障がい福祉に関する2種類以上のサービスを提供する多機能型事業所。事業の組み合わせは数十通りありますが、中でも放課後等デイサービスと児童発達支援の組合せは非常に多い傾向にあります。
現在、多機能型事業所の開業を検討している方の中には、この2つの事業の提供を検討している方も多いのではないでしょうか。その際に気になるのが多機能型事業所としての報酬単価です。
本記事では、放課後等デイサービスと児童発達支援の多機能事業所の報酬単価やそのシミュレーションまで詳しく紹介します。
事業として施設を経営するうえで報酬に対する知識は必要不可欠です。施設としての質を高めるだけではなく、正しく利益を得られるように万全の態勢を整えられるようにしましょう。
この記事を読む方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
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放課後等デイサービスの多機能型事業所は児童発達支援との組み合わせが多い
多機能型事業所とは、障がい児通所支援と障がい福祉サービス事業のうち、異なる2種類以上の事業を一体的に行う事業所を指します。放課後等デイサービスの多機能型事業所の場合、とくに多い組み合わせが児童発達支援です。
この2つのサービスは、障がいがある子どもに対して集団生活や日常に必要なスキル・知識を身につけるための支援を提供します。事業の目的に大きな違いはありませんが、対象年齢が異なるのがポイントです。
【児童発達支援と放課後等デイサービスの対象年齢】
- 児童発達支援→0歳からの未就学児童
- 放課後等デイサービス→6歳から18歳までの就学児童
2つのサービスを一体的に行うことで、小学校入学後も引き続き同じ事業所で支援を提供することが可能です。
通所する子どもの中には、環境の変化に敏感で違う施設へ通所することを拒否したり、癇癪が起きたりしてしまうことも少なくありません。また、就学のタイミングで施設を変更することは保護者の負担にもなってしまいます。
子どもやその保護者が長期的に安心して施設へ通えるので、放課後等デイサービスと児童発達支援の併設は利用者からの需要が高いです。
児童発達支援と放課後等デイサービスの多機能型事業所の報酬単価について
児童発達支援と放課後等デイサービスの多機能型事業所では、基本に2つの利用定員の合計数で報酬を算定します。例えば、児童発達支援と放課後等デイサービスの利用定員数が10名ずつの場合、報酬算定上の定員区分は下記のとおりです。
児童発達支援 | 放課後等デイサービス | |
報酬算定上の定員区分 (正しい算定) |
11名以上20名以下 | 11名以上20名以下 |
報酬算定上の定員区分 (誤った算定) |
10名以下 | 10名以下 |
人員配置基準に関する特例を利用しない場合、それぞれの利用定員の規模に応じて報酬算定を行うようになります。特例不使用の場合の報酬算定上の定員区分は下記のとおりです。
児童発達支援 | 放課後等デイサービス | |
報酬算定上の定員区分 (正しい算定) |
10名以下 | 10名以下 |
報酬算定上の定員区分 (誤った算定) |
11名以上20名以下 | 11名以上20名以下 |
上記の表を見てわかるとおり、人員配置基準における特例を利用するかしないかで、報酬算定上の定員区分はまるっきり逆になるので注意しておきましょう。
児童発達支援と放課後等デイサービスの基本報酬
次は、児童発達支援と放課後等デイサービスの基本報酬を確認しましょう。
【児童発達支援と放課後等デイサービスの基本報酬】
- 児童発達支援の基本報酬
- 放課後等デイサービスの基本報酬
2021年に、障がい児支援の推進や感染症・災害に対する対応力の強化といったさまざまな観点から、障がい福祉サービスの報酬改定が行われました。それぞれの基本報酬について、正しい知識を身につけて理解を深めておきましょう。
児童発達支援の基本報酬
児童発達支援の基本報酬は、障がいがある子どものうち未就学児童かそれ以外で分類され、そこからさらに医療的ケアの点数などによって分けられます。
対象となる児童 | 医療的ケア児童の点数 | 単価 |
未就学児童 | 32点以上 | 定員10名以下:2,885単位 定員11名以上20名以下:2,613単位 定員21名以上:2,486単位 |
16点以上32点未満 | 定員10名以下:1,885単位 定員11名以上20名以下:1,613単位 定員21名以上:1,486単位 |
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16点未満 | 定員10名以下:1,552単位 定員11名以上20名以下:1,280単位 定員21名以上:1,153単位 |
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その他 | 定員10名以下:885単位 定員11名以上20名以下:613単位 定員21名以上:486単位 |
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未就学児童以外 | 32点以上 | 定員10名以下:2,754単位 定員11名以上20名以下:2,513単位 定員21名以上:2,404単位 |
16点以上32点未満 | 定員10名以下:1,754単位 定員11名以上20名以下:1,513単位 定員21名以上:1,404単位 |
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16点未満 | 定員10名以下:1,421単位 定員11名以上20名以下:1,180単位 定員21名以上:1,071単位 |
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その他 | 定員10名以下:754単位 定員11名以上20名以下:513単位 定員21名以上:404単位 |
ここでお伝えした基本報酬は、児童発達支援センターではなく事業所の場合です。児童発達支援事業所は地域内に複数存在しており、障がいがある子どもに対する療育提供の場となっています。
放課後等デイサービスの基本報酬
放課後等デイサービスの基本報酬は、営業日・サービス提供時間・医療的ケア児童の点数・定員によって異なります。
営業日 | サービス提供時間 | 医療的ケア児童の点数 | 単価 |
