「もう誰も怪我しないように」──孤独な戦いを超えて見つけた、親子の新しい関係
特性ある小4息子さんのストレス解消の矛先が自分に向かい、暴言や暴力に苦しむ日々。「私にも人権がある」──そう感じながらも出口の見えない毎日を過ごしていた、Sさん。しかし「今がチャンス」と直感し参加した「ほめビリティ・ペアレンティング」50日間で、親子関係に確かな変化が訪れます。
「ゲーム感覚で楽しむ」という独創的な発想で乗り越え、前向きで明るくユーモアと率直さを交えながら語られる体験談は、同じ悩みを持つ保護者に勇気と希望を届けます。
【必ずお読みください:本記事の事例について】
本記事では、結果として暴力がおさまったS様の稀有な事例を紹介していますが、「ほめビリティ」は暴力を解決するためのプログラムではありません。現在、暴力(身体的・精神的問わず)にお悩みの方は、速やかに児童相談所、市区町村の窓口、配偶者暴力相談支援センター等の専門機関へご相談ください。なお、当事務局では、法律上の通報義務がある「児童虐待(親から子への暴力等)」はもちろんのこと、「お子様から親御様への暴力」についても、ご家族の生命・身体の安全が脅かされていると判断した場合は、警察や児童相談所等の関係機関へ通報・相談を行う方針をとっております。本サービスは、あくまで日常的な親子関係の好循環を作るためのものであることをご理解ください。
「私を使ってストレス解消しないで」──参加前の壮絶な日々

──ほめビリティに参加されたきっかけを教えていただけますか。
息子が以前すららのタブレット学習をしていた時にほめビリティを知りました。息子は褒められることをずっと嫌がっていたんです。「褒められたくない」「目立ちたくない」「気持ち悪い」って。でも今年の春頃、塾のテストで6人中2位になって喜んだり、読書マラソンでトロフィーをもらった時に誇らしげな顔をしたんです。
あ、情緒が育ってきた、今なら褒めが効くかもしれないと感じて。それで「今がチャンス」と思って参加を決めました。
──ほめビリティ参加前は、どのようなことに悩んでいらっしゃいましたか。
息子は特性があり、療育でストレスコントロールを学んでいますが、自分で制御できないほどのストレスがかかると、私への暴力や暴言に繋がってしまうんです。目の前にいる私でストレスを解消するみたいに、イライラすると私に暴言を吐いたり、叩いたり蹴ったりして発散するんです。
「俺の言うことを聞け」「お前は俺の手足のくせに反抗するな」という態度で、私を道具扱いするような状態でした。関係が悪化しないように、距離を取ってクールダウンする時間が必要でした。
──それは本当に大変でしたね。どうやって乗り越えてこられたんですか。
もう「死なないように、誰も怪我しないように」することで精一杯でした。だからひどい時には児童相談所や市役所の子ども福祉課にもすぐ連絡していました。第三者を立てないと関係が保てなかったんです。学校の支援の先生や放課後等デイサービスにも間に入ってもらって、私一人では育てられないという認識で、早いうちからセーフティネットを作っていました。
私にも人権があるしクオリティ・オブ・ライフを守りたい。でもストレスがない時にしか心を動かせないから、そのタイミングで何かできないかと考えていました。
※編集部注:S様のように、身の危険を感じる場合はまず専門機関と連携し、安全を確保することが最優先です
「今なら褒めが効く」──参加を決めた決定的な瞬間

──「今がチャンス」と思われたとのことですが、参加を決めた決め手は何だったのでしょうか?
私がストレスをぶつけられたくないという気持ちと、褒めが効く時期が来たというタイミングが重なって、「今がチャンス」と思いました。正直に言えば、「子どものため」というより「自分が生き延びたい」「自分の生活を楽にしたい」という動機が大きかったです。
「ゲームだと思えば楽しい」──50日間完走の秘訣

──ほめビリティの50日間での活動はいかがでしたか。
私は今までLINEを使ったことがなかったんですけど、「ストレスをぶつけられたくない」という強い決意と覚悟があったので、苦手なものも乗り越えられました。
あと、私は「褒めをゲットするゲーム」だと思ってやっていたんです。バスケやサッカーで「どこ攻めようかな」と考えるのと同じ感覚で、「どう褒めようかな」と意識すると、息子の文句や悪態をスルーできるようになりました。
──面白い捉え方ですね!
普段からお子さまの様子をよく見ていたからこそ気づけたこともあったんではないですか?
そうなんです。前から息子のことはよく観察していたんですよ。暴力が来ないように、自分に嫌なことが返ってこないように、彼をよく見て行動しないといけなかったんです。
でも、ほめビリティを始めてから、そこに「どこを褒めようかな」という視線が増えたんです。観察はしていたけど、それは自己防衛のためだったんですよね。でも「褒める」という肯定的なものをプラスできるようになって、建設的な方に、息子との人間関係を良くする行動を自分から取れるようになったんです。
──ゲームとして捉える、というのは独特なアプローチですね。
「ゲームだから失敗しても何でもいい、とりあえずやってみよう」と思えたんです。投稿すれば褒めチャレポイントやフィードバックが返ってきますし。
最初にガッと熱量高く投稿して勢いをつけて、劇的に変わるまで投稿し続けようと決めていました。片付けで一箇所が劇的に綺麗になると頑張れるのと同じ感覚です。メンターさんから具体的にフィードバックをもらったら、すぐ修正してまた実践する。そうやって楽しいまま終われました。
「私の経験が誰かの役に立った」──グループ活動での発見

