「言われてやる」から「自分からやる」へーー行動療法と“褒め”を実践した母が見つけた息子の変化
「『時期が来ればやるようになります』と言うけれど、見守るだけでは解決しないんです」 息子さんの小学校1年生からの行き渋りと激しい癇癪、そして4年生からの不登校に悩んできたS.Mさん(ADHD・ASDの中学3年生の母)。カウンセラーに相談しても、「時期が来ればやるようになる」「無理してやらなくていい」と言われるばかりで、どうしていいかわからず、親として疲れ切っていたと言います。 そんな中、3回目の参加となった「ほめビリティ・プラクティショナー」を通して、「褒める」ことをベースにした関わり方を実践。良い行動を見つけて褒めることで、息子さんが自ら散髪や歯医者へ行き、進学についても自ら語り始めるようになった軌跡と変化を伺いました。
【ほめビリティ公式サイト】「家庭のルール」と「見守るだけのアドバイス」へのもどかしさ

── ほめビリティ・プラクティショナー(※以下『ほめビ』)に参加される前の息子さんのご状況や、ご家庭の様子について教えてください。
行き渋りがあったのは小学校1年生からで、当時は無理やり行かせていた感がありました。学校に行かせるためにモノを買い与えたりしていましたが、今思うと良くなかったなと思います。
完全に行かなくなったのは小学校4年生の時です。2年生の時に担任だった先生が4年生でも担任になったのですが、その先生が本人には合わなかったようで、「もうこの先生は嫌だ」という気持ちがあったことが、後になって分かりました。
そこから小学校6年生まで、フリースクールに通っていたんですが、遠かったこともあって何をやっても飽きが来てしまって。6年生からはクリニックのデイケア、中学校になってからはフリースクールという名のゲーミングスクールに行っています。人とのコミュニケーションはあった方がいいかなと思って通わせているものの、中学校を卒業したら行けない場所なので、どうしようかなと思っていました。
── 先生との相性まで背景にあったとは、当時は気づきにくかったかもしれませんね。 不登校になった当時のご自身の気持ちや、相談できる場所についてはいかがでしたか。
「もう親が全部悪いんだろうな」と自分を責める思いはありました。身近に話せる人がいないので、相談する場所は公的機関やスクールカウンセラーしかなくて。でも、そこでは「時期が来ればやるようになります」と言われてしまいました。
フリースクールに通わせるとなると、親の体力的な負担だけではなく費用もかかります。 できることなら学校に行けるのが一番だとは思いますし、 学校に行けなくなってフリースクールに通わせても、結局今度はそこにも行かなくなってしまうことがありますよね。
── 相談先はありながらもどうすればいいのか分からない状況が続いていたことから、当時のもどかしさが伝わってきます。ご自宅での関わりやデジタルデバイスのルールについては、どのようなお悩みがありましたか。
親よりも子どもの方がデジタルに強いので、ルールの制限をしようとしても「今使っているデバイスはそんな制限はできない」と言われてしまって、デジタル制限を嫌がられるのが悩みでした。
また、私は2年ぐらい前から仕事を始めたのですが、その理由の1つに「子どもと関わりたくない、もうこのままなら私が家にいない方がいいかもしれない」という気持ちがありました。朝は声をかけた上で手紙やメモを残して仕事に行くようにしていたんですけど、それだとフリースクールに遅刻してしまうことが多かったです。
ほめビリティをやっている期間は子どもと対話ができるのですが、褒めることを意識しなくなると、「あれして、これして」と、どうしても一方的にお願いしたり注意したりすることが増えてしまって。そうすると、子どもも“自分からやる”というより“やらされている”という感覚になって、自主的に動くことが減っていたように思います。
── 当時は、関わること自体がしんどくなるほど追い詰められていた時期だったのですね。お子さんの特性面について感じることはありましたか。
息子はすぐに物事を忘れちゃうところがあるんです。小学校1年生の段階でものすごい癇癪があって相談に行っていたんですけど、「ある程度IQが取れていて集団行動もできていれば問題ないですよ」と、そのときは診断がないと言われてしまいました。
今は、ADHDとASDの診断を受けているので、もう少し早い段階で診断名が出ていればお互い気持ちも少し楽になったのかなと思います。
「行動療法」の納得感と、コメントに残して習得する仕組み

