「“褒め”は筋トレと同じ」──思春期の壁にぶつかった母が、ゲーム感覚の“仲良し貯金”と“スル褒め”で育んだ穏やかな親子関係
「これは漢字の書き取りや野球の素振りと同じで、毎日実践して結果を見返すからこそ身につく『褒め筋肉』のトレーニングなんだと思います」 半年前に思春期前コースを受講したものの、外で頑張りすぎる息子さん(行き渋り・グレーゾーン/現在小4)の思い込みや強いこだわりに悩まされていたSさん。思春期コースへ再挑戦し、日常の中で褒めることを積み重ねたり、子どもが次の見通しを持てるような声かけを工夫したりする中で、親子の関わり方にも変化が生まれていったといいます。「クオリティタイム」を通して子どもに主導権を委ねることを学び、家庭には少しずつ「ありがとう」と言い合える空気が定着。その50日間の変化を伺いました。
【ほめビリティ公式サイト】外での頑張りすぎとキャパオーバー。思春期の変化に戸惑った日々

── ほめビリティプラクティショナー(※以下『ほめビ』)には半年ぶりのご参加となりますが、1回目(思春期前コース)終了からの半年間はどのような状況でしたか?
以前学んだことを時に思い出しつつ過ごしてはいたものの、息子が成長していく過程で、もう一段階、別の側面での悩みが出てきました。
うちは支援を受ける環境が整っていて、教育相談や個別の療育、週5日の放課後等デイサービスなどに通っており、本人も安心して過ごしています。ただ、支援を受けてもう4年以上が経ち、慣れた環境できちんと支援を受け順調に成長していたからこそ、外の環境で少し頑張りすぎてしまう面がありました。
その反動で帰宅後はキャパオーバーになり、親の話が入らなかったり、こだわりが強くなって視野が狭まったりすることが増えていたんです。
── 慣れた環境で頑張れているからこそ、その分家でしわ寄せが出ていた、というのは難しいところですね。ご家庭では、具体的にどのような様子がみられたのでしょうか?
本当に些細なことで「絶対にこうしないと嫌だ」と思い込むことがありました。ある日の夕飯では、私が作っていたものを「自分の嫌いなものが出された」と勘違いして話が聞けなくなり、20分ほど「なんで俺の嫌いなものを出すんだ」と責め続けられたことがありました。
また、以前はこちらから「始まるよ」と声をかけると合言葉のように応じてくれたのですが、急に成長して「いや、いいんでそれは」と冷たく乗ってこなくなったりして、思春期に入ってきたんだなと感じました。
── 息子さんのその言動に、成長と思春期の入り口を感じたのですね。外での様子とご家庭での様子の間には、大きなギャップがあったのでしょうか。
そうなんです。学校や放課後等デイサービスに様子を聞いても「最近すごく頑張ってくれて」「リーダーシップを取って」と言われるのですが、家では話が聞けなかったり思い込みが激しかったりして。「物が欲しい」となった時もタガが外れたように「あれが欲しい」と言い続けるので、「なぜ今すぐ必要なのかプレゼンしてください」と伝えて逃れたりしていました。
学校の先生と面談しても、外できちんとしている子に家で「頑張りすぎなくていいよ」と注意するわけにもいかず、私だけが大変になってしまっていたんです。
思春期に合わせた「親の対応のシフト」と経験値をためる環境

── 外で評価される分、家では強く言えない、というジレンマを一人で抱えていらしたのですね。そのような状況の中で、今回「思春期」コースへの参加を決めた決め手は何でしたか?
学校の先生と「支援のあり方を変えていきましょうか」と話していたタイミングで、ちょうど『ほめビ』の案内があったんです。思春期と思春期前では子どもへの対応が違うと感じていたので、「自分の対応を変えることが必要だな」と思い、再受講を決めました。
── ちょうど対応を見直そうとしていたタイミングでの案内だったのですね。『ほめビ』のどのような点に魅力を感じられましたか?
知識を使って実践した後に、「どういう結果になったか」まで報告し、フィードバックをもらえる環境ですね。
日常の中で自分一人でメモを取って振り返るのはなかなか難しいですが、集中的に実践して振り返ることで、自分の経験値として蓄積できるところがすごいと感じました。
「仲良し貯金を減らさない」意識で、日常の褒めを積み重ねる

