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【放課後等デイサービスの報酬の仕組み】基本報酬や加算・減算をわかりやすく解説

放課後等デイサービスを開業する際にとくに気になるのが報酬です。報酬を得る仕組みや収益を増やす方法など、事業としてスタートさせる前に正しい知識を身につけておかなければいけません。

そこで本記事では、放課後等デイサービスの報酬の仕組みや計算方法、報酬額を大きく左右する加算・減算の種類について紹介します。

基本的な報酬に関する内容は、効率よく利益を獲得するためにも欠かせない大切な情報です。これから放課後等デイサービスの開業を検討している方はもちろん、今現在すでに事業所を運営している方も、ここでお伝えする内容をぜひ最後までご覧ください。



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放課後等デイサービスの報酬の仕組み

放課後等デイサービスを経営するうえで報酬に関する正しい知識は必須と言えます。報酬について把握するためのカギとなるのが以下の4つのポイントです。

【放課後等デイサービスの報酬の仕組みにおける4つのポイント】

  • 基本報酬が定められている
  • 加算の取得で報酬を増やせる
  • 9割が国保連から支払われる
  • 質が低い事業所は報酬が減る

報酬の仕組みがどのようなものなのか、まずはこの基本となる部分について詳しくみていきましょう。

基本報酬が定められている

放課後等デイサービスは基本報酬が定められており、サービス提供時間ごとに分類されている区分や営業日などの条件により報酬単位が異なります。

事業所の区分 単位数
区分1(サービス提供時間3時間以上) 放課後:302単位~604単位/日
休校日:372単位~721単位/日
区分2(サービス提供時間3時間未満) 放課後:295単位~591単位/日
休校日:372単位~721単位/日
重症心身障がい児向けの放課後等デイサービス 放課後:686〜1,756単位/日
休校日:810〜2,038単位/日

一般的となるのは、サービス提供時間が3時間以上となる区分1です。区分1と区分2は、放課後の営業ではそれぞれの単位数が異なりますが、休校日には違いがありません。

重症心身障がい児向けの場合は、人員配置基準などが区分1・区分2よりも厳しい内容になっているため、明確に基本報酬が高くなっています。

加算の取得で報酬を増やせる

放課後等デイサービスでは、定められた要件を満たした場合、基本報酬とは別に加算を取得することが可能です。加算はそのまま報酬にプラスされるため、積極的に取得すればより報酬をアップさせることに繋がります。

自宅・学校と事業所の送迎を行った際に取得できる「送迎加算」や、基本的な人員基準を満たしつつプラスで人員を配置することで得られる「児童指導員等加配加算」など、さまざまな種類があります。

加算の種類については後程詳しく紹介するので、それぞれの加算で取得できる単位数や獲得するための条件などをよく把握しておきましょう。

9割が国保連から支払われる

放課後等デイサービスの利用料のうち、約9割は国保連からの支払いとなります。利用者は残り1割のみの負担となり家計へのダメージが小さいため、継続して通い続けやすいです。

また、下記の表のように世帯収入ごとに上限が定められています。

世帯年収 月額利用料金の上限
生活保護受給世帯 0円
890万円未満の世帯 4,600円
890万円以上の世帯 37,200円

おやつ代や遠足代など、実費となる項目に関しては上限には含まれませんが、基本的な利用料金は9割が公金となるため、支払いの遅延などの心配もありません。

質が低い事業所は報酬が減る

基本報酬とは別に、加算を取得することで報酬を増やすことができるとお伝えしましたが、その一方で減算にあてはまると報酬は減ってしまいます。

実施すべき業務を怠ったり、満たすべき基準をクリアできていない場合が減算対象です。質が低いサービスを提供している事業所は、より多くの減算対象となってしまうため注意しなければいけません。

報酬が減ってしまえば経営も厳しくなり、事業所を継続させることが難しくなってしまうため、減算対象にならないよう徹底した体制を整えましょう。

放課後等デイサービスの報酬の計算方法・シミュレーション

報酬における単位や利用者の上限を把握できても、実際にどのように報酬を計算すべきか分からない方も少なくありません。ここでは、放課後等デイサービスの報酬における計算方法を紹介します。

報酬の計算方法は下記の計算式に当てはめて行います。

【放課後等デイサービスの報酬の計算式】

(基本単位+加算単位)×地域区分×日数×人数

実際にこの計算式に数値を当てはめてシミュレーションをしてみましょう。平日に15日稼働し利用者の人数は5名、送迎加算と加配加算の2種類を取得した場合を想定して計算していきます。

