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【児童発達支援の療育プログラム】3つの実施方法や選び方を完全解説

児童福祉法に基づき、障がいがある0歳から6歳の未就学児を支援する施設が児童発達支援です。障がいのある子どもを対象にしたサービスは需要が高まりつつあり、児童発達支援の開業を考えている方も多いでしょう。

しかし、その具体的なプログラムの内容について把握できていない方は少なくありません。また、療育プログラムを選ぶ際の基準がわからない方もいるでしょう。

そこで本記事では、児童発達支援における療育プログラムの基本的な情報をはじめ、具体的なプログラムの内容や選び方を詳しく解説します。適切な療育を提供できるように、この記事を参考に徹底した準備を行っていきましょう。



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児童発達支援の療育プログラムとは

そもそも療育プログラムとは、障がいがある子どもが地域社会や学校で健全に育つことができるよう、困難を乗り越えたり克服するために必要な支援を行い、さまざまなスキルや知識を学ぶためのものです。

児童発達支援の療育プログラムには、団体で行うものと個人で行うものがあります。障がいの特性や発達状況は一人ひとり異なるので、誰でも同じプログラムを受けるということではありません。

それぞれが抱えている障がいについて深く理解し、困難な部分だけではなく伸ばすべきポイントなどをしっかりと見極めて療育プログラムを作ることが大切です。

療育の効果

療育には主に下記のような効果が期待できます。

【療育で期待できる主な効果】

  • コミュニケーション能力の向上
  • 日常生活に必要な能力の習得
  • 自己肯定感が高まる
  • 身体能力の向上

児童発達支援を利用する子どもの多くは、コミュニケーション能力が低かったり基礎的な運動能力・学習能力が不足したりしている傾向があります。また、周囲と比べて何もできない自分自身に劣等感を感じてしまう子どもも少なくありません。

療育プログラムを行うことで、コミュニケーション能力や運動能力などを上昇させ、さまざまな知識やスキルを身につけることで自己肯定感を高めることができます。

療育の主な種類

療育には医学や心理学をベースに数多くの種類があり、それぞれ発達をサポートするためにとても重要な役割を持っています。

ここからは、主な療育の種類を5つ紹介します。それぞれの特徴をしっかりと把握し、どのようなアプローチを行うのか深く理解しておきましょう。

【療育の種類5選】

  • 応用行動分析(ABA)
  • TEACCH
  • 認知行動療法(CBT)
  • ソーシャルスキルトレーニング(SST)
  • 箱庭療法

応用行動分析(ABA)

応用行動分析(ABA)は、発達障がいがある子どもへのベースとなるアプローチ方法です。「強化」「弱化」「消去」の3つを基本原則とし、ある行動に対して環境的・心理的要因の両方向からアプローチします。

過去の経験がよいものであれば発展的に行い、反対に嫌な経験だった場合はその行動をしなくなるという知見から、成功体験を重ねて行動の変化を働きかける手法になります。

TEACCH

TEACCHは、自閉スペクトラム症の子どもやそれに準ずるグレーゾーンの本人、その家族を対象としたアプローチ法です。生涯にわたり支援するプログラムで、アメリカでは1972年以来行われており、日本に限らず数多くの国で普及しています。

視覚的構造化やワークシステムなどを活用したプログラムを実践しており、自閉症による発達の凸凹を治すのではなく、そのまま社会に順応できるよう、地域に根付いて包括的な個別支援を提供するのがTEACCHです。

認知行動療法(CBT)

心理療法の1つとなっている認知行動療法は、療育としても効果が期待されています。「認知療法」「行動療法」を合わせたアプローチ方法で、うつ病などの治療にも用いられることが多いです。

人間は、外界から刺激を受けて認知して行動を起こしますが、認知の仕方に歪みがあることでストレスを感じつことがあります。この歪みを修正するトレーニングを行うことで、自分の行動に自身を持てるように促すプログラムです。

ソーシャルスキルトレーニング(SST)

発達障がいがある子どもは、社会的なルールに気づくことができず、対人関係に困難が生じることがあります。ソーシャルスキルトレーニングは、そのような困難を解消するために、社会で生きていくうえで欠かせないスキルを身につけるための支援です。

