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「学校に行く」は、子どもが自分で決めること。 週1登校だった娘が、修学旅行の朝に笑顔で玄関を出るまで

「6年生になってから週に1回しか学校に行けていなかったんですけど、修学旅行は本人が『行く』って決めて、当日ちゃんと行けたんです。」

そう話してくれたのは、現在小学6年生の娘さんを育てる保護者の方。
 小学2年生の頃から母子登校や別室登校を経験し、「どう関わればいいのか分からない」「正解がない中を一人で走っている感じがする」と悩む日々が続いていました。
 ほめビリティでの実践を通して、子どもだけでなく、親自身の視点や関わり方にも、少しずつ変化が生まれていったといいます。

【ほめビリティ公式サイト】

「正解がない中を一人で走り続けている」という孤独感

娘さんは2年生の頃から母子登校や別室登校を経験されたとのことですが、それまでの経緯や、ほめビリティ(※1)に参加される前の状況を教えていただけますか?

一番下の現在小学6年生になる娘が、2年生の頃から、母子登校かつ別室登校になりました。
きっかけはほんの些細なことです。一緒に登校していた兄が怪我をして車での通学になって、娘が一人での通学を始めたことでした。兄の怪我が治って、気付くと娘が教室に入れなくなってたんです。

5年生になると、同じように別室登校をしているお友だちと仲良くなって、少しずつ教室に入れるようになったこともありました。「このまま少しずつ良くなっていくのかな」と思った時期もありました。ただ、6年生になって私が短時間の仕事を始めたら、また学校に行けなくなってしまって。
 ほめビに参加する頃には週に1回、別室登校するとか、そういう状況でした。

(※1)ほめビリティ: 行動療法(ABA)に基づき、子どもの「できている行動」に注目して褒めることで、親子関係の改善や子どもの自立を促すオンライン研修プログラム。

─ 状況が良くなりかけた矢先の停滞は、お母様にとってもお辛かったですよね。当時は、特にどのようなことで悩まれていたのでしょうか?

娘との関わり方が一番の悩みでした。学校のこともそうですけど、漠然と、どうしたらこの状況が変わるんだろうという不安がありました。
娘の他に、上にお兄ちゃんが二人います。男の子に対する子育てを、無意識にそのまま娘にしてしまってたんだと思います。娘が2年生で学校に行けなくなってしまったときに、今振り替えれば、お兄ちゃんたちに対して怒るのと同じように怒ってしまったり、ちょっと厳しすぎかもしれません。
それと 「学校に登校できないこの状況をどうしたら変えられるんだろう」と、ずっと考えていました。学校に行けなくなってからは、逆に怒り続けても全然だめだなと思って最近は「怒る」ってことはしてないです。ネットを見たり、いろいろ調べたりもしましたが、本当に接し方の正解が分からなくて。
 結局、子どもと一対一で向き合うのは自分なので、「正解がない中を一人で走り続けている感じ」がしていました。あと、私自身の気持ちも安定していなかったと思います。「少しでも安心できる材料が欲しい」という気持ちが強かったですね。

「子ども」をどうにかするのではなく、「自分」の関わり方を変える

─ 「正解がない中を一人で走っている」という孤独感、今の状況をなんとかしたいという切実な思いが伝わります。そんな暗中模索の中で、ほめビリティを知ったきっかけは何だったのでしょうか?

ネットを見ていたり、家庭学習ですららを始めたりする中で、ほめビリティのことを知りました。
 そのときに、「私が変われば、何かできるかもしれない」と思ったんです。子どもをどうにかしたい、というよりも、「自分の関わり方を変えないと、今の状況は変わらないかもしれない」そう思ったのが、参加を考えたきっかけでした。

─ 「子ども」ではなく「自分」の関わり方を変えようと決意されたのですね。当時、精神的にも不安定だったとのことですが、実際に参加を決めた一番の理由はやはりそこにあったのでしょうか?

そうですね。当時は、自分の精神的な部分がすごくブレていたので、踏ん張れるものというか、支えになるものが欲しかったんだと思います。「これでいいのかな」「私の関わり方は合っているのかな」そういう漠然とした不安を、一人で抱えていました。

─ 誰かに「これでいい」と言ってもらえる、心の支えが必要だったのですね。実際に受講が始まり、日々の実践を始めてみて、最初に感じた変化はありましたか?

子どものいつも見えてなかった「当たり前」を見るようになったことです。
 「今、できていること」に目が向くようになりました。ほめビに参加して投稿をするために、自分の中で子どもの「良いとこ探し」をするようになって、 私自身の気持ちが少し落ち着いてきた感覚がありました。「これでいいのかな」と思えるようになって今までバタバタしてたところが落ち着いたという感じです。

孤独な実践を支えてくれた「伴走者」の存在

─ お母様の視点が「できないところ」から「できているところ」へ変わったことで、ご自身の心も穏やかになられたのですね。そうした変化を感じながら、6週間のプログラムを継続できた理由はどこにあったと思いますか?

