「簿記の難易度は高いの?」
「級ごとの合格率はどれくらいなの?」
簿記の難易度は3級から2級、2級から1級と級が上がるごとに難しくなり、1級は難関資格としても知られています。
簿記の合格率は簿記3級が40~50%、簿記2級が20%程度、簿記1級が10%程度です。級によって合格率や難易度が大きく異なり、簿記3級は難易度が比較的低いのに対し、簿記1級は難関資格として知られています。
引用:ユーキャン
この記事では日商簿記の級ごとの難易度や合格率、合格を目指す際の勉強時間について解説します。
難易度が高い簿記でも合格できなかった失敗ケースを事前に知っておくことで、対策を練りながら学習を進められるでしょう。
簿記試験の合格に向けた学習は長期間に及ぶこともあるため、試験対策のポイントを絞って覚えられる通信講座がおすすめです。
日商簿記の難易度は高い?
日商簿記の難易度は、受験する1から3の級ごとで異なります。
3級は商業簿記の基礎知識が出題されるため、初めて簿記に挑戦する人が受ける級です。
2級は経営管理に役立つ知識が求められ、財務諸表の数字から経営状態を把握できる会計レベルが求められます。
1級は極めて高度な会計知識を有し、企業の経営管理や経営分析を行う必要があります。
また日商簿記の各級では年度ごとに合格率が変わるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
日商簿記3級の難易度と合格率
試験年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年6月 | 26,757人 | 9,107人 | 34.0% |
2022年11月 | 32,422人 | 9,786人 | 30.2% |
2021年11月 | 49,095人 | 13,296人 | 27.1% |
2020年11月 | 64,655人 | 30,654人 | 47.4% |
2019年11月 | 80,130人 | 34,519人 | 43.1% |
2018年11月 | 88,774人 | 38,884人 | 43.8% |
2017年11月 | 88,970人 | 35,868人 | 40.3% |
日商簿記3級の2017年〜2023年の合格率の推移を見てみると、27.1〜47.4%となり平均で38.0%の合格率です。
3級は簿記初学者の人向けの試験内容のため、比較的難易度が低くなっています。
試験範囲は基本的な簿記の知識が求められるので、学習計画を立ててしっかりと勉強を勧めれば合格を目指せるでしょう。
また日商簿記3級は試験時間60分の中で100点満点中70点獲得で合格になるので、100点満点を必ずしも目標にする必要はなく、最低合格ラインを越えられるように学習できれば問題ないです。
日商簿記2級の難易度と合格率
試験年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年6月 | 8,454人 | 1,788人 | 21.1% |
2022年11月 | 15,570人 | 3,257人 | 20.9% |
2021年11月 | 22,626人 | 6,932人 | 30.6% |
2020年11月 | 39,830人 | 7,255人 | 18.2% |
2019年11月 | 48,744人 | 13,195人 | 27.1% |
2018年11月 | 49,516人 | 7,276人 | 14.7% |
2017年11月 | 47,917人 | 10,171人 | 21.2% |
日商簿記2級の2017年〜2023年の合格率の幅は14.7〜30.6%の範囲で上下し、合格率の平均は22.0%でした。
簿記2級は企業から求められるレベルとなり、経理業務の実務者としての実力があることを会社に示すことが可能です。
また2級試験の合格点は商業簿記が60点、工業簿記が40点の合計100点満点のうち70点以上に達する必要があります。
3級と同じように100点を目指す学習ではなく、合格点を超えることを目指して勉強すると良いでしょう。
日商簿記1級の難易度と合格率
試験年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年6月 | 9,295人 | 1,164人 | 12.5% |
2022年11月 | 9,828人 | 1,027人 | 10.4% |
2021年11月 | 9,194人 | 935人 | 9.8% |
2020年11月 | 8,553人 | 1,158人 | 13.5% |
2019年11月 | 7,520人 | 735人 | 9.8% |
2018年11月 | 7,588人 | 680人 | 9.0% |
2017年11月 | 8,286人 | 487人 | 5.9% |
日商簿記1級の2017年〜2023年の合格率は5.9〜13.5%の中で推移していて、平均数値は10.1%です。
平均で約10%の合格率のため、非常に難易度の高い試験といえます。
また簿記試験の中で最も出題範囲が広いので、合格に向けた学習計画を立てて挑戦すると良いでしょう。
簿記1級試験は4つの科目それぞれで25点配点となり、70%以上の得点が求められます。
ただし1科目でも10点未満をとってしまうと不合格になるため、苦手な科目を作らずにまんべんなく学習することが大切です。
日商簿記1級を受けた人の口コミ
以前動画でも話したのですが簿記1級と簿記2級の難易度は天と地ほど違います。簿記1級は受験できるレベルに到達しただけでも十分凄いです
合格したらもっと凄いです。明日簿記1級受験する方は頑張ってください!!!
