放課後等デイサービスは、6歳から18歳の障がいがある子どもを対象とした学童のような福祉施設です。子どもの居場所になりサポートできる児童福祉の…
近年では、発達障がいの子どもの増加などにより放課後等デイサービスの需要が拡大しています。毎年のように新しい事業所が開設されており、開業を考えている方も多いでしょう。
では、放課後等デイサービスを新規開設する際に経営者に資格は必要なのでしょうか。結論から申し上げると、資格がなくても放課後等デイサービスの経営者になることは可能です。
しかし放課後等デイサービスは、ただ子どもを預かれば良いわけではなく適切な支援が必要であるため、開設に関する条件や基準は細かく定められています。
今回の記事では、放課後等デイサービスを新規開設するための条件・基準や開業に必要な資金、スケジュールなどについて詳しく解説します。条件をしっかり守って安定した運営を行えるように知識を身に付けていきましょう。
この記事を読む方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
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もくじ
放課後等デイサービスとは?障がいのある子どもを対象とした障がい福祉サービスの1つ
放課後等デイサービスは、障がいのある6〜18歳の子どもを対象にした障がい福祉サービスです。放課後や夏休みなどの長期休暇に利用できることから「障がいのある子どもの学童」と呼ばれることもあります。
放課後等デイサービスでは、子どもたちが自分でできることを増やし、周囲との関わりを持てるようにスタッフが個々に合わせた支援を行います。施設を利用する子どもだけでなくその保護者も支援しており、社会全体において重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
放課後等デイサービスを新規開設するための条件
放課後等デイサービスを新規開設するための条件は以下の2つです。
【放課後等デイサービスを新規開設するための条件】
- 法人であること
- 指定基準を満たしていること
ここからはそれぞれの条件について詳しくみていきましょう。
法人であること
放課後等デイサービスを新規開設するには法人を設立しなければなりません。法人には株式会社・合同会社・NPO法人などいくつか種類があり、それぞれメリット・デメリットが異なるのでよく検討して決めましょう。
すでに法人格を持っている場合は、児童福祉法に基づき児童発達支援事業を行う旨を事業目的に記載し、定款の変更手続きが必要です。
指定基準を満たしていること
放課後等デイサービスを開業するには、法人であることの他に以下の3つの指定基準を満たしていなければなりません。
【放課後等デイサービスの指定基準】
- 人員基準
- 設備基準
- 運営基準
安全に運営するには、スタッフの数・施設の設備・運営に関する規定がしっかりと整っている必要があります。それぞれの基準について詳しく確認していきましょう。
人員基準
開業の時点で以下の職種・人数を確保する必要があります。
職種 | 人数などの留意点 |
管理者 |
|
児童発達支援管理責任者 |
|
児童指導員・保育士 |
|
機能訓練担当職員 |
|
利用者の数によって必要なスタッフ数が変わってくるので注意しましょう。機能訓練担当職員は必須ではなく、機能訓練を行う場合のみ配置が必要です。
設備基準
放課後等デイサービスには以下の設備を整えなければなりません。
設備 | 内容 |
指導訓練室 | プレイルームとして子どもたちが過ごす場所で、自治体ごとに広さの指定がある |
事務室 | 職員と備品を配置するための事務専用のスペース |
相談室 | プライバシーに配慮できる空間にすること |
洗面所・トイレ | トイレの手洗いと洗面所は別にして、石鹸・ペーパータオルの設置が必要 |
この他にも横になって休憩できる静養室があると望ましいとされています。yn上記の設備を整えられるような物件を探しましょう。
運営基準
施設の運営に関しては主に以下のような基準が定められています。
基準 | 内容・注意点 |
利用定員が10名以上であること | 主な利用者が重症心身障がいである場合は定員は5名以上 |
個別支援計画の作成を行うこと | 子どもの発達状態や特性を十分に理解し、個々に合わせた支援計画の作成が必要です。 また、個別支援計画は学校で作成する教育支援計画との連動が求められます。 |
