放課後等デイサービスは、平成24年に児童福祉法に位置づけられた新たな支援です。まだまだ新しいサービスであるため支援内容は様々であり、具体的に…
放課後等デイサービスは「障がい児の学童」と呼ばれ、今では障がいのある子どもやその家族にとって欠かせない存在になっています。子どもたちを安全に預かり、必要な力をつけられるように支援するのが役割です。
しかし、残念ながらこれまで虐待事件等のトラブルも報告されています。ほとんどの事業所では適切なサービスが提供されているものの、こういったニュースを耳にすると「子どもを通わせるのが不安だ」と感じる方もいるでしょう。
今回は、放課後等デイサービスで実施に起きた虐待等のトラブルや事件があった際の通報先などを解説します。また、令和4年に義務化された虐待を防止するための制度についても紹介していくのでぜひ参考にしてください。
この記事を読む方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
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放課後等デイサービスとは?6歳~18歳の障がいのある子どもを対象にした福祉サービス
放課後等デイサービスは、6〜18歳の障がいのある子どもを対象にした福祉サービスの1つです。夏休みのような長期休みや放課後に利用でき、自立支援と日常生活の充実のために様々な活動を行います。
また、学校から施設・施設から家までの送迎サービスを実施している事業所が多く、共働きの家庭にとってはありがい存在と言えるでしょう。
2012年に制度がスタートすると利用者は年々増え、2019年には全国で22万人以上がサービスを受けるようになりました。需要の高まりとともに事業所も増え、多くの施設では療育などの特色を活かした良質なサービスを提供しています。
しかし、中には適切な支援を行わない悪質な事業所もあるのが現状です。こういった現状が問題視され、法改正によって良質なサービスを提供する事業所のみが生き残れるように現在も試行錯誤が重ねられています。
放課後等デイサービスでは虐待がある?一部の事業所では虐待事件が実際に起きている
一部の事業所では、残念ながら子どもたちに虐待をしている事実が明らかになっています。
2021年には、兵庫県の放課後等デイサービスでセンター長を務める男が男児4人を裸にし、暴力をふるったり動画を撮ったりするという卑劣な行為を繰り返していました。小学校側が子どもたちの異変に気づいて虐待発覚へと繋がり、最終的に男は懲役3年の実刑判決を受けています。
大阪府では施設経営の男が、通っている女子高校生に膝蹴りをしたり男児を転ばせて床に押し付けたりと暴力行為に及び、2022年に逮捕されました。
一部の事業所には、子どもを尊重せずにこういった行為を行う職員もいるのが現状です。
虐待事件はニュースで全国的に報じられるため、「どの施設でも行われているのではないか」と不安が大きくなってしまうでしょう。しかし、実際にはほとんどの事業所は子どもたちに寄り添い、できる限りの支援をしようと努力しています。
悪質な職員によって業界全体への不信感が膨らんでしまうため、虐待防止に向けたガイドラインを策定したり、外部による点検を行ったりと行政による対策も始まっています。
放課後等デイサービスで起きている虐待以外のトラブル
放課後等デイサービスでは虐待以外にも以下のようなトラブルが発生しています。
【放課後等デイサービスで起きている虐待以外のトラブル】
- 報酬の不正請求
- 個別の支援計画の未作成
こういったトラブルも一部の事業所で起きており、このような不祥事が続くと業界全体のイメージが低下してしまうため、行政も見つけ次第しっかり処分を行っています。
ここからはそれぞれの内容を見ていきましょう。
報酬の不正請求
京都府の事業所では、児童発達支援管理責任者が不在となったのにも関わらず、報告せずに給付費を不正請求していました。また、愛知県では児童発達支援管理責任者が常勤でない状態で置かれ、専任かつ常勤と偽って指定を取得したケースが明らかになっています。どちらも6ヶ月間の新規利用者受け入れ停止となりました。
本来、放課後等デイサービスには運営する上で満たさなければならない人員基準が定められています。
職種 | 基準内容 |
管理者 |
|
児童発達支援管理責任者 |
|
児童指導員・保育士 |
|
上記の人員基準を満たしていないのに、職員数や勤務形態に問題がないように見せかけた不正請求や、利用者の人数を偽って報告するケースも見られました。
このような不正請求を行う事業所をなくそうと調査や実地指導が行われています。また、より良質な施設だけが生き残れるように今後はさらに基準が改正されるでしょう。
個別の支援計画の未作成
大阪府堺市の事業所では、平成29年1月から平成30年6月まで児童発達支援管理責任者を配置せず、個別の支援計画も作成していませんでした。個別支援計画未作成減算をしなければならないのに行わず、不正に報酬を得ていたことが明らかになっています。
この事業所では度重なる不正請求や虚偽の答弁がなされており、最終的に指定取り消し処分が下されました。
