放課後等デイサービスは、施設単体での活動だけではなく、地域や学校との連携が欠かせません。とくに、子どもが通っている学校とはしっかりと情報を共…
何らかの事情により学校に行けなくなり、不登校になってしまう生徒は全国で数多くいます。こうした子どもたちの居場所として注目されているのがフリースクールです。
フリースクールの開業では必要な資格・免許がなく、新規で立ち上げを考えている方も多いでしょう。また、大きなやりがいから就業を考えている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、フリースクールの基本情報から5つの種類、開業する際のポイントまで詳しく解説します。出席扱い制度や卒業後の子どもの進路などについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
この記事を読む方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
すららネットでは上記問題を解決するためのセミナーを“期間限定”で開催中です。
放課後等デイサービスの競争に勝ち残る経営者セミナーとして、 『学習支援』を武器に<選ばれる放デイ経営>を目指してみませんか? セミナー参加者限定で”学習教材「オンライン学習すらら」を2週間”無料”で利用できる体験IDもプレゼントしています!
もくじ
フリースクールの概要
「フリースクール」という言葉は聞いたことがあっても、詳しい概要について把握できていない方は多いです。正しい情報をしっかりと身につけるために、まずはフリースクールの概要を6つのポイントでお伝えします。
【フリースクールの概要】
- フリースクールとは
- フリースクールの対象年齢
- フリースクールの活動・授業内容
- フリースクールの入会金・授業料の平均額
- フリースクールとサポート校の違い
- フリースクールと適応指導教室との違い
フリースクールとは
フリースクールとは民間の教育施設で、何らかの理由から学校に行かない子どもに学習や生活などの支援を提供します。個人・NPO法人・ボランティア団体など、運営媒体はさまざまとなっており、スクールにより方針や教育理念が異なるのが特徴です。
また、学校のようにカリキュラムが設定されていないのも大きなポイントの1つと言えます。子ども一人ひとりの状況や学力などに合わせて支援を提供するのが基本です。
週5日開校しているのは通常の学校と同じですが、毎日の通学は強制ではなく、その日にやることも子どもが自由に決められます。
フリースクールの対象年齢
フリースクールには、小学生から中学生・高校生のみを受け入れている施設もあれば、20歳ほどの社会人も通えるスクールも存在します。基本的に入学のための資格や受けるべき試験などもありません。
フリースクールに通っている子どもの多くは、さまざまな事情によって学校に行けない児童です。主となる理由は下記のようなものがほとんどですが、その他にも子ども一人ひとりが抱えている悩みや不安は多くあります。
【フリースクールに通う子どもの主な不登校理由】
- いじめにあったことで学校に行くのが怖い
- 学校生活にうまく馴染めない
- 授業についていけない
- 段々成績が落ちてきた
- 受験のストレスに疲れてしまった
フリースクールの活動・授業内容
フリースクールの最大の特徴が、その日の活動内容を本人が決められることです。定められたメニューや授業内容がある施設も存在しますが、ほとんどの場合は子ども本人が選べます。
フリースクールの活動内容について文部科学省が行った調査結果をみてみましょう。
活動内容 | 実施率 |
個別の学習支援 | 85.2% |
授業・講義形式による学習支援 | 32.8% |
見学や職場体験などの社会体験 | 60.4% |
自然観察や農業体験などの自然体験 | 63.5% |
昼食づくりなどの調理体験 | 64.4% |
音楽・美術・工芸などの芸術活動 | 59.3% |
スポーツ | 66.1% |
宿泊体験 | 34.8% |
子どもたちによるミーティング | 41.0% |
学習成果・演奏・作品などの発表会 | 29.1% |
相談・カウンセリング | 82.3% |
家庭への訪問 | 40.7% |
その他特色ある活動 | 26.8% |
引用:文部科学省「民間の団体・施設との連携等に関する実態調査」
とくに多いのが個別の学習支援で、その実施率は約85%です。一方、同じ学習支援でも授業や講義形式によるものは実施率が約33%とかなり低くなっています。