引用:Twitter
簿記2級を取ったあと「簿記1級はいらないよ」と言われました。理由は「難易度が高すぎる」「1級取るなら、税理士科目を取った方が良い」「変人しか受けない試験」だそうです。全て納得はできます。それでも簿記1級は、今の経理の仕事に使える知識がたくさん詰まっているので引き続き勉強します
引用:Twitter
簿記2級と簿記1級って難易度に相当な差があるから、簿記準1級を作るといいんじゃないかと思う今日このごろ。
引用:Twitter
日商簿記と全商簿記・全経簿記の難易度は違う?
日商簿記と全商簿記、全経簿記は、それぞれ難易度や特徴が異なります。
日商簿記 | 全商簿記 | 全経簿記 | |
---|---|---|---|
特徴 | ・日本商工会議所主催 ・受験者は社会人 | ・全国商業高等学校協会主催 ・受験者は商業高校の学生 | ・全国経理教育協会主催 ・受験者は経理専門学校の生徒 |
難易度 | 高め | 低い | やや低い |
3つの簿記試験の中では日商簿記が1番知名度があり、社会人が受けることが多いため就活にも有利です。
商工会議所検定ページによると、第116回簿記検定試験(6月10日施行)の受験者の年齢を分析したところ、3級では、約5割が20代、四分の一が30代でした。
引用:蕨商工会議所
全商簿記は商業高校の学生が受ける試験のため、3つの中では難易度が1番低くなります。
全経簿記の難易度は3つの中では中間あたりのレベルになり、上級に合格することで税理士試験の受験資格を得ることが可能です。
全商簿記は大学推薦に有利な検定
検定主催者 | 全国商業高等学校協会 |
試験範囲 | ・個人企業の会計処理 ・株式会社の会計処理 ・会計、原価計算 |
合格基準・合格難易度 | ・各級70点以上で合格 ・難易度は低い |
日商簿記との違い | 全商簿記1級と日商簿記2級が同じくらいのレベル |
全商簿記は商業高校の学生が多く受験する、大学推薦に有利な簿記検定です。※
※参考:全国商業高等学校協会
大学や短大の推薦入試で、全商簿記1級の合格を条件にしている学校もあります。
全商簿記の試験範囲は商業高校の教科書に沿った内容になっているため、難易度はやや低い傾向にあります。
試験は3級・2級・1級の3つのグレードに分かれ、各級で70点以上の点を取ることが合格基準です。
全経簿記は専門学生が対象の検定
検定主催者 | 全国経理教育協会 |
試験範囲 | ・簿記会計学の基本 ・商業簿記 ・工業簿記 ・会計学 ・原価計算 |
合格基準・合格難易度 | ・各級70点以上で合格 ・難易度はやや低い |
日商簿記との違い | 全商簿記1級と日商簿記2級が同じくらいのレベル |
全経簿記は、経理や会計の専門学校に通う学生が対象の簿記試験です。※
※参考:フォーサイト
基礎簿記会計・3級・2級・1級・上級の5つのレベルに分かれ、簿記入門レベルから大規模な会社の経理担当者相当の知識が求められます。
1級までは全科目70点以上の点数で合格となりますが、上級になると各科目で40点以上取り、合計で280点取る必要があります。
全経簿記の上級に合格すると税理士試験の受験資格が与えられるので、税理士を目指す方は受験を検討すると良いでしょう。
日商簿記の合格を目指す際の勉強時間
日商簿記の合格を目指す際の勉強時間は、次の表の通りです。
独学勉強時間 | 通信講座・通学講座勉強時間 | 参考 | |
---|---|---|---|
簿記3級 | 100〜150時間 | 50〜100時間 | 1日3時間だと約30〜50日 |
簿記2級 | 150〜250時間 | 100〜200時間 | 1日3時間だと約50〜70日 |
簿記1級 | 500〜700時間 | 400〜600時間 | 1日3時間だと約170〜240日 |
日商簿記の合格を目指すなら、独学での勉強と講座受講では学習効率が変わる点を把握しておきましょう。
独学でももちろん合格を目指せますが、長期間の間モチベーションの維持が課題となります。