放課後等デイサービスでは個別の支援計画を作成しなければなりません。また、作成が認められているのは児童発達支援管理責任者のみです。
個別の支援計画には、子どもの特性・課題・サービスを利用する上で目指す姿・具体的な支援などを記入します。利用者の保護者とも面談をして内容を決め、半年に1回ほど見直しが行われるため、常に子どもの状態に適した支援が記された書類です。
虐待防止のために対策が練られている!令和4年度より虐待に関する運営基準が義務化
卑劣な虐待をなくしていくために運営基準は見直されており、令和4年度には虐待防止等のための責任者の設置や職員に対する研修が義務付けられました。
さらに、定期的に虐待防止委員会を開催することが義務化され、そこでは虐待防止に向けた計画づくり・職場環境のチェックやモニタリングを行います。また、虐待が生じた場合の検証と再発防止策の検討も委員会の役割です。
なお、虐待防止委員会の設置に関しては、小規模の事業所でも取り組みが負担にならないように法人単位での開催が認められており、管理者や責任者が参加していれば最低人数は問わないとされています。
放課後等デイサービスでの虐待の通報先
「子どもの様子がおかしい」「職員の不適切な行動を目にした」など、放課後等デイサービスでの虐待に気付いた場合は以下に通報をしましょう。
【放課後等デイサービスでの虐待の通報先】
- 都道府県障がい者権利擁護センター
- 市町村障がい者虐待防止センター
これらは各都道府県・市町村ごとに連絡先があるので、通報の際は地域の相談窓口を検索しましょう。どこに相談すれば良いか分からない場合は、「189」に電話をかけることで児童相談所虐待対応ダイヤルにつながります。
虐待を通報する際は確信が持てない場合でも連絡して良いとされています。調査を行って虐待の有無を判断するのは行政の役目です。手遅れにならないように疑念の段階でも相談してください。
放課後等デイサービスの虐待に関するよくある質問
最後に放課後等デイサービスの虐待に関するよくある質問に答えます。
【放課後等デイサービスの虐待に関するよくある質問】
- 放課後等デイサービスの虐待防止委員会は意味がある?
- 虐待をするような悪質な放課後等デイサービスの見分け方は?
疑問や不安に思っていることがあればぜひ解決に役立ててください。
放課後等デイサービスの虐待防止委員会は意味がある?
放課後等デイサービスの虐待防止委員会では、「虐待防止のための計画づくり」「虐待防止のチェックとモニタリング」「虐待発生後の検証と再発防止策の検討」を行うことが義務付けられています。
委員会は定期的な開催が必要であるため、職員の間に「虐待をしてはいけない」という意識が高まると言えるでしょう。
令和4年度に始まった制度なので成果として目に見えるのはまだ先かもしれませんが、子どもたちが安全に過ごせるように全国で取り組みが始まっています。
虐待をするような悪質な放課後等デイサービスの見分け方は?
悪質な放課後等デイサービスは、職員の目が全体に行き渡らず管理されていない傾向にあります。施設の中が汚かったりケガや忘れ物の報告がなかったりするような施設は避けましょう。
また、職員間の雰囲気が悪く連携が取れていないと感じる場合や、スタッフの入れ替わりが激しいような事業所もやめておくべきです。
このような事業所で必ずしも虐待が起きるとは言い切れませんが、安全に子どもを預かれない環境で職員に余裕がない状態が続くと、トラブルにつながる確率は高まってしまいます。
放課後等デイサービスを選ぶ際には必ず見学に行き、施設内の様子を見て判断しましょう。また、もし通い始めてから違和感があれば、無理に続けることはせず新たな事業所を探すことをおすすめします。
まとめ:虐待防止に向けた新たな取り組みが始まっている!悪質な事業所を避けて虐待に気付いたらすぐに通報しよう
今回の記事では、放課後等デイサービスでこれまでに起きた虐待事件や防ぐための取り組み等を紹介してきました。
ほとんどの放課後等デイサービスでは、子どもの日常生活や将来を充実したものにしようと懸命に支援に取り組んでいます。一部の事業所による悪質な運営によって、業界全体に良くない印象を与えてしまうのはとても残念なことです。
虐待や不正請求などを行う事業所をなくしていけるように、放課後等デイサービスに関係する法改正が3年おきに実施されており、徐々に基準は厳しくなっています。
特に虐待防止に関しては令和4年に制度が義務化されており、事業所もしくは法人単位で定期的に虐待防止委員会を開催しなければなりません。委員会では、虐待防止のための計画づくり・虐待防止のチェックとモニタリング・虐待発生後の検証と再発防止策の検討が行われるため、職員の意識も高まるでしょう。
また、悪質な事業所を見抜いて避けるのも重要です。放課後等デイサービスを選ぶ際は事前に施設の見学を行い、環境や職員の様子をよくチェックしましょう。万が一、子どもの虐待に気付いたり疑わしい点があったりした場合は地域の窓口に連絡してください。
この記事を読んだ方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
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