利用者だけでなく経営者からも注目を集めている放課後等デイサービス。「どれぐらいの利益を得られるの?」「赤字経営が多いのでは?」など、放課後等…
児童発達支援事業所を立ち上げようとした時に、具体的に何から始めれば良いかわからない方は多いと思います。児童発達支援事業所の立ち上げをするためには、国が定めたいくつもの基準を満たさなければなりません。
基準を満たしつつスムーズな開業を行うためには、事前に立ち上げの手順を理解して、綿密なスケジュールを立てることが重要と言えるでしょう。
そこで当記事では、児童発達支援事業所の開業に必要な条件や初期費用、立ち上げの手順などについて解説していきます。児童発達支援事業所の開業に興味がある方はぜひ参考にしてください。
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もくじ
児童発達支援事業所とは
児童発達支援事業所とは、障がいのある未就学の子どもを対象とした施設を指します。日常生活や集団活動を学び、子どもの指導および訓練が主な目的です。
詳しい児童発達支援の定義については、厚生労働省の「児童発達支援ガイドライン」に記載されています。
児童発達支援は、障害のある子どもに対し、身体的・精神的機能の適正な発達を促し、日常生活及び社会生活を円滑に営めるようにするために行う、それぞれの障害の特性に応じた福祉的、心理的、教育的及び医療的な援助である。
(引用:厚生労働省「児童発達支援ガイドライン」)
また、児童発達支援事業所では障がいのある子どものみではなく、その家族への支援も行っています。家族への支援も行うことで、子ども本人にも良い影響を与えることが期待できるとされています。
児童発達支援事業所の開業に必要な2つの条件
児童発達支援事業所の開業をするためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
【児童発達支援事業所の開業条件】
- 法人格を有していること
- 指定基準を満たしていること
それぞれの条件を詳しく解説します。
①法人格を有していること
児童発達支援事業所を開業するためには、法人格を有している必要があります。法人格の中にはNPO法人・合同会社・株式会社などがありますが、いずれの場合でも法人設立の手続きを行い、都道府県からの児童発達支援事業所の指定を受けてください。
また、既に法人格を有している場合には、定款にある事業目的の項目に児童発達支援事業を行う旨を記載する必要があります。まだ記載がされていない場合には、定款の変更手続きを行っておきましょう。
②指定基準を満たしていること
児童発達支援事業所の開業には、以下の3つの指定基準を満たす必要があります。
- 人員基準
- 設備基準
- 運営基準
3つの基準を満たす要件と、それぞれの準備の進め方を確認していきましょう。
人員基準
はじめに人員基準から確認していきます。人員基準とはその名の通り、児童発達支援事業所としてサービスを提供するにあたり必要となる従業員の数です。
下記の表に、設置が義務づけられている従業員の数やその要件をまとめました。
人員の種類 | 義務づけられている設置人数 | その他の要件 |
管理者 | 1名 | 業務に支障がない場合に限り兼務できる |
児童発達支援管理責任者 | 1名 | 資格要件有り |
児童指導員・保育士 |
利用定員10名以下の場合:2名以上 利用定員11名以上の場合:利用定員が5名増えるごとに人員を1名追加 |
1名以上は常勤である必要がある |
人員基準を効率よく満たすためには、早期採用が重要です。上記の人員基準を満たせるように求人広告を打ち出しましょう。
設備基準
設備基準とは、児童発達支援事業所としてサービスを提供するにあたって必要な設備に関した基準を指します。下記に、適切な運営を行うために必要な設備とその用途をまとめました。
設備の種類 | 用途 | 必要な備品 |
指導訓練室 | プレイルームとして子どもが過ごすスペースであり、 必要な広さは都道府県により異なる |
支援内容に沿った備品 |
事務室 | 事務作業や書類を保管をするスペース | パソコンや事務用具 |
相談室 | 保護者と相談するスペース・静養室を兼ねた プライバシーを確保したスペース |
プライバシー確保のための仕切りやパーテーション |
トイレ・洗面所 | 障がいのある子どもでも排泄しやすい設定のスペース | 衛生管理に必要な備品 |