放課後 | 3時間以上 (区分1) |
32点以上 | 定員10名以下:2,604単位 定員11名以上20名以下:2,402単位 定員21名以上:2,302単位 |
16点以上32点未満 | 定員10名以下:1,604単位 定員11名以上20名以下:1,402単位 定員21名以上:1,302単位 |
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16点未満 | 定員10名以下:1,271単位 定員11名以上20名以下:1,069単位 定員21名以上:969単位 |
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その他 | 定員10名以下:604単位 定員11名以上20名以下:402単位 定員21名以上:302単位 |
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3時間未満 (区分2) |
32点以上 | 定員10名以下:2,591単位 定員11名以上20名以下:2,393単位 定員21名以上:2,295単位 |
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16点以上32点未満 | 定員10名以下:1,591単位 定員11名以上20名以下:1,393単位 定員21名以上:1,295単位 |
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16点未満 | 定員10名以下:1,258単位 定員11名以上20名以下:1,060単位 定員21名以上:962単位 |
||
その他 | 定員10名以下:591単位 定員11名以上20名以下:393単位 定員21名以上:295単位 |
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学校休業日 | 32点以上 | 定員10名以下:2,721単位 定員11名以上20名以下:2,480単位 定員21名以上:2,372単位 |
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16点以上32点未満 | 定員10名以下:1,721単位 定員11名以上20名以下:1,480単位 定員21名以上:1,372単位 |
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16点未満 | 定員10名以下:1,388単位 定員11名以上20名以下:1,147単位 定員21名以上:1,039単位 |
||
その他 | 定員10名以下:721単位 定員11名以上20名以下:480単位 定員21名以上:372単位 |
サービス提供時間の区分は、放課後に支援を行う場合にのみ適用されます。休業日の場合、放課後のサービス提供時間のような区分で分類されることはありません。
児童発達支援と放課後等デイサービスの多機能型事業所の報酬単価シミュレーション
では、実際に児童発達支援と放課後等デイサービスの多機能型事業所における報酬単価をシミュレーションしてみましょう。
【児童発達支援と放課後等デイサービスの多機能型事業所の報酬単価シミュレーション】
- 従業者の員数等に関する特例による場合
- 従業者の員数等に関する特例によらない場合
多機能型事業所では、人員配置基準における特例を受けることが可能ですが、場合によっては特例を利用せずに運営するケースもあります。どちらの場合でも正しく報酬を計算できるように確認しておきましょう。
今回ご紹介するシミュレーションの条件は以下のとおりです。
【シミュレーションの条件】
- 児童発達支援の定員:10名
- 放課後等デイサービスの定員:10名
- 医療的ケア児:16点未満32点以上
- 利用者は未就学児童以外
- 放課後に3時間以上を10日利用
従業者の員数等に関する特例による場合
従業員の員数などに関する特例を利用する場合、それぞれの定員数が10名であれば報酬算定上の定員区分は「11名以上21名以下」になります。上記で紹介した基本報酬の表から、当てはまる単位数を見つけ計算してみましょう。
【児童発達支援と放課後等デイサービスの多機能型事業所の報酬単価シミュレーション:員数などの関する特例あり】
- 児童発達支援:1,513単位×10名×10日=151,300単位
- 放課後等デイサービス:1,402単位×10名×10日=140,200単位
- 合計:151,300+140,200=291,500単位
上記の計算は基本報酬のみとなりますが、実際は加算を取得することでさらに単価を獲得し報酬を上げることが可能です。
従業者の員数等に関する特例によらない場合
次に紹介するのは、員数による特例がない場合の報酬です。施設によっては、職員の負担や人数の関係で特例を利用せずに運営を行うケースも少なくありません。
従業員の員数などに関する特例によらない場合、それぞれの定員が10名となると報酬算定上の定員区分は「10名以下」になります。
【児童発達支援と放課後等デイサービスの多機能型事業所の報酬単価シミュレーション:員数などの関する特例なし】
- 児童発達支援:1,754単位×10名×10日=175,400単位
- 放課後等デイサービス:1,604単位×10名×10日=160,400単位
- 合計:175,400+160,400=335,800単位
人員の特例を利用しない場合でも加算を取得することで報酬を上げられます。
まとめ:多機能型事業所の基本報酬を理解して効率よく利益を獲得しましょう!
多機能型事業所として施設を運営するうえで、利用する子どもやその保護者に安心してもらうために、質が高いサービスを提供することはもちろん重要ですが、経営を続けていくためにも利益をしっかりと確保しなければいけません。
児童発達支援と放課後等デイサービスの基本報酬を理解し、多機能型事業所として運営する際の報酬算定上の定員区分についても正しく把握することが大切です。
本記事でお伝えした内容は、児童発達支援と放課後等デイサービスの多機能型事業所として基本的な報酬の内容となっています。まずはここで紹介した情報を網羅し、効率よく利益を獲得するための土台を強化しておきましょう。
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