──投稿を通じて、どんな気づきがありましたか。
以前は「ありがとう、嬉しい」という漠然とした言葉がけしかしていなかったことに気づきました。具体的にフォーカスして褒めることの重要性を学びましたね。投稿して文字にすることで、自分の振り返りと確認ができました。
──効果的な投稿のコツはありましたか。
息子が小さい頃から相談しないと生きていけないと思っていたので、公共の場での相談は「ぶっちゃけた方が分かってもらえる」という意識を持っていました。具体的な情報と「私はこう感じました」という気持ちを伝えることで、ニュアンスが正確に伝わって返ってくるんです。だから意識的にそういう投稿を心がけました。
──グループ活動はいかがでしたか。
他の参加者の投稿から学ぶことも多かったですし、音読で困っている方に自分の工夫を共有したら喜ばれたんです。学校のやり方が全く通用しない息子への試行錯誤が、まさか他のお子さんに役立つなんて思っていませんでした。
どこにも披露することのなかった知識が誰かの役に立った。それで「私の中には、息子に特化していると思っていた育児の知恵が溜まっていたんだ」と気づいて、小さな自己効力感を得られました。
──ご自身の頑張りを再発見されたんですね。
そうなんです。「私、こんなに頑張ってたんだ」って。孤独に戦ってきたけれど、その経験が誰かの役に立つんだと分かって、本当に救われた気持ちになりました。
平穏な日々が戻り、対話が生まれた──具体的な変化

──50日間で、お子さまにどんな変化がありましたか。
調子が良い時は、暴力・暴言が全く出なくなりました。息子が「髪を乾かせ」と命令してきた時、「やってください」と可愛く言い直したことがあったんです。それを「可愛い!」と褒めたら喜んで。息子から「スペシャルタイムやろうよ」と誘ってくるようにもなりました。
最後の方はスペシャルタイムに毎日のように誘われて、ちょっと接待ゴルフに付き合ってヘトヘトになる人みたいでしたけど(笑)。でもそれも、息子が「今のうちにお母さんと仲良くしておこう」って、しめしめって思ってるのかなって。それはそれで可愛いなと思いましたね。
──50日間の実践で、お子さまの「心がほぐれる言葉」も見つけられたそうですね。
息子は外では大人っぽく振る舞って、家では幼い態度を取るんです。でも「大人でもできないよね、すごいね」という褒め方をすると、すごく喜ぶことが分かりました。対等な大人として見られたい気持ちがあるんだと理解できました。
──きっと大人として見られたいけど、わがまま言ったり甘えたい、そんなお子さまの葛藤があるんですね。親子関係にも変化がありましたか?
はい。学校行事が嫌だと、アサーティブに穏やかに伝えてくれるようになって、話し合いでコミュニケーションが取れるようになりました。以前だったら暴力で表現していたことを、「学校行事が嫌なんだ」ときちんと言葉で伝えてくれる。穏やかなコミュニケーションができるようになったんです。
──50日間終了後はいかがですか?
11月後半に3週連続で学校行事があって、息子の調子が下がったんです。褒めるよりも話を聞くことが重要な時期になりました。でも「褒め貯金」があるから対応できている実感があります。愚痴を言っているだけで済ませられているんです。50日間の積み重ねが、こういう時に効いてくるんだなって思いました。
家族に「褒め文化」を広げたい──これからの目標

──今後、大切にしていきたいことは何ですか。
ほめビリティでの学びを日常にもっと溶け込ませて、家族内に「褒め文化」を作りたいです。自分だけが頑張るのではなく、家族にもこのテクニックをどう広めていくかが課題ですね。
息子が楽しそうにしているのを見たら、旦那さんも仲間に入りたくなるはず。まずは私と息子で楽しんで、その様子を見せていけたらと思っています。
──とってもいいですね!新たな目標ができましたね!それでは最後に、同じように悩んでいる保護者の方へメッセージをお願いします。
ゲームだと思って、失敗しても何でもいいからとりあえずやってみてください。真面目に「褒めなきゃ」と考えすぎなくて大丈夫です。
あと、「子どものため」じゃなく「自分が生き延びたい」という動機でいいんです。私も、まだまだ学びたいと思っていますし、これからも頑張ります。
──ありがとうございました。
【用語ボックス】
*スペシャルタイム:褒めどころを見つけるための5〜10分の親子時間。
*褒めチャレポイント:「褒め誉めチャレンジ」で獲得したポイントのこと。「ギフト」または「心理士相談」と交換が出来る。
*「ほめビリティ」プログラム概要:50日間/オンデマンド動画+コミュニティ投稿+メンター伴走。

不安や戸惑いを抱えながらも、「子どもとどう関わればいいのか」を模索している方にとって、ほめビリティは一つの支えになるかもしれません。日々の小さなやりとりを変えることで、親子の関係性が少しずつ前向きになっていく。その一歩を安心して試せるように、LINE相談も承っております。よかったら、公式サイトで詳しくのぞいてみてください。
【ほめビリティ公式サイト】