2022/09/08(木)

STEAM教育とは?
STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術・教養)、Mathematics(数学)の5つの分野を統合した教育手法です。
従来の教科別学習から脱却し、複数の領域を横断的に学ぶことで、21世紀に求められる総合的な問題解決能力の育成を目指します。
STEAM教育の読み方や意味
STEAM教育は「スティーム教育」と読みます。STEAM教育は5つの英単語の頭文字を組み合わせた造語です。従来の教科の枠を超えた統合型教育アプローチを指しています。
この読み方になる理由は、英語の「steam(蒸気)」と同じ発音だからです。実際に、教育界では「蒸気のように勢いよく広がる教育手法」という意味合いも込められています。
日本の教育現場では「スティーム」「スチーム」の両方の表記が見られますが、文部科学省の公式資料では「スティーム」が採用されています。
Science(科学)
Science(科学)は、STEAM教育において子どもたちの探究心を育む中核的な分野です。身の回りの現象から宇宙の謎まで、あらゆる物事の原理や法則を学習対象とします。
植物の成長メカニズム、動物の生態系、化学反応など、日常生活で触れる現象を科学的に探究することで、論理的思考力を養います。
植物の光合成実験では観察・記録・分析を繰り返し、科学的手法を体験的に学ぶことが大切です。このような活動により、データにもとづいて結論を導く姿勢が身に付きます。
Technology(技術)
Technology(技術)は、論理的思考力と問題解決能力を育成する分野です。2020年から小中学校でプログラミング教育が必修化され、将来のキャリア選択肢拡大とエンジニア不足解消が期待されます。
マインクラフトを活用したゲーム感覚の授業や、音楽とプログラミングを組み合わせた作曲活動があります。ロボット制御による体験学習も効果的な手法です。教員は発達段階に応じた楽しいアプローチで、技術への興味を育むことが重要といえるでしょう。
Engineering(工学)
Engineering(工学)は、ものづくりを通じて生産力と空間把握能力を育成する分野です。産業社会で求められる設計力や製作技術の基礎を身に付けることを目的とします。論理的思考と創造性を組み合わせた問題解決スキルが養われます。
具体例として、プログラミング制御による自走ロボット製作や、図面作成から材料活用までの製品開発があります。小学校でも安全に使用できるロボットキットが開発されており、発達段階に応じた指導が可能です。
Arts(芸術・教養)
Arts(芸術・教養)は、創造力と表現力を育成する重要な分野です。自由な発想で作品制作を行い、考えを言語化・表現する能力を養います。この過程でコミュニケーション能力も身に付くでしょう。
対象範囲は美術を超え、ダンス・演劇・音楽・写真・絵画・デザインまで多様な分野が含まれます。「リベラルアーツ」として、人文・社会・自然科学の教養も重視されています。
教員は特定科目に縛られず、テーマ研究発表会やブレインストーミングを通じて表現力向上を図ることが効果的といえるでしょう。
Mathematics(数学)
Mathematics(数学)は、論理的思考力を育成するSTEAM教育の基盤分野です。公式や法則の理解を通して筋道を立てて考える能力を養います。数理的思考は、他の4分野の学習を支える土台です。
具体例として、データ分析による科学実験の検証、プログラミングでの計算処理、工学設計での寸法計算があります。統計学や確率論を用いた問題解決も実践的です。
数学は横断的な思考ツールとして機能し、論理性と客観性を身に付けることで創造的な問題解決が可能になるでしょう。
STEAM教育とGIGAスクール構想の動き
今日の教育現場において、STEAM教育とGIGAスクール構想は互いに補完し合う重要な要素です。GIGAスクール構想で実現された1人1台端末の整備は、STEAM教育が目指す個々の能力に応じた創造的な学びを推進しています。小学校から高校までの各段階で、情報技術を最大限に生かした探究学習や、教科の枠を超えたプロジェクト学習が実践的に行われるようになっています。
小学校のSTEAM教育で求められる授業
小学校におけるSTEAM教育は、子どもたちが未来を生き抜くための基礎力を養うことに重点を置いています。その象徴が2020年度から必修化されたプログラミング教育で、児童が情報技術を理解し、使いこなす能力を培うことが重視されるようになりました。
