放課後等デイサービスは、障がいのある就学児童を対象とした「学童」のような預かり施設です。2012年に開始されてから利用者は増加しており、放課…
職業訓練の提供と就職活動の支援を主に行い、障がいのある方の一般企業への就職をサポートする就労移行支援事業。障がい者総合支援法に基づいて運営されており、通所型の福祉サービスとして大きな役割を担っています。
障がい福祉サービス事業は頻繁に法改正が行われており、3年に1度大きな報酬改定が実施されます。令和3年4月にも報酬改定が行われ、報酬単価が変化しています。
そこで本記事では、就労移行支援事業の基本的情報をはじめ、報酬単価や加算・減算について詳しくご紹介します。利益を得るためにも、報酬単価や加算・減算の項目について知っておくことは必須です。本記事で紹介する情報を深く理解し、就労移行支援事業についてより正確な知識を身につけておきましょう。
この記事を読む方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
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就労移行支援事業とは?障がい福祉サービスの一つ
就労移行支援事業とは、障がい者総合支援法で定められた福祉サービスの1つです。企業で働きたいと希望する障がいのある方に対し、就労するために必要となる知識や能力を高めるために下記のような支援を行います。
【就労移行支援事業で行われる主な支援内容】
- 希望の就職に必要な知識・スキルを身につけるための職業訓練
- 履歴書の書き方や面接の練習
- 就労に関する相談・支援
- 求職活動の支援
- 1人1人の特性に合った企業探しやアドバイス
- 職場実習の機会の提供
- 職場定着のための支援
就職するための訓練だけではなく、企業探しや定着することを目標にしたサポートなど、就労に関するあらゆる面で支援を行います。
就労移行支援事業の利用対象者
就労移行支援事業の利用対象者は、18歳以上から65歳未満までの障がいのある方で、企業などへの就職を希望している方です。また、下記条件を満たしている場合は、基本的な条件となる65歳を超えていても継続利用できます。
【65歳以上で継続利用可能となるための2つの条件】
- 65歳になる前の5年間で障がい福祉サービスを利用していた
- 65歳になる前日まで就労移行支援事業を利用していた
就労移行支援事業は原則として障がいがある方が対象となりますが、一言で「障がい」と言っても様々な種類があります。具体的に当てはまる主な種類は下記の症状・疾病です。
発達障がい | 学習障がい・ADHD・自閉症・アスペルガー症候群など |
知的障がい | 知的障がい |
精神障がい | 適応障害がい・うつ病・統合失調症・アルコール依存症・てんかん・不安障がいなど |
身体障がい | 内部障がい・視覚障がい・聴覚障がい・肢体不自由など |
難病・その他 | 障がい者総合支援法の対象疾病 |
就労移行支援事業の指定基準
就労移行支援事業を新しく開業するためには必ずクリアすべき基準があります。
【就労移行支援事業立ち上げの際に満たすべき指定基準】
- 法人基準
- 人員配置基準
- 設備基準
ここでは、就労移行支援事業を開設するための指定基準について詳しくみていきましょう。
法人基準
まず最初に満たすべき基準が法人基準です。就労移行支援事業を行うためには、法人格を取得しなければいけません。個人での開業はできないので注意しておきましょう。
法人格は下記のようにさまざまな種類がありますが、基本的にどれでも開業が可能です。
【主な法人格の種類一覧】
- 株式会社
- 合同会社
- 合資会社
- 医療法人
- NPO法人
- 社会福祉法人
代表的な種類として挙げられる株式会社は、社会的信用度が非常に高いですが、設立コストが20万円前後と高くなってしまいます。一方、合同会社は設立コストが6万円前後と安価ですが、社会的信用度はそこまで高くありません。
このように、法人格の種類によってかかる費用や社会的信用度が異なるため、それぞれの特徴を比較して適した法人格を選ぶようにしてください。
既に法人格を所有している場合は新しく取得する必要はありません。ただし、事業目的に就労移行支援事業を行うことが分かる文言が明記されていない場合は、事業目的変更をする必要があります。
人員配置基準
サービスを実施するにあたり、施設の人員配置基準が定められています。
職種 | 人数 | 詳細 |
管理者 | 常勤1名 |
|
サービス管理責任者 | 常勤1名(利用者が60名を超えない場合) | 2名以上在籍する場合、1名は常勤でもう1名は非常勤でも可能 |
