仕事や勉強が順調にいかずに困っている方に見直してほしいのが、認知特性についてです。自分の認知特性を把握して動くことで、物事への取り組み方・人…
令和6年度報酬改定により、放課後等デイサービスは新たに5領域との関連を明確にした個別支援計画が義務付けられる法改定が行われました。
本記事では、法改定前の個別支援計画書から法改定後の個別支援計画にどのような変化があったのか、鹿児島県にある事業所、たけのこ療育支援事業所に通う小学3年生の児童の具体的な対応例をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
この記事を読む方で放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「5領域を踏まえた個別支援計画の立て方を知りたい」
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
すららネットでは上記問題を解決するためのセミナーを”期間限定”で開催中です。
放課後等デイサービスの競争に勝ち残る経営者として、 『学習支援』を武器に<選ばれる放デイ経営>を目指してみませんか? セミナー参加者限定で”学習教材「オンライン学習すらら」を2週間”無料”で利用できる体験IDもプレゼントしています!
5領域とのつながりを明確化した支援プログラム作成と公表の義務化
法改定により、放課後等デイサービスにおける5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)を踏まえた個別支援計画が義務付けられました。こどもの状態等も踏まえながら、自立に向けた支援を計画的に行うためです。
では、5領域とはどのようなものでしょうか。制度の詳細について見てみましょう。
【5領域とは】
- 健康・生活
- 運動・感覚
- 認知・行動
- 言語・コミュニケーション
- 人間関係・社会性
健康・生活
5領域の「健康・生活」では、こどもたちの健康的な生活習慣の確立と、日常生活スキルの向上を目指します。
- 指導員や友達と触れ合い、安定感をもって行動する。
- いろいろな遊びの中で十分に身体を動かす。
- 進んで戸外で遊ぶ。
- 様々な活動に親しみ、楽しんで取り組む。
- 指導員や友達と食べることを楽しみ、食べ物への興味や関心をもつ。
- 健康な生活のリズムを身に付ける。
- 身の回りを清潔にし、衣服の着脱、食事、排泄などの生活に必要な活動を自分でする。
- 生活の仕方を知り、自分たちで生活の場を整えながら見通しをもって行動する。
- 自分の健康に関心をもち、病気の予防などに必要な活動を進んで行う。
- 危険な場所、危険な遊び方、災害時などの行動の仕方が分かり、安全に気を付けて行動する。
指導員や友達との触れ合いを通じた日常生活に寄り添った支援をすることにより、こどもたちは基本的な生活スキルを身につけ、自立した生活を送る基礎を築くことができます。
運動・感覚
5領域の「運動・感覚」では、身体機能の向上と感覚の統合、身体的発達と環境適応能力の向上を目指します。
- 生活の中で様々な音、形、色、手触り、動きなどに気付いたり、感じたりするなどして楽しむ。
- 生活の中で美しいものや心を動かす出来事に触れ、イメージを豊かにする。
- 様々な出来事の中で、感動したことを伝え合う楽しさを味わう。
- 感じたこと、考えたことなどを音や動きなどで表現したり、自由にかいたり、つくったりなどする。
- いろいろな素材に親しみ、工夫して遊ぶ。
- 音楽に親しみ、歌を歌ったり、簡単なリズム楽器を使ったりなどする楽しさを味わう。
- かいたり、つくったりすることを楽しみ、遊びに使ったり、飾ったりなどする。
- 自分のイメージを動きや言葉などで表現したり、演じて遊んだりするなどの楽しさを味わう。
ボールを使った運動、カードや音楽を使用するさまざまな感覚を刺激するゲームを通じてこどもたちの運動能力を高め、日常生活での動作がスムーズになるよう支援します。また、感覚が過敏なこどもにも配慮した環境を作り、楽しみながら身体機能の向上ができるよう支援します。
認知・行動
5領域の「認知・行動」では、 思考力・判断力の育成と行動調整、学習能力の向上と適切な行動の獲得 のための支援を提供します。
- 自然に触れて生活し、その大きさ、美しさ、不思議さなどに気付く。
- 生活の中で、さまざまな物に触れ、その性質や仕組みに興味や関心をもつ。
- 季節により自然や人間の生活に変化のあることに気付く。
- 自然などの身近な事象に関心をもち、取り入れて遊ぶ。