また、相談・カウンセリングも約82%と高い実施率があり、家庭への訪問は約41%という結果が出ました。
フリースクールの入会金・授業料の平均額
文部科学省の調査によると、フリースクールの入会金の平均は約5万3,000円ほどとなっており、およそ3割が1万円から3万円の間で設定しています。
また、授業料は平均3万3,000円となり、およそ4割程度の施設で設定されているのが1万円から3万円です。詳しくは下記の表で確認してください。
入会金 | 5,000円未満 | 13.9% |
5,001円から1万円 | 18.6% | |
1万1円から3万円 | 31.4% | |
3万1円から5万円 | 18.0% | |
5万1円から10万円 | 5.7% | |
10万1円以上 | 12.4% | |
授業料 | 5,000円未満 | 9.5% |
5,001円から1万円 | 5.7% | |
1万1円から3万円 | 38.2% | |
3万1円から5万円 | 36.3% | |
5万1円以上 | 10.3% |
引用:文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」
フリースクールとサポート校の違い
フリースクールとサポート校には、どちらも民間の教育機関であるという共通点があります。そのため、同じような存在として認識している方も少なくありませんが、実はフリースクールとサポート校には大きな違いがあります。
大きな違いとして挙げられるのが入学資格です。フリースクールの場合、基本的に入学資格は設けられていませんが、サポート校では「中学校卒業見込み者」「通信制高校への在籍がある」など、制限されていることも多くあります。
これは、サポート校が通信制高校に通う生徒のための教育施設として運営しているからです。
フリースクールと適応指導教室の違い
適応指導教室は、それぞれの市町村における教育委員会が管理している施設で、不登校の小学生や中学生を対象に居場所の提供や学校への復学を目的として活動しています。
フリースクールの場合、その日に行うカリキュラムなどは組まれていないことがほとんどですが、適応指導教室は1日のカリキュラムが決められており、それを基に過ごすことが基本です。
また、適応指導教室は不登校の子どもへの居場所の提供が主な目的となっています。そのため、学習に関しては基本的に独学で行う必要があり、学習支援を希望する場合はフリースクールの方が最適です。
フリースクールの5つの種類
フリースクールは大きくわけて5つの種類に分類されます。
【フリースクールの5つの種類】
- 子どもが安心できる居場所になるタイプ
- 学校への復帰を目指すタイプ
- 専門家によるトレーニングを受けられるタイプ
- 自宅に訪問してくれるタイプ
- 共同生活をするタイプ
それぞれの特徴について理解し、どのタイプの施設を立ち上げるのか決めましょう。
①子どもが安心できる居場所になるタイプ
まず第一に、子どもが安心できる居場所となることを目的としたタイプがあります。学習や生活のためのスキルなど、重点的に学ぶ内容は異なりますが、主な目的は子どもの居場所としての存在です。
不登校の子どものほとんどは、自分に自信が持てなかったり将来に対する希望が見出せないなど、ネガティブ志向が強い傾向にありますが、スタッフや他の子どもと一緒に過ごすことで、学ぶ意欲や自信を取り戻し自己肯定感を高めることに繋がります。
②学校への復帰を目指すタイプ
目指すべきゴールを学校への復学としているフリースクールは少なくありません。復学した際にスムーズに授業に参加できるよう、通っている学校の授業速度やカリキュラムに合わせて学習支援を提供します。
卒業が近い生徒には進路に対するサポートなども行っているため、居場所としての役割はもちろんのこと、進学に関しても相談できる頼れる存在としてフリースクールがあります。
③専門家によるトレーニングを受けられるタイプ
ただ単に子どもの居場所となるだけではなく、医療機関などと連携して専門家によるトレーニングを提供しているフリースクールもあります。
不登校の子どもの中には、発達障がいや学習障がいなどにより人間関係や学習面で困難を感じる児童も少なくありません。こうした子どもの状況や特性を理解し、専門的な知識を持ったプロがトレーニングを行うことで、生きにくさを軽減することが可能です。
④自宅に訪問するタイプ
家の外に出ることや通学に対してのハードルが高い子どもに対しては、スタッフが直接家に訪問するタイプが適しています。勉強だけに限らず、子どもが興味のあること・ゲーム・運動などを共にやることで、外出意欲を取り戻すことが主な目的です。