メンターさんの存在が大きかったです。返信がとても的確でかつ具体的な上に、自分の投稿の中で良かった部分を褒めていただいたときに、「あ、これが良かったんだな」って思えましたし、「こうするといいよ」ってアドバイスもいただけたことですね。家の中だけでやっていると、「今の声かけで合っていたのかな?」と分からなくなることも多いので、第三者から具体的なフィードバックをもらえたのは、すごく支えになりました。

あとは、同じような状況の子を持つ保護者の方とやり取りできたのも、励みになりました。


(※2)メンター制度:受講者が一人で悩みを抱え込まないよう、ほめビリティに過去参加された方がメンターとして実践に伴走する仕組みです。
メンターは参加者の投稿内容をもとに、褒める声かけのタイミング、褒める声掛けの言葉などを整理し、参加者自身が気づきを得られるようフィードバックを行います。

─ メンターや仲間の存在が、孤独な道のりの「伴走者」になってくれたのですね。実践の中で、特にお母様の中で「褒める」ことの意味が明確になったような、印象的な瞬間はありますか?

洗濯物を、娘が自分から畳んでくれたことがありました。
 そのときに、「自分で考えて、タオルを畳んでおいてくれて、ありがとう。すごーく助かっちゃった!」と、ぐた褒めが自然とできたんです。その瞬間に、「あ、こういうことか」と、褒める意味がストンと腑に落ちました。

(※3)ぐた褒め:「具体的に褒める」の略。行動療法における「肯定的な注目」の一つで、子どもの好ましい行動や言動に対し、何が良かったのかを具体的に言葉にして褒める「ほめビリティ」内の実践手法。

「中学校は行くから」——娘が自ら選んだ、前向きな一歩

─ 自然と感謝の言葉が出たことで、メソッドが体感として繋がったのですね。そうしたお母様の関わりの変化を受けて、お子さん自身にはどのような変化が見られましたか?

ありました!ほめビが終わるころに修学旅行が予定されていて、6年生になってから、 週1回しか学校に行けていない状況だったので、いけるのかなと心配していたんですよね。当日まで、先生とも調整して、「万が一、行けなくても大丈夫」という準備もしていました。
でも、本人が自分で「行く」と決めて、当日はちゃんと行けたんです。

─ 娘さん自ら「行く」と決断されたとは、本当に大きな一歩ですね!実際に行ってみて、娘さんはどのような様子でしたか?

すごく楽しかったみたいです。
1泊でディズニーランドへいったんですけど、お土産をクラスの子と選んだんだとかっていう話を帰ってきてからたくさんしてくれたりして。クラスの子たちも自然に受け入れてくれて、本当にありがたかったなと思いました。

─ 楽しそうな娘さんの姿を見られて、お母様も本当に安心されたことと思います。この大きな成功体験を経て、その後の娘さんにさらなる変化はありましたか?

来年は中学進学ですが、「中学校は行くから」と、本人が言葉にして言うようになりました。
 周りが言わせたわけではなく、本人の口から出てきた言葉でした。前向きになってきているのかな、と思いました。

家庭全体の「角が取れてきた」。お母さんの変化が広げた肯定の輪

─ 誰かに言われたのではなく、自分の内側から出た言葉というのが何より心強いですね。こうしたお子さんの変化とともに、お母様ご自身の中にも、以前とは違う変化を感じていらっしゃいますか?

ありますね。 一番下の子だけでなく、上の兄弟に対しても、「当たり前にできていること」を褒めるようになりました。

以前は、どうしても「できていないところ」や「ダメなところ」に目が向いていたと思います。

─ お母様の「良いとこ探し」のアンテナが、ご兄弟全員に広まったのですね。そうすると、ご家庭全体の雰囲気も変わってきたのではないでしょうか?

たとえば、自分で起きられた日や、特別なことではない日常の行動に対しても、
 「ちゃんと起きられたね」「すごいじゃん」と声をかけるようになりました。

また、夫の子どもへの言い方も、以前より柔らかくなったように感じています。
 以前は指摘が先に出ていた場面でも、今は、言い方が少し穏やかになったり、言葉を選んでいる様子が見られるようになりました。家庭全体の空気が大きく変わった、というほどではありませんが、少しずつ、角が取れてきているような感覚があります。

─ お母様の関わり方が起点となって、お父様も、そして家庭全体も少しずつ温かく変化していったのですね。改めて、このほめビリティを通して学んだ最も大切なことは何だと思いますか?

「褒め方が分からなかった」ということに気づけたのが大きかったです。
 ただ褒めればいいわけじゃない、ということを、具体的に教えてもらえました。子どもの「できること」や「得意なこと」を、ちゃんと言葉にして伝えることが大事なんだなと思っています。

「道はいくらでも作れる」かつての自分のように悩む方へ

─ ただの精神論ではなく、具体的なやり方を知ることの大切さを実感されたのですね。これから、娘さんと向き合う上でどんなことを大切にしていきたいですか?

これからは、子どもの得意なところを見つけたときに、
 「ここがすごいよ」と、できるだけそのまま言葉にして伝えていきたいです。

一方で、苦手なことについては、無理に直そうとしたり、先に手を出したりするのではなく、経験の中で、本人が少しずつ分かっていけばいいのかなと思うようになりました。今すぐできるようになることよりも、本人が自分で気づいていくことを大切にしたいと思っています。

─ 焦らず、本人の力を信じて待つということですね。それでは最後に、かつてのお母様のように「正解が分からず一人で走っている」と感じている保護者の方へ、メッセージをお願いします。

一人じゃない、ということですね。同じように悩んでいる子や保護者の方は、たくさんいると思います。たとえ今、思うようにいっていなくても、道から外れたように感じることがあっても、道はいくらでも作れるんじゃないかなと思います。私自身がそう感じられるようになったので、同じような立場の方にも、そう思ってもらえたらいいなと思います。

─ありがとうございました。

【ほめビリティ公式サイト】