障がいのある子どもの居場所として非常に大切な存在である放課後等デイサービス。今後も市場の拡大が予想されている事業で開業を考えている方も多いで…
利用者だけでなく経営者からも注目を集めている放課後等デイサービス。「どれぐらいの利益を得られるの?」「赤字経営が多いのでは?」など、放課後等デイサービスの運営を検討している方にとって、事業として儲かるのかどうかという点は特に気になるポイントでしょう。
そこで本記事では、既存の放課後等デイサービスが実際に儲かっているのか解説していきます。経営の特徴や必要な人員配置・人件費、経営に関する気になる疑問点なども詳しく解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を読む方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
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もくじ
放課後等デイサービス経営の特徴
放課後等デイサービスをスムーズに運営していくためには、まず経営の特徴を正しく把握しておく必要があります。
【経営における放課後等デイサービスの3つの特徴】
- 売上の未納・延滞・未回収が少ない
- 利用者を増やすほど収益が上がっていく
- 消費税は非課税
ここからは、上記の3つのポイントを詳しく解説します。まずはここでお伝えする情報を頭に入れ、放課後等デイサービスの経営について知ってください。
売上の未納・延滞・未回収が少ない
放課後等デイサービスの利用費用は、1割が利用者・9割が国保連への請求となるため、健全なキャッシュフロー経営が可能になります。
施設を経営する場合、いくら利用者が多くて売り上げが取れていても未納や延滞が多ければ資金繰りに困りますが、放課後等デイサービスはこうした心配が少ないのが特徴です。また、取引先が一般企業ではないので未回収に終わることもありません。
上記のように放課後等デイサービスは売上の未納・延滞・未回収のリスクが低いため、中長期的に安定した儲けを出し続けられます。
利用者を増やすほど収益が上がっていく
放課後等デイサービスの構造は非常にシンプルで、利用者が増えればその分収益も上がります。近年では、放課後等デイサービスを利用する方や利用の対象となる方が増加傾向にあるため、運営していく中で徐々に収益を上げていくことも難しくはありません。
平成16年 | 24,750人 |
平成21年 | 37,480人 |
平成年26年 | 42,352人 |
令和元年 | 62,442人 |
引用:厚生労働省「令和元年度特別支援教育に関する調査結果について」
上記は、厚生労働省が調査した「特別支援学校就学予定者として調査や審議の対象になった人数の推移」を表にまとめたものです。
このように年々支援が必要とされる人数は多くなっており、平成16年から令和元年までの間に37,692人増加という数字が結果としてあらわれているため、今後も放課後等デイサービスの需要は高まると考えられています。
しかし、それと同時に新しく開業する放課後等デイサービスも増加傾向にあるので、競合との差別化をうまくアピールすることが大切です。
消費税は非課税
放課後等デイサービスは「第2種社会福祉事業」というサービスに分類されるため、消費税は非課税対象となります。
【第2種社会福祉事業とは】
比較的利用者への影響が小さいため、公的規制の必要性が低い事業(主として在宅サービス)です。
引用:厚生労働省「生活保護と福祉一般:第1種社会福祉事業と第2種社会福祉事業」
放課後等デイサービスは、月の売り上げが約220万円〜350万円ほどが一般的ですが、仮にここに税金がかかった場合は年間の納税額は約264万円〜420万円ほどになります。
しかし、放課後等デイサービスは厚生労働省が定めた「第2種社会福祉事業」なので、約264万円〜420万円の消費税は払う必要がありません。
こうした税法上の恩恵は放課後等デイサービスの最大の特徴と言えますが、非課税となるのは療育プログラムに対してのみなので、教材費や食事・おやつなどの代金には税金がかかることを理解しておいてください。
放課後等デイサービスの運営で必要な経費
運営における経費の内訳は、経営者であればしっかりと理解しておく必要があります。放課後等デイサービスに必要な経費について固定費と変動費のそれぞれの内容をチェックしましょう。
【放課後等デイサービスの必要経費:固定費】
- 不動産維持費(テナント料・家賃など)
- 水道・電気・ガスなどの光熱費
- 各種保険料金
- 送迎車両の代金
- フランチャイズ事業の場合のロイヤリティ
- 人件費
支出の大半を占める人件費は、基本的に大きな変動はないため固定費として分類されますが、職員の離職が多い施設は新規採用のためのコストがかかってしまうため、他施設と比較するとより支出額が大きくなります。