【報酬計算の具体例】

  • 区分1の放課後に平日15日稼働:604単位
  • 利用者5名
  • 送迎加算(往復):108単位
  • 指導員配置における加配加算:123単位
  • 地域区分:10.60

→(604単位+231単位)×10.60×15日×5名=663,825円

地域区分は、今回は5級地の「10.60」として計算をしましたが、エリアによりこの数値は異なるため必ず事前に確認しておくようにしましょう。

放課後等デイサービスの報酬では加算と減算が重要

本記事でもお伝えしているように、放課後等デイサービスは加算と減算によって報酬が大きく変わります。加算を取得し減算を避けることで、効率よく報酬を増やすことが可能です。

しかし、「加算の具体的な種類を知らない」「減算に気をつけたいけれど何に注意すべきか分からない」という方も多くいるのではないでしょうか。

そこで、ここからは主な加算・減算の種類について紹介します。加算を取得すると共に、減算の対象とならないよう経営体制を整えていきましょう。

【放課後等デイサービスの加算・減算】

  • 放課後等デイサービスにおける加算12種類
  • 放課後等デイサービスにおける減算5種類

放課後等デイサービスの主な加算

まずは、12種類の加算について紹介します。

【放課後等デイサービスの主な加算】

  • 児童指導員等加配加算
  • 看護職員加配加算
  • 事業所内相談支援加算
  • 家庭連携加算
  • 医療連携体制加算
  • 関係機関連携加算
  • 欠席時対応加算
  • 送迎加算
  • 訪問支援特別加算
  • 特別支援加算
  • 利用者負担額上限管理加算
  • 延長支援加算

それぞれの単位数や取得条件などをしっかりと把握し、報酬を増やすために積極的な取得を目指しましょう。

児童指導員等加配加算

児童指導員等加配加算は、人員配置基準を満たしつつ常勤換算で1人以上の従業員を配置した際に取得できる加算です。配置する従業員の職種ごとに加算される単位は異なります。

職種 単位数
理学療法士・言語聴覚士・作業療法士・保育士など 75〜187単位
児童指導員・手話通訳士など 49〜123単位
その他の職種 36〜90単位

児童指導員等加配加算は申告をしなければ取得できません。従業員を配置するだけでは意味がないので忘れないようにしましょう。

看護職員加配加算

看護職員加配加算は、医療的ケア児を受け入れるために、看護職員を配置すると加算されます。加算区分は3種類あり、区分Ⅰでは以下のとおりです。

定員 単位数
10名以下 200単位/日
11名以上20名以下 133単位/日
21名以上 80単位/日

区分Ⅱは区分Ⅰの2倍、区分Ⅲは3倍の単位数になります。ⅠからⅢの条件について下記の表をチェックしておきましょう。

区分 条件
区分Ⅰ
  • 人員配置基準を満たし、なおかつ常勤換算で1名以上の看護職員を配置する
  • 医療的ケアに関する判定スコアがいずれかの状態の障がい児童が1名以上
区分Ⅱ
  • 配置基準を満たし、なおかつ常勤換算で2名以上の看護職員を配置する
  • 医療的ケアに関する判定スコアが8点以上の状態の障がい児童が5名以上
区分Ⅲ
  • 配置基準を満たし、なおかつ常勤換算で3名以上の看護職員を配置する
  • 医療的ケアに関する判定スコアが8点以上の状態の障がい児童が9名以上

事業所内相談支援加算

事業所内相談支援加算は、職員が保護者に対して子どもの療育に関する相談支援を行うことで加算されます。

放課後等デイサービスでは、単純に子どもに対する療育を行うだけではなく、家庭に対する支援も大切な役割の1つです。事業所内相談支援加算は、こうした放課後等デイサービスの役割をしっかりと行うことで対象となります。

ⅠとⅡの2種類があるので、それぞれの条件や単位数を確認しておきましょう。

種類 条件 単位数
事業所内相談支援加算Ⅰ
  • 事前に保護者の同意を得る
  • 放課後等デイサービスの計画に基づき、児童本人やその保護者に対して相談援助を行う
  • 相談援助をした日時や内容の要点を記録する
100単位/日(1ヶ月に1回が限度)
事業所内相談支援加算Ⅱ
  • 事前に保護者の同意を得る
  • 複数児童やその保護者をグループにし、そのグループに対して相談援助を行う
  • 相談援助をした日時や内容の要点を記録する
80単位/日(1ヶ月に1回が限度)

どちらの場合も相談援助が30分未満では加算を取得することはできません。また、サービス利用がなかった日に実施した場合は算定可能ですが、利用のない月においては算定することができないため注意が必要です。

