「放課後等デイサービスが増えているのはなぜ?」「今後の将来性はどうなるの?」 近年は放課後等デイサービスの増加が著しい傾向となっています。放…
放課後等デイサービスを新しく立ち上げるには、様々な準備や手続きとともに開業資金が必要になります。スムーズに開所するためにも何にいくらかかるのか具体的に把握し、事前に資金を準備しておくことが大切です。
今回の記事では、放課後等デイサービスの立ち上げ費用の内訳や開業後のランニングコスト、資金の調達方法などを詳しく紹介します。最後にはよくある質問にも回答しているのでぜひ参考にしてください。
この記事を読む方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
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もくじ
放課後等デイサービスの立ち上げ費用(開業費用)
まずは、放課後等デイサービスを新たに立ち上げる際に必要な開業費用について見ていきましょう。具体的には以下のような費用がかかります。
【放課後等デイサービスの立ち上げ費用(開業費用)】
- 法人の設立費用
- 物件の賃貸費用(家賃)
- 備品の費用
- 施設の保険費用
- スタッフの求人費用
- 集客の費用
- 車両購入費用
教室の体制を整えてスタッフを集めなければならないので、上記のように様々な準備が必要です。ここからは、それぞれの費用の内訳を詳しく紹介します。
法人の設立費用
放課後等デイサービスを立ち上げるには法人格を有している必要があります。一般的には株式会社か合同会社として設立されるケースが多いです。
株式会社は最もメジャーな会社形態であり、信用を得やすいため集客や融資の際に有利になるでしょう。また、融資以外に株式による資金調達も可能なのが大きなメリットとして挙げられます。
ただし、コストが高いうえに設立までに時間がかかってしまうのがデメリットです。株式会社を設立する際は登録免許税として約15万円、定款認証代として約5万円がかかるので合計で20万円ほど必要になります。また、合同会社が3日で設立できるのに対し、株式会社は1ヶ月ほどかかってしまうので早めに準備しなければなりません。
合同会社は株式会社に比べて安く・早く設立できるのがメリットと言えます。費用は約6万円で済み、3日程度で設立が可能です。
しかし株式会社よりも認知度が低く、社会的な信用が高いとは言い切れません。したがって職員採用の際などに不利になる可能性もあります。また、合同会社は様々な決定を出資者全員の同意で決める必要があり、意思決定に時間がかかることも多いです。
設立までに要する期間や費用などをよく比較し、自分の状況に合った法人を設立しましょう。
物件の賃貸費用(家賃)
物件に関する費用は、立地や広さによって大きく変動するので注意が必要です。地域によって賃貸費用は大きく異なりますが、支払い続けることを考えると都市部では20万円程度・その他の地域では15万円ほどに収めておくのがおすすめです。
開業時には敷金・礼金や不動産会社への仲介手数料、準備期間の家賃や内装費用も必要になるため、総額で300万円以上かかることもあります。
居抜き物件が見つかれば内装費用はかかりませんが、そうでない場合は内装工事のために開業の2ヶ月程度前から賃貸契約を結んで家賃を支払わなければなりません。
備品の費用
子どもの力を伸ばし、安全に運営していくためには教室の設備をしっかり整えなければなりません。主に必要な備品は以下のようなものです。
【放課後等デイサービスに必要な備品】
- ロッカー
- 机と椅子
- 電話
- PC(複数台)
- プリンターやコピー機
- 鍵付き書庫
- 冷蔵庫
- 洗濯機
- 掃除機
- 電子レンジ
- テレビ
- 教材
- 絵本
- おもちゃ
- 文具
- トランポリン・バランスボール等の運動用具
- 嘔吐処理グッズや救急箱などの衛生管理備品
- 指挟み防止や滑り止め等の安全管理備品
- 調理器具(手作りおやつを提供する場合)
これらを揃えるために約100万円はかかると見込んでおきましょう。教室の規模が大きいほどその分多く購入しなければならないため、さらに費用がかかります。