その点講座のテキストや問題集は試験に出る箇所に絞ってまとめられているので、効率的な学習が可能です。
簿記の試験で合格できなかったよくある失敗ケース
ここからは、簿記の試験で合格できなかったよくある失敗ケースについて紹介します。
【簿記の試験で合格できなかったよくある失敗ケース】
試験に向けて簿記の学習に取り組んでいても、結果的に点数が足りずに合格できなかったということはよくあります。
長い時間かけた試験対策を無駄にしないためにも、よく読んで参考にしてください。
簿記試験は簡単と思い込んでいた
日商簿記の中でも特に3級は合格率も高く、「少し勉強すれば簡単に合格できる」と思い込んでしまい試験対策に失敗するケースがあります。
商業高校出身者や会社の経理担当など、すでにある程度の簿記の知識があれば簡単かもしれません。
しかし多くの方にとっては簿記に出てくる聞き慣れない用語などもあり、専門用語を簡単に覚えるのは難しいでしょう。
簿記3級に合格するためには独学で100〜150時間の学習が必要といわれているので、簡単な試験と油断せずに対策しましょう。
解答の最終確認を怠った
簿記で合格を目指すためには、試験問題を解いた後の最終確認が必要です。
簿記の試験では計算問題が多く、頭では理解していても数字を書き間違えてしまうということがあります。
また試験会場特有の緊張感や制限時間に追われながら問題を解くため、いつも以上に緊張して間違えてしまう可能性があります。
もしかしたら見直すだけで解答の間違いに気づける問題もあるので、普段の学習から最終確認の癖をつけると良いでしょう。
過去問をやっていなかった
簿記の試験はテキストの暗記だけで合格できるものではないため、応用力を鍛えるために過去問を繰り返し解きましょう。
簿記では計算問題が多く出るので、演習問題に多く挑戦しておくことが合格への近道です。
合格のためには過去問をやり込み、出題傾向を掴んでおくと得点を増やすポイントとなります。
また過去問を何度も解くことで解答スピードが早くなるため、できるだけ多くの過去問にチャレンジすると良いでしょう。
学習時間が足りなかった
簿記3級に合格するためには100時間程度の学習が必要なため、試験に向けて学習時間を確保する必要があります。
簿記3級に合格するためには、100時間程度の勉強時間が必要です。
引用:ユーキャン
1日3時間勉強したとしても33日ほど期間がかかるので、試験までの日数によっては学習時間が足りなくなってしまいます。
また33日間ほど学習するとなると、学習のモチベーションを維持するのも課題です。
学習時間の確保が難しい方は、効率的に学習できる通信講座を利用するという手もあります。
簿記資格取得後の資格の活かし方
ここからは、簿記資格取得後の資格の活かし方について紹介します。
【簿記資格取得後の資格の活かし方】
簿記の資格は経理や会計業務の知識があると証明できるので、就職や転職をはじめ多くの機会に役に立ちます。
資格を持っているだけは取得したメリットが十分に得られないため、よく読んで参考にしてください。
一般企業の経理で働く
一般企業の経理で働く場合は、簿記の知識や資格を取得しているとスムーズに業務を始められるでしょう。
また就職や転職の際にも簿記資格を保有していればアピール材料となるため、有利に先行を進められます。
特に日商簿記2級以上の資格が優遇されるので、就職や転職の前に取得しておくとおすすめです。
簿記の知識があることで職場でのコミュニケーションが取れ、信頼関係を作りやすくなります。
会計事務所で働く
会計事務所で働く場合も、簿記の知識を活かして業務に取り組むことができます。
会計業務の経験が少なくても、簿記の資格を保有していることで採用につながる場合もあります。
また会計事務所で働きながら公認会計士や税理士を目指す人もいるため、実務経験を積みながら収入を得ることも可能です。
事務所の中には資格取得を支援してくれるところもあるので、働きながらキャリアアップを目指せます。
金融業界で働く
金融業界で働く際にも、簿記の知識を活かすことができます。
