障がい福祉事業所の開業を考えている方のなかには、どの事業にすれば良いか迷っている人も多いでしょう。そのような時におすすめなのが「多機能型事業…
障がい福祉サービスには、放課後等デイサービス・生活介護・就労移行支援・児童発達支援など、さまざまな種類があります。
「福祉業界に参入したい」「障がいがある方のための施設を新しく開業したい」と考えている方のなかには、どのサービスを提供するか悩んでいる方も多いでしょう。
そこでおすすめなのが「多機能型事業所」です。多機能型事業所であれば複数のサービスを提供できるので、利用者に沿った支援を実現できたり特例を受けたりできます。
本記事では、多機能型事業所の概要や開業するメリット・デメリット、具体的な組み合わせの例などを詳しく解説します。これからの開業に向けて万全の準備ができるように、ぜひ本記事でお伝えする情報を役立たせてください。
この記事を読む方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
すららネットでは上記問題を解決するためのセミナーを“期間限定”で開催中です。
放課後等デイサービスの競争に勝ち残る経営者セミナーとして、 『学習支援』を武器に<選ばれる放デイ経営>を目指してみませんか? セミナー参加者限定で”学習教材「オンライン学習すらら」を2週間”無料”で利用できる体験IDもプレゼントしています!
もくじ
多機能型事業所とは?障がい福祉に関する2つ以上のサービスを一体的に行う事業所
障がい福祉サービス事業・障がい児通所支援のサービスのうち、2つ以上の事業を一体的に提供する事業所が「多機能型事業所」になります。該当する事業の種類は下記のとおりです。
障がい福祉サービス事業 |
|
障がい児通所支援 |
|
例えば、「放課後等デイサービスと児童発達支援」や「生活介護と就労継続支援B型」などの組み合わせでサービスを提供している多機能型事業所があります。
多機能型事業所として指定を受けるための6つの条件
多機能型事業所として開業する場合、6つの条件を満たさなければ指定を受けることはできません。認められるための条件は下記のとおりです。
【多機能型事業所として指定を受けるための6つの条件】
- 利用の申し込みに係かかわる調整や職員への技術指導などが一体的である
- 勤務体制・勤務内容が一元管理されており、必要な場合は随時異なる場所で行う事業所同士で相互支援が行える体制が整っている
- 損害賠償や苦情処理などに対する一体的対応が化可能な体制が整っている
- 事業目的・運営方針・営業時間や営業日・利用料金などを定める同一の規定が定められている
- 給与・福利厚生・人事などの勤務条件などの職員管理が一元的で、事業所の会計も一元的に行われている
- 異なる場所にある事業所間が30分以内に移動可能な距離で、児童発達支援管理責任者の業務遂行に支障がない
多機能型事業所として認められ指定を受けるためには、上記の6つの条件を全て満たす必要があります。一つでも該当しなければ指定を受けることはできないため、徹底して体制を整えるようにしましょう。
多機能型事業所を開業する3つのメリット
多機能型事業所には、単独型とは異なるメリットがあります。具体的にどのようなメリットがあるのか、なぜ多機能型の開業がおすすめなのかについてここで詳しくみていきましょう。
【多機能型事業所を開業する3つのメリット】
- 一貫性のある支援を提供できる
- 人員配置・利用定員・設備に関して特例を受けられる
- ライフステージ・利用者の状況の変化に合わせてスムーズに移行できる
①一貫性のある支援を提供できる
多機能型事業所の最大のメリットとも言えるのが、一貫性のある支援の提供ができることです。「児童発達支援」と「放課後等デイサービス」の多機能型事業所を例としてみてみましょう。
児童発達支援は0歳から6歳、放課後等デイサービスは6歳から18歳と対象年齢が異なるため、就学を機に違う事業所に移動しなければいけません。しかし、多機能型であればそのまま同じ事業所で継続した支援を提供することが可能です。
環境の変化が苦手な子どもや新しく事業所を探す保護者の負担を軽減することができるだけでなく、長期的に通所してもらうことで子どもの発達や成長について把握しやすく、継続して効果的な支援を提供しやすくなります。