設置基準を迅速に満たすためには、まず児童発達支援事業所を開業したい土地のリサーチが重要です。駅近の土地なら駐車場は必要ありませんが、駅のないエリアであれば送迎車両を停車しておくスペースが必要になります。
また、設備基準としての要件を満たす物件であっても、不動産オーナーから児童発達支援事業所としての利用を断られるケースもあります。これらの理由から物件探しは早期の段階で行っておきましょう。
運営基準
運営基準とは、児童発達支援事業所としてサービスを提供するにあたって行うべき基準を指します。下記に運営基準の一部をまとめたので参考にしてください。
- 利用定員10名以上であること
- 協力医療機関をあらかじめ用意しておくこと
- 苦情窓口を設置すること
- 児童発達支援計画が作成されていること
上記からもわかるように、児童発達支援事業所を開業するためには多くの要件を満たす必要があります。後から困らないように事前の段取りが非常に重要です。
次の項では、児童発達支援事業所の立ち上げ手順について確認していきましょう。
児童発達支援事業所を立ち上げる手順
児童発達支援事業所を立ち上げるには、大きく分けて10個のステップがあります。
- ①事業内容・開始時期・サービスの提供地域を決める
- ②事業計画書を作成する
- ③法人を設立する
- ④行政との事前協議を行う
- ⑤資金を調達する
- ⑥施設の工事・備品の準備
- ⑦職員の確保
- ⑧指定事業者申請を行う
- ⑨施設の現地調査
- ⑩開業
それぞれの手順を詳しく確認していきましょう。
step①:事業内容・開始時期・サービスの提供地域を決める
児童発達支援事業所を開業しようと考えたら、まず事業内容・開始時期・サービスの提供地域を決めてください。事業を開始したい日から逆算して準備を行っていきます。
また、サービスの提供地域を決めたら、そのエリアのニーズを探ることも欠かせません。地域の特性を理解してニーズを把握しておきましょう。
step②: 事業計画書を作成する
次に、事業計画書を作成していきます。児童発達支援事業所を開業するためには、児童発達支援の事業者指定を受けなければなりません。そのためには様々な書類が必要であり事業計画書もその1つです。
事業計画書には、運営方針・経営の考え方・児童発達支援事業所の具体的なサービス内容などが記載されます。申請方法は都道府県により異なるので、あらかじめ各自治体のホームページなどを確認しておきましょう。
step③:法人を設立する
指定事業者になるには法人を設立する必要があります。設立する法人によっては手続きに日数がかかる場合もあるので、開始時期に間に合うように申請を行いましょう。
すでに法人格を有している場合には、事業目的の変更手続きを行う必要があります。定款にある事業目的の項に児童発達支援事業を行う旨を記載し、変更手続きを行ってください。
step④:行政との事前協議を行う
続いて、必要な書類に基づいた行政との事前協議を行っていきます。これには、児童発達支援事業所が関係法令に適合しているか確認する意味合いがあります。
行政との事前協議は必ず事務所の工事が始まる前に行ってください。なぜなら、万が一不備が見つかった場合に工期が大きく長引く可能性があるからです。
スケジュール通りの開始時期に開業できるよう綿密な協議を行っておきましょう。
step⑤:資金を調達する
資金調達の方法は、自己資金・銀行からの融資・補助金の利用などがあります。銀行からの融資を受ける場合は、今後の見通しをしっかり立ててから調達先を選んだ方が良いでしょう。なぜなら、より綿密な収支計画案の作成が融資のプラス要素になるからです。
収支計画書には、給付費・利用者負担金などの収入と家賃・人件費・光熱費・備品費などをはじめとした支出を記載してください。
step⑥: 施設の工事・備品の準備
資金の調達先が決定したら、いよいよ施設の工事や備品の準備に着手します。工事と並行して備品の設置を行い、サービス提供の申請準備をしていきましょう。
工事には想定外の事態がつきものです。そのため、想定外の事態を見込んだ余裕のある工期に設定してください。
step⑦:職員の確保
次に、人員基準に基づいた職員の確保を行います。インターネットやチラシなど様々な広告を打ち、仕事内容や事業所の魅力をPRしましょう。
採用を行う際には、実務経験や資格の有無などの要件を満たしているか必ず確認してください。地域によってはすぐに人が集まらないケースもあるので、可能な限り早めに職員の確保を始めましょう。
step⑧:指定事業者申請を行う