日商簿記2級以上であれば会社のお金の流れや経営状況を把握でき、顧客に対して適切なアプローチができるようになります。
また資金を融資する業務では、取引先の財務諸表を自分の目で確認して判断することが可能です。
簿記の資格を足掛けに複数の資格を保有することもでき、より必要とされる人材を目指すことができます。
就活に活かす
簿記資格を持っていると就活で有利に働くことがあるため、大学生のうちに取得しておくのも良いでしょう。
就活には認知度の高い日商簿記が活かしやすく、履歴書に書ける3級からのチャレンジがおすすめです。
さらに効果的に就活に役立てるのであれば、2級以上を取得しておくと採用担当者の目に留まる可能性があります。
会社の経理部門はもちろん金融業界などの就活にも活かせるため、取得して損のない資格といえます。
簿記試験の難易度に関するよくある質問
ここでは、簿記試験の難易度に関するよくある質問について解説します。
簿記試験の難易度に関してよくある質問なので、よく読んで参考にしてください。
簿記のネット試験は難易度が高いですか?
結論として、簿記のネット試験と統一試験では難易度は変わりません。
ただしデータを見ると、2級においてはネット試験の方が合格率が高い傾向が現れています。
統一試験の合格率は平均21.5%で推移していますが、ネット試験では平均39.2%の合格率です。
日商簿記2級の合格率は過去10回の平均で21.5%です。(中略)
簿記2級ネット試験の合格率は平均39.2%となっており、統一試験の2倍近い数値となっています。
引用:ユーキャン
決して難易度は変わりませんが合格率が違うので、2級を受験する際はネット試験で受けるという選択肢も考えられます。
簿記2級の難易度が上がりましたか?
ここ数年で、簿記2級の難易度が上がったと感じる人が増えています。
簿記2級、外貨換算会計の章になって急に難易度上がった感じになるな。多分これからもややこしいの出てくるんだろうけど。
引用:Twitter
2015年からの3年間で大幅に試験範囲が改定され、簿記1級の内容の一部が2級に追加されました。
そのため従来の試験よりも難易度が上がったと感じる人が増え、試験によっては合格率20%を切る年もあります。
簿記試験の受験者数が減少してますか?
簿記試験の受験者数は、級によって人数の増減があります。
3級では2019年6月の試験前に出題範囲の改定があったため、受験者数は72,435人と減少したデータが残っています。※
※参考:日本商工会議所
2級においては2018年6月時に、受験者数38,352人と近年の中でも最低の人数となりました。※
※参考:日本商工会議所
1級では7,000人〜9,000人の受験者数をキープしているため、数字は横ばいとなっています。※
※参考:日本商工会議所
またコロナ禍になってからは大幅に受験人数が減り、現在もまだ元に戻っていませんが今後もまた増減の可能性があるので、減少傾向にあることをデメリットとして捉える必要もないでしょう。
簿記の難易度は級によって異なるが試験対策のポイントを押さえた学習が大切
この記事では日商簿記の級ごとの難易度や合格率、合格を目指す際の勉強時間について解説しました。
【日商簿記の級ごとの難易度】
- 3級:初心者でも挑戦しやすい難易度、合格率約40〜50%
- 2級:財務諸表の数字から経営状態を把握できるレベルで難易度は高い、合格率約20%
- 1級:企業の経営管理や経営分析を行えるレベルで難易度は非常に高い、合格率約10%
【合格を目指す際の勉強時間】
- 3級:100〜150時間
- 2級:150〜250時間
- 1級:500〜700時間
また難易度が高い簿記でも合格できなかった失敗ケースについても紹介したので、参考にしてください。
【簿記の試験で合格できなかったよくある失敗ケース】
簿記の難易度について把握した後は、自分に合う学習法で試験対策を始めましょう。
簿記試験は級が上がるほど学習時間が増えて期間が伸びるため、モチベーションを維持しながら学習できる通信講座がおすすめです。