②人員配置・利用定員・設備に関して特例を受けられる
障がい福祉サービスの事業所を開業する場合、それぞれの種類ごとに定められた基準をクリアする必要があります。それは多機能型事業所も例外ではありません。しかし、多機能型事業所は指定基準における特例を受けることが可能です。
「人員配置基準」「利用定員」「設備基準」の3つにおける多機能型事業所の特例についてお伝えします。
人員配置基準に関する特例
多機能型事業所では、サービスの事業間もしくは職種間における兼務が可能になる部分があります。
職種 | 詳細 |
|
共に兼務が可能 |
常勤の従業員 |
|
常勤の従業員については、児童福祉法に基づいたサービス事業間では兼務できますが、それ以外では不可となるため注意しておきましょう。
利用定員に関する特例
多機能型事業所では、利用定員の合計が20名以上となった場合、それぞれの事業における最低利用定員数を下記のように減らすことが可能です。
業種 | 最低利用定員数 |
|
5名以上 |
|
6名以上 |
|
10名以上 |
障がい児通所支援だけのサービス提供の場合、全ての事業所における合計を10名以上とすることができ、障がい児通所支援と障がい福祉サービス事業を提供する場合は、合計20名以上で障がい児通所支援の利用定員を5名以上にできます。
設備基準に関する特例
多機能型事業所としてサービスを提供することに支障がない場合、事業間で設備の共有ができます。具体的には、相談室・洗面所・トイレ・多目的室などが兼用可能です。
しかし、訓練・作業室は提供するサービスごとに設置する必要があるため注意しておきましょう。また、設備に関しては自治体により異なる部分もあるので、必ず事前に確認しておくようにしてください。
③ライフステージ・利用者の状況の変化に合わせてスムーズに移行できる
多機能型事業所では、利用者のライフステージや状況の変化に合わせてスピーディに移行できるため、ストレスなく支援を提供し続けることが可能です。
就学や就職など、ライフステージの変化における移行をスムーズに行うことで、環境の変化を最小限にし安心して通所してもらえます。
通所する事業所が変わることは、利用者本人にとってストレスになることも少なくありません。余計なストレスを与えず継続した支援を提供できるのは多機能型事業所の大きなメリットです。
多機能型事業所を立ち上げるデメリット
メリットがある一方で、多機能型事業所ならではのデメリットも存在します。
【多機能型事業所立ち上げのデメリット2選】
- 単独型よりも安全面に配慮する必要がある
- 職員の負担が大きくなることがある
事業立ち上げの前にどのようなデメリットがあるかを正しく把握し、予期せぬトラブルを回避できるように徹底した準備を行っておきましょう。
単独型よりも安全面に配慮する必要がある
多機能型事業所には、年齢や障がいの程度が異なる利用者がいるため、単独型以上に安全面に配慮しなければいけません。
とくに、年齢が異なる子どもと一緒に過ごすことは刺激が強く、なかには大きな不安を感じてしまうことも少なくありません。また、発達度合いや身体能力なども差があるため、予期せぬトラブルが生じて怪我をしてしまうケースもあります。
単独型よりもトラブルや問題が起きやすくなるため、常に注意深く活動を見守る必要があります。
職員の負担が大きくなることがある
多機能型事業所は、単独型よりも年齢や障がいの程度の幅が広いです。そのため、単独型よりも職員一人ひとりの負担が大きくなってしまうこともあります。
職員の負担が大きくなりすぎると、職場環境に対する不満が募り退職に繋がってしまうことも少なくありません。人件費を抑えることに注力しすぎず、現場の状況を正しく把握することが大切です。
多機能型事業所の組み合わせ例
多機能型事業所では、さまざまなサービスを組み合わせて事業が行われています。ここでは、そのなかでもとくに需要が多く人気がある2つの組み合せの例について紹介します。
【多機能型事業所の組み合せ2選】
- 児童発達支援×放課後等デイサービス
- 就労継続支援B型×生活介護
それぞれの単独型とは異なる特徴やメリットを把握し、経営の参考にしてください。