また、教室の規模によって必要な消防設備が変わってきますが、上記以外に火災時の対策も行わなければなりません。誘導灯や消火器程度なら約15万円、自動火災報知設備が必要なら100万円以上かかることもあります。
施設の保険費用
目安になりますが、施設賠償保険として約6万円・火災保険として2万円ほど必要です。他にも、教室に通う子どものケガや事故に備えた保険や、施設向けに用意された損害賠償保険などへの加入も必要に応じて検討します。
賠償責任の保険への加入の規則はありません。しかし、トラブルを100%防ぐのは難しいため、立ち上げと同時に加入しておくことをおすすめします。
スタッフの求人費用
児童発達支援管理責任者や児童指導員、保育士等のスタッフは配置が義務付けられています。求人広告媒体で募集する場合、人員が集まるまでの日数にもよりますが50万円ほどかかると見込んでおきましょう。
ただし、身内や知り合いで人員をまかなえる場合は、広告を出さずに済むので費用はかかりません。何名か魅力的な人材を集められたら、周りにスタッフになれそうな人がいないか聞き、人員を集めていくのも一つの手段です。
集客の費用
当然ですが、利用者がいなければ利益は生まれません。放課後等デイサービスは競争の激しい業界であるため、教室を利用する子どもたちを集めるのにも費用がかかります。
利用者の募集にあたり、Webサイト・パンフレット・名刺などを作成して広告媒体への掲載を行うとなると、費用総額は50万円から70万円ほどになるでしょう。
車両の購入費用
送迎サービスを行う場合は、そのための車両を購入しなければなりません。利用者の人数や住宅の範囲によって異なりますが、一般的に車両は2・3台必要だと言われています。
車両は1台あたり50万円から500万円ほどで、条件によって費用は大きく変動します。自動車保険に加入することも加味すると、総額350万円以上はかかると見込んでおきましょう。
放課後等デイサービス立ち上げ後の運転費用(ランニングコスト)
放課後等デイサービスを運営していくには、開業費用だけでなく運転費用もかかります。実際の運転費用のシュミレーションを紹介するので参考にしてください。
以下は、利用者がなしの場合で3ヶ月分のランニングコストです。平日のみの営業で利用者定員が10名、スタッフは管理者兼児童発達支援管理責任者1名・児童指導員2名の合計3名と仮定します。
家賃 | 48万円(16万円×3ヶ月) |
光熱費 | 45,000円(15,000万円×3ヶ月) |
人件費 | 210万円(3人の給与合計が月70万円とした場合) |
その他(営業費・日用品等) | 30万円 |
合計 | 292万5,000円 |
放課後等デイサービスは、サービス提供月の2ヶ月後に収入が得られるシステムなので最初の2ヶ月は収入がありません。さらに、初月から利用者を集められる保証もないので2・3ヶ月分の運転費用を準備しておく必要があります。
放課後等デイサービスの立ち上げ費用の調達方法
規模や立地にもよりますが、放課後等デイサービスを立ち上げるには600万円から900万円程度かかります。加えて数ヶ月分の運転費用も用意しておかなければなりません。
自己資金のみでこれらを賄うのは難しいため、融資制度を活用して立ち上げ費用を調達するケースが多いです。ここでは、主な立ち上げ費用の調達方法を紹介します。
【放課後等デイサービスの立ち上げ費用の調達方法】
- 日本政策金融金庫の新創業融資制度
- 各自治体の中小企業制度融資
- 独立行政法人福祉医療機構の福祉貸付事業
それぞれの特徴について見ていきましょう。
日本政策金融公庫の新創業融資制度
日本政策金融公庫の新創業融資制度は、新たな事業を始める方が利用できる制度です。開業費用および運転費用として最大で3,000万円の融資を受けることができます。法人形態は問われず、担保や保証人も必要ありません。
利率や返済期間等はケースによって異なってくるので、詳しくは日本政策金融公庫の「新創業融資制度」をご覧ください。
各自治体の中小企業制度融資
中小企業が金融機関から融資を受けやすいように多くの自治体でサポートが行われています。この制度では、自治体が金融機関の貸付原資や信用保証協会に支払う保証料などの一部を負担するのが一般的な形です。
融資限度額や法人形態、返済期間等は自治体の制度ごとに異なるので、詳細に関しては各自治体窓口を尋ねてみてください。