また、理数分野では単なる知識の暗記にとどまらず、科学的な探究活動やデータを分析して課題を解決する統計学習が充実しています。これらの学びは、教科の枠にとらわれず「教科横断的」に進めていくことが不可欠です。経済産業省の「未来の教室プロジェクト」が提供する「STEAMライブラリー」のように、無償で利用できるデジタル教材は、学校現場での導入を力強く後押ししています。小学校でSTEAM教育を成功させるには、理数分野に関する深い知識と教育への情熱を兼ね備えた教師の存在が重要です。そのため、教員の専門性向上に向けた研修や教育プログラム開発は、注力されている事項です。
中学校のSTEAM教育で求められる授業
中学校でのSTEAM教育は、生徒が将来の社会で必要とされる力を育む上で重要です。2021年度に必修化された技術・家庭科の技術分野におけるプログラミング教育は、情報技術の基礎から応用までを深く学ぶ機会を提供し、生徒のスキル習得を促進しています。この段階では、教科の垣根を越えた学びが特に強調されます。具体的には、理科と数学の知識を組み合わせて科学的な探究活動をしたり、技術と芸術を融合させて創造的なものづくりに取り組んだりする実践が挙げられます。このような深い学びを実現するには、各分野に精通した教師による専門的な指導が不可欠です。一方で、教育課程の整備や評価方法の確立など、依然として解決すべき課題も存在します。今後は、これらの課題を乗り越え、より効果的なSTEAM教育の実践を進めていく必要があります。
高校のSTEAM教育で求められる授業
高校におけるSTEAM教育は、情報技術の高度化と探究的な学びを統合した教育アプローチです。2022年度から必修となった科目「情報Ⅰ」では、プログラミングやネットワークの基礎知識を習得し、データサイエンス教育も積極的に推進されています。
文部科学省が指定する「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」では、大学や企業との連携を通じて、実践的な学習機会を提供し、創造性豊かな人材を育成しています。教員は、STEAM教育や探究学習の設計・コーディネート能力を高め、外部機関との連携を強化することが重要です。「総合的な探究の時間」の必修化もSTEAM教育の理念と深く結びつき、生徒が自ら課題を見つけ出し、解決する力を育む上で重要な役割を果たしています。
これらの取り組みは、高校生が未来社会で活躍するための土台を築くことを目指しています。
STEAM教育はなぜ必要?注目された背景は?
STEAM教育はなぜ注目されたのでしょうか。今の時代に注目された背景について分かりやすく解説します。
IT化やグローバル化に伴う社会の変化
IT化やグローバル化で社会が変化したのもSTEAM教育推進の一因です。今までは人がデータ分析を行い、提案を行ったり機械を動かしたりしていました。AI技術の発展したSociety 5.0に入ると、AIが人に提案したり、自動で判断し機械を動かしたりする時代に変化します。また、日本の人口は減少傾向にあり、国内需要だけでは企業の成長が見込めません。国際社会でも競争できる力を身に付け、世界を相手にビジネスできる力も求められています。
社会の変化により求められる人材も変化している
昔と比べると、求められる人材も変化しています。AIの発展で今まであった仕事がなくなるなど、働き方が変化しているためです。今後は、ITを使って新たな産業を生み出したり、国際社会に通用する技術を身に付けたりする必要があります。STEAM教育はSociety 5.0時代に活躍できる人材育成を目指しているのです。
STEAM教育のメリット
STEAM教育を導入することによる生徒へのメリットは、創造的思考力、問題解決能力の育成、異なる分野を結びつけて新たな価値を生み出す統合力、AI時代を生き抜くためのキャリア形成への貢献が挙げられます(※1)。さらに、知的好奇心や探究心の醸成、そして情報を効果的に活用し、論理的に表現するプレゼンテーション能力の向上も期待できるでしょう。
創造的思考力と問題解決力が育つ
STEAM教育の最大のメリットは、生徒の創造的思考力と問題解決力を同時に伸ばせる点です。この教育アプローチでは、芸術的な視点と技術的な知識を組み合わせたプロジェクト学習が盛んです。生徒たちはデザイン課題を通じて、自分のアイデアを具体的な形にする経験を積みます。同時に、PBL(問題解決型学習)の手法を取り入れることで、実社会に存在する複雑な課題に対し、柔軟かつ多角的な視点からアプローチする力を養えるでしょう。結果として、予測困難な未来や、変化する状況に柔軟に対応できる力を持つ人材育成につながります。
異分野をつなげて新しい価値を生み出す統合力
