放課後等デイサービスは、6歳から18歳の障がいがある子どもを対象とした学童のような福祉施設です。子どもの居場所になりサポートできる児童福祉の…
放課後等デイサービスは、児童福祉法に基づき2012年に始まった障がい福祉サービスの1つです。障がいのある6〜18歳の就学児童を預かり、発達支援をおこなう場であることから、安全に運営しながら適切なサービスを提供することが求められます。
そのために人員基準が定められており、満たせていない場合は行政による改善指導を受けなければなりません。一方、人員基準を満たしたうえでさらに職員を配置できている場合は質の高いサービスを提供できるため、報酬の増額を受けることができます。
今回の記事では、放課後等デイサービスの人員配置基準や児童指導員加配加算、常勤換算の計算方法について紹介します。最後にはよくある質問にも答えているのでぜひ参考にしてください。
この記事を読む方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
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もくじ
【2022年最新】放課後等デイサービスの人員配置基準
まずは放課後等デイサービスの人員配置基準を確認しましょう。
職種 | 人員基準 |
管理者 |
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児童発達支援管理責任者 |
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児童指導員・保育士 |
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機能訓練担当職員 |
|
基本的な人員基準は上記のとおりですが、自治体によって異なる点もあるので注意が必要です。
ここからはそれぞれの職種について詳しい内容を紹介します。
管理者
管理者は各事業所に1名以上配置しなければなりません。常勤要件はなく、業務に支障がない範囲で他の職務と兼務が可能です。管理者になるために必要な資格は特にありませんが、何らかの施設運営等に携わった経験が求められる可能性があります。
管理者の仕事は事業所の運営に関わること全般です。主な内容として、職員の管理・利用者の調整・設備の安全管理・備品の準備等などが挙げられます。
児童発達支援管理責任者
児童発達支援管理責任者は省略して児発菅とも呼ばれます。各事業所に1名以上の配置が必要で、常勤かつ専任でなければなりません。厚生労働省の定める実務経験と研修の修了が認められれば、児童発達支援管理責任者として働くことが可能です。
児童発達支援管理責任者は、児童の発達支援に関して中心的な役割を担っています。主な仕事内容は、児童の特性や発達状況に応じて個別の支援計画を作成したり、支援に関わる外部とのやりとりをおこなったりすることです。さらに保護者の相談に応じることもあります。
業務に支障がない範囲で児童発達支援管理責任者が管理者を兼務しているケースも多いです。
児童指導員・保育士
児童指導員・保育士は、実際にサービスの提供をおこなう職員であるため人員基準のベースとなります。施設を利用する障がい児10人に対して2名の配置が求められており、そのうちの1名以上は常勤でなければいけません。
利用者が10人を上回る場合、1〜5人増えるごとに児童指導員か保育士を1名増やします。例えば、利用人数が13人なら児童指導員・保育士は合わせて3名、利用人数が17人なら児童指導員・保育士は合わせて4名配置しなければなりません。
「児童指導員」という資格はありませんが、厚生労働省の定める条件を満たすことで任用資格として認められます。保育士資格は、国家試験を合格するか保育士養成校を卒業することで得ることが可能です。
児童指導員や保育士は、子どもたちと一緒に遊んだり日常生活や課題の手助けをおこなったりするのが主な仕事です。また、子どもの様子をよく観察し、日々記録することも業務の一部になります。
機能訓練担当職員
機能訓練担当職員には常勤要件がなく、機能訓練の時間帯以外に配置する義務もありません。機能訓練担当職員として働くには、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの資格が必要です。
仕事内容は資格によっても異なりますが、理学療法士・作業療法士は日常的な基本動作や作業の訓練をおこない、言語聴覚士は言葉によるコミュニケーションの練習などをおこないます。
常勤換算で1名以上配置すると児童指導員等加配加算を受けられる
「常勤換算」とは、非常勤も含む従業者の労働時間を足して常勤の従業者が勤務すべき時間数で除することにより、常勤の従業者の員数に換算する方法のことを指します。
常勤換算方法で1名以上配置すると、より手厚いサービスを提供できる事業所とみなされ、児童指導員等加配加算を受けられるようになります。加算の対象は以下の表を参考にしてください。
加算区分 | 具体的な職種 |
理学療法士等(専門職員) |
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児童指導員等 |
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その他の従業者 |
|
児童指導員等加配加算によって算定できる単位数は、対象となる職種に加えて施設の種類や定員によっても異なるので注意が必要です。
重症心身障がい児を除く障がい児にサービスを提供する場合、1日あたりの単位数は以下のように定められています。
定員 | 理学療法士等 | 児童指導員等 | その他の従業者 |
〜10人 | 187単位 | 123単位 | 90単位 |
11〜20人 | 125単位 | 82単位 | 60単位 |
21人〜 | 75単位 | 49単位 | 36単位 |
重症心身障がい児に対してサービスをおこなう施設での1日あたりの単位数は以下のとおりです。
定員 | 理学療法士等 | 児童指導員等 | その他の従業者 |