人件費の支出を安定させるには、働きやすい環境を整えて職員の離職を防ぎましょう。
【放課後等デイサービスの必要経費:変動費】
- 送迎車両のガソリン代
- 消耗品や備品の買い替え
- 文具・絵本などの購入代金
変動費は施設の規模や月ごとにより大幅に変わるため、どのくらいの出費になるのかを正確に見極めなければいけません。どの程度の出費になるのか事前に把握できていれば、余計な支出を抑えて利益を出しやすくなります。
放課後等デイサービスの開設に必要な人員配置・人件費
放課後等デイサービスを開設するにあたり、まず把握すべきなのは人員配置と人件費についてです。
先程もお伝えしたように、放課後等デイサービスの必要経費の中で人件費は大部分を占めていますが、具体的な人件費の金額について理解できているという方は多くありません。
人件費や人員配置について深く理解しておくことがスムーズな経営には欠かせないと言えるので、ここで紹介する情報についてぜひ深く理解しておいてください。
放課後等デイサービスに必要な人員配置
人件費を正しく把握するためにも、まずは施設に必要な人員配置について理解する必要があります。
【放課後等デイサービスに必要不可欠な人員】
- 管理者
- 児童発達支援管理責任者
- 児童指導員または保育士
まずは上記それぞれの人員について詳しく解説します。
管理者
管理者とは法人を管理する人材のことを指し、実務経験や資格要件などは特にありません。具体的には、職員の管理や利用者の申し込みに関する調整・手続き、職員に対する指導・指揮命令が主な仕事になります。
施設によっては管理者が他業務を兼務する場合もありますが、その場合にはその職務に応じた要件が満たされているのが条件です。
児童発達支援管理責任者
放課後等デイサービスを利用する子どもたちへのサービスに関するすべての管理業務をし、その保護者からの相談にも応じるのが児童発達支援管理責任者です。
放課後等デイサービスでは、児童発達支援管理責任者1名以上を専任かつ常勤で配置する必要があります。
【児童発達支援管理責任者の実務要件】
- 5年以上の相談支援業務
- 5年以上の直接支援業務
- 有資格者としての実務経験が5年以上かつ3年以上の相談もしくは直接支援業務
児童発達支援管理責任者の実務要件は上記3項目のいずれかになります。
児童指導員または保育士
児童指導員や保育士は、預かる子どもの人数に応じて配置する必要があり、必ず1名は常勤としなければいけません。
1日の受け入れ数が10名であれば2名以上、11名〜15名なら3名以上、15名〜20名であれば4名以上というように、5名ごとに1人増員して配置します。
児童指導員の資格要件は以下の通りです。
【児童指導員の資格要件】
- 児童福祉施設職員の養成学校卒業生
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 大学の社会福祉学・心理学・教育学・社会学を専修した卒業生
- 幼稚園・小学校・中学校・高等学校もしくは中等教育学校の教諭となる資格所有者
- 高等学校卒業し児童福祉事業に2年以上かつ360日従事した者
- 児童福祉事業に3年以上かつ540日従事した者
放課後等デイサービスに必要な人件費
放課後等デイサービスの必要な人員が理解できたところで、次に把握すべきはそれぞれに必要な人件費です。
管理者を1名・児童発達支援管理責任者を1名・児童指導員もしくは保育士の常勤と非常勤それぞれ1名ずつを配置すると、人件費は以下のようになります。
【放課後等デイサービスの人件費】
- 管理者:約30万円
- 児童発達支援管理責任者:約25万円
- 児童指導員(常勤):約20万円
- 児童指導員(非常勤):約11万円(1,000円/1h・5時間×22日勤務)
この計算であれば、月に最低でも人件費として86万円の支出があります。施設の規模や受け入れる人数により人件費としての支出が多くなるケースや、管理者が児童発達支援管理責任者を兼務することで人件費を1名分とすることも可能です。
放課後等デイサービスは儲からない?福祉事業の中では儲かっている
下記の表は、放課後等デイサービスを含む療養介護や重度訪問介護、就労定着支援などの福祉サービス全体の経営に関する調査結果です。
収入 | 34,484,000円 |
人件費 | 22,457,000円 |
経費 | 10,310,000円 |
営業利益 | 1,718,000円 |
引用:厚生労働省「令和2年障害福祉サービス等経営実態調査結果」
次に放課後等デイサービス単体での営業利益を見てみましょう。
収入 | 35,486,000円 |
人件費 | 22,559,000円 |
経費 | 9,142,000円 |
営業利益 | 3,785,000円 |
引用:厚生労働省「令和2年障害福祉サービス等経営実態調査結果」
福祉サービス全体の平均的な営業利益が1,718,000円に対し、放課後等デイサービス単体では3,785,000円となっており、およそ2倍以上の収益が得られています。福祉事業の中では儲かっていると言えるでしょう。
