- サービス管理責任者:1名以上
管理者は、「社会福祉主事任用資格を保有している」「社会福祉事業に2年以上従事していた」のどちらかを満たされていなければいけません。また、上記以外にも生活支援員や世話人など、利用者の人数に対して必要な人員を配置する必要があります。
まとめ:障がい者グループホーム経営は簡単ではない!利用者を第一に考えた運営で安定した収益を目指しましょう!
今回は、障がい者グループホームの経営のポイントや収支モデルなどについて解説しました。障がい者グループホームは開設するだけでは儲からないので、経営を続けていくためには工夫をしなければいけません。
利用者のことを第一に考えて質の高い支援の提供や過ごしやすい環境を整えることで、安定した収益を得ることに繋がります。
本記事でお伝えしたように、「職員と利用者との信頼関係の構築」「認知度を高めるための積極的な活動」「質が高い支援をするために余裕のあるスケジュールでの採用活動」は常に意識しておかなければいけません。
障がい福祉サービスの市場は拡大しており、ここ数年において予算も毎年上がり続けています。本記事でお伝えした情報を参考に、障がい者グループホームの運営をスムーズにすすめていきましょう。
この記事を読んだ方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
すららネットでは上記問題を解決するためのセミナーを“期間限定”で開催中です。
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