── もっと早く診断がついていれば、という思いも残っているのですね。 これまでさまざまな学びを経験された中で、今回『ほめビ』への参加を決めた決め手は何でしたか。
私自身、『ほめビ』も含めこれまで3つぐらいのペアレントトレーニング(※)に取り組んできて、やっぱりどれもやっていることは「行動療法」なんだなという共通点に気づきました。行動療法ベースのものは、子どもの行動が改善していくところに共通点があり、効果があると感じたのが決め手です。
また、お値段との比較で、『ほめビ』が一番良心的だったことも大きいですね。
※育児の悩みを抱える保護者向けに、子どもの行動を理解し、褒め方・指示の出し方などの具体的な子育てスキルを学ぶプログラムのこと。
── いくつも試した末に見えてきた「行動療法」という共通点、というのは説得力がありますね。 ほめビの他のサービスにはない魅力とは、どんな点でしょうか。
他になかったのが、親(参加者)がLINE WORKSのグループチャットに書き込むという仕組みですね。単に「こうしなさい」「こうしてみてはどうですか」とアドバイスをもらうだけでは、実際は情報が多すぎて自分の中で消化できないんです。
ただ、『ほめビ』の“習得するためにコメントを残すシステム” だと自分の中で消化しやすく、効果があるのかなと思っています。
── 「消化しやすい」という感覚は、続けやすさに直結しそうですね。 実際にスタートした当初の印象や、継続していく上で心の支えになったものについて教えてください。
初めは本当に機械の操作も分からず、動画もいっぱいあって、どこから見ればいいかも分からない状態からのスタートでした。 それでも50日間続けようと思えたのは、やっぱり「子どもが変わってきた」という実感があったからです。
ポイントがつく「褒め誉めチャレンジ」(※)でポイントを貯めて、心理士相談で使えればいいなと思ってコツコツ取り組んでいました。
※トークンエコノミー法を用いたほめビ実践を楽しく続けて習慣化するためのポイント応援企画
── 「子どもが変わってきた」という実感が、続ける原動力になっていたのですね。『ほめビ』を継続する中で、ご自身の心境にはどのような変化がありましたか。
やっぱり「自分だけを責めなくてもいい」と思えたのが、私の大きな励みになりました。また、ほめビリティ・ラウンジ(※1)で観られる動画の解説がすごく噛み砕いてあって分かりやすいので、それも心の励みになっています。
投稿を書くことについても、最初は大変でしたが、慣れてくると夜、布団に入って寝る前に書くこともありますし、それほど負担には感じなくなりました。
ただ、『スル褒め』(※2)はまだ習得できていない部分もあって、どう書けばいいかすごく考えますし、『クオリティタイム』(※3)も文字に起こすのが難しくて悩むことがあります。『ぐた褒め』(※4)に関しては、だいぶ慣れてきましたね。
※1:ほめビ実践を無理なく続け、習慣にしていくためのサブスクリプションのコミュニティ
※2:「スルーして褒める」の略。好ましくない行動には反応せず(スルーし)、その代わりに見られた好ましい行動を褒める「ほめビリティ」内の実践手法。
※3:時間を決めずに保護者が質問や指示を控え、子どもの良いところを見つけて伝える思春期向けの褒める練習の時間のこと。
※4:「具体的に褒める」の略。行動療法における「肯定的な注目」の一つで、子どもの好ましい行動や言動に対し、何が良かったのかを具体的に言葉にして褒める「ほめビリティ」内の実践手法。
「言われてやる」のと「自分からやる」のでは意味が違う

