放課後等デイサービスは、障がいのある子どもの居場所となる児童福祉サービスです。子どもの特性や発達に合わせた療育ができるので、利用したいと考え…
2021年10月に厚生労働省で開かれた「障がい児通所支援の在り方に関する検討会」において、放課後等デイサービスの今後の方向性に関する議論が行われました。
2012年から始まった放課後等デイサービスは年々事業所数が増え、サービスの質の向上が見られる一方で課題も多く見つかっています。これまでも法改正により改善が図られてきましたが、2024年には新たに放課後等デイサービスの方針が変わる予定です。
この記事では、2024年度の法改正で放課後等デイサービスがどのように変わるか・なぜ新たな基準が設けられるのかを詳しく解説します。放課後等デイサービスの今後の課題についても紹介しているのでぜひ参考にしてください。
この記事を読む方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
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2024年度の法改正で放課後等デイサービスが変わること
まずは、2024年度の法改正で放課後等デイサービスがどのように変わるのか紹介します。主な変化のポイントは以下の2つです。
【2024年度の法改正で放課後等デイサービスが変わること】
- 預かりや学習支援などのみを提供している放課後等デイサービスは公費の対象外になる
- 放課後等デイサービスが2類型化になる
上記の2点について詳しく見ていきましょう。
預かりや学習支援などのみを提供している放課後等デイサービスは公費の対象外になる
放課後等デイサービスは、放課後や長期休みに障がいのある就学児が利用する障がい福祉サービスの1つです。個別の発達支援や集団での活動を行い、専門知識を持つスタッフが子どもの自立や社会参加をサポートします。
しかし中には適切な支援をせず、学童のように預かりのみを実施していたり、学習塾やピアノ教室のように指導に特化していたりするところもあるのが放課後等デイサービスの現状です。今回の法改正ではそのような事業所は公費の対象外になります。
放課後等デイサービスが2類型化になる
放課後等デイサービスは、これまで施設の方向性について指定されることがなかったため、支援内容は事業所によって様々でした。そのせいで適切な支援をしない放課後等デイサービスが出てきてしまい、現在では問題となっています。
今回の法改正では、放課後等デイサービスを「今まで通り様々な活動を通して発達支援を行う施設」「これまで以上に専門性を持った施設」に分けて整理し、問題が指摘されている事業所は公費の対象外とするのが狙いです。
具体的には放課後等デイサービスは以下の2つに分類されます。
- 総合支援型
- 特定プログラム特化型
それぞれの特徴を詳しく紹介します。
総合支援型
「総合支援型」の放課後等デイサービスは、現在の運営方針に定められている4つの基本活動の全てを行うものです。厚生労働省の「放課後等デイサービスガイドライン」で定められている4つの基本活動は以下の通りです。
- 自立支援と日常生活の充実のための活動
- 創作活動
- 地域交流の機会の提供
- 余暇の提供
「自立支援と日常生活の充実のための活動」は、子どもが意欲的に取り組める遊びを提供し、発達段階に合わせた動作を身に付けたり自立生活を支援したりすることです。「創作活動」では、表現できる喜びを体験して豊かな感性を養います。
「地域交流の機会の提供」は、子どもの社会経験の幅を広げることを目指して地域の人との交流を図っていくものです。「余暇の提供」では、子どもが望む遊びやリラックスする練習などをし、ゆったりした雰囲気で活動に取り組みます。
総合支援型の放課後等デイサービスでは、これらの基本活動を組み合わせてプログラムを作成し子どもの支援を行う予定です。
特定プログラム特化型
詳細に関してはまだ議論されている段階ですが、「特定プログラム特化型」の放課後等デイサービスではより専門性の高い支援を提供する予定です。
子どもの発達状況に合わせて支援内容はコーディネートする必要があり、児童発達支援センター等の専門機関がその役割を担うことができるか検討されています。
また、一部の支援に偏ってしまわないように配慮も必要になるため、内容の確定にはさらなる議論が必要になりそうです。
放課後等デイサービスの指定基準が見直される理由
2012年度から設立が始まった放課後等デイサービスは、需要の拡大とともに施設数も増大してきました。放課後等デイサービスの運営には公費で賄われる部分が大きく、得られる利益を求めて多くの事業所が業界に入ってきたのです。
国の方針を踏まえ、子どもたちに適切な支援を行う放課後等デイサービスはたくさんありましたが、一部の悪徳業者が報酬の不正請求を行ったり、ずさんな管理体制で運営したりと毎年のように問題が発覚しています。
これまでも繰り返し法改正が行われており、少しずつ業界の体制が整ってきましたが、支援内容に関して各事業所に任される部分が大きく改善の余地がありました。
そこで2024年度の法改正では、放課後後等デイサービスの指定基準が見直され、2類型化することでより一層サービスの質の向上を図る予定です。
放課後等デイサービスの事業所数が増加した理由
そもそも悪質な業者が増えたのは、放課後等デイサービス全体の需要が増え続けているからです。では、なぜ毎年のように需要が拡大しているのでしょうか。その主な理由として以下の2点が挙げられます。
【放課後等デイサービスの事業所数が増加した理由】
- 障がいがある子どもが増えている
- 女性の就業率が上がった