引きこもりや不登校の期間が長引いている子どもの場合、簡単に外出することはできません。子どもが安心できる自宅という場所でまずはスタッフとの信頼関係を構築し、少しずつ外に出ることを目指した支援を行います。
⑤共同生活をするタイプ
スタッフや他の子どもと共同生活をするフリースクールもあります。寮などでの共同生活の中で学習面だけではなく生活全体をサポートし、引きこもりや不登校を克服するための第一歩として支援を提供します。
具体的な内容はスクールにより異なるのが特徴です規則を設け、正しい生活習慣を身につけることを前提としているタイプもあれば、個人の意見を尊重して基本的には自由に日々の生活を送ることを第一としているスクールもあります。
フリースクールは出席扱いになることもある
子どもが不登校になると、保護者は今後の進路や将来に大きな不安を抱えてしまうケースも少なくありません。フリースクールに通えば、不登校でも在籍している学校の出席扱いとなるので、進学などに対しての心配を軽減することが可能です。
文部科学省が定めた出席扱い制度は、不登校の小学生・中学生が対象となっており、一定の要件を満たしたうえで在籍している学校の校長が認めた場合に受けられます。学校によっては認めないこともあるので注意が必要です。
出席扱い制度を利用する場合、まずはフリースクールで行う授業やカリキュラムが出席認定されるに相応しいか、担任・校長・教頭を交えて学校復帰も視野に入れて詳細を話し合います。その後出席扱いのためのルールを定め、フリースクールと学校が連携を取りながら支援を行います。
フリースクールを卒業した後の進路
フリースクールはあくまで通過点なので、卒業後はそれぞれの進路に進みます。具体的な進路について確認してみましょう。
【フリースクールを卒業した後の進路】
- 在籍している学校への復学
- 転校・編入し全日制の高校・大学・専門学校などへ進学する
- 通信制や定時制学校に進学する
- 職業訓練校への通学や就職
- 留学・ホームスクーリング
上記のように、フリースクールの卒業後はさまざまな進路があり、子どもの状況や希望に合わせた道の選択が可能です。全日制への通学がまだ負担になってしまう場合、定時制や通信制の学校への進学もあります。
また、海外への留学や就職して社会に出るなど多方面への道があるため、子どもの状況に合わせて検討することが重要です。
フリースクールを開業する際に大切な3つのポイント
フリースクールを開業する際には、注意すべき3つのポイントがあります。経営を成功させるためにも、ここでお伝えする内容を正しく把握し、フリースクール運営の参考にしてください。
【フリースクールを開業する際に大切な3つのポイント】
- 授業や活動の内容
- サポート体制の充実
- 施設の居心地
①授業や活動の内容
フリースクールは、それぞれの施設の方針などにより授業内容が異なります。学校のように定められたカリキュラムに沿って勉強する形ではなく、個別の学習支援・自然とのふれあい・職業体験など多種多様な活動を行うのがポイントです。
本記事でも紹介しているように、個別の学習指導は85%以上の施設で実施していますが、授業や講義形式による学習は約33%ほどと、学習支援の中でもそのサポート内容は大きく異なります。
活動内容や授業の方針などを事前によく考え、フリースクールとして学校や家とは違った体験ができるよう、具体的な内容を明確にしておくことが大切です。
②サポート体制の充実
フリースクールは、不登校や引きこもりの子どもの居場所としてとても大切な存在です。そのため、子どもやその親が安心して過ごせるように徹底したサポート体制は欠かせません。
相談やフォローの実施・学校との連携・自宅学習のサポートなど、さまざまな面から支援体制を充実させましょう。とくに、保護者に対して気軽に相談できる体制を整え、いつでも話が聞けるように充実したサポート体制を構築しておくことが大切です。
③施設の居心地
フリースクールは子どもにとって大事な居場所です。そのため、リラックスして過ごせる環境を整えることにも力を注ぎましょう。施設の居心地が悪くては、通いたいという気持ちを持ってもらうことはできません。
過ごしやすい環境がしっかり整えば、子ども本人が自分の存在意義を肯定的に考えることができ、強みを発揮して自信を取り戻すことにも繋がります。
フリースクールに関するよくある質問
フリースクールに関するよくある質問の中から、開業前に必ず知っておくべき重要な内容を3つを紹介します。
【フリースクールに関するよくある質問】
- フリースクールの意味は?