家庭連携加算

家庭連携加算は、放課後等デイサービスの支援計画に基づき、利用者本人の自宅を訪問し、子どもやその保護者に対して相談援助を行った場合に加算となります。事前に保護者の同意を得ることが必須条件となり、算定は月に2回が限度です。

1時間未満の相談援助の場合は、加算単位は187単位/回です時間が1時間以上となった場合は280単位/回となります。

医療連携体制加算

医療連携体制加算は、医療機関との連携を図り、看護職員を事業所に訪問させて看護をした場合や、喀痰吸引等の指導を受けた場合などに加算となります。区分はⅠからⅥまであり、それぞれの条件や単位数は下記のとおりです。

区分 条件 単位数
区分Ⅰ 看護職員を訪問させて障がい児童へ看護を行う 500単位/日
区分Ⅱ 看護職員を訪問させて2以上の障がい児童へ看護を行う 250単位/日
区分Ⅲ 看護職員を訪問させて認定特定行為業務従事者に対する指導を行う 500単位/日
区分Ⅳ 喀痰吸引等が必要な方に対し、認定特定行為業務従事者が喀痰吸引等を行う 100単位/日
区分Ⅴ 看護職員を訪問させて障がい児童へ4時間を超える看護を行う 1,000単位/日
区分Ⅵ 看護職員を訪問させて2人以上の障がい児童へ4時間を超える看護を行う 500単位/日

関係機関連携加算

関係機関連携加算は、学校などの関係機関と連携を図り情報を共有することで、子どもに対する理解を深めるなどの取り組みが評価されることで得られる加算です

関係機関連携加算は区分ⅠとⅡに分類されます。それぞれを下記でみていきましょう。

種類 条件 単位数
関係機関連携加算Ⅰ
  • 放課後等デイサービス計画に基づく会議を開催する
  • 小学校や病院などの関係機関と連絡調整、および相談援助を行う
200単位/回(1ヶ月に1回が限度)
関係機関連携加算Ⅱ
  • 子どもの状態や支援方法などを文書にまとめ、就学先・就職先へ渡す
  • 就職予定の企業や官公庁などと連絡調整、および相談援助を行う
200単位/回(1回が限度)

関係機関連携加算は、あらかじめ保護者の同意を得る必要があります。Ⅱの場合、会議の開催までは求められていませんが、就職先が就労継続A型やB型では加算の対象とならないため注意しておきましょう。

欠席時対応加算

欠席時対応加算は、急病などによって利用ができなくなった際に利用児童本人や保護者に対して連絡調整やその他の相談援助を行うことで加算となります。

利用中止の当日・前日・前々日に連絡があった場合のみ算定対象となり、月4回が限度で加算単位は480単位/日です。

送迎加算

送迎加算は、家・学校と事業所間の送迎を行う場合に加算されます。算定される単位数は片道54単位/回となり、同一敷地内の他事業所間における送迎に関しては所定単位数の70%です。

また、医療的ケアが必要な子どもに対して看護職員を伴った送迎を行った際には、さらに37単位/回が加算となります。

訪問支援特別加算

訪問支援特別加算は、長期的に事業所を利用している子どもに対し、連続して5日以上の利用がなかった場合に放課後等デイサービス計画に基づいたうえで自宅へ訪問し、相談援助などを行った場合に取得できる加算です。

あらかじめ保護者の同意を得ることが条件で、支援の時間によって算定される単位数が異なります。

時間 単位数
1時間未満 187単位/回(月2回が限度)
1時間以上 280単位/回(月2回が限度)

月に2回算定する際には、算定後や事業所の利用後、再度同じように5日以上の利用がなかった場合のみ算定が可能となるため、出席状況などは必ずチェックしておきましょう。

特別支援加算

特別支援加算は、専門職員を配置して機能訓練や心理指導などを機能的に行う際に加算されます。専門職員とは、「理学療法士」「言語聴覚士」「作業療法士」「心理指導担当職員」「視覚障がい者の生活訓練を専門とする技術者の養成を行う研修を修了した方」「看護師」です。

加算される単位数は54単位/日になります。前もって所轄官庁へ届けを出す必要があるので注意しましょう。

利用者負担額上限管理加算

利用者負担額上限管理加算は、利用者からの求めに応じ、他の事業所なども含めた利用者負担上限の管理を行った場合に加算されます。月1回が限度となり、加算単位は150単位/回です。