施設の工事や職員の確保ができたら指定事業者申請を行います。指定事業者申請を行うためには、児童発達支援事業所の開業をする市区町村もしくは都道府県に必要書類を提出する必要があります。
申請方法や受付時間は各都道府県により異なるので、児童発達支援事業所を開業する自治体に問い合わせをしてください。
step⑨:施設の現地検査
施設の工事が完了したら、行政の担当者が実際に現地に出向き検査を行います。具体的には、事前協議通りの施設が完成しているか・児童福祉法の法令に基づいた設備であるかを確認していきます。
現地検査に問題がなければ、いよいよ児童発達支援事業所の開業です。
step⑩:開業
現地検査が終われば児童発達支援事業所を開業できます。しかし、児童発達支援事業所は開業して終わりではありません。そこからは職員への研修作業や利用者との契約に向けた事務作業が数多く発生します。
下記に具体例をまとめたので参考にしてください。
【開業に伴い必要な作業】
- 利用者向けの最重要事項説明書の作成
- 利用者向けの契約書の作成
- 支援計画書の作成
- 職員の研修
- 職員との面談
- 保険などの準備
- 職員の給与支払い
- 業務マニュアルの作成
- 社内規定の作成
- 事務用品の購入
- 会計ソフトウェアなどの導入
これらのソフト面の準備は、あらかじめ定めた開業日までに行っておきましょう。
児童発達支援事業所の立ち上げに必要な初期費用
それでは、児童発達支援事業所の立ち上げにはいくらの費用がかかるのでしょうか。下記に代表的な初期費用をまとめました。
【児童発達支援事業所の立ち上げに必要な初期費用】
- 不動産の費用
- 施設の保険費用
- スタッフの求人費用
- 利用者の募集費用
- 備品の購入費用
- 車両の購入費用
それぞれの項目にかかる費用を解説していきます。
不動産の費用
児童発達支援事業所の立ち上げに必要な初期費用の中で、大きな割合を占めるのが不動産の費用です。開業するエリアによって費用は異なりますが、平均して300万円程度かかると考えておきましょう。
また、不動産を賃貸で借りるのか・購入するのかでも大きく費用は変わります。必要な坪数をはじめ、具体的なイメージを行いながら費用を算出してください。
施設の保険費用
児童発達支援事業では賠償責任保険への加入義務はありません。しかし、万が一のこともあるので加入しておくのがおすすめです。施設賠償保険の金額の目安は6万円程度・火災保険は2万円程度になります。
最近では福祉事業者向けの保険商品も増えているので、よく検討して加入してください。
スタッフの求人費用
前述しましたが、児童発達支援事業所を開業するには人員基準を満たさなければいけません。求人広告媒体を使って人員を集める場合、およそ50万円程度の費用がかかります。
しかし、福祉業界では縁故採用にて職員を集める事業所も少なくありません。児童発達支援管理責任者や指導員、保育士などの人材を身近で集められれば求人費用は抑えられます。
利用者の募集費用
児童発達支援事業所の存在を知ってもらい利用者を増やすためには、HPの作成・広告・パンフレットなどの手段があげられます。これらの募集費用には、平均して50万円から70万円ほど必要です。
児童発達支援事業所のニーズは年々増加していますが、その一方で事業所数も増えています。他の事業所に負けないためには、広告などでの募集は欠かせません。
備品の購入費用
児童発達支援事業所の運営で必要な備品には、以下のようなものがあげられます。
- ロッカー
- 机
- テレビ
- 冷蔵庫
- パソコン
- 複合機
- 洗濯機
- 電子レンジ
- 掃除機
- 鍵のついた書庫
- 絵本
- おもちゃ
- 学習教材
- 運動用具
- 衛生管理備品(絆創膏など)
- 安全管理備品(滑り止めなど)
これらの備品を購入すると、おおよそ80万円程度かかるでしょう。
車両の購入費
最後にあげられる費用は車両の購入費用です。児童発達支援事業所で送迎サービスを行う場合には、車両を購入する必要があります。
必要な台数は子どもの人数や送迎の範囲によって異なりますが、通常2・3台は必要です。1台あたり100万円を想定し、自動車保険料を加味するとトータルで350万円ほど見積もっておく必要があるでしょう。
児童発達支援事業所の立ち上げ後の運転資金
児童発達支援事業所にかかる費用は初期費用のみではありません。立ち上げ後には以下の運転資金が必要となります。
- 人件費
- 経費
運転資金は、実際に売上が入金されるまでの期間に必要となるので必ず押さえておきましょう。
人件費