職業指導員・生活指導員 | それぞれ1名以上で合計して利用者数÷6以上の人数 | 資格要件はとくになし |
就労支援員 | 利用者数÷15以上の人数(常勤換算) | 資格要件は特になし |
管理者は、施設運営に支障が出ない限り他の職種と兼任も可能となっています。サービス管理責任者となるためには、障がいのある方に対する直接支援・相談支援業務に3年〜8年従事し、なおかつ研修を受講していることが条件です。
上記の表でお伝えした内容は必ず配置すべき役職と人数になります。全てを満たしたうえで施設の開業をすすめていきましょう。
設備基準
就労移行支援事業は、的確にサービスの提供をするために施設の設備についても基準があります。新しく立ち上げる場合、物件を決めてから設備基準を満たそうとするのは難しくなるため、事前にしっかりとチェックしておくようにしてください。
設備 | 詳細 |
訓練・作業室 |
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多目的室 |
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相談室 |
|
事務室 |
|
洗面所・トイレ |
|
エリアによっては静養室の設置も設備基準に含まれています。また、相談室はパーテーションで仕切られていればOKとなる場所もあれば、専用の部屋を作らなければいけないと決められているケースもあります。
設備基準は都道府県などにより細かく定義されている内容が異なるため、必ず事前にしっかりとチェックしておくようにしてください。
就労移行支援事業の報酬単価
就労移行支援事業の報酬は、利用者が就労後に6ヶ月以上定着した割合に応じて決められています。新規指定の事業所に関しては、最初の2年度間は「3割以上4割未満」とみなす決まりです。
報酬には2種類あり、「一般型」「養成施設型」の2つのタイプがあります。
【就労移行支援事業の2つの報酬単価】
- 一般型:就労移行支援サービス費(Ⅰ)
- 養成施設型:就労移行支援サービス費(Ⅱ)
一般型は、利用者を通所させてサービスを提供した場合、または施設入所支援を併せて利用する者を支援した場合に算定します。養成施設型は、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の養成施設として認定されている指定就労移行支援事業所がサービスを提供した場合に算定します。
一般型と養成施設型の報酬について詳しく確認していきましょう。
就労移行支援サービス費(Ⅰ)
一般型では、就労移行支援サービス費(Ⅰ)という報酬形態になります。利用定員と定着率に応じた報酬単価は下記のとおりです。
利用定員数\就労定着者率 | 5割以上 | 4割以上5割未満 | 3割以上4割未満 | 2割以上3割未満 | 1割以上2割未満 | 0割以上1割未満 | 0割 |
20名以下 | 1,128単位 | 959単位 | 820単位 | 690単位 | 557単位 | 507単位 | 468単位 |
21名以上40名以下 | 1,035単位 | 863単位 | 725単位 | 631単位 | 506単位 | 448単位 | 414単位 |
41名以上60名以下 | 1,003単位 | 838単位 | 693単位 | 593単位 | 497単位 | 428単位 | 395単位 |
61名以上80名以上 | 948単位 | 797単位 | 646単位 | 544単位 | 476単位 | 400単位 | 369単位 |
81名以上 | 915単位 | 760単位 | 607単位 | 498単位 | 460単位 | 374単位 | 346単位 |
就労定着者率の計算方法は下記のとおりです。
【一般型の就労定着率の計算方法】
就労定着率=前年と前々年の利用者で半年以上定着した合計人数÷前年と前々年の利用定員数の合計
就労移行支援サービス費(Ⅱ)
養成施設型では先ほどの一般型とは内容が異なり、はり師・あん摩マッサージ指圧師・きゅう師の特定の免許取得支援を行います。就労移行支援サービス費(Ⅱ)という報酬形態になり、報酬単価は下記のとおりです。
利用定員数\就労定着者率 | 5割以上 | 4割以上5割未満 | 3割以上4割未満 | 2割以上3割未満 | 1割以上2割未満 | 0割以上1割未満 | 0割 |
20名以下 | 736単位 | 625単位 | 535単位 | 450単位 | 363単位 | 330単位 | 305単位 |
21名以上40名以下 | 679単位 | 568単位 | 477単位 | 415単位 | 333単位 | 295単位 | 273単位 |