── 振り返りを経験値として積み上げられる、という感覚がとても実感的ですね。2回目の受講がスタートして、実践開始時の手応えはいかがでしたか?
今回初めて取り組んだ「クオリティタイム」(※)は、最初の1週間ほどはどのタイミングでやるべきか分からず、「これ難しい、私にはできないかも」と悩みました。でも、他の方の投稿を見ながら観察し、「相手から来たタイミングでいけそう」といい波が来るのを待てるようになりました。2回目の受講ということもあり、全体としては心の余裕を持って取り組めたと思います。
※時間を決めずに保護者が質問や指示を控え、子どもの良いところを見つけて伝える思春期向けの褒める練習の時間のこと。
── 「いい波を待てるようになった」というのは、2回目だからこその余裕だったのかもしれませんね。50日間継続できた理由や、ご自身の中で工夫されたポイントを教えてください。
“仲良し貯金(※)を減らさないゲーム”のような感覚で取り組んでいました。彼の気分によって理不尽に信頼が下がってしまうこともあるのですが、 「いかに貯金を減らさないか」を考えて、特別なことよりも日常のできていることに注目し、その都度褒めることを意識しました。
※日々の肯定的な行動への注目し褒めること(ぐた褒め)を積み重ねて、親子の信頼関係を少しずつ育てていく考え方
── 「貯金を減らさない」というゲーム感覚が、うまく心の支えになっていたのですね。具体的にどのように実践していたのでしょうか?
新たに褒めるポイントを開拓するのではなく、「自分で早起きできたね」「挨拶してくれてありがとう」「食器を持ってきてくれてありがとう」といった日常のルーティンを毎日褒めるようにしていました。
そこに笑顔があったらプラスアルファで褒めたり、食器を水に漬けてくれたら「洗いやすい、ありがとう」と褒めたりもしました。一生懸命に構えすぎず、日常のできていることを淡々と続けることで心に余裕が持てたと思います。
── 特別なことより、 日常の当たり前の行動を淡々と褒め続けることが心に余裕を生んでいたのですね。 特に効果を感じた仕組みや、ご自身の対応の変化はありましたか?
スル褒め(※1)をする時に、その後の流れをある程度予測できるようになりました。うちの息子が揉めるのは、朝か夕方が多く、パターンもだいたい決まっているんです。前回の受講経験もあって、「ここでスルーしたら、この後どうなるか」という流れが自分の中で見えるようになってきました。
「ここで反応しても状況は良くならない 」「スルーして見守れば最後はぐた褒め(※2)で締められる」と先の展開が予想できるからこそ、より安心して見守れるようになりました。
また、受講期間の中盤(6月中旬)あたりから医療機関ともつながり、先生に相談して心を落ち着けるお薬を飲み始めたことも合わさって、息子もだいぶ落ち着きました。
※1:「スルーして褒める」の略。好ましくない行動には反応せず(スルーし)、その代わりに見られた好ましい行動を褒める「ほめビリティ」内の実践手法。
※2:「具体的に褒める」の略。行動療法における「肯定的な注目」の一つで、子どもの好ましい行動や言動に対し、何が良かったのかを具体的に言葉にして褒める「ほめビリティ」内の実践手法。
「ありがとう」が増えた家庭と、思春期の“待つ”関わり方

── 先を読めるようになったことと、お薬の力が合わさって、落ち着きが生まれていったのですね。実践を重ねる中で、お子様に印象的な変化の瞬間はありましたか?
自分の気持ちを話してくれるようになりました。毎年行っている近所の農家さんの枝豆収穫では、おばあちゃんが野菜販売の計算に迷っていた時、息子が作業の横からサッと暗算で「これいくらだよ」と手伝っていたんです。「助かったわ」とお礼を言われると、「できることをやっただけだから。俺、計算は得意じゃない。社会とか理科の方が得意だから」と答えていて。今まで聞いたことがなかった自分の得意なことや思いを口にしてくれて驚きました。
また、駅のホームで電車を待っていた時も、「向かいのホームのエレベーターの鏡っぽいところに反射して見えた」と同級生がいたことを教えてくれたりして、自分がどう見ているかを話してくれるようになりました。
── 自分の得意・不得意まで話してくれるようになったのは驚きですね。家の中でのご様子や関係性はいかがですか?
家の中がすごく穏やかになり、指示褒め(※)だけで日常のことがスムーズに進むようになりました。食器を水に漬けるようなことも、こちらからお願いしなくても自発的にやってくれる頻度が上がりましたし、勘違いで私に怒った日も寝る直前に小さい声で「さっきはすみませんでした」と謝ってくれるようになりました。
※「指示して褒める」の略。子どもに適切な指示を出し、その通りに行動できたら褒めることで、好ましい行動を定着させる「ほめビリティ」の実践手法。
── 勘違いで怒った日も自分から謝れるようになった、というのは大きな変化だと思います。以前の目標であった「家庭内での褒め文化の定着」はいかがでしょうか?
かなり定着してきたと思います。「今日お弁当美味しかった」「俺のために気を使ってやってくれたんでしょ、ありがとう」と、息子の方からも感謝の言葉が聞けるようになりました。少しずつ家庭の中で褒め文化が根付いているのを感じますし、親の姿をちゃんと見ているんだなと思いました。
── 息子さんの方から感謝の言葉が出てくるようになったのは、褒め文化が根付いた何よりの証ですね。思春期の「クオリティタイム」を通して、どのような学びがありましたか?
こちらからボールを投げるのではなく、主導権は子どもにあって「いつでも受け取れる状態で待つ」ことが大事だと学びました。対面で構えるのではなく、並んで歩いている時や作業をしている時にボソボソと話してくれることを受け取るのが、思春期の関わり方なんだと実感しました。
── こちらから促すのではなく、いつでも受け取れる状態で待つことが思春期の関わり方として大切な学びだったのですね。 では、これからの展望や目標をお聞かせください。
日常的に起こることには、ある程度「こうなったらこう対応する」という流れが自分の中でできてきました。ただ、突発的なイレギュラーな出来事に対応する瞬発力がまだ課題だと感じています。息子と一緒になってヒートアップせず、安定して関われるように、 自分自身の心のケアも頑張っていきたいです。また道を見失いそうになった時は、『ほめビ』の基本に戻ろうと思っています。
── 最後に、同じように悩む方や2回目の受講を検討している方へメッセージをお願いします。
“褒め”は漢字の書き取りや野球の素振りと同じで、毎日実践して結果を自分で確認するからこそ身につく「褒め筋肉」の筋トレのようなものだと思います。一人で続けるのは難しいからこそ、集中的にトレーニングして実践を重ねることで効果が出ると実感しました。ぜひ実践に挑戦してみてほしいなと思います。
── ありがとうございました。

不安や戸惑いを抱えながらも、「子どもとどう関わればいいのか」を模索している方にとって、ほめビリティは一つの支えになるかもしれません。日々の小さなやりとりを変えることで、親子の関係性が少しずつ前向きになっていく。その一歩を安心して試せるように、LINE相談も承っております。よかったら、公式サイトで詳しくのぞいてみてください。
【ほめビリティ公式サイト】