- 身近な動植物に親しみをもって接し、生命の尊さに気付き、いたわったり、大切にしたりする。
- 日常生活の中で、我が国や地域社会における様々な文化や伝統に親しむ。
- 身近な物を大切にする。
- 身近な物や遊具に興味をもって関わり、自分なりに比べたり、関連付けたりしながら考えたり、試したりして工夫して遊ぶ。
- 日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ。
- 日常生活の中で簡単な標識や文字などに興味をもつ。
- 生活に関係の深い情報や施設などに興味や関心をもつ。
- 事業所内外の行事において国旗に親しむ。
パズルや迷路などの思考力を養うゲームをしたり、ソーシャルストーリーを用いた行動学習、視覚的なしかけを使用したスケジュールの活用により、こどもたちの問題解決能力を向上させます。また、認知行動療法の手法を取り入れた指導や注意力・集中力を高めるトレーニングをしながら認知機能や適切行動な行動をとることができるよう促し、学習能力の向上にもつながるよう支援します。
言語・コミュニケーション
5領域の「言語・コミュニケーション」では、言語理解・表現力の向上、他者との意思疎通能力の発達を目指します。
- 指導員や友達の言葉や話に興味や関心をもち、親しみをもって聞いたり、話したりする。
- したり、見たり、聞いたり、感じたり、考えたりなどしたことを自分なりに言葉で表現する。
- したいこと、してほしいことを言葉で表現したり、分からないことを尋ねたりする。
- 人の話を注意して聞き、相手に分かるように話す。
- 生活の中で必要な言葉が分かり、使う。
- 親しみをもって日常の挨拶をする。
- 生活の中で言葉の楽しさや美しさに気付く。
- いろいろな体験を通じてイメージや言葉を豊かにする。
- 本や物語などに親しみ、興味をもって聞き、想像をする楽しさを味わう。
- 日常生活の中で、文字などで伝える楽しさを味わう。
絵カードを使用したコミュニケーション訓練やロールプレイングによる会話練習、読み聞かせと感想の共有や言語聴覚士による専門的指導を通じて、こどもたちが自分の思いを適切に表現し、他者とのコミュニケーションをスムーズにできるよう促します。そして、語彙力や文章理解力の向上も目指します。
人間関係・社会性
5領域の「人間関係・社会性」では、対人関係スキルと社会ルールの習得、社会参加と自立生活の促進などを目指します。
- 指導員や友達と共に過ごすことの喜びを味わう。
- 自分で考え、自分で行動する。
- 自分でできることは自分でする。
- いろいろな遊びを楽しみながら物事をやり遂げようとする気持ちをもつ。
- 友達と積極的に関わりながら喜びや悲しみを共に共感し合う。
- 自分の思ったことを相手に伝え、相手の思っていることに気付く。
- 友達のよさに気付き、一緒に活動する楽しさを味わう。
- 友達と楽しく活動する中で、共通の目的を見いだし、工夫したり、協力したりなどする。
- よいことや悪いことがあることに気付き、考えながら行動する。
- 友達との関わりを深め、思いやりをもつ。
- 友達と楽しく生活する中で決まりの大切さに気付き、守ろうとする。
- 共同の遊具や用具を大切にし、皆で使う。
- 高齢者をはじめ地域の人々などの自分の生活に関係の深いいろいろな人に親しみをもつ。
グループ活動を通じた協調性の育成やソーシャルスキルトレーニングの実施、感情コントロールの指導により他者の気持ちを考える訓練をしながら地域社会との交流活動をします。そして、こどもたちが他者との適切な関わり方を学び、社会生活に必要なスキルを身につけ、自己肯定感の向上にもつながるよう支援します。
鹿児島県にある事業所 たけのこ療育支援事業所の具体例
ケーススタディ 小学3年生の児童
特定非営利活動法人たけのこキッズが運営する事業所、たけのこ療育支援事業所は鹿児島県鹿児島市にあります。
たけのこ療育支援事業所は、2021年5月にすららを導入し個別支援計画の一つとして活用している、とても家庭的な雰囲気の事業所です。
のびのびとした日常生活や遊びの中で発達上の課題を見いだし、こどもの個性を大切にしながら、療育によるこどもへの直接的な働きかけを実践しています。そして長所を大事に伸ばしながら、苦手を克服していきます。
次は、ここに通う小学3年生の児童の具体的な個別支援計画について解説したいと思います。
児童が放課後等デイサービスを利用することになった経緯
- 学校で座っていられない。
- 目に入ったところへ行ってしまう。(ジャングルジム)
- 視界が狭い(下に集中すると上の部分が全く視界に入らない)
- 「まって」「あとちょっと」が多く気持ちの切り替えができない。