上限管理をしている事業所だけの利用で、他の事業所の利用がなかった場合には算定することはできません。

延長支援加算

延長支援加算は、規定で定めている営業時間が8時間以上であり、その前後の時間において支援を行った場合に加算されます。営業時間には送迎のみの時間は含まれません。また、延長時間帯には直接支援従事者を1名以上配置することが基準となっています。

単位数は児童の状態や延長時間により異なります

児童の状態 延長時間 単位数
重症心身障がい児以外 1時間未満 61単位
1時間以上2時間未満 92単位
2時間以上 123単位
重症心身障がい児 1時間未満 128単位
1時間以上2時間未満 192単位
2時間以上 256単位

放課後等デイサービスの主な減算

次に、放課後等デイサービスで適用される5種類の減算について紹介します。

【放課後等デイサービスの主な減算】

  • 定員超過利用減算
  • 児童発達支援管理責任者欠如減算
  • サービス提供職員欠如減算
  • 個別支援計画未作成減算
  • 開所時間減算

減算の対象となってしまうと基本報酬がマイナスとなるため、経営が危うくなってしまうケースも少なくありません。減算を避けて質の高いサービスを提供できるよう、事前に対策を講じておくことが大切です。

ここでお伝えする減算される割合や条件について正しい情報をしっかりと頭に入れておきましょう。

定員超過利用減算

定員超過利用減算は、事業所を利用する定員がオーバーした際に適用されます。条件は以下のとおりです。

定員 条件
50名以下 当該定員の150%を超過した場合
51人以上 当該定員から50を引いた員数の125%に75を加えた数を超過した場合

また、過去3ヶ月間の平均利用者数が定員の125%を超過している場合も減算の対象になります。

上記に当てはまると、基本単位数の30%がマイナスされます

児童発達支援管理責任者欠如減算

児童発達支援管理責任者欠如減算は、人員配置基準で定められている児童発達支援管理責任者が、急遽退職などで不在のまま営業を続けた場合、翌々月から対象となります。欠如が改善される月まで継続して減算されるため、早急に対処しなければいけません。

児童発達支援管理責任者欠如減算は、基本単位数の30%が減算されます。3割減算が開始してから5か月目以降からは50%です。

サービス提供職員欠如減算

サービス提供職員欠如減算は、指定基準で定められている人員を満たしていない場合に対象となります。欠如している人員が1割を超えている場合は翌月から、1割未満の場合は翌々月からの減算です。

児童発達支援管理責任者欠如減算と同様に、人員欠如が改善される月まで継続して減算対象となるため、こちらも早急に人員を確保する必要があります。

減算される単位数は、減算開始から2ヶ月後までは基本単位数の30%、3ヶ月を超えると基本単位数の50%です。

個別支援計画未作成減算

個別支援計画未作成減算は、個別支援計画書の作成を行わないままにサービスを提供した場合に対象となります。減算適用月の期間により単位数が異なるため、下記の表で条件と一緒にしっかりチェックしておきましょう。

減算適用月 減算される単位数 条件
3ヶ月未満 基本単位数の30%減算
  • 児童発達支援管理責任者が計画書の作成を行わない
  • 作成時に担当者会議などを行っていない
  • 会議の記録が残っていない
  • 利用者本人や保護者に対して原案の説明を行い署名や捺印による同意を得ていない
  • 同意が得られた支援計画を交付していない
3ヶ月以上 基本単位数の50%減算

開所時間減算

開所時間減算は、運営規定で定められている営業時間が6時間未満の場合に対象になります。減算率と条件は以下のとおりです。

営業時間 減算率 条件
4時間以上6時間未満 基本単位数の15%
  • 休業日にサービスを提供する場合に適用される
  • 送迎のみの時間は含まない
  • 利用者側の都合によってサービス提供が6時間未満となった場合は減算対象にはならない
4時間未満 基本単位数の30%

学校がある日は開所時間減算の対象にはなりません。

まとめ:放課後等デイサービスの報酬は「加算」「減算」に注意!

本記事では、放課後等デイサービスの報酬の仕組みや主な加算・減算などについて解説しました。

放課後等デイサービスは、区分によって基本報酬が定められていますが、加算を取得することで報酬を増やすことが可能です。加算の対象になれば、収益が増えるだけでなくサービスの質を上げることもできます。積極的に取得を目指しましょう。

反対に、減算の対象になると基本単位数が大幅に減ってしまいます。そのため、加算の取得と減算の回避を同時にしないといけません。

本記事を参考に、報酬における基本的な情報はもちろん、加算・減算の項目についてもしっかりと理解を深め、効率よく報酬を上げられるよう徹底した施設作りを目指してください。



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