41名以上60名以下 | 645単位 | 541単位 | 446単位 | 384単位 | 320単位 | 277単位 | 254単位 |
61名以上80名以上 | 638単位 | 535単位 | 435単位 | 366単位 | 320単位 | 268単位 | 248単位 |
81名以上 | 633単位 | 526単位 | 421単位 | 345単位 | 319単位 | 259単位 | 240単位 |
就労定着者率の計算方法は下記のとおりです。
【養成施設型の就労定着率の計算方法】
就労定着率=前年度において半年以上就職先に定着している人数÷前年の利用定員数
就労移行支援事業の主な加算・減算
就労移行支援事業において利益を出すためには、基本報酬だけではなく加算・減算についても深く理解しておく必要があります。スムーズな支援を行うために、専門性がある職員の支援体制を整えている場合や利用者宅に訪問して相談援助を行う場合は加算が算定されます。
一方、利用定員が超過してしまった際や職員の配置が基準を下回ってしまった場合などは減算の対象となってしまうため、主な項目について正しい知識を把握しておきましょう。
就労移行支援事業の加算一覧
就労移行支援事業の加算は主に下記のとおりです。
加算の種類 | 単位数 | 詳細 |
視覚・聴覚言語障害者支援体制加算 | 41単位/日 | 視覚や言語機能などにおける重度の障がいがある方が一定数以上利用しており、 意思疎通に関する専門職員を一定以上配置されている場合に加算される。 |
初期加算 | 30単位/日 | 指定就労移行支援等を行った場合に、利用がスタートしてから起算して30日を限度として1日ごとに加算される。 |
食事提供体制加算 | 30単位/日 | 一定額以下の収入となっている利用者に対し、事業所から食事を提供した場合に加算される。 |
欠席時対応加算 | 94単位/回 | 利用者が事情により利用中止した際に、連絡調整や相談援助を行う場合に月4回まで加算される。 |
通勤訓練加算 | 800単位/日 | 専門職員を外部から招き、白杖を利用した通勤訓練を実施した際に加算される。 |
送迎加算 | 送迎加算(Ⅰ):21単位/回 送迎加算(Ⅱ):10単位/回 |
利用者に対して、居宅等と指定就労移行支援事業所等との間の送迎を行った場合に、片道につき加算する。 |
項目をクリアすれば加算として算定されるため、経営をスムーズに進めるためにも意識して加算対象となるようにしておきましょう。
就労移行支援事業の減算一覧
ここでお伝えする一覧は減算対象となる項目です。加算とは反対に該当する場合は所定単位数から引かれてしまうため、利益を効率よく得るためにも減算とならないように注意しておきましょう。
減算の種類 | 単位数 | 詳細 |
定員超過利用減算 | 所定単位数の30% | 事業所の利用者数が規定人数を超えた場合に減算される。 |
サービス提供職員欠如減算 | 1月目から2月目:所定単位数の30% 3月目以降:所定単位数の50% |
指定基準として定められている人員が基準に満たない場合に減算される。 |
個別支援計画未作成減算 | 1月目から2月目:所定単位数の30% 3月目以降:所定単位数の50% |
利用者に対する個別の支援計画書を作成せずにサービス提供を行った場合に減算される。 |
標準利用期間超過減算 | 所定単位数の5% | 標準利用期間の2年を6か月以上超過する場合に減算される。 |
身体拘束廃止未実施減算 | 利用者全員について5単位/日 | 身体拘束の廃止・適正化のために、正しい取り組みが行われていない場合に減算される。 |
まとめ:令和3年に改定された基本の報酬単価について正しく把握しておきましょう!
本記事では、就労移行支援事業の報酬単価や主な加算・減算などについて解説しました。就労移行支援事業の報酬は、利用者の就労定着率と利用定員によって変化します。
事業所の報酬を上げるためには、定員を増やすだけでなく利用者の就労定着率を高めなければいけません。就労に関するあらゆる面で支援を行えるように徹底した準備をしましょう。
また、加算と減算を把握しておくことも重要です。加算は可能な限り取得できるようにし、減算には当てはまらないように運営をしましょう。
本記事でお伝えしている内容を参考に、基本報酬や加算・減算について深く理解しておきましょう。
この記事を読んだ方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
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