- 漢字の読み書きが苦手。
- 文章を正確に読むこと、文章問題が苦手。算数は得意。
- 人の世話を焼くのが好きでやさしい、半面行き過ぎて疎まれる。
- 友達とトラブルになりやすい。しつこく「仲間にいれて」
児童は保育園の生活の中で、周囲の子に比べて指示が入らない、座れない、話が聞けないなどがあり、療育を利用することになりました。
そして、小学校入学前に行ったすらら体験会の参加を経て、現在は週1回すららを利用中です。
令和3年にクリニックで発達検査を実施し、知的水準、言語理解、知覚推理ワーキングメモリは平均でしたが視覚聴覚処理速度が平均以下、ADHDの要素ありとの判定となりました。
入学当初より教室にとどまることが困難で、教室から目に入る校庭のジャングルジムや山にふらっと行ってしまうため、先生方も探しに行っていました。そして、友達にしつこく「仲間に入れて」と言い続けたり正義感からの過度なおせっかいをしたり、友達とのトラブルも多くありました。
現在は、学校内に児童のための「気持ちを落ち着ける部屋」を用意してくれています。そして、今は何をする時間か視覚的に入れて忘れないように「授業中」「掃除の時間中」など絵カードを机の上に置くなどしています。
個別支援計画の改定前と改正後の違い
では、改定前の制度の個別支援計画から改定後はどのように記載方法が変わったのでしょうか。以下で具体的に見てみましょう。
個別支援計画の作成方法
担任や特別支援教育コーディネーターを中心として、児童生徒、保護者の現在の様子や今後の希望を聞きとりを行います。その上で、担任が特別支援教育コーディネーターのアドバイスを受けながら「個別の教育支援計画」の原案を作成します。
法改定前の5領域に結びつきのない個別支援計画の内容
これは、法改定前に作成されていた個別支援計画です。(イメージ)
- <本人・家族の意向>
- ①落ち着いて楽しくすららに取り組んでほしい。
- ②気持ちの切り替えができるようになってほしい。
- ③姿勢保持ができるようになってほしい。
- <総合的な支援方針>
- 学校の授業に苦手なく、また落ち着いて取り組めるように学習支援を通して自信をつけてもらい学校生活に活かしてもらう。
- <長期目標>
- 解説の時間やゲームテストの時間(5~10分)に絞ってその時間は離席なく姿勢を保てるようになること。
- <短期目標>
- ①すららに取り組む姿勢や集中している姿について、クエスト(エッグ)に惑わされずに自分の課題に取り組めるようになること。
- ②終わりの時間を見通して途中でもセーブできるようになること。(誰よりもすららを頑張っていることはほめ続けていく)
これらを受けて、本人のニーズ等の項目にある「学習」「情緒」「注意力」の3項目では、それぞれに対して具体的な達成目標を記入し、支援内容を決定しています。
- <項目>
- ①学習
- ・具体的な達成目標
- 算数:かさ、おもさ 教科書に沿って進めていくこと。
- 国語:文章問題をとくために文章の骨組を知ること。
- ほぼ教科書の進行に沿って進めている。自分でログイン作業も覚えて「先生今日はどこやるの」と意欲的である。
- ・支援内容
- 国語の文章問題は、1回の参加で1ユニット取り組めるように機会を見て約束等して習慣をつけていこうと考えている。一緒に読んでわからないところは補足を行い、解けた喜びの積み重ねをしていくこと。
- ②情緒
- ・具体的な達成目標
- ユニットの開設中は離席せずに終わってから興味のある場所や友達のところに見にいけるようになること。(継続)
- ・支援内容
- 楽しんで取り組んでいることの表現の1つではあるが、離席して友達のところに行ってアピールをしてしまう。アピールをしたことで気持ちを一つ切り替えることにもつながっているが、相手は集中を解いたり、解説を中断する場面もあるので、解けた喜びのアピールは素晴らしいと肯定しつつ、相手がユニットを終わってからだと嬉しいな等、モチベーションが下がらないような声掛けをすることで、待ってもらえる回数、離席をしない回数を増やしていきたい。
- ③注意力
- ・具体的な達成目標
- すらら上のトークン機能などが本児との相性の良さもあり集中力、持続力の向上につながっていると思われるので、今後も機能を最大限生かして集中力を伸ばしていくこと
- ・支援内容
- 国語の文章問題中(苦手なところ)の集中力が「わかんない」と途切れやすいように感じるので、とにかく一緒に楽しむ、正答を一緒に喜ぶことを積み重ねていくこと。苦手意識を少しでも減らすこと。