STEAM教育の大きなメリットは、科学・技術・工学・芸術・数学といった多岐にわたる知識を横断的に活用し、統合する能力を育むことにあります。例えば、ロボットを開発するプロジェクトでは、数学で計算したデータを工学技術で具体的な形にし、さらに芸術的な視点から使いやすさや美しさをデザインするなど、複合的な学びが実現されます。このような学習経験は、異なる専門分野の知見を融合させ、現代社会が求める新たな価値を創造する基礎を築くことにつながるでしょう。
AI時代のキャリア形成に役立つ
デジタル技術が急速に進展する現代において、STEAM教育で培われるスキルは、AI時代に対応したキャリアを築く上で有効です。STEAM教育を受けた学生は、将来的にエンジニアやデザイナーといった職種に求められる基礎力を養えます。AIやロボットの普及が進む中で、人間ならではの「創造性」や「感性」を生かす仕事の価値は高まっています。そのため、STEAM教育を通じて培われた創造力や問題解決能力は、これからの社会で重要なスキルとして評価されるでしょう。
好奇心や探究心が育まれる
STEAM教育は、現実社会の課題解決に重点を置いた学習スタイルです。このアプローチは、特に科学・技術・芸術などに興味を持ち「なぜそうなるのか」という問いを深く追求する探究心旺盛な子どもたちに最適です。例えば、植物の成長に興味を持った生徒たちは、科学実験を通してその仕組みを学び、さらに技術を応用して最適な栽培環境をデザインするなど、実践的な学びを通して深い理解を得られます。このような経験を通じて、生徒たちは日常生活の中から自ら課題を見つけ出し、解決策を考案する能力を培うことが可能になるでしょう。
情報活用力・プレゼンテーション能力が高まる
STEAM教育では、生徒が自ら課題を設定し、解決に必要な情報を多角的に収集する機会が多くあります。生徒はインターネット検索だけでなく、書籍や実地調査、インタビューなど、さまざまな情報源から必要な情報を選び抜き、効果的に整理・分析する「情報活用力」を自然に養います。さらに、探究した内容や導き出した結論を、レポート作成やプレゼンテーションを通じて他者に分かりやすく伝える経験を積むことで、論理的な思考力や表現力、プレゼンテーションスキルも向上するでしょう。
STEAM教育のもとになった「STEM教育」
STEAM教育を知るため、前身のSTEM教育について確認しておきましょう。どのような教育が行われていたのか詳しく解説します。
STEM教育とは理系人材の育成を目的とした教育方針
STEM教育とは、理系分野で活躍できる人材育成を目的とした教育方針です。科学・技術・工学・数学を重点的に学習し、データを活用したAIを開発したり、技術開発を行ったりする人材の育成に力をいれていました。
「A」には社会問題の解決や創造性などが含まれる
STEM教育に芸術やリベラルアーツなどの分野が付け足され、現在のSTEAM教育に進化しました。SDGsの考え方が普及したように、今後の産業発展には社会問題や環境問題なども考慮しなければなりません。複雑に絡み合った課題を解決するには、創造性も必要と考えられるようになりました。
教育現場での課題

STEAM教育導入で教育現場は深刻な課題に直面しています。最大の問題は教員の専門知識不足と人員不足で、実験指導の安全管理や専門性確保が困難です。プログラミング教育では生徒のほうが詳しい場合もあり、逆転現象も発生します。
理科実験の安全確保、ICT機器操作指導、統合的学習設計などに加え、多忙な教員の新スキル習得時間不足、研修体制不備も課題です。改善には教員研修充実、専門人材活用、授業体制の見直しが急務といえるでしょう。
STEAM教育を効果的に進めるための実践ポイント

STEAM教育を効果的に進めるには、カリキュラムの工夫や学びの環境づくりが重要です。生徒が自由に発言できる雰囲気を整え、主体的な思考や行動を促すことが求められます。
問いかけを通じて思考力や積極性を引き出し、多様な視点で問題解決に取り組む力を育てる教育が実践のポイントです。
カリキュラムを再編成する
STEAM教育の成功には、従来の教科横断型学習計画への転換が必要です。単一教科での指導では、統合的思考力を育成することが困難といえます。
具体的には、理科の実験データを数学で統計処理し、その結果を美術で視覚化する連携授業が挙げられるでしょう。また、社会科で学んだ地域課題を工学的手法で解決策を考案し、技術科で試作品を制作するといった実践も効果的です。
さらに、年間指導計画の段階から各教科担当者が協議を重ね、学習内容の関連性を明確化することが重要です。
生徒が自由に発言しやすい環境を整える