状況に応じた振る舞いやコミュニケーションの方法などを習得することを目的としており、障がいがある子どもに限らず健常児やグレーゾーンの子どもにも積極的に取り入れられています。

ルールのある集団遊びを通じて行うことが多く、他の子どもとの関わりのなかでソーシャルスキルを身につけていきます。

箱庭療法

心理療法の1つでもある箱庭療法は、砂が入った箱の中にフィギュアやおもちゃを自由に置いて自分の庭を作り、自己表現をしたり物語を組み立てたりして遊ぶ方法です。

自己表現をして完成した作品を褒めてもらうことで、子どもの自己肯定感を高めることに繋がります。また、その作品から子どもが抱える深層心理を読み解くことも可能です。

児童発達支援の療育プログラムの方法

療育プログラムは、一人ひとりにどのようなアプローチが適しているかを見極め、提供する形を変えて行う必要があります。そのため、プログラムの提供方法について把握しておかなければ正しく支援を提供できません。

ここでは、療育プログラムを行う際の3つの方法について詳しく解説します。

【療育プログラムの3つの方法】

  • 大規模な集団で行う「集団療育」
  • 小さな集団で行う「小集団療育」
  • 子どもと職員が1対1で行う「個別療育」

大規模な集団で行う「集団療育」

集団療育は、主に5人から10人ほどの集団で行う方法です。遊びや物作りを他者と行うことで、感情のコントロール方法やコミュニケーションの取り方などを学べます。

メリットとデメリットは下記のとおりです。

メリット
  • コミュニケーションの方法を学びやすい
  • 人の真似をすることで行動を覚えやすい
  • 集団の中での主張や人に合わせることを学べる
デメリット
  • 対人関係の構築が苦手な子はストレスになりやすく負担に思う
  • コミュニケーションがうまく取れずにトラブルが起きてしまう
  • 集団行動に苦手意識を持ってしまう

上記のように、集団行動にストレスを感じて苦手意識を持ってしまうこともあります。集団療育を行う際には、子どもが無理をしすぎないように注意しなければいけません

小さな集団で行う「小集団療育」

小集団療育は、2人から3人の小規模な集団で行う療育プログラムです集団療育へ移行する前段階として取り入れられることが多く、個別療育と集団療育の2つの良い所をあわせ持った方法と言えます。

小集団療育のメリット・デメリットは下記の表をチェックしてください。

メリット
  • 発達段階に合わせた支援を提供できる
  • コミュニケーションや模倣を学ぶ機会になる
デメリット 施設の規模や在籍している指導員の人数によっては難しい

参加する人数が少ないため、指導員は全員に細かく目を配ることでき、予期せぬトラブルなどを事前に回避しつつ療育を進めていくことができます

しかし、少人数に対して1人の指導員を配置することになるため、他の子どもや職員とのバランスが難しいです。小集団療育を行うことで施設全体の進行や安全が妨げられることもあるので注意してください。

子どもと職員が1対1で行う「個別療育」

個別療育は、集団で療育を受けることが困難な子どもや、複数ではなく1対1での支援が適している子に用いられる方法で、さまざまなプログラムを取り入れて行われます。

個別療育のメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット
  • 発達に合わせてプログラム内容をカスタマイズできる
  • 特性に合わせた療育の提供をすることで子どもの負担が最小限となる
  • きめ細かな支援が提供できる
デメリット
  • 大人とのコミュニケーションしか経験できないため、子ども同士の関係構築が苦手になる
  • 集団に合わせたり主張するなどの経験ができない

個別療育は、子どもへの負担が一番少ないですが、コミュニケーションの練習にはなりません。また、集団に関する経験もできないので、集団療育・小集団療育も行う必要があります。

【テーマ別】児童発達支援の療育プログラムの例

「療育プログラムでは具体的にどのようなことを行うの?」「児童発達支援では実際にどういった活動をしているのか知りたい」このような疑問を抱えている方も多くいるのではないでしょうか。

児童発達支援の療育プログラムは、運動や学習など5つの異なるテーマに分けられます。それぞれの具体的な内容や実施する際のポイントなどについて、ここで詳しくみていきましょう。