福祉事業の中では儲かっているが競合他社は多い
上記でお伝えしたように、放課後等デイサービスは福祉事業の中で特に儲かっている事業です。さらに、障がい福祉サービスの利用者数も平成23年から令和2年までに2倍にも増加しています。
この数字だけを見れば、「利用者が増えているから開業すれば儲かる」と考える方も少なくありません。しかし、実際には開業したからといって必ずしも利益を出せるとは限らないのが現状です。
このように、利用者数が増えている一方で事業所も増加傾向となっており、平成24年から令和元年にかけて約5倍以上の事業所が開業しています。
儲けが出やすい事業であっても、競合他社に負けないほどの質の良いサービスやオリジナリティのあるプログラムなど、施設としての特徴がないと他事業所との差別化がうまく図れません。
施設としての明確なコンセプトや目的、それぞれの保護者のニーズに応えられるような環境整備があってこそ、放課後等デイサービスは利益を出せる事業になると言えます。
放課後等デイサービスの経営に関するよくある質問
最後に、放課後等デイサービスの経営を本格的に検討している方に知っておいてほしい情報3つをまとめました。
【放課後等デイサービス経営に関するよくある質問】
- 放課後等デイサービスの経営者の年収は?
- 放課後等デイサービスは赤字が多い?
- 放課後等デイサービスの将来性は?
放課後等デイサービスの経営をうまく運ぶためにもぜひ参考にしてください。
放課後等デイサービスの経営者の年収は?
本記事でもお伝えしているように、放課後等デイサービスの収益は年間で約3,785,000円となっており、福祉事業の中でも特に経営者の年収は高い傾向にあります。
さらに、近年ではコロナウイルスの影響により1人当たりの単価が上がっているという結果もあります。
- コロナ禍で保育所等の休園に伴って、午前中から利用する児童数が増え、開所時間減算3が適用される事業所が減少した可能性もある。
- コロナ禍での特別支援学校の休校等に伴って、長時間利用児童数は1日当たり6.8人と前年度から0.5人増えた。
- 学校が臨時休校した場合、基本報酬の高い学校休業日単価を取得できる特例が適用されたことも単価を押し上げたと推察される。
引用:独立行政法人福祉医療機構「令和2年度児童系障害福祉サービスの経営状況」
上記のように、減算事由が減ったことや利用時間が長くなったことで結果として単価が上がっているため、経営者としての年収も安定して高水準となっている施設は少なくありません。
放課後等デイサービスは赤字が多い?
放課後等デイサービスは他の福祉事業よりも年収が高く、コロナウイルスの影響などもあって単価が上がっている傾向となっていますが、全ての事業所が黒字経営ということではありません。
一部の事業所では経営状況が改善しているものの、約4割が赤字という厳しい状況が続いている。
引用:独立行政法人福祉医療機構「令和2年度児童系障害福祉サービスの経営状況」
このように、未だに全体の4割の事業所は赤字が続いているというのが現状です。業界としては儲かっている事業ですが、開業する場合はこうした事実もしっかりと頭に入れておくようにしてください。
放課後等デイサービスの将来性は?
赤字経営の施設があるという現状から、今から開業しても経営がうまくいかないのではないかと悩んでしまう方も少なくないでしょう。しかし、下記のように障がいがある子どもの数は年々増加しています。
【0歳から17歳の障がい者数の推移(知的障がい児)】
- 1995年→86,000人
- 2000年→94,000人
- 2005年→117,000人
- 2011年→152,000人
- 2016年→214,000
今後もさらに人数は増えていくと予想されており、放課後等デイサービスの需要も高まります。放課後等デイサービスは将来性のある事業と言えるでしょう。
まとめ:放課後等デイサービスは儲かる!儲けるためには現状を把握して施設の運営方針を明確にしよう
本記事でお伝えしているように、放課後等デイサービスは福祉事業の中でも特に利益が出やすいです。障がいがある子どもの数も増加傾向にあるため需要が高く、上手く経営すれば大きな儲けが出せます。
しかし、同時に事業所の数も増加傾向となっているため、黒字化させるポイントを把握して工夫をして運営しなければいけません。
現状をよく把握し、施設としてどのように運営していくのかを明確にすることで、スムーズに軌道に乗らせる経営体制を整えることが実現します。
この記事を読んだ方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
すららネットでは上記問題を解決するためのセミナーを“期間限定”で開催中です。
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