サービス内容や手続きの説明と同意を行うこと | 管理者は利用する子どもや保護者がサービスを円滑に利用できるように説明を行うとともに、それに対する同意を受けなければなりません。 |
利用者に指導・訓練を実施すること | 子どもの発達に必要な支援や自立のための訓練を行います。 子どもが積極的に取り組めるようなプログラムを実施し、成功体験を積むことで自己肯定感を高めるのが目標です。 |
上記のような運営基準を基に各事業所で規定を決め、その概要を利用者に重要事項説明書を用いて説明しなければなりません。
放課後等デイサービスの経営者になるには資格は必要なし
前述しましたが、放課後等デイサービスを運営するには人員基準を満たさなければいけません。しかし、資格が必要とされる児童発達管理責任者や児童指導員・保育士が基準通りに配置されていれば、事業所のオーナーは資格不要です。
子どもとの関わりは経験や資格のあるスタッフに任せ、オーナーは働きやすい環境作りや外部とのやりとりなどの経営に関する部分に専念するのが良いでしょう。
放課後等デイサービスの開業資金には初期費用+運転資金が必要
放課後等デイサービスは、他の業種に比べると少ない資本で始められるのが魅力の1つと言えます。しかし、自己資金だけで始めるのは難しいため、資金調達は早めに取り掛かるのがおすすめです。
また、放課後等デイサービスではサービス提供月の2ヶ月後に収入が得られるシステムなので、最初の2ヶ月は収入がありません。初月から利用者を集められる保証もないので、初期費用とともに2・3ヶ月分の運転費用を準備しておく必要があります。
ここからは初期費用と運転資金の内容をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
初期費用(イニシャルコスト)
初期費用としてかかるのは主に以下のようなものです。
【放課後等デイサービスの初期費用(イニシャルコスト)】
- 法人の設立費用
- 不動産に関する費用
- 施設の保険費用
- 職員の求人広告費用
- 集客の費用
- 備品の購入費用
- 送迎車の購入費用
それぞれの目安となる金額を詳しく解説します。
法人の設立費用
先述した通り、放課後等デイサービスを立ち上げるには法人を設立する必要があります。一般的には株式会社か合同会社として設立されるケースが多いです。
株式会社は最もメジャーな会社形態であり信用を得やすいため、集客や融資の際に有利になるでしょう。また、株式による資金調達も可能です。
株式会社を設立する際は、登録免許税として約15万円・定款認証代として約5万円がかかるので合計で20万円ほど必要になります。設立までには1ヶ月近くかかると見込んでおきましょう。
合同会社の場合の費用は約6万円で済み、3日程度で設立が可能です。しかし株式会社よりも認知度が低く、社会的な信用が高いとは言い切れないため、職員採用の際などに不利になる可能性もあります。
不動産の賃貸費用
地域によって不動産の賃貸費用は大きく異なりますが、支払い続けることを考えると都市部では20万円程度、その他の地域では15万円ほどに収めておくのがおすすめです。
開業時には敷金・礼金や不動産会社への仲介手数料、準備期間の家賃や内装費用も必要になるため、総額で300万円以上かかることもあります。
運よく居抜き物件が見つかれば内装費用はかかりませんが、そうでない場合は内装工事のために開業の2ヶ月程度前から賃貸契約を結んで家賃を支払わなければなりません。
施設の保険費用
目安になりますが、施設賠償保険として約6万円・火災保険として2万円ほどかかります。他にも、教室に通う子どものケガや事故に備えた保険や、施設向けに用意された損害賠償保険などへの加入も必要に応じて検討しましょう。
賠償責任の保険への加入の規則はありませんが、トラブルを完全に防ぐのは難しいため、立ち上げと同時に加入しておくことをおすすめします。
職員の求人広告費用
児童発達支援管理責任者や児童指導員・保育士のスタッフは配置が義務付けられており、人数の基準も細かく定められています。求人広告媒体で募集する場合、人員が集まるまでの日数にもよりますが50万円ほどかかると見込んでおきましょう。
ただし、身内や知り合いで人員を揃えられる場合は、広告を出さずに済むので費用はかかりません。何名か魅力的な人材を集められたら、周囲にスタッフになれそうな人がいないか聞いてもらい、人員を集めていくのも一つの手段です。
集客の費用