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
障がいがある子どもが増えている
内閣府の「令和3年版 障害者白書」によると、知的障がいがある0〜17歳の子どもは1995年から2016年で約2.5倍にも増えています。また、精神障がいがある0〜24歳の人数も2002年から2017年の15年間で10万人以上も増加しています。
障がいがある子どもが増えていることで需要が高まっているようです。
さらに、発達障がいに関しては年々理解が深まり、今まで診断がつかなかった子も支援の対象として数えられるようになりました。それも影響して放課後等デイサービスの需要が高まっているのです。
女性の就業率が上がった
2つ目の要因として女性の就業率が上がったことが考えられます。戦後から平成初期は母親が専業主婦として家庭で子どもの世話をする世帯が大半を占めていましたが、徐々に女性の就業率が上がり現在では共働き世帯の方が多くなりました。
内閣府男女共同参画局の「男女共同参画白書 平成29年版」によると、25〜44歳の女性の就業率は平成24年では67.7%でしたが、平成28年には72.7%まで上昇しています。
両親が共働きになると放課後や長期休みに家庭で子どもの面倒を見るのは難しく、放課後等デイサービスに頼る世帯が増えたと考えられます。
放課後等デイサービスの今後の課題は?支援プログラムの狙い・計画を明確にする必要がある
ここまで述べてきたように、放課後等デイサービスの需要は大きいものの業界での競争は激しく、2024年度の法改正によってより厳しい状況に迫られることが予想されます。では、今度も放課後等デイサービス業界で生き残るにはどのような対策が必要なのでしょうか。
最も大切なのは、支援プログラムの狙い・計画を明確にすることです。他の放課後等デイサービスと差別化を図るためには支援内容を曖昧にせず、「どのような力をつけるためにこのプログラムを行うのか」「どのような計画でプログラムを進めていくのか」などを明確に定め、保護者に分かりやすく提示していく必要があります。
支援プログラムの狙いや計画は法改正を目前に慌てて決められるものではありません。利用者に理解されて軌道に乗せるまでには時間がかかるものです。これからも業界の中で生き残っていくためには今から準備を進めていく必要があります。
放課後等デイサービスの今後に関するよくある質問
ここまでは、放課後等デイサービスの法改正に伴う様々な変化やその背景について紹介してきました。最後に放課後等デイサービスの今後に関するよくある質問に答えます。
【放課後等デイサービスの今後に関するよくある質問】
- 放課後等デイサービスの2類型化はいつから?
- 2024年の法改正で放課後等デイサービスは何が変わるの?
この記事の復習も兼ねてぜひ内容を確認してみてください。
放課後等デイサービスの2類型化はいつから?
2024年の法改正のタイミングで放課後等デイサービスは「総合支援型」「特定プログラム特化型」の2つに分類される予定です。
なお、この2つに当てはまらない事業所は公費の対象外とされます。
2024年の法改正で放課後等デイサービスは何が変わるの?
2024年の法改正によって放課後等デイサービスに生じる変化は大きく2つあります。
1つは、放課後等デイサービスが「総合支援型」「特定プログラム特化型」の2つに分類されることです。総合支援型では、従来のように様々な支援によって子どもの発育を促します。特定プログラム特化型では、より専門的な療育等のプログラムによる支援が求められる予定です。
2つ目の変化は、「総合支援型」「特定プログラム特化型」のどちらにも当てはまらない事業所が公費の対象から外されることです。適切な発達支援を行わず、預かり保育や学習塾のような運営体制の事業所を排除する狙いがあります。
まとめ:2024年の法改正で放課後等デイサービスは2類型化される!生き残るには支援プログラムの狙い・計画を明確にする必要がある
2024年の法改正によって、放課後等デイサービスは「総合支援型」「特定プログラム特化型」の2つに分類される予定です。どちらにも当てはらない事業所は公費の対象外とされ、経営を続けるのは困難となるでしょう。
この法改正は、これまで事業所ごとに様々であった支援内容の方針をできるだけ揃え、より質の高いサービスを追求することが目的です。
「総合支援型」では、現在の運営方針に定められている4つの基本活動を組み合わせたプログラムで子どもの発育を促します。「特定プログラム特化型」では、より専門的な療育等のプログラムによる支援が求められるため、専門スタッフを確保するのが課題となるでしょう。
これからも放課後等デイサービスとして生き残っていくには、支援プログラムの狙い・計画を明確にすることが大切です。2024年の法改正までまだ期間はありますが、準備を始めるのに早すぎることはありません。余裕を持って準備を行い、利用者により信頼される放課後等デイサービスを目指しましょう。
この記事を読んだ方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
- 「近隣に競合施設が多く、生徒確保が難しい」
- 「離職率が高い・指導員の確保が難しい」
- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
- 「職員が不足している時間帯の児童支援が難しい」
すららネットでは上記問題を解決するためのセミナーを“期間限定”で開催中です。
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