「普通の子」と比べてしまう自分から卒業――娘の「いいところ」を見つけ、ルールづくりで親子関係が変わった50日間
「『なんで普通の子じゃないのかな』と、娘の今の姿を認められなくて。そういう気持ちが自分の中で一番大きかったんじゃないかなと思います」
自閉症スペクトラム(ASD)の特性をもつ娘さん(現在小5)の勉強や切り替えの苦手さに悩み、親子でイライラしてしまっていたというYさん。夏休みを前に危機感を抱いて『ほめビリティ・プラクティショナー』に参加し、娘の「いいところ」に目を向けられるようになった結果、親子関係や切り替えの課題が劇的に改善した50日間の変化について伺いました。
「普通の子」と比べてしまい、できないことばかりに目が向いていた

── 『ほめビリティ・プラクティショナー』(※以下『ほめビ』) に参加される前、Yさんと娘さんはどのようなご状況だったのでしょうか。
学年が上がるにつれて勉強が難しくなってきて、うまく宿題に取り組めなくなっていました。自分自身ができないことにイライラしたり、私もうまく教えられなくて「もう、なんで分かんないの」となってしまったり。お互いにイライラして結局喧嘩みたいになってしまって、ちょっとギスギスしたような関係でした。
低学年の頃はまだ私も教えられる範囲だったのでなんとかやってこられたのですが、どんどん勉強が難しくなっていく中で、私も娘のできないことにばかり目がいってしまっていました。
── 宿題の場面で、お互いにイライラしてしまうことが増えていたのですね。日々の生活の中では、ほかにどんな場面で関わりづらさを感じていましたか。
全体的に、ちょっと切り替えが苦手なところがあって。娘は自閉症(ASD)の特性があり、言語の理解度も他の子と比べると少し遅いので、そういった面での苦手さが結構強いんです。 ゲームがやめられなかったり、あとは自分がやりたいことを押し通そうとするところがあったりして、それができなかった時にうまく切り替えができなくてぐずってしまうこともありました。そういった関わりの難しさみたいなものは、ずっとありましたね。
── そうした状況の中で、Yさんご自身は当時、どのようなお気持ちを抱えていらっしゃったのでしょうか。
やっぱり、一番はイライラが強かったと思います。どこかで、いわゆる「普通の子」と比べてしまい、「なんでできないんだろう」「なんで普通の子じゃないのかな」みたいに思ってしまって。娘の今の姿を認められないという気持ちが、自分の中で一番大きかったです。
夏休み前の強い危機感と、メンターからのフィードバックが決め手に

── そのような中で『ほめビ』を知ってくださり、参加を決められた理由を教えていただけますか。
ちょうど時期的にも夏休みに入る頃だったので、「このまま夏休みに入ったら大変なことになるんじゃないか」と悩んでいたんです。その時に『ほめビ』のことを知って、「もうこれをやってみるしかないな」みたいな感じで参加しました。
最初は正直「これで本当に変わるのかな」という疑念はありましたが、家庭内でもギスギスしていた時期だったので、これで何かちょっとでも変わったりできればいいなと思いました。
それに、実践したことに対してメンターさんからフィードバックが返ってくるという仕組みがあったので、それもすごくいいなと思って決めました。
「いいところを見る」初心に立ち返り、仲間の存在が継続の力に

── 実際に取り組んでみて、最初にご自身の中で気づいたことはありましたか。
今まではできていないところばかりに目がいってしまっていましたが、娘のちゃんとできているところや、いいところを見ることはすごく大事なんだなとあらためて気づかされました。
褒めた後すぐに「でも、こうしたらよかったよね」とか、「この方がいいよ」と、自分の意見を言ってしまうことも多かったのですが、だからこそ今回は本当に「褒める」ということを、すごく意識できたかなと思います。
── これまでの「褒め方」そのものを見直していった中で、娘さんの反応にも何か変化はありましたか。
始めて少し経ったぐらいの時、娘がしてくれたことに対して「ありがとう」と伝えたら、「ありがとうって言われるとうれしいな」と言ってくれたんです。 今までそんなこと全然言ったことなかったのに。
私が褒めるようになったという雰囲気を感じ取ったのかなと、ちょっとびっくりしましたね。
──それまでなかった言葉が娘さんから返ってきたのは、印象に残りますね。一方で、こうした実践を50日間続けるのは簡単ではなかったと思いますが、継続するうえで支えになったものはありますか。
やっぱり、他の方の存在がすごく大きかったかなと思います。
一人だけだと、何かのタイミングで投稿ができない日があったら「今日も明日もやらなくていいか」となってしまいやすいと思うんです。でも、他の方がどんどん投稿していたりするのを見ると、1日空いてしまっても「じゃあ明日はやろう」と思えて。
「一人じゃないんだ」と思えたことが、すごく大きかったですね。
ルールを明確にしたことで、苦手だった「切り替え」が劇的に上手になった

