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「もう育児をやめたい」自閉症グレーゾーンの息子の癇癪に悩んだ母が「でも」を封印したら。息子が変わり始めた50日間

「頑張ったね!……え、でもこっちやってないじゃん」って、いつも無意識に「でも」がついちゃってたんです。それが結局、褒めてるようで褒めてなかったんだって気づいて。

癇癪が激しく、「これやって」と言えば「嫌だ」の一点張り。思春期真っ只中の長男(小6)との関わりに悩み、夏休みには「もう育児をしたくない」とまで思い詰めたMさん。藁にもすがる思いで参加した「ほめビリティペアレンティング(2回目のご参加)」で、彼女が手に入れたのは「指示褒め」という武器と、「でも」を封印する勇気でした。親子関係が最悪だった状態から、どのようにして言い合いが減り、家庭に笑顔が戻ったのか。その50日間の軌跡を伺いました。

【ほめビリティ公式サイト】

「ダメダメ」と言い続けた結果、親子関係は最悪に

ほめビリティ ペアレンティングに参加される前、息子さんとの関係はどのような状況だったのでしょうか?

元々、息子の癇癪がひどく、こだわりも強かったんです。私自身、どこまで許していいのか、どこまでダメと言えばいいのか加減が分からなくて…。基本、全部に対して「ダメ、ダメ、ダメ、ダメ」と言っていたら、いつの間にか親子関係が最悪になっていました。

以前も一度ほめビリティ ペアレンティングに参加して、褒める土台作りは学んだのですが、当時は最後まで完走できなくて。直して欲しいところがなおしきれなかったという状態でした。 そうすると結局、「やめて」「これやらないで」と指摘や注意ばかりになってしまって。息子も思春期真っ只中なので、「うるせえ」と反発してくる。今年の夏休みは、本当に悲惨なことになりました。

夏休みが特に大変だったんですね。その頃、ご自身のお気持ちはどんな状態でしたか?

正直、「もう育児したくない」というところまでいきました。 夫は単身赴任中なんですが、「あなた、単身赴任先に息子を連れて行ったら?」と夫婦で真剣に話し合ったくらいです。「1週間くらい本当に預けようか」と。そのくらい、私が長男と関わるのが嫌になってしまって…。「離れたい」と思うギリギリの精神状態でした。

「このままではダメだ、どうしよう」と思った時に、ほめビリティ ペアレンティング開催の案内が届いたんですね。再参加を決めた「決め手」は何でしたか?

藁にもすがる思いでした。 よくある育児書だと「癇癪にはこう対応しましょう」と、問題の一部分に対するアドバイスがありますよね。でも、うちはそこだけじゃない。勉強だけじゃなくて、外遊びのトラブルもあるし、弟への攻撃もある。「問題点が1つに限らず、たくさん散らばっている中でどうしたらいいんだろう」と途方に暮れていました。

ほめビリティ ペアレンティングは、行動療法の理論に基づいたプロセスがしっかりしている印象があり、「点」の解決策ではなく、全体を知ることで、長男の成長を促す良いきっかけになるんじゃないかと思って、もう一度やってみようと決めました。

「みんな頑張ってる」が背中を押した

今回は2回目のご参加でしたが、改めて取り組んでみていかがでしたか?

最初に参加したときは「えっ、こんなに動画を一気に見なきゃいけないの?」と圧倒されました(笑)。動画は1つ5分程度なんですが、なかなか腰が重くて。今回は2回目の参加だったので「知ってるよ」という思いもあったんですけど、実際に見てみると「あれ、そうだったっけ?」って。半年以上経つと、やっているうちに忘れたり勝手に自分の中で変えてしまっていたりしたので、再復習ができてすごく良かったです。

それと、日が経つにつれて、参加者の皆さんがグループにどんどん実践コメントを入れていくじゃないですか。「あ、みんな頑張ってる」「やばい、私もやらなきゃ!」と、仲間の姿に刺激されてやる気になりました。

参加者同士の交流も励みになったんですね。

そうなんです。最初の自己紹介で、皆さんがお子さんの悩みを赤裸々に書かれていて。「大変なのはうちだけじゃないんだ」と思えたことが大きかったです。悩みは違っても、特性のことや子育ての辛さには共通点があって。「私だけじゃない」と思えることが、すごく頑張れるきっかけになりましたね。

あと、メンターさんが日々の投稿に一つひとつ丁寧にコメントをくれるんです。「そのやり方でいいですよ」「ここはこうするともっといいですね」という具体的なアドバイスが、本当にありがたかったですね。

スクールカウンセラーさんに相談しても「様子を見ましょう」で終わってしまうことが多くて。それでうまくいかないと、もうそこで終わっちゃう。「どうしたらいいんだろう」という悩みが尽きなかったんです。でも、ここでは一つひとつ本当にコメントをもらえる。それが今の私にはすごく合っているポイントでした。

「でも」を封印。褒めるに徹したら見えてきたもの

実践を重ねる中で、ご自身が意識的に変えたことはありますか?

