行動のABC分析:子どもの「困った」を「できた」に変える魔法の法則
子育てや支援の現場で、「なぜこの子はこんな行動をするんだろう?」と不思議に思ったことはありませんか?
その謎を解き明かし、望ましい行動を増やすための強力なツールが「行動のABC分析」です。これを知ることで、感情にまかせた対応ではなく、客観的で効果的な「先回りした関わり(プロアクティブ)」ができるようになります。
行動のABCとは?

すべての行動は、以下の3つのステップで構成されていると考えます。
- A:先行条件(Antecedent)…… 「~のときに」
- B:行動(Behavior)…… 「~をしたら」
- C:結果(Consequence)…… 「~だった」
■具体的な例
- A(状況): 勉強の時間になった。
- B(行動): 子どもが「やだやだ」と言いながらも最後までやった。
- C(結果): 親が「嫌な気持ちがあっても最後まで頑張れたね!」と褒めた。
こうしてプラスの結果(C)が伴うと、子どもは次からも「勉強する」という行動(B)を繰り返しやすくなります。これを行動の「強化」と呼びます。
■ ゲームの時間に当てはめてみよう
では、多くの家庭で悩みの種となる「ゲーム」を例に、行動がどのように変化するかを見てみましょう。
| 要素 | パターン①(悪い習慣) | パターン②(良い習慣) |
|---|---|---|
| A(先行条件) | ゲームの時間(1時間)が終わった。 | ゲームの時間(1時間)が終わった。 |
| B(行動) | 「もっとやりたい!」と怒って暴言を吐く。 | 文句を言いながらも、Switchの電源を切った。 |
| C(結果) | 親が「ダメでしょ!」と怒りながら反応する。 | 親が「切り替えられたね、偉い!」とすぐに褒める。 |
| その後の変化 | 「暴言」に対して親が強く注目したため、注目を求めて暴言が繰り返される。 | 「電源を切る」という行動にプラスの注目を与えたため、次からも守りやすくなる。 |
パターン②のように、「不満そうにしていても、行動(電源を切る)自体ができている」瞬間に注目することが重要です。
親としては「文句を言わずにやめてほしい」と考えがちですが、まずは「文句を言いつつもルールを守った」という事実をABCの結果(C)でしっかり褒めることで、次第に文句自体も減っていくというポジティブな変化が期待できます。
陥りやすい「2つの落とし穴」

よかれと思ってやっていることが、実は逆効果になっている場合があります。
■「静かな時」のスルーが望ましい行動を消してしまう
子どもが静かに勉強している時、「邪魔をしないように見守ろう」と考えがちですが、子どもからすると「何も言われない=注目されていない」のと同じです。
放置が続くと、子どもは「静かにしていても意味がない」と感じ、その行動をやめてしまいます(行動の消去)。「静かにできている時こそ声をかける」ことが大切です。
■ 問題行動への注目が「悪循環」を生む(小学生の例)
宿題の時間に椅子をガタガタさせたり、わざとふざけた声を出し始めたりしたとき、ついつい「コラ!真面目にやりなさい!」「静かにして!」と何度も注意していませんか?
実はこれが、小学生のお子さんでも陥りやすい「注目による強化」の罠です。
| 項目 | 具体的な状況 |
|---|---|
| A(先行条件) | 親が夕飯の支度などで忙しく、子どもに注目がいっていない。 |
| B(行動) | 子どもが宿題の手を止め、わざと大きな音を立ててふざけ始める。 |
| C(結果) | 親が「何してるの!早くやりなさい!」と強く注意(注目)する。 |
子どもにとって、親に怒られるのは嫌なことであるはずですが、それ以上に「自分に注目を向けてもらえた」という実感が上回ってしまうことがあります。
すると、子どもは無意識のうちに「ふざければ、お母さん・お父さんが自分を見てくれる(構ってくれる)」と学習してしまいます。その結果、注意すればするほど、ふざける行動がエスカレートしたり、繰り返されたりするという「悪循環(問題行動の強化)」が生まれてしまうのです。
どう対応すればいい?
この場合、ふざけている最中はあえて「スルー(静かな無視)」をし、少しでも鉛筆を動かした瞬間や、静かに座り直した瞬間に、「お、今は集中できているね!」と最大限の注目(褒め)を与えることが、悪循環を断ち切るポイントになります。
「リアクティブ」から「プロアクティブ」へ

忙しいと何かが起きてから反応する「リアクティブ(反応的)」な対応になり、つい怒りや責める言葉が出てしまいます。
これからは、一歩先を見越した「プロアクティブ(先見的)」な関わりを目指しましょう。
- 例: 「今日は学校で疲れて帰ってくるだろうな」と予測し、あらかじめ勉強の分量を減らしたり、疲れている気持ちを認める言葉を準備したりする。
この「予測」ができると、親や支援者の心に余裕が生まれ、イライラを未然に防ぐことができます。
【アクティビティ】あなたの目標を数値化しよう

行動分析の達人になるための第一歩として、自分の目標を明確にしましょう。
■目標を決める
例:イライラを減らしたい、生徒の不安を軽くしたい、自己肯定感を高めたい など
■現状を数値化する(1〜5点)
「今は月数回しかできていないから『1』」「週1回できているから『2』」というように、現在の自分を客観的に評価します。
■数値化のメリット
プログラムの終わりに振り返った際、「最初は1だったけど、今は4まで上がった!」と、自分の成長を視覚的に実感でき、大きな達成感につながります。
まとめ
行動のABCを理解することは、子どもの行動の「理由」を理解することです。
望ましい行動にはプラスの注目を、望ましくない行動には不適切な注目を与えないよう意識するだけで、子どもとの関係は劇的に変わります。
まずは「静かに頑張っている瞬間」を見つけて、一言声をかけることから始めてみるのがおすすめです。
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