── 「母親は悪くない」と思えたことが、大きな支えになったのですね。 実践を重ねる中で、息子さんに印象的な変化や出来事はありましたか。
声をかけた時に、応じてくれることが増えました。以前は「髪を切りに行くよ」「病院に行くよ」と予定を伝えても、「えー」と嫌がって、そのまま行かないこともあったんです。でも今は「今日、歯医者があるから行くよ」と伝えると、スムーズに行けるようになってきました。
一番印象に残っているのが、言われてやるのと子どもが自分からやるのとでは意味が違う、ということです。「やりなさい」と言ってやらせるのではなく、子どもが自分でできたことを見つけて褒める。その積み重ねが、自発的な行動につながっていくんだと納得できました。
── 「言われてやる」と「自分からやる」の違いに気づけたというのは、大きな納得感ですね。日々の生活の中でも、そうした変化は見られましたか。
子どもによるのかもしれませんが、うちの子の場合はルールにないことはやらなくていいと思っているみたいで、ある程度こちらから具体的に示してあげる必要があると感じています。
たとえば、お茶碗は片付けるというルールがあるので自分で片付けますが、ペットボトルなどはルールに含まれていないため、そのままにしてしまうんです。 それでも以前、仲良し貯金(※1)が溜まってきたタイミングで「ペットボトルを1個持ってきてね」と指示褒め(※2)を実践したら、自分で持ってきてくれたことがありました。
※1:日々の肯定的な行動への注目し褒める(ぐた褒め)ことを積み重ねて、親子の信頼関係を少しずつ育てていく考え方
※2:「指示して褒める」の略。子どもに適切な指示を出し、その通りに行動できたら褒めることで、好ましい行動を定着させる「ほめビリティ」の実践手法。
息子が自ら話してくれた、将来のこと

── ── ルールとして示してあげることで、ちゃんと応えてくれる、というのは頼もしいですね。他にも、印象に残っているエピソードはありますか。
お昼ご飯を食べていた時に、息子が急に「高校なんだけどさ」と自分から進路の話を始めたんです。 自分なりに考えているんだなとびっくりしました。「とりあえず高校に行っておけばいいか」みたいな感じではなくて、しっかり自分のこととして考えている様子が伝わってきて。日ごろから褒めることを意識して関わってきたからこそ、こういう話もしてくれるようになったのかなと思っています。
彼の中で進学先の候補自体はある程度決まっているのですが、通信制にするか、eスポーツを学べるコースにするかでかなり迷っているようです。私は「何を選ぶにしても、最後は自分で決めてね」と伝えています。
まだ仕事の大変さなど、実感できていない部分もあるとは思いますが、自分から進路について考え、そのことを私に話してくれたのは大きな変化だと感じました。
── ── 「高校なんだけどさ」と自分から話し始めたのは、大きな変化ですね。これからの子育てにおいて、特に大切にしていきたいことは何でしょうか。
これからも、子どものいいところを見つけるということを大切にしていきたいです。最初は『スル褒め』をすれば大きな効果が出るのかなと期待していたのですが、続ける中で、やっぱり土台になるのは日々の『褒めること』なんだと感じるようになりました。
だからこそ、これからも子どものいいところに気づけるよう、自分自身も練習していきたいと思っています。そういう積み重ねがあれば、少しずつ良い方向に進んでいけるのかなと思っています。
── 最後に、同じような悩みを抱える保護者の方へのメッセージをお願いします。
「見守るだけでは解決しない」ということを伝えたいです。 以前スーパーに行った時、中学校ぐらいの娘さんとお母さんが喧嘩しているのを見かけたのですが、やっぱり怒るよりも褒める方がいいなと思って、「ほめビリティを勧めたい」と思いました。
── ありがとうございました。

不安や戸惑いを抱えながらも、「子どもとどう関わればいいのか」を模索している方にとって、ほめビリティは一つの支えになるかもしれません。日々の小さなやりとりを変えることで、親子の関係性が少しずつ前向きになっていく。その一歩を安心して試せるように、LINE相談も承っております。よかったら、公式サイトで詳しくのぞいてみてください。
【ほめビリティ公式サイト】