「でも」を口に出すのをやめる。これに尽きます。以前は、「あ、頑張ったね。……え、でもこっちやってないじゃん」と、無意識に「でも」をつけてしまっていたんです。それが私の口癖でした。 今回は「褒めるなら褒めるに徹しよう」と決めました。「えっ?」と思うことがあっても、そこはグッと飲み込んで黙る。それを頑張りました。振り返ってみると、あの「でも」のせいで、結局褒めているようで褒めていなかったんですよね。だから子どもも褒められた気になれなくて、親子関係が悪化していたんだと反省しました。 メンターさんのアドバイスや皆さんの投稿を見て、「あ、そうしなきゃいけないんだ」というよりは、「そうしていこう」と自然に思えました。だから、苦しくなく頑張れた気がします。

「無理でしょ」と言いかけて。指示褒めが開いた突破口

そうした意識の変化が、実際の場面でどう活きたのでしょうか。印象的だったエピソードはありますか?

息子が「貨物電車を見に行きたい」と言い出した時ですかね。はじめは「今日はもう無理でしょ!」と頭ごなしに否定して、言い合いになりかけていたのですが、その時は一歩引いて、「あ、これ指示褒め※のチャンスだ」と思いついたんです。更に、期待値0にするアドバイスも思い出し「じゃあ、宿題を1問やったら考えるよ」と伝えてみたら、息子が「分かった! 1問なら頑張れる」と言って、パッと取り組んだんです。お互い歩み寄れたことで私自身も納得することができたので「よし、頑張ったから行こう!」とスムーズに連れて行くことができました。

※指示褒め:親が出した指示に対して、子どもがその通りに行動できた際、その行動自体を肯定して具体的にほめること

ぐっとこらえて冷静に指示褒めを選択する。なかなかできることではないと思います。その時のMさんのお気持ちはいかがでしたか。

最初は「え、また始まったよ…」とイライラしかけたんですが(笑)、うまくいった瞬間は心の中で万歳しましたね。「よし、効果あった!」って。 「行く・行かない」「やる・やらない」でいつも喧嘩になっていたのに、こうやって交渉できるんだ、こういう関わり方をすればよかったんだ、という突破口が見えた出来事でした。以前の私なら絶対できなかった対応なので、自分自身でも「あ、感情を抑えられた」と驚きました。

言い合いが減り、息子から「ママ、ありがとう」と言われた日

開始前は「最悪」とおっしゃっていた関係性ですが、そこからどのように変わっていったのでしょうか。

「怒り合うこと」がすごく減りました。 褒めることで会話が終わると、子どもも落ち着いた気持ちになるみたいで、こちらの話も「ちょっと聞いてよ」と言うと耳を傾けてくれるようになりました。言い合いが激減したのが一番の変化ですね。

お互いに話を聞ける関係になれたのは、本当に大きな変化ですね。他にも嬉しかったエピソードはありますか?

お風呂を沸かして「お湯入れたからね」と伝えた時、息子から「ママ、やってくれてありがとう」と言われたんです。 今までは「やってもらって当たり前」という態度だったので、あまりにびっくりして、私が何も返せなかったくらいです(笑)。 後日、「あの時ありがとうって言われて嬉しかったよ」と伝えたら、そこから「ありがとう」という言葉がチラホラ出るようになりました。今まで無いも同然だった言葉なので、こちらが「何をして嬉しいか」を発信する大切さを実感しました。

「ありがとう」と言い合える関係、素敵ですね。そこからさらに、息子さんの変化を感じることはありますか?

はい。最近は「褒め待ち」が出てきました(笑)。 学校で頑張ったことを報告してきて、「俺、すごいでしょ? ほら、褒めてよ」みたいな顔をするんです。「えー!〇〇を頑張ったんだね!すごいじゃん!」と返して、親子で楽しい会話ができるようになりました。子ども自身がすごく前向きになっているなと感じます。

「焦らず一緒に頑張りましょう」。同じ悩みを持つ方へ

これからの子育てで、特に大切にしていきたいことは何でしょうか?

来年は中学生になり、環境も人間関係も変わります。悩みながら進んでいく彼に対し、「受け止めすぎず、でも『大切だよ』ということはしっかり返す」という距離感を大事にしたいです。 彼の考えや頑張りを、小さいところでも見逃さずに認めていけるような関わりを続けていきたいですね。

最後に、同じようなお悩みを持つ方にメッセージをお願いします。

私もまだ発展途上で、偉そうなことは言えないんですけど…。 みんなと悩みを共有することで、気持ちが軽くなれる場所があるのは本当に大きいです。頑張ったら頑張った分だけ、子どもは成長して変わってくれる。だから、「焦らず一緒に頑張りましょう」と伝えたいです。


ありがとうございました。

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