ところが、改定前の個別支援計画の場合、具体的な達成目標と支援内容は明確に書かれていますが、5領域の「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」のどの支援に関する支援内容かは書かれていません。これらの個別支援計画の内容を踏まえて、これをどのように法改正後の5領域に結び付ければいいのでしょうか。
法改正後の5領域を意識した個別支援計画を作成する過程
法改定後の個別支援計画は、まず初めに利用児及び家族の生活に対する意向を記入します。法定正前より身近な生活に寄り添った意向を反映する書き方に変わりました。(イメージ)
- <本人・家族の意向>
- ①姿勢保持ができるようになってほしい。
- ②離席が減ってほしい。
- ③集中して取り組んでほしい。
- ④文章を正確に読んで欲しい。
- <総合的な支援方針>
- 文章を1段落、姿勢よく最後までゆっくり読めるようになることによって文章の理解度を高めることと姿勢保持の時間の延長を目指します。
- <長期目標>
- ①文章を読み抜けなく正確にゆっくり読めるようになること。
- ②姿勢保持の時間を少しずつ伸ばしていくこと。
- <短期目標>
- ①好きな分野のユニット1つ、苦手な分野のユニット1つをすることがルーティン化できるようになること。
- ②終わりの時間を見通して途中でもセーブできるようになること。(継続)
これらを受けて、本人のニーズ等の項目にある「学習」「情緒」「注意力・集中力」「表現・行動」「姿勢」の5項目では、それぞれに対して具体的な達成目標を記入し、支援内容(内容・支援の提供上のポイント・5領域との関連性等)を決定しています。
- <項目>
- ①学習
- ・具体的な達成目標
- 文章を1段落正確にゆっくり読めるようになること。
- ・支援内容(内容・支援の提供上のポイント・5領域との関連性等)
- 職員が一緒に声を出して読んで読み抜けがないように注意して正確に文章を読むことの上達を目指すこと。
- ※5領域の「認知や行動」に関連。留意事項は一緒に読む、交互に1行読むこと。
- ②情緒
- ・具体的な達成目標
- すららを始めるまでの時間を約束して少しずつ早くログインできるようになること。
- ・支援内容(内容・支援の提供上のポイント・5領域との関連性等)
- ユニットやクエストを時間内にクリアするためにはどう行動することがいいのかを具体的な見通し(アラーム、約束)を通じて伝えていくこと。
- ※5領域の「健康や生活」に関連。留意事項は本児にアラーム開始のボタンを押してもらうこと。
- ③注意力・集中力
- ・具体的な達成目標
- 自分のユニット中は離席せずに席上から気持ちを表出できるようになること。
- ・支援内容(内容・支援の提供上のポイント・5領域との関連性等)
- これがおわったら・次・3分後など具体的な数字を伝えて「持続的注意や選択的注意」の力を伸ばしていくこと。
- ※5領域の「言語やコミュニケーション」に関連。留意事項は姿勢保持にこだわりすぎないこと。
- ④表現・行動
- ・具体的な達成目標
- ユニットをクリアしたこと、アバターやアイテムを獲得できたことのうれしさを自分の席上で上限できるようになること。
- ・支援内容(内容・支援の提供上のポイント・5領域との関連性等)
- 達成できたこと、クリアできたことはたくさんほめていきながら、「今他の子は自分の課題に取り組んでいる」と一緒に周囲を見て状況の理解を深めていくこと。
- ※5領域の「人間関係や社会性」に関連。
- ⑤姿勢
- ・具体的な達成目標
- 3分を目標に良い姿勢保持に挑戦していくこと。
- ・支援内容(内容・支援の提供上のポイント・5領域との関連性等)
- 滑り止めマットを使用すること。
- 使用の目的や良い姿勢のメリットを納得するまで説明すること。良い姿勢保持にもトークンを取り入れてモチベーションの向上を狙うこと。
- ※5領域の「運動や感覚」に関連。留意事項はタイマーを活用すること。
ここでポイントになるのは、法改定前の個別支援計画書の本人のニーズ等の3項目が、法改定後は5項目に増えたところです。5領域に対応することが義務付けられたことで、さらに支援内容には5領域との関連性が具体的に書かれるようになりました。
この他、達成時期が新しく設けられ、すべて6か月と設定されました。また、担当者、提供機関(たけのこ療育支援事業所)についての記載が増え、改正後の個別支援計画書の内容はとても具体的な支援内容で見やすく、分かりやすいものとなっています。
ところが、この法改定後の個別支援計画は5領域との関連性が書かれるようになったものの、それぞれの支援内容のつながりはあまり感じられません。