放課後等デイサービスは、需要が高いものの競争の激しい業界であるため、教室を利用する子どもたちを集めるために費用をかける必要があります。
利用者の募集にあたり、Webサイト・パンフレット・名刺などを作成して広告媒体への掲載を行うとなると、費用総額は50万円〜70万円ほどになるでしょう。
備品の購入費用
適切な支援を行いながら安全に運営していくためには、教室の設備をしっかりと整える必要があります。主に購入しなければならない備品は以下のようなものです。
【放課後等デイサービスに必要な備品】
- ロッカー
- 机と椅子
- 電話
- PC(複数台)
- プリンター・コピー機
- 鍵付き書庫
- 冷蔵庫
- 洗濯機
- 掃除機
- 電子レンジ
- テレビ
- 教材
- 絵本
- おもちゃ
- 文具
- トランポリン・バランスボールなどの運動用具
- 嘔吐処理グッズや救急箱などの衛生管理備品
- 指挟み防止や滑り止めなどの安全管理備品
- 調理器具(手作りおやつを提供する場合)
これらを揃えるには100万円以上かかると見込んでおきましょう。教室の規模が大きいほどその分多く購入しなければならないため、さらに費用がかかります。安く購入できる店や譲ってもらえるものなどがあれば活用するのも良いでしょう。
また、教室の規模によって必要な消防設備が変わってきますが、上記の備品以外に火災時の対策も必要です。誘導灯や消火器は約15万円・自動火災報知設備は100万円以上かかることもあります。
送迎車の購入費用
送迎サービスを行う場合は、車両を準備しなければなりません。利用者の人数や送迎の範囲によって異なりますが、一般的に車両は2・3台必要だと言われています。
車両は1台あたり50万円〜500万円ほどで、条件によって費用は大きく変動します。自動車保険に加入することも考慮すると、総額350万円以上はかかると見込んでおきましょう。
運転資金(ランニングコスト)
続いて運転資金について詳しい内容を確認していきましょう。
1ヶ月に必要な運転資金の目安は以下の通りです。家賃17万円の賃貸物件で開業し、平日のみの営業で利用者定員が10名。スタッフは管理者兼児童発達支援管理責任者1名・児童指導員2名の合計3名の施設を例とします。
家賃 | 17万円 |
光熱費 | 15,000円 |
人件費 | 80万円(3人の給与合計) |
その他(営業費・日用品等) | 10万円 |
合計 | 1,085,000円 |
例に挙げた施設の場合、1ヶ月あたり1,085,000円の運転資金が必要になります。
経営が軌道に乗るまでの3ヶ月間の運転資金を用意しておくと考えると、1,085,000円×3ヶ月=3,255,000円ほどは準備しておくと安心です。
放課後等デイサービスの開業スケジュール
放課後等デイサービスを開業するためには、準備期間を含めると少なくとも半年から1年ほどかかると見込んでおきましょう。以下のようなスケジュールで準備を進めます。
【放課後等デイサービスの開業スケジュール】
- 事業内容の検討・指定基準の確認
- 法人の設立
- 行政機関との事前協議
- 物件の準備・内装工事・備品設置
- 申請書類の作成・提出
- 管理者の研修・障がい児支援事業者の指定
- 運営前の最終準備
- 事業の開始
法人の設立や資金調達は申請から受理までに時間がかかるので、余裕を持って準備に取りかかりましょう。
まとめ:放課後等デイサービスの経営者は資格要件なし!開業準備には余裕を持って取りかかろう!
今回は、放課後等デイサービスを新規開設するための条件・基準や開業に必要な資金、スケジュールなどを解説しました。
放課後等デイサービスの経営者は、児童発達管理責任者や児童指導員・保育士を適切に配置できれば資格が不要です。子どもの支援は経験や資格のあるスタッフが行い、オーナーは経営に関する部分に専念することもできます。
ただし、定められている人員・設備・運営の基準を全て満たさなければいけません。子どもたちに安全で適切なサービスを提供できるように、指定基準の内容をよく確認しておきましょう。
また、開業の際に必要な各種申請や資金調達には時間がかかります。スムーズに運営を始められるように、開業の半年〜1年前から事業内容の確認を始め、計画的に準備を進めましょう。
この記事を読んだ方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
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