人件費は事業所の規模によって異なりますが、児童発達支援管理責任者1名の月給が28万円・常勤従業者3名の月給が20万円・非常勤従業者2名の時給が1,000円とすると、運転資金として月100万円程度は見込んでおくと安心です。
この他にも従業員に応じて交通費が発生するケースもあるので、あらかじめ試算しておく必要があります。
経費
経費は施設の規模や送迎の有無によって左右されますが、平均して月に40〜70万円程度見込んでおけば良いでしょう。下記に代表的な経費をまとめました。
【代表的な経費】
- 家賃
- 光熱費
- 広告費
- 税理士や社労士への報酬
- ガソリン代
- 駐車場代
車の有無や事業所の立地・広さなどによって経費は大きく左右されるので、こちらもあらかじめ試算が必要です。
児童発達支援事業所を立ち上げるメリット
次に、児童発達支援事業所を立ち上げるメリットについて解説していきます。主なメリットは以下の2つです。
- 安定した収入を確保できる可能性が高い
- 地域のために貢献できる
それぞれ詳しく確認していきましょう。
安定した収入を確保できる可能性が高い
1点目のメリットは、安定した収入を得られる可能性が高いことです。厚生労働省が発表している「障害児通所支援の現状等について」によると、児童発達支援事業所や放課後等デイサービスを含む児童発達支援は、費用額・事業所数・利用者数ともに右肩上がりであることがわかります。
特に利用者数は平成24年が47,074名であるのに対して、令和1年では111,792名と7年間で倍以上に増えており、ニーズの高さがうかがえます。
もちろん事業所数も増えているので、何もせずに利用者が集まるとは言えません。しかし、利用者のニーズに向き合った真摯な運営を行えば、安定した収入を確保できる可能性は非常に高いでしょう。
地域のために貢献できる
児童発達支援事業所を立ち上げると、障がいのある子どもの居場所として大きく役立つため、社会・地域のために貢献できます。また、障がいのある子どもを預かることで保護者の負担軽減にも繋がります。
さらに、並行して放課後等デイサービスや就労支援事務所を展開すれば、障がいのある子どもがその地域で長い時間過ごせるようになり、保護者を安心させることも可能です。
このように、児童発達支援事業所の立ち上げは地域への大きな貢献となります。
児童発達支援事業所に関するよくある質問
最後に、児童発達支援事業所に関するよくある質問に回答します。
【児童発達支援事業所に関するよくある質問】
- 児童発達支援事業所の立ち上げに必要な資格は?
- 児童発達支援事業所と児童発達支援センターの違いは?
現在疑問に思うことがない方も、ぜひ今後のために参考にしてください。
児童発達支援事業所の立ち上げに必要な資格は?
児童発達支援事業所を立ち上げるオーナーに必要な資格はありません。しかし冒頭でも触れた通り、児童発達支援事業所を運営するための人員基準を満たす必要があります。
子どもとの直接的な関わりを専門的な知識を持つ職員に任せる場合は、オーナーはスタッフの管理・集客・プログラム作成などに専念しましょう。
児童発達支援事業所と児童発達支援センターの違いは?
児童発達支援事業所は、障がいのある子どもができる限り通いやすいよう身近に設けられた施設です。一方で児童発達支援センターは、地域の中核となって障がい児をサポートする専門施設であり、訪問支援・障がい児支援利用計画の作成などの地域支援も行います。
どちらも障がいがある子どもの支援施設には変わりありませんが、児童発達支援事業所の方がより身近で通いやすい存在と言えるでしょう。
まとめ:児童発達支援事業所の立ち上げ手順・条件を理解してスムーズな開業を!
当記事では、児童発達支援事業所の立ち上げ手順や開業に必要な条件を解説しました。児童発達支援事業所を立ち上げるには、指定基準などを満たしたうえで10個の手順を踏まなければいけません。
安定した収入を確保できる可能性が高いのはもちろん、社会や地域に貢献できる福祉活動ですが、簡単に開業できるわけではないので綿密な準備が必要になります。
児童発達支援事業所の立ち上げを検討している方は、当記事を参考にスムーズな開業を行ってください。
この記事を読んだ方で、放課後等デイサービスの運営・経営において 下記のようなお悩みはございませんか?
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- 「学習支援は行いたいが、宿題の対応しかできない」
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