── 仲間の存在にも助けられながら実践を重ねた50日間の中で、「ここは特に変わった」と娘さんに感じたのはどんなところでしたか。
一番よかったなと思ったのは、ルールを決めて「ご褒美と負の罰(※)」を取り入れたことで、タブレットやゲームの時間の切り替えができるようになったことです。
今まではなかなかやめられなくて、一応タイマーを使ったりしていたんですが、タイマーが鳴ってもずっと続けていて。「終わりだよ」って言ってもやめられず、「わーっ」と大きい声を出すこともありました。
でも、ルールを実践してからは、タイマーを使って時間内でしっかり終わらせることができたり、ちょっとタイマーが鳴っちゃっても「じゃあここまでやったらやめる」と自分で言ったりと、切り替えがすごく上手になりました。そこが一番びっくりした変化ですね。ちゃんとルールを決めたらこんなに変わるんだ、と思いました。
※ルールを守れなかったときに、事前に決めた約束に沿って、ゲームなど子どもにとって好ましいもの・活動を一時的に制限することで、望ましくない行動を減らしていく方法。
── 以前もタイマーは使っていたとのことですが、今回は「ルールを決めたらこんなに変わるんだ」と感じるほど違いがあったのですね。Yさんから見て、以前のやり方と何が一番違っていたと思いますか?
いろいろあるかもしれませんが、やっぱり「負の罰」のルールが大きかったのかなと思います。 今までそういうルールは決めていなくて、いつも「今日はもう終わりって言ったじゃん」と怒って終わっていました。
今回は「時間が過ぎちゃったら、次10分できなくなるよ」というルールを決めて、実際に時間を過ぎた時にはその通りにしました。そうすることで、「時間が過ぎると次は遊べる時間が減るんだ」ということを、少しずつ本人も理解していったのかなと思います。
他の子と比べなくなり、自分自身の気持ちがすごく楽になった

── 参加前には「できないことにばかり目がいっていた」とお話しされていましたが、実践を続けていく中で、娘さんを見るときのYさん自身の視点には変化がありましたか。
できないことにイライラすること自体が減って、「こんなにいいところがあったんだ」「こんなに素直なところもあったんだ」と気づけるようになりました。
それから、以前ほど他の子と比べなくなったように思います。「こういうことが苦手なところもあるよね」と、娘なりの苦手さも少しずつ受け入れられるようになって。
そういう意味では、自分の気持ちがすごく楽になったような感覚があります。
── 参加前に特にぶつかることが多かった宿題の時間では、どのような変化が表れましたか。
娘に対してイライラしなくなりました。前ほどすごく怒ったり、「どうしてできないの」という気持ちになることが減って、「あ、一緒にやってみようか」と声をかけてみたり、声かけが変わった実感があります。
夏休みの宿題も、前もって計画を立てて一緒にやったのでスムーズにできました。今は自分でノートで宿題をやるんじゃなくて『すらら(ICT教材)』をやるようにしたこともあり、前ほどギスギスした感じはなくなったような気がします。
── 最後に、同じように悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
『ほめビ』で学んだぐた褒め(※)などは、これからも日常の中で思い出しながら、続けて使っていきたいと思っています。
参加する前の私は、つい怒ってしまうことが多くて、娘のいいところにも、なかなか目を向けられていなかったように思います。でも『ほめビ』を通して、娘のいいところに気づく機会がすごく増えました。そうすると、私自身の見方も少しずつ変わって、娘との関係も以前よりよくなったと感じています。
もし今、お子さんとの関わり方に悩んでいる方がいたら、一度試してみてほしいなと思います。
※「具体的に褒める」の略。行動療法における「肯定的な注目」の一つで、娘の好ましい行動や言動に対し、何が良かったのかを具体的に言葉にして褒める「ほめビリティ」内の実践手法。
── ありがとうございました。

不安や戸惑いを抱えながらも、「子どもとどう関わればいいのか」を模索している方にとって、ほめビリティは一つの支えになるかもしれません。日々の小さなやりとりを変えることで、親子の関係性が少しずつ前向きになっていく。その一歩を安心して試せるように、LINE相談も承っております。よかったら、公式サイトで詳しくのぞいてみてください。
【ほめビリティ公式サイト】