実践の場では、教員が率先して「失敗は学びのチャンス」という価値観を示すことが重要です。実験で予想と異なる結果が出た際に、「なぜこうなったのか」を全員で考察する時間を設けることが大切です。
また、少人数グループでの話し合いから始めて、段階的に全体発表へと展開する手法も効果的となります。
さらに、内向的な生徒も参加しやすいよう、文章での意見提出やデジタルツールの活用も推奨されるでしょう。
問いを通じて生徒の思考力や積極性を引き出す
効果的な質問により、生徒の主体的学習姿勢を育成できます。適切な問いかけは知的好奇心を刺激し、自発的な探究を促すからです。
具体的には、「なぜその結論に至ったか」「他の解決方法はないか」といった思考を深める質問が重要でしょう。また、環境問題の解決策を複数の視点から検討させ、各グループの提案を比較する活動も効果的です。
このような問いかけにより、生徒は積極的な学習者へと成長します。
STEAM教育の事例を紹介
STEAM教育は実際どのように行われているのでしょうか。日本と海外の取り組み事例を紹介します。
日本でのSTEAM教育の取り組み事例
日本での取り組みとして、プログラミング学習が挙げられます。小学校から高等学校まで導入され、論理的な思考力と問題解決能力が身に付き、ものづくりについても考えるきっかけとなります。
STEAMライブラリーに見る教材提供の事例
STEAMライブラリーは、経済産業省の「未来の教室」プロジェクトが手がけるデジタルコンテンツ集です。小学校・中学校・高校での探究学習をサポートするため、多様な社会的・学術的テーマを扱う動画や資料などが集約されています。
大学や研究機関、民間企業や教育産業が協力し制作したこれらの教材は、学校の授業で幅広く活用できるよう無料で公開されており、STEAM教育の推進に貢献しています。
兵庫県の事例
兵庫県では「STEAM教育実践モデル校事業」を立ち上げ、高等学校で実践しています。企業と連携し、求める人材にマッチした教育を探るなど兵庫型STEAM教育モデルの作成を目指しています。文部科学省のWebサイトにおいて、STEAM教育の実践例や卒業後の姿など、現場の様子も発信していく予定です。コンテンツを利用したSTEAM教育が進められるでしょう。
北海道の事例
北海道教育委員会は、不登校児童生徒への支援策として、2024年8月26日にメタバース空間「ほっかいどう メタ☆キャンパス」を開設しました。
この試みでは、学習支援や教育相談が展開され、その一環としてオンライン教材「すらら」が導入されています。約20名の生徒がこの教材を用いた学習を開始し、その成果が評価されたことで、2025年度も「すらら」の継続利用が決定し、利用希望者の募集も進められました。「すらら」は、生徒1人ひとりの理解度に合わせて学習が進むアダプティブなICT教材であり、STEAM教育の理念にも合致する、個別最適化された学びを提供しています(※2)。
海外でのSTEAM教育の取り組み事例
STEAM教育の前身のSTEM教育はアメリカで始まりました。ここでは、アメリカとシンガポールの2カ国の事例を紹介します。
アメリカの事例
海外でもSTEAM教育は活発に行われています。アメリカには、STEAM教育を推進する「High Tech High」という公立学校があります。授業料無償で貧困層でも入学でき、平等な学習環境で学習できるのが特徴です。学習スタイルもユニークで、教科書を使わず定期試験もありません。自ら課題を決め、解決していく学習が中心です。熱心な生徒や教員が多いため学力が高く、ほとんどの生徒が大学に進学します。
シンガポールの事例
シンガポール政府直属のSTEAM教育機関のサイエンスセンターは、先進的な取り組みで知られています。サイエンスセンターでは、修士号や博士号を持つ専門家が授業を担当し、科学・技術・工学・芸術・数学といった分野の知識が社会でどのように生かされているか、実践的な学びを提供しています。シンガポールは国を挙げてSTEAM教育に力を入れており、サイエンスセンターは、その教育戦略の核となる施設の1つといえるでしょう。
STEAM教育にはさまざまな課題が
STEAM教育にはどのような課題があるのでしょうか。ここではSTEAM教育を推進する上での課題を3つ紹介します。
課題①専門的スキルを持った教員の不足
教科の区別なく横断的に取り入れるSTEAM教育を理解し、授業に取り入れられる教員が不足しています。科学や数学に特化した教師はいますが、教科の区別なく横断的に取り入れるのは経験不足であるためです。教科の枠を超えた問題解決学習を目指すなら、課題の設定も重要です。社会問題や環境問題などに着目し、科学や工学などを組み合わせて解決できそうな課題を準備する必要があります。STEAM教育を行うには、教員も着眼点を変えていくことが求められるのです。