【児童発達支援の療育プログラムのテーマ】

  • 運動
  • 音楽
  • 学習
  • コミュニケーション
  • 生活

運動に関する療育プログラム

運動に関する療育プログラムは、身体の基礎能力を身につけることを目的としていますイメージ通りに体を動かすことができるようにし、そのなかで行動力や判断力などを総合的に身につけることも可能です。

具体的には以下のようなものがあります。

【運動に関する療育プログラムの例】

  • 跳び箱
  • サッカー
  • マット運動
  • ボール遊び
  • 縄跳び
  • 鉄棒
  • トランポリン

運動に関する療育を行う場合、全員に同じ内容を提供するのではなく、得意・不得意でグループに分けて別途プログラムを作成しておきましょう。

運動が得意な子が簡単にできるのを間近で見ることで、自信をなくし運動療育を嫌がってしまうケースも少なくありません。苦手な子に対しては、成功体験を積み上げていけるものを検討し、達成感を得やすい内容にしてあげるのがおすすめです。

音楽に関する療育プログラム

音楽に関する療育プログラムでは、感受性の向上や表現力を育みます。音楽を聴くことにはリラックス効果もあるので、心を落ち着かせる効果が期待できるのも特徴です。

施設によっては、音楽と運動を掛け合わせたプログラムを提供しているケースもあり、他の内容と組み合わせやすいのも音楽療育の大きな特徴と言えます。

【音楽に関する療育プログラムの例】

  • 音楽を聴く
  • 歌を歌う
  • 音楽に合わせてダンスを踊る
  • 音を聞いて楽器を当てる
  • 楽器の演奏

リラックス効果を得ることができる反面、子どもによっては音がストレスになってしまうことも珍しくありません。とくに聴覚過敏の子どもにとっては負担が大きくなるため注意してください。

子どもの特性をしっかりと把握し、どの程度の音楽なら受け入れられるか様子を見ながら無理のない範囲で進めていきましょう。

学習に関する療育プログラム

学習に関する療育プログラムは、文字や数字の読み書き・計算などを中心としたプログラム内容で、主に学校などの教育機関での生活をスムーズに行うための支援です。

学力の向上を重視するのではなく、先生の話を聞き取る・勉強を集中して行うことなどを学びます。

【学習に関する療育プログラムの例】

  • 読み書き
  • 計算
  • 相手が話している言葉に対する理解する練習
  • 語彙を増やす
  • 授業中に着席する練習
  • 学習教材を使用した勉強

他のプログラムと比較すると、学習に関する療育は得意・不得意が顕著にあわられやすいのが特徴です。

集中力が続かない子どもには、短時間で終了できる内容にすることで、ストレスにならずスムーズに支援が行えます。集中力を持続できる子どもの場合は、しっかりとワークシステムを構築し、自身が得意としている分野に積極的に取り組めるようにしてあげましょう。

コミュニケーションに関する療育プログラム

コミュニケーションに関する療育プログラムは、言葉を話したり理解したりするだけでなく、表情・言葉のイントネーション・うなずきなどの動作・会話のキャッチボールなど、トータル的なコミュニケーション能力を養うことが目的です

コミュニケーションのみに特化したプログラムはあまりなく、以下のような内容を他の療育と掛け合わせて行います。

【コミュニケーションに関する療育プログラムの例】

  • あいさつ
  • 会話
  • 相手の感情を考えて理解する
  • 自分の感情を言葉で伝える

生活に関する療育プログラム

生活に関する療育は、日常生活を送るうえで必要なスキルを身につけることを目的としており、その延長には自立した生活が送れるようにすることも見据えています。

【生活に関する療育プログラムの例】

  • 排泄トレーニング
  • 食事のマナー講座
  • 交通ルールの理解・習得
  • 身だしなみ
  • 整理整頓や掃除

日常生活に欠かせないスキルを習得するためには、何度も繰り返して行うことが大切です。

児童発達支援の療育プログラムの選び方

さまざまな種類や内容がある療育プログラムは、何を提供すればいいのか迷ってしまう方も少なくありません。やみくもに色々なものを取り入れても、成果は見られず保護者から不信感を集めてしまいます。