独立行政法人福祉医療機構の福祉貸付事業
独立行政法人福祉医療機構の福祉貸付事業は、放課後等デイサービスを含めた様々な社会福祉施設を整備するのに必要な設備資金や経営資金などを貸し出す事業です。
法人形態は特に問われず、利率は貸付契約時のものが利用されます。返済期間が10年を超える場合は、完全固定金利制か10年経過ごと金利見直し制度かの選択が必要です。
融資限度額は以下の2つの計算で求められた額から低い方が適用されます。
【融資額の算出方法】
- (基準事業費−法的・制度的補助金)×75%
- 担保評価額×70%
返済期間は貸付金額等の条件によって異なりますが、経営資金を借りる場合は1〜3年です。詳しくは独立行政法人福祉医療機構のホームページより問い合わせてみてください。
放課後等デイサービスの資金調達をする際の注意点
放課後等デイサービスの資金調達をする際は、調達先や融資の種類をよく検討しておきましょう。後悔しないためには、気になることがあれば問い合わせて納得のいく形で融資申請を行うことが大切です。
金融機関は持続可能な事業だと判断しなければ融資をしてくれません。融資を申請する際には、同業他社とどのように差別化を図るのか明確にしてアピールすることが大切です。また、経営が実現可能であることを証明するために創業計画書は綿密に作成しましょう。
放課後等デイサービスに関するよくある質問
最後に、放課後等デイサービスに関するよくある質問に答えます。
【放課後等デイサービスに関するよくある質問】
- 放課後等デイサービスを立ち上げるには資格が必要?
- 放課後等デイサービスの立ち上げで利用できる助成金はある?
疑問に思っていることがあればぜひ解決に役立ててください。
放課後等デイサービスを立ち上げるには資格が必要?
放課後等デイサービスを立ち上げるオーナーが資格を有している必要はありません。ただし、人員に関する基準に従って児童発達支援管理責任者や児童指導員などを配置することが定められています。
オーナーはスタッフの管理・集客・プログラム作成などに専念し、子どもとの関わりは専門的な知識を持つスタッフに任せるのがおすすめです。
放課後等デイサービスで利用できる助成金・補助金はある?
放課後等デイサービスの立ち上げで利用できる助成金の一部を紹介します。
人材確保等支援助成金 | 従業員の定着率向上・離婚率低下を目的とした助成金です。職場環境の改善や管理制度の整備を行うことで受給することができます。 |
特定求職者雇用開発助成金 | シングルマザーや高齢者など就職が難しいとされる人々を支援する助成金です。労働時間など様々な要件があります。 |
IT導入補助金 | 業務フローの改善や効率化を図るためにITツールや情報の一元管理が可能なシステムを導入することで補助を受けられます。 |
キャリアアップ助成金 | 非正規雇用の従業員のキャリアアップに取り組むことで得られる助成金です。キャリアアップ管理者を置いていることや計画を立てていることなどの要件があります。 |
詳しい条件などは行政のホームページで確認してみてください。
まとめ:放課後等デイサービスを立ち上げるには開業費用と運転費用が必要!資金調達は余裕を持って行おう!
放課後等デイサービスを立ち上げるには、設備や物品の購入費用・スタッフや利用者を集めるための広告費用・車両の購入費用などがかかります。さらに、開業費用とともに経営が落ち着くまでの2・3ヶ月分の運転費用の準備も必要です。
放課後等デイサービスは他の業界に比べると少ない資金で開業が可能ですが、自己資金だけで始めるのは難しいので資金調達を行うことになるでしょう。まずは、融資先やそれぞれの条件などについてよく調べることが大切です。
また、確実に融資を受けられるように他社との違いを明確化したり、創業計画書を丁寧に作成したりと工夫が必要になります。
信頼される放課後等デイサービスとして長く続けていくためにも、立ち上げ準備は余裕を持って行い、万全の体制で開業できるようにしましょう。
この記事を読んだ方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
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