課題②ICT環境整備の遅れ
ICT環境整備が遅れているのも大きな課題です。1人1台端末は実現したものの、学校によってはインターネット環境がまだ十分に整備されていないことが課題です。生徒が一斉にネット接続をすると、表示が遅くなったり動画が途切れたりするケースが実際にあります。指導案で動画を使った授業を考えても、インターネットが使えないのではデジタルを生かした授業づくりができません。高速で安定したICT環境整備が必要です。
課題③家庭や地域による環境格差
STEAM教育の課題として、家庭や地域による環境格差もあります。ネット環境がない家庭に向け、モバイルルーターの貸し出しも行われていますが、通信契約は各家庭のため費用がかかります。地域的に貧困世帯など費用面で回線契約の維持が難しい場合も。家庭のネット環境が整っていないことで、家庭学習にデジタル教材を導入できない地域もあるでしょう。
STEAM教育と新学習指導要領の関係

新学習指導要領は、STEAM教育の理念と深く連動しています。両者とも探究的な学びと実社会との関連性を重視しているからです。「主体的・対話的で深い学び」の実現において、教科横断的なアプローチが強調され、STEAM教育の核心と一致するでしょう。
高校教育における具体的な変更点
新しい学習指導要領の実施により、高校教育ではSTEAM教育の視点が具体化されました。従来の「総合的な学習の時間」は「総合的な探究の時間」へと発展しています。さらに、新科目として「理数探究」も新設されました。
これらの変更は、生徒が主体的に課題を発見し、解決する力を養うことを目的とします。例えば、地域の課題解決など、実社会とつながるテーマで探究活動に取り組みます。知識の暗記に偏らず、実践的な学びがより重視されるようになってきました。
大学入試に与える影響と変更点
大学入試は、STEAM教育の考え方を反映して大きく変わります。特に注目すべきは、2025年度の大学入学共通テストから教科「情報」が加わる点です。全ての高校生が学ぶ「情報Ⅰ」が出題範囲となり、プログラミングやデータ活用に関する問題が想定されています。
この変更は、単なる知識量だけでなく、論理的思考力や問題解決能力を問うことが狙いです。大学入試の変化は、今後の高校教育にも影響を与えていくでしょう。
GIGAスクール構想が後押しするSTEAM教育の可能性

GIGAスクール構想により、1人1台端末が整備されたことでSTEAM教育がより充実します。ICT環境の充実は、算数や理科などの複合的な学びを促進し、生徒の主体的な探究活動を支援します。これにより、実践的な能力や問題解決力の育成が一層進むでしょう。
1人1台の端末活用でSTEAM教育がより実践的に
GIGAスクール構想により、1人1台の端末が整備され、STEAM教育の実践が進みます。生徒は端末を使い、情報収集や整理、分析を効率的に行えるようになりました。
加えて、STEAMライブラリーの動画活用や、遠隔地の専門家とWeb会議で交流することで、興味や意欲をさらに高められます。
GIGAスクール構想におけるSTEAM教育のメリット
GIGAスクール構想がもたらすSTEAM教育のメリットは6つに集約されます。端末活用には自治体ごとのクラウド導入が必要です。動画や可視化ツールを使い理解と興味を高めるほか、情報収集やデータ分析、プレゼン能力も効率的に伸ばせます。
個々の学習状況が可視化され、生徒に応じた授業展開が可能です。eラーニングが導入され、教員の負担も軽減されます。遠隔授業で専門家の知見を生かし、教員は専門的な授業を任せることで生徒の知的好奇心を満たします。
まとめ
社会が激しく変わる時代、情報を多面的に取り入れ課題解決を行える人材の育成が求められています。学校では、教科の枠を超えて横断的に学び、課題発見や解決していく学習が必要です。STEAM教育の中心となる5科目を中心に、高等学校なら総合的な探究の時間などに取り入れるとよいでしょう。問題解決能力や創造力を養うには、基礎的な学習の定着も大事です。例えば、AI×アダプティブ学習「すらら」を活用すれば、生徒の苦手な部分を重点的に復習できます。基礎力を定着させた上でSTEAM教育を行うと生徒の能力アップが期待できます。
※1:文部科学省「STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進について」
※2:EdTechZine「AI×アダプティブラーニング教材「すらら」、北海道教委運営のメタバースにおいて2025年度も継続利用」