5人 | 374単位 | 247単位 | 180単位 |
6人 | 312単位 | 206単位 | 150単位 |
7人 | 267単位 | 176単位 | 129単位 |
8人 | 234単位 | 154単位 | 113単位 |
9人 | 208単位 | 137単位 | 100単位 |
10人 | 187単位 | 123単位 | 90単 |
11人〜 | 125単位 | 82単位 | 60単位 |
児童指導員等加配加算を算定するメリット
ここからは、児童指導員等加配加算を算定することによってどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
【児童加配加算を算定するメリット】
- 質の高い支援をおこなえるようになる
- 報酬額の増額が期待できる
主にメリットとして挙げられるのは上記の2点です。それぞれの内容を詳しく解説します。
質の高い支援をおこなえるようになる
児童指導員等加配加算の対象となるのは、専門的な支援をおこなえる職員や実際に児童のケアをおこなうスタッフです。そういった人材を基準よりも多く配置することで、より質の高い充実した支援を実施できるようになります。
そうすることで他の放課後等デイサービスとの差別化を図ることができ、集客にもつながるでしょう。
報酬額の増額が期待できる
2021年の障がい福祉サービス費等の見直しによって、現在は基本報酬額が減少傾向にあります。一方で、質の高い施設がしっかり評価されるように人材配置に関する報酬も見直され、運営を続けていくうえで様々な加配が鍵となっていくようです。
児童指導員等加配加算を受ければその分支給額が増えるため、運営としても重要な報酬源になるでしょう。
放課後等デイサービスの人員配置における常勤換算の計算方法
先ほど述べたように、「常勤換算」とは実質的に常勤として何人働いているか換算するものです。計算方法は以下のようになります。
【常勤換算の計算方法】
「常勤職員の人数」+「(非常勤職員の勤務時間の合計)÷(常勤職員が勤務すべき時間)」
具体的な例を見ていきましょう。週32時間の勤務で常勤となり、勤務時間が32時間を下回る場合は非常勤の扱いになる放課後等デイサービスだとします。
AさんとBさんは週32時間・Cさんは週25時間・Dさんは週15時間勤務しているとしましょう。この場合、常勤と認められるのはAさんとBさんの2名だけであり、CさんとDさんは非常勤です。しかし、常勤換算の式に当てはめて計算すると以下のようになります。
2+{(25+15)÷32}=3.25
小数点第2位以下は切り捨てて3.2とします。実際の常勤は2名ですが常勤換算すると3.2名です。
放課後等デイサービスの常勤換算に関するよくある質問
最後に放課後等デイサービスの常勤換算に関するよくある質問に答えます。
【放課後等デイサービスの常勤換算に関するよくある質問】
- 常勤と非常勤の違いは何?
- 常勤換算とは何?
- 常勤の勤務すべき時間数が32時間を下回る場合はどうなる?
記事の内容の復習も兼ねて疑問に思っていることはここでしっかり確認しておきましょう。
常勤と非常勤の違いは何?
「常勤は正規雇用の社員」「非常勤はパートやアルバイト」と認識している人もいるかもしれませんが、そのような区分ではありません。常勤はあらかじめ定めらている勤務時間を満たして働いている状態を指します。
例えば、週あたりの常勤の勤務時間を32時間と定めている職場なら、週32時間以上働いている職員はパートでもアルバイトでも常勤です。常勤・非常勤と正規雇用・非正規雇用を混同しないように注意しましょう。
常勤換算とは何?
「常勤換算」とは、職員が実質的に常勤として何人働いているか換算するものです。週32時間で常勤とされる職場では、勤務時間が週32時間に達した人数だけが常勤と数えられますが、常勤換算すると非常勤として働いている人も計算に含まれるようになります。
常勤換算は先ほど紹介した式に当てはめて計算しますが、少数点第1位は切り捨てないため、「3.2名」というような中途半端な人数になることもあるでしょう。
常勤の勤務すべき時間数が32時間を下回る場合はどうなる?
2021年の報酬改定により、常勤要件および常勤換算要件に関して一部緩和する見直しがおこなわれました。
これまでは常勤の計算にあたり、基本的に週32時間以上の勤務で「常勤」と認められていたものの、育児の短時間勤務制度を利用する場合は週30時間以上で「常勤」とされていました。今回の見直しでは、育児に加えて介護の場合も短時間勤務制度が認められるようになったのです。
そして、常勤換算の際にも育児や介護によって短時間勤務制度を利用している人の場合は、週30時間以上の勤務であれば計算上も「常勤」として扱うことが認められています。
週32時間を下回ったからといって一律に非常勤としての扱いになってしまうわけではないので気をつけましょう。
まとめ:放課後等デイサービスを続けるうえで加配加算が重要となる!条件や計算方法に関してしっかり知識をつけよう
放課後等デイサービスでは、より安全で質の高いサービスを利用者に提供できるように、手厚い支援をおこなえる施設が優遇される仕組みになっています。専門的な職員や実際にサービス提供をおこなうスタッフを増やすことができれば、その分報酬の増額が見込めて他の施設との差別化も図れるはずです。
放課後等デイサービスは2012年に始まった比較的新しい業界であるため、まだ完全に制度が整っていません。これから先も人員配置や報酬制度に関する新たな規定が設けられるでしょう。
「常勤換算」「加配加算」など一見難しい用語も出てきますが、詳細内容や具体例を見てみると理解しやすいです。確実に運営を続け、スタッフを守れるようにするためにもしっかり知識をつけて新たな制度に対応していきましょう。
この記事を読んだ方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
すららネットでは上記問題を解決するためのセミナーを“期間限定”で開催中です。
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