ここからは、児童発達支援の療育プログラムを選ぶ際にとくに重要な項目を紹介します。

【児童発達支援の療育プログラムの選び方3選】

  • エビデンスがあるものを選ぶ
  • 子どもの特性に合うものを選ぶ
  • 子どもが楽しんで取り組めるものを選ぶ

選び方が分からない・何を提供すればいいか決められないという方は、ぜひここでお伝えする情報を参考にしてください。

エビデンスがあるものを選ぶ

取り入れようとしているプログラムが、実際に研究などで実証されたものなのかを必ず確認しておきましょう。先ほど紹介した「応用行動分析」「ソーシャルスキルトレーニング」などは、正しく評価されており方法論の確立もされています。

明確なエビデンスがないままに取り入れても、障がいがある子どもにとって良い効果が期待できるかどうかは分かりません。保護者からの信頼を失ってしまうことにもなるため、手当たり次第に取り入れるのではなく厳選することが大切です。

また、効率よく支援を提供できるように、必要に応じて知識や資格を持った心理士・理学療法士・言語聴覚士などの専門スタッフを配置しておきましょう。

子どもの特性に合うものを選ぶ

障がいがある子どもは、一人ひとりが持つ特性が異なります。同じ発達障がいであっても、得意なことや苦手なことはそれぞれ違うため、子どもの特性に合ったプログラムを選ぶようにしましょう。

また、これまでの支援を振り返り、何が合っているか常に検討してください。発達の速度も個々に違うため、それぞれの段階に合わせてプログラムを検討していきましょう。

子どもが楽しんで取り組めるものを選ぶ

本記事でもお伝えしているように、療育プログラムには数多くの種類があります。そのなかから、子どもが楽しんで取り組めるものを選ぶようにしましょう。

子どもが楽しめないプログラムでは、効果を得ることが難しいうえに継続もできません。子どもたちが興味のあることを把握し、無理なく楽しみながら学べる機会を提供しましょう。

児童発達支援の療育プログラムに関するよくある質問

最後に、児童発達支援の療育プログラムに関するよくある質問の中から、とくに重要な2つをピックアップして紹介します。

【児童発達支援の療育プログラムに関するよくある質問2選】

  • 児童発達支援と放課後等デイサービスの療育プログラムの違いは?
  • 集団療育のプログラムには何がある?

内容を深く理解し、適切な支援が行えるようにしておきましょう。

児童発達支援と放課後等デイサービスの療育プログラムの違いは?

児童発達支援と放課後等デイサービスは、それぞれの療育目的に大きな違いはありません。どちらも日常生活における必要な知識や能力を訓練するという点は共通しています。

プログラムの内容は事業所により異なるため、本記事で紹介した「療育プログラムの選び方」のように、「自分の事業所ではどのような支援を提供したいか」「何を取り入れたいか」を明確にしてプログラム内容を考えるようにしてください。

集団療育のプログラムには何がある?

具体的な集団療育のプログラムは下記のようなものがあります。

【集団療育のプログラム例】

  • 粘土や折り紙などを用いた造形活動
  • 椅子取りゲーム
  • 料理体験
  • ボール入れゲーム
  • サッカーやバスケットボールなどのスポーツ

集団療育では、ルールを守ったりそれぞれの役割を振り分けて作業をすることで、人とのかかわり方やコミュニケーション能力を身につけていきます。

ゲームやスポーツでは、勝ち負けを決めることで勝った喜びや負けた悔しさなどを体験し、感情のコントロールができるようにするなど、それぞれ生活に必要な機能の訓練に繋がっています。

まとめ:子どもの将来のために必要な支援を提供するためには、プログラムに対する理解と知識が必要!

本記事では、児童発達支援の療育プログラムについて詳しく解説しました。さまざまな種類の療育プログラムがありますが、子どもに合った支援を行うためには、それぞれのプログラム内容に対する理解や知識をしっかりと身につけることが大切です。

子どもが持つ障がいの特性に対しても深く理解し、楽しみながら取り組める内容を見極め、子ども本人も指導員も笑顔で過ごせる施設を目指してください。

質が高い療育ができれば、保護者からの信頼も強くなり子どもも安心して通い続けられます。本記事でお伝えした情報を参考に、児童発達支援の療育プログラムに関する知識をさらに身につけていきましょう。



この記事を読んだ方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?

  • 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
  • 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
  • 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
  • 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」

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