- フリースクールでは何をするの?
- フリースクールの定義は?
スムーズで正しい経営を行い、子どもの居場所として大切な存在になるためにも、ここでお伝えする内容を深く理解しておきましょう。
フリースクールの意味は?
フリースクールは、その名のとおり「自由な学校」を意味します。
通常の学校のような義務や管理などの強制的な圧力は一切なく、子ども一人ひとりの自由な意思を尊重し、個性を大事にした民主主義的教育を実現することを目的とした民間の教育施設の総称がフリースクールです。
授業の出席やその内容に至るまで、基本的に子どもの意志に委ねます。
フリースクールでは何をするの?
フリースクールでは子どもにさまざまな学びや体験を提供します。主な内容について下記のリストを確認してみましょう。
【フリースクールで行う活動内容】
- 一人ひとりの学力や理解度に応じた学習支援
- 学校のような授業形式の学習支援
- 地域との交流
- 職業体験
- 自然とのふれあい
- スポーツ
- 子ども同士のミーティング
- 外部講師を招いての講義
上記はフリースクールで行われる活動の一部です。その他にも、スクールの方針などによりさまざまな支援が提供されています。
フリースクールの定義は?
フリースクールは文部科学省が定めている教育機関ではありません。そのため、明確な定義がないのが現状です。
しかし、文部科学省により推奨されている体制はあるため、その内容について簡単に紹介します。
【文部科学省より推奨されている体制】
- 「学校に登校する」という結果のみを目標にせず社会的な自立を目指す
- 不登校になった要因を明確にしたうえで学校関係者・家庭・関係機関で情報を共有し、個々に応じた支援を提供する
- 保護者と課題意識を共有し、一緒に取り組む信頼関係・訪問型支援による保護者の支援・気軽に相談できる体制を整える
- 校長・教員・専門スタッフと協力して組織的な支援体制を整える
引用:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」
学校に復学することのみに注目するのではなく、将来自立した生活を送るための支援を提供するのが、フリースクールの大きな役割です。
また、学校や関係機関との連携や保護者への支援も重要となるため、推奨される体制においてもこの点は明記されています。
まとめ:フリースクールについての正しい情報を把握して適切な支援提供を!
本記事では、フリースクールの基本的な概要や施設のタイプ、開業する際に大切なポイントなどについて詳しくお伝えしました。
フリースクールは、何らかの事情により学校に行けない子どもが安心して過ごすための大切な居場所です。学習指導はもちろん、自然とのふれあいや職業体験など、さまざまな経験を通しながら自立心や自己肯定感を育み、やる気や意欲を取り戻すことを目的としています。
不登校や引きこもりになった子どもに適切なサポートを提供するためにも、ここで紹介した情報を参考にフリースクールのスムーズな開業・経営を目指してください。
この記事を読んだ方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
すららネットでは上記問題を解決するためのセミナーを“期間限定”で開催中です。
放課後等デイサービスの競争に勝ち残る経営者セミナーとして、 『学習支援』を武器に<選ばれる放デイ経営>を目指してみませんか? セミナー参加者限定で”学習教材「オンライン学習すらら」を2週間”無料”で利用できる体験IDもプレゼントしています!