児童発達支援×放課後等デイサービスの多機能型事業所
まずは、児童発達支援と放課後等デイサービスそれぞれの特徴について紹介します。
児童発達支援 |
|
放課後等デイサービス |
|
上記のように、児童発達支援と放課後等デイサービスの基本となる療育内容に大きな違いはありません。自立するための支援や生活するうえで起こるであろう困難に対するサポートなどが主な仕事になります。
この2つは支援内容が近いので多機能型事業所としても運営しやすいです。また、一つの事業所で幅広い年齢層に対応できるため、幼い時期から就学後まで一貫した支援を提供できます。その結果、保護者の信頼や安心感を得られるでしょう。
就労継続支援B型×生活介護の多機能型事業所
就労継続支援B型と生活介護には、下記のような支援内容の違いがあります。
就労継続支援B型 | 就労継続支援A型や一般企業への就労に向けた訓練・就労の機会の提供を行う |
生活介護 | 日中の通所サービスにおいて、入浴や食事の介助を行うとともに、生産活動・創作活動などの支援も行う |
就労継続支援B型と生活介護は、それぞれ異なる支援内容となっているため、多機能型事業所として運営することで幅広い対象者に向けたサービスを提供できます。
また、異なるサービスを提供する就労継続支援B型と生活介護だからこそ、職員として双方の事業の経験を積むことができ、学習の機会も豊富なのでキャリアアップに繋げることも可能です。
多機能型事業所に関するよくある質問
多機能型事業所についてさらに理解を深めるために、よくある質問の中からとくに重要となる2つの内容について紹介します。
【多機能型事業所に関するよくある質問2選】
- 多機能型事業所と従たる事業所の違いは?
- 放課後等デイサービスと生活介護の多機能型事業所も可能?
正しい情報を把握し、多機能型事業所についての知識をしっかりと身につけておきましょう。
多機能型事業所と従たる事業所の違いは?
本記事でお伝えしているように、「多機能型事業所」とは「異なる2つ以上のサービスを一体的に提供する事業所」のことで、運営規定を一本化することになります。
一方で「従たる事業所」は、「主たる事業所と同サービスで、事業所間が30分以内で移動可能などの条件を満たす場合に指定が受けられる2カ所目以降の事業所」のことで、一体的な運営管理ができる事業所を指します。
多機能型事業所ではサービスの種類が異なりますが、従たる事業所では主たる事業所とサービス内容が同じです。
放課後等デイサービスと生活介護の多機能型事業所も可能?
放課後等デイサービスと生活介護の多機能型事業所ももちろん可能です。実際に放課後等デイサービスと生活介護の多機能型事業所も存在しており、障がいがある多くの方が利用しています。
生活介護は18歳未満の利用者が少なく、主となるのは50歳前後の方々です。利用者に対し、さまざまな人と交流を持ったり同じ空間で過ごす機会を提供できるのはもちろん、障がいがある幅広い年齢の方に対しての支援が行えるのも大きなメリットと言えます。
まとめ:多機能型事業所でより多くの方に適切な支援を提供できる!
本記事では、多機能型事業所の概要や開業するメリット・デメリットなどを紹介しました。
多機能型事業所では、障がいの程度や年齢などが異なる幅広い方々に対して支援を提供できます。しかし、その一方で単独型とは違ったデメリットがあるのも事実です。
予期せぬトラブルを回避するためにも、多機能型事業所について理解を深め、障がいがある方に対して適切な支援が行えるよう徹底した準備をしましょう。
本記事でお伝えしたメリット・デメリットやサービスの組み合わせの例を参考に、ぜひ多機能型事業所の開業を成功させてください。
この記事を読んだ方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
すららネットでは上記問題を解決するためのセミナーを“期間限定”で開催中です。
放課後等デイサービスの競争に勝ち残る経営者セミナーとして、 『学習支援』を武器に<選ばれる放デイ経営>を目指してみませんか? セミナー参加者限定で”学習教材「オンライン学習すらら」を2週間”無料”で利用できる体験IDもプレゼントしています!