個別支援計画1からさらに5領域を意識した個別支援計画2の作成
こちらの個別支援計画書の本人のニーズ等は、児童に特に支援したい内容を「学習」「情緒 表現・行動」「注意力・集中力 姿勢」と3項目に分け、具体的な達成目標と支援内容の中で支援内容のつながりのあるものをまとめ、5領域との関連性等を意識した書き方になっています。(イメージ)
では、初めに作った個別支援計画1と少し改良された個別支援計画2の違いはどこにあるのでしょうか。
利用児及び家族の生活に対する意向、総合的な支援方針、長期目標、短期目標には特に変化はありません。
次に、項目(本人のニーズ等)を見てみましょう。学習の項目は文章を1段落正確にゆっくり読めるようになろう。という具体的な達成目標で、職員が一緒に声を出して読んで読み抜けがないように注意して正確に文章を読むことの上達を目指します、という支援内容に変わりはありません。
変わったのはこの次の項目です。この個別支援計画2では、「情緒」「表現・行動」を1つの項目にまとめ、「注意力・集中力」「姿勢」を1つの項目とまとめることにしました。
-
- <項目(本人のニーズ等)>
- ①情緒 表現・行動
- ・具体的な達成目標
- すららソフトを始めるまでの時間を約束して少しずつ早くログインできるようになること。
- ・支援内容(内容・支援の提供上のポイント・5領域との関連性等)
- ユニットやクエストを時間内にクリアするためにはどう行動することがいいのかを具体的な見通し(アラーム、約束)を通じて伝えていくこと。
- ※5領域の「健康や生活」に関連。留意事項は本児にアラーム開始のボタンを押してもらうこと。
- ・具体的な達成目標2
- ユニットをクリアしたこと、アバターアイテムを獲得できたことのうれしさを自分の席上で表現でいるようになること。
- ・支援内容(内容・支援の提供上のポイント・5領域との関連性等)
- 達成できたこと、クリアできたことはたくさんほめていきながら、「今他の子は自分の課題に取り組んでいる」と一緒に周囲を見て状況の理解を深めていくこと。
- ※5領域の「人間関係や社会性」に関連。留意事項は一緒に周りを見る。
つまり、個別支援計画書1で3番目に挙げていた自分のユニット中は離席せずに席上から気持ちを表出できるようになること、という具体的な達成目標を3番目に移動して、順番を入れ替えたのです。
- ②注意力・集中力 姿勢
- ・具体的な達成目標1
- 自分のユニット中は離席せずに席上から気持ちを表出できるようになること。
- ・支援内容(内容・支援の提供上のポイント・5領域との関連性等)
- これが終わったら・次・3分後など具体的な数字を伝えて「持続的注意や選択的注意」の力を伸ばしていくこと。
- ※5領域の言語やコミュニケーションに関連。留意事項は姿勢保持にこだわりすぎないようにすること。
- ・具体的な達成目標2
- 3分を目標に良い姿勢保持に挑戦していくこと。
- ・支援内容(内容・支援の提供上のポイント・5領域との関連性等)
- 滑り止めマットを使用すること。使用の目的や良い姿勢のメリットを納得するまで説明すること。良い姿勢保持にもトークンを取り入れてモチベーションの向上を狙うこと。
- ※5領域の「運動や感覚」に関連。留意事項はタイマーを活用すること。
2つの具体的な達成目標を1つの項目にまとめ、それぞれを5領域にあてはめることで、法改定前より支援内容のつながりを意識して5領域との関連付けを明確にすることができました。
このように、5領域との関連を明確にしつつ支援内容と支援の提供上のポイントのつながりを意識した書き方をして、こどもの意思を尊重しながら最善の利益を優先するための配慮をした書き方に変えることができました。
いかがでしたでしょうか。
本記事では、5領域を踏まえた法改定前後での個別支援計画の変化について、たけのこ療育支援事業所さんの具体的な対応例を紹介させていただきました。
ご参考になりましたら幸いです。
この記事を読む方で放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「5領域を踏まえた個別支援計画の立て方を知りたい」
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
すららネットでは上記問題を解決するためのセミナーを”期間限定”で開催中です。
放課後等デイサービスの競争に勝ち残る経営者として、 『学習支援』を武器に<選ばれる放デイ経営>を目指してみませんか? セミナー参加者限定で”学習教材「オンライン学習すらら」を2週間”無料”